レーダ液位計のための底部反射器
レーダ液位計用の底部反射器であって、液位計が、タンクに貯蔵された液体の液位を、タンクの頂部から液体の表面に向かってマイクロ波信号を送信し、液体の表面から反射されたマイクロ波信号を受信し、送信および反射されたマイクロ波信号の伝播時間からタンクに貯蔵された液体の液位を計算することによって測定するようになっており、底部反射器が、タンク内に所定の高さで液体が存在しない場合にマイクロ波信号を反射するために、タンク内で所定の高さに載置可能である底部反射器において、液体の液位が、反射用構造体よりも上方にある場合にはマイクロ波信号に対する第1の反射係数を有し、液体の液位が反射用構造体よりも下方にある場合にはマイクロ波信号に対する第2の反射係数を有する反射用構造体を含み、第1の反射係数が前記第2の反射係数より実質的に小さいことを特徴とする底部反射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い意味で液位計測に関し、より詳細には、レーダ液位計のための底部反射器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーダによる方法は、数年来、様々なタンク内の液位計測のために広く使用されている。そのような液位計測では、液体表面に向かってマイクロ波を送信し、液体表面から反射されたマイクロ波を受信し、送信および反射されたマイクロ波の伝播時間からタンク内の液体の液位を計算することによって、タンクの頂部からタンクに貯蔵された液体表面までの距離が測定される。
【0003】
レーダ液位計測の固有の限界は、液体の多くが、使用されるマイクロ波に対して少なくともある程度透過性であり、低い液位の測定において、おそらくはタンクの底部から反射されるマイクロ波が液体表面から反射されるマイクロ波と干渉することにある。すなわち、距離分解能が、タンク底部から反射されたマイクロ波を液体の表面から反射されたマイクロ波と区別するには不十分となる可能性がある。したがって、液位が低いと、タンクの底部から反射されたマイクロ波が、測定を妨害する可能性が大きい。この問題は、レーダ液位計の種類に応じて、10分の数メートルより低い液位で発生する可能性がある。これは特に、少なくともわずかに透過性である石油製品のような液体を含む、平坦な底部を有するタンクに共通の問題である。
【0004】
いくつかのタンクでは、底部を傾斜させることができる。そのようなタンクでは、一般にレーダ・エコーの干渉問題はないが、一方、タンクが空のとき、レーダ・ビームが液位計の受信機からそれるので、タンクの底部から反射されたマイクロ波が受信されない。タンクが空の場合、空であることを確認するために、底部からの比較的強いレーダ・エコーを有することが望ましい。他の場合には、タンクの底部にスラッジによる未知の層があり、平坦な底部でさえもあいまいなレーダ・エコーを発する可能性、或いはレーダ・エコーを全く発しない可能性がある。
【0005】
空のタンクでは底部からのレーダ・エコーを受信しないという問題は、単純な反射用構造体をタンクの底部に溶接することによって解決できる。しかし、そのような反射用構造体は、タンク内の液体が少なくとも部分的にマイクロ波に対して透過性であれば、液位が反射用構造体のわずかに上方にあるときに干渉を引き起こすことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の主な目的は、タンク内の液体の液位を測定するレーダ液位計のための底部反射器であって、この計器を低液位の液位測定のために使用したとき、タンクの底部から反射されるマイクロ波による干渉を低減するが、タンクが空のとき、依然として十分なマイクロ波の反射を実現する底部反射器を提供することである。
【0007】
この点に関連して、液位が管を介して計測されるか否かにかかわらず、その使用に適している底部反射器を提供することが、本発明の特定の目的である。
【0008】
本発明の他の目的は、レーダ液位計が、周波数変調連続波(FMCW)レーダ装置であろうと、パルス・レーダであろうと、任意の他の種類の距離測定用レーダであろうとに関わらず、それらの使用に適する底部反射器を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、単純であり、信頼性が高く、効率的であり、正確であり、精密であり、製造及び据付けが容易であり、コストの低い底部反射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、とりわけ、添付の特許請求の範囲で特許請求されている底部反射器によって達成される。
【0011】
本発明者は、タンク内に液体がない、又は非常に低い液位の液体があるにすぎない場合にマイクロ波信号を反射するために、タンク内に所定の高さで、好ましくはタンク底部に近接して載置可能であり、反射用構造体を含む底部反射器であって、反射用構造体が、液体の液位が反射用構造体より上方にある場合にマイクロ波信号に対する第1の反射係数を有し、また液体の液位が反射用構造より下方にある場合にマイクロ波信号に対する第2の反射係数を有し、第1の反射係数が第2の反射係数より実質的に小さい底部反射器を提供することによって、上記の目的を達成することができることを見出した。
【0012】
好ましくは、液体は、たとえば、原油、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、他の液化炭化水素など石油製品、又は少なくとも部分的にマイクロ波に対して透過性である一般的な液体である。そのような製品は、一般に、1.6〜3の範囲の誘電率を有し、一方、液位の上方の雰囲気は、内容物およびその圧力に応じて、一般に、1〜1.03の範囲の誘電率を有する。
【0013】
さらに、好ましくは、液体の液位が反射用構造体よりも上方にあるとき、反射用構造体から反射されたマイクロ波信号は、液体の液位から反射されるマイクロ波信号より弱く、有利には、はるかに弱い。液体の液位が反射用構造体よりも下方にある場合は、反射用構造体から反射されるマイクロ波信号は、液体の液位から反射されるマイクロ波信号に比較可能である、又は、それよりわずかに強いことが好ましい。
【0014】
液体とその上方の雰囲気との誘電率の差に基づいて所望の機能を得るために、様々な反射用構造体を使用することができる。これらの反射用構造体は、本説明において詳しく述べられており、好ましい実施例の様々なグループ、すなわち、カットオフ格子、ダイポール(双極)などの共鳴構造体、誘電反射器、偏波回転構造体、送信および反射されたマイクロ波信号を案内するための、小さな距離にわたって屈曲可能なマイクロ波案内構造体、並びにマイクロ波の自由空間伝播が使用されるとき特に適用可能な構造体にグループ分けすることができる。
【0015】
偏波回転構造体のグループに関して、液位計測の際に使用されるマイクロ波信号は、特定の偏波状態を有すること、また、その特定の偏波状態について第1及び第2の反射係数が与えられることを理解されたい。したがって、液体内での反射時に、直線に偏波されたマイクロ波信号の偏波を回転させる作用は、その特定の偏波状態にあるマイクロ波信号について反射係数を減少させることに等しい。
【0016】
本発明の主な利点は、タンクの底部から反射されるマイクロ波による干渉なしに液位計測を行うことができることである。タンクが空のとき、又はほぼ空のとき、すなわち、底部反射器の反射用構造体が、計測される液体の液位よりも上に上がっているとき、底部反射器からの明瞭な反射が得られ、これは、タンクが空であること、又は液位が低いことを示す。
【0017】
レーダ液位計は、本明細書では、大型容器だけでなく、たとえば、反応器、遠心分離器、ミキサ、ホッパ、選別機械(グレーダ)、或いは、熱処理炉及び同様のデバイスなど処理装置を含む、食品化学、薬化学、生化学、遺伝子化学、及び石油化学で使用されるタンク内の液位を測定するために使用される。
【0018】
本発明の他の特徴、及び本発明の利点は、以下に提供される本発明の好ましい実施例の詳細な説明、及び添付の図1〜図7から明らかになる。これらは例示のためだけに提供され、したがって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0019】
レーダ液位計測のための装置を側面図で概略的に示す図1を参照して、本発明の好ましい実施例について述べる。本装置は、周波数変調連続波(FMCW)レーダ装置、パルス・レーダ装置、又は任意の他の種類の距離測定用レーダとすることができる。
【0020】
レーダ液位計測のために多数の周波数を使用することができるが、5.8、10、25GHzに近接する帯域が広く使用されている。気泡及び汚染が頻発するタンク内では、前記周波数の最も低いものが最も一般的である。なぜなら、この周波数でのマイクロ波信号は、そのような劣化の影響をほとんど受けないからである。
【0021】
図1において参照番号11で示されているレーダ液位計は、その液位が計測される液体の充填されたタンク又は容器12の屋根の開口の上方に載置される。好ましくは、液体は、たとえば原油、液化石油ガス(LPG)、又は液化天然ガス(LNG)など石油製品である。そのような製品は、一般に、1.6〜3の範囲の誘電率を有し、一方、液位よりも上方のタンク12内の雰囲気は、ガス内容物およびその圧力に応じて、一般に、1〜1.03の範囲の誘電率を有する。
【0022】
レーダ液位計は、タンク12内の液体表面に向かってマイクロ波信号を送信し、タンク12内の液体表面から反射されたマイクロ波信号を受信する。さらに、レーダ液位計は、送信および反射されたマイクロ波信号の伝播時間からタンク内の液体の液位を計算するための信号処理デバイス(明示的に図示せず)を備えるか、又はそれに接続される。典型的には、送信および反射されたマイクロ波信号を案内するために、実質的に鉛直方向の管13が設けられる。管13は、支持部材14によってタンクに取り付けられ、密度の成層化が起こる可能性はあるものの、その内側と外側で同じ液位を得るために穴が開けられる。しかし、液位計は自由空間伝播モードで動作することができ、したがって、管13は省くことができる。
【0023】
タンク内に液体が存在しないときにマイクロ波信号を反射するために、タンク12の底部近くに底部反射器15が設けられる。図1の管13のように、導波のために管が使用される場合、底部反射器15は、典型的には、管の下端部に載置される。別法として、底部反射器は、タンクの底部に載置される。
【0024】
本発明によれば、底部反射器15は、(図1には明示的に示されていない)反射用構造体を含み、この反射用構造体は、液体の液位が反射用構造体よりも上方にあるときはマイクロ波信号に対する第1の反射係数を、また液体の液位が反射用構造体よりも下方にあるときはマイクロ波信号に対する第2の反射係数を有し、第1の反射係数が第2の反射係数より実質的に小さい。
【0025】
