レーザー熱転写装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法
【課題】レーザー熱転写装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】アクセプター基板を基板ステージ上に配する段階と、アクセプター基板上にドナーフィルムを形成する段階と、アクセプター基板上にパターン化されたマスクを設ける段階と、レーザービーム発生部から出射されたレーザービームを、マスクの開口を通じてドナーフィルムに照射する段階と、ドナーフィルムのパターンをアクセプター基板に転写する段階と、を含むレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。これにより、基板のサイズに関係なくレーザービームをスキャニングして、ドナーフィルムの転写層を基板上に容易に転写させる。
【解決手段】アクセプター基板を基板ステージ上に配する段階と、アクセプター基板上にドナーフィルムを形成する段階と、アクセプター基板上にパターン化されたマスクを設ける段階と、レーザービーム発生部から出射されたレーザービームを、マスクの開口を通じてドナーフィルムに照射する段階と、ドナーフィルムのパターンをアクセプター基板に転写する段階と、を含むレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。これにより、基板のサイズに関係なくレーザービームをスキャニングして、ドナーフィルムの転写層を基板上に容易に転写させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型基板上にドナーフィルムの転写層を転写させて有機膜層を形成させるためのレーザー熱転写装置、及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、有機発光表示装置は、アノード電極と、カソード電極と、アノード電極とカソード電極との間に介在された、少なくとも有機発光層を持つ中間層と、を含む表示装置である。
【0003】
有機発光表示装置は、視野角が広く、コントラストが優秀なだけでなく、応答速度が速いという長所を持っていて次世代表示装置として注目されている。これらの有機発光表示装置は、発光層が高分子有機材料からなるか、または低分子有機材料からなるかによって、有機発光層以外に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち少なくとも一つ以上の有機膜層をさらに含む。
【0004】
有機発光表示装置において、フルカラーを具現するためには、有機膜層をパターニングさせねばならない。パターニングさせる方法には、低分子有機発光表示装置の場合にはシャドーマスクを使用する方法があり、高分子有機発光表示装置の場合にはインクジェットプリンティングまたはレーザーによる熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、以下、LITI)などが使われる。LITIは、有機膜層を微細にパターニングさせることができ、かつ大面積に使用できて高解像度の実現に有利であるという長所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、大型基板上にドナーフィルム及びマスクを設け、レーザー発生装置から出力されるレーザービームを用いて複数の有機膜層を容易に形成できるレーザー熱転写装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の望ましい一実施形態によるレーザー熱転写装置を用いた有機発光表示装置の製造方法は、アクセプター基板を基板ステージ上に配する段階と、前記アクセプター基板上にドナーフィルムを形成する段階と、前記アクセプター基板上にパターン化されたマスクを設ける段階と、レーザービーム発生部から出射されたレーザービームを、前記マスクの開口を通じて前記ドナーフィルムに照射する段階と、前記ドナーフィルムのパターンを前記アクセプター基板に転写する段階と、を含む。
【0007】
一実施形態において、前記ドナーフィルムは、ベースフィルムと、前記ベースフィルム上に形成された光−熱変換層と、前記光−熱変換層上に形成された転写層と、を含み、前記転写層が、前記アクセプター基板の表面に付着される。
【0008】
一実施形態において、前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、前記レーザービームが線形の横断面に成形される。
【0009】
一実施形態において、前記光学系と前記マスクとの間にはミラーがさらに設けられ、成形された前記レーザービームは、前記ミラーによって屈曲されて前記マスクに向かって照射される。
【0010】
一実施形態において、前記線形のレーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層領域に同時に照射される。
【0011】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動する。
【0012】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記マスクが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される。
【0013】
一実施形態において、前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、前記レーザービームをスポット型の横断面に成形し、前記光学系と前記マスクとの間にはガルバノミラーが設けられ、成形された前記レーザービームは、前記ガルバノミラーによって光路を変化させて照射される。
【0014】
一実施形態において、前記レーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層にそれぞれ個別に照射する。
【0015】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記アクセプター基板の他方向に沿って移動する。
【0016】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記マスクが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記基板の他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される。
【0017】
本発明の他の側面によるレーザー熱転写装置を用いたレーザー熱転写装置は、レーザービームを出射するレーザービーム発生部と、前記レーザービームの進行経路上に位置する光学系と、前記レーザービームが照射されるドナーフィルムが形成されたアクセプター基板が設けられる基板ステージと、前記光学系と前記アクセプター基板との間に設けられ、前記アクセプター基板上に配されたパターン化されたマスクと、を備える。
【0018】
一実施形態において、前記レーザービームは線形の横断面を持ち、前記レーザービームの線幅は、前記アクセプター基板の一方向に配された前記マスクの長さと少なくとも同一またはより大きい。
【0019】
一実施形態において、前記マスクの長さは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された発光層が形成される画素領域を覆う。
【0020】
一実施形態において、前記光学系と前記マスクとの間には、前記レーザービームの角度を変化させるガルバノミラーがさらに設けられる。
【0021】
一実施形態において、前記レーザービームはスポット型の横断面を持ち、前記レーザービームの大きさは、前記アクセプター基板の一方向に配列された前記マスクの長さより小さい。
【0022】
一実施形態において、前記レーザービームの直径は、前記アクセプター基板の一方向に配列された複数の発光層のうち一つの発光層を覆う大きさである。
【0023】
一実施形態において、前記レーザービーム及び前記マスクに対して前記基板ステージは相対的に移動自在に設けられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のレーザー熱転写装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法は、基板の大きさに関係なくレーザービームをスキャニングして、ドナーフィルムの転写層を基板上に容易に転写させる。
【0025】
本発明は、図面に示した一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲の技術的思想により定められねばならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態によるレーザー熱転写装置を示す構成図である。
【図2】図1のアクセプター基板の構造を示す断面図である。
【図3】図1のドナーフィルムの構造を示す断面図である。
【図4】図1のアクセプター基板、マスク及びドナーフィルムが配された状態を示す断面図である。
【図5】図1のレーザー熱転写装置を用いてマザー基板上に成膜する状態を示す平面図である。
【図6】図5のアクセプター基板の一部を拡大して示す平面図である。
【図7A】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、アクセプター基板が用意された以後の状態を示す断面図である。
【図7B】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Aのアクセプター基板上にドナーフィルムがラミネートされた以後の状態を示す断面図である。
【図7C】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Bのドナーフィルム上にレーザービームを照射した以後の状態を示す断面図である。
【図7D】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Cのドナーフィルムを分離した以後の状態を示す断面図である。
