説明

レーザ加工方法、バリ取り方法及び物品

【課題】物品に加工を施すことに起因して物品にドロスが付着したりバリが発生したりして物品の表面状態が劣化するという問題を解決することを可能とするレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】加工対象物品における加工対象部位にレーザ加工を施す第1工程S10と、第1工程S10で生じたバリを除去するために、加工対象物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態でレーザ光を照射してバリ取りを行う第2工程S20とを含むレーザ加工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工方法、バリ取り方法及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
注射針の側面や先端斜面に穴が形成された注射針が知られている。このような注射針によれば、注射針の側面や先端斜面に穴が形成されているため、薬剤などを注入する際の注入効率を高くしたり注射の際に患者が受ける痛みを軽減したりすることが可能となる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
図12は、このうち特許文献1に記載された従来の第1のレーザ加工方法を説明するために示す図である。図12(a)は従来の第1のレーザ加工方法を実施するためのレーザ加工装置800を示す斜視図であり、図12(b)は従来の第1のレーザ加工方法によって穴明け加工が行われている様子を示す図である。
【0004】
従来の第1のレーザ加工方法は、注射針の側面に穴を形成するレーザ加工方法であって、図12に示すように、レーザ加工装置800を用いて行う。従来の第1のレーザ加工方法においては、例えば直径0.4mm、内径0.2mmのステンレスからなる複数の細管820を準備し、これらの細管820をレーザ加工装置800の載置台804に載置した状態で、テーブル802をxy方向に適宜移動させながら、細管820に対してYAGレーザからパルス状のレーザ光L11を順次照射して穴明け加工を行うというものである。
【0005】
このため、従来の第1のレーザ加工方法によれば、側面に穴が形成された注射針を精度よく効率的に製造することが可能となる。その結果、このような注射針を用いることによって、薬剤などを注入する際の注入効率を高くすることが可能となる。
【0006】
図13は、特許文献2に記載された従来の第2のレーザ加工方法を説明するために示す図である。
従来の第2のレーザ加工方法は、注射針の先端斜面に穴(薬液流出穴914)を形成するレーザ加工方法であって、図13に示すように、注射針912の先端斜面にレーザ光L12を照射することにより行う。従来の第2のレーザ加工方法においては、例えば、プラススチック成形で製造された直径50μmの樹脂製の注射針912を準備し、この注射針912の先端斜面に対してYAGレーザからのスポット径10μm程度のレーザ光L12を照射して穴明け加工を行うというものである。
【0007】
このため、従来の第2のレーザ加工方法によれば、先端斜面に穴(薬液流出穴914)が形成された微小な注射針を製造することが可能となる。その結果、このような微小な注射針を用いることによって、注射の際に患者が受ける痛みを軽減することが可能となる。
【0008】
【特許文献1】特開平2−63689号公報
【特許文献2】特開2002−172169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の第1のレーザ加工方法や従来の第2のレーザ加工方法においては、穴明け加工を行う際に注射針の側面や先端斜面にドロスが付着したりバリが発生したりして注射針の表面状態が劣化するという問題がある。このように注射針の表面状態が劣化すると、注射の際に患者が受ける痛みが増大したり、注射の際に体内などに不純物が混入し易くなったりする。
【0010】
なお、このようなドロスが付着したりバリが発生したりして表面状態が劣化するという問題は、注射針に穴明け加工を行う場合だけに起こる問題ではなく、注射針以外の物品に穴明け加工を行う場合にも同様に起こり得る問題である。また、このような問題は、物品に穴を形成する場合だけに起こる問題ではなく、物品に溝を形成する場合、物品にテーパを形成する場合など、レーザ光を照射して物品にレーザ加工を行う場合全般について同様に起こり得る問題である。また、このような問題は、レーザ光を照射して物品に加工を施す場合だけに起こる問題ではなく、ドリル、パンチなどを用いて物品に加工を施す場合についても同様に起こり得る問題である。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、物品に加工を施すことに起因して物品にドロスが付着したりバリが発生したりして物品の表面状態が劣化するという問題を解決することを可能とするレーザ加工方法又はバリ取り方法を提供することを目的とする。また、このようなレーザ加工方法又はバリ取り方法を用いることによって製造される物品を提供することを目的とする。
【0012】
