説明

レーザ発振装置およびレーザ加工機

【課題】レーザガスの混合比不良が発生した場合でも放電開始電圧を上昇させずに放電を円滑にし、安定したレーザ発振装置を提供する。
【解決手段】ガス圧力検出手段35からの信号を入力し、ガス供給手段21からのガス供給量とガス排気手段33からのガス排出量と高電圧電源8を制御する放電制御手段36を設け、放電制御手段36は、高電圧電源8の放電を開始する前にガス供給手段21からのガス供給よりもガス排気手段33からのガス排気量を増加させて運転ガス圧を所定の圧力まで低下させて高電圧電源8に放電を開始させ、放電を開始した後、ガス供給手段21からのガス供給よりもガス排気手段33からのガス排気量を減少させて運転ガス圧に復帰させることにより、安定したレーザ出力の制御を行うことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ媒質を放電励起させてレーザ光を発生するレーザ発振装置およびレーザ加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザ発振装置の構成を図5を用いて説明する。
【0003】
図に示した従来のレーザ発振装置は、部分反射鏡13より出力されるレーザ光1、レーザガス2、アノード電極6とカソード電極7にはさまれた放電空間3、ガラスなどの誘電体よりなる放電管4、アノード電極6、カソード電極7、アノード電極6とカソード電極7に接続した高電圧電源8、レーザガスの温度を下げる熱交換器9、レーザガスを循環する送風手段10、ガス循環経路12、光共振器を構成する部分反射鏡13、光共振器を構成する全反射鏡14、レーザガスを供給するガス供給手段21、レーザガスの供給量を調節するガス供給量調節手段22、ガス供給電磁弁23、オイルミスト捕獲手段31、ガス排気電磁弁32、ガス排気手段33、ガス圧力検出手段35を備えている。
【0004】
その構成は、放電管4の両端にアノード電極6とカソード電極7を配置し、これらアノード電極6とカソード電極7は高電圧電源8と接続して放電管4内部のレーザガス2を放電するようにしている。この放電管4にはガス循環経路12を接続していて、このガス循環経路12の途中に熱交換器9、送風機10、熱交換器9を配置してレーザガス2が循環するように構成しており、この例ではアノード電極6からカソード電極7へレーザガス2を流すようにしている。なお、放電空間3および送風手段10の圧縮熱により上昇したレーザガスの温度は熱交換器9で適宜下げるようにしている。
【0005】
この各放電管4を連結していないそれぞれの端部には部分反射鏡13と全反射鏡14を配置して光共振器を構成している。
【0006】
なお、送風手段10の駆動部分からはオイルミスト捕獲手段31、ガス排気電磁弁32を経由して内部のガスを排出するためのガス排気手段33と接続しており、また、ガス循環経路12にもガス排気電磁弁32を経由して内部のガスを排出するためのガス排気手段33と接続している。
【0007】
そして、ガス循環経路12中のレーザガス圧を検出するガス圧力検出手段35をガス循環経路12に接続しており、また、ガス循環経路12にはガス供給電磁弁23、ガス供給量調節手段22を経由してガス供給手段21と接続している。以上が従来のレーザ発振装置の構成であり、その動作について説明する。
【0008】
放電管4の周辺に設けられたアノード電極6とカソード電極7に接続された高電圧電源8によって、放電管4内に放電空間3を発生させる。この放電エネルギーによりレーザガス2は励起され、その励起されたレーザガスは全反射鏡14および部分反射鏡13により形成された光共振器で共振状態となり、部分透過鏡13からレーザ光1として出力される。
【0009】
また、レーザ発振装置は、運転停止状態ではガス循環経路12、送風手段10、および放電管4の内部が大気圧近くの圧力約90kPaに保たれていて、運転開始時にガス排気電磁弁32を開放して、ガス排気手段33の真空ポンプなどでガスを排気して、ガス圧力約1kPa前後まで真空引きをする。
【0010】
ガス圧力が約1kPa前後になったとき、送風手段10の運転を開始すると同時に、ガス排気電磁弁32を閉じた後、ガス供給電磁弁23を開放してガス供給手段21より運転ガス圧力になるまで新鮮なレーザガスを供給する。
【0011】
運転ガス圧力になるとガス排気電磁弁32を開放してガスを排気すると同時にガス圧力検出手段35で一定のガス圧力になるようにガス供給電磁弁23の開閉制御をする。
【0012】
前記ガス圧力検出手段35で検出したガス圧力が所定の運転ガス圧力に到達した後、高電圧電源8よりアノード電極6とカソード電極7間に高電圧が供給され、放電管4は放電を開始する。
