説明

レーザノズルを組み付け及び/又は取り外すための機械式の装置、並びにこのような機械式の装置を備えたレーザ加工機

【課題】ノズルホルダ10を備えたノズルマガジン6と、送り駆動装置12と、取り付け/取り外し駆動装置14とを有する、金属薄板を加工するためのレーザ加工機5のノズル受容部5においてレーザノズル2を取り付け及び/又は取り外すための、コンパクトな機械的な装置を提供する。
【解決手段】送り駆動装置12及び駆動装置14に共通の駆動モータ17を有し、駆動モータとノズルホルダ支持体7並びにノズルホルダ10との間に、第1の切換位置と第2の切換位置とに切換可能なクラッチ19が設けられており、クラッチの第1の切換状態で駆動モータ17とノズルホルダ支持体7との間の駆動接続が形成され、第2の切換状態で駆動モータ17とノズルホルダ10との間の駆動接続が形成され、この駆動接続に基づいて、ノズルホルダが、ノズルホルダ回転軸線15を中心とした取り付け/取り外し運動で回転可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機のノズル受容部においてレーザノズルを取り付け及び/又は取り外すための機械的な装置であって、
ノズルマガジンが設けられていて、該ノズルマガジンがノズルホルダ支持体でレーザノズルのための少なくとも1つのノズルホルダを有しており、
送り駆動装置が設けられており、該送り駆動装置によって、ノズルホルダ支持体がノズルホルダと共に送り運動で移動せしめられ、それによってノズルホルダが取り付け/取り外し位置に送られるようになっており、
取り付け/取り外し駆動装置が設けられていて、該取り付け/取り外し装置によって、取り付け/取り外し位置に送られたノズルホルダが、ノズルホルダ回転軸線を中心とした取り付け/取り外し運動で回転せしめられるようになっている、形式のものに関する。
【0002】
本発明はまた、ワーク特に金属薄板を加工するためのレーザ加工機であって、この場合、レーザ加工機が、前記形式の機械式の装置を有している形式のものに関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に述べた形式の装置は、ドイツ連邦共和国特許第10056330号明細書により公知である。この公知の明細書には、それぞれ1つのレーザノズルのための3つのノズルホルダを有するノズルマガジンを備えた機械式のノズル交換装置が開示されている。この場合、ノズルマガジンはフレームに設けられており、該ノズルマガジン自体は電動モータ式又はニューマチック式の調節駆動装置を有している。この調節駆動装置によって、ノズルマガジンのノズルホルダが、レーザ加工機のレーザ加工ヘッドに対してねじ込み及びねじ外し位置に移動することができる。ノズルホルダがねじ込み及びねじ外し位置に位置していれば、ノズルホルダは、レーザ加工ヘッドにレーザノズルを取り付け又は取りはずことができる。いずれの場合においても、当該のノズルホルダはねじ駆動装置によってノズルホルダ回転軸線を中心にして回転せしめられる。回転方向に応じて、ノズルホルダはレーザ加工ヘッドにレーザノズルをねじ込み又はねじ外すことができる。前記公知のノズル交換装置の各ノズルホルダは、固有のねじ駆動装置を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第10056330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、レーザノズルを取り付け及び/又は取り外すための、コンパクトに構成された機械式の装置、並びにこのようなコンパクトな装置を備えたレーザ加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決した本発明の装置は、前記送り駆動装置及び取り付け/取り外し駆動装置が、共通の駆動モータを有しており、駆動モータとノズルホルダ支持体並びにノズルホルダとの間に、切換装置によって切換可能なクラッチが設けられており、
クラッチの第1の切換状態(送り状態)において駆動モータとノズルホルダ支持体との間に駆動接続が形成され、この駆動接続に基づいてノズルホルダ支持体がノズルホルダと一緒に送り運動で送られるようになっており、
クラッチの第2の切換状態(取り付け/取り外し状態)で、駆動モータと、取り付け/取り外し位置に送られたノズルホルダとの間に駆動接続が形成され、この駆動接続に基づいて、ノズルホルダが、ノズルホルダ回転軸線を中心とした取り付け/取り外し運動で回転可能である。
【0007】