なお、本明細書では、物品にドロスが付着したりバリが発生したりして劣化した物品の表面状態を改善することを、「バリ取り」ということとする。すなわち、本発明における「バリ取り」とは、物品に発生したバリを取ることや物品に付着したドロスを除去することに加え、物品の表面状態を改善することをも含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明のレーザ加工方法は、加工対象物品における加工対象部位にレーザ加工を施す第1工程と、前記第1工程で生じたバリを除去するために、前記加工対象物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態でレーザ光を照射してバリ取りを行う第2工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
このため、本発明のレーザ加工方法によれば、第1工程で物品にドロスが付着したりバリが発生したりして物品の表面状態が劣化したとしても、バリ取りを行う第2工程を実施することにより、第1工程で発生したドロスやバリを除去することが可能となる。その結果、表面状態の改善された品質のよい物品を製造することが可能となる。
【0015】
なお、バリ取りを行う第2工程として、レーザ光を照射することによりバリ取りを行うバリ取り方法を適用することが考えられる(例えば、特開平7−176555号公報又は特開平10−154322号公報参照。)。
【0016】
しかしながら、この場合、単に物品にレーザ光を照射してバリ取りを行ったのでは、バリ取りに寄与しないレーザ光が物品に照射されてしまうこととなるため、物品そのものに損傷を与えることなくドロスやバリのみを除去することは容易ではない。
【0017】
これに対して、本発明のレーザ加工方法によれば、加工対象物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態でレーザ光を照射してバリ取りを行うため、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となり、物品そのものに損傷を与えることを十分に抑制しつつドロスやバリのみを除去することが可能となる。
【0018】
本発明のレーザ加工方法において、「加工対象物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態」とは、「加工対象物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とのなす角度が20度以下となる状態」という意味である。
【0019】
このように、上記角度が20度以下となる状態でレーザ光を照射することにより、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となるため、物品そのものに損傷を与えることを十分に抑制しつつドロスやバリのみを除去することが可能となる。
【0020】
この観点から言えば、上記角度が10度以下となる状態でレーザ光を照射することが好ましく、上記角度が5度以下となる状態でレーザ光を照射することがさらに好ましい。
【0021】
本発明のレーザ加工方法において、前記第1工程における「レーザ加工」とは、レーザ照射により物品に穴を形成する穴明け加工、レーザ照射により物品に溝を形成する溝堀り加工、レーザ照射により物品にテーパを形成するテーパ加工、その他レーザ照射により物品に加工を施す種々のレーザ加工を含む。
【0022】
本発明のレーザ加工方法において、前記第2工程における「加工対象物品のバリ取り対象部位における接面」とは、ドロスやバリの表面における接面ではなく、物品のもともとの表面における接面のことを意味する。
【0023】
(2)上記(1)に記載のレーザ加工方法においては、前記バリ取り対象部位の法線に沿った前記バリ取り対象部位と前記レーザ光の光軸との間隔が30μm以下となる状態でレーザ光を照射することが好ましい。
【0024】
このような方法とすることにより、レーザ光におけるパワー密度の高い部分でバリ取りを行うことが可能となるため、高い生産性をもって効率よくバリ取りを行うことが可能となる。
【0025】
この観点から言えば、バリ取り対象部位の法線に沿ったバリ取り対象部位とレーザ光の光軸との間隔が20μm以下となる状態でレーザ光を照射することがより好ましく、当該間隔が10μm以下となる状態でレーザ光を照射することがさらに好ましい。
【0026】
(3)上記(2)に記載のレーザ加工方法においては、前記バリ取り対象部位の法線に沿った前記バリ取り対象部位と前記レーザ光の光軸との間隔が0.5μm以上となる状態でレーザ光を照射することが好ましい。
【0027】
このような方法とすることにより、バリ取り対象部位とレーザ光の光軸とを若干離隔させた状態でレーザ光を照射することが可能となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となり、物品そのものに損傷を与えることをさらに十分に抑制しつつドロスやバリのみを除去することが可能となる。
【0028】
この観点から言えば、バリ取り対象部位の法線に沿ったバリ取り対象部位とレーザ光の光軸との間隔が1μm以上となる状態でレーザ光を照射することがより好ましく、当該間隔が2μm以上となる状態でレーザ光を照射することがさらに好ましい。
【0029】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のレーザ加工方法においては、前記レーザ光の光軸に沿った前記バリ取り対象部位とレーザ光の焦点との間隔が100μm以下となる状態でレーザ光を照射することが好ましい。
【0030】