【図7E】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Dのアクセプター基板上に保持膜を形成するための状態を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるレーザー熱転写装置を示す構成図である。
【図9】図8のレーザー装置を用いてマザー基板上に成膜する状態を示す平面図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は多様な変形を加えて様々な実施形態を持つことができるが、特定の実施形態を図面に例示し、かつ詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変形、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。本発明を説明するに当って、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0028】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明する場合に使われるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0029】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、“含む”または“持つ”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されねばならない。
【0030】
以下、本発明による有機発光表示装置の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当って、同一または対応する構成要素は同じ符号を付与し、これについての重複する説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態によるレーザー熱転写装置100を示す構成図である。
【0032】
図面を参照すれば、前記レーザー熱転写装置100は、レーザービームを出力するレーザービーム発生部110と、レーザービームを成形する光学系120と、アクセプター基板160を装着する基板ステージ130と、前記アクセプター基板160上に設けられたマスク170と、これらを制御する制御部140と、を備える。
【0033】
前記レーザービーム発生部110は、レーザービームを発生させる装置であり、ルビーレーザー、ガラスレーザー、YAGレーザー、またはYLFレーザーなどの固体レーザーや、エキシマーレーザーまたはヘリウム−ネオンレーザーなどのガスレーザーなどを利用できる。
【0034】
前記光学系120は、前記レーザービーム発生部110から発生したレーザービームの進行経路上に位置する。前記光学系120は、レーザービームの形状を所望の形状に成形するために、レーザービームの形状を均質化させるホモジナイザーを備える。前記光学系120を通過したレーザービームの経路上には、レーザービームの角度を変化させるミラー150をさらに備える。
【0035】
前記光学系120を通過したレーザービームは、ラインビームや方形などの所望の形状に成形できる。前記光学系120は、ホモジナイザーだけでなく、集光レンズや偏光子など多様なレンズ群の組み合わせが可能である。前記ミラー150は、入力電圧の変化によって線形的に角度が変わるガルバノミラーや反射ミラーなどが使われる。
【0036】
前記レーザービーム発生部110及び光学系120の位置関係は、これに限定されるものではない。例えば、レーザービーム発生部110及び光学系120がアクセプター基板160及びマスク170に対して垂直方向に配され、レーザービーム発生部110から生じるレーザービームがアクセプター基板160の対応する一面に対して垂直方向に照射される場合には、ミラー150が不要になる。
【0037】
前記基板ステージ130は、前記アクセプター基板160を装着するための基板載置台である。前記基板ステージ130は、基板ステージ移動部180によってX及びY方向に移動可能である。前記基板ステージ130の移動は当業者に周知の技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
前記制御部140は、前記レーザービーム発生部110と、ミラー150を備える光学系120と、基板ステージ移動部180を備える基板ステージ130と、を制御する。
【0039】
前記のような構成を持つレーザー熱転写装置100は、レーザービーム発生部110から発生したレーザービームが前記光学系120を通過することにより、均質化したビームに変形される。均質化したレーザービームは、前記ミラー122によって垂直方向に屈曲される。
【0040】
屈曲されたレーザービームは、前記マスク170の開口171を選択的に通過できる。前記マスク170は、少なくとも一つの光透過パターンまたは少なくとも一つの光反射パターンを備える。前記マスク170の開口171を通過したレーザービームは、アクセプター基板160上に付着されたドナーフィルム210に照射できる。
【0041】
図2は、図1のアクセプター基板160である有機発光表示装置の構造を示す断面図である。
【0042】
図面を参照すれば、前記有機発光表示装置用アクセプター基板160には、基板161上の所定領域に半導体層162が位置する。前記半導体層162は、非晶質シリコン膜または非晶質シリコン膜を結晶化した多結晶シリコン膜でありうる。前記半導体層162上には、第1絶縁膜のゲート絶縁膜163が位置する。前記ゲート絶縁膜163上には、前記半導体層162と重なるゲート電極164が位置する。前記ゲート電極164上には、前記半導体層162及び前記ゲート電極164を覆う第2絶縁膜165が位置する。
【0043】
前記第2絶縁膜165上には、前記第1絶縁膜163及び前記第2絶縁膜165を貫通して前記半導体層162の両端部とそれぞれ接続するソース電極166及びドレイン電極167が位置する。前記半導体層162、前記ゲート電極164及び前記ソース/ドレイン電極166、167は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を構成する。
【0044】
前記ソース/ドレイン電極166、167上には、前記ソース/ドレイン電極166、167を覆う第3絶縁膜168が位置する。前記第3絶縁膜168は、前記TFTを保護するためのパッシベーション膜及び/または前記TFTによる段差を緩和するための平坦化膜でありうる。
【0045】
前記第3絶縁膜168上には、前記第3絶縁膜168を貫通して前記ドレイン電極167と接続する画素電極169が位置する。前記画素電極169は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜またはIZO(Indium Zinc Oxide)膜でありうる。前記画素電極169上には、前記画素電極169の一部を露出させる開口部169aを持つ画素定義膜(Pixel Defining Layer、PDL)169bが位置する。
【0046】
図3は、図1のドナーフィルム210の構造を示す断面図である。
【0047】
図面を参照すれば、前記ドナーフィルム210は、ベースフィルム211と、前記ベースフィルム211上に形成された光−熱変換層212と、前記光−熱変換層212上に形成された転写層213と、を備える。
【0048】
前記ベースフィルム211は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)などの透明性高分子有機材料で形成できる。
【0049】
前記光−熱変換層212は、入射される光を熱に変換させる膜である。前記光−熱変換層212は、吸光性物質であるアルミニウム酸化物、アルミニウム硫化物、カーボンブラック、黒鉛または赤外線染料を含む。
【0050】
前記転写層213は、前記アクセプター基板160が有機発光表示装置用基板である場合、有機転写層でありうる。前記有機転写層は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、正孔抑制層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択される少なくとも一つの膜でありうる。
【0051】
図4は、図1のアクセプター基板160、マスク170及びドナーフィルム210が配された状態を示す断面図である。
【0052】
図面を参照すれば、前記アクセプター基板160の一面にはドナーフィルム210が付着されている。前記ドナーフィルム210の転写層213は、前記アクセプター基板160の表面に直接的に接触して付着されている。前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160の上部には、マスク170が配されている。
【0053】
前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160に対して、マスク170は直接的に結合されず、所定間隔Gだけ離隔して位置している。前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160に対する、マスク170の離隔した間隔Gは、レーザービーム600のマスク170通過時の回折を最小化できるように、数十ないし数百μmである。
【0054】
前記マスク170には複数の開口171がパターン化しており、前記開口171を通じてレーザービーム600が前記ドナーフィルム210に選択的に照射される。
【0055】
図5は、図1のレーザー熱転写装置100を用いてマザー基板500上に成膜する状態を示すものであり、図6は、図5のアクセプター基板160の一部を拡大して示したものである。
【0056】
図5及び図6を参照すれば、前記マザー基板500上には、複数の有機発光表示装置であるアクセプター基板160が配列されている。本実施形態では、前記アクセプター基板160は、マザー基板500のX方向に沿って所定間隔だけ離隔して4領域に区切られており、マザー基板500のY方向に沿って所定間隔だけ離隔して2領域に区切られているが、前記アクセプター基板160が前記マザー基板500上に区切られる領域の数は、これに限定されるものではない。
【0057】
