説明

レーザ加工装置

【課題】シャッタの寿命を容易に認識することができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザマーキング装置1は、レーザ光が出力されるレーザ光源20と、レーザ光の光路に配置された機械開閉式シャッタ22とを備え、機械開閉式シャッタ22を開閉動作させることによってレーザ光源20から出力されたレーザ光を加工対象物Wに照射して加工する。制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数を計数して累計の使用回数を記憶する。表示手段としての表示器7aは、記憶した累計の使用回数に基づいて機械開閉式シャッタ22の寿命に関する情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置において、光源から加工対象物に対してレーザ光を照射して加工を行う際に、レーザ光の光路の途中にシャッタを設け、印字等を行う時など必要に応じてシャッタを開け、誤ってレーザ光が照射されないようにしている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−131885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シャッタには寿命があり、メンテナンスが必要であるが、寿命が近いか否かの判断が困難であった。
本発明の目的は、シャッタの寿命を容易に認識することができるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、レーザ光が出力される光源と、前記レーザ光の光路に配置された機械開閉式シャッタとを備え、前記機械開閉式シャッタを開閉動作させることによって前記光源から出力されたレーザ光を加工対象物に照射して加工するレーザ加工装置であって、前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を計数する計数手段と、前記計数手段による前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方に基づいて前記機械開閉式シャッタの寿命に関する情報を表示する表示手段と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、計数手段により機械開閉式シャッタの累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方が計数される。記憶手段により、計数手段による累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方が記憶される。そして、表示手段により、記憶手段に記憶した累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方に基づいて機械開閉式シャッタの寿命に関する情報が表示される。その結果、シャッタの寿命を容易に認識することができる。
【0007】
請求項2に記載のように、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段は、前記機械開閉式シャッタの開く累計回数および閉じる累計回数の少なくとも一方の累計回数を前記使用回数として計数するようにすると、機械開閉式シャッタの累計の使用回数を計数する上で好ましい。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、予測手段により、計数手段による機械開閉式シャッタの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から累計の使用回数が規定値に達する時期が予測され、表示手段に表示される。これにより、機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達する時期を容易に認識することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のレーザ加工装置において、前記予測手段は、使用を開始してから規定の期間が経過したときに、その時点における前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数と前記規定の期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、予測手段により、使用を開始してから規定の期間が経過したときに、その時点における計数手段による機械開閉式シャッタの累計の使用回数と規定の期間から累計の使用回数が規定値に達する時期が予測され、表示手段に表示される。これにより、容易に累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して表示することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項3に記載のレーザ加工装置において、前記予測手段は、操作スイッチが操作されると、その時点における前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、予測手段により、操作スイッチが操作されると、その時点における計数手段による機械開閉式シャッタの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から累計の使用回数が規定値に達する時期が予測され、表示手段に表示される。これにより、所望のタイミングにて操作スイッチを操作することにより機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して表示することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの前記機械開閉式シャッタの回数を算出して前記表示手段に表示する残り回数算出手段を更に備えたことを要旨とする。