説明

レーザ加工装置

【課題】ディスプレイ用光学フィルタとしての機能層を有する機能性パネルにおいて、良好な電磁波シールド性を有し、安定したアース電極を露出させるために好適なレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】予め所定の位置に位置決め配置されるワークの表面にレーザを照射することにより表面を加工するレーザ加工装置であって、レーザを出力するレーザ発振手段と、レーザ発振手段からワークの表面までのレーザの進行する経路を規定するレーザ案内手段と、レーザ案内手段をワークに対して相対的に移動させる移動手段と、レーザの出力を制御するレーザ制御手段とを備え、レーザ制御手段が、ワークに対するレーザの移動速度に対応し、単位面積におけるメッシュの露出密度が一定範囲内となるようにレーザの照射する時間を制御する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関し、ディスプレイ用光学フィルタとしての機能層を有する機能性パネルにおいて、良好な電磁波シールド性を有し、安定したアース電極を露出させるために好適なレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工は、種々の加工に適用される。例えば、プラズマディスプレイの前面に配置される機能性パネルの表層の一部を除去する加工にレーザ加工が用いられている。プラズマディスプレイ(PDP)は、ディスプレイを構成する画素の発光部に高周波パルス放電を行うことで画素を発色させて画像を表示するようにしているため、ディスプレイの表面には電磁波及び赤外線が輻射してしまう。電磁波は人体に悪影響を及ぼす虞があり、赤外線は赤外線リモコンによって操作される機器を誤作動させる虞があるため、ディスプレイの前面に電磁波及び赤外線の輻射を抑制するための機能性パネルが配置される。機能性パネルは、透明なガラス基板の上に、電磁波及び赤外線の輻射を抑制するための導電層が積層され、さらに、ディスプレイに対して外部からの光が反射することを防止する反射防止層が導電層の上面に積層され、反射防止層を保護する保護層が反射防止層の上面に積層される。
【0003】
機能性パネルは、導電層による電磁波及び赤外線のシールド性を良好かつ有効にするため、導電層を構成する導電性メッシュがPDP本体に接地(アース)される。導電性メッシュを接地するため、導電性メッシュの上面に積層される反射防止層や保護層をレーザ加工により部分的に除去し、導電性メッシュが露出するように加工される。具体的には、機能性パネルの縁部側の保護層の表面に間欠的にレーザを照射するとともに縁部に沿ってレーザを額縁状に移動させることにより導電性メッシュよりも上層の反射防止層と保護層とが除去され、導電性メッシュが島状に露出される。露出した導電性メッシュは、電極部として使用され、PDP本体に接地することにより電磁波のシールド性を良好かつ有効なものとしている。
【0004】
しかしながら、上記のようにレーザを機能層に照射して除去する場合、機能層の除去工程において導電性メッシュが加熱されてしまい基板から剥離してしまう虞があった。そこで、導電性メッシュが基板から剥離しないようにレーザの出力を下げ、レーザを数回往復走査させることによって導電性メッシュの加熱を抑制しながら電極部を十分な大きさに形成するようにしているが、加工に時間を要することとなり、生産性向上の妨げとなっている。
また、導電性メッシュが加熱されないように間欠的に照射するレーザの間隔と出力とを最適化して加工する方法が考えられるが、機能性パネルに対するレーザの移動速度が最速となるときを基準にしてレーザを照射する間隔と出力とを最適化すると、移動速度が変化する加速時や減速時に、レーザによって除去される加工深さが深くなってしまい導電性メッシュを破壊して断線させてしまう虞がある。また、レーザの間隔と出力とを機能性パネルに対するレーザの移動速度が最遅となるときを基準に最適化すると、移動速度が最速となったときにレーザによって除去される深さが浅くなり、導電性メッシュが露出しない部分が生じてしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−192885号公報
【特許文献2】特開2008−197539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、ディスプレイ用光学フィルタとしての機能層を有する機能性パネルにおいて、良好な電磁波シールド性を有し、安定したアース電極を露出させるために好適なレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る第1の構成として、予め所定の位置に位置決め配置されるワークの表面にレーザを照射することにより当該表面を加工するレーザ加工装置であって、レーザを出力するレーザ発振手段と、レーザ発振手段からワークの表面までのレーザの進行する経路を規定するレーザ案内手段と、レーザ案内手段をワークに対して相対的に移動させる移動手段と、レーザの出力を制御するレーザ制御手段とを備え、レーザ制御手段が、ワークに対するレーザの移動速度に対応し、単位面積におけるメッシュの露出密度が一定範囲内となるようにレーザの照射する時間を制御する構成とした。