このような方法とすることにより、レーザ光におけるパワー密度の高い部分でバリ取りを行うことが可能となるため、高い生産性をもって効率よくバリ取りを行うことが可能となる。また、レーザ光が最も絞られている部分でバリ取りを行うことが可能となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となり、物品そのものに損傷を与えることをさらに十分に抑制しつつドロスやバリのみを除去することが可能となる。
【0031】
これらの観点から言えば、レーザ光の光軸に沿ったバリ取り対象部位とレーザ光の焦点との間隔が50μm以下となる状態でレーザ光を照射することがより好ましく、当該間隔が20μm以下となる状態でレーザ光を照射することがさらに好ましい。
【0032】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のレーザ加工方法は、前記加工対象物品が円筒状又は円柱状の形状を有する場合に特に効果がある。
【0033】
前記加工対象物品が円筒状又は円柱状の形状を有する場合には、加工対象物品の表面が凸面となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となるからである。
【0034】
(6)上記(5)に記載のレーザ加工方法において、前記第2工程においては、前記加工対象物品における中心軸に垂直な平面と前記レーザ光の光軸とのなす角度が80度以下となる状態でレーザ光を照射することが好ましい。
【0035】
このような方法とすることにより、レーザ光の進行方向に沿った物品の表面が、ある程度以上の曲率半径を有する凸面となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となる。
【0036】
この観点から言えば、加工対象物品における中心軸に垂直な平面とレーザ光の光軸とのなす角度が70度以下となる状態でレーザ光を照射することがより好ましく、当該角度が60度以下となる状態でレーザ光を照射することがさらに好ましい。
【0037】
なお、円筒状又は円柱状を有する物品に螺旋状の穴又は溝を形成した場合には、螺旋状の穴又は溝が進行する方向に直交する方向に沿ってレーザ光を照射することが好ましい。
【0038】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のレーザ加工方法において、前記第2工程においては、前記加工対象物品の表面における前記バリ取り対象部位に対してレーザ光を順次照射しながらバリを除去することが好ましい。
【0039】
このような方法とすることにより、加工対象物品の表面全体にわたってバリ取りを行うことが可能となる。
【0040】
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載のレーザ加工方法においては、同一のレーザ加工装置を用いて連続して前記第1工程と前記第2工程とを実施することが好ましい。
【0041】
このように同一のレーザ加工装置を用いて連続して第1工程と第2工程とを実施することにより、高い生産性をもって物品にレーザ加工を施すことが可能となる。
【0042】
この場合、「連続して」とは、取り付け治具に加工対象物品を取り付けたままという意味であり、これにより高い生産性をもって効率よく物品にレーザ加工を施すことが可能となる。
【0043】
なお、第1工程におけるレーザ光の出力と第2工程におけるレーザ光の出力とを同一のものにすることもできるし、異なるものとすることもできる。後者の場合、第2工程におけるレーザ光の出力を第1工程におけるレーザ光の出力より弱くすることもできるし、強くすることもできる。
【0044】
(9)本発明のバリ取り方法は、加工を施した物品に生じたバリを除去するためのバリ取り方法であって、前記物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態でレーザ光を照射してバリ取りを行うことを特徴とする。
【0045】
このため、本発明のバリ取り方法によれば、ドロスが付着したりバリが発生したりして表面状態が劣化した物品からドロスやバリを除去することが可能となる。その結果、表面状態の改善された品質のよい物品を製造することが可能となる。
【0046】
また、本発明のバリ取り方法によれば、物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態でレーザ光を照射してバリ取りを行うため、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となり、物品そのものに損傷を与えることを十分に抑制しつつドロスやバリのみを除去することが可能となる。
【0047】
このように、本発明のバリ取り方法によれば、ドリル、パンチなどを用いて物品に加工を施した場合などにおいてバリが発生して表面状態が劣化した物品にレーザ光を照射してバリ取りを行ったとしても、バリ取りに寄与しないレーザ光を極力物品に照射しないようにすることが可能となり、物品そのものに損傷を与えることを十分に抑制しつつドロスやバリのみを除去することが可能となる。
【0048】
なお、本発明のバリ取り方法は、上記した本発明のレーザ加工方法に好適な特徴のうち適用可能な特徴を有することがもちろん好ましい。
【0049】
(10)本発明の物品は、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のレーザ加工方法を用いて製造された物品である。