そのような装備により、底部から反射されたマイクロ波による干渉のない正しい液位計測を確保することができる。これは、タンク12内の低液位を計測するとき特に重要である。液体の液位が底部反射器15の反射用構造体よりも下に下がったとき、少なからず、より強い反射が得られ、それによって液位が低いことが示される。
【0026】
第1及び第2の反射係数は、いわゆる「偏波内(in−polarization)」反射係数が有利であることに留意されたい。偏波内反射係数とは、底部反射器の表面部で反射された、特定の偏波状態にあるマイクロ波信号(すなわち、その振幅)と、入射マイクロ波信号(すなわち、その振幅)との比を意味し、特定の偏波状態は、液体の表面で反射されたマイクロ波信号の偏波によって与えられる。したがって、入射マイクロ波信号が直線偏波であれば、特定の偏波は、その直線偏波状態である。なぜなら、直線に偏波されたマイクロ波信号は、液体の表面によって反射されても、その偏波状態を変化させないからである。左円偏波された入射マイクロ波信号であれば、特定の偏波は、右円偏波である。マイクロ波信号が液体の表面で反射されるときは電場の回転が逆転されるからである。
【0027】
液体の液位が反射用構造体よりも上方である場合、反射用構造体から反射されるマイクロ波信号は、液体の液位から反射されるマイクロ波信号より弱いことが有利であり、はるかに弱いことがさらに有利である。液体の液位が反射用構造体よりも下方である場合、反射用構造体から反射されたマイクロ波信号は、液体の液位から反射されたマイクロ波信号に比較可能である、又は、それよりわずかに強いことが好ましい。強すぎる反射は、回避すべきである。
【0028】
好ましくは、第1の反射係数は、0.2より小さく、より好ましくは0.1より小さく、さらに好ましくは0.05より小さい。第2の反射係数は、好ましくは0.1より大きく、より好ましくは、0.2より大きい。さらに、第2の反射係数は、0.5より小さく、より好ましくは0.4より小さく、最も好ましくは0.3より小さい。
【0029】
大抵の場合には、タンク12の底部から反射された反射マイクロ波信号を構造体16によって偏向又は吸収することが好ましい。構造体16は、傾斜プレート、円錐形表面、1片のレーダ吸収材料などとすることができる。
【0030】
以下の項では、本発明の底部反射器の様々な特定の実施例について詳しく述べる。
【0031】
(特定の好ましい実施例)
図2a〜図2eは、導波路カットオフ周波数の原理に基づく様々な底部反射器を示す。各底部反射器は、λ/2よりわずかに小さい格子分離を有する格子構造体を含み(ここで、λはマイクロ波信号の真空波長である)、格子構造体が液体の液位よりも上方にあるときにマイクロ波信号が透過することを防止し、その代わりにマイクロ波信号は反射される。液位が格子構造体よりも上に上がったときには、マイクロ波信号の波長は、より大きい液体の誘電率により減少する。したがって、格子はマイクロ波信号にとって、より広く見え、マイクロ波信号は、格子構造体を通過することができる。
【0032】
図2aには、管13内に構成された格子構造体を含む底部反射器が示されている。この場合には、管13は、実質的に矢印22によって示された電界の方向を有するH11モードで伝播するマイクロ波を補助するように構成される。格子構造体は、λ/2よりわずかに小さい分離を有する複数の導電性の、好ましくは金属のリボン23からなり、液位が格子構造体よりも下方にある場合に伝播がカットオフされるようにする。
【0033】
たとえば、10GHzのときには、間隔は14mmとすることができ、リボン23は28mmの高さを有することができるが、これはリボンによって形成された導波路内でλm/2の距離に対応する。ここで、λmは、管13内の液体内(すなわち、液位が格子構造体よりも下方であるとき)のマイクロ波信号の波長である。λm/2のリボン高さにより、伝播は、標準的なレーダ・レドームのように、ある周波数帯域内で反射しなくなる。後に、λmは管13内の局所波長として使用されることになるので、λmは、本説明の異なる状況において異なるものとなることを理解されたい。
【0034】
金属又は何らかの誘電材料製の支持部材24が、格子構造体を支持するために使用される。図2aは、まっすぐなリボンを有する格子構造体を示すが、これらは、導波路モードH11の電界パターンに適合するように曲げることができる。さらに、格子構造体は、他の導波路伝播モードに合致するように修正することができる。
【0035】
一実施例では、本発明の底部反射器は、網目格子構造体を備える。別の修正として、リボンの一部分を、反射帯域透過を共に減少させ、使用可能な帯域幅を増大させることのできる減衰材料製にすることができる。
【0036】
別の実施例では、図2bに示されているように、管13内で同心状に構成された複数の円形の導電性条片を含む格子構造体を使用し、電波のH01モードに対応する動作を得る。H01導波路モードの電界線22は、純粋に環状のものであり、したがって、いくつかの同心状の、短い円筒形の管又はリング25が、電界線と平行に構成される。この10GHz実施例を参照すると、リング間の距離は、約14mmであるが、H01モードの円筒形導波路パターンに従って修正されて、高さは約28mmである。誘電材料又は金属材料の支持要素(図示せず)が、実際の使用には含まれる。H11及びH01の場合と同様に、他の導波路モードのための構造体が可能である。
【0037】
たとえば、E01モードのマイクロ波信号の場合、リボンは、放射状に構成すべきである。
【0038】
図2cには、底部反射器の一部分が側断面図で示されている。この実施例は、図2aの実施例と同様であり、まっすぐなリボン23が示されている。しかし、この実施例はさらに、リボン23と平行な、水平に配置されたピン26を含む反射防止構造体を備える。ピン26は、リボンの上方及び下方に位置し、それらからλ/4の距離で近接する。レーダ・レドームの対応する詳細と同様に、周波数の、また液体誘電率の使用可能な範囲を増大するために、同様な機能を得るためのいくつかの代替があり、これは、当業者には容易に理解される。
【0039】
液体に浸漬される場合、反対方向にも底部反射器が透明であるため、タンクの底部が平坦又は平坦に近い場合、タンクの底部からの反射が管13内に結合して戻り、液体表面からの反射と干渉する可能性を回避するために、対策を講じなければならない。様々な代替が可能である。底部反射器を介して透過されたマイクロ波を、偏向又は吸収することができる。
【0040】
図2dには、管13内で底部反射器15の下方に載置された45°金属反射器27が示されている。この反射器は、支持構造体28により、管13、又はタンクの底部(図示せず)に取り付けられている。
【0041】
タンクの形状に応じて、同様の偏向反射器(本明細書では偏向器と称する)を、本発明のあらゆる底部反射器実施例と共に使用することができる。角度は、45°とは大きく異なるものとすることができ、また、非常に異なる形状の障害物を使用し、レーダ波が管13に再び入ることを防止するためにレーダ波を拡散することができる。
【0042】
底部、又は管に取り付けられた円錐部が、別の使用可能な偏向器の実施例である。そのような部分は、図1に参照数字16によって示されている。
【0043】
図2eには、底部での反射を小さくするために、管13内の底部反射器15の下方のタンク底部に配置された、適切に形作られた減衰材料部材29、たとえば、炭素の充填されたPTFEなどが示されている。部材29は、実際の形状を図のような箱形形状と非常に異なるものにできることを示すために破線で示されている。たとえば、この部材は、標準的な無響吸収器として形成できる。
【0044】
図2eは、管13内に載置された底部反射器15を示すが、底部反射器は、別法として偏向又は吸収部材29と一体化することができる。そのような底部反射器設計は、管13の下部からではなく、タンクの底部からの真の反射を提供することになる。本明細書で述べられている底部反射器のいくつかは、非常に小さい(1つ又は2つのλ/2ダイポール)ものであり、これにより明らかに、そのような一体化が単純且つ簡単になる。
【0045】
図2fは、異なる周波数について、また、液体の異なる誘電率(1.7及び2.5)について、水無し条件と浸漬条件での、すなわち、液体の液位がそれぞれ底部反射器の反射用構造体の上方及び下方であるときの反射を示す反射図である。また、水無し条件で透過が示されている。
【0046】
実線により、格子が空気中にあるとき、カットオフ条件によってほぼ全反射することが示され、破線/点線は、λ/2格子を介した対応する透過を示す。点線は、誘電率の最も小さい場合の小さな反射を示し、破線は、誘電率値の使用範囲内で誘電率の最も大きい場合の対応する反射を示す。この範囲の中央の誘電率の場合、反射はより小さい。さらに、反射は、かなり大きな周波数範囲、すなわち、9.5〜10.5GHzにわたってかなり一定である。
【0047】
図3a〜図3eは、共鳴構造の原理に基づく様々な底部反射器を示す。各底部反射器は、例えば、タンクが空のとき明瞭な反射を提供するために、水無し条件で共鳴するように調整された多数のダイポールを包含する、共鳴構造体を含む。共鳴構造体が液体内で浸漬されたときにはダイポールは共鳴しないように調整され、その場合、反射は相当減少する。
【0048】
図3aには、2つの積み重ねられたダイポール32を含む底部反射器が示されている。この2つのダイポール32は、ほぼ周囲の媒体の誘電率が1に非常に近い(すなわち、空気又はガス)ときに最大反射を提供するように調整され、一方、それらの間の鉛直方向距離は、誘電率2.1を有する可能性のある一般的な液体内での4分の1波長(λm/4)に近く選択される。これらの設計制約は、図3fに示されているように、レーダ波31の所望の反射条件を提供することになる。ダイポール32は、金属又は誘電体の鉛直支持ピン33に取り付けられる。鉛直支持ピン33が金属の場合、(図3aに示されているように)完全な構造体32、33を同じプレート片から型成形することができる。構造体32、33は、底部上又は底部の上方で何らかの支持体34に取り付けられる。ダイポール長さは、典型的には、10GHzで14〜15mmよりわずかに小さいものとすることができる。
【0049】
図3bには、偏波の独立機能を達成するために、2組の交差したダイポール32、35を有する要素を含む底部反射器が示されている。図3aに示されているダイポール32以外に、同じ長さの2つの交差したダイポール35が設けられる。この交差したダイポールは、接続されないことが好ましく、図2cは、誘電ピン33上での載置を示す。
【0050】
図3cでは、図3a又は図3bの実施例のような反射用構造体が、管13の中央に載置される。H11モードの場合、共鳴反射器を導波管13の中央に載置することができる。よく知られた偏波の場合、単一偏波モデル32を使用できる。又は任意選択のダイポール35を追加し、反射器を偏波から独立したものとすることができる。