本構成によれば、ワークに対するレーザの移動速度に応じてレーザのエネルギー出力を変化させることにより、加工深さを一定に保ちつつ、レーザの照射開始位置をワークの加工位置に対応させて加工できる。つまり、加工する経路に沿ってのみレーザを移動させれば良いので、実際に加工を開始するまでの助走区間を設定する必要がないので、加工効率を向上させることができる。
本発明に係る第2の構成として、レーザ制御手段は、レーザのパルス周期を制御するパルス周期制御手段と、レーザのパルス幅を制御するパルス幅制御手段とを備える構成とした。
本構成によれば、パルス幅を制御することによりレーザの出力を制御することができ、パルス周期を制御することによりワークに対して出力する単位時間あたりのエネルギー密度を一定に保つことができるので、レーザの加工による加工深さ及び加工面積を一定に保つことができる。
本発明に係る第3の構成として、レーザ制御手段は、移動手段の有する駆動源の動作特性マップを有し、駆動源がレーザ制御手段に出力する回転パルス信号に基づいて動作特性マップを参照し、レーザの移動速度が静止状態から定速状態、又は、定速状態から静止状態となるまでの移動速度の変化に応じて、パルス幅を定速状態のパルス幅よりも短く制御する構成とした。
本構成によれば、レーザ制御手段が、駆動源の出力する回転パルス信号に基づいて駆動源の動作特性マップを参照することで、演算によってレーザのパルス幅を制御するよりも早い制御をすることができる。
本発明に係る第4の構成として、レーザ制御手段は、移動手段の有する駆動源の動作特性マップを有し、駆動源がレーザ制御手段に出力する回転パルス信号に基づいて動作特性マップを参照し、レーザの移動速度が静止状態から定速状態、又は、定速状態から静止状態となるまでの移動速度の変化に応じて、パルス周期を定速状態のパルス周期よりも密に制御する構成とした。
本構成によれば、レーザ制御手段が、駆動源の出力する回転パルス信号に基づいて駆動源の動作特性マップを参照することで、演算によってレーザのパルス周期を制御するよりも早い制御をすることができる。
本発明に係る第5の構成として、ワークは、透明基材の一方の全面にパターン状の電磁波シールド層及び当該電磁波シールド層の全面に機能層が形成された積層体であるようにした。
本構成によれば、上記第1乃至第4に係る発明の構成の効果に加え、電磁波シールド層を傷つけることなく機能層を除去する加工を効率良く施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の概略構成図。
【図2】本発明に係るワークとしてのディスプレイ用光学フィルタの構成図。
【図3】本発明に係る搬送機構の平面図及び断面図、及びガラス基板保持装置の拡大図。
【図4】本発明に係るパルスエネルギー線図。
【図5】本発明に係るパルスの説明図。
【図6】本発明に係るレーザ加工装置における電気的接続のブロック図。
【図7】本発明に係るレーザ制御手段によるパルス制御のフローチャート。
【0009】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、レーザ加工装置1の概略構成図を示す。図2は、ワークとしてのディスプレイ用光学フィルタの構成図を示す。以下、図1及び図2を用いてレーザ加工装置1の概略構成について説明する。なお、ワークの搬送方向を主走査方向(主方向と記す)又はX方向とし、X方向と直角の方向を副走査方向(副方向と記す)又はY方向とし、鉛直方向については、Z方向とする。
本実施形態においてレーザ加工装置1により加工されるディスプレイ用光学フィルタは、例えば、図2(a),(b)に示すように、プラズマディスプレイ等の画像表示装置の表面に配設される機能性パネル10であって、透明基材14の一方の全面にパターン状の電磁波シールド層11及び当該電磁波シールド層11の全面に機能層12が形成された積層体である。
具体的には、図2(b)の断面図に示すように、ワークとしての機能性パネル10は、ガラス基板等の透明基材14の一方の表面に、メッシュ状の電磁波シールド層11、機能層12を構成するハードコート層15及び低屈折率層16が設けられ、他方の表面には近赤外線吸収層17及びその上に透明粘着剤層18が設けられたディスプレイ用光学フィルタである。機能性パネル10は、例えば、周長3.8mでアスペクト比が16:9の矩形形状に成型される。
機能性パネル10は、図2(c)に示すように、レーザ加工装置1によって外周縁に沿って一定幅の加工部3の機能層12を除去することにより電磁波シールド層11が露出するように一定幅で額縁状の電極部4が形成される。電磁波シールド層11が露出するまで除去される機能層12の厚さdは、例えば、約50μmである。
【0011】
レーザ加工装置1は、前工程で製造された機能性パネル10の搬送経路上に配置される。レーザ加工装置1は、機能性パネル10を搬送する搬送台21と、搬送台21に立設される加工室22と、レーザを発振するレーザ発振手段23と、レーザの経路を案内するレーザ案内手段24と、レーザ案内手段24を移動させる移動手段25と、レーザの出力を制御するレーザ制御手段26と、加工全般を制御するPLC制御装置27とを備える。
【0012】