前記マザー基板500の上部には、少なくとも一つのマスク170が設けられている。前記マスク170の数は、少なくとも一つのアクセプター基板160上に配列されて、これを通じてレーザービーム600を選択的に照射できるならば、その数は限定されるものではないが、マスク170の数が多いならば、製造工程上有利であるといえる。
【0058】
この時、レーザービーム発生部(図1の110)から発生したレーザービーム600の大きさは、前記マスク170の大きさより大きい線形のレーザービームである。
【0059】
さらに詳細には、一つのアクセプター基板160上には、形成させようとする有機膜層、例えば、赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610が連続的に配列されている。前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610は、前記アクセプター基板160のX方向に沿って同じ色相の発光層領域が連続的に配列され、前記アクセプター基板160のY方向に沿って赤色、緑色及び青色の発光層領域が交互に配列される。
【0060】
この時、前記アクセプター基板160の上部に配されたマスク170は、前記アクセプター基板160上の赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610を同時に覆うことができる長さL1を持つ。
【0061】
レーザービーム600の照射時、アクセプター基板160のY方向への赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の該当発光層領域に対してレーザービーム600を同時に照射することができるように、前記マスク170の長さL1は、前記アクセプター基板160のY方向への長さであるアクセプター基板160の長辺部の長さL2より大きく形成されることが望ましい。
【0062】
このために、前記マスク170を通じて照射されるレーザービーム600は、前記マスク170を通じて前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の各発光層別に同時に照射できるように、線形の横断面を持つ。
【0063】
前記アクセプター基板160のY方向への赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の各発光層別に同時に照射できるように、前記レーザービーム600の線幅L4は、前記マスク170の長さL1と少なくとも同一またはより大きいことが望ましい。
【0064】
この時、前記アクセプター基板160の長辺部の長さL2とは、赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610を含む全体表示領域を含む大きさをいう。前記レーザービーム600をアクセプター基板160上の赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610に同時に照射するということは、各発光層別に異なる色相のドナーフィルム(図1の210)をそれぞれ用意して、所望の色相の発光層別に照射することをいう。
【0065】
一方、前記マスク170の幅W1は、前記アクセプター基板160のX方向への前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の長さL3より小さいか、または同一であることが、レーザービーム600の照射時に好適である。
【0066】
以上に説明した本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を、図7Aないし図7Eを参照して説明すれば、次の通りである。
【0067】
図7Aを参照すれば、レーザー熱転写方法によって発光層を形成する場合、初めにアクセプター基板160を用意する。前記アクセプター基板160は、前述したように、基板161上にTFTが形成されている。前記TFT上には、第1電極層169及び前記第1電極層169の少なくとも一領域が露出された開口部169aを持つ画素定義膜169bが形成されている。
【0068】
次いで、図7Bを参照すれば、前記アクセプター基板160上にドナーフィルム210をラミネートさせる。前記アクセプター基板160とドナーフィルム210との密着特性が良いほど後続の転写工程における転写効率が向上するので、ドナーフィルム210に所定の圧力を加える。
【0069】
次いで、図7Cを参照すれば、前記アクセプター基板160とドナーフィルム210とをラミネートした状態で、ドナーフィルム210上で転写層213が転写される領域のみに局部的にレーザービームを照射する。
【0070】
レーザービームが照射されれば、前記光−熱変換層212がアクセプター基板160の方向に膨脹するにつれて転写層213も膨脹して、レーザーが照射された領域の転写層213がドナーフィルム210から分離され、アクセプター基板160に転写される。
【0071】
次いで、図7Dを参照すれば、前記アクセプター基板160上に転写層213が転写されれば、アクセプター基板160からドナーフィルム210を分離させる。分離された前記アクセプター基板160上には、画素定義膜169bの少なくとも一領域及び開口部169aに転写層213aが形成されており、ドナーフィルム210上にはレーザーが照射された領域の転写層213aのみ転写され、残りの部分213bはそのままドナーフィルム210上に残っている。
【0072】
次いで、図7Eを参照すれば、前記アクセプター基板160上に転写層213aが転写された後、前記転写層213aの発光層上に第2電極層710を形成し、有機発光素子を保護できるように保持膜720を形成する。
【0073】
ここで、線形のレーザービームを用いて前記アクセプター基板160上にドナーフィルム210の転写層213を転写させる過程をさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0074】
図1ないし図6を再び参照すれば、前記マザー基板500上には、複数のアクセプター基板160の領域が区切られる。前記アクセプター基板160の一面にはドナーフィルム210が付着される。前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160上には、数十ないし数百μmの間隔Gをおいてマスク170が配されている。
【0075】
前記レーザービーム発生部110から発生したレーザービーム600は、ホモジナイザーなどの光学系120を通過することで、均質化した線形の横断面を持つレーザービーム600に変形される。前記レーザービーム600は、前記反射ミラー150によって光路が変化されて前記マスク170の開口部171を選択的に通過し、マスク170の開口部171を選択的に通過したレーザービーム600は前記ドナーフィルム210に照射される。
【0076】
この時、前記アクセプター基板160の長辺部方向(Y方向)にマスク170が配列される。前記マスク170に形成された開口171を通じて線形のレーザービーム600が選択的に通過して、前記ドナーフィルム210に照射される。
【0077】
前記マスク170の長さL1は、前記アクセプター基板160のY方向への長さL2を覆う大きさを持ち、前記線形のレーザービーム600の線幅L4は、前記マスク170の長さL1と同一またはより大きく形成されるので、前記アクセプター基板160のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の該当色相の発光層領域に同時に照射できる。
【0078】
前記レーザービーム600の、前記アクセプター基板160の同じ線上への照射が完了すれば、前記アクセプター基板160を支持する基板ステージ130が、基板ステージ移動部180によってX方向に沿って移動する。
【0079】
前記基板ステージ130の移動後に、再び前記アクセプター基板160の他の同じ線上の前記アクセプター基板160のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の該当色相の発光層を形成するために、線形のレーザービーム600を照射する。
【0080】
このように、前記線形のレーザービーム600を該当色相の発光層領域に同時に照射した後、前記基板ステージ130が前記アクセプター基板160のX方向に沿って移動し、このような照射方式を繰り返して、前記アクセプター基板160上への発光層の転写を完了する。
【0081】
代替的な方法としては、前記基板ステージ130は固定し、その代りに線形のレーザービーム600を該当色相の発光層領域に同時に照射した後、前記レーザービーム600及びマスク170が制御部140によってX方向に沿って移動し、さらに前記レーザービーム600を前記ドナーフィルム210上に照射できる。
【0082】
図8は、本発明の他の実施形態によるレーザー熱転写装置800を示す構成図である。
【0083】
図面を参照すれば、前記熱転写装置800は、レーザービーム発生部810と、光学系820と、アクセプター基板860を装着する基板ステージ830と、前記アクセプター基板860上に設けられたマスク870と、これらを制御する制御部840と、を備える。
【0084】
前記光学系820を通過したレーザービームの経路上には、前記マスク870に形成された開口871を選択的に通過させるようにレーザービームの角度を変化させるミラー850をさらに備える。この時、前記ミラー850はガルバノミラーを含む。
【0085】
図9は、図8のレーザー装置800を用いてマザー基板900上に成膜する状態を示すものであり、図10は、図9のアクセプター基板860の一部を拡大して示したものである。
【0086】
図9及び図10を参照すれば、前記マザー基板900上には複数のアクセプター基板860が区切られている。本実施形態では、前記アクセプター基板860は、マザー基板900のX方向に沿って所定間隔だけ離隔して4領域に区切られ、マザー基板900のY方向に沿って所定間隔だけ離隔して2領域に区切られる。前記マザー基板900の上部には少なくとも一つのマスク870が設けられている。
【0087】
この時、レーザービーム発生部(図8の810)から発生したレーザービーム1000の大きさは、前記マスク870の大きさより小さい。
【0088】