【0050】
このため、本発明の物品は、ドロスやバリのみが除去され、表面状態の改善された品質のよい物品となる。
【0051】
(11)本発明の物品は、上記(9)に記載のバリ取り方法を用いて製造された物品である。
【0052】
このため、本発明の物品は、ドロスやバリのみが除去され、表面状態の改善された品質のよい物品となる。
【0053】
(12)上記(10)又は(11)に記載の物品においては、前記物品が、注射針、脳探査針、μTAS用針、STM用プローブ又はLSI検査用プローブである場合に、特に効果を有する。
【0054】
上記のように、上記(10)又は(11)に記載の物品は、ドロスやバリのみが除去され、表面状態の改善された品質のよい物品であるため、上記したように種々の用途に好ましく用いることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明のレーザ加工方法、バリ取り方法及び物品について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0056】
〔実施形態1〕
実施形態1においては、金属細管に螺旋状の穴を形成するためのレーザ加工方法について説明する。このように螺旋状の穴が形成された金属細管は、普通の金属細管と比較して柔軟性に富むため、脳探査針として好適なものとなる。
【0057】
図1は、実施形態1に係るレーザ加工方法を説明するために示すフローチャートである。図2は、実施形態1に係るレーザ加工方法を実施するためのレーザ加工装置100を説明するために示す図である。図3は、実施形態1に係るレーザ加工方法における第1工程を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(d)は第1工程における各副工程を示す図である。図4は、実施形態1に係るレーザ加工方法における第1工程を実施して得られる金属細管10の表面状態を示す図である。図4(a)は金属細管10の斜視図であり、図4(b)は図4(a)の部分拡大図である。
【0058】
図5は、実施形態1に係るレーザ加工方法における第2工程を説明するために示す図である。図5(a)は第1工程においてレーザ光Lが金属細管10に照射されている様子を示す図であり、図5(b)は第2工程においてレーザ光Lが金属細管10に照射されている様子を示す図である。図6は、実施形態1に係るレーザ加工方法における第2工程を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(d)は第2工程における各副工程を示す図である。図7は、実施形態1に係るレーザ加工方法における第2工程を実施して得られる金属細管10の表面状態を示す図である。図7(a)は金属細管10の斜視図であり、図7(b)は図7(a)の部分拡大図である。
【0059】
実施形態1に係るレーザ加工方法は、図1に示すように、加工対象物品における加工対象部位にレーザ加工を施す第1工程S10と、加工対象物品におけるバリ取り対象部位にレーザ光を照射してバリ取りを行う第2工程S20とを含む。
【0060】
実施形態1に係るレーザ加工方法は、図2に示すレーザ加工装置100を用いて行う。レーザ加工装置100は、加工ステージ110と、レーザ光照射装置130と、計測システム150とを備えている。
【0061】
加工ステージ110は、概略L字形状を有する基台112と、基台112に対してx軸方向に沿って移動可能に取り付けられたx移動テーブル114と、x移動テーブル114に対してz軸方向に沿って移動可能に取り付けられたz移動テーブル116と、z移動テーブル116に対してz軸を中心として回転可能に取り付けられた試料取り付け用チャック118と、基台112に対してy軸方向に沿って移動可能に取り付けられたy移動テーブル120とを有する。加工ステージ110としては、高島産業株式会社製のxyzθ4軸制御ステージを用いた。
【0062】
レーザ光照射装置130は、グリーンレーザ132と、グリーンレーザ132からの光を反射するミラー134と、ミラー134で反射されたレーザ光のビーム径を拡大するビームエクスパンダ136と、ビームエクスパンダ136でビーム径が拡大されたレーザ光を所定の大きさ・形状に整形するアパーチャー138と、アパーチャー138で整形されたレーザ光を反射するミラー140と、加工ステージ110のy移動テーブル120上に取り付けられ、ミラー140で反射されたレーザ光を集光する集光レンズ142とを有する。グリーンレーザ132としては、株式会社アライドレーザ製のAlistar−B(Nd:YVO)を用いた。レーザ光の波長は532nmであり、レーザ光の最大パルスエネルギーは0.025mJであり、レーザ光の繰り返し周波数は1kHzであり、レーザ光のパルス幅は4nsecである。
【0063】
計測システム150は、加工対象物品における加工対象部位やバリ取り対象部位などを撮影する撮像素子152と、撮像素子152で撮影された被撮影物を表示するモニタ154とを有する。
【0064】
第1工程S10においては、図3に示すように、加工対象物品としての金属細管10における加工対象部位にレーザ穴明け加工を施す。具体的には、金属細管10をz軸を中心として所定方向に回転させるとともにz方向に沿って上下動させながら、金属細管10にレーザ光Lを照射して金属細管10に螺旋状の穴を形成する。
【0065】
