説明

レーザ加工装置

【課題】迅速に基板の加工品質を検査する。
【解決手段】加工光学系131は、基板102を設置するホルダ113の上面に対して水平なX軸方向、および、ホルダ113の上面に対して水平かつX軸方向に直交するY軸方向に移動可能であり、基板を加工するためのレーザ光を出射する。プローブカード133が取付けられている抵抗測定ユニット132は、加工光学系131による基板102の加工部分の抵抗値を測定するとともに、カメラにより測定位置Pbを撮影する。また、抵抗測定ユニット132は、加工光学系131の加工位置とカメラの撮影範囲が、Y軸方向に並ぶように加工光学系131に取付けられている。本発明は、例えば、基板のリペア装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関し、特に、加工品質の検査を実行可能なレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を用いて基板の配線の欠陥を修正するリペア装置に、給電プローブヘッドとセンサヘッドを備える給電プローブヘッドを2組設け、その2組の給電プローブヘッドを用いて、基板を加工した部分の抵抗値等を測定することにより、加工品質を検査できるようにすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−206641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のリペア装置などのレーザ加工装置では、基板の製造時間をさらに短縮するために、より迅速に加工品質を検査できるようにすることが望まれている。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、迅速に基板の加工品質を検査できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面のレーザ加工装置は、レーザ光を用いて基板を加工するレーザ加工装置において、レーザ光を出射する加工手段と、加工手段に取付けられ、加工手段による基板の加工部分の抵抗値を測定するとともに、測定位置付近を撮影する測定手段とを備え、加工手段は、基板を設置する台に対して水平な第1の方向、および、台に対して水平かつ第1の方向に直交する第2の方向に移動可能であり、測定手段は、加工手段の加工位置と測定手段の撮影範囲が第2の方向に並ぶように加工手段に取付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の一側面のレーザ加工装置においては、基板を設置する台に対して水平な第1の方向、および、台に対して水平かつ第1の方向に直交する第2の方向に移動可能な加工手段から出射されるレーザ光を用いて基板が加工され、加工手段の加工位置と撮影範囲が第2の方向に並ぶように加工手段に取付けられている測定手段により、基板の加工部分の抵抗値が測定されるとともに、測定位置付近が撮影される。
【0008】
従って、迅速に基板の加工品質を検査することができる。
【0009】
この加工手段は、例えば、ミラーや対物レンズ等を備える加工光学系により構成される。この測定手段は、例えば、抵抗値を測定するためのプローブピンを有するプローブカード、測定に用いるプローブピンを選択するリレー回路、プローブカードを上下方向に移動させる機構、測定位置付近を撮影するカメラ等により構成される。
【0010】
このレーザ加工装置には、梁が第1の方向に延伸し、台の上を第2の方向に移動可能なガントリをさらに設け、この加工手段は、ガントリの梁に第1の方向に移動可能に支持されるようにすることができる。
【0011】
これにより、加工位置と測定位置および撮影範囲とをより近接させることができ、より迅速に基板の加工品質を検査することができる。
【0012】
この測定手段は、台および第2の方向に対して垂直な加工手段の面に対して、台に垂直な軸回りに開閉自在に加工手段に支持されるようにすることができる。
【0013】
これにより、加工手段の調整や保守などのメインテナンス性、および、耐久性や安全性が向上する。
【0014】
この測定手段は、加工手段の加工位置と測定手段の測定位置が第2の方向にほぼ一直線に並ぶように加工手段に取付けられるようにすることができる。
【0015】
これにより、基板の加工後に、抵抗値を測定するために加工手段を移動させる距離を短くすることができ、より迅速に基板の加工品質を検査することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、基板の加工後に続けて加工品質を検査することができる。特に、本発明の一側面によれば、迅速に基板の加工品質を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用したレーザ加工装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】レーザ加工装置の加工検査ユニットの上面図および正面図である。