またこの課題を解決した本発明の、レーザノズルのためのノズル受容部を備えた、ワーク殊に金属薄板を加工するためのレーザ加工機は、ノズル受容部にレーザノズルを取り付け及び/又は取り外すための、前記機械式の装置を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1つの共通の駆動モータが、ノズルマガジンの当該のノズルホルダお取り付け/取り外し位置に移行させるために用いられ、またノズルホルダの取り付け/取り外し運動を生ぜしめるために用いられる。2つの機能のための別個の駆動モータを省いたことによって、駆動部の構造的な大きさを小さくすることができ、ひいては本発明による装置全体の大きさを最小限にすることができる。また、駆動部の構成に関連した駆動技術的及び経済的な費用も最小にすることができる。請求項に記載したクラッチによって、当該のノズルホルダの送り運動及び取り付け/取り外し運動のために1つの共通の駆動モータを使用することができる。クラッチの切換可能性に基づいて、このクラッチは、選択的に駆動モータとノズルホルダ支持体(クラッチの送り状態)との間の駆動接続部を形成するか、又は駆動モータと、取り付け/取り外し位置に送られたノズルホルダ(クラッチの取り付け/取り外し状態)との間の駆動接続部を形成する。
【0009】
本発明の特に有利な実施態様は、従属請求項に記載されている。
【0010】
従属請求項に記載した本発明の有利な実施態様によれば、前記ノズルマガジンがリボルバマガジンとして構成されていて、マガジンリボルバの形状のノズルホルダ支持体を有しており、該ノズルホルダ支持体が、送り駆動装置及び取り付け/取り外し駆動装置の共通の駆動モータによって、リボルバ回転軸線を中心とした送り運動で回転可能である。このような形式のリボルバマガジンは、複数のノズルホルダを小さい所要スペースで設けることができ、またその都度必要な機能位置に移行させることができる可能性を提供する。しかもこのような形式のリボルバマガジンは、特に、本発明による装置全体のコンパクトな構造形式のために役立つ。本発明によれば別のマガジン構造形式も考えられる。
【0011】
レーザノズルを取り付け及び/又は取り外すための本発明による装置の切換可能なクラッチは、種々異なる形式で技術的に実現することができる。
【0012】
従属請求項に記載した本発明の有利な実施態様によれば、前記切換可能なクラッチがクラッチエレメントを有していて、該クラッチエレメントはその位置によって、クラッチの切換状態を規定するようになっている。このような形式のクラッチは一方では、本発明による装置を駆動可能に使用するために必要な頑丈さを有していて、それによって優れた機能性確実性を有している。しかも、クラッチの切換状態の制御は、比較的安価な費用で実現することができる。
【0013】
本発明による装置の別の有利な実施態様によれば、切換可能なクラッチのクラッチエレメントが、発生した戻し力の作用下で自動的にそれぞれの初期位置へ戻るようになっている。
【0014】
本発明の別の有利な実施態様によれば、本発明による装置の切換可能なクラッチが切換エレメントを備えた切換装置を有しており、該切換エレメントの位置が、クラッチの切換状態を決定するようになっている。本発明の別の有利な実施態様によれば、切換装置の切換エレメントは、それぞれの切換過程時に戻し力の作用に抗して移動するようになっている。
【0015】
本発明の別の有利な実施態様によれば、切換可能なクラッチのための、切換装置の切換エレメントの切換運動が、切換可能なクラッチのクラッチエレメントの切換運動を生ぜしめるようになっている。
【0016】
本発明の別の有利な実施態様によれば、ノズルマガジンのノズルホルダ支持体は、取り付け/取り外し位置に送られたノズルホルダにおいて、不都合なずれが防止されている。この特徴によって特に、ノズルホルダは、このノズルホルダによって実施された取り付け/取り外し運動時にその目標位置を維持することができる。
【0017】
ノズルホルダを取り付け/取り外し位置において確保するために、本発明の別の有利な実施態様によれば、係止エレメントが設けられており、該係止エレメントは係止駆動装置によって、係止位置及び/又は解放位置に移動可能である。従って係止装置の切換状態は、係止エレメントの位置によって決定される。本発明の別の有利な実施態様によれば、選択的に、係止装置の係止エレメントの切換運動は、戻し力の作用に抗して実施することができる。
【0018】
本発明の別の有利な実施態様によれば、切換可能なクラッチのクラッチエレメント、切換可能なクラッチのための切換装置の切換エレメント、ノズルマガジンのノズルホルダ支持体のための係止装置の係止エレメントのうちの少なくとも2つのエレメントが、互いに駆動接続されている。