金属細管10としては、外径300μm、内径150μmの銅製の金属細管を用いた。金属細管10の回転速度は2.7rad/secであり、金属細管10の上下動の送り速度は100μm/secであり、金属細管10の上下動の往復回数は60回であり、金属細管10の上下動の範囲は2.0mmであり、螺旋状の穴の巻き数は8.6周である。
【0066】
その結果、金属細管10には、図4(a)に示すように、螺旋状の穴12が形成される。このとき、金属細管10における螺旋状の穴12の周囲には、図4(b)に示すように、ドロス14が付着する。この明細書では、「ドロス」のことを「バリ」ということもある。
【0067】
第2工程S20は、螺旋状の穴12の周囲に形成されたバリ(ドロス14)を除去するためのバリ取り工程である。そして、第2工程S20においては、図5(b)に示すように、金属細管10のバリ取り対象部位(ドロス付着部位)における接面Pとレーザ光Lの光軸Laxとが平行となる状態(すなわち、金属細管10のバリ取り対象部位における接面Pとレーザ光Lの光軸Laxとのなす角度が0度となる状態)でレーザ光Lを照射してバリ取りを行う。
【0068】
この点で、第2工程は、金属細管10の加工対象部位における接面Pとレーザ光Lの光軸Laxとが垂直となる状態で加工対象部位にレーザ光Lを照射して金属細管10に穴明け加工を施す第1工程(図5(a)参照。)とは、接面に対するレーザ光の照射方向が90度異なっている。
【0069】
このため、実施形態1に係るレーザ加工方法によれば、第1工程S10で物品にバリ(ドロス14)が発生して金属細管10の表面状態が劣化したとしても、バリ取りを行う第2工程S20を実施することにより、第1工程で発生したバリ(ドロス14)を除去することが可能となる。その結果、表面状態の改善された品質のよい金属細管を製造することが可能となる。
【0070】
また、実施形態1に係るレーザ加工方法によれば、第2工程S20においては、金属細管10のバリ取り対象部位(ドロス付着部位)における接面Pとレーザ光Lの光軸Laxとが平行となる状態でバリ取り対象部位にレーザ光Lを照射してバリ取りを行うため、図5(b)に示すように、バリ取りに寄与しないレーザ光L’を極力金属細管10に照射しないようにすることが可能となり、金属細管10そのものに損傷を与えることを十分に抑制しつつバリ(ドロス14)のみを除去することが可能となる。
【0071】
第2工程S20においては、図5(b)に示すように、バリ取り対象部位とレーザ光Lの焦点Fとをこれらが同一位置になるように配置した状態でバリ取り対象部位にレーザ光Lを照射することとしている。
【0072】
すなわち、第2工程S20においては、バリ取り対象部位の法線に沿ったバリ取り対象部位とレーザ光Lの光軸Laxとの間隔が0μmとなる状態でレーザ光Lを照射することとしている。
【0073】
このため、実施形態1に係るレーザ加工方法によれば、レーザ光Lにおけるパワー密度の高い部分でバリ取りを行うことが可能となるため、高い生産性をもって効率よくバリ取りを行うことが可能となる。
【0074】
また、第2工程S20においては、レーザ光Lの光軸Laxに沿ったバリ取り対象部位とレーザ光Lの焦点Fとの間隔が0μmとなる状態でレーザ光Lを照射することとしている。
【0075】
このため、実施形態1に係るレーザ加工方法によれば、レーザ光Lにおけるパワー密度の高い部分でバリ取りを行うことが可能となるため、高い生産性をもって効率よくバリ取りを行うことが可能となる。また、レーザ光Lが最も絞られている部分でバリ取りを行うことが可能となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光L’を極力金属細管10に照射しないようにすることが可能となり、金属細管10そのものに損傷を与えることをさらに十分に抑制しつつバリ(ドロス14)のみを除去することが可能となる。
【0076】
第2工程S20においては、図6に示すように、金属細管10の表面におけるバリ取り対象部位に対してレーザ光Lを順次照射しながらバリを除去することとしている。具体的には、金属細管10の回転を停止させた状態でz方向に沿って金属細管10を上下動(送り速度:100μm/sec)させながら、金属細管10にレーザ光Lを照射して上下方向に沿ってバリを除去する。その後、金属細管10をz軸を中心にして3度回転させ同様のバリ取り操作を行う。これを120回繰り返すことにより金属細管10の表面全体にわたってバリを除去する。
【0077】
実施形態1に係るレーザ加工方法においては、同一のレーザ加工装置100を用いて連続して第1工程S10と第2工程S20とを実施することとしている。
【0078】
このため、実施形態1に係るレーザ加工方法によれば、高い生産性をもって金属細管10物品にレーザ加工を施すことが可能となる。
【0079】
実施形態1に係るレーザ加工方法によれば、図7に示すように、第1工程S10で発生したバリ(金属細管10における螺旋状の穴12の周囲に発生したバリ(ドロス14))を第2工程S20を行うことによってきれいに除去することが可能となる。
【0080】
〔変形例1〕
図8は、実施形態1の変形例1に係るレーザ加工方法における第2工程を説明するために示す図である。図8(a)はバリ取り対象部位とレーザ光Lとの関係を模式的に示す図であり、図8(b)は図8(a)の要部拡大図である。
【0081】