【0051】
多くの導波路モードにおいて、横断電界は、中央で低くなっている。この場合は、典型的には図3aに示されているような、いくつかの共鳴構造体を使用することによって補うことができる。図3dでは、管13内のそのような実施例が示されている。マイクロ波信号のモードの電界パターンに従って位置する2つから4つまでの共鳴構造体を用いて、モード特有の反射を得ることができる。図3d実施例は、H01伝播モードでマイクロ波信号と共に使用するのに特に好適である。
【0052】
H01モード用の共鳴構造体を得る別の方法は、図3eの構成のように、管13の中央にリング37を配置することである。リング37は、水無し条件下で、周縁が1波長(又は波長の整数倍)であるときに共鳴を起こす。この共鳴は、水有り条件下では、変化する。2つ以上のリングを、図3a〜図3bのダイポールのように積み重ねることができる。H01モードを伝搬する管13の中央においては電界が小さいため、反射は、図3dに示されている実施例によって得られるものよりはるかに小さくなり、これは、例えば何らかの液化ガスなどの反射の少ない液体にとって有利となる可能性がある。
【0053】
この実施例はまた、H01以外のモードで伝播するマイクロ波にも適用可能である。H11モードのマイクロ波の場合、このリング形状は、たとえば反射を偏波独立にすることになり、交差したダイポール実施例に対する代替として使用することができる。
【0054】
図3fは、λm/4に対応する距離で鉛直方向に積み重ねられた2つのダイポールからなるダイポール構造体について、一般的な液体(この場合にはε=2.1)に浸漬されたときの反射を示す。ダイポールの長さは、ダイポールが乾いているとき(すなわち、ダイポールがλ/2よりわずかに短いとき)に、ほぼ最大反射に対応する。一般的な帯域幅の場合、浸漬条件での反射は、空気(又は周囲のガス)中より少なくとも20dB弱い。この数字は、一般に金属表面の反射より10〜20dB低い(水無し条件下の)最も強い反射に比較すべきである。浸漬条件下での反射の減少は、2つのダイポールに互いに相殺させる、ダイポールの離調及び鉛直方向間隔の結果によるものである。したがって、このダイポールの組合せは、水無し条件においては油表面に似た反射を、また浸漬条件下では相当の、より低い反射をもたらす。3つ以上のダイポールを積み重ね、浸漬条件におけるレーダ・エコーをより広帯域で抑圧することができ、ダイポール以外の共鳴構造体を使用することができる。
【0055】
図4a〜図4bは、誘電レーダ・レドームに関する原理に基づく様々な底部反射器を示す。
【0056】
図4aには、誘電プレート41が示されており、プレート41は、複数の穴42、好ましくは(一般的なレドームとは違って)貫通穴を有する。プレート41の厚さ、およびプレートの体積と比較した穴の体積は、反射を最小限に抑えるために、プレート41が液体表面よりも下方にあるときは、λm/2の有効厚さ(ただし、λmは、本明細書では、穴が液体で充填された誘電体内のマイクロ波信号の波長を指す)を得るように選択される。水無し条件において、プレート41の有効誘電率は変化し、したがって、マイクロ波信号が受けるその厚さは変化する。したがって、半波長条件がもはや満たされないため、反射が増大する。
【0057】
同様の不均等な挙動を達成するための別の好適な幾何形状は、水平に配置された誘電棒又は誘電ピンで構成されたプレートである。
【0058】
平坦な、しかし、その底部側に小さな誘電部材44のはめ込まれた、かなり薄いプレート43による別の反射用構造体が、図4bに示されている。平坦な上側により、従来の機械的手段による正確な基準測定が容易になる。
【0059】
図4cは、一般的な周波数範囲にわたる、部分的に充填された誘電プレート、すなわち図4aに示されているプレートについての反射図である。この実施例では、誘電プレートは、50%に穴が開けられたPTFEプレートである。すなわち、体積の半分がPTFEであり、半分が空である。水無し条件において、平均誘電率は、PTFEと空気(ガス)との誘電率の平均であり、浸漬条件下では、平均誘電率は、PTFEと液体との誘電率の平均である。浸漬条件において、厚さは、帯域の中央でλm/2に非常に近づき、反射をかなり減少させるが、水無し条件下では、ある種の反射が望まれるが、これは、有効な電気的厚さがλm/2から著しく逸脱したときに達成される。
【0060】
図4a〜図4cを参照して論じたこれらの場合すべてにおいて、液体で充填される空隙の正確な形状は、あまり重要でない。当業者なら容易にわかるように、誘電材料の一部分は、反射及び透過を共に少なくする(炭素装入PTFEなど)減衰材料製にすることができる。
【0061】
図5a〜図5cは、偏波回転構造体の原理に基づく様々な底部反射器を示す。
【0062】
図5a〜図5bでは、アンテナ工学においてツイスト反射器として知られる反射器が示されており、著者A.W.Rudgeらの「The handbook of antenna design(アンテナ設計ハンドブック),第1巻および第2巻、Peter Peregrinus Ltd、1986年、第184〜185頁、及び著者R.C.Johnsonの「Antenna Engineering Handbook,Third edition(アンテナ工学ハンドブック(第3版))」McGraw−Hill,Inc.、1993年、第17〜28頁および第17〜29頁を参照されたい。これらのテキストの一節は、参照により本明細書に組み込む。
【0063】
ツイスト構造体51は、複数のまっすぐな、また平行なリッジ(隆起部)52を含み、導電材料からできたものである。それは、好ましくは金属製プレートであり、複数のリッジを得るように鋳造することができる。リッジの高さはλm/4に近く、液体が反射器51のリッジ52の上方にあるときは、λm/4〜λm/2の間隔を有する。反射器51は、管13の下端部に位置することができ、薄いリッジ52は、この構成では、H11導波路モードで伝播する入来マイクロ波信号の平均電界53から45°に方向付けられる。
【0064】
ツイスト機能を理解するために、入来電界は、電界線53に対して、−45°および+45°に方向付けられた2つの電界の重ね合わせとして考えることができる。この電界の一方は、リッジ52に平行であり、またリッジ52の頂部から反射されることになり、他方の偏波は、リッジ52によってほとんど影響を受けないが、リッジ52間で露出した反射器構造体から反射されることになる。λm/4のリッジ52の高さにより、2×90°=180°の相対位相シフトが導入されることになり、これは、反射されたマイクロ波の電界54を、入来マイクロ波の電界53に対して90°ねじることになる。この挙動は、アンテナ工学における標準的なツイスト反射器の機能に似ている。しかし、際立った違いは、リッジ間の空間を充填する材料の誘電率が、液体であるか、それとも空気/ガスであるかに応じて異なることである。タンクが空になった後では、ツイスト機能は、部分的なものだけとなり、反射器51からの反射を得ることが可能となる。
【0065】
この実施例の重要な特徴は、反射器が非常に薄く、したがってタンクの底部に極めて近接して構成することができ、液位計測をより底部に近接して行うことができることである。
【0066】
より複雑な構造により、液体の異なる誘電率に対して、また、異なる周波数に対して、より広い許容範囲が可能になることを、当業者なら理解されたい。
【0067】
さらに、上記で識別された実施例において液位計測の際に使用されるマイクロ波信号が、特定の偏波状態を有すること、また、上述の、また添付の特許請求の範囲で見出される第1及び第2の反射係数が、その特定の偏波状態に対して与えられることを理解されたい。したがって、液体内での反射時に、直線に偏波されたマイクロ波信号の偏波を回転させる作用は、その特定の偏波状態にあるマイクロ波信号について反射係数を減少させることに等しい。
【0068】
偏波回転の原理もまた、図5cによって示されているように、反射されたマイクロ波の伝播モードを別のモードに変更するために適用可能である。ツイスト構造体は、螺旋構造体によって実施することができ、螺旋構造体は、反射されたマイクロ波の伝播モードをH01からE01に変更する。その内容は、参照により本明細書に組み込むK.O.Edvardssonの米国特許第4641139号に述べられている。同様の機能を、導電材料又は減衰材料製のプレート56上で適切に配置された多数のダイポール55によって得ることができる。この構成は、図3dに示されている構成と類似点を有するが、ここでは、プレート56が存在し、より多くの、異なる方向に方向付けられたダイポール55がある。さらに、図5cのダイポール55は単一であり、積み重ねられていない。
【0069】
ダイポールは、底部プレート55の反射に比較可能な、しかし偏波と位相が異なる反射を提供する周波数感受性表面を形成する。入射マイクロ波が管13内をH01モードで伝播する場合、反射されたマイクロ波は、反射器が液体に浸漬され適切に設計されているときは、主にE01モードで伝播することになる。公知の周波数感受性表面とは違って、この表面は、反射器が水無し条件にあるときに離調されることになり、大量の反射マイクロ波がH01モードで伝播することになる。
【0070】
したがって、図5cの反射器の適切な設計により、反射器が液体内で浸漬された場合は、入来導波路モードの非常に小さな反射が、また、反射器が空気又はガス内にある場合は、入来導波路モードの実質的により強い反射が実現される。
【0071】
底部プレートの材料に応じて、入来導波路モードでの反射は、(プレート55が金属製の場合に)非常に強いもの、すなわち、ほぼ全反射となる可能性があり、或いは、(プレート55が好適な減衰材料の場合に)油表面からの反射に比較可能なものとなる可能性がある。当業者なら容易にわかるように、水無し条件において反射を調整するために、減衰材料を偏波回転実施例のいずれか1つに含むことができる。
【0072】
図6は、管の断面積の局所的減少の原理に基づく底部反射器を示す。管13の下方のタンク底部からのレーダ・エコーを減少、又はなくするために、管径をより小さな直径に変換させ、レーダ波を管13から別の方向へ導くために、小さな空間内で曲げることのできるデバイスを使用できる。タンクの底部60に近接して載置するのに適した材料のみ(すなわち、ステンレス鋼のみ)を使用する一実施例は、シングル・モード導波路直径に近い直径に直径を減少させる漏斗61に基づくものである。そのような導波路62は、導波路部分64を介してマイクロ波を別の方向へ導くために、底部60の上方で近接して90°屈曲部63を容易に備えることができる。
【0073】
導波路部分64は、導波路が(ある範囲の炭化水素を含めて)かなりよく知られている特性の液体で充填される限り、低反射をもたらすように容易に設計することができる。タンク底部60及び管13の端部からの距離は、非常に短くすることができる。漏斗61と導波路は、タンク底部60又は管13に取り付けることができる。