搬送台21は、工場内の床面に配置される基台31と、機能性パネル10を搬送する搬送機構32と、エアテーブル33とを有する。
基台31は、加工前の機能性パネル10が待機する待機領域A1と、実際に機能性パネル10を加工する加工領域A2と、加工後の機能性パネル10が加工領域A2から排出される搬出領域A3とを有する。基台31は、上面31aが平面に形成され、基台31の上面31aには、搬送機構32と、エアテーブル33と、加工室22とが配置される。
【0013】
図3(a)は、搬送機構32を示す上面図を示し、図3(b)は、搬送機構32の副方向断面を示し、図3(c)は、ガラス基板保持装置34の拡大図を示す。
搬送機構32は、基台31の副方向中央に位置し、当該基台31の長手方向に待機領域A1から加工領域A2を経て搬出領域A3まで一連に延長するように配置される。搬送機構32は、機能性パネル10を吸着保持するパネル保持装置34と、パネル保持装置34を往復移動させるスライダ機構35とにより構成される。
スライダ機構35は、待機領域A1から搬出領域A3まで延長するスライダレール35Aと、スライダレール35A上を移動するスライダ35Bと、ボールネジ駆動によりスライダ35Bを駆動する図外のサーボモータとにより構成される。なお、スライダ35Bの駆動には、エアーシリンダ駆動,ボールネジ駆動,タイミングベルト駆動,ラック&ピニオン駆動などが挙げられる。
【0014】
パネル保持装置34は、当該パネル保持装置34をスライダ35Bの上面に取り付けるためのベース36と、機能性パネル10を吸着する吸着パッド37と、機能性パネル10を支持する弾性材38とを備える。
ベース36は、孔36Aを備え、スライダ35Bに固定される。吸着パッド37は、可撓性を有する素材、例えば、ゴムを成型した部材であって、ベース36の孔36Aに挿入され固定される円筒部37Aと、円筒部37Aから保持対象たる機能性パネル10に密着するコーン部37Bとから形成される。円筒部37Aは、中空の円筒体であってベース36の孔36Aに挿入され固定される。コーン部37Bは、円筒部37Aの一側から末広がりに広がるすり鉢状に形成される。円筒部37Aには、図外の負圧発生手段から延長するエアチューブが接続される。弾性材38は、吸着パッド37の両側においてベース36に配設される。弾性材38の上面が、吸着パッド37の縁面よりも低い高さに設定される。
よって、コーン部37Bの縁面に機能性パネル10を接触させ、図外の負圧発生手段を動作させることにより、コーン部37Bと機能性パネル10とによって形成される空間が負圧となり、コーン部37Bの縁面が機能性パネル10に密着し、弾性材38に当接する。そして、円筒部37Aの上部と機能性パネル10とが当接するまで負圧を大きくすることにより、吸着パッド37と弾性材38とが機能性パネル10をしっかりと保持する。
【0015】
エアテーブル33は、各領域の長さと略同一の長さ、かつ、長さに対して短い幅の長方形状に形成され、断面矩形の中空体により構成される。エアテーブル33の上面には、複数の孔33Aが複数開設され、各孔33Aはテーブル内部で連通される。そして、図外の空気供給手段からエアテーブル内部に供給される空気を複数の孔33Aから噴出させることにより、機能性パネル10が保持される。
エアテーブル33は、待機領域A1、加工領域A2、搬出領域A3に個別に複数配置され、各領域において搬送機構32を挟んで副方向に対称となるように配置される。本実施形態では、各領域A1乃至A3において、エアテーブル33が搬送機構32を挟んで左右に2台づつ、計4台配置される。
【0016】
上記構成によれば、レーザ加工装置1に搬送された機能性パネル10は、待機領域A1のエアテーブル33から噴出する空気によって浮揚するように支持され、搬送機構32の吸着パッド37が機能性パネル10の非加工面側に吸着することで、待機領域A1の所定の位置に保持される。そして、搬送機構32のスライダ35Bが移動することにより、機能性パネル10が待機領域A1から加工領域A2、加工領域A2から搬出領域A3にエアテーブル33上を浮揚した状態で搬送される。
【0017】
図1に戻り、加工室22は、搬送機構32及びエアテーブル33を跨ぐように加工領域A2に立設される。加工室22は、副方向に対向して設置される壁部41,41と、壁部41,41の上面に掛け渡され、壁部41,41とに挟まれる空間を上側から封鎖する天井部42と、壁部41,41の待機領域A1側の開口を開閉する入口扉43と、壁部41,41の搬出領域A3側の開口を開閉する出口扉44とにより閉空間として形成される。よって、加工室22に搬送された機能性パネル10は、外部空間と遮断された状態で加工される。
加工室22の天井部42側には、平板状の天板45が固定される。天板45は、下面45aが平面に形成された平板であって、天板45の下面45aと基台31の上面31aとが互いに平行となるように加工室22に固定される。
【0018】
天板45の下面45aには、移動手段25と、移動手段25に配設されるレーザ案内手段24と、機能性パネル10を加工するレーザを出力するレーザ発振手段23とが設けられる。
移動手段25は、機能性パネル10の搬送方向と平行に配設される主スライダ機構51と、主スライダ機構51に固定される副スライダ機構52とにより構成される。
