説明

レーザレンジセンサのタイムスタンプ機能付加装置

【課題】本発明は、光を走査させ、その反射光を検出することにより、走査範囲にある測定対象物までの距離を測定するレーザレンジセンサにタイムスタンプ機能を付加するタイムスタンプ機能付加装置に関し、レーザレンジセンサに高精度のタイムスタンプ機能を容易に追加することができるレーザレンジセンサのタイムスタンプ機能付加装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光を走査させ、その反射光を検出することにより、走査範囲にある測定対象物までの距離を測定するレーザレンジセンサで測定された測定データにタイムスタンプ情報を付加するタイムスタンプ情報機能装置であって、レーザレンジセンサに取り付けられ、レーザレンジセンサから出射される光を検出し、検出信号を出力する検出部と、レーザレンジセンサに取り付けられ、検出部から出力された検出信号に基づいてレーザレンジセンサにタイムスタンプ機能を追加するアタッチメント本体とを含む構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザレンジセンサのタイムスタンプ機能付加装置に係り、特に、光を走査させ、その反射光を検出することにより、走査範囲にある測定対象物までの距離を測定するレーザレンジセンサにタイムスタンプ機能を追加するタイムスタンプ機能付加装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザレンジセンサは、例えば、レーザ光を周辺空間に出射して、走査させ、その反射光を検出することにより、走査範囲にある測定対象物までの距離を測定するためのセンサである。レーザレンジセンサは、例えば、自律移動型ロボット装置などに搭載され、進路上の測定対象物の回避動作などの制御を行う際の測定対象物などを検出に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10は、レーザレンジセンサのブロック構成図を示す。
【0004】
レーザレンジセンサ10は、入出力部11、演算部12、レーザ発光部13、ミラー14、モータ15、エンコーダ16、レーザ受光部17、出射部18などを含む構成とされている。
【0005】
入出力部11は、例えば、USB、シリアルバス、LANなどとのインタフェースをとるための機能ブロック部であり、上位装置20との通信制御を行う。
【0006】
演算部12は、レーザ発光部13に発光の指示を与え、指示を与えてからレーザ受光部17でレーザ光が検出されるまでの時間を測定することにより測定対象物30までの距離を測定する。
【0007】
レーザ発光部13は、例えば、レーザダイオード、ドライバ回路などを含む構成とされており、演算部12からの発光指示に応じてレーザ光を出射する。レーザ発光部13で発光されたレーザ光は、ミラー14に供給される。
【0008】
ミラー14は、モータ15により駆動されており、レーザ発光部13から供給されるレーザ光を反射して、所定の範囲θで走査させる。ミラー14で反射されたレーザ光は、出射部18から外方に出射される。出射部18は、可視光を遮断するフィルタ付き半透明樹脂などから構成されており、ミラー14で反射されたレーザ光が所定範囲θで走査できるように形成されている。
【0009】
エンコーダ16は、モータ15の回転に応じた信号を出力する。エンコーダ16の出力は演算部12に供給される。演算部12は、エンコーダ16からの信号によりモータ15の回転角、すなわち、ミラー14の回転角を検知することにより、レーザ光の走査方向を特定する。
【0010】
レーザ受光部17は、受光素子、増幅回路などを含む構成とされており、ミラー14からの光を電気信号に変換して、増幅し、波形整形した後、演算部12に供給する。
【0011】
演算部12は、レーザ発光部13に発光指示を送ってから、レーザ受光部17により反射光を受光するまでにかかる時間を計測して、距離を算出する。演算部12で算出された距離は、測定データとして、入出力部11に供給される。入出力部11は、測定データを上位装置20に送信する。
【0012】
一方、自律移動型ロボット装置は、移動しながら測定対象物の回避行動などを行うため、レーザレンジセンサで測定された測定データに基づいて測定対象物までの距離などを予測して、移動制御を行っている。このため、自律移動型ロボット装置に搭載される測域センサには、測定データに測定時刻を特定するためのタイムスタンプが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−158690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかるに、レーザレンジセンサは、通常、タイムスタンプ機能を持っていないのが実情である。