【0019】
この駆動接続によって、少なくとも2つの前記エレメントを、1つの共通の駆動装置若しくは共通の駆動モータによって切換えることができる。従って、種々異なる切換機能を、安価な駆動技術的及び経済的な費用で実現することができる。装置全体の構造的な大きさは最小にされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】リボルバマガジンとして構成されたノズルマガジンを備えた機械式のノズル交換装置の、マガジンリボルバが第1の回転位置を占めている状態の斜視図である。
【図2】マガジンリボルバの第2の回転位置と、取り付け及び/又は取り外し回転位置に送られたノズルホルダとを備えた、図1に示した装置の斜視図である。
【図3】取り付け及び/又は取り外し回転位置に送られ、かつマガジンリボルバから持ち上げられたノズルホルダを備えた、図2に示した装置の斜視図である。
【図4】第1の切換状態において切換可能なクラッチを備えた、図1乃至図3に示したノズル交換装置の駆動装置を示す部分的な斜視図である。
【図5】図4の駆動装置の、切換可能なクラッチの第2の切換状態を示す部分的な斜視図である。
【図6】図5に示した装置の一部の拡大図である。
【図7】図2に示した機械式のノズル交換装置を備えたレーザ加工機の概略図である。
【図8】図3に示した運転状態における機械式のノズル交換装置を備えた、図7のレーザ加工機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図示のノズル交換装置1は、ノズル受容部3に対してレーザノズル2を取り付け及び/又は取り外すための機械的な装置として用いられる。ノズル受容部3はレーザ加工機5のレーザ加工ヘッド4に設けられている。通常運転時に、レーザ加工機5において金属薄板がレーザカット光線によって切断される。
【0022】
ノズル交換装置1は、リボルバマガジン6として構成されたノズルマガジンを有している。ノズルホルダとして機能するマガジンリボルバ7は、ノズル交換装置1のケーシング8において、リボルバ回転軸線9を中心にして回転可能に支承されている。
【0023】
マガジンリボルバ7内に複数のノズルホルダ10が収納されている。各ノズルホルダ10はシャフト1を有しており、このシャフト11は、下方に向かってマガジンリボルバ7を越えて突き出していて、円形とは異なる横断面形状を有している。図1乃至図3では、見やすくするために、ノズルホルダ10は全体的に空で示されている。駆動状態で、レーザ加工機5(図7、図8)には、1つのレーザノズル2を備えたノズルホルダ10のうちの少なくとも1つが装着されている。
【0024】
送り駆動装置12によって、マガジンリボルバ7は、2重矢印13によって示された送り方向でリボルバ回転軸線9を中心にして送られるようになっている。これによって、レーザノズル2を交換する際に、レーザ加工ヘッド4に取り付けられたノズルホルダ10が、送り方向13で取り付け/取り外し(回転)位置に移行せしめられる。
【0025】
取り付け/取り外し位置に存在するノズルホルダ10は、取り付け/取り外し駆動装置14によってノズルホルダ回転軸線15を中心にして回転駆動せしめられる。当該のノズルホルダ10の取り付け/取り外し運動の方向は、2重矢印16によって示されている。
【0026】
送り駆動装置12及び取り付け/取り外し駆動装置14の共通の駆動モータとして、電動式の駆動モータ17が設けられており、この駆動モータ17は、数値制御駆動装置18を制御する。数値制御駆動装置18は、ノズル交換装置1を使用する際に、レーザ加工機5の一部としてそのCNC制御装置に組み込まれている。
【0027】
駆動モータ17は、選択的にマガジンリボルバ7を、リボルバ回転軸線9を中心とした送り運動で移動させるか、又は当該のノズルホルダ10を、ノズルホルダ回転軸線15を中心とした取り付け/取り外し運動で駆動する。このために、駆動モータ17とマガジンリボルバ7との間、並びに駆動モータ17とノズルホルダ10との間に、クラッチディスク20として構成されたクラッチエレメントを備えた切換可能なクラッチ19が設けられている。切換可能なクラッチ19の詳細は、図4乃至図6に示されている。図4乃至図6には、ノズルホルダ10のないマガジンリボルバ7が示されている。マガジンリボルバ7に受容部21が設けられており、この受容部21はノズルホルダ10を支承するために用いられる。
【0028】
