説明

レーダセンサ上の接続プラグおよびその製造方法

【課題】従来技術の問題点を解決したレーダセンサ上の接続プラグ、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】プラグピンがプラスチック内に挿入された、レーダセンサ上の接続プラグであって、プラグピン(4)を取り囲むプラスチック(5)(11)の電気インピーダンスが低周波数域で高い値を有し、プラスチック(6)が、高周波数レーダ波の帯域のレーダ波を吸収する特性を有するように、プラスチック(5)(6)(11)が、レーダ波を吸収する顆粒を少なくとも部分的に備えている接続プラグを提案する。このために、プラグピン(4)を、レーダ波吸収顆粒を備えていないプラスチック層(5)(11)によって取り囲み、プラグピン(4)を取り囲む残りの部分を、レーダ波を吸収する顆粒を含むプラスチック(6)からなるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲に記載の一般的なタイプのレーダセンサ上の接続プラグ、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラグ部品のプラグピンのための接続プラグにおいては、まず、絶縁材料、好ましくはプラスチックにプラグピンを埋め込み、次いでいわゆるインサートとして、特定顧客用接続プラグに挿入するのが通例である。一例として、このようなインサートを、インサート部品として型内に配置し、次いで、対応するハウジング内に射出成形することができる。この場合、既にインサート成形されたインサートおよびハウジングは、通常は同じ材料から形成される。
【0003】
プラスチックを使用する場合は、レーダセンサを近接領域および周囲領域から分離するために、レーダセンサの領域におけるレーダ波の周波数域(例えば、24GHz)で吸収性のあるプラスチックを使用すること自体は周知である。例えば、特許文献1には、レーダ波を吸収する顆粒が添加された、このようなレーダセンサを覆うために使用される発泡プラスチックが開示されている。このような特定のプラスチックは、例えば、レーダセンサの近傍にある金属部品によって生じる干渉の影響を最小限にする。このプラスチックの特性は周知であり、高周波を吸収するが、一般に、ホルダーとしてしか使用されず、ホルダー以外では、レーダセンサの領域におけるスクリーニングに使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第1471598号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、レーダセンサ上の接続プラグ、およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プラグピンの間のプラスチックの電気インピーダンスが、低周波数域で高い値を有し、プラグピンを取り囲むプラスチックが、高周波数レーダ波の帯域のレーダ波を吸収する特性を有するように、プラスチックは、レーダ波を吸収する顆粒を少なくとも部分的に備えているプラグピンが、プラスチック内に挿入された、レーダセンサ上の接続プラグに関するものである。
【0007】
この場合、プラグピンは、レーダ波吸収顆粒を備えていない薄いプラスチック層によって取り囲まれ、かつプラグピンを取り囲んでいる残り部分は、レーダ波を吸収する顆粒を備えていないプラスチックからなっている。レーダ波を吸収し、好ましくは黒鉛成分を含んでいるプラスチックは、例えば、約10kΩ/cmの導電率を有し、それ自体は周知である。一例として、2.54mmの格子を使用すると、プラグピン間の距離を、約1.9mmとすることができ、2つのプラグピン間の電気抵抗値は、約2.5kΩとなる。本発明によると、プラグピンはレーダ波吸収プラスチックと接触しないため、プラグピン間の電気抵抗は追加の絶縁層によって大幅に増大する。追加の絶縁層であるプラスチックは、基材として、レーダ波吸収材料と同じ材料とすることができるが、黒鉛などの導電性添加剤を含まないものである。
【0008】
製造方法を簡単かつ低コストとするために、広範囲に渡って、プラグピンをインサートの電気絶縁プラスチック層に挿入し、次いで、このプラスチック層の周りに、レーダ波を吸収する顆粒を含むプラスチックを吹き付けると有利である。
【0009】
上述のタイプの接続プラグの本発明による製造方法では、レーダセンサとの電気接点を容易に形成することができ、プラグピンをハウジング内で射出成形することができる。第1の工程では、例えば、プラグピンを、非導電性または低導電性のプラスチックでインサート成形し、第2の工程で、このように前処理したプラグピンを、レーダ波を吸収するプラスチックでインサート成形する。
【0010】
一例では、さらに、プラグピンを、インサートを形成するために共に結合することができ、第1の工程(初めのインサート成形)で、非導電性または低導電性のプラスチックでインサート成形し、次いでインサートを、ハウジングの形成のための型の中に挿入し、この型の中でインサートを、レーダ波を吸収するプラスチックで射出成形またはインサート成形する。
【0011】
この代わりに、プラグピンを、同様にハウジングの形成のための型の中に挿入し、2段階方法における第1の工程で、非導電性または低導電性のプラスチックでインサート成形し、次いでハウジングの残りに、レーダ波を吸収するプラスチックを吹き付けるかまたは充填して形成する。また、インサートまたはハウジングの形成のための型の中に導入する前に、プラグピンを、電気的に絶縁されるように予め被覆することもできる。
【0012】
本発明による接続プラグの1つの有利な使用例として、周囲識別システム用のレーダセンサのハウジング内の接続プラグを、自動車に取り付けることができる。
【0013】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電気接続プラグを備えたレーダセンサのハウジングを示す図である。
【図2】電気絶縁プラスチック層およびレーダ波を吸収するプラスチック層を備え、図1に示した接続プラグのプラグピンが設けられたインサートの詳細図である。