実施形態1に係るレーザ加工方法においては、図5(b)に示すように、金属細管10のバリ取り対象部位(ドロス付着部位)における接面Pとレーザ光Lの光軸Laxとが平行となる状態で、かつ、バリ取り対象部位とレーザ光Lの焦点Fとをこれらが同一位置になるように配置した状態でレーザ光Lを照射することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0082】
すなわち、本発明のレーザ加工方法においては、図8に示すように、金属細管10のバリ取り対象部位(ドロス付着部位)における接面Pとレーザ光Lの光軸Laxとのなす角度θが例えば20度以下となる状態でバリ取り対象部位にレーザ光Lを照射することとしてもよい。
【0083】
このような方法とすることにより、バリ取りに寄与しないレーザ光L’を極力金属細管10に照射しないようにすることが可能となるため、金属細管10そのものに損傷を与えることをさらに十分に抑制しつつバリ(ドロス14)のみを除去することが可能となる。
【0084】
また、本発明のレーザ加工方法においては、図8に示すように、バリ取り対象部位の法線に沿ったバリ取り対象部位とレーザ光Lの光軸Laxとの間隔dが例えば30μm以下となる状態でバリ取り対象部位にレーザ光Lを照射することとしてもよい。
【0085】
このような方法とすることによっても、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合と同様に、レーザ光Lにおけるパワー密度の高い部分でバリ取りを行うことが可能となるため、高い生産性をもって効率よくバリ取りを行うことが可能となる。
【0086】
また、本発明のレーザ加工方法においては、図8に示すように、レーザ光Lにおけるビームウエストの幅WBWを考慮して、バリ取り対象部位の法線に沿ったバリ取り対象部位とレーザ光Lの光軸Laxとの間隔dが例えば0.5μm以上となる状態でバリ取り対象部位にレーザ光Lを照射することとしてもよい。
【0087】
このような方法とすることにより、バリ取り対象部位とレーザ光Lの光軸Laxとを若干離隔させた状態でレーザ光Lを照射することが可能となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光L’を極力金属細管10に照射しないようにすることが可能となり、金属細管10そのものに損傷を与えることをさらに十分に抑制しつつバリ(ドロス14)のみを除去することが可能となる。
【0088】
さらにまた、本発明のレーザ加工方法においては、図8に示すように、レーザ光Lの光軸Laxに沿ったバリ取り対象部位とレーザ光Lの焦点Fとの間隔dが例えば100μm以下となる状態でバリ取り対象部位にレーザ光Lを照射することとしてもよい。
【0089】
このような方法とすることによっても、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合と同様に、レーザ光Lにおけるパワー密度の高い部分でバリ取りを行うことが可能となるため、高い生産性をもって効率よくバリ取りを行うことが可能となる。また、レーザ光Lが最も絞られている部分でバリ取りを行うことが可能となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光L’を極力金属細管10に照射しないようにすることが可能となるため、金属細管10そのものに損傷を与えることをさらに十分に抑制しつつバリ(ドロス14)のみを除去することが可能となる。
【0090】
〔実施形態2〕
図9は、実施形態2に係るレーザ加工方法を説明するために示す図である。図9(a)は金属細管10を斜め左方から見た図であり、図9(b)は金属細管10を側面から見た図である。
【0091】
実施形態2に係るレーザ加工方法は、基本的には実施形態1に係るレーザ加工方法と同様の工程を有しているが、第2工程で金属細管10に対してレーザ光を照射する方向が、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合とは異なっている。すなわち、実施形態2に係るレーザ加工方法においては、図9に示すように、第2工程で、螺旋状の穴12が進行する方向に直交する方向に沿ってレーザ光Lを照射することとしている。
【0092】
この場合、螺旋状の穴12の螺旋ピッチが小さく設定されていて、金属細管10の中心軸Caxに垂直な仮想平面Qと螺旋状の穴12の進行方向とのなす角度が10度以下となるような場合には、仮想平面Qとレーザ光Lの光軸Laxとのなす角度φが80度以下となる状態でバリ取り対象部位にレーザ光Lを照射することが好ましい。
【0093】
このような方法とすることにより、レーザ光Lの進行方向に沿った金属細管10の表面が、ある程度以上の曲率半径を有する凸面となるため、バリ取りに寄与しないレーザ光L’を極力金属細管10に照射しないようにすることが可能となる。
【0094】
なお、実施形態2に係るレーザ加工方法は、これ以外の点では実施形態1に係るレーザ加工方法の場合と同様であるため、実施形態1に係るレーザ加工方法が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0095】
〔実施形態3〕
実施形態3は、金属細管にスリット状の穴を形成するためのレーザ加工方法についての実施形態である。図10は、実施形態3に係るレーザ加工方法を説明するために示す図である。図10(a)は金属細管20を斜め左方から見た図であり、図10(b)は金属細管20の横断面図である。
【0096】