【図3】加工対象となる基板の構成の一例を示す図である。
【図4】プローブカードの構成例を示す図である。
【図5】加工光学系の加工位置とプローブカードの測定位置の関係を示す図である。
【図6】抵抗測定ユニットを閉じた状態の加工光学系および抵抗測定ユニットの周辺を示す図である。
【図7】抵抗測定ユニットを開いた状態の加工光学系および抵抗測定ユニットの周辺を示す図である。
【図8】測定系ユニットの制御ユニットの構成例を示すブロック図である。
【図9】レーザ加工検査処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】ZAP加工の品質検査を説明するための図である。
【図11】CVD加工の品質検査を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0019】
<1.実施の形態>
[レーザ加工装置の構成例]
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態であるレーザ加工装置101の構成例について説明する。なお、図1はレーザ加工装置101の斜視図であり、図2はレーザ加工装置101の加工検査ユニット114の上面図および正面図である。
【0020】
なお、以下、定盤111の上面(ホルダ113の上面)に対して水平、かつ、ガントリ112Bが延伸する方向(レーザ加工装置101の左右方向)をX軸方向とし、左から右に向かう方向を正の方向とする。また、以下、定盤111の上面(ホルダ113の上面)に対して水平かつX軸に直交する方向(レーザ加工装置101の前後方向)をY軸方向とし、後ろから前に向かう方向を正の方向とする。さらに、以下、X軸およびY軸に直交する方向(レーザ加工装置101の上下方向)をZ軸方向とし、下から上に向かう方向を正の方向とする。
【0021】
レーザ加工装置101は、加工対象となる基板102に対して、レーザ光を用いたZAPPING加工(以下、ZAP加工と称する)により配線ミスを除去したり、レーザCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いたCVD加工により配線を行ったりするリペア装置である。
【0022】
なお、基板102は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)基板等により構成される。また、図3に示されるように、基板102には、レーザ加工装置101によるZAP加工およびCVD加工の品質検査を行うためのエリアであるTEG(Test Element Group)−PAD181a乃至181fが設けられている。
【0023】
なお、図3では、TEG−PAD181a乃至181fのみ図示されているが、TEG−PADの数は、この例に限定されるものではない。また、以下、TEG−PAD181a乃至181fを個々に区別する必要がない場合、単にTEG−PAD181と称する。
【0024】
なお、TEG−PAD181の具体例については、図10および図11を参照して後述する。
【0025】
レーザ加工装置101は、定盤111、XYガントリステージ112、ホルダ113、および、加工検査ユニット114を含むように構成される。
【0026】
XYガントリステージ112のガイド112A1およびガイド112A2は、定盤111の上面の左右の両端にY軸方向に延伸するように設置されている。XYガントリステージ112のガントリ112Bは、梁(ビーム)がX軸方向に延伸するようにガイド112A1,112A2の上に設置され、ガイド112A1,112A2に従ってY軸方向に移動することができる。
【0027】
ホルダ113は、定盤111の上面のガイド112A1とガイド112A2の間に設置され、加工対象となる基板102が設置される。また、ホルダ113は、基板102の搬入および搬出等を行うために、定盤111上をY軸方向に移動させることができる。
【0028】
加工検査ユニット114は、基板102を加工するためのレーザ光を出射するとともに、基板102の加工品質を検査するためのユニットである。加工検査ユニット114は、ガントリ112Bの梁にX軸方向に移動可能に支持されている。また、加工検査ユニット114は、加工光学系131、抵抗測定ユニット132、プローブガード133、および、抵抗測定器(ソースメータ)134を含むように構成される。
【0029】
加工光学系131は、レーザ光を用いて基板102に対してZAP加工およびCVD加工を行う光学系である。
【0030】
抵抗測定ユニット132、プローブカード133、および、抵抗測定器134は、加工光学系131による基板102の加工品質の検査に用いられる。
【0031】
抵抗測定ユニット132は、ベース部材151、上下機構152、パルスモータ153、パルスモータドライバ154、カメラ155、照明156、および、リレー回路157を含むように構成される。