さらに詳細には、一つのアクセプター基板860上には有機転写層、例えば、赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010が連続的に配列されている。前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010は、前記アクセプター基板860のX方向に沿って同じ色相の発光層領域が連続的に配列され、前記アクセプター基板860のY方向に沿って赤色、緑色及び青色の発光層領域が交互に配列される。
【0089】
前記アクセプター基板860の上部に配されたマスク870は、前記アクセプター基板860上の赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010を同時に覆うことができる長さL5を持つ。前記マスク870の長さL5は、前記アクセプター基板860のY方向への長さであるアクセプター基板860の長辺部の長さL6より大きく形成される。
【0090】
ここで、前記マスク870を通じて照射されるレーザービーム1000は、前記マスク870を通じて前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相のそれぞれの発光層別に独立に照射できるように、スポット型の横断面を持つ。
【0091】
これにより、前記レーザービーム1000の直径Dは、前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相の発光層領域のうち一つの発光層領域を覆うことができる大きさを持つ。
【0092】
前記アクセプター基板860上へのドナーフィルム910の転写過程を、図8ないし10を参照して説明すれば、次の通りである。
【0093】
レーザービーム発生部810から発生したレーザービーム1000は、光学系820を通過することでスポット型のレーザービーム1000に変形され、前記ガルバノミラー850によって光路を変化させてマスク870の開口部871を選択的に通過し、マスク870の開口部871を選択的に通過したスポット型のレーザービーム1000は、ドナーフィルム910に位置別に照射される。
【0094】
この時、前記ガルバノミラー850は、制御部840によって所定角度だけ回転しつつ前記レーザービーム1000を、前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相の発光層領域のうち一つの発光層領域に対して転写できるように、対応するマスク870の開口部871に照射する。
【0095】
ここで、前記アクセプター基板860の長辺部方向(Y方向)にマスク870が配列される。レーザービーム1000は、前記アクセプター基板860のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相の発光層領域のうち一つの発光層領域に照射し、照射が完了した後には、これと画素単位で隣接する同じ色相の他の一つの発光層領域に照射する。
【0096】
前記の方式で、前記アクセプター基板860のY方向に移動しつつ同じ線上へのレーザービーム1000の照射が完了した後には、前記アクセプター基板860を支持する基板ステージ830が、基板ステージ移動部880によってX方向に沿って移動する。
【0097】
前記基板ステージ830の移動後、再び前記アクセプター基板860の他の同じ線上の前記アクセプター基板860のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域101の該当色相の発光層領域ごとに、独立にスポット型のレーザービーム1000を照射する。
【0098】
このように、前記スポット型のレーザービーム1000は、前記アクセプター基板860のY方向に沿って同一線上に配列された該当色相の発光層領域に個別に照射した後、前記基板ステージ830がこれと交差する前記アクセプター基板860のX方向に沿って移動し、前記の照射方式を繰り返して、前記アクセプター基板860上への発光層の転写を完了する。
【0099】
代替的な方法としては、前記基板ステージ830は固定させ、その代りにスポット型のレーザービーム1000を該当色相の発光層領域に個別に照射した後、前記レーザービーム1000及びマスク870を制御部840によってX方向に沿って移動して、前記レーザービーム1000を前記ドナーフィルム910上に照射できる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、有機発光表示装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0101】
100 レーザー熱転写装置
110 レーザービーム発生部
120 光学系
130 基板ステージ
140 制御部
150 ミラー
160 アクセプター基板
170 マスク
180 基板ステージ移動部
210 ドナーフィルム
211 ベースフィルム
212 光−熱変換層
213 転写層
500 マザー基板
600 レーザービーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型基板上にドナーフィルムの転写層を転写させて有機膜層を形成させるためのレーザー熱転写装置、及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、有機発光表示装置は、アノード電極と、カソード電極と、アノード電極とカソード電極との間に介在された、少なくとも有機発光層を持つ中間層と、を含む表示装置である。
【0003】
有機発光表示装置は、視野角が広く、コントラストが優秀なだけでなく、応答速度が速いという長所を持っていて次世代表示装置として注目されている。これらの有機発光表示装置は、発光層が高分子有機材料からなるか、または低分子有機材料からなるかによって、有機発光層以外に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち少なくとも一つ以上の有機膜層をさらに含む。
【0004】
有機発光表示装置において、フルカラーを具現するためには、有機膜層をパターニングさせねばならない。パターニングさせる方法には、低分子有機発光表示装置の場合にはシャドーマスクを使用する方法があり、高分子有機発光表示装置の場合にはインクジェットプリンティングまたはレーザーによる熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、以下、LITI)などが使われる。LITIは、有機膜層を微細にパターニングさせることができ、かつ大面積に使用できて高解像度の実現に有利であるという長所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、大型基板上にドナーフィルム及びマスクを設け、レーザー発生装置から出力されるレーザービームを用いて複数の有機膜層を容易に形成できるレーザー熱転写装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の望ましい一実施形態によるレーザー熱転写装置を用いた有機発光表示装置の製造方法は、アクセプター基板を基板ステージ上に配する段階と、前記アクセプター基板上にドナーフィルムを形成する段階と、前記アクセプター基板上にパターン化されたマスクを設ける段階と、レーザービーム発生部から出射されたレーザービームを、前記マスクの開口を通じて前記ドナーフィルムに照射する段階と、前記ドナーフィルムのパターンを前記アクセプター基板に転写する段階と、を含む。
【0007】
一実施形態において、前記ドナーフィルムは、ベースフィルムと、前記ベースフィルム上に形成された光−熱変換層と、前記光−熱変換層上に形成された転写層と、を含み、前記転写層が、前記アクセプター基板の表面に付着される。
【0008】
一実施形態において、前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、前記レーザービームが線形の横断面に成形される。
【0009】
一実施形態において、前記光学系と前記マスクとの間にはミラーがさらに設けられ、成形された前記レーザービームは、前記ミラーによって屈曲されて前記マスクに向かって照射される。
【0010】
一実施形態において、前記線形のレーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層領域に同時に照射される。
【0011】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動する。
【0012】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記マスクが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される。
【0013】
一実施形態において、前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、前記レーザービームをスポット型の横断面に成形し、前記光学系と前記マスクとの間にはガルバノミラーが設けられ、成形された前記レーザービームは、前記ガルバノミラーによって光路を変化させて照射される。
【0014】
一実施形態において、前記レーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層にそれぞれ個別に照射する。
【0015】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記アクセプター基板の他方向に沿って移動する。
【0016】
一実施形態において、前記レーザービームが照射された後、前記マスクが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記基板の他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される。
【0017】
本発明の他の側面によるレーザー熱転写装置を用いたレーザー熱転写装置は、レーザービームを出射するレーザービーム発生部と、前記レーザービームの進行経路上に位置する光学系と、前記レーザービームが照射されるドナーフィルムが形成されたアクセプター基板が設けられる基板ステージと、前記光学系と前記アクセプター基板との間に設けられ、前記アクセプター基板上に配されたパターン化されたマスクと、を備える。