図4乃至図6には、太陽歯車22並びに遊星歯車23は示されていない。取り付け及び/又は取り外し駆動装置14のこれらの部材は、図1及び図2に示されている。図3では、太陽歯車22及び遊星歯車23が、図1及び図2に示されていないカバーの下に位置している。
【0029】
太陽歯車22は、駆動モータ17の駆動軸24に相対回動不能に結合されている。太陽歯車22は、この太陽歯車22に対応配置された、遊星歯車23の平歯車に噛み合う。各遊星歯車23は、ノズルホルダ10のシャフト11によって貫通されている。
【0030】
太陽歯車22の下でモータ軸24にハブ25が設けられている。ハブ25は、クラッチディスク20の下側のクラッチ突起27のための、上方に開放する係合部26を有している。クラッチディスク20は、ハブ25と、マガジンリボルバ7にねじ固定された伝動装置カバー28との間の中間室内で切換方向29に可動である。クラッチディスク20を切換方向29でずらすために、切換装置30が用いられる。この切換装置30は、戻しばね31を有しており、この戻しばね31は、クラッチディスク20の上側と伝動装置カバー28の下側との間でプリロード(予備荷重)をかけられており、図4及び図5には、これらの戻しばね31のうちの1つが示されている。
【0031】
戻しばね31は、クラッチディスク20のための切換装置30の切換駆動装置32の部分である。切換駆動装置32のその他の構成部分は、ニューマチック式の昇降装置33である。この昇降装置33は、ケーシング固定されたニューマチックシリンダ34と、このニューマチックシリンダ34内でガイドされたニューマチックピストン35とを有している。ニューマチック式の昇降装置33も、数値制御駆動装置18によって制御される。
【0032】
ニューマチック式の昇降装置33のニューマチックピストン35はピン装置36を操作する。ピン装置36は、上側のプレッシャピン37と下側のインデックスピン38とを有している。
【0033】
プレッシャピン37は、クラッチディスク20のための切換装置30の切換エレメントとしてとして用いられる。インデックスピン38は、マガジンリボルバ7のための切換可能な係止装置39の係止エレメントを形成する。この係止装置39によって、インデックスピン38は、マガジンリボルバ7のインナーフランジ41に設けられたピン受容部40と協働する。このピン受容部40は、プレッシャピン37もガイドする。プレッシャピン37は、半径方向で突き出すピンヘッド42で以てピン受容部40の側方を越えて突き出している。
【0034】
クラッチディスク20は、図6に示したガイドピン53が、マガジンリボルバ7のインナーフランジ41内に係合する。ガイドピン53を介して、クラッチディスク20はマガジンリボルバ7において切換方向29で可動にガイドされている。それと同時に、ガイドピン53は、2重矢印13で示した送り方向で働く、クラッチディスク20とマガジンリボルバ7との間の形状結合(形状による束縛)を形成する。
【0035】
例えば図1乃至図3に示したように、ノズル交換装置1のケーシング8の外側にノズルホルダ昇降装置43が設けられており、この昇降装置43はやはり数値制御駆動装置18によって制御される。ノズルホルダ昇降装置43は、ノズル交換装置1のケーシング8に取り付けられた昇降シリンダ44を有しており、該昇降シリンダ44内に、図示されていない昇降ピストンが垂直方向で可動にガイドされている。ピストンロッドを介在することなしに、昇降ピストンは中間部材45に接続されており、この中間部材45自体は昇降プレート46に作用する。
【0036】
昇降プレート46は、ノズル交換装置1のケーシング8のガイドロッド47で垂直方向に可動にガイドされている。ガイドロッド47間で昇降プレート46に、ノズルホルダ10のシャフト11の自由端部のための、送り方向13に開放するシャフト受容部48が設けられている。
【0037】
図1乃至図3には、マガジンリボルバ7に設けられた、中空円筒形の通路50を備えた「ブラインドステーション(Blindstation)」が示されている。
【0038】
レーザ加工機5において、図7及び図8に示したノズル交換装置1は、レーザ加工機5のワーク支承部51の下に配置されている。ワーク支承部51は貫通開口52を有している。
【0039】
図1に示したノズル交換装置1の駆動状態は、レーザ加工機5の通常の切断運転を示す。従って通常の切断運転時に、レーザ加工機5において、ワーク支承部51の貫通開口52の下に、中空円筒形の通路50を備えたブラインドステーション49が位置している。見やすくするために、このレーザ加工機5の運転状態は単独で示されていない。
【0040】