【0013】
しかし、ガス供給手段21とレーザ発振装置間のガス配管継手などのガス漏れや経年変化でレーザ発振装置内のガス循環経路12などに真空リークが発生した場合、レーザガスの混合比不良が生じて、放電開始電圧が一時的に上昇して、放電管が放電を開始しない場合や放電が不安定になる場合があった。
【0014】
このように、レーザガスの混合比不良が発生した場合でも放電開始電圧を上昇させずに放電を円滑にするため、放電管での放電を開始する直前に交流電源でレーザガスに予備電離を生じさせて、異常放電の防止や放電の安定化を図った発明が知られている(特許文献1参照)。
【0015】
この特許文献1に記載された発明では、放電管の近傍に放電を開始する直前にレーザガスの予備電離をする電極および交流電源が配置されていて、放電管の放電を開始する直前に、交流電源より予備電離用の電極に交流電圧を供給して、レーザガスに予備電離を生じさせ、放電が円滑に行わせている。
【特許文献1】特開平9−214032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、上述した予備電離用の交流電源を備えた従来のレーザ発振装置では、放電管のアノード電極の近傍に予備電離用の電極を配置しているため、放電管のアノード電極に印加される高電圧に対する絶縁距離を十分に確保する必要が有り、放電管の構造が大型するという問題があった。
【0017】
また、予備電離用の交流電源は、各放電管ごとに個別に設置する必要があるため、放電管が複数ある場合、交流電源もその放電管の数だけ必要で装置の大型化と同時にコストアップになるという欠点もあった。
【0018】
また、ガス供給手段とレーザ発振装置間のガス配管継手などのガス漏れや経年変化でレーザ発振装置内のガス循環経路などに真空リークが発生した場合、レーザガスの混合比不良が生じて、放電開始電圧が一時的に上昇して、放電管が放電を開始しない場合や放電が不安定になる場合、さらに高電圧配線の絶縁劣化や異常放電による機器の破損等に至るという問題があった。
【0019】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたもので、放電管の構造を簡素化すると同時に装置全体の小型化および低コスト化およびレーザガスの混合比不良による放電開始電圧の一時的な上昇を抑制したレーザ発振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明のレーザ発振装置は、レーザ媒体であるレーザガスを励起する放電手段として高電圧電源と、前記レーザガスを循環させる送風手段と、前記放電手段と前記送風手段との間のレーザガスの循環経路を形成するガス循環経路と、前記ガス循環路にレーザガスを供給するガス供給手段と、前記ガス循環経路からレーザガスを排気するガス排気手段と、前記ガス循環経路のガス圧力を検出するガス圧力検出手段とを備え、前記ガス圧力検出手段からの信号を入力し、前記ガス供給手段からのガス供給量と前記ガス排気手段からのガス排出量と前記高電圧電源を制御する放電制御手段を設け、前記放電制御手段は、前記高電圧電源の放電を開始する前に前記ガス供給手段からのガス供給よりも前記ガス排気手段からのガス排気量を増加させて運転ガス圧を所定の圧力まで低下させて前記高電圧電源に放電を開始させ、放電を開始した後、前記ガス供給手段からのガス供給よりも前記ガス排気手段からのガス排気量を減少させて運転ガス圧に復帰させるものである。
【0021】
この構成により予備電離用の交流電源や予備電離用の電極を新たに追加する必要が無く、放電管の構造の簡素化すると同時に装置全体を小型化することが出来る。
【0022】
また、レーザガスの混合比不良が発生した場合でもガス圧力を低減することにより放電開始電圧の抑制が図れ、長期に渡ってレーザ出力の安定化と信頼性の向上を図ることが出来る。
【0023】
また、本発明のレーザ加工機は、加工物を乗せる加工テーブルと、前記加工テーブルの移動とレーザ光の集光手段の少なくとも一方を移動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する数値制御手段と、請求項1から4のいずれかに記載のレーザ発振装置を具備したものである。
【0024】
この構成により、数値制御手段によりレーザ発振装置が統括的に制御され、レーザ加工の信頼性が向上すると共に加工ワークの不良品の混入を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明は、予備電離用の交流電源や予備電離用の電極を新たに追加する必要が無く、放電管の構造の簡素化すると同時に装置全体を小型化することが出来る。