タイムスタンプ機能を持っていない測域センサでは、レーザレンジセンサ10から上位装置20に送られる測定データのタイムラグを事前に測定し、上位装置20が測定データを受信したときに、上位装置20側で検出された現在時刻情報に事前に測定されたタイムラグを加算するなどして、測定時刻としてタイムスタンプを行っている。しかしながら、タイムラグは、処理状況や個々のレーザレンジセンサにより異なるため、正確な測定時刻を取得することができなかった。
【0015】
また、一部のタイムスタンプ機能を有するレーザレンジセンサでも、その処理部は測定データの処理に必要な最小限の処理性能を持つものであり、付加的にタイムスタンプ機能を追加した構成である。よって、レーザレンジセンサでは、タイムスタンプ機能を実現するためには処理部の性能が不足している。このため、レーザレンジセンサに含まれるタイムスタンプ機能では、クロックも精度の低い振動子などを用いて生成しているため、計時している時刻が不正確であった。
【0016】
自律移動型ロボット装置などで、測定データにタイムスタンプされる時刻情報が不正確であると、測定対象物30までの距離を正しく推測できなくなるなどの問題点が発生する。このため、自律移動型ロボット装置などに搭載されるレーザレンジセンサの測定データにタイムスタンプされる時刻情報は正確なものが求められている。
【0017】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、高精度のタイムスタンプ機能を、レーザレンジセンサに容易に追加することができるレーザレンジセンサのタイムスタンプ機能付加装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、光を走査させ、その反射光を検出することにより、走査範囲にある測定対象物までの距離を測定するレーザレンジセンサにタイムスタンプ機能を付加するタイムスタンプ機能付加装置であって、レーザレンジセンサに取り付けられ、レーザレンジセンサから出射される光を検出し、検出信号を出力する検出部と、レーザレンジセンサに取り付けられ、検出部から出力された検出信号に基づいて前記レーザレンジセンサで測定された測定データに時刻情報を付与するタイムスタンプ機能を追加するアタッチメント本体とを含む。
【0019】
また、本発明の検出部及びアタッチメント本体は、レーザレンジセンサの筐体に外付けされる。さらに、レーザレンジセンサは、上位装置と所定のインタフェースを通して測定データを送信しており、アタッチメント本体は、レーザレンジセンサと上位装置とのインタフェースのうち測定データで使用していない端子を用いて、検出部から出力された検出信号を増幅して上位装置に供給する。
【0020】
また、本発明のアタッチメント本体は、時刻情報を計時する計時部と、検出部から検出信号が供給されたときに計時部で計時されている時刻情報をレーザレンジセンサで計測された計測データに付加するデータ付加部とを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、レーザレンジセンサに取り付けられ、レーザレンジセンサから出射される光を検出し、検出信号を出力する検出部と、レーザレンジセンサに取り付けられ、検出部から出力された検出信号に基づいてレーザレンジセンサにタイムスタンプ機能を追加するアタッチメント本体とをレーザレンジセンサに取り付けることにより、レーザレンジセンサにタイムスタンプ機能を追加することができるため、タイムスタンプ機能を持たない既存のレーザレンジセンサや、精度の低いタイムスタンプ機能しか持たない既存のレーザレンジセンサに、ユーザが必要とするタイムスタンプ機能を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例の斜視図である。
【図2】本発明の一実施例のブロック構成図である。
【図3】アタッチメント本体112のブロック構成図である。
【図4】上位装置20のブロック構成図である。
【図5】本発明の一実施例の動作説明図である。
【図6】上位装置20の処理フローチャートである。
【図7】本発明の他の実施例のブロック構成図である。
【図8】アタッチメント本体212のブロック構成図である。
【図9】アタッチメント本体212から上位装置20に供給されるデータのデータ構成図である。