汚れ粒子、特に金属薄板の切断加工時に発生するスラグ(燃えかす)及び金属溶射物は、重力の作用下で、ブラインドステーション49の中空円筒形の通路を介してノズル交換装置1を通過し、これに対して、リボルバマガジン6のノズルホルダ10は、ワーク支承部51の貫通開口52から離れた位置、不都合な汚れに対して保護されている。
【0041】
切換可能なクラッチ19は、図4に示した「送り状態」に切り換えられている。クラッチディスク20の下側のクラッチ突起27は、モータ軸24に取り付けられたハブ25の上側の係合部26に押し込まれている。従って、クラッチディスク20は、「送り位置」にあり、この「送り位置」において、クラッチディスク20は、駆動モータ17とマガジンリボルバ7との間の駆動接続を形成する。
【0042】
図1に示した状態から出発して、駆動モータ17は数値制御駆動装置18によって制御操作される。マガジンリボルバ7と駆動接続されていることによって、駆動モータ17はマガジンリボルバ7を、このマガジンリボルバ7に支承されたノズルホルダ10と一緒にリボルバ回転軸線9を中心にして所定の回転角度に亘って送り方向13で送るようになっている。それによって、マガジンリボルバ7のブラインドステーション49に送り方向で直ぐ隣に位置している空のノズルホルダ10が、それまでブラインドステーション49が配置されていた(図2)位置に達する。レーザ加工機5において、空のノズルホルダ10がワーク支承部51の下に位置している。これによるレーザ加工機5の状態は図7に示されている。
【0043】
前述のように、切換可能なクラッチ19は送り状態にあり、クラッチディスク20は、切換方向29でさらにその送り位置を占めている。前もって送られた空のノズルホルダ10は、取り付け/取り外し位置に移動せしめられ、この取り付け/取り外し位置で、ノズルホルダ10は、レーザ加工ヘッド4に組み付けられたレーザノズル2に垂直方向で向き合っている。
【0044】
空のノズルホルダ10の取り付け/取り外し位置を保証するために、係止装置39が数値制御で操作される。2分割されたピン装置36のインデックスピン38は、係止駆動装置とした働くニューマチック式の昇降装置33によって、図4に示した解放位置から図5に示した係止位置に上昇せしめられる。この昇降運動によって、インデックスピン38は、マガジンリボルバ7のインナーフランジ41に設けられたピン受容部40内に侵入する。ノズル交換装置1のケーシング8で支えられたインデックスピン38とマガジンリボルバ7のインナーフランジ41との形状結合(形状による束縛)によって、マガジンリボルバ7並びに、取り付け/取り外し位置に送られた空のノズルホルダは、リボルバ回転軸線9を中心として送り運動に抗してロックされる。
【0045】
マガジンリボルバ7のための係止装置39の操作と共に、クラッチディスク20のための切換装置30の操作が行われる。それによって、インデックスピン38は、マガジンリボルバ7のインナーフランジ41に設けられたピン受容部40内に侵入する際に、ピン受容部40内でガイドされたプレッシャピン37の下端部を負荷する。この場合、インデックスピン38は、切換可能なクラッチ19の切換装置30の部材も形成している。プレッシャピン37は、戻しばね31によってクラッチディスク20を介して働く戻し力の作用に抗して、図4に示したその第1の切換位置から、図5に示した第2の切換位置に移動する。この場合、プレッシャピン37は、戻しばね31によって負荷されたクラッチディスク20をその取り付け/取り外し位置に持ち上げ、この取り付け/取り外し位置で、クラッチディスク20のクラッチ突起27がハブ25の上側の係合部26から係合解除される。それによって、切換可能なクラッチ19はその取り付け/取り外し状態に位置する。駆動モータ17は、切換可能なクラッチ19のこの切換状態でマガジンリボルバ7から連結解除される。
【0046】
切換可能なクラッチ19が取り付け/取り外し状態に切換えられると同時に、取り付け/取り外し位置にある空のノズルホルダ10は、ノズルホルダ昇降装置43によって、図3に示した位置に上昇せしめられる。このために、昇降プレート46は、昇降シリンダ44及びこの昇降シリンダ44内でガイドされた昇降ピストンによって、上方へ移動せしめられる。この場合、昇降プレート46は、自由端部がシャフト受容部48内に配置されたシャフト11を受容する。空のノズルホルダ10は、マガジンリボルバ7に設けられた支承部から持ち上げられる。空のノズルホルダ10の上方運動によって、レーザ加工ヘッド4のレーザノズル2は、ノズルホルダ10の内部に達する。
【0047】