【0074】
導波路62が液体に浸漬されたときに伝播を1つのモードに制限するように導波路62が狭い場合、伝播は、水無し条件においてカットオフされることになり、空のタンクは、漏斗61の底部で反射を有することになる。
【0075】
漏斗61に対する代替は、タンクの底部で、円錐形状の導電性又は抵抗体構造体を、その頂部を管内で実質的に上向きに向けて、好ましくは管(図示せず)の底端部から少なくとも管の直径分の間隔をあけて載置することである。管の底端部と円錐形状構造体の包絡面との間のある空間は、円錐形状構造体の上方の管から、円錐形状構造体と共に管によって形成される同軸導波路への滑らかな移行を得るために必要とされる。マイクロ波が管の底端部から伝播しつつあるとき、マイクロ波は、管から別の方向へ偏向されることになる。形成される同軸導波路内には、減衰材料を設けることができる。適切な共鳴構造体(たとえば、同軸導波路内の半波長スロットなど)により、液体に浸漬されたときには反射が非常に小さく、水無し条件においては反射がはるかに大きい底部反射器を得ることができる。
【0076】
最後に、図7は、マイクロ波の自由空間伝播が使用される場合、すなわち、マイクロ波を案内するために管が存在しない場合に適用可能な底部反射器を示す。レーダ液位計11は、液体表面71からの反射を受信することが可能であるように鉛直に近いアンテナ・ビーム76の主方向77と共にタンク12の頂部に載置される。点線76は、アンテナ・ビームの幅を示す。液体表面71が底部75に接近すると一般的な干渉問題が起こり、底部75を覆うだけの水74がある場合も、同様の問題が発生することになる。水位の位置は、最初によく知られておらず、底部75からの強いレーダ・エコーをもたらす可能性がある。
【0077】
本発明がこの場合に適用されると、底部反射器72が、支持部材73上で底部に近接して載置される。底部反射器72は、図2aに類似のものとすることができるが、はるかに大きくなければならない。約
(ここで、hは液位計11から底部反射器72までの距離である)の面積が反射に作用する。そのため、底部反射器は、少なくとも有効な反射面積の実質的な部分を占める面積を有するべきである。さらに、底部反射器72が図2aの反射器のような構造体を有するとき、どんな水やスラッジをも蓄積しないことになり、有利である。
【0078】
本発明の特定の実施例では、底部反射器72は、より小さなサイズを有することができる。底部反射器72を通った透過の位相シフトが制御される場合、底部反射器72を通過する底部又は水からの反射の一部分は、底部反射器72の外側に進む反射のその一部分を打ち消すことになる。そのような装備により、底部反射器72からの反射だけでなく、底部からの、又は水表面からの反射もまた少なくなる。支持ピン73は、予想される水位に対して可能な限り低くすべきである。
【0079】
図2〜図5を参照して述べられている底部反射器の原理はまた、マイクロ波を送受信するように構成された、どんな管によっても案内されない液位計に適用可能であることを、当業者なら理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一般的な原理による底部反射器を含むレーダ液位計の概略的な側面図。
【図2a】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図2b】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図2c】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図2d】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図2e】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図2f】周波数の関数としての、実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器によって、それぞれ反射及び透過されたマイクロ波信号の振幅の概略図。
【図3a】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側面図。
【図3b】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な斜視図。
【図3c】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図3d】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図3e】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図3f】周波数の関数としての、実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器によって、それぞれ反射及び透過されたマイクロ波信号の振幅の概略図。
【図4a】本発明の実施例の第3の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な斜視図。
【図4b】本発明の実施例の第3の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側面図。
【図4c】周波数の関数としての、実施例の第3の好ましい特定のグループによる底部反射器によって、それぞれ反射及び透過されたマイクロ波信号の振幅の概略図。
【図5a】本発明の実施例の第4の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図5b】本発明の実施例の第4の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図5c】本発明の実施例の第4の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図6】本発明の実施例の第5の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図7】本発明の実施例の第6の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な斜視図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い意味で液位計測に関し、より詳細には、レーダ液位計のための底部反射器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーダによる方法は、数年来、様々なタンク内の液位計測のために広く使用されている。そのような液位計測では、液体表面に向かってマイクロ波を送信し、液体表面から反射されたマイクロ波を受信し、送信および反射されたマイクロ波の伝播時間からタンク内の液体の液位を計算することによって、タンクの頂部からタンクに貯蔵された液体表面までの距離が測定される。
【0003】
レーダ液位計測の固有の限界は、液体の多くが、使用されるマイクロ波に対して少なくともある程度透過性であり、低い液位の測定において、おそらくはタンクの底部から反射されるマイクロ波が液体表面から反射されるマイクロ波と干渉することにある。すなわち、距離分解能が、タンク底部から反射されたマイクロ波を液体の表面から反射されたマイクロ波と区別するには不十分となる可能性がある。したがって、液位が低いと、タンクの底部から反射されたマイクロ波が、測定を妨害する可能性が大きい。この問題は、レーダ液位計の種類に応じて、10分の数メートルより低い液位で発生する可能性がある。これは特に、少なくともわずかに透過性である石油製品のような液体を含む、平坦な底部を有するタンクに共通の問題である。
【0004】
いくつかのタンクでは、底部を傾斜させることができる。そのようなタンクでは、一般にレーダ・エコーの干渉問題はないが、一方、タンクが空のとき、レーダ・ビームが液位計の受信機からそれるので、タンクの底部から反射されたマイクロ波が受信されない。タンクが空の場合、空であることを確認するために、底部からの比較的強いレーダ・エコーを有することが望ましい。他の場合には、タンクの底部にスラッジによる未知の層があり、平坦な底部でさえもあいまいなレーダ・エコーを発する可能性、或いはレーダ・エコーを全く発しない可能性がある。
【0005】
空のタンクでは底部からのレーダ・エコーを受信しないという問題は、単純な反射用構造体をタンクの底部に溶接することによって解決できる。しかし、そのような反射用構造体は、タンク内の液体が少なくとも部分的にマイクロ波に対して透過性であれば、液位が反射用構造体のわずかに上方にあるときに干渉を引き起こすことになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の主な目的は、タンク内の液体の液位を測定するレーダ液位計のための底部反射器であって、この計器を低液位の液位測定のために使用したとき、タンクの底部から反射されるマイクロ波による干渉を低減するが、タンクが空のとき、依然として十分なマイクロ波の反射を実現する底部反射器を提供することである。
【0007】
この点に関連して、液位が管を介して計測されるか否かにかかわらず、その使用に適している底部反射器を提供することが、本発明の特定の目的である。
【0008】
本発明の他の目的は、レーダ液位計が、周波数変調連続波(FMCW)レーダ装置であろうと、パルス・レーダであろうと、任意の他の種類の距離測定用レーダであろうとに関わらず、それらの使用に適する底部反射器を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、単純であり、信頼性が高く、効率的であり、正確であり、精密であり、製造及び据付けが容易であり、コストの低い底部反射器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、とりわけ、添付の特許請求の範囲で特許請求されている底部反射器によって達成される。
【0011】
本発明者は、タンク内に液体がない、又は非常に低い液位の液体があるにすぎない場合にマイクロ波信号を反射するために、タンク内に所定の高さで、好ましくはタンク底部に近接して載置可能であり、反射用構造体を含む底部反射器であって、反射用構造体が、液体の液位が反射用構造体より上方にある場合にマイクロ波信号に対する第1の反射係数を有し、また液体の液位が反射用構造より下方にある場合にマイクロ波信号に対する第2の反射係数を有し、第1の反射係数が第2の反射係数より実質的に小さい底部反射器を提供することによって、上記の目的を達成することができることを見出した。
【0012】