【0032】
抵抗測定ユニット132のベース部材151は、Z軸方向に延伸する軸回りに回転自在なヒンジ機構135を介して、加工光学系131の前面(ホルダ113およびY軸に対して垂直な面)に開閉自在に取付けられている。また、ベース部材151を閉じたときに、ストッパ136によりベース部材151が固定され、抵抗測定ユニット132の位置が固定される。
【0033】
上下機構152およびパルスモータ153は、ベース部材151の前面の左下隅に設置され、パルスモータドライバ154は、ベース部材151の前面のパルスモータ153の上方に設置されている。また、上下機構152には、プローブカード133が取付けられている。そして、パルスモータドライバ154は、パルスモータ153を制御し、上下機構152を駆動することにより、プローブカード133をZ軸方向に移動させる。
【0034】
カメラ155および照明156は、ベース部材151の前面、かつ、プローブカード133の上方に設置され、プローブカード133を用いて基板102の抵抗値を測定するときに、測定位置付近を観察するために用いられる。すなわち、照明156は、プローブカード133の測定位置付近に照明光を照射し、カメラ155は、照明光が照射された測定位置付近を撮影し、その結果得られる画像をメインパーソナルコンピュータ(メインPC)321(図8)に供給する。
【0035】
リレー回路157は、ベース部材151の前面に設置され、抵抗値の測定に用いるプローブカード133のプローブピンを選択する機能を有している。
【0036】
[プローブカードの構成例]
ここで、図4を参照して、プローブカード133の構成例について説明する。図4の上の図は、プローブカード133の上面図であり、下の図は、プローブカード133のプローブピン201a1乃至201k2の配置例を示している。なお、図4の上部に示される座標系は、抵抗測定ユニット132を閉じたときの座標系を示している。
【0037】
プローブカード133のほぼ中央には、カメラ155の撮影用の窓202が設けられている。すなわち、照明156からの照明光は、窓202を介して、プローブカード133の測定位置付近に照射され、カメラ155は、窓202を介して、プローブカード133の測定位置付近を撮影する。また、窓202からは、プローブカード133の下面に設けられているプローブピン201a1乃至201k2が見えるようになっている。
【0038】
プローブピン201a1乃至201k2は、それぞれ先端の測定点Ma1乃至Mk2が最も低い位置になるように、プローブカード133の下面に取付けられている。また、プローブピン201a1乃至201k2は、2本ずつ1組とされ、同じ組の測定点がY軸方向に対向し、各組の測定点がX軸方向に等間隔に並ぶように配置されている。
【0039】
なお、以下、プローブピン201a1乃至201k2を個々に区別する必要がない場合、単にプローブピン201と称し、測定点Ma1乃至Mk2を個々に区別する必要がない場合、単に測定点Mと称する。
【0040】
また、プローブカード133には、リレー回路157との間の配線用のコネクタ203、配線用の開口部204a,204b、および、取手205が設けられている。
【0041】
図1および図2に戻り、加工光学系134の上面に設置されている抵抗測定器134は、リレー回路157を介して、リレー回路157により選択されたプローブカード133の2本のプローブピン201に電圧または電流を印加し、その2本のプローブピン201の測定点Mの間の抵抗値を測定する。そして、抵抗測定器134は、測定結果をメインPC321(図8)に通知する。
【0042】
また、抵抗測定器134を加工光学系134の上面に設置し、抵抗測定器134とプローブカード133との間の距離を短くすることにより、ノイズ等の影響を軽減することができ、測定精度を向上させることができる。
【0043】
[加工位置と測定位置の関係]
図5は、レーザ加工装置101を上から見た図であり、加工光学系131による加工位置Paとプローブカード133による測定位置Pbの関係を示している。なお、図を分かりやすくするために、抵抗測定器134、上下機構152、パルスモータ153、パルスモータドライバ154、カメラ155、および、リレー回路157の図示を省略している。
【0044】
加工位置Paと測定位置Pbは、抵抗測定ユニット132を閉じた状態で、Y軸方向にほぼ一直線に並ぶように配置されている。従って、加工光学系131により基板102の加工を行った後、ガントリ112BをY軸方向にシフトするだけで、基板102の加工された位置がプローブカード133の窓202の範囲内、すなわち、カメラ155の撮影範囲内に入り、迅速に加工が行われた位置の抵抗値を測定することが可能になる。
【0045】
[抵抗測定ユニットの開閉機構]