【0019】
主スライダ機構51は、一対の主スライダレールと、主スライダレールに沿って移動する主スライダと、いずれか一方の主スライダレールに設けられるボールネジ機構と、ボールネジ機構を駆動する主サーボモータ51Aと、主サーボドライバ51Bとを備える。
主スライダレールは、加工対象の機能性パネル10よりも長い長さを有し、延長方向が機能性パネル10の搬送方向と平行、かつ、基台31の幅方向両端側に位置するようにそれぞれ天板45に固定される。例えば、図1に示すように、搬送方向の右側に固定される主スライダレールに主ボールネジ機構と主サーボモータ51Aとが取り付けられる。主サーボモータ51Aが駆動することによりボールネジが回転し、主スライダが主スライダレールに沿って進退する。なお、他方の主スライダレールには他方の主スライダを駆動する駆動機構は備えない。主サーボモータ51Aは、主サーボドライバ51Bと接続され、主サーボモータ51Aの有するエンコーダから主サーボドライバ51Bに回転パルスが出力される。主サーボドライバ51Bは、後述のPLC制御装置27に接続される。
【0020】
副スライダ機構52は、主スライダ機構の主スライダレールと直交し、主スライダに架設される副スライダレールと、副スライダレールに沿って移動する副スライダと、ボールネジ機構と、ボールネジを駆動する副サーボモータ52Aと、副サーボドライバ52Bとを備える。
副サーボモータ52Aは、副サーボドライバ52Bと接続され、副サーボモータ52Aの有するエンコーダから副サーボドライバ52Bに回転パルスが出力される。副サーボドライバ52Bは、後述のPLC制御装置27に接続される。
【0021】
レーザ発振手段23は、例えば、出力が60WのCO2レーザを発振するレーザ発振器23Aにより構成される。
レーザ発振器23Aは、レーザの発振方向が主スライダレールの延長方向と一致するように、天板45の搬出側の副方向の一側に固定される。
なお、YAGレーザ,エキシマレーザ,ルビーレーザ,半導体レーザ,アルゴンレーザ等のようなレーザを発振するものであっても良く、加工対象に応じて選択すれば良い。
【0022】
レーザ案内手段24は、複数の反射ミラー61A〜61Dと、ビームスプリッタ62と、集光レンズ63とにより構成される。
レーザ案内手段24は、加工領域の一側側に位置するレーザ発振器23Aから主方向に出力されるレーザを直角に反射する第1反射ミラー61Aを一方の主スライダレールの搬出側の一側に配置し、第1反射ミラー61Aによって反射されたレーザを再び主方向に反射する第2反射ミラー61Bを他方の主スライダレールの搬出側の一側に配置し、第2反射ミラー61Bによって主方向に反射されたレーザを副方向に直角に反射する第3反射ミラー61Cを副スライダレール上の一側に配置し、第3反射ミラー61Cによって副方向に反射されたレーザを鉛直方向(Z方向)に反射する第4反射ミラー61Dを副スライダの他側に配置する。第4反射ミラー61Dの鉛直下方にはビームスプリッタ62が配置され、ビームスプリッタ62のさらに鉛直下方には集光レンズ63が配置される。第4反射ミラー61Dと、ビームスプリッタ62と、集光レンズ63とは、一体のレーザ照射体60として構成され、副スライダに取り付けられる。
【0023】
第1反射ミラー61A乃至第4反射ミラー61Dは、レーザを透過しないミラーレンズであって、レーザ発振器23Aから出力されたレーザを100%反射する。ビームスプリッタ62は、1つのビームスポットを有するレーザを複数のビームスポットに変換する回折格子型レンズである。ビームスプリッタによるビームスポットの変換数は、一度に加工する幅に応じて設定すれば良い。
集光レンズ63は、ビームスプリッタ62によって複数のビームスポットに変換された各レーザをそれぞれ集光することにより各レーザのエネルギーを整える。
本実施形態のように、機能性パネル10の縁部に沿うように額縁状に機能層12を除去加工する場合には、スポット数が8個〜15個、ビームスポットの配列が一直線状となるようにレーザ発振器23Aから出力される1つのビームスポットを複数のビームスポットに変換するビームスプリッタ62を用いる。また、ビームスプリッタ62は、ビームスポットの配列方向が、機能性パネル10の搬送方向に対して30度〜60度傾斜、より好ましくは40度〜50度傾斜するように設定される。特に、配列方向が45度で傾斜することにより、機能性パネル10のコーナー部分において加工方向を90度転換するときに、ビームスポットの配列方向を回転させることなく加工することができる(図2(c)参照)。
【0024】
上記構成によれば、主サーボモータ51Aを駆動することにより、第3反射ミラー61Cとレーザ照射体60とが主方向に進退し、機能性パネル10の副方向に位置する縁部に沿った加工部3の電極部4を形成することができる。また、副サーボモータ52Aを駆動することにより、レーザ照射体60を副方向に進退し、機能性パネル10の主方向に位置する縁部に沿った加工部3の電極部4を形成することができる。即ち、主サーボモータ51Aと副サーボモータ52Aの駆動を組み合わせることにより、レーザ照射体60を主方向及び副方向に移動させ、機能性パネル10の表面を自在に加工することができる。
【0025】