【0018】
一実施形態において、前記レーザービームは線形の横断面を持ち、前記レーザービームの線幅は、前記アクセプター基板の一方向に配された前記マスクの長さと少なくとも同一またはより大きい。
【0019】
一実施形態において、前記マスクの長さは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された発光層が形成される画素領域を覆う。
【0020】
一実施形態において、前記光学系と前記マスクとの間には、前記レーザービームの角度を変化させるガルバノミラーがさらに設けられる。
【0021】
一実施形態において、前記レーザービームはスポット型の横断面を持ち、前記レーザービームの大きさは、前記アクセプター基板の一方向に配列された前記マスクの長さより小さい。
【0022】
一実施形態において、前記レーザービームの直径は、前記アクセプター基板の一方向に配列された複数の発光層のうち一つの発光層を覆う大きさである。
【0023】
一実施形態において、前記レーザービーム及び前記マスクに対して前記基板ステージは相対的に移動自在に設けられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のレーザー熱転写装置及びこれを用いた有機発光表示装置の製造方法は、基板の大きさに関係なくレーザービームをスキャニングして、ドナーフィルムの転写層を基板上に容易に転写させる。
【0025】
本発明は、図面に示した一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲の技術的思想により定められねばならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態によるレーザー熱転写装置を示す構成図である。
【図2】図1のアクセプター基板の構造を示す断面図である。
【図3】図1のドナーフィルムの構造を示す断面図である。
【図4】図1のアクセプター基板、マスク及びドナーフィルムが配された状態を示す断面図である。
【図5】図1のレーザー熱転写装置を用いてマザー基板上に成膜する状態を示す平面図である。
【図6】図5のアクセプター基板の一部を拡大して示す平面図である。
【図7A】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、アクセプター基板が用意された以後の状態を示す断面図である。
【図7B】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Aのアクセプター基板上にドナーフィルムがラミネートされた以後の状態を示す断面図である。
【図7C】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Bのドナーフィルム上にレーザービームを照射した以後の状態を示す断面図である。
【図7D】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Cのドナーフィルムを分離した以後の状態を示す断面図である。
【図7E】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を示す断面図であり、図7Dのアクセプター基板上に保持膜を形成するための状態を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるレーザー熱転写装置を示す構成図である。
【図9】図8のレーザー装置を用いてマザー基板上に成膜する状態を示す平面図である。
【図10】図9の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は多様な変形を加えて様々な実施形態を持つことができるが、特定の実施形態を図面に例示し、かつ詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変形、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。本発明を説明するに当って、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0028】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明する場合に使われるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0029】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、“含む”または“持つ”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないと理解されねばならない。
【0030】
以下、本発明による有機発光表示装置の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当って、同一または対応する構成要素は同じ符号を付与し、これについての重複する説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態によるレーザー熱転写装置100を示す構成図である。
【0032】
図面を参照すれば、前記レーザー熱転写装置100は、レーザービームを出力するレーザービーム発生部110と、レーザービームを成形する光学系120と、アクセプター基板160を装着する基板ステージ130と、前記アクセプター基板160上に設けられたマスク170と、これらを制御する制御部140と、を備える。
【0033】
前記レーザービーム発生部110は、レーザービームを発生させる装置であり、ルビーレーザー、ガラスレーザー、YAGレーザー、またはYLFレーザーなどの固体レーザーや、エキシマーレーザーまたはヘリウム−ネオンレーザーなどのガスレーザーなどを利用できる。
【0034】
前記光学系120は、前記レーザービーム発生部110から発生したレーザービームの進行経路上に位置する。前記光学系120は、レーザービームの形状を所望の形状に成形するために、レーザービームの形状を均質化させるホモジナイザーを備える。前記光学系120を通過したレーザービームの経路上には、レーザービームの角度を変化させるミラー150をさらに備える。
【0035】
前記光学系120を通過したレーザービームは、ラインビームや方形などの所望の形状に成形できる。前記光学系120は、ホモジナイザーだけでなく、集光レンズや偏光子など多様なレンズ群の組み合わせが可能である。前記ミラー150は、入力電圧の変化によって線形的に角度が変わるガルバノミラーや反射ミラーなどが使われる。
【0036】
前記レーザービーム発生部110及び光学系120の位置関係は、これに限定されるものではない。例えば、レーザービーム発生部110及び光学系120がアクセプター基板160及びマスク170に対して垂直方向に配され、レーザービーム発生部110から生じるレーザービームがアクセプター基板160の対応する一面に対して垂直方向に照射される場合には、ミラー150が不要になる。
【0037】
前記基板ステージ130は、前記アクセプター基板160を装着するための基板載置台である。前記基板ステージ130は、基板ステージ移動部180によってX及びY方向に移動可能である。前記基板ステージ130の移動は当業者に周知の技術であるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
前記制御部140は、前記レーザービーム発生部110と、ミラー150を備える光学系120と、基板ステージ移動部180を備える基板ステージ130と、を制御する。
【0039】
前記のような構成を持つレーザー熱転写装置100は、レーザービーム発生部110から発生したレーザービームが前記光学系120を通過することにより、均質化したビームに変形される。均質化したレーザービームは、前記ミラー122によって垂直方向に屈曲される。
【0040】
屈曲されたレーザービームは、前記マスク170の開口171を選択的に通過できる。前記マスク170は、少なくとも一つの光透過パターンまたは少なくとも一つの光反射パターンを備える。前記マスク170の開口171を通過したレーザービームは、アクセプター基板160上に付着されたドナーフィルム210に照射できる。
【0041】
図2は、図1のアクセプター基板160である有機発光表示装置の構造を示す断面図である。
【0042】
図面を参照すれば、前記有機発光表示装置用アクセプター基板160には、基板161上の所定領域に半導体層162が位置する。前記半導体層162は、非晶質シリコン膜または非晶質シリコン膜を結晶化した多結晶シリコン膜でありうる。前記半導体層162上には、第1絶縁膜のゲート絶縁膜163が位置する。前記ゲート絶縁膜163上には、前記半導体層162と重なるゲート電極164が位置する。前記ゲート電極164上には、前記半導体層162及び前記ゲート電極164を覆う第2絶縁膜165が位置する。
【0043】
前記第2絶縁膜165上には、前記第1絶縁膜163及び前記第2絶縁膜165を貫通して前記半導体層162の両端部とそれぞれ接続するソース電極166及びドレイン電極167が位置する。前記半導体層162、前記ゲート電極164及び前記ソース/ドレイン電極166、167は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)を構成する。
【0044】
前記ソース/ドレイン電極166、167上には、前記ソース/ドレイン電極166、167を覆う第3絶縁膜168が位置する。前記第3絶縁膜168は、前記TFTを保護するためのパッシベーション膜及び/または前記TFTによる段差を緩和するための平坦化膜でありうる。
【0045】
前記第3絶縁膜168上には、前記第3絶縁膜168を貫通して前記ドレイン電極167と接続する画素電極169が位置する。前記画素電極169は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜またはIZO(Indium Zinc Oxide)膜でありうる。前記画素電極169上には、前記画素電極169の一部を露出させる開口部169aを持つ画素定義膜(Pixel Defining Layer、PDL)169bが位置する。