好ましくは、液体は、たとえば、原油、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、他の液化炭化水素など石油製品、又は少なくとも部分的にマイクロ波に対して透過性である一般的な液体である。そのような製品は、一般に、1.6〜3の範囲の誘電率を有し、一方、液位の上方の雰囲気は、内容物およびその圧力に応じて、一般に、1〜1.03の範囲の誘電率を有する。
【0013】
さらに、好ましくは、液体の液位が反射用構造体よりも上方にあるとき、反射用構造体から反射されたマイクロ波信号は、液体の液位から反射されるマイクロ波信号より弱く、有利には、はるかに弱い。液体の液位が反射用構造体よりも下方にある場合は、反射用構造体から反射されるマイクロ波信号は、液体の液位から反射されるマイクロ波信号に比較可能である、又は、それよりわずかに強いことが好ましい。
【0014】
液体とその上方の雰囲気との誘電率の差に基づいて所望の機能を得るために、様々な反射用構造体を使用することができる。これらの反射用構造体は、本説明において詳しく述べられており、好ましい実施例の様々なグループ、すなわち、カットオフ格子、ダイポール(双極)などの共鳴構造体、誘電反射器、偏波回転構造体、送信および反射されたマイクロ波信号を案内するための、小さな距離にわたって屈曲可能なマイクロ波案内構造体、並びにマイクロ波の自由空間伝播が使用されるとき特に適用可能な構造体にグループ分けすることができる。
【0015】
偏波回転構造体のグループに関して、液位計測の際に使用されるマイクロ波信号は、特定の偏波状態を有すること、また、その特定の偏波状態について第1及び第2の反射係数が与えられることを理解されたい。したがって、液体内での反射時に、直線に偏波されたマイクロ波信号の偏波を回転させる作用は、その特定の偏波状態にあるマイクロ波信号について反射係数を減少させることに等しい。
【0016】
本発明の主な利点は、タンクの底部から反射されるマイクロ波による干渉なしに液位計測を行うことができることである。タンクが空のとき、又はほぼ空のとき、すなわち、底部反射器の反射用構造体が、計測される液体の液位よりも上に上がっているとき、底部反射器からの明瞭な反射が得られ、これは、タンクが空であること、又は液位が低いことを示す。
【0017】
レーダ液位計は、本明細書では、大型容器だけでなく、たとえば、反応器、遠心分離器、ミキサ、ホッパ、選別機械(グレーダ)、或いは、熱処理炉及び同様のデバイスなど処理装置を含む、食品化学、薬化学、生化学、遺伝子化学、及び石油化学で使用されるタンク内の液位を測定するために使用される。
【0018】
本発明の他の特徴、及び本発明の利点は、以下に提供される本発明の好ましい実施例の詳細な説明、及び添付の図1〜図7から明らかになる。これらは例示のためだけに提供され、したがって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0019】
レーダ液位計測のための装置を側面図で概略的に示す図1を参照して、本発明の好ましい実施例について述べる。本装置は、周波数変調連続波(FMCW)レーダ装置、パルス・レーダ装置、又は任意の他の種類の距離測定用レーダとすることができる。
【0020】
レーダ液位計測のために多数の周波数を使用することができるが、5.8、10、25GHzに近接する帯域が広く使用されている。気泡及び汚染が頻発するタンク内では、前記周波数の最も低いものが最も一般的である。なぜなら、この周波数でのマイクロ波信号は、そのような劣化の影響をほとんど受けないからである。
【0021】
図1において参照番号11で示されているレーダ液位計は、その液位が計測される液体の充填されたタンク又は容器12の屋根の開口の上方に載置される。好ましくは、液体は、たとえば原油、液化石油ガス(LPG)、又は液化天然ガス(LNG)など石油製品である。そのような製品は、一般に、1.6〜3の範囲の誘電率を有し、一方、液位よりも上方のタンク12内の雰囲気は、ガス内容物およびその圧力に応じて、一般に、1〜1.03の範囲の誘電率を有する。
【0022】
レーダ液位計は、タンク12内の液体表面に向かってマイクロ波信号を送信し、タンク12内の液体表面から反射されたマイクロ波信号を受信する。さらに、レーダ液位計は、送信および反射されたマイクロ波信号の伝播時間からタンク内の液体の液位を計算するための信号処理デバイス(明示的に図示せず)を備えるか、又はそれに接続される。典型的には、送信および反射されたマイクロ波信号を案内するために、実質的に鉛直方向の管13が設けられる。管13は、支持部材14によってタンクに取り付けられ、密度の成層化が起こる可能性はあるものの、その内側と外側で同じ液位を得るために穴が開けられる。しかし、液位計は自由空間伝播モードで動作することができ、したがって、管13は省くことができる。
【0023】
タンク内に液体が存在しないときにマイクロ波信号を反射するために、タンク12の底部近くに底部反射器15が設けられる。図1の管13のように、導波のために管が使用される場合、底部反射器15は、典型的には、管の下端部に載置される。別法として、底部反射器は、タンクの底部に載置される。
【0024】
本発明によれば、底部反射器15は、(図1には明示的に示されていない)反射用構造体を含み、この反射用構造体は、液体の液位が反射用構造体よりも上方にあるときはマイクロ波信号に対する第1の反射係数を、また液体の液位が反射用構造体よりも下方にあるときはマイクロ波信号に対する第2の反射係数を有し、第1の反射係数が第2の反射係数より実質的に小さい。
【0025】
そのような装備により、底部から反射されたマイクロ波による干渉のない正しい液位計測を確保することができる。これは、タンク12内の低液位を計測するとき特に重要である。液体の液位が底部反射器15の反射用構造体よりも下に下がったとき、少なからず、より強い反射が得られ、それによって液位が低いことが示される。
【0026】
第1及び第2の反射係数は、いわゆる「偏波内(in−polarization)」反射係数が有利であることに留意されたい。偏波内反射係数とは、底部反射器の表面部で反射された、特定の偏波状態にあるマイクロ波信号(すなわち、その振幅)と、入射マイクロ波信号(すなわち、その振幅)との比を意味し、特定の偏波状態は、液体の表面で反射されたマイクロ波信号の偏波によって与えられる。したがって、入射マイクロ波信号が直線偏波であれば、特定の偏波は、その直線偏波状態である。なぜなら、直線に偏波されたマイクロ波信号は、液体の表面によって反射されても、その偏波状態を変化させないからである。左円偏波された入射マイクロ波信号であれば、特定の偏波は、右円偏波である。マイクロ波信号が液体の表面で反射されるときは電場の回転が逆転されるからである。
【0027】
液体の液位が反射用構造体よりも上方である場合、反射用構造体から反射されるマイクロ波信号は、液体の液位から反射されるマイクロ波信号より弱いことが有利であり、はるかに弱いことがさらに有利である。液体の液位が反射用構造体よりも下方である場合、反射用構造体から反射されたマイクロ波信号は、液体の液位から反射されたマイクロ波信号に比較可能である、又は、それよりわずかに強いことが好ましい。強すぎる反射は、回避すべきである。
【0028】
好ましくは、第1の反射係数は、0.2より小さく、より好ましくは0.1より小さく、さらに好ましくは0.05より小さい。第2の反射係数は、好ましくは0.1より大きく、より好ましくは、0.2より大きい。さらに、第2の反射係数は、0.5より小さく、より好ましくは0.4より小さく、最も好ましくは0.3より小さい。
【0029】
大抵の場合には、タンク12の底部から反射された反射マイクロ波信号を構造体16によって偏向又は吸収することが好ましい。構造体16は、傾斜プレート、円錐形表面、1片のレーダ吸収材料などとすることができる。
【0030】
以下の項では、本発明の底部反射器の様々な特定の実施例について詳しく述べる。
【0031】
(特定の好ましい実施例)
図2a〜図2eは、導波路カットオフ周波数の原理に基づく様々な底部反射器を示す。各底部反射器は、λ/2よりわずかに小さい格子分離を有する格子構造体を含み(ここで、λはマイクロ波信号の真空波長である)、格子構造体が液体の液位よりも上方にあるときにマイクロ波信号が透過することを防止し、その代わりにマイクロ波信号は反射される。液位が格子構造体よりも上に上がったときには、マイクロ波信号の波長は、より大きい液体の誘電率により減少する。したがって、格子はマイクロ波信号にとって、より広く見え、マイクロ波信号は、格子構造体を通過することができる。
【0032】
図2aには、管13内に構成された格子構造体を含む底部反射器が示されている。この場合には、管13は、実質的に矢印22によって示された電界の方向を有するH11モードで伝播するマイクロ波を補助するように構成される。格子構造体は、λ/2よりわずかに小さい分離を有する複数の導電性の、好ましくは金属のリボン23からなり、液位が格子構造体よりも下方にある場合に伝播がカットオフされるようにする。
【0033】
たとえば、10GHzのときには、間隔は14mmとすることができ、リボン23は28mmの高さを有することができるが、これはリボンによって形成された導波路内でλm/2の距離に対応する。ここで、λmは、管13内の液体内(すなわち、液位が格子構造体よりも下方であるとき)のマイクロ波信号の波長である。λm/2のリボン高さにより、伝播は、標準的なレーダ・レドームのように、ある周波数帯域内で反射しなくなる。後に、λmは管13内の局所波長として使用されることになるので、λmは、本説明の異なる状況において異なるものとなることを理解されたい。
【0034】
金属又は何らかの誘電材料製の支持部材24が、格子構造体を支持するために使用される。図2aは、まっすぐなリボンを有する格子構造体を示すが、これらは、導波路モードH11の電界パターンに適合するように曲げることができる。さらに、格子構造体は、他の導波路伝播モードに合致するように修正することができる。
【0035】
一実施例では、本発明の底部反射器は、網目格子構造体を備える。別の修正として、リボンの一部分を、反射帯域透過を共に減少させ、使用可能な帯域幅を増大させることのできる減衰材料製にすることができる。
【0036】
別の実施例では、図2bに示されているように、管13内で同心状に構成された複数の円形の導電性条片を含む格子構造体を使用し、電波のH01モードに対応する動作を得る。H01導波路モードの電界線22は、純粋に環状のものであり、したがって、いくつかの同心状の、短い円筒形の管又はリング25が、電界線と平行に構成される。この10GHz実施例を参照すると、リング間の距離は、約14mmであるが、H01モードの円筒形導波路パターンに従って修正されて、高さは約28mmである。誘電材料又は金属材料の支持要素(図示せず)が、実際の使用には含まれる。H11及びH01の場合と同様に、他の導波路モードのための構造体が可能である。