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、残り回数算出手段により、計数手段による機械開閉式シャッタの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの機械開閉式シャッタの回数が算出され、表示手段に表示される。これにより、機械開閉式シャッタの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの機械開閉式シャッタの回数を容易に認識することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、請求項3に記載のレーザ加工装置において、前記予測手段による前記規定値に達する時期になったら警告する警告手段を更に備えたことを要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、警告手段により、予測手段による規定値に達する時期になったら警告される。これにより、予測時期になったことを認識することができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1または2に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達したか否か判定して判定結果を前記表示手段に表示する判定手段を更に備えたことを要旨とする。
【0018】
請求項8に記載の発明によれば、判定手段により、計数手段による機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達したか否か判定され、判定結果が表示手段に表示される。これにより、機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達したか否かを容易に認識することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載のレーザ加工装置において、前記判定手段による判定結果に基づいて警報する警報手段を更に備えたことを要旨とする。
請求項9に記載の発明によれば、警報手段により、判定手段による判定結果に基づいて警報がされる。これにより判定手段による判定結果を認識することができる。
【0020】
請求項10に記載の発明では、請求項8に記載のレーザ加工装置において、前記判定手段は、前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否か判定し、当該判定結果に基づいて警報するようにしたことを要旨とする。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、判定手段により、計数手段による機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否か判定され、判定結果に基づいて警報される。これにより、機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否かの判定結果を認識することができる。
【0022】
請求項11に記載の発明では、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段は、前記機械開閉式シャッタの駆動信号に基づいて前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数を計数することを要旨とする。
【0023】
請求項11に記載の発明によれば、機械開閉式シャッタの駆動信号に基づいて機械開閉式シャッタの累計の使用回数を計数することができる。
請求項12に記載の発明では、請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、前記計数手段は、前記機械開閉式シャッタにおける遮光板の動作を検出す遮光板動作検出手段による遮光板動作検出信号に基づいて前記累計の使用回数を計数することを要旨とする。
【0024】
請求項12に記載の発明によれば、機械開閉式シャッタにおける遮光板の動作を検出す遮光板動作検出手段による遮光板動作検出信号に基づいて累計の使用回数を計数することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、シャッタの寿命を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態におけるレーザマーキング装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】レーザマーキング装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】(a),(b)は機械開閉式シャッタを示す模式図。
【図4】レーザマーキング装置の表示器の正面図。
【図5】レーザマーキング装置の作用を説明するためのタイムチャート。
【図6】レーザマーキング装置の作用を説明するためのタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をレーザマーキング装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、レーザマーキング装置1の斜視図であり、図2はレーザマーキング装置のブロック図である。
【0028】