【0046】
図3は、図1のドナーフィルム210の構造を示す断面図である。
【0047】
図面を参照すれば、前記ドナーフィルム210は、ベースフィルム211と、前記ベースフィルム211上に形成された光−熱変換層212と、前記光−熱変換層212上に形成された転写層213と、を備える。
【0048】
前記ベースフィルム211は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)などの透明性高分子有機材料で形成できる。
【0049】
前記光−熱変換層212は、入射される光を熱に変換させる膜である。前記光−熱変換層212は、吸光性物質であるアルミニウム酸化物、アルミニウム硫化物、カーボンブラック、黒鉛または赤外線染料を含む。
【0050】
前記転写層213は、前記アクセプター基板160が有機発光表示装置用基板である場合、有機転写層でありうる。前記有機転写層は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、正孔抑制層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択される少なくとも一つの膜でありうる。
【0051】
図4は、図1のアクセプター基板160、マスク170及びドナーフィルム210が配された状態を示す断面図である。
【0052】
図面を参照すれば、前記アクセプター基板160の一面にはドナーフィルム210が付着されている。前記ドナーフィルム210の転写層213は、前記アクセプター基板160の表面に直接的に接触して付着されている。前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160の上部には、マスク170が配されている。
【0053】
前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160に対して、マスク170は直接的に結合されず、所定間隔Gだけ離隔して位置している。前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160に対する、マスク170の離隔した間隔Gは、レーザービーム600のマスク170通過時の回折を最小化できるように、数十ないし数百μmである。
【0054】
前記マスク170には複数の開口171がパターン化しており、前記開口171を通じてレーザービーム600が前記ドナーフィルム210に選択的に照射される。
【0055】
図5は、図1のレーザー熱転写装置100を用いてマザー基板500上に成膜する状態を示すものであり、図6は、図5のアクセプター基板160の一部を拡大して示したものである。
【0056】
図5及び図6を参照すれば、前記マザー基板500上には、複数の有機発光表示装置であるアクセプター基板160が配列されている。本実施形態では、前記アクセプター基板160は、マザー基板500のX方向に沿って所定間隔だけ離隔して4領域に区切られており、マザー基板500のY方向に沿って所定間隔だけ離隔して2領域に区切られているが、前記アクセプター基板160が前記マザー基板500上に区切られる領域の数は、これに限定されるものではない。
【0057】
前記マザー基板500の上部には、少なくとも一つのマスク170が設けられている。前記マスク170の数は、少なくとも一つのアクセプター基板160上に配列されて、これを通じてレーザービーム600を選択的に照射できるならば、その数は限定されるものではないが、マスク170の数が多いならば、製造工程上有利であるといえる。
【0058】
この時、レーザービーム発生部(図1の110)から発生したレーザービーム600の大きさは、前記マスク170の大きさより大きい線形のレーザービームである。
【0059】
さらに詳細には、一つのアクセプター基板160上には、形成させようとする有機膜層、例えば、赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610が連続的に配列されている。前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610は、前記アクセプター基板160のX方向に沿って同じ色相の発光層領域が連続的に配列され、前記アクセプター基板160のY方向に沿って赤色、緑色及び青色の発光層領域が交互に配列される。
【0060】
この時、前記アクセプター基板160の上部に配されたマスク170は、前記アクセプター基板160上の赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610を同時に覆うことができる長さL1を持つ。
【0061】
レーザービーム600の照射時、アクセプター基板160のY方向への赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の該当発光層領域に対してレーザービーム600を同時に照射することができるように、前記マスク170の長さL1は、前記アクセプター基板160のY方向への長さであるアクセプター基板160の長辺部の長さL2より大きく形成されることが望ましい。
【0062】
このために、前記マスク170を通じて照射されるレーザービーム600は、前記マスク170を通じて前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の各発光層別に同時に照射できるように、線形の横断面を持つ。
【0063】
前記アクセプター基板160のY方向への赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の各発光層別に同時に照射できるように、前記レーザービーム600の線幅L4は、前記マスク170の長さL1と少なくとも同一またはより大きいことが望ましい。
【0064】
この時、前記アクセプター基板160の長辺部の長さL2とは、赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610を含む全体表示領域を含む大きさをいう。前記レーザービーム600をアクセプター基板160上の赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610に同時に照射するということは、各発光層別に異なる色相のドナーフィルム(図1の210)をそれぞれ用意して、所望の色相の発光層別に照射することをいう。
【0065】
一方、前記マスク170の幅W1は、前記アクセプター基板160のX方向への前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の長さL3より小さいか、または同一であることが、レーザービーム600の照射時に好適である。
【0066】
以上に説明した本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を、図7Aないし図7Eを参照して説明すれば、次の通りである。
【0067】
図7Aを参照すれば、レーザー熱転写方法によって発光層を形成する場合、初めにアクセプター基板160を用意する。前記アクセプター基板160は、前述したように、基板161上にTFTが形成されている。前記TFT上には、第1電極層169及び前記第1電極層169の少なくとも一領域が露出された開口部169aを持つ画素定義膜169bが形成されている。
【0068】
次いで、図7Bを参照すれば、前記アクセプター基板160上にドナーフィルム210をラミネートさせる。前記アクセプター基板160とドナーフィルム210との密着特性が良いほど後続の転写工程における転写効率が向上するので、ドナーフィルム210に所定の圧力を加える。
【0069】
次いで、図7Cを参照すれば、前記アクセプター基板160とドナーフィルム210とをラミネートした状態で、ドナーフィルム210上で転写層213が転写される領域のみに局部的にレーザービームを照射する。
【0070】
レーザービームが照射されれば、前記光−熱変換層212がアクセプター基板160の方向に膨脹するにつれて転写層213も膨脹して、レーザーが照射された領域の転写層213がドナーフィルム210から分離され、アクセプター基板160に転写される。
【0071】
次いで、図7Dを参照すれば、前記アクセプター基板160上に転写層213が転写されれば、アクセプター基板160からドナーフィルム210を分離させる。分離された前記アクセプター基板160上には、画素定義膜169bの少なくとも一領域及び開口部169aに転写層213aが形成されており、ドナーフィルム210上にはレーザーが照射された領域の転写層213aのみ転写され、残りの部分213bはそのままドナーフィルム210上に残っている。
【0072】
次いで、図7Eを参照すれば、前記アクセプター基板160上に転写層213aが転写された後、前記転写層213aの発光層上に第2電極層710を形成し、有機発光素子を保護できるように保持膜720を形成する。
【0073】
ここで、線形のレーザービームを用いて前記アクセプター基板160上にドナーフィルム210の転写層213を転写させる過程をさらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0074】
図1ないし図6を再び参照すれば、前記マザー基板500上には、複数のアクセプター基板160の領域が区切られる。前記アクセプター基板160の一面にはドナーフィルム210が付着される。前記ドナーフィルム210が付着されたアクセプター基板160上には、数十ないし数百μmの間隔Gをおいてマスク170が配されている。
【0075】
前記レーザービーム発生部110から発生したレーザービーム600は、ホモジナイザーなどの光学系120を通過することで、均質化した線形の横断面を持つレーザービーム600に変形される。前記レーザービーム600は、前記反射ミラー150によって光路が変化されて前記マスク170の開口部171を選択的に通過し、マスク170の開口部171を選択的に通過したレーザービーム600は前記ドナーフィルム210に照射される。
【0076】
この時、前記アクセプター基板160の長辺部方向(Y方向)にマスク170が配列される。前記マスク170に形成された開口171を通じて線形のレーザービーム600が選択的に通過して、前記ドナーフィルム210に照射される。