要するに図8に示した状態となる。モータ軸24、このモータ軸24に相対回動不能に(つまり一緒に回転するように)取り付けられた太陽歯車22、並びに上方に移動せしめられたノズルホルダ10のシャフト11を、取り付け/取り外し方向16で形状結合(形状による束縛)によって包囲する遊星歯車23を介して、駆動モータ17と上方に移動せしめられたノズルホルダ10との間に駆動接続が形成される。駆動モータ17が相応の回転方向で操作されると、ノズルホルダ10は、ノズルホルダ回転軸線15を中心として回転運動する。この回転運動において、ノズルホルダ10は、レーザ加工ヘッド4から取り外そうとするレーザノズル2を取り外し運動でねじ外すようになっている。
【0048】
交換しようとするレーザノズル2が取り外されると、新たにノズルホルダ昇降装置43が操作される。昇降プレート46は、その初期位置に下降する。次いで、使い古されたレーザノズル2を備えたノズルホルダ10は、リボルバマガジン6のマガジンリボルバ7に支承されている。
【0049】
ノズルホルダ昇降装置43と同時に、切換可能なクラッチ19の切換装置30、及びこの切換装置30に接続された係止装置39が操作される。この場合、ニューマチック式の昇降装置33のニューマチックピストン35は、図5に示した位置から図4に示した位置に下降せしめられる。この場合、ニューマチックピストン35は、2分割されたピストン装置36のインデックスピン38を、マガジンリボルバ7のインナーフランジ41内に係止位置から解放位置へ連行する。クラッチディスク20は、ハブ25に当接して、クラッチディスク20の下側のクラッチ突起27がハブ25の上側の係合部26内に押し込まれるまで、プリロード(予備荷重)をかけられた戻しばね31の補助を受けて下方へ移動せしめられる。プレッシャピン37は、クラッチディスク20によって、マガジンリボルバ7のインナーフランジ41のピン受容部40内に挿入され、それによってその第1の切換位置に戻り移動せしめられる。
【0050】
切換可能なクラッチは再び、クラッチディスク20がその送り位置を示す送り状態に位置する。これによって再び、図4に示した関係が得られる。
【0051】
駆動モータ17によってマガジンリボルバ7が新たに送り運動せしめられると、ノズルホルダ10は、レーザ加工ヘッド4に取り付けようとするレーザノズル2と共に、取り付け/取り外し位置に達する。前記形式で、新たにマガジンリボルバ7のための係止装置39及びクラッチディスク20のための切換装置30が操作される。それによって、インデックスピン38は再び係止位置に移動せしめられ、クラッチディスク20は再び取り付け/取り外し位置に移動せしめられる。
【0052】
新たなレーザノズル2を備えたノズルホルダは、取り付けようとするレーザノズル2のねじ山が、端面側でレーザ加工ヘッド4のノズル受容部3のねじ山に載るまで、昇降プレート46を介して上昇せしめられる。この場合、新たなレーザノズル2は、ばねプレロードを受けて(ばね付勢されて)レーザ加工ヘッド4のノズル受容部3の縁部で鉛直方向に支えられる。駆動モータ17が双方の回転方向で駆動されると、太陽歯車22及び当該の遊星歯車23を介して、上昇せしめられたノズルホルダ10は、このノズルホルダ10内に位置するレーザノズル2と共に、ノズルホルダ回転軸線15を中心として取り付け運動で移動せしめられ、取り付けようとするレーザノズル2は、レーザ加工ヘッド4のノズル受容部3内にねじ込まれる。
【0053】
ねじ込み運動の終了後に、切換可能なクラッチ19の切換装置30、係止装置39並びにノズルホルダ昇降装置43を相応に操作することによって、図4に示した状態が再び得られる。駆動モータ17によって、中空円筒形の通路50を備えたブラインドステーション49が、図1に示した初期位置に戻される。レーザ加工機5において、通常の切断駆動運転が再び開始される。
【符号の説明】
【0054】
1 ノズル交換装置、 2 レーザノズル、 3 ノズル受容部、 4 レーザ加工ヘッド4、 5 レーザ加工機、 6 リボルバマガジン、 7 マガジンリボルバ、 8 ケーシング、 9 リボルバ回転軸線、 10 ノズルホルダ、 11 シャフト、 12 送り駆動装置、 13 2重矢印、 14 取り付け/取り外し駆動装置、 15 回転軸線、 16 2重矢印、 17 電動式の駆動モータ、 18 数値制御駆動装置、 19 クラッチ、 20 クラッチディスク、 21 受容部、 22 太陽歯車、 23 遊星歯車、 24 モータ軸、 25 ハブ、 26 係合部、 27 クラッチ突起、 28 伝動装置カバー、 29 切換方向、 30 切換装置、 31 戻しばね、 32 切換駆動装置、 33 ニューマチック(空圧)式の昇降装置、 34 ニューマチックシリンダ、 