図1に示すように、レーザ加工装置としてのレーザマーキング装置1は、レーザ光Lを出射するコントローラ2を備えている。コントローラ2にはファイバケーブル3を介してヘッド4が接続されている。また、コントローラ2には電気ケーブル5を介してヘッド4が接続されるとともに、コントローラ2には電気ケーブル6を介してコンソール7が接続されている。そして、レーザマーキング装置1は、載置台8に載置された加工対象物Wのマーキング面Wa上に所望の文字、図形、記号等(以下、文字等という)をマーキングするようになっている。
【0029】
ヘッド4の下面には、レーザ光Lが出射される窓部9が形成されている。そして、ヘッド4は、窓部9が加工対象物Wのマーキング面Waと対向するように設置されている。
図2に示すように、コントローラ2はレーザ光源(レーザ発振器)20を備え、レーザ光源20からレーザ光Lが出射され、ファイバケーブル3に送られる。ファイバケーブル3を通してレーザ光がヘッド4に送られる。図1に示すようにヘッド4においてファイバケーブル3の一端がビームエキスパンダ収納部10に接続されている。ビームエキスパンダ収納部10にはビームエキスパンダ21(図2参照)が収納されており、ファイバケーブル3からのレーザ光がビームエキスパンダ21に送られる。
【0030】
図2に示すように、ヘッド4においてレーザ光Lの光路途中には、レーザ光源20側から順に、シャッタ22と、第1および第2ガルバノミラー23a,23bと、集光レンズ24が配設されている。そして、ビームエキスパンダ21からのレーザ光Lはシャッタ22を介して第1および第2ガルバノミラー23a,23bに入射される。
【0031】
第1および第2ガルバノミラー23a,23bは、駆動装置25により駆動される。具体的には、それぞれ対応する第1および第2ガルバノモータ(図示略)に回動可能に連結駆動されており、当該各ガルバノモータにより、第1および第2ガルバノミラー23a,23bを互いに略直交する軸を中心としてそれぞれ回動させるようになっている。
【0032】
そして、第1および第2ガルバノミラー23a,23bは、ビームエキスパンダ21からのレーザ光Lを反射し、その出射方向を変更させるようになっている。具体的には、第1ガルバノミラー23aは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面Waの一方向(X方向、図1参照)に走査させるようになっている。また、第2ガルバノミラー23bは、回動して加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lを、そのマーキング面WaのX方向に対して直交する方向(Y方向、図1参照)に走査させるようになっている。従って、加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lは、第1および第2ガルバノミラー23a,23bにより、加工対象物Wのマーキング面Waに対して、X方向およびY方向に走査されるようになっている。
【0033】
図3には、シャッタ22の詳細を示す。
シャッタ22は、回動式の遮光板30と、リターンスプリング31と、ロータリソレノイド32と、第1のシャッタ開閉動作検出センサ33と、第2のシャッタ開閉動作検出センサ34を備えている。
【0034】
遮光板30は金属板よりなり、ロータリソレノイド32の軸に取着されている。遮光板30はロータリソレノイド32への通電により回動軸Oを中心に回動駆動される。ロータリソレノイド32の非通電状態では、図3(a)に示すように、遮光板30は、リターンスプリング31の付勢力により所定の基準角度位置に保持される。この基準角度位置は、遮光板30がレーザ光Lの光路を閉鎖する遮断位置に相当する。
【0035】
また、遮光板30には延出片30aが設けられ、延出片30aは、遮光板30の長手方向に対し所定角度をなして回動軸Oを中心とする径方向に延びている。この延出片30aは、遮光板30が遮断位置(基準角度位置)にあるときに、フォトインタラプタからなる第1のシャッタ開閉動作検出センサ33の光軸を遮断するとともに、第2のシャッタ開閉動作検出センサ34の光軸を開放する。従って、このとき、第1のシャッタ開閉動作検出センサ33から出力される信号はオン状態となるとともに、第2のシャッタ開閉動作検出センサ34から出力される信号はオフ状態となる。
【0036】
一方、ロータリソレノイド32の通電状態では、図3(b)に示すように、遮光板30は、リターンスプリング31の付勢力に抗して図中、時計回りに所定の角度位置に回動されるとともに所定の通電量で当該角度位置に保持される。つまり、ロータリソレノイド32により発生する付勢力はリターンスプリング31により発生する付勢力とは逆方向となっている。この角度位置は、遮光板30がレーザ光Lの光路を開放する通過位置に相当する。このとき、延出片30aは、第2のシャッタ開閉動作検出センサ34の光軸を遮断するとともに、第1のシャッタ開閉動作検出センサ33の光軸を開放する。従って、このとき、第2のシャッタ開閉動作検出センサ34から出力される信号はオン状態となるとともに、第1のシャッタ開閉動作検出センサ33から出力される信号はオフ状態となる。
【0037】
なお、ロータリソレノイド32に対する上記所定の通電量は、リターンスプリング31の付勢力に抗して遮光板30を所定の角度位置(通過位置)に保持するために必要な最低限の通電量であって、例えばパルス電流によって形成されている。
【0038】
そして、ロータリソレノイド32が再び非通電状態になると、リターンスプリング31による付勢力で遮光板30は、基準角度位置(遮断位置)に復帰される(図3(a)参照)。
【0039】
図1においてコンソール7には表示器7aと操作部7bが設けられている。操作部7bはテンキー等を具備しており、操作部7bにより加工対象物Wに加工を行うレーザパワーの設定等を行うことができるようになっている。表示器7aの詳細を図4に示す。
【0040】