【0037】
たとえば、E01モードのマイクロ波信号の場合、リボンは、放射状に構成すべきである。
【0038】
図2cには、底部反射器の一部分が側断面図で示されている。この実施例は、図2aの実施例と同様であり、まっすぐなリボン23が示されている。しかし、この実施例はさらに、リボン23と平行な、水平に配置されたピン26を含む反射防止構造体を備える。ピン26は、リボンの上方及び下方に位置し、それらからλ/4の距離で近接する。レーダ・レドームの対応する詳細と同様に、周波数の、また液体誘電率の使用可能な範囲を増大するために、同様な機能を得るためのいくつかの代替があり、これは、当業者には容易に理解される。
【0039】
液体に浸漬される場合、反対方向にも底部反射器が透明であるため、タンクの底部が平坦又は平坦に近い場合、タンクの底部からの反射が管13内に結合して戻り、液体表面からの反射と干渉する可能性を回避するために、対策を講じなければならない。様々な代替が可能である。底部反射器を介して透過されたマイクロ波を、偏向又は吸収することができる。
【0040】
図2dには、管13内で底部反射器15の下方に載置された45°金属反射器27が示されている。この反射器は、支持構造体28により、管13、又はタンクの底部(図示せず)に取り付けられている。
【0041】
タンクの形状に応じて、同様の偏向反射器(本明細書では偏向器と称する)を、本発明のあらゆる底部反射器実施例と共に使用することができる。角度は、45°とは大きく異なるものとすることができ、また、非常に異なる形状の障害物を使用し、レーダ波が管13に再び入ることを防止するためにレーダ波を拡散することができる。
【0042】
底部、又は管に取り付けられた円錐部が、別の使用可能な偏向器の実施例である。そのような部分は、図1に参照数字16によって示されている。
【0043】
図2eには、底部での反射を小さくするために、管13内の底部反射器15の下方のタンク底部に配置された、適切に形作られた減衰材料部材29、たとえば、炭素の充填されたPTFEなどが示されている。部材29は、実際の形状を図のような箱形形状と非常に異なるものにできることを示すために破線で示されている。たとえば、この部材は、標準的な無響吸収器として形成できる。
【0044】
図2eは、管13内に載置された底部反射器15を示すが、底部反射器は、別法として偏向又は吸収部材29と一体化することができる。そのような底部反射器設計は、管13の下部からではなく、タンクの底部からの真の反射を提供することになる。本明細書で述べられている底部反射器のいくつかは、非常に小さい(1つ又は2つのλ/2ダイポール)ものであり、これにより明らかに、そのような一体化が単純且つ簡単になる。
【0045】
図2fは、異なる周波数について、また、液体の異なる誘電率(1.7及び2.5)について、水無し条件と浸漬条件での、すなわち、液体の液位がそれぞれ底部反射器の反射用構造体の上方及び下方であるときの反射を示す反射図である。また、水無し条件で透過が示されている。
【0046】
実線により、格子が空気中にあるとき、カットオフ条件によってほぼ全反射することが示され、破線/点線は、λ/2格子を介した対応する透過を示す。点線は、誘電率の最も小さい場合の小さな反射を示し、破線は、誘電率値の使用範囲内で誘電率の最も大きい場合の対応する反射を示す。この範囲の中央の誘電率の場合、反射はより小さい。さらに、反射は、かなり大きな周波数範囲、すなわち、9.5〜10.5GHzにわたってかなり一定である。
【0047】
図3a〜図3eは、共鳴構造の原理に基づく様々な底部反射器を示す。各底部反射器は、例えば、タンクが空のとき明瞭な反射を提供するために、水無し条件で共鳴するように調整された多数のダイポールを包含する、共鳴構造体を含む。共鳴構造体が液体内で浸漬されたときにはダイポールは共鳴しないように調整され、その場合、反射は相当減少する。
【0048】
図3aには、2つの積み重ねられたダイポール32を含む底部反射器が示されている。この2つのダイポール32は、ほぼ周囲の媒体の誘電率が1に非常に近い(すなわち、空気又はガス)ときに最大反射を提供するように調整され、一方、それらの間の鉛直方向距離は、誘電率2.1を有する可能性のある一般的な液体内での4分の1波長(λm/4)に近く選択される。これらの設計制約は、図3fに示されているように、レーダ波31の所望の反射条件を提供することになる。ダイポール32は、金属又は誘電体の鉛直支持ピン33に取り付けられる。鉛直支持ピン33が金属の場合、(図3aに示されているように)完全な構造体32、33を同じプレート片から型成形することができる。構造体32、33は、底部上又は底部の上方で何らかの支持体34に取り付けられる。ダイポール長さは、典型的には、10GHzで14〜15mmよりわずかに小さいものとすることができる。
【0049】
図3bには、偏波の独立機能を達成するために、2組の交差したダイポール32、35を有する要素を含む底部反射器が示されている。図3aに示されているダイポール32以外に、同じ長さの2つの交差したダイポール35が設けられる。この交差したダイポールは、接続されないことが好ましく、図2cは、誘電ピン33上での載置を示す。
【0050】
図3cでは、図3a又は図3bの実施例のような反射用構造体が、管13の中央に載置される。H11モードの場合、共鳴反射器を導波管13の中央に載置することができる。よく知られた偏波の場合、単一偏波モデル32を使用できる。又は任意選択のダイポール35を追加し、反射器を偏波から独立したものとすることができる。
【0051】
多くの導波路モードにおいて、横断電界は、中央で低くなっている。この場合は、典型的には図3aに示されているような、いくつかの共鳴構造体を使用することによって補うことができる。図3dでは、管13内のそのような実施例が示されている。マイクロ波信号のモードの電界パターンに従って位置する2つから4つまでの共鳴構造体を用いて、モード特有の反射を得ることができる。図3d実施例は、H01伝播モードでマイクロ波信号と共に使用するのに特に好適である。
【0052】
H01モード用の共鳴構造体を得る別の方法は、図3eの構成のように、管13の中央にリング37を配置することである。リング37は、水無し条件下で、周縁が1波長(又は波長の整数倍)であるときに共鳴を起こす。この共鳴は、水有り条件下では、変化する。2つ以上のリングを、図3a〜図3bのダイポールのように積み重ねることができる。H01モードを伝搬する管13の中央においては電界が小さいため、反射は、図3dに示されている実施例によって得られるものよりはるかに小さくなり、これは、例えば何らかの液化ガスなどの反射の少ない液体にとって有利となる可能性がある。
【0053】
この実施例はまた、H01以外のモードで伝播するマイクロ波にも適用可能である。H11モードのマイクロ波の場合、このリング形状は、たとえば反射を偏波独立にすることになり、交差したダイポール実施例に対する代替として使用することができる。
【0054】
図3fは、λm/4に対応する距離で鉛直方向に積み重ねられた2つのダイポールからなるダイポール構造体について、一般的な液体(この場合にはε=2.1)に浸漬されたときの反射を示す。ダイポールの長さは、ダイポールが乾いているとき(すなわち、ダイポールがλ/2よりわずかに短いとき)に、ほぼ最大反射に対応する。一般的な帯域幅の場合、浸漬条件での反射は、空気(又は周囲のガス)中より少なくとも20dB弱い。この数字は、一般に金属表面の反射より10〜20dB低い(水無し条件下の)最も強い反射に比較すべきである。浸漬条件下での反射の減少は、2つのダイポールに互いに相殺させる、ダイポールの離調及び鉛直方向間隔の結果によるものである。したがって、このダイポールの組合せは、水無し条件においては油表面に似た反射を、また浸漬条件下では相当の、より低い反射をもたらす。3つ以上のダイポールを積み重ね、浸漬条件におけるレーダ・エコーをより広帯域で抑圧することができ、ダイポール以外の共鳴構造体を使用することができる。
【0055】
図4a〜図4bは、誘電レーダ・レドームに関する原理に基づく様々な底部反射器を示す。
【0056】
図4aには、誘電プレート41が示されており、プレート41は、複数の穴42、好ましくは(一般的なレドームとは違って)貫通穴を有する。プレート41の厚さ、およびプレートの体積と比較した穴の体積は、反射を最小限に抑えるために、プレート41が液体表面よりも下方にあるときは、λm/2の有効厚さ(ただし、λmは、本明細書では、穴が液体で充填された誘電体内のマイクロ波信号の波長を指す)を得るように選択される。水無し条件において、プレート41の有効誘電率は変化し、したがって、マイクロ波信号が受けるその厚さは変化する。したがって、半波長条件がもはや満たされないため、反射が増大する。
【0057】
同様の不均等な挙動を達成するための別の好適な幾何形状は、水平に配置された誘電棒又は誘電ピンで構成されたプレートである。
【0058】
平坦な、しかし、その底部側に小さな誘電部材44のはめ込まれた、かなり薄いプレート43による別の反射用構造体が、図4bに示されている。平坦な上側により、従来の機械的手段による正確な基準測定が容易になる。
【0059】
図4cは、一般的な周波数範囲にわたる、部分的に充填された誘電プレート、すなわち図4aに示されているプレートについての反射図である。この実施例では、誘電プレートは、50%に穴が開けられたPTFEプレートである。すなわち、体積の半分がPTFEであり、半分が空である。水無し条件において、平均誘電率は、PTFEと空気(ガス)との誘電率の平均であり、浸漬条件下では、平均誘電率は、PTFEと液体との誘電率の平均である。浸漬条件において、厚さは、帯域の中央でλm/2に非常に近づき、反射をかなり減少させるが、水無し条件下では、ある種の反射が望まれるが、これは、有効な電気的厚さがλm/2から著しく逸脱したときに達成される。
【0060】
図4a〜図4cを参照して論じたこれらの場合すべてにおいて、液体で充填される空隙の正確な形状は、あまり重要でない。当業者なら容易にわかるように、誘電材料の一部分は、反射及び透過を共に少なくする(炭素装入PTFEなど)減衰材料製にすることができる。
【0061】
図5a〜図5cは、偏波回転構造体の原理に基づく様々な底部反射器を示す。
【0062】
図5a〜図5bでは、アンテナ工学においてツイスト反射器として知られる反射器が示されており、著者A.W.Rudgeらの「The handbook of antenna design(アンテナ設計ハンドブック),第1巻および第2巻、Peter Peregrinus Ltd、1986年、第184〜185頁、及び著者R.C.Johnsonの「Antenna Engineering Handbook,Third edition(アンテナ工学ハンドブック(第3版))」McGraw−Hill,Inc.、1993年、第17〜28頁および第17〜29頁を参照されたい。これらのテキストの一節は、参照により本明細書に組み込む。