35 ニューマチックピストン、 36 ピン装置、 37 上側のプレッシャピン、 38 インデックスピン、 39 係止装置、 40 ピン受容部、 41 インナーフランジ、 42 ピンヘッド、 43 昇降装置、 44 昇降シリンダ、 45 中間部材、 46 昇降プレート、 47 ガイドロッド、 48 シャフト受容部、 49 ブラインドステーション、 50 中空円筒形の通路、 51 ワーク支承部、 52 貫通開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク殊に金属薄板を加工するためのレーザ加工機(5)のノズル受容部(3)においてレーザノズル(2)を取り付け及び/又は取り外すための機械的な装置であって、
ノズルマガジン(6)が設けられていて、該ノズルマガジン(6)がノズルホルダ支持体(7)でレーザノズル(2)のための少なくとも1つのノズルホルダ(10)を有しており、
送り駆動装置(12)が設けられており、該送り駆動装置(12)によって、ノズルホルダ支持体(7)がノズルホルダ(10)と共に送り運動で移動せしめられ、それによってノズルホルダ(10)が取り付け/取り外し位置に送られるようになっており、
取り付け/取り外し駆動装置(14)が設けられていて、該取り付け/取り外し装置(14)によって、取り付け/取り外し位置に送られたノズルホルダ(10)が、ノズルホルダ回転軸線(15)を中心とした取り付け/取り外し運動で回転せしめられるようになっている、形式のものにおいて、
前記送り駆動装置(12)及び取り付け/取り外し駆動装置(14)が、共通の駆動モータ(17)を有しており、該駆動モータ(17)と前記ノズルホルダ支持体(7)並びに前記ノズルホルダ(10)との間に、切換装置(30)によって切換可能なクラッチ(19)が設けられており、
前記クラッチ(19)の第1の切換状態(送り状態)において前記駆動モータ(17)と前記ノズルホルダ支持体(7)との間の駆動接続が形成され、この駆動接続に基づいてノズルホルダ支持体(7)がノズルホルダ(10)と一緒に送り運動で送られるようになっており、
前記クラッチ(19)の第2の切換状態(取り付け/取り外し状態)で、前記駆動モータ(17)と、取り付け/取り外し位置に送られた前記ノズルホルダ(10)との間の駆動接続が形成され、この駆動接続に基づいて、前記ノズルホルダ(10)が、ノズルホルダ回転軸線(15)を中心とした取り付け/取り外し運動で回転可能である、
ことを特徴とする、レーザノズルを組み付け及び/又は取り外すための機械式の装置。
【請求項2】
前記ノズルマガジン(6)がリボルバマガジンとして構成されていて、マガジンリボルバの形状のノズルホルダ支持体(7)を有しており、該ノズルホルダ支持体(7)が、前記送り駆動装置(12)及び取り付け/取り外し駆動装置(14)の共通の駆動モータ(17)によって、リボルバ回転軸線(9)を中心とした送り運動で回転可能である、請求項1記載の機械式の装置。
【請求項3】
前記切換可能なクラッチ(19)がクラッチエレメント(20)を有していて、該クラッチエレメント(20)が切換装置(30)によって、クラッチの送り状態に対応する位置(送り位置)に、並びにクラッチ(19)の取り付け/取り外し状態に対応する位置(取り付け/取り外し位置)に移動可能であって、前記クラッチエレメント(20)が送り位置で前記駆動モータ(17)と前記ノズルホルダ支持体(7)との間の駆動接続を形成し、取り付け/取り外し位置で駆動モータ(17)と前記ノズルホルダ(10)との間の駆動接続を形成するようになっている、請求項1又は2記載の機械式の装置。
【請求項4】
前記切換可能なクラッチ(19)の前記クラッチエレメント(20)が、戻し力の作用に抗して、送り位置から取り付け/取り外し位置へ移動可能であり、かつ/または取り付け/取り外し位置から送り位置へ移動可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項5】
前記切換可能なクラッチ(19)のための前記切換装置(30)が切換エレメント(37)を有しており、該切換エレメント(37)が切換駆動装置(32)によって、クラッチ(19)の送り位置に対応する第1の切換位置に、及び/又は前記クラッチ(19)の取り付け/取り外し位置に対応する第2の切換位置に移動可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項6】