【0077】
前記マスク170の長さL1は、前記アクセプター基板160のY方向への長さL2を覆う大きさを持ち、前記線形のレーザービーム600の線幅L4は、前記マスク170の長さL1と同一またはより大きく形成されるので、前記アクセプター基板160のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の該当色相の発光層領域に同時に照射できる。
【0078】
前記レーザービーム600の、前記アクセプター基板160の同じ線上への照射が完了すれば、前記アクセプター基板160を支持する基板ステージ130が、基板ステージ移動部180によってX方向に沿って移動する。
【0079】
前記基板ステージ130の移動後に、再び前記アクセプター基板160の他の同じ線上の前記アクセプター基板160のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域610の該当色相の発光層を形成するために、線形のレーザービーム600を照射する。
【0080】
このように、前記線形のレーザービーム600を該当色相の発光層領域に同時に照射した後、前記基板ステージ130が前記アクセプター基板160のX方向に沿って移動し、このような照射方式を繰り返して、前記アクセプター基板160上への発光層の転写を完了する。
【0081】
代替的な方法としては、前記基板ステージ130は固定し、その代りに線形のレーザービーム600を該当色相の発光層領域に同時に照射した後、前記レーザービーム600及びマスク170が制御部140によってX方向に沿って移動し、さらに前記レーザービーム600を前記ドナーフィルム210上に照射できる。
【0082】
図8は、本発明の他の実施形態によるレーザー熱転写装置800を示す構成図である。
【0083】
図面を参照すれば、前記熱転写装置800は、レーザービーム発生部810と、光学系820と、アクセプター基板860を装着する基板ステージ830と、前記アクセプター基板860上に設けられたマスク870と、これらを制御する制御部840と、を備える。
【0084】
前記光学系820を通過したレーザービームの経路上には、前記マスク870に形成された開口871を選択的に通過させるようにレーザービームの角度を変化させるミラー850をさらに備える。この時、前記ミラー850はガルバノミラーを含む。
【0085】
図9は、図8のレーザー装置800を用いてマザー基板900上に成膜する状態を示すものであり、図10は、図9のアクセプター基板860の一部を拡大して示したものである。
【0086】
図9及び図10を参照すれば、前記マザー基板900上には複数のアクセプター基板860が区切られている。本実施形態では、前記アクセプター基板860は、マザー基板900のX方向に沿って所定間隔だけ離隔して4領域に区切られ、マザー基板900のY方向に沿って所定間隔だけ離隔して2領域に区切られる。前記マザー基板900の上部には少なくとも一つのマスク870が設けられている。
【0087】
この時、レーザービーム発生部(図8の810)から発生したレーザービーム1000の大きさは、前記マスク870の大きさより小さい。
【0088】
さらに詳細には、一つのアクセプター基板860上には有機転写層、例えば、赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010が連続的に配列されている。前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010は、前記アクセプター基板860のX方向に沿って同じ色相の発光層領域が連続的に配列され、前記アクセプター基板860のY方向に沿って赤色、緑色及び青色の発光層領域が交互に配列される。
【0089】
前記アクセプター基板860の上部に配されたマスク870は、前記アクセプター基板860上の赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010を同時に覆うことができる長さL5を持つ。前記マスク870の長さL5は、前記アクセプター基板860のY方向への長さであるアクセプター基板860の長辺部の長さL6より大きく形成される。
【0090】
ここで、前記マスク870を通じて照射されるレーザービーム1000は、前記マスク870を通じて前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相のそれぞれの発光層別に独立に照射できるように、スポット型の横断面を持つ。
【0091】
これにより、前記レーザービーム1000の直径Dは、前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相の発光層領域のうち一つの発光層領域を覆うことができる大きさを持つ。
【0092】
前記アクセプター基板860上へのドナーフィルム910の転写過程を、図8ないし10を参照して説明すれば、次の通りである。
【0093】
レーザービーム発生部810から発生したレーザービーム1000は、光学系820を通過することでスポット型のレーザービーム1000に変形され、前記ガルバノミラー850によって光路を変化させてマスク870の開口部871を選択的に通過し、マスク870の開口部871を選択的に通過したスポット型のレーザービーム1000は、ドナーフィルム910に位置別に照射される。
【0094】
この時、前記ガルバノミラー850は、制御部840によって所定角度だけ回転しつつ前記レーザービーム1000を、前記赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相の発光層領域のうち一つの発光層領域に対して転写できるように、対応するマスク870の開口部871に照射する。
【0095】
ここで、前記アクセプター基板860の長辺部方向(Y方向)にマスク870が配列される。レーザービーム1000は、前記アクセプター基板860のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域1010の該当色相の発光層領域のうち一つの発光層領域に照射し、照射が完了した後には、これと画素単位で隣接する同じ色相の他の一つの発光層領域に照射する。
【0096】
前記の方式で、前記アクセプター基板860のY方向に移動しつつ同じ線上へのレーザービーム1000の照射が完了した後には、前記アクセプター基板860を支持する基板ステージ830が、基板ステージ移動部880によってX方向に沿って移動する。
【0097】
前記基板ステージ830の移動後、再び前記アクセプター基板860の他の同じ線上の前記アクセプター基板860のY方向に配列された赤色発光層R、緑色発光層G及び青色発光層Bが形成される画素領域101の該当色相の発光層領域ごとに、独立にスポット型のレーザービーム1000を照射する。
【0098】
このように、前記スポット型のレーザービーム1000は、前記アクセプター基板860のY方向に沿って同一線上に配列された該当色相の発光層領域に個別に照射した後、前記基板ステージ830がこれと交差する前記アクセプター基板860のX方向に沿って移動し、前記の照射方式を繰り返して、前記アクセプター基板860上への発光層の転写を完了する。
【0099】
代替的な方法としては、前記基板ステージ830は固定させ、その代りにスポット型のレーザービーム1000を該当色相の発光層領域に個別に照射した後、前記レーザービーム1000及びマスク870を制御部840によってX方向に沿って移動して、前記レーザービーム1000を前記ドナーフィルム910上に照射できる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、有機発光表示装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0101】
100 レーザー熱転写装置
110 レーザービーム発生部
120 光学系
130 基板ステージ
140 制御部
150 ミラー
160 アクセプター基板
170 マスク
180 基板ステージ移動部
210 ドナーフィルム
211 ベースフィルム
212 光−熱変換層
213 転写層
500 マザー基板
600 レーザービーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセプター基板を基板ステージ上に配する段階と、
前記アクセプター基板上にドナーフィルムを形成する段階と、
前記アクセプター基板上にパターン化されたマスクを設ける段階と、
レーザービーム発生部から出射されたレーザービームを、前記マスクの開口を通じて前記ドナーフィルムに照射する段階と、
前記ドナーフィルムのパターンを前記アクセプター基板に転写する段階と、を含むレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記ドナーフィルムは、ベースフィルムと、前記ベースフィルム上に形成された光−熱変換層と、前記光−熱変換層上に形成された転写層と、を含み、
前記転写層が、前記アクセプター基板の表面に付着される請求項1に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、
前記レーザービームが線形の横断面に成形される請求項1に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記光学系と前記マスクとの間にはミラーがさらに設けられ、
成形された前記レーザービームは、前記ミラーによって屈曲されて前記マスクに向かって照射される請求項3に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記線形のレーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層領域に同時に照射される請求項3に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動する請求項5に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記レーザービームが照射された後、前記マスクが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される請求項5に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、前記レーザービームをスポット型の横断面に成形し、