【0026】
また、レーザガスの混合比不良が発生した場合でも放電開始電圧の上昇が抑制され、長期に渡ってレーザ出力の安定化と信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1から図4を用いて説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるレーザ発振装置の構成図である。
【0029】
なお、従来例と同じ構成要素には同一番号を付与している。
【0030】
図1に示す本発明の実施の形態1におけるレーザ発振装置は、部分反射鏡13より出力されるレーザ光1、レーザ媒体であるレーザガス2、アノード電極6とカソード電極7にはさまれた空間の放電空間3、ガラスなどの誘電体よりなる放電管4、アノード電極6、カソード電極7、アノード電極6とカソード電極7に接続された高電圧電源8、レーザガス温度を下げる熱交換器9、レーザガスを循環させる送風手段10、ガス循環経路12、光共振器を構成する部分反射鏡13、光共振器を構成する全反射鏡14、ガス循環路12にレーザガス2を供給するガス供給手段21、ガスの供給量を調節するガス供給量調節手段22、ガス供給電磁弁23、オイルミスト捕獲手段31、ガス排気電磁弁32、ガス循環経路12からレーザガス2を排気するガス排気手段33、ガス循環経路12のガス圧力を検出するガス圧力検出手段35、ガス圧力検出手段35からの信号を入力し、ガス供給手段21からのガス供給量とガス排気手段33からのガス排出量と高電圧電源8を制御する放電制御手段36、照射指令部37を備えている。
【0031】
その構成は、放電管4の両端にアノード電極6とカソード電極7を配置し、これらアノード電極6とカソード電極7は高電圧電源8と接続して、レーザガス2を励起する放電手段として構成し、放電管4内部のレーザガス2を放電するようにしている。この放電管4には放電手段と送風手段10との間のレーザガス2の循環経路を形成するガス循環経路12を接続していて、このガス循環経路12の途中に熱交換器9、送風機10、熱交換器9を配置してレーザガス2が循環するように構成しており、この例ではアノード電極6からカソード電極7へレーザガス2を流すようにしている。なお、放電空間3および送風手段10の圧縮熱により上昇したレーザガスの温度は熱交換器9で適宜下げるようにしている。
【0032】
この各放電管4を連結していないそれぞれの端部には部分反射鏡13と全反射鏡14を配置して光共振器を構成している。
【0033】
なお、送風手段10の駆動部分からはオイルミスト捕獲手段31、ガス排気電磁弁32を経由して内部のガスを排出するためのガス排気手段33と接続しており、また、ガス循環経路12にもガス排気電磁弁32を経由して内部のガスを排出するためのガス排気手段33と接続している。
【0034】
また、ガス循環経路12中のレーザガス圧を検出するガス圧力検出手段35をガス循環経路12に接続しており、ガス循環経路12にはガス供給電磁弁23、ガス供給量調節手段22を経由してガス供給手段21と接続している。
【0035】
そして、高電圧電源8にはその動作を制御する放電制御手段36と接続し、この放電制御手段36には照射指令部37からの信号を入力するように接続している。
【0036】
また、放電制御部36にはガス圧力検出手段35からの信号も入力するようにしており、ガス供給電磁弁23、ガス排気電磁弁32、ガス排気手段33に信号を出力するようにしている。
【0037】
以上のように構成されたレーザ発振装置について、その動作を説明する。
【0038】
このレーザ発振装置の放電管4内にレーザガス2が循環しており、高電圧電源8で放電管4内に放電して放電空間3を発生させる。この放電エネルギーによりレーザガス2は励起され、その励起されたレーザガス2は全反射鏡14および部分反射鏡13により形成された光共振器で共振状態となり、部分透過鏡13からレーザ光1として出力される。
【0039】
なお、放電空間3および送風手段10の圧縮熱により上昇したレーザガスの温度を熱交換器9で下げている。
【0040】
レーザ発振装置の概略動作は、運転停止状態ではガス循環経路12、送風手段10、および放電管4の内部が大気圧近くの圧力約90kPaに保たれていて、運転開始時にガス排気電磁弁32を開放して、ガス排気手段33の真空ポンプなどでガスを排気して、ガス圧力約1kPa前後まで真空引きをする。
【0041】
ガス圧力が約1kPa前後になったとき、送風手段10の運転を開始すると同時に、ガス排気電磁弁32を閉じた後、ガス供給電磁弁23を開放してガス供給手段21より運転ガス圧力になるまで新鮮なレーザガスを供給する。