【0063】
ツイスト構造体51は、複数のまっすぐな、また平行なリッジ(隆起部)52を含み、導電材料からできたものである。それは、好ましくは金属製プレートであり、複数のリッジを得るように鋳造することができる。リッジの高さはλm/4に近く、液体が反射器51のリッジ52の上方にあるときは、λm/4〜λm/2の間隔を有する。反射器51は、管13の下端部に位置することができ、薄いリッジ52は、この構成では、H11導波路モードで伝播する入来マイクロ波信号の平均電界53から45°に方向付けられる。
【0064】
ツイスト機能を理解するために、入来電界は、電界線53に対して、−45°および+45°に方向付けられた2つの電界の重ね合わせとして考えることができる。この電界の一方は、リッジ52に平行であり、またリッジ52の頂部から反射されることになり、他方の偏波は、リッジ52によってほとんど影響を受けないが、リッジ52間で露出した反射器構造体から反射されることになる。λm/4のリッジ52の高さにより、2×90°=180°の相対位相シフトが導入されることになり、これは、反射されたマイクロ波の電界54を、入来マイクロ波の電界53に対して90°ねじることになる。この挙動は、アンテナ工学における標準的なツイスト反射器の機能に似ている。しかし、際立った違いは、リッジ間の空間を充填する材料の誘電率が、液体であるか、それとも空気/ガスであるかに応じて異なることである。タンクが空になった後では、ツイスト機能は、部分的なものだけとなり、反射器51からの反射を得ることが可能となる。
【0065】
この実施例の重要な特徴は、反射器が非常に薄く、したがってタンクの底部に極めて近接して構成することができ、液位計測をより底部に近接して行うことができることである。
【0066】
より複雑な構造により、液体の異なる誘電率に対して、また、異なる周波数に対して、より広い許容範囲が可能になることを、当業者なら理解されたい。
【0067】
さらに、上記で識別された実施例において液位計測の際に使用されるマイクロ波信号が、特定の偏波状態を有すること、また、上述の、また添付の特許請求の範囲で見出される第1及び第2の反射係数が、その特定の偏波状態に対して与えられることを理解されたい。したがって、液体内での反射時に、直線に偏波されたマイクロ波信号の偏波を回転させる作用は、その特定の偏波状態にあるマイクロ波信号について反射係数を減少させることに等しい。
【0068】
偏波回転の原理もまた、図5cによって示されているように、反射されたマイクロ波の伝播モードを別のモードに変更するために適用可能である。ツイスト構造体は、螺旋構造体によって実施することができ、螺旋構造体は、反射されたマイクロ波の伝播モードをH01からE01に変更する。その内容は、参照により本明細書に組み込むK.O.Edvardssonの米国特許第4641139号に述べられている。同様の機能を、導電材料又は減衰材料製のプレート56上で適切に配置された多数のダイポール55によって得ることができる。この構成は、図3dに示されている構成と類似点を有するが、ここでは、プレート56が存在し、より多くの、異なる方向に方向付けられたダイポール55がある。さらに、図5cのダイポール55は単一であり、積み重ねられていない。
【0069】
ダイポールは、底部プレート55の反射に比較可能な、しかし偏波と位相が異なる反射を提供する周波数感受性表面を形成する。入射マイクロ波が管13内をH01モードで伝播する場合、反射されたマイクロ波は、反射器が液体に浸漬され適切に設計されているときは、主にE01モードで伝播することになる。公知の周波数感受性表面とは違って、この表面は、反射器が水無し条件にあるときに離調されることになり、大量の反射マイクロ波がH01モードで伝播することになる。
【0070】
したがって、図5cの反射器の適切な設計により、反射器が液体内で浸漬された場合は、入来導波路モードの非常に小さな反射が、また、反射器が空気又はガス内にある場合は、入来導波路モードの実質的により強い反射が実現される。
【0071】
底部プレートの材料に応じて、入来導波路モードでの反射は、(プレート55が金属製の場合に)非常に強いもの、すなわち、ほぼ全反射となる可能性があり、或いは、(プレート55が好適な減衰材料の場合に)油表面からの反射に比較可能なものとなる可能性がある。当業者なら容易にわかるように、水無し条件において反射を調整するために、減衰材料を偏波回転実施例のいずれか1つに含むことができる。
【0072】
図6は、管の断面積の局所的減少の原理に基づく底部反射器を示す。管13の下方のタンク底部からのレーダ・エコーを減少、又はなくするために、管径をより小さな直径に変換させ、レーダ波を管13から別の方向へ導くために、小さな空間内で曲げることのできるデバイスを使用できる。タンクの底部60に近接して載置するのに適した材料のみ(すなわち、ステンレス鋼のみ)を使用する一実施例は、シングル・モード導波路直径に近い直径に直径を減少させる漏斗61に基づくものである。そのような導波路62は、導波路部分64を介してマイクロ波を別の方向へ導くために、底部60の上方で近接して90°屈曲部63を容易に備えることができる。
【0073】
導波路部分64は、導波路が(ある範囲の炭化水素を含めて)かなりよく知られている特性の液体で充填される限り、低反射をもたらすように容易に設計することができる。タンク底部60及び管13の端部からの距離は、非常に短くすることができる。漏斗61と導波路は、タンク底部60又は管13に取り付けることができる。
【0074】
導波路62が液体に浸漬されたときに伝播を1つのモードに制限するように導波路62が狭い場合、伝播は、水無し条件においてカットオフされることになり、空のタンクは、漏斗61の底部で反射を有することになる。
【0075】
漏斗61に対する代替は、タンクの底部で、円錐形状の導電性又は抵抗体構造体を、その頂部を管内で実質的に上向きに向けて、好ましくは管(図示せず)の底端部から少なくとも管の直径分の間隔をあけて載置することである。管の底端部と円錐形状構造体の包絡面との間のある空間は、円錐形状構造体の上方の管から、円錐形状構造体と共に管によって形成される同軸導波路への滑らかな移行を得るために必要とされる。マイクロ波が管の底端部から伝播しつつあるとき、マイクロ波は、管から別の方向へ偏向されることになる。形成される同軸導波路内には、減衰材料を設けることができる。適切な共鳴構造体(たとえば、同軸導波路内の半波長スロットなど)により、液体に浸漬されたときには反射が非常に小さく、水無し条件においては反射がはるかに大きい底部反射器を得ることができる。
【0076】
最後に、図7は、マイクロ波の自由空間伝播が使用される場合、すなわち、マイクロ波を案内するために管が存在しない場合に適用可能な底部反射器を示す。レーダ液位計11は、液体表面71からの反射を受信することが可能であるように鉛直に近いアンテナ・ビーム76の主方向77と共にタンク12の頂部に載置される。点線76は、アンテナ・ビームの幅を示す。液体表面71が底部75に接近すると一般的な干渉問題が起こり、底部75を覆うだけの水74がある場合も、同様の問題が発生することになる。水位の位置は、最初によく知られておらず、底部75からの強いレーダ・エコーをもたらす可能性がある。
【0077】
本発明がこの場合に適用されると、底部反射器72が、支持部材73上で底部に近接して載置される。底部反射器72は、図2aに類似のものとすることができるが、はるかに大きくなければならない。約
(ここで、hは液位計11から底部反射器72までの距離である)の面積が反射に作用する。そのため、底部反射器は、少なくとも有効な反射面積の実質的な部分を占める面積を有するべきである。さらに、底部反射器72が図2aの反射器のような構造体を有するとき、どんな水やスラッジをも蓄積しないことになり、有利である。
【0078】
本発明の特定の実施例では、底部反射器72は、より小さなサイズを有することができる。底部反射器72を通った透過の位相シフトが制御される場合、底部反射器72を通過する底部又は水からの反射の一部分は、底部反射器72の外側に進む反射のその一部分を打ち消すことになる。そのような装備により、底部反射器72からの反射だけでなく、底部からの、又は水表面からの反射もまた少なくなる。支持ピン73は、予想される水位に対して可能な限り低くすべきである。
【0079】
図2〜図5を参照して述べられている底部反射器の原理はまた、マイクロ波を送受信するように構成された、どんな管によっても案内されない液位計に適用可能であることを、当業者なら理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一般的な原理による底部反射器を含むレーダ液位計の概略的な側面図。
【図2a】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図2b】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図2c】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図2d】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図2e】本発明の実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図2f】周波数の関数としての、実施例の第1の好ましい特定のグループによる底部反射器によって、それぞれ反射及び透過されたマイクロ波信号の振幅の概略図。
【図3a】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側面図。
【図3b】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な斜視図。
【図3c】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図3d】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図3e】本発明の実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図3f】周波数の関数としての、実施例の第2の好ましい特定のグループによる底部反射器によって、それぞれ反射及び透過されたマイクロ波信号の振幅の概略図。
【図4a】本発明の実施例の第3の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な斜視図。