レーザ制御手段26は、主サーボモータ51Aの動作特性を示すデータマップ71と、副サーボモータ52Aの動作特性を示すデータマップ72と、レーザ発振器23Aからレーザが間欠的に出力されるようにレーザのパルス周期Tpを制御するパルス周期制御手段73と、レーザのパルス幅Tdを制御するパルス幅制御手段74とを備える。レーザのパルス幅Td及びレーザのパルス周期Tpは、図5(a)に示すように定義され、パルス幅Td及びパルス周期Tpによりレーザ発振器23Aから照射されるレーザの一発当たりのエネルギー量が設定される。即ち、レーザ制御手段26は、レーザ発振器23Aから間欠的に出力されるレーザの一発当たり(1パルス当たり)のエネルギー量をレーザ照射体60の移動する速度の変化に対応してパルス幅Td及びパルス周期Tpを制御する。
【0026】
図6に示すように、データマップ71は、主サーボモータ51Aが静止状態から一定速度で回転するまでの時間に対する速度の加速特性が関数としてレーザ制御手段26に記憶され、一定速度で回転している状態から静止するまでの時間に対する速度の減速特性が関数としてレーザ制御手段26に記憶される。
データマップ72は、主サーボモータ52Aが静止状態から一定速度で回転するまでの時間に対する速度の加速特性が関数としてレーザ制御手段26に記憶され、一定速度で回転している状態から静止するまでの時間に対する速度の減速特性が関数としてレーザ制御手段26に記憶される。
なお、本実施形態では、主サーボモータ51Aと副サーボモータ52Aとは、同一の動作特性のものとし、後述の主制御装置は、データマップ71のみを参照するものとする。
【0027】
図4は、機能層12を除去するときに参照するパルスエネルギー線図を示す。図4における斜線部は、加工に最適な領域を示し、レーザ制御手段26は、レーザ照射範囲に対してレーザ発振器23Aから間欠的に出力されるレーザの一発当たり(1パルス当たり)のエネルギー量の密度によって定義されるパルスエネルギーの密度が、図4のパルスエネルギー線図で示される斜線の範囲となるようにパルス制御手段73とパルス幅制御手段74を制御する。
パルス周期制御手段73は、レーザ発振器23Aが発振するレーザの発振周期を変化させるものであって、主サーボモータ51Aのエンコーダ、及び、副サーボモータ52Aのエンコーダから出力されるパルス信号をデータマップ71,72に参照させることによりレーザを出力するパルス周期Tpを変化させる。本実施形態では、パルス周期Tpは、加工開始により移動するレーザ照射体60が一定速度に達したときに機能層12の加工が最適となるように設定される。
具体的には、主サーボモータ51Aのエンコーダ、及び、副サーボモータ52Aのエンコーダが出力するパルス信号が、レーザ照射体60の速度が一定であると出力したときに、レーザの照射によって電磁波シールド層11が丁度露出する深さ、及び、最適な露出面積となるように、1パルス分のレーザのパルスエネルギーを図4に示す斜線部の範囲内から設定することにより、パルス周期Tpが設定される(図5(b)参照)。なお、本実施形態では、パルス周期Tpを一定に設定する。
【0028】
パルス幅制御手段74は、レーザ発振器23Aが発振する1パルスあたりのパルス幅Tdを変化させる制御をする。具体的には、レーザ照射体60の移動速度が一定速度に達するまでの加速時(図5(b)参照)及びレーザ照射体60の移動速度が一定速度から速度ゼロとなるまでの減速時のパルス幅Tdを主サーボモータ51Aのエンコーダ、及び、副サーボモータ52Aのエンコーダから出力されるパルス信号をデータマップ71,72に参照させることにより変化させる。
本実施形態では、パルス周期Tpを一定としたため、レーザ照射体60の移動速度が一定速度に達するまでの加速時及びレーザ照射体60の移動速度が一定速度から速度ゼロとなるまでの減速時に、一定速度のときと同じパルス幅Tdのレーザを照射すると、電磁波シールド層11の深さまで加工することになるため、レーザ照射体60の移動速度が一定速度のときの深さで加工するようにパルス幅Tdを制御する。即ち、レーザ照射体60の移動速度が変化する場合に、一定速度のときと同じエネルギーをレーザにより機能性パネル10に照射してしまうと、電磁波シールド層11まで傷つける虞があるため、一定速度のときの1パルス分のレーザのエネルギー密度よりも加速時、及び、減速時における1パルス分のレーザのエネルギー密度を小さくすることにより、加工深さを一定に保つようにすることができる。
また、主サーボモータ51Aのエンコーダ、及び、副サーボモータ52Aのエンコーダから出力されるパルス信号をデータマップ71,72に参照させて変化させることにより、ミリsec間隔で間欠的に出力されるレーザのパルス周期Tpとパルス幅Tdとの変化を制御することが可能となる。
よって、レーザ制御手段26がパルス周期制御手段73及びパルス幅制御手段74とを備え、パルス周期Tpとパルス幅Tdとを制御することにより、加速領域において単位面積あたりに照射されるレーザのエネルギー量の総和と、定速領域において単位面積あたりに照射されるレーザのエネルギー量の総和と、減速領域において単位面積あたりに照射されるレーザのエネルギー量の総和とが等しくなるように加工することができる。
【0029】