【図10】レーザレンジセンサのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施例の斜視図、図2は本発明の一実施例のブロック構成図を示す。同図中、図10と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0024】
本実施例のレーザレンジセンサのタイムスタンプ機能付加装置100は、既存のレーザレンジセンサ10の筐体に外付けで、装着されてタイムスタンプ機能を付加する装置であり、光検出部111、アタッチメント本体112、ケーブル113などを含む構成とされている。
【0025】
光検出部111は、例えば、光電素子などを含む構成とされており、レーザレンジセンサ10の出射部18の走査開始部分に、出射部18から外方に出射される光を検出し、電気信号に変換できるように、接着剤あるいは両面テープなどにより貼り付けられる。これにより、光検出部111は、レーザレンジセンサ10の走査開始時に電気信号を出力することが可能となる。光検出部111で検出された検出電気信号は、ケーブル113を通して、アタッチメント本体112に供給される。
【0026】
図3はアタッチメント本体112のブロック構成図を示す。
【0027】
アタッチメント本体112は、フィルタ121、増幅回路122、波形整形回路123、コネクタCN21、CN22などを含む構成とされている。
【0028】
光検出部111からケーブル113を通して供給された検出電気信号は、アタッチメント本体112で、まず、フィルタ121に供給される。フィルタ121は、例えば、低域通過フィルタや帯域フィルタなどから構成されており、光検出部111からケーブル113を通して供給された検出電気信号からノイズ成分を除去する。検出電気信号からノイズ成分を除去することによりレーザレンジセンサ10の出射部18から出射される光に対応する電気信号の成分が抽出しやすくなる。フィルタ121でノイズ成分が除去された電気信号は、増幅回路122に供給される。
【0029】
増幅回路122は、例えば、オペアンプなどにより構成される反転増幅回路、あるいは、非反転増幅回路などから構成されており、フィルタ121から供給された電気信号を増幅する。増幅回路122で増幅された電気信号は、波形整形回路123に供給される。
【0030】
波形整形回路123は、例えば、コンパレータ、ワンショットマルチバイブレータ、基準電源などを含む構成とされており、増幅回路122から供給された電気信号からパルス波形に生成する。パルス波形は、レーザレンジセンサ10の出射部18の走査開始位置から光が出射されたときにハイレベルとなるような波形である。
【0031】
これにより、パルス波形の立ち上がりを検知することによりレーザレンジセンサ10の走査開始を検知することが可能となる。なお、波形整形回路123で生成されたパルスは、コネクタCN22の端子T10に供給される。
【0032】
コネクタCN21、CN22は、例えば、例えば、RC232C、USB、IEEE1394、ファイバチャネルなどのシリアルインタフェースケーブル用コネクタから構成されている。コネクタCN21は、プラグコネクタから構成され、レーザレンジセンサ10のソケットコネクタに装着可能な構成とされている。また、コネクタCN22は、ソケットコネクタから構成され、レーザレンジセンサ10と上位装置20との接続に用いられるシリアルインタフェースケーブル40が接続可能な構成とされている。
【0033】
なお、端子T10は、レーザレンジセンサ10で上位装置20との通信に使用されていない端子である。
【0034】
図4は上位装置20のブロック構成図を示す。
【0035】
上位装置20は、コンピュータシステムから構成されており、入出力部131、処理部132、記憶部133、クロック生成部134などを含む構成とされている。入出力部131は、レーザレンジセンサ10や他のセンサ、ドライバなどとの通信を行うためのブロックであり、コネクタCN31を含む。コネクタCN31には、シリアルインタフェースケーブル40が接続される。
【0036】
処理部132は、例えば、CPUから構成され、記憶部133に記憶されたプログラムにより処理を実行する。記憶部133は、ハードディスクドライブ、メモリなどの記録媒体から構成されており、予めプログラムが記憶されるとともに、レーザレンジセンサ10で測定された測定データが時刻情報とともに記憶される。
【0037】