図6は、抵抗測定ユニット132を閉じた状態の加工光学系131および抵抗測定ユニット132周辺を示し、図7は、抵抗測定ユニット132を開いた状態の加工光学系131および抵抗測定ユニット132周辺を示している。なお、図6および図7の上の図は、加工光学系131および抵抗測定ユニット132周辺を上から見た図であり、図6および図7の下の図は、加工光学系131および抵抗測定ユニット132周辺を正面から見た図である。なお、図を分かりやすくするために、抵抗測定器134の図示を省略している。
【0046】
上述したように、抵抗測定ユニット132のベース部材151は、ヒンジ機構135を介して、加工光学系131の前面に開閉自在に取付けられている。従って、図6および図7に示されるように、ヒンジ機構135により、抵抗測定ユニット132を加工光学系131の前面に対して扉のように開閉することができる。また、抵抗測定ユニット132の開閉に伴い、抵抗測定ユニット132の上下機構152に取付けられているプローブカード133も移動する。
【0047】
また、図7の下の図に示されるように、加工光学系131の前面には、ユニット251、対物レンズ252a乃至252d、および、水平移動機構253が設けられている。
【0048】
ユニット251は、スリットユニット、加工観察用のカメラ、オートフォーカスユニット、調整ミラーなどを含むように構成される。
【0049】
対物レンズ252a乃至252dは、ユニット251を通過したレーザ光Lを、基板102の加工面において結像させるためのレンズである。また、対物レンズ252a乃至252dは、ユニット251内のカメラにより加工位置を撮影する際の観察用レンズも兼ねている。さらに、対物レンズ252a乃至252dは、水平移動機構253により水平方向にシフトさせることができ、使用する対物レンズを切替えることができる。
【0050】
そして、抵抗測定ユニット132を開けることにより、ユニット251、対物レンズ252a乃至252d、および、水平移動機構253が現れ、オペレータが簡単にアクセスできるようになる。その結果、調整や保守などのメインテナンス性が向上する。また、抵抗測定ユニット132を閉じることにより、ユニット251、対物レンズ252a乃至252d、および、水平移動機構253が抵抗測定ユニット132の裏に隠れ、オペレータが容易にアクセスできなくなる。その結果、耐久性や安全性が向上する。
【0051】
[測定系ユニットと制御ユニットの構成例]
図8は、抵抗測定ユニット132、プローブカード133、および、抵抗測定器134により構成される測定系ユニット301と、測定系ユニット301をはじめレーザ加工装置101全体の制御を行う制御ユニット302の構成例を示すブロック図である。
【0052】
図8の測定系ユニット301には、上述した構成に加えて、照明電源311および原点センサ312が新たに図示されている。また、制御ユニット302は、メインPC321、増設ユニット322、増設ユニット323、Programmable Logic Controller(PLC)324、および、増設ユニット325を含むように構成される。
【0053】
メインPC321は、増設ユニット322を介して、カメラ155を制御するともに、カメラ155により撮影された画像を取得し、取得した画像を図示せぬモニタに表示する。また、メインPC321は、増設ユニット323を介して抵抗測定器134から抵抗値の測定結果を取得し、基板102の加工品質の合否判定を行う。そして、メインPC321は、合否判定の結果を、例えば、モニタに表示したり、所定のサーバや基板102の後工程を制御する制御装置等に通知したりする。
【0054】
PLC324は、照明電源311を制御することにより、照明156のオン、オフ、および、明るさ等を制御する。また、PLC324は、リレー回路157の設定を行うことにより、測定に用いるプローブカード133のプローブピン201を選択する。さらに、PLC324は、増設ユニット325を介して、原点センサ312の測定結果、すなわち、所定の原点に対する上下機構152のZ軸方向の位置の測定結果を取得する。そして、PLC324は、取得した測定結果に基づいて、パルスモータドライバ154を制御し、上下機構152のZ軸方向の位置を調整することにより、プローブカード133のZ軸方向の位置を調整する。また、PLC324は、XYガントリステージ112、および、加工光学系131の図示せぬ駆動系を制御して、加工光学系131のX軸、Y軸およびZ軸方向の位置を調整する。
【0055】
[レーザ加工検査処理]
次に、図9のフローチャートを参照して、レーザ加工装置101により実行されるレーザ加工検査処理について説明する。この処理は、例えば、ホルダ113に基板102が設置され、ホルダ113が所定の加工位置に設置されたとき開始される。
【0056】
ステップS1において、制御ユニット302は、各種の設定を行う。例えば、PLC324は、オペレータにより入力される情報に基づいて、基板102の製品として使用する部分(以下、製品部分と称する)の加工位置、加工方法(CVD加工またはZAP加工)、加工条件、基板102上の各TEG−PAD181の位置、TEG−PAD181とプローブカード133の位置関係などを設定する。