実施形態3に係るレーザ加工方法は、基本的には実施形態1に係るレーザ加工方法と同様の工程を有しているが、第1工程で用いるレーザ加工の種類が、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係るレーザ加工方法においては、図10に示すように、第1工程で用いるレーザ加工として金属細管20に対してスリット加工を施すレーザ加工を用いている。
【0097】
このように、実施形態3に係るレーザ加工方法は、第1工程で用いるレーザ加工の種類が、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合とは異なるが、これ以外の点では、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合と同様であるため、実施形態1に係るレーザ加工方法が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0098】
実施形態3に係るレーザ加工方法によれば、上記のようにバリ(ドロス24)が除去され表面状態の改善された金属細管20を製造することが可能となるため、これを注射針やμTAS用針に適用することよって、薬剤などを注入する際の注入効率を高くしたり、薬剤注入の際などの不純物混入可能性を低くしたりすることが可能となる。
【0099】
〔実施形態4〕
実施形態4は、金属細管にテーパ状の段差を形成するためのレーザ加工方法についての実施形態である。図11は、実施形態4に係るレーザ加工方法を説明するために示す図である。図11(a)は金属細管30を斜め左方から見た図であり、図11(b)は金属細管30の横断面図である。
【0100】
実施形態4に係るレーザ加工方法は、基本的には実施形態1に係るレーザ加工方法と同様の工程を有しているが、第1工程で用いるレーザ加工の種類が、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係るレーザ加工方法においては、第1工程で用いるレーザ加工として、図11に示すように、金属細管30に対してテーパ加工(段差加工)を施すレーザ加工を用いている。
【0101】
このように、実施形態4に係るレーザ加工方法は、第1工程で用いるレーザ加工の種類が、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合とは異なるが、これ以外の点では、実施形態1に係るレーザ加工方法の場合と同様であるため、実施形態1に係るレーザ加工方法が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0102】
実施形態4に係るレーザ加工方法によれば、上記のようにバリ(ドロス34)が除去され表面状態の改善された金属細管30を製造することが可能となるため、これをSTM用プローブ、LSI検査用プローブなどの各種のプローブに適用することよって、STM用プローブの解像度を高めたり、LSI検査用プローブの電気的安定性を高めたり、その他のプローブの基本性能を高めたりすることが可能となる。
【0103】
以上、本発明のレーザ加工方法、バリ取り方法又は物品を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0104】
(1)実施形態1〜4に係るレーザ加工方法は、加工対象物品にレーザ加工を施す第1工程と、第1工程で生じたバリを除去するために加工対象物品のバリ取り対象部位にレーザ光を照射してバリ取りを行う第2工程とを含むレーザ加工方法であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ドリル、パンチなどを用いて物品に加工を施すことによって生じたバリを、物品にレーザ光を照射することにより除去することもできる。
【0105】
(2)実施形態1〜4に係るレーザ加工方法においては、銅製の金属細管にレーザ加工を施す場合を例にとって本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、銅以外の金属からなる金属細管、金属細管以外の金属製の物品、樹脂製の物品、セラミックス製の物品にレーザ加工を施す場合に本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施形態1に係るレーザ加工方法を説明するために示すフローチャートである。
【図2】実施形態1に係るレーザ加工方法を実施するためのレーザ加工装置100を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係るレーザ加工方法における第1工程を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1に係るレーザ加工方法における第1工程を実施して得られる金属細管10の表面状態を示す図である。
【図5】実施形態1に係るレーザ加工方法における第2工程を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1に係るレーザ加工方法における第2工程を説明するために示す図である。
【図7】実施形態1に係るレーザ加工方法における第2工程を実施して得られる金属細管10の表面状態を示す図である。
【図8】実施形態1の変形例1に係るレーザ加工方法における第2工程を説明するために示す図である。
【図9】実施形態2に係るレーザ加工方法を説明するために示す図である。
【図10】実施形態3に係るレーザ加工方法を説明するために示す図である。
【図11】実施形態4に係るレーザ加工方法を説明するために示す図である。