【0042】
運転ガス圧力になるとガス排気停止電磁弁32を開放してガスを排気すると同時にガス圧力検出手段35で一定の圧力になるようにガス供給電磁弁23の開閉制御をする。
【0043】
図2は本実施の形態の運転開始時におけるガス圧力の時間的変化の関係図である。
【0044】
図2を参照しながら放電制御手段36の詳細な動作ついて説明する。
【0045】
運転停止時、ガス循環経路12内のレーザガス(放電管4内のレーザガス)は、約90kPa前後に保たれていて、運転開始信号が入力されるとガス排気手段33により排気され、ガス圧力は徐々に低下し、ガス圧力が約1kPa前後になった時、ガス供給手段21より新鮮なレーザガスが供給され、運転ガス圧力の図中A点まで供給される。
【0046】
放電制御手段36は、前記運転ガス圧力のA点に到達した後、照射指令部37から高電圧オン信号が入力されるとガス供給電磁弁23、ガス排気電磁弁32、ガス排気手段33に信号を出力してガス圧力を所定のガス圧力の図中B点まで一旦低下させ、高電圧電源8からアノード電極6とカソード電極7間に高電圧を印加する。、そして、放電管4で放電が開始されると、ガス圧力を元の運転ガス圧力に復帰させて、準備完了となり照射指令部37からのパワー指令の受付を可能にする。
【0047】
このように、放電を開始する直前に運転ガス圧を所定の圧力まで低下させた後に放電を開始し、放電開始電圧の上昇を抑制しているため、ガス供給手段21からのガス配管継手の接続不良などによるレーザガスの混合比不良が発生した場合でも放電への影響を低減できる。
【0048】
また、放電制御手段36は、運転開始時の初回の高電圧オン信号を内部に記憶して置き、運転中に高電圧がオフされた場合でも2回目以降の高電圧オンの再投入時は運転ガス圧力を変更することなく、高電圧オン信号で放電を開始することが可能になっている。
【0049】
この2回目以降の高電圧オン時の放電開始電圧は、レーザガスの混合比が安定しているため、放電が円滑に行なわれ電圧上昇は少ない。
【0050】
このように、2回目以降の高電圧オンの再投入時、運転ガス圧力の変更時間を省略することができ、高電圧オンより放電開始時までの時間の短縮が図れ、操作性の向上および作業性がより向上する。
【0051】
さらに、放電制御手段36は、運転ガス圧力の変更中、照射司令部37からのパワー指令を受付けないインターロック機能を設けて有り、誤ってパワー指令が出力された場合でも不安定なパワー出力を排除することが可能となっている。
【0052】
また、図示しないが放電制御手段36には、運転の停止時間を計測する時間計測部と、計測した時間が所定の停止時間以下の場合に運転ガス圧力を低下させずに放電を開始する停止時間判定部を設け、運転停止時間の監視を行なっている。そして、停止時間が長い場合のみ運転ガス圧力を低下させて放電を開始することによりガス配管経路のガス漏れによるレーザガス混合比不良を排除できる。また、短時間の停止時には、準備完了までの時間短縮が図れ、操作性の向上と作業性がさらに向上する。
【0053】
図3は本実施の形態のガス圧力と放電開始電圧の関係を示す図である。
【0054】
図3のように、ガス圧力と放電開始電圧の関係は、ほぼ比例関係で、ガス圧力が高くなると放電開始電圧も高くなる傾向が有る。運転ガス圧力が図中C点の場合、放電開始電圧は図中E点でガス圧力を図中D点に低下させた場合、放電開始電圧は図中F点まで低下する関係となっている。
【0055】
このように所定の運転ガス圧力のC点よりガス圧力をD点に30%低下させた場合、放電開始電圧もE点よりF点に約30%低減されることになるので、上述した動作を行うことにより低い放電開始電圧で放電を開始することができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態によれば、レーザガスの混合比不良が発生した場合でも運転ガス圧を所定の圧力まで低下させた後に放電を開始し、放電開始電圧の上昇を抑制しているため、放電管の未放電や放電の不安定、さらに高電圧配線の絶縁劣化や異常放電による機器の破損を防止することが可能で、レーザ出力の安定化と信頼性の向上を図ることが出来る。
【0057】
また、予備電離用の交流電源や予備電離用の電極を新たに追加することなく、放電管の構造の簡素化すると同時に装置全体を小型化することによりコストパフォーマンスの良い構成が出来る。
【0058】
なお、以上の構成からなるレーザ発振装置では、各構成に制御素子を設けて、各信号処理または各構成において制御するようにしたが、レーザ発振装置に、各構成に接続されるCPUを設け、各処理を統括的に制御するようにしても良い。