図4において、表示器7aは、シャッタ動作累計回数表示部40とメンテナンス時期表示部41を備えている。シャッタ動作累計回数表示部40には、シャッタ22の動作累計回数が表示される。メンテナンス時期表示部41には、シャッタ22がその使用により寿命に達する時期が表示される。なお、シャッタ22の寿命となるシャッタ動作累計回数とは、例えば、20万回である。
【0041】
図2において、コントローラ2は、レーザマーキング装置1を統括的に制御する制御装置26を備えている。制御装置26は不揮発性メモリを具備しており、不揮発性メモリには、印字される文字等のマーキング情報が記憶されている。このマーキング情報は、文字等を構成する各線分の始点および終点の座標値、レーザ光Lの照射により形成される線分の太さ等の情報を含む。
【0042】
制御装置26はコンソール7の操作部7bと接続され、制御装置26は操作部7bによるレーザパワーの設定値等を入力する。また、制御装置26には、レーザ光源20、ガルバノミラー用の駆動装置25、シャッタ22のロータリソレノイド32が接続されている。ガルバノミラー用の駆動装置25は、第1ガルバノミラー23aを駆動するためのモータおよび第2ガルバノミラー23bを駆動するためのモータを含んでおり、当該モータを駆動することにより第1および第2ガルバノミラー23a,23bが制御される。
【0043】
制御装置26は、レーザ光源20を駆動してレーザ光Lを出射させ、不揮発性メモリに記憶されたマーキング情報に基づいて第1および第2ガルバノモータを駆動制御することでレーザ光Lを2次元的に走査し、加工対象物Wのマーキング面Waに所定の文字等をマーキングするようになっている。
【0044】
また、制御装置26は、シャッタ22のロータリソレノイド32に対して駆動信号SG1を送出して、シャッタ22の遮光板30を、レーザ光源20からのレーザ光の光路上においてレーザ光源20から加工対象物Wへのレーザ光を通過させる通過位置と、レーザ光を遮断させる遮断位置との間で移動させるようになっている。
【0045】
また、制御装置26はシャッタ22の第1のシャッタ開閉動作検出センサ33および第2のシャッタ開閉動作検出センサ34と接続され、制御装置26は第1のシャッタ開閉動作検出センサ33からの信号SG2および第2のシャッタ開閉動作検出センサ34からの信号SG3を入力する。この信号SG2,SG3によりシャッタ22の遮光板30がレーザ光を通過させる位置あるいはレーザ光を遮断させる位置かを検知することができるようになっている。
【0046】
次に、このように構成したレーザマーキング装置1の作用を説明する。
計数手段としての制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の開閉動作の累計回数を計数する。図5のタイムチャートを用いて詳しく説明する。
【0047】
図5には、シャッタ22のロータリソレノイド32への駆動信号SG1、第1のシャッタ開閉動作検出センサ33の検出信号SG2、第2のシャッタ開閉動作検出センサ34の検出信号SG3、シャッタ22の遮光板30の回動角度θ、カウント値(シャッタ動作累計回数)を示す。
【0048】
図5において、シャッタ22の遮光板30の回動角度θについてt1のタイミングでθ=0の全閉状態から、t4のタイミングで全開状態になり、その後、t5のタイミングからt8のタイミングで再びθ=0の全閉状態に戻したとする。
【0049】
シャッタ22のロータリソレノイド32への駆動信号SG1においてt1〜t8の期間に開指令が出される。第1のシャッタ開閉動作検出センサ33の検出信号SG2はt1の直後のt2のタイミングから、t8の直前のt7のタイミングまでオフ状態となる。第2のシャッタ開閉動作検出センサ34の検出信号SG3はt4の直前のt3のタイミングから、t5の直後のt6のタイミングまでオン状態となる。
【0050】
本実施形態においては、ロータリソレノイド32への駆動信号SG1の立ち上がりエッジにてカウント値を「1」インクリメントとしている。このカウント値は不揮発性メモリに記憶される。
【0051】
このようにして、制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の駆動信号SG1に基づいて機械開閉式シャッタ22の開閉動作の累計回数を計数する。
なお、制御装置26において、駆動信号SG1の立ち下がりエッジをカウントしてもよい。
【0052】
制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の開閉動作の累計回数を表示器7aのシャッタ動作累計回数表示部40に表示させる。
また、制御装置26は、シャッタ22の寿命予測を行う。これを、図6を用いて説明する。
【0053】
図6において、横軸に時間をとり、縦軸にカウント値をとっている。t10のタイミングでレーザマーキング装置1の使用を開始している。レーザマーキング装置1の使用によりカウント値は大きくなっていく。そして、現在の時点(t11のタイミング)において、使用開始から現在までの期間T1と、現在のカウント値n1と、寿命回数の規定値n10から、次のように寿命予測時期t12を算出する。
【0054】
t12=t11+(T1・(n10−n1))/n1
・・・(1)
つまり、このままのペースでレーザマーキング装置1の使用を継続していった場合、シャッタ22の寿命となる時期(寿命回数に達する時期)を推定する。
【0055】
具体的に説明する。例えば、設置後、一ヶ月分のデータをとり、このカウント値をn1として、上記(1)式においてT1=一ヶ月として寿命予測時期t12を算出する。
そして、制御装置26は、このようにして算出した寿命予測時期を、表示器7aのメンテナンス時期表示部41に表示させる。これにより、シャッタ22がその使用により寿命に達する時期を知ることができる。