【図12】従来の第1のレーザ加工方法を説明するために示す図である。
【図13】従来の第2のレーザ加工方法を説明するために示す図である。
【符号の説明】
【0107】
10,20,30…金属細管、12…螺旋状の穴、14,24,34…ドロス、16…バリ取り加工が終了した領域、22…スリット状の穴、100…レーザ加工装置、110…加工ステージ、112…基台、114…x移動テーブル、116…z移動テーブル、118…試料取り付け用チャック、120…y移動テーブル、130…レーザ光照射装置、132…グリーンレーザ、134…ミラー、136…ビームエクスパンダ、138…アパーチャー、140…ミラー、142…集光レンズ、150…計測システム、152…撮像素子、154…モニタ、800…レーザ加工装置、802…テーブル、804…載置台、806…押さえ板、808…弾性片、810…レーザ光照射部、820…細管、910…ベース部、912…注射針、914…薬液流出穴、Cax…金属細管10の中心軸、d…バリ取り対象部位の法線に沿ったバリ取り対象部位とレーザ光Lの光軸Laxとの間隔、d…レーザ光Lの光軸Laxに沿ったバリ取り対象部位とレーザ光Lの焦点Fとの間隔、F…レーザ光の焦点、L,L,L’,L,L’,L,L’,L,L’,L11,L12…レーザ光、Lax,Lax,Lax,Lax,Lax…レーザ光の光軸、P…加工対象部位における接面、P,P,P…バリ取り対象部位における接面、Q…金属細管10の中心軸Caxに垂直な仮想平面、θ…バリ取り対象部位における接面Pとレーザ光Lの光軸Laxとのなす角度、φ…仮想平面Qとレーザ光Lの光軸Laxとのなす角度、WBW…ビームウエストの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物品における加工対象部位にレーザ加工を施す第1工程と、
前記第1工程で生じたバリを除去するために、前記加工対象物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態でレーザ光を照射してバリ取りを行う第2工程とを含むことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工方法において、
前記バリ取り対象部位の法線に沿った前記バリ取り対象部位と前記レーザ光の光軸との間隔が30μm以下となる状態でレーザ光を照射することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工方法において、
前記バリ取り対象部位の法線に沿った前記バリ取り対象部位と前記レーザ光の光軸との間隔が0.5μm以上となる状態でレーザ光を照射することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ加工方法において、
前記レーザ光の光軸に沿った前記バリ取り対象部位とレーザ光の焦点との間隔が100μm以下となる状態でレーザ光を照射することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ加工方法において、
前記加工対象物品は、円筒状又は円柱状の形状を有することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザ加工方法において、
前記第2工程においては、前記加工対象物品における中心軸に垂直な平面と前記レーザ光の光軸とのなす角度が80度以下となる状態でレーザ光を照射することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のレーザ加工方法において、
前記第2工程においては、前記加工対象物品の表面における前記バリ取り対象部位に対してレーザ光を順次照射しながらバリを除去することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のレーザ加工方法において、
同一のレーザ加工装置を用いて連続して前記第1工程と前記第2工程とを実施することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項9】
加工を施した物品に生じたバリを除去するためのバリ取り方法であって、
前記物品のバリ取り対象部位における接面とレーザ光の光軸とが略平行となる状態でレーザ光を照射してバリ取りを行うことを特徴とするバリ取り方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載のレーザ加工方法を用いて製造された物品。
【請求項11】
請求項9に記載のバリ取り方法を用いて製造された物品。
【請求項12】
前記物品が、注射針、脳探査針、μTAS用針、STM用プローブ又はLSI検査用プローブであることを特徴とする請求項10又は11に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−209992(P2007−209992A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29776(P2006−29776)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501061319)学校法人 東洋大学 (68)
【出願人】(593174870)高島産業株式会社 (24)
【出願人】(391001619)長野県 (64)
【Fターム(参考)】