また、レーザ制御手段26には、図外の入力手段が接続され、機能性パネル10の加工にかかるパラメータ,初期パルス幅,定速パルス幅,加速時間,減速時間,時定数,パルス周期,加速時切替えパルス幅,減速時切替えパルス幅,加工距離が入力される。
加工距離は、機能性パネル10を加工するためにレーザ照射体が実際に移動する距離であって、本実施形態では、機能性パネル10の辺々の長さ、又は、周長が入力される。
加速時間は、主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aが速度ゼロから一定回転速度に達するまでの時間であって、主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aの仕様書等に記載されるモータの動作特性線図に基づき決定される。
減速時間は、主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aが一定速度から速度ゼロになるまでの時間であって、主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aの仕様書等に記載されるモータの動作特性線図に基づき決定される。
時定数は、主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aの動作特性線図における回転速度ゼロの位置から速度の立ち上がり部の接線が、主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aの回転速度が一定速度となったときの特性線と交差するまでの時間であって、本実施形態では、0〜3,000msecである。加工制御装置から主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aに駆動信号が出力されたときに、実際に主サーボモータ51A及び副サーボモータ52Aが回転開始するまでの応答遅れを補正するために設定される値である。
初期パルス幅は、速度ゼロから加速されたときに最初に発振されるパルス幅である。
定速パルス幅は、速度が一定となったときのパルス幅である。
パルス周期Tpは、サーボモータ51A,52Aの定速回転時に機能層12を除去するのに最適なパルスエネルギーとなるように設定される。
加速時切替えパルス幅は、速度ゼロから一定速度となるまでに、初期パルス幅から定速パルス幅になるまでに、徐々に広がるパルス幅が、当該加速時切替えパルス幅よりも大きくなったときに、定速パルス幅に設定を切替えるための閾値である。
減速時切替えパルス幅は、一定速度から速度ゼロとなるまでに、定速パルス幅から徐々に狭くなるパルス幅が、当該減速時切替えパルス幅よりも小さくなったときに、パルスの出力を停止するための閾値である。
【0030】
PLC制御装置27は、機能性パネル10の電極加工を実行するプログラムを備え、当該プログラムに基づいて、主サーボモータ51Aと副サーボモータ52A及びレーザ発振器23Aの動作を制御する。
【0031】
図6は、レーザ加工装置1における電気的接続を示し、以下同図に基づき電気的接続について説明する。
レーザによる加工全体を制御するPLC制御装置27は、移動手段の主サーボドライバ51Bと副サーボドライバ52Bと、レーザ制御手段26と、レーザ発振器23Aとが接続される。PLC制御装置27は、主サーボドライバ51Bと副サーボドライバ52Bに加工信号を出力する。また、PLC制御装置27には、レーザ制御手段26からレーザを発振させるための発振パルスが入力される。また、PLC制御装置27は、レーザ制御手段26から入力した発振パルスに基づき、レーザ発振器23Aにレーザを出力するための発振パルスを出力する。
【0032】
主サーボドライバ51Bは、主サーボモータ51Aと接続され、主サーボモータ51Aに回転信号を出力する。また、主サーボドライバ51Bには、主サーボモータ51Aの備える図外のエンコーダから出力されるフィードバックパルスが入力される。
副サーボドライバ52Bは、副サーボモータ52Aと接続され、副サーボモータ52Aに回転信号を出力する。また、副サーボドライバ52Bには、副サーボモータ52Aの備えるエンコーダから出力されるフィードバックパルスが入力される。
主サーボモータ51Aのエンコーダと副サーボモータ52Aのエンコーダとは、レーザ制御手段26と接続され、個別にフィードバックパルスを出力する。
【0033】
レーザ制御手段26は、パルス周期制御手段73とパルス幅制御手段74と接続され、パルス周期制御手段73にデータマップ71,72に基づくパルス周期生成信号を出力し、パルス幅制御手段74にデータマップ71,72に基づくパルス幅生成信号を出力する。レーザ制御手段26には、パルス周期制御手段73により生成されたパルス周期が出力され、パルス幅制御手段74により生成されたパルス幅が出力される。
【0034】
図7のフローチャートを用いてレーザ制御手段26からPLC制御装置27に出力されるパルスの制御方法について説明する。
まず、ステップ1では、初期パルス幅、定速パルス幅、加速時間、減速時間、時定数、パルス周期、加速時切替えパルス幅、減速時切替えパルス幅、加工距離が入力される(ステップS1)。