【図3】電気絶縁プラスチック層およびレーダ波を吸収するプラスチック層の実施形態が異なる、図1に示した接続プラグのプラグピンが設けられたインサートの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、一例として、自動車のバンパーに取り付けられる周囲識別システム用のレーダセンサのハウジング1を示している。ハウジング1は、詳細を示していないレーダセンサの電気部品と、自動車まで延びている配線システム、またはバスシステムとの間に設けた、電気接点を介して、接続プラグ2に取り付けられている。
【0016】
この場合、接続プラグ2には、所定数のプラグピン4が取り付けられ、かつ予めインサート成形されたプラスチック部品としてのインサート3が設けられている。
【0017】
図2は、インサート3のプラグピン4が、レーダ波吸収顆粒を備えていない薄いプラスチック層5により、どのように取り囲まれているかを詳細に示し、プラグピンを取り囲んでいる残りの部分、すなわちインサート3の本体は、レーダ波を吸収する顆粒、好ましくは黒鉛が混入されたプラスチック6から形成されている。したがって、プラグピン4は、レーダ波吸収プラスチックに接続されていないため、プラグピン4間の電気抵抗は大幅に増大し、同時にハウジング1のレーダ波吸収特性が、接続プラグ2の部分で維持される。
【0018】
図3は、インサート10が、プラグピン4が電気絶縁プラスチック層11に広範囲に渡って挿入されるように設計された実施形態を示している。レーダ波を吸収する顆粒を含むプラスチック6が、このプラスチック層11の周りに吹き付けられている。
【符号の説明】
【0019】
1 ハウジング
2 接続プラグ
3 インサート
4 プラグピン
5 薄いプラスチック層
6 プラスチック
10 インサート
11 プラスチック層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグピンがプラスチック内に挿入された、レーダセンサ上の接続プラグにおいて、
プラグピン(4)を取り囲むプラスチック(5)(11)の電気インピーダンスが、低周波数域で高い値を有し、プラスチック(6)が、高周波数レーダ波の帯域のレーダ波を吸収する特性を有するように、前記プラスチック(5)(6)(11)が、レーダ波を吸収する顆粒を、少なくとも部分的に備えていることを特徴とする接続プラグ。
【請求項2】
プラグピン(4)は、レーダ波吸収顆粒を備えていない薄いプラスチック層(5)によって取り囲まれ、インサート(3)のプラグピンを取り囲む残りの部分は、レーダ波を吸収する顆粒を含むプラスチック(6)からなることを特徴とする、請求項1に記載の接続プラグ。
【請求項3】
薄いプラスチック層が、プラグピン(4)間の一部を構成していることを特徴とする、請求項2に記載の接続プラグ。
【請求項4】
プラグピン(4)が、電気絶縁プラスチック層(11)に広範囲に渡って挿入され、このプラスチック層(11)の周囲のプラスチック(6)に、レーダ波を吸収する顆粒が吹き付けられるように、インサート(10)がデザインされていることを特徴とする、請求項1に記載の接続プラグ。
【請求項5】
レーダ波を吸収するプラスチック(6)は、黒鉛成分からなる顆粒を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の接続プラグ。
【請求項6】
第1の工程で、プラグピン(4)を、非導電性または低導電性のプラスチック(5)(11)でインサート成形し、第2の工程で、このように前処理したプラグピン(4)を、レーダ波を吸収するプラスチック(6)でインサート成形することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接続プラグの製造方法。
【請求項7】
プラグピン(4)を、インサート(3)を形成するために共に結合し、第1の工程で、非導電性または低導電性のプラスチック(5)(11)でインサート成形し、次いで、前記インサート(3)を、ハウジング(1)の形成のために型の中に挿入し、この型の中で、前記インサート(3)を、レーダ波を吸収するプラスチック(6)で射出成形またはインサート成形することを特徴とする、請求項6に記載の接続プラグの製造方法。
【請求項8】
プラグピン(4)を、ハウジング(1)の形成用の型の中に挿入し、第1の工程で、非導電性または低導電性のプラスチック(5)(11)でインサート成形し、次いで、前記ハウジング(1)の残りを、レーダ波を吸収するプラスチック(6)を吹き付けるか、または充填して形成することを特徴とする請求項6に記載の接続プラグの製造方法。
【請求項9】
プラグピン(4)を、インサート(3)またはハウジング(1)の形成のための型の中に導入する前に、電気的に絶縁するように被覆することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の接続プラグの製造方法。
【請求項10】
周囲識別システム用のレーダセンサのハウジング(1)内の接続プラグ(2)を、自動車に取り付けることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の接続プラグの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511702(P2012−511702A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539954(P2011−539954)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008850
【国際公開番号】WO2010/066434
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508108903)ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (22)
【Fターム(参考)】