【0056】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)レーザ光が出力されるレーザ光源20と、レーザ光の光路に配置された機械開閉式シャッタ22とを備え、機械開閉式シャッタ22を開閉動作させることによってレーザ光源20から出力されたレーザ光を加工対象物Wに照射して加工する。このとき、計数手段および記憶手段としての制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数を計数して累計の使用回数を記憶する。表示手段としての表示器7aは、記憶した累計の使用回数に基づいて機械開閉式シャッタ22の寿命に関する情報を表示する。その結果、シャッタ22の寿命を容易に認識することができる。つまり、ソレノイド駆動のシャッタ22には寿命があり、メンテナンスが必要である。本実施形態ではシャッタ22の寿命が近いか否かの判断を容易に行うことができる。
【0057】
(2)制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の開く累計回数および閉じる累計回数の少なくとも一方の累計回数を使用回数として計数する。これにより、機械開閉式シャッタの累計の使用回数を計数する上で好ましい。
【0058】
(3)予測手段としての制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から累計の使用回数が規定値に達する時期(メンテナンス時期、交換時期)を予測して表示器7aに表示する。これにより、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値に達する時期を容易に認識することができる。
【0059】
(4)特に、制御装置26は、使用を開始してから規定の期間(例えば一ヶ月)が経過したときに、その時点における機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数と規定の期間から累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、表示器7aに表示する。これにより、容易に累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して表示することができる。
【0060】
(5)制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の駆動信号SG1に基づいて機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数を計数する。これにより、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数を計数することができる。
【0061】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・予測手段としての制御装置26は、操作スイッチが操作されると、その時点における機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、表示器7aに表示するようにしてもよい。即ち、制御装置26は、シャッタ動作累計回数(n1)をカウントしており、操作スイッチを押下した時点を基準として上記(1)式にて寿命予測時期t12を算出して表示するようにしてもよい(更新機能を持たせてもよい)。これにより、所望のタイミングにて操作スイッチを操作することにより機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して表示することができる。
【0062】
・残り回数算出手段としての制御装置26により、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの機械開閉式シャッタ22の回数を算出して表示器7aに表示するようにしてもよい。これにより、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの機械開閉式シャッタ22の回数を容易に認識することができる。
【0063】
・予測手段による規定値に達する時期になったら警告する警告手段を更に備えるようにしてしてもよい。これにより、予測時期になったことを認識することができる。
・判定手段としての制御装置26により、計数手段による機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値に達したか否か判定して判定結果を表示器7aに表示するようにしてもよい。例えば、規定値に達したら警報のためにシャッタ寿命表示灯を点灯させる。これにより、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値に達したか否かを容易に認識することができる。
【0064】
・判定手段による判定結果に基づいて警報する警報手段を更に備えてもよい。これにより判定手段による判定結果を認識することができる。
・判定手段としての制御装置26は、計数手段による機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否か判定し、当該判定結果に基づいて警報するようにしてもよい。これにより、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否かの判定結果を認識することができる。
【0065】
・計数手段としての制御装置26は、機械開閉式シャッタ22における遮光板の動作を検出す遮光板動作検出手段としてのシャッタ開閉動作検出センサ33,34による遮光板動作検出信号(図5のSG1,SG2)に基づいて累計の使用回数を計数するようにしてもよい。これにより、機械開閉式シャッタ22における累計の使用回数を計数することができる。このとき、検出信号SG2,SG3における立ち上がりエッジをカウントしても立下りエッジをカウントしてもよい。