次に、ステップ2は、加速時間を入力された固定のパルス周期Tpで除して加速時間中における加速時パルス数を算出するとともに、減速時間を入力された固定のパルス周期Tpで除して減速時間中の減速時パルス数を算出する(ステップS2)。
次に、ステップ3は、加工距離から加速距離及び減速距離を減じることにより定速距離を算出する。なお、加速距離は、定速時の速度に加速時間を乗じて2で除することにより算出される。また、減速距離は、定速時の速度に減速時間を乗じて2で除することにより算出される(ステップS3)。
次に、ステップ4は、定速距離をパルス周期Tpで除して定速時パルス数を算出する(ステップS4)。
次に、ステップ5は、初期パルス幅と定速パルス幅との間において、加速パルス数分発振されるパルスの加速パルス幅を算出する。詳細には、加速時において、初期パルス幅から定速パルス幅に到達するまで発振されるパルスが、図5(c)に示すように、等差数列的に増加するように各加速パルスのパルス幅を設定する。つまり、パルスの発振回数とパルス幅の増加分とが比例するように設定される。また、減速時において、定速パルス幅から初期パルス幅に到達するまで発振されるパルスが、等差数列的に減少するように各減速パルスのパルス幅を設定する。つまり、パルスの発振回数とパルス幅の減少分とが比例するように設定される(ステップS5)。
次に、ステップ6は、サーボモータの回転開始の一次遅れを考慮した加速時、減速時のパルス幅を算出する。具体的には以下のサブステップ6−1乃至6−2により実行される(ステップS6)。
ステップ6−1は、算出された加速パルス幅のうち、加速時切替えパルス幅よりも大きな加速パルスを定速パルス幅に設定する。よって、サーボモータの回転開始の一次遅れを考慮した時定数τに基づき、加速時の加速パルス数を補正するとともに、定速時のパルス数を補正する(ステップS6−1)。
次に、ステップ6−2は、ステップ6において算出された減速パルス幅のうち、減速時切替えパルス幅よりも小さいパルス幅をパルスなしに設定する(ステップS6−2)。よって、サーボモータ51A,52Aの回転開始の一次遅れを考慮した時定数τに基づき、減速時の減速パルス数を補正するとともに、定速時のパルス数を補正する。
そして、上記ステップを経て設定されたパルスは、PLC制御装置27を介して主サーボドライバ51B及び副サーボドライバ52Bに出力され、機能性パネル10の機能層12の除去加工が開始される。
【0035】
以上説明したように、レーザ制御手段26がパルス周期制御手段73及びパルス幅制御手段74とを備え、パルス周期Tpとパルス幅Tdとを制御することにより、加速領域における単位面積あたりにレーザが照射するパルスエネルギーと、定速領域における単位面積あたりにレーザが照射するパルスエネルギーと、減速領域における単位面積あたりにレーザが照射するパルスエネルギーとが、等しくなるように加工することができる。
即ち、加工により除去された機能層12の深さ及び面積による大きさと加工密度とは同値であることから、加工におけるパルスエネルギーは、定速時の加工において最適化されたパルス幅Tdを基準として、定速時よりも速度の遅い加速領域及び減速領域のパルス幅Tdを狭くするように制御することで、レーザの発振により除去される機能層12の深さを一定にすることができる。そして、パルス幅Tdを狭くすることで、加工深さ及び加工面積が減少する加速領域及び減速領域のパルスエネルギーと、定速領域を加工するパルスエネルギーとが一定となるように加工して、単位面積におけるメッシュの露出密度が一定範囲内となるようにレーザの照射する時間を制御することができる。
具体的には、機能性パネル10の電磁波シールド層11が島状に露出するように縁部に沿って4辺を額縁状に加工するときに、各辺においてレーザ照射体60の移動状態が、加速,定速,減速をしつつ機能層12の除去加工をするため、加速状態のパルスエネルギーと、定速状態のパルスエネルギーと、減速状態のパルスエネルギーが等しくなるように
レーザ制御手段26のパルス周期制御手段73及びパルス幅制御手段74とが、パルス周期Tpとパルス幅Tdとを制御することにより、各辺の加速領域,定速領域,減速領域において電磁波シールド層11の島状に露出する面積が等しくなるように加工することができる。
よって、本発明のレーザ加工装置1により加工された機能性パネル10は、レーザの照射開始位置からレーザの照射終了位置までの間の加工部3の部位毎における電磁波シールド層11の露出面積が一定となり、加工部3において導電性が一定となり、良好な電磁波シールド性を有し、安定した大きさのアース電極が露出した機能性パネル10を製造することができる(図3(c)参照)。さらに、本発明では、レーザ照射体60の移動速度に応じてパルス幅Tdを変化させ、電磁波シールド層11の露出面積を一定にすることが可能となっていることから、レーザ照射体60を機能性パネル10の加工開始位置に配置して、速度ゼロの状態から加工することが可能となり、レーザ照射体60の移動速度が安定してから加工するという従来のような助走区間を設定する必要がないため、生産効率を著しく向上させることができる。
【0036】