前記切換可能なクラッチ(19)のための前記切換装置(30)の前記切換エレメント(37)が、戻し力の作用に抗して、第1の切換位置から第2の切換位置に、かつ/または第2の切換位置から第1の切換位置に移動可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項7】
前記切換可能なクラッチ(19)がクラッチエレメント(20)を有しており、該クラッチエレメント(20)が前記切換装置(30)によって、前記クラッチ(19)の送り状態に対応する位置(送り位置)に、並びに前記クラッチ(19)の取り外し/取り付け位置に対応する位置(取り外し/取り付け位置)に移動可能であって、
前記クラッチエレメント(20)が送り位置で、前記駆動モータ(17)と前記ノズルホルダ支持体(7)との間の駆動接続を形成し、取り付け/取り外し位置で前記駆動モータ(17)と前記ノズルホルダ(10)との間の駆動接続を形成するようになっており、
前記切換可能なクラッチ(19)のための切換装置(30)が切換エレメント(37)を有していて、該切換エレメント(37)が切換駆動装置(32)によって、クラッチ(19)の送り状態に対応する第1の切換位置に、かつ/または前記クラッチ(19)の取り付け/取り外し状態に対応する第2の切換位置に移動可能であって、
前記第1の切換位置に移動せしめられた、前記切換可能なクラッチ(19)のための切換装置(30)の切換エレメント(37)によって、前記切換可能なクラッチ(19)のクラッチエレメント(20)が送り位置に移動可能であって、
前記切換可能なクラッチ(19)のための切換装置の、第2の切換位置に移動せしめられた切換エレメント(37)によって、前記切換可能なクラッチ(19)のクラッチエレメント(20)が取り付け/取り外し位置に移動可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項8】
前記ノズルマガジン(6)のノズルホルダ支持体(7)が、切換可能な係止装置(39)によって、送り運動に抗して係止可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項9】
前記ノズルマガジン(6)のノズルホルダ支持体(7)のための前記切換可能な係止装置(39)が係止エレメント(38)を有しており、該係止エレメント(38)が、係止駆動装置(33)によって係止位置に、かつ/または解放位置に移動可能であって、前記係止エレメント(38)が、前記ノズルホルダ支持体(7)を係止位置で送り運動に抗して係止し、解放位置で送り運動を実施するために解放するようになっている、請求項1から8までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項10】
前記ノズルマガジン(6)のノズルホルダ支持体(7)のための前記係止装置(39)の係止エレメント(38)が、戻し力に抗して係止位置から解放位置に、かつ/または解放位置から係止位置に移動可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項11】
前記切換可能なクラッチ(19)のクラッチエレメント(20)、前記切換可能なクラッチ(19)のための切換装置(30)の前記切換エレメント(37)、及び前記ノズルマガジン(6)のノズルホルダ支持体(7)のための前記係止装置(39)の係止エレメント(38)のうちの少なくとも2つのエレメントが、互いに駆動接続されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の機械式の装置。
【請求項12】
レーザノズル(2)のためのノズル受容部(3)を備えた、ワーク殊に金属薄板を加工するためのレーザ加工機において、
ノズル受容部(3)にレーザノズル(2)を取り付け及び/又は取り外すための、請求項1から11までのいずれか1項記載の機械式の装置(11)が設けられていることを特徴とする、レーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−166234(P2009−166234A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2691(P2009−2691)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(509010089)トルンプフ マシーネン アクチエンゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Maschinen AG
【住所又は居所原語表記】Ruessenstrasse 8, CH−6341 Baar, Switzerland
【Fターム(参考)】