【0057】
また、例えば、メインPC321およびPLC324は、オペレータにより入力される情報に基づいて、検査対象とするTEG−PAD181の番号、抵抗値を測定するTEG−PAD181のPADの組み合わせ、加工方法(CVD加工またはZAP加工)等を設定する。さらに、例えば、メインPC321は、オペレータにより入力される情報に基づいて、検査対象のTEG−PAD181のPAD間の抵抗値の合否判定基準値および許容値を設定する。
【0058】
ここで、図10および図11を参照して、図3のTEG−PAD181aおよびTEG−PAD181bが検査対象に設定された場合について説明する。
【0059】
図10は、TEG−PAD181aの構成の一例を示している。TEG−PAD181aは、PAD361a1乃至361f2の12のPADを有している。そのうち、PAD361a1とPAD361a2の間、PAD361b1とPAD361b2の間、PAD361c1とPAD361c2の間、PAD361d1とPAD361d2の間、および、PAD361e1とPAD361e2の間が、それぞれパターン362a乃至362eにより接続されている。また、PAD361f1とPAD361f2の間のパターン362fは、途中で切断されている。
【0060】
例えば、PAD361c1とPAD361c2の間のパターン362cをZAP加工により切断し、ZAP加工の品質を検査する場合、パターン362cをZAP加工した後、PAD361c1とPAD361c2の間の抵抗値を測定するための設定が行われる。また、PAD361c1とPAD361c2の間の抵抗値の合否判定基準値および許容値が設定される。
【0061】
図11は、TEG−PAD181bの構成の一例を示している。TEG−PAD181bは、PAD381a1乃至381f2の12のPADを有している。そのうち、PAD381f1とPAD381f2の間が、パターン382fにより接続されている。また、PAD381a1とPAD381a2の間、PAD381b1とPAD381b2の間、PAD381c1とPAD381c2の間、PAD381d1とPAD381d2の間、および、PAD381e1とPAD381e2の間のパターン382a乃至382eが途中で切断されている。
【0062】
例えば、PAD381c1とPAD381c2の間のパターン382cをCVD加工により接続し、CVD加工の品質を検査する場合、パターン382cをCVD加工した後、PAD381c1とPAD381c2の間の抵抗値を測定するための設定が行われる。また、PAD381c1とPAD381c2の間の抵抗値の合否判定基準値および許容値が設定される。
【0063】
なお、以下、PAD361a1乃至361f2を個々に区別する必要がない場合、単にPAD361と称し、PAD381a1乃至381f2を個々に区別する必要がない場合、単にPAD381と称する。
【0064】
ステップS2において、レーザ加工装置101は、基板102の製品部分に対してCVD加工またはZAP加工を行う。すなわち、レーザ加工装置101は、PLC324の制御の基に、XYガントリステージ112および加工光学系131を制御して、基板102の製品部分の設定された位置に対して、CVD加工またはZAP加工を行う。
【0065】
ステップS3において、レーザ加工装置101は、TEG−PAD181に対してCVD加工またはZAP加工を行う。
【0066】
ステップS4において、レーザ加工装置101は、ステップS3において加工された部分の抵抗値を測定する。
【0067】
ステップS5において、メインPC321は、抵抗値の測定結果に基づいて、合否判定を行う。
【0068】
ステップS6において、制御ユニット302は、設定された全ての位置を検査したか否かを判定する。設定された全ての位置の検査が終了していないと判定された場合、処理はステップS3に戻り、ステップS6において、設定された全ての位置を検査したと判定されるまで、ステップS3乃至S6の処理が繰り返し実行される。
【0069】
一方、ステップS6において、設定された全ての位置を検査したと判定された場合、処理はステップS7に進む。
【0070】
ここで、再び図10および図11を参照して、ステップS3乃至S6の処理の具体例について説明する。
【0071】
例えば、ステップS3において、レーザ加工装置101は、PLC324の制御の基に、XYガントリステージ112および加工光学系131を制御して、図10の下の図に示されるように、TEG−PAD181aのPAD361c1とPAD361c2の間のパターン362cをZAP加工により切断する。
【0072】
次に、ステップS4において、レーザ加工装置101は、PLC324の制御の基に、XYガントリステージ112および測定系ユニット301を制御して、TEG−PAD181aのPAD361c1とPAD361c2の間の抵抗を測定する。
【0073】