また、主サーボモータ51A又は副サーボモータ52Aの回転速度が一定となるまでのレーザ照射体60の移動距離は、主サーボモータ51A又は副サーボモータ52Aの回転速度が一定となったときの移動距離に比べて短いため、レーザ発振器23Aが機能性パネル10に照射するレーザの出力回数は、主サーボモータ51A又は副サーボモータ52Aの回転速度が一定となったときよりも密となる。
よって、パルス幅Tdが制御されることによりパルス周期Tpを一定としても、パルス幅Tdが制御された範囲における単位面積当たりにレーザの照射するエネルギー密度は、レーザ照射体60が一定速度で移動するときの単位面積当たりのエネルギー密度と同じとなる。
【0037】
上記実施形態では、パルス周期制御手段73の制御するパルス周期Tpは、一定として説明したが、パルス周期Tpを変化させて、レーザ照射体60が加速時、及び、減速時に照射するレーザの発振周期を一定速で移動するときの発振周期よりも密にして、加工範囲におけるエネルギー密度が均一になるように制御しても良い。
また、レーザ加工装置1により加工される加工対象は、上記ディスプレイ用光学フィルタとしての機能層を有する機能性パネルに限定されない。
【0038】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 レーザ加工装置、10 機能性パネル、11 電磁波シールド層、
12 機能層、14 透明基材、15 ハードコート層、16 低屈折率層、
17 近赤外線吸収層、18 透明粘着剤層、21 搬送台、22 加工室、
23 レーザ発振手段、23A レーザ発振器、24 レーザ案内手段、
25 移動手段、26 レーザ制御手段、27 PLC制御装置、
31 基台、31a 上面、32 搬送機構、33 エアテーブル、
34 パネル保持装置、35 スライダ機構、35A スライダレール、
35B スライダ、36 ベース、36A 孔、
37 吸着パッド、37A 円筒部、37B コーン部、38 弾性材、41 壁部、
42 天井部、43 入口扉、44 出口扉、45 天板、45a 下面、
51 主スライダ機構、51A 主サーボモータ、51B 主サーボドライバ、
52 副スライダ機構、52A 副サーボモータ、52B 副サーボドライバ、
60 レーザ照射体、61A〜61D 反射ミラー、62 ビームスプリッタ、
63 集光レンズ、71 データマップ、72 データマップ、
73 パルス周期制御手段、74 パルス幅制御手段、
A1 待機領域、A2 加工領域、A3 搬出領域、Tp パルス周期、Td パルス幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め所定の位置に位置決め配置されるワークの表面にレーザを照射することにより当該表面を加工するレーザ加工装置であって、
前記レーザを出力するレーザ発振手段と、
前記レーザ発振手段から前記ワークの表面までのレーザの進行する経路を規定するレーザ案内手段と、
前記レーザ案内手段を前記ワークに対して相対的に移動させる移動手段と、
前記レーザの出力を制御するレーザ制御手段とを備え、
前記レーザ制御手段が、前記ワークに対する前記レーザの移動速度に対応し、単位面積におけるメッシュの露出密度が一定範囲内となるようにレーザの照射する時間を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記レーザ制御手段は、前記レーザのパルス周期を制御するパルス周期制御手段と、前記レーザのパルス幅を制御するパルス幅制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記レーザ制御手段は、前記移動手段の有する駆動源の動作特性マップを有し、
前記駆動源がレーザ制御手段に出力する回転パルス信号に基づいて前記動作特性マップを参照し、
前記レーザの移動速度が静止状態から定速状態、又は、定速状態から静止状態となるまでの前記移動速度の変化に応じて、パルス幅を定速状態のパルス幅よりも短く制御することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記レーザ制御手段は、前記移動手段の有する駆動源の動作特性マップを有し、
前記駆動源がレーザ制御手段に出力する回転パルス信号に基づいて前記動作特性マップを参照し、
前記レーザの移動速度が静止状態から定速状態、又は、定速状態から静止状態となるまでの前記移動速度の変化に応じて、パルス周期を定速状態のパルス周期よりも密に制御することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記ワークは、透明基材の一方の全面にパターン状の電磁波シールド層及び当該電磁波シールド層の全面に機能層が形成された積層体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のレーザ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−11417(P2012−11417A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149575(P2010−149575)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】