【0059】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態におけるレーザ加工機の構成図を示している。
【0060】
レーザ加工機は、加工ワーク44を乗せる加工テーブル43と、加工テーブル43の移動またはレーザ光を集光する集光手段47の少なくとも一方を移動する駆動手段42と、前記駆動手段42を制御する数値制御手段41と、上述した実施の形態1に示すレーザ発振装置45と、レーザ光路46とにより構成されている。
【0061】
レーザ発振装置45より出射されたレーザ光は、折返し鏡などで構成されたレーザ光路46で伝送され集光手段47により集光されて、加工ワーク44に照射され、加工が開始される。それと同時に数値制御手段41により駆動手段42に指令が出力され、加工テーブル43または集光手段47の少なくとも一方を動作させて加工ワーク44を加工される。
【0062】
上記レーザ加工機によれば、レーザガス混合比などの影響を防止して、レーザ光の出力パワーの正確な照射が可能となる。さらに数値制御手段によりレーザ発振装置が統括的に制御されことにより、レーザ加工の信頼性が向上すると共に加工ワークへの不良品の混入を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のレーザ発振装置およびレーザ加工機は、放電開始電圧の上昇が抑制でき、長期に渡ってレーザ出力の安定化と信頼性の向上できるレーザ発振装置およびレーザ加工機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1におけるレーザ発振装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態1での運転開始時におけるガス圧力の時間的変化の関係図
【図3】本発明の実施の形態1におけるガス圧力と放電開始電圧の関係図
【図4】本発明の実施の形態2におけるレーザ加工機の構成図
【図5】従来のレーザ発振装置の構成図
【符号の説明】
【0065】
1 レーザ光
2 レーザガス
3 放電空間
4 放電管
6 アノード電極
7 カソード電極
8 高電圧電源
9 熱交換器
10 送風手段
12 ガス循環経路
13 部分反射鏡
14 全反射鏡
21 ガス供給手段
22 ガス供給量調節手段
23 ガス供給電磁弁
31 オイルミスト捕獲手段
32 排気電磁弁
33 ガス排気手段
35 ガス圧力検出手段
36 放電制御手段
37 照射指令部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ媒体であるレーザガスを励起する放電手段として高電圧電源と、前記レーザガスを循環させる送風手段と、前記放電手段と前記送風手段との間のレーザガスの循環経路を形成するガス循環経路と、前記ガス循環路にレーザガスを供給するガス供給手段と、前記ガス循環経路からレーザガスを排気するガス排気手段と、前記ガス循環経路のガス圧力を検出するガス圧力検出手段とを備え、前記ガス圧力検出手段からの信号を入力し、前記ガス供給手段からのガス供給量と前記ガス排気手段からのガス排出量と前記高電圧電源を制御する放電制御手段を設け、前記放電制御手段は、前記高電圧電源の放電を開始する前に前記ガス供給手段からのガス供給よりも前記ガス排気手段からのガス排気量を増加させて運転ガス圧を所定の圧力まで低下させて前記高電圧電源に放電を開始させ、放電を開始した後、前記ガス供給手段からのガス供給よりも前記ガス排気手段からのガス排気量を減少させて運転ガス圧に復帰させるレーザ発振装置。
【請求項2】
前記放電制御手段は、運転開始時の前記高電圧電源の放電を開始する前にのみ前記ガス供給手段からのガス供給よりも前記ガス排気手段からのガス排気量を増加させて運転ガス圧を所定の圧力まで低下させる請求項1記載のレーザ発振装置。
【請求項3】
前記放電制御手段は、運転ガス圧力の変更中に前記高電圧電源の出力を変更しない請求項1または2記載のレーザ発振装置。
【請求項4】
前記放電制御手段は、運転の停止時間を計測する時間計測部と、所定の停止時間以下の場合に運転ガス圧力を低下させずに放電を開始する停止時間判定部を有した請求項1から3のいずれかに記載のレーザ発振装置。
【請求項5】
加工物を乗せる加工テーブルと、前記加工テーブルの移動とレーザ光の集光手段の少なくとも一方を移動する駆動手段と、前記駆動手段を制御する数値制御手段と、請求項1から4のいずれかに記載のレーザ発振装置とを備えたレーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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