例えば、PLC324は、原点センサ312からの信号に基づいて、上下機構152のZ軸方向の位置が所定の原点に設定されているか否かを判定し、原点に設定されていない場合、パルスモータドライバ154を制御して、上下機構152のZ軸方向の位置を原点に設定する。
【0074】
次に、PLC324は、プローブカード133のプローブピン201の測定位置PbがTEG−PAD181aの位置に合うように、ガントリ112Bおよび加工光学系131を移動させる。このとき、図5を参照して上述したように、加工位置Paと測定位置PbがY軸方向にほぼ一直線に並ぶように配置されているため、ガントリ112BをY軸方向に移動させるだけで、TEG−PAD181aがカメラ155の撮影範囲内に入る。そして、後は、加工光学系131のX軸方向の位置を微調整するだけで、測定位置PbをTEG−PAD181aの位置に合わせることができる。
【0075】
次に、PLC324は、パルスモータドライバ154を制御して、上下機構152を下げ、プローブカード133の各プローブピン201をTEG−PAD181aの各PAD361に接触させる。
【0076】
次に、メインPC321およびPLC324は、抵抗測定器134およびリレー回路157を制御して、TEG−PAD181aのPAD361c1とPAD361c2の間に所定の電圧を印加する。抵抗測定器134は、PAD361c1とPAD361c2の間に流れる電流値を測定し、その結果に基づいて、PAD361c1とPAD361c2の間の抵抗値を算出する。抵抗測定器134は、算出した抵抗値をメインPC321に通知する。
【0077】
次に、ステップS5において、メインPC321は、PAD361c1とPAD361c2の間の抵抗値と、所定の合否判定基準値と比較し、その差が所定の許容値の範囲内である場合、パターン362cに対する加工品質が合格であると判定し、その差が許容値の範囲を超えている場合、パターン362cに対する加工品質が不合格であると判定する。
【0078】
そして、ステップS6において、設定された全ての位置の検査が終了していないと判定され、処理はステップS3に戻る。
【0079】
ステップS3において、レーザ加工装置101は、PLC324の制御の基に、XYガントリステージ112および加工光学系131を制御して、図11の下の図に示されるように、TEG−PAD181bのPAD381c1とPAD381c2の間のパターン382cをCVD加工により接続する。
【0080】
次に、ステップS4およびS5において、TEG−PAD181aのPAD361c1とPAD361c2の間の抵抗値の測定および合否判定を行った場合と同様に、TEG−PAD181bのPAD381c1とPAD381c2の間の抵抗値の測定および合否判定が行われる。
【0081】
そして、ステップS6において、設定された全ての位置を検査したと判定され、処理はステップS7に進む。
【0082】
図9に戻り、ステップS7において、メインPC321は、判定結果を通知する。例えば、メインPC321は、ステップS6の合否判定の結果をモニタに表示したり、所定のサーバや基板102の後工程の制御装置等に通知したりする。
【0083】
ステップS8において、レーザ加工装置101は、基板102を搬出する。例えば、PLC324は、基板102を搬出できる位置までホルダ113をY軸方向に移動させる。そして、基板102がレーザ加工装置101から搬出される。
【0084】
その後、レーザ加工検査処理は終了する。
【0085】
以上のように、基板102の製品部分の加工後に、基板102の搬出、搬入、位置決め等を行うことなく、すぐに品質検査を行うことができる。従って、後工程に不良品を流すのを防止することができる。また、加工不良の原因究明および対策を、その場で迅速に行うことができ、復旧作業の所要時間を短縮することができる。さらに、加工から検査までの工程を自動制御により実行させることができ、生産性が向上し、所要時間を短縮やオペレータの作業の軽減を実現することができる。
【0086】
また、加工位置Paと測定位置Pbが近接し、かつ、Y軸方向にほぼ一直線に並ぶように配置されているため、測定位置Pbの位置決めの時間を短縮することができる。その結果、検査工程の所要時間を短縮することができ、その結果、基板102の全体的な製造時間を短縮することができる。
【0087】
<2.変形例>
次に、本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0088】
[変形例1]
例えば、検査結果が不合格であると判定された場合、合格するまで、加工条件の調整、基板102の製品部分の加工、TEG−PAD181の加工および検査の工程(図9のステップS3乃至S5の処理)を繰り返すようにしてもよい。この場合、加工条件の調整を、レーザ加工装置101が検査結果に基づいて自動で行うようにしてもよいし、レーザ加工装置101を操作するオペレータが手動で行うようにしてもよい。
【0089】