クロック生成部134は、水晶振動子などにより高精度のクロックを発生し、処理部132に供給する。処理部132は、クロック生成部134で生成されたクロックに基づいて現在の時刻情報を生成する。処理部132は、端子T10からのパルス、すなわち、タイムスタンプ付加装置100で生成されたパルスの立ち上がりを検出して、現在の時刻情報を取得し、その後、レーザレンジセンサ10から送信された測定データに付加して、記憶部133に記憶する。これによって、処理部132は、レーザレンジセンサ10で走査が開始された時点の時刻を取得し、レーザレンジセンサ10から送られた測定データに付与できるため、測定時刻をより正確に把握できる。
【0038】
処理部132は、記憶部133に記憶された測定データ及びその測定時刻情報に基づいて測定対象物までの距離を予測して、移動速度、移動方向などを制御する。
【0039】
図5は本発明の一実施例の動作説明図を示す。図5(A)は有効範囲の走査タイミング、図5(B)は演算処理のタイミング、図5(C)はデータ転送タイミング、図5(D)は光検出部111の出力信号、図5(E)は端子T1の出力信号、図5(F)は上位装置20への測定データの入力タイミングを示す。
【0040】
図5(A)に示すように、時刻t1でレーザレンジセンサ10の出射部18からレーザ光の走査が開始されると、タイムスタンプ機能付加装置100の光検出部111が走査開始位置でレーザ光を検知して、図5(D)に示すように光検出部111の出力信号がハイレベルになる。
【0041】
光検出部111の出力信号は、アタッチメント本体112を通して、増幅、波形整形され、極わずか遅延されて、例えば、図5(E)に示すように時刻t2で端子T1から出力される。
【0042】
レーザレンジセンサ10は、レーザ光の走査を開始し、図5(B)に示すように極わずか遅延した時刻t2で測定データを取得するための演算を開始する。レーザレンジセンサ10は、時刻t3でレーザ光の走査が終了すると、図5(B)に示すように時刻t4で測定データを取得するための演算を終了し、図5(C)に示すように取得した測定データを、タイムスタンプ機能付加装置100を介して、上位装置20への転送を開始する。上位装置20は、図5(F)に示すように時刻t4でレーザレンジセンサ10から転送された測定データを受信する。
【0043】
なお、図5(B)に示すようにレーザレンジセンサ10は、時刻t5で、再びレーザ光の走査を開始する。これに伴い、時刻t6で、図5(B)に示すようにレーザレンジセンサ10は、測定データを取得するための演算を開始する。
【0044】
なお、レーザレンジセンサ10から上位装置20への測定データの転送は、図5(C)、図5(F)に示すように時刻t7で転送が完了する。
【0045】
次に上位装置20の処理について説明する。
【0046】
図6は上位装置20の処理フローチャートを示す。
【0047】
上位装置20は、ステップS1−1でレーザレンジセンサ10にデータ取得条件を送信する。データ取得条件は、例えば、走査速度、1走査当たりの測定回数などの情報である。レーザレンジセンサ10は、上位装置20から送信されたデータ取得条件に基づいてレーザ光の走査を行う。
【0048】
上位装置20は、ステップS1−2で、タイムスタンプ機能付加装置100から走査開始パルスが供給されると、ステップS1−3で現在時刻情報を取得する。上位装置20は、次に、ステップS1−4でレーザレンジセンサ10から、タイムスタンプ機能付加装置100を介して、測定データを取得すると、ステップS1−5で、測定データにステップS1−3で取得した現在時刻情報を付与して、記憶部133に記憶する。
【0049】
上位装置20は、ステップS1−6で測定が終了するまで、測定データに時刻情報を付与して記憶部133に記憶する。また、上位装置20は、記憶部133に記憶された測定データ及び時刻情報に基づいて測定対象物30などの位置を予測して、測定対象物30の回避動作制御を実行する。
【0050】
以上、本実施例のタイムスタンプ機能付加装置100をレーザレンジセンサ10に装着することにより、タイムスタンプ機能を持たないレーザレンジセンサ10にタイムスタンプ機能を追加することができる。また、上位装置20でレーザレンジセンサ10による走査が開始された時刻を検知し、レーザレンジセンサ10から送信された測定データに付加することができるので、正確、かつ、信頼性の高いタイムスタンプを行える。
【0051】
また、本実施例のタイムスタンプ機能付加装置100によれば、レーザレンジセンサ10と上位装置20とのインタフェースのうちの空き端子を用いてタイムスタンプ用パルスを送信するため、上位装置20とタイムスタンプ機能付加装置100との間に専用の信号線などを配線する必要がなく、既存のシステムに容易に適用することができる。