前記光学系と前記マスクとの間にはガルバノミラーが設けられ、成形された前記レーザービームは、前記ガルバノミラーによって光路を変化させて照射される請求項1に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記レーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層にそれぞれ個別に照射する請求項8に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記アクセプター基板の他方向に沿って移動する請求項9に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記レーザービームが照射された後、前記マスクが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記基板の他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される請求項9に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
レーザービームを出射するレーザービーム発生部と、
前記レーザービームの進行経路上に位置する光学系と、
前記レーザービームが照射されるドナーフィルムが形成されたアクセプター基板が設けられる基板ステージと、
前記光学系と前記アクセプター基板との間に設けられ、前記アクセプター基板上に配されたパターン化されたマスクと、を備えるレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項13】
前記レーザービームは線形の横断面を持ち、
前記レーザービームの線幅は、前記アクセプター基板の一方向に配された前記マスクの長さと少なくとも同一またはより大きい請求項12に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項14】
前記マスクの長さは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された発光層が形成される画素領域を覆う請求項13に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項15】
前記光学系と前記マスクとの間には、前記レーザービームの角度を変化させるガルバノミラーがさらに設けられた請求項12に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項16】
前記レーザービームはスポット型の横断面を持ち、
前記レーザービームの大きさは、前記アクセプター基板の一方向に配列された前記マスクの長さより小さい請求項15に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項17】
前記レーザービームの直径は、前記アクセプター基板の一方向に配列された複数の発光層のうち一つの発光層を覆う大きさである請求項16に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項18】
前記レーザービーム及び前記マスクに対して前記基板ステージは相対的に移動自在に設けられた請求項12に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項1】
アクセプター基板を基板ステージ上に配する段階と、
前記アクセプター基板上にドナーフィルムを形成する段階と、
前記アクセプター基板上にパターン化されたマスクを設ける段階と、
レーザービーム発生部から出射されたレーザービームを、前記マスクの開口を通じて前記ドナーフィルムに照射する段階と、
前記ドナーフィルムのパターンを前記アクセプター基板に転写する段階と、を含むレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記ドナーフィルムは、ベースフィルムと、前記ベースフィルム上に形成された光−熱変換層と、前記光−熱変換層上に形成された転写層と、を含み、
前記転写層が、前記アクセプター基板の表面に付着される請求項1に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、
前記レーザービームが線形の横断面に成形される請求項1に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記光学系と前記マスクとの間にはミラーがさらに設けられ、
成形された前記レーザービームは、前記ミラーによって屈曲されて前記マスクに向かって照射される請求項3に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記線形のレーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層領域に同時に照射される請求項3に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動する請求項5に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記レーザービームが照射された後、前記マスクが前記アクセプター基板の前記一方向と異なる他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される請求項5に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記レーザービームの進行経路上に光学系が設けられ、前記レーザービームをスポット型の横断面に成形し、
前記光学系と前記マスクとの間にはガルバノミラーが設けられ、成形された前記レーザービームは、前記ガルバノミラーによって光路を変化させて照射される請求項1に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記レーザービームは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された、対応する色相の発光層にそれぞれ個別に照射する請求項8に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記レーザービームが照射された後、前記基板ステージが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記アクセプター基板の他方向に沿って移動する請求項9に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記レーザービームが照射された後、前記マスクが、前記レーザービームの照射方向と交差する前記基板の他方向に沿って移動し、さらに前記レーザービームが照射される請求項9に記載のレーザー熱転写法を用いた有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
レーザービームを出射するレーザービーム発生部と、
前記レーザービームの進行経路上に位置する光学系と、
前記レーザービームが照射されるドナーフィルムが形成されたアクセプター基板が設けられる基板ステージと、
前記光学系と前記アクセプター基板との間に設けられ、前記アクセプター基板上に配されたパターン化されたマスクと、を備えるレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項13】
前記レーザービームは線形の横断面を持ち、
前記レーザービームの線幅は、前記アクセプター基板の一方向に配された前記マスクの長さと少なくとも同一またはより大きい請求項12に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項14】
前記マスクの長さは、前記アクセプター基板の一方向に同一線上に配列された発光層が形成される画素領域を覆う請求項13に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項15】
前記光学系と前記マスクとの間には、前記レーザービームの角度を変化させるガルバノミラーがさらに設けられた請求項12に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項16】
前記レーザービームはスポット型の横断面を持ち、
前記レーザービームの大きさは、前記アクセプター基板の一方向に配列された前記マスクの長さより小さい請求項15に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項17】
前記レーザービームの直径は、前記アクセプター基板の一方向に配列された複数の発光層のうち一つの発光層を覆う大きさである請求項16に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【請求項18】
前記レーザービーム及び前記マスクに対して前記基板ステージは相対的に移動自在に設けられた請求項12に記載のレーザー熱転写法を用いたレーザー熱転写装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−16480(P2013−16480A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138487(P2012−138487)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(512187343)三星ディスプレイ株式會社 (73)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】95,Samsung 2 Ro,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do,Korea
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]