【0066】
・機械開閉式シャッタ22はレーザ光の光路上のどこにあってもよい。
・累計の使用回数を表示するときにその画面内に規定値を同時に表示するようにしてもよい。
【0067】
・表示の切替手段(切替スイッチ)を備え、切替手段(切替スイッチ)を操作することにより、累計の使用回数の表示と、規定値(寿命回数)の表示と、規定値に達するまでの残り回数を切り替えるようにしてもよい。
【0068】
・操作スイッチのモード切り替えにより、第1のモードにおいて、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値を変更でき、第2のモードにおいて機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値を変更できるようにしてもよい。
【0069】
・計数手段としての制御装置26は、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数に代わり、動作時間を計数してもよい。要は、機械開閉式シャッタ22の累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を計数すればよい。
【0070】
・レーザマーキング装置に具体化したが、これに限定されるものではなく、他のレーザ加工装置、例えばレーザ溶接機、レーザ穴あけ機、レーザ切断機等に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…レーザマーキング装置、7a…表示器、20…レーザ光源、26…制御装置、22…機械開閉式シャッタ、32…ロータリソレノイド、33…シャッタ開閉動作検出センサ、34…シャッタ開閉動作検出センサ、40…シャッタ動作累計回数表示部、L…レーザ光、SG1…駆動信号、SG2…検出信号、SG3…検出信号、W…加工対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光が出力される光源と、前記レーザ光の光路に配置された機械開閉式シャッタとを備え、前記機械開閉式シャッタを開閉動作させることによって前記光源から出力されたレーザ光を加工対象物に照射して加工するレーザ加工装置であって、
前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を計数する計数手段と、
前記計数手段による前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した前記累計の使用回数および動作時間の少なくとも一方に基づいて前記機械開閉式シャッタの寿命に関する情報を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記計数手段は、前記機械開閉式シャッタの開く累計回数および閉じる累計回数の少なくとも一方の累計回数を前記使用回数として計数することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測して前記表示手段に表示する予測手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記予測手段は、使用を開始してから規定の期間が経過したときに、その時点における前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数と前記規定の期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記予測手段は、操作スイッチが操作されると、その時点における前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数とその回数に至るに要した期間から前記累計の使用回数が規定値に達する時期を予測し、前記表示手段に表示することを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数から当該使用回数が規定値に達するまでの残りの前記機械開閉式シャッタの回数を算出して前記表示手段に表示する残り回数算出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記予測手段による前記規定値に達する時期になったら警告する警告手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達したか否か判定して判定結果を前記表示手段に表示する判定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記判定手段による判定結果に基づいて警報する警報手段を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記計数手段による前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数が規定値に達する前の予め定めた値に達したか否か判定し、当該判定結果に基づいて警報するようにしたことを特徴とする請求項8に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記計数手段は、前記機械開閉式シャッタの駆動信号に基づいて前記機械開閉式シャッタの累計の使用回数を計数することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記計数手段は、前記機械開閉式シャッタにおける遮光板の動作を検出す遮光板動作検出手段による遮光板動作検出信号に基づいて前記累計の使用回数を計数することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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