【0052】
なお、本実施例のタイムスタンプ機能付加装置100は、レーザレンジセンサ10が走査開始パルスを上位装置20に提供しているが、タイムスタンプ機能付加装置100に計時手段を設け、タイムスタンプ機能付加装置100でレーザレンジセンサ10からの測定データに時刻情報を付加して上位装置20に送信するようにしてもよい。
【0053】
図7は本発明の他の実施例のブロック構成図を示す。同図中、図1、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0054】
本実施例のタイムスタンプ機能付加装置200は、レーザレンジセンサ10から出力される測定データに付加された時刻情報をタイムスタンプ機能付加装置200で生成された時刻情報により上書きする構成とされており、アタッチメント本体212の構成がタイムスタンプ機能付加装置100と相違する。
【0055】
図8はアタッチメント本体212のブロック構成図を示す。同図中、図3と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
アタッチメント本体212は、時刻データ生成部221、計時部222、入力部224、水晶振動子225、同期制御部226などを含む構成とされている。
【0057】
時刻データ生成部221には、光検出部111の出力信号が供給される。時刻データ生成部221は、光検出部111からの信号に応じて計時部222から時刻情報を取得して、データ加工部223に供給する。
【0058】
計時部222は、水晶振動子225を用いて発振された発振信号に基づいて現在時刻を計時しており、時刻データ生成部221からの要求に基づいて計時している時刻情報を時刻データ生成部221に供給する。なお、計時部222は、水晶振動子225により現在時刻を計時しているため、精度よく現在時刻を取得できる。
【0059】
データ加工部223には、時刻データ生成部221から時刻情報が供給されるとともに、コネクタCN21からレーザレンジセンサ10で測定された測定データが供給される。ここで、レーザレンジセンサ10はタイムスタンプ機能を有している。レーザレンジセンサ10から供給される測定データは、測定対象物30までの距離情報に、タイムスタンプ機能により時刻情報が付加された構成とされている。
【0060】
データ加工部223は、測定データに含まれる距離情報を時刻データ生成部221から供給された時刻情報により上書きする。データ加工部223で時刻情報が上書きされた測定データは、コネクタCN22から上位装置20に向けて出力される。
【0061】
入力部224は、上位装置20からの指示、要求などのコマンドを受信し、レーザレンジセンサ10及び同期制御部226などに送信する。上位装置20は、レーザレンジセンサ10にデータ取得条件などの情報を送信する。また、同期制御部226に同期要求を送信する。
【0062】
同期制御部226は、上位装置20から入力部224を介して供給される同期要求に基づいて計時部222で計時している現在時刻情報を上位装置20で計時している現在時刻情報に同期させる。
【0063】
このとき、上位装置20に供給される測定データに含まれる時刻情報は、タイムスタンプ機能付加装置200の計時部222で水晶振動子225により生成された時刻情報であるので、非常に精度のよいものとなっている。また、さらに、時刻情報は、光検出部111から信号が供給された時点、すなわち、レーザレンジセンサ10でレーザ光の走査が開始された時点に取得されたものであり、遅延などが非常に少ないものとなっている。
【0064】
上位装置20では、測定データに含まれる距離情報と時刻情報とを対応させて記憶部133に記憶する。上位装置20に記憶される時刻情報は、距離情報の実際の測定時刻に極めて近似しているため、正確に測定対象物30の位置を予測できる。
【0065】
図9はアタッチメント本体212から上位装置20に供給されるデータのデータ構成図を示す。図9(A)、図9(B)は測定データ中の時刻情報を上書きするとき、図9(C)は測定データに時刻情報を追加するときのデータ構成図を示している。
【0066】
測定データは、例えば、図9(A)に示すようにヘッダ、ステータス、時刻情報、距離情報などから構成されている。ステータス、時刻情報、距離情報には、各々サムチェックが付加される。また、ヘッダ、ステータス、時刻情報、距離情報は、セパレータ記号で隔離された構成とされている。
【0067】
また、測定データの他の構成は、図9(B)に示すようにヘッダ、時刻情報、距離情報、フッタから構成されている。