[変形例2]
また、例えば、先に加工条件の調整、並びに、TEG−PAD181の加工および検査の工程を検査に合格するまで繰り返し、合格した加工条件で基板102の製品部分の加工を行うようにしてもよい。
【0090】
[変形例3]
さらに、検査対象に設定するTEG−PAD181の数は、上述した例に限定されるものではない。また、1つのTEG−PAD181について、複数の組のPAD間の加工や抵抗値の測定を行うようにしてもよい。
【0091】
[変形例4]
また、以上の説明では、TEG−PAD181を1ヶ所加工する毎に検査を行う例を示したが、所定の単位の加工を行う毎に検査を行うようにしてもよい。例えば、先に全ての加工を行ってから検査を行うようにしてもよいし、1つのTEG−PAD181の加工(1つのTEG−PAD181に複数の加工部分がある場合、その全ての加工)を行う度に検査を行うようにしてもよい。あるいは、例えば、まずZAP加工のみ(または、CVD加工のみ)全て行った後、検査を行い、次に、CVD加工のみ(または、ZAP加工のみ)全て行った後、検査を行うようにしてもよい。
【0092】
[変形例5]
さらに、以上の説明では、加工光学系131の加工位置Paとプローブカード133の測定位置PbとがY軸方向にほぼ一直線に並ぶように配置する例を示したが、X軸方向にほぼ一直線に並ぶように配置するようにしてもよい。
【0093】
[変形例6]
また、以上の説明では、基板102の加工および検査を行うために、加工検査ユニット114を動かす例を示したが、基板102を動かしたり、両方を動かしたりするようにしてもよい。
【0094】
[変形例7]
さらに、メインPC321とPLC324の機能分担は上述した例に限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。
【0095】
[変形例8]
また、本発明は、CVD加工およびZAP加工以外の方法により基板を加工するレーザ加工装置に適用することが可能である。
【0096】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
101 レーザ加工装置
102 基板
111 定盤
112 XYガントリステージ
112A1,112A2 ガイド
112B ガントリ
113 ホルダ
114 加工検査ユニット
131 加工光学系
132 抵抗測定ユニット
133 プローブカード
134 抵抗測定器
135 ヒンジ機構
136 ストッパ
151 ベース部材
152 上下機構
153 パルスモータ
154 パルスモータドライバ
155 カメラ
156 照明
157 リレー回路
181a乃至181f TEG−PAD
201a1乃至201k2 プローブピン
202 窓
301 測定系ユニット
302 制御ユニット
312 原点センサ
321 メインPC
324 PLC
361a1乃至361f1 PAD
362a乃至362f パターン
381a1乃至381f1 PAD
382a乃至382f パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を用いて基板を加工するレーザ加工装置において、
前記レーザ光を出射する加工手段と、
前記加工手段に取付けられ、前記加工手段による前記基板の加工部分の抵抗値を測定するとともに、測定位置付近を撮影する測定手段と
を備え、
前記加工手段は、前記基板を設置する台に対して水平な第1の方向、および、前記台に対して水平かつ前記第1の方向に直交する第2の方向に移動可能であり、
前記測定手段は、前記加工手段の加工位置と前記測定手段の撮影範囲が前記第2の方向に並ぶように前記加工手段に取付けられている
ことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
梁が前記第1の方向に延伸し、前記台の上を前記第2の方向に移動可能なガントリを
さらに備え、
前記加工手段は、前記ガントリの梁に前記第1の方向に移動可能に支持されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記台および前記第2の方向に対して垂直な前記加工手段の面に対して、前記台に垂直な軸回りに開閉自在に前記加工手段に支持されている
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記測定手段は、前記加工手段の加工位置と前記測定手段の測定位置が前記第2の方向にほぼ一直線に並ぶように前記加工手段に取付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−135809(P2012−135809A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291338(P2010−291338)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】