【0068】
データ加工部223は、図9(A)、図9(B)に示される測定データの時刻情報を時刻データ生成部221で生成された時刻情報で上書きする。
【0069】
さらに、レーザレンジセンサ10がタイムスタンプ機能を持たない場合には、データ加工部223が、図9(C)に示すようにヘッダ、距離情報、サムチャック、フッタ、セパレータ記号などから構成された測定データに、ヘッダ、時刻情報、サムチェック、フッタ、セパレータ記号などから構成される時刻データを追加して、上位装置20に送信する。
【0070】
本実施例によれば、上位装置20側で時刻情報を付加する必要がないので、上位装置20での処理の負担を軽減できる。また、遅延などが極めて少なくできる。
【0071】
また、上位装置20からの同期要求により計時部222の計時時刻を上位装置20で計時時刻情報(RTC)などと同期させることができるので、上位装置20の現在時刻に対応した時刻情報を測定データに付与できる。よって、上位装置20は、正確な測定時刻を取得できる。
【0072】
なお、上記実施例における時刻情報は、ミリ秒(msec)の分解能を有するように構成することが好ましい。
【0073】
また、データ加工部223で上書きあるいは追加される時刻情報の表記方法としては、例えば、(1)現在の時刻による表記、(2)現在の時刻による表記にオフセットを加算した表記、(3)上記(1)、(2)の表記を「2」の補数を使って表記したもの、(4)前回付加した時刻情報と今回付加した時刻情報との時間差による表記などが考えられる。
【0074】
また、タイムスタンプ機能追加装置100、200は、極めて消費電力が小さいので、レーザレンジセンサ10に供給される電源を駆動電源としてもレーザレンジセンサ10の機能を損ねることはない。これにより、タイムスタンプ機能追加装置100、200に専用の電源を設ける必要がない。
【0075】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の内容を逸脱することなく、種々の実施例が考えられることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
10 レーザレンジセンサ
20 上位装置
30 測定対象物
40 シリアルインタフェース用ケーブル
100 タイムスタンプ機能付加装置
111 光検出部、112 アタッチメント本体、113 ケーブル
121 フィルタ、122 増幅回路、123 波形整形回路
131 入出力部、132 処理部、133 記憶部、134 クロック生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を走査させ、その反射光を検出することにより、走査範囲にある測定対象物までの距離を測定するレーザレンジセンサにタイムスタンプ機能を付加するタイムスタンプ機能付加装置であって、
前記レーザレンジセンサから出射される光を検出し、検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から出力された検出信号に基づいて前記レーザレンジセンサで測定された測定データに時刻情報を付与するタイムスタンプ機能を追加するアタッチメント本体とを含むタイムスタンプ機能付加装置。
【請求項2】
前記検出部及び前記アタッチメント本体は、前記レーザレンジセンサの筐体に外付けされる請求項1記載のタイムスタンプ機能付加装置。
【請求項3】
前記レーザレンジセンサは、上位装置と所定のインタフェースを通して前記測定データを送信しており、
前記アタッチメント本体は、前記レーザレンジセンサと前記上位装置とのインタフェースのうち前記測定データで使用していない端子を用いて、前記検出部から出力された前記検出信号を増幅して前記上位装置に供給する請求項1又は2記載のタイムスタンプ機能追加装置。
【請求項4】
前記アタッチメント本体は、時刻情報を計時する計時部と、
前記検出部から検出信号が供給されたときに、前記計時部で計時されている時刻情報を前記レーザレンジセンサで計測された計測データに付加するデータ付加部とを含む請求項1又は2記載のタイムスタンプ機能追加装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−210522(P2010−210522A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58629(P2009−58629)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】