【図4b】本発明の実施例の第3の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側面図。
【図4c】周波数の関数としての、実施例の第3の好ましい特定のグループによる底部反射器によって、それぞれ反射及び透過されたマイクロ波信号の振幅の概略図。
【図5a】本発明の実施例の第4の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図5b】本発明の実施例の第4の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図5c】本発明の実施例の第4の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な上面図。
【図6】本発明の実施例の第5の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な側断面図。
【図7】本発明の実施例の第6の好ましい特定のグループによる底部反射器の概略的な斜視図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ液位計(11)用の底部反射器(15)であって、該液位計が、タンク(12)に貯蔵された液体の液位(71)を、前記タンクの頂部から前記液体の表面に向かってマイクロ波信号を送信し、前記液体の表面から反射された前記マイクロ波信号を受信し、送信および反射されたマイクロ波信号の伝播時間から前記タンクに貯蔵された前記液体の前記液位を計算することによって測定するようになっており、前記底部反射器が、前記タンク内で所定の高さに載置可能であり、前記タンク内に前記所定高さの液体が存在しない場合に前記マイクロ波信号を反射するようになっている、底部反射器(15)において、
前記底部反射器(15)が、前記液体の前記液位が反射用構造体よりも上方にある場合には、前記マイクロ波信号に対する第1の反射係数を有し、前記液体の前記液位が前記反射用構造体よりも下方にある場合には、前記マイクロ波信号に対する第2の反射係数を有する反射用構造体(23〜24;25;23、26;27;29;32、33;32、35;36;37;41、42;43、44;51〜52;55〜56;61;72)を含み、
前記第1の反射係数が前記第2の反射係数より実質的に小さいことを特徴とする底部反射器(15)。
【請求項2】
前記マイクロ波信号に対する前記反射用構造体の前記第1の反射係数が、前記マイクロ波信号に対する前記液体表面の反射係数より小さい、好ましくは実質的に小さい請求項1に記載された底部反射器。
【請求項3】
前記マイクロ波信号に対する前記反射用構造体の前記第2の反射係数が、前記マイクロ波信号に対する前記液体表面の反射係数とほぼ同じ大きさである、又はわずかに大きい請求項1又は請求項2に記載された底部反射器。
【請求項4】
前記液体が、1.6〜3の範囲の誘電率を有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項5】
前記液体が、原油、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、他の炭化水素液体、及び前記マイクロ波信号に対して少なくとも部分的に透過性を有する液体を含む群の液体である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項6】
前記マイクロ波信号が、特定の偏波状態を有し、前記特定の偏波状態にある前記マイクロ波信号に対して前記第1及び第2の反射係数が与えられる請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項7】
前記マイクロ波信号が、特定の周波数範囲にある請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項8】
前記第1の反射係数が0.2より小さく、好ましくは0.1より小さく、より好ましくは0.05より小さい請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項9】
前記第2の反射係数が0.1より大きく、好ましくは0.2より大きい請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項10】
前記第2の反射係数が、0.5より小さく、好ましくは0.4より小さく、より好ましくは0.3より小さい請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項11】
前記反射用構造体が、ハンド・ディッピングによる手動液位計測の使用に適合されている請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項12】
前記液位計が、前記送信および反射されたマイクロ波信号が案内される実質的に鉛直方向の管(13)を含む請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項13】
前記底部反射器(15)が、前記実質的に鉛直方向の管(13)の下端部に載置可能である請求項12に記載された底部反射器。
【請求項14】
前記マイクロ波信号が、特定の伝播モードを有し、前記特定の伝播モードの前記マイクロ波信号に対して前記第1及び第2の反射係数が与えられる請求項12又は請求項13に記載された底部反射器。
【請求項15】
前記反射用構造体がカットオフ格子(23〜24;25;23、26;27;29)である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項16】
前記マイクロ波信号がH11モードで伝播し、前記カットオフ格子が、前記マイクロ波信号の電界と実質的に平行に配置された多数の実質的に平行な条片(23)を含む請求項15に記載された底部反射器。
【請求項17】
前記マイクロ波信号がH01モードで伝播し、前記カットオフ格子が、前記マイクロ波信号の電界と実質的に平行に配置された多数の同心状に配置された円形の条片(25)を含む請求項15に記載された底部反射器。
【請求項18】
前記反射用構造体の下方に配置された偏向構造体(27)をさらに含む請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項19】
前記反射用構造体の下方に配置された吸収構造体(29)をさらに含む請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項20】
前記反射用構造体が、好ましくはダイポール(32,33;32,35;36;37)を含む共鳴構造体である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項21】
前記共鳴構造体が、積み重ねられたダイポール(32)を含む請求項20に記載された底部反射器。
【請求項22】
前記反射用構造体が、2つの交差したダイポール(32、35)を含む請求項20又は請求項21に記載された底部反射器。
【請求項23】
前記マイクロ波信号がH11モードで伝播し、前記共鳴構造体が、前記実質的に鉛直方向の管(13)の中心軸に配置された単一のダイポール要素(32、35)を含む請求項20から請求項22までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項24】
前記マイクロ波信号がH01モードで伝播し、前記共鳴構造体が、前記実質的に鉛直方向の管(13)内で、中心軸から離隔された周縁部に配置された複数のダイポール要素(36)を含む請求項20から請求項22までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項25】
前記マイクロ波信号がH01モードで伝播し、前記共鳴構造体が、前記実質的に鉛直方向の管(13)の中心軸に一致する対称軸を有するリング(37)を含む請求項20から請求項22までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項26】
前記反射用構造体が誘電反射器(41、42;43、44)である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項27】
前記誘電反射器が、穴の開けられたプレート(41、42)である請求項26に記載された底部反射器。
【請求項28】
前記誘電反射器が、下向きの小さな誘電部材(44)を備える実質的に水平に配置されたプレート(43)を含む請求項26に記載された底部反射器。
【請求項29】
前記反射用構造体が偏波回転構造体(51〜52;55〜56)である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項30】
前記偏波回転構造体が、リッジ(52)を含むツイスト反射器構造体(51)である請求項29に記載された底部反射器。
【請求項31】
前記偏波回転構造体が、反射器(55)と、複数の異なる方向を向いたダイポール(56)とを含む請求項29に記載された底部反射器。
【請求項32】
前記反射用構造体がマイクロ波案内構造体であり、前記マイクロ波案内構造体が前記実質的に鉛直方向の管(13)内に配置され、前記マイクロ波案内構造体を介して、前記送信および反射されたマイクロ波信号が前記実質的に鉛直方向の管(13)の内部から離れるように案内される請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載の底部反射器。
【請求項33】
前記マイクロ波案内構造体が漏斗(61)である請求項32に記載された底部反射器。
【請求項34】
前記液位計が、前記マイクロ波信号の自由空間伝播に適合されている請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された底部反射器(15)。
【請求項35】
前記反射用構造体が、カットオフ格子、好ましくはダイポールを含む共鳴構造体、誘電反射器、又は、偏波回転構造体である請求項34に記載された底部反射器。
【請求項36】
前記反射用構造体(72)が、前記レーダ液位計の下方で、
の面積の少なくとも実質的な部分の面積を占める底部反射器であって、上式で、hは前記レーダ液位計から前記底部反射器までの距離であり、λは前記マイクロ波信号の波長である請求項34又は請求項35に記載された底部反射器。
【請求項37】
前記底部反射器(72)の面積が、前記底部反射器の高さにおける前記マイクロ波信号の面積よりも小さく、前記液体の前記液位が前記底部反射器よりも上方にある場合に、前記底部反射器(72)を介して透過される前記マイクロ波信号の位相シフトが制御され、それにより、前記底部反射器(72)の外側で前記タンクの底部から反射された前記マイクロ波信号の部分と、前記底部反射器(72)を通過した前記タンクの底部から反射された前記マイクロ波信号の部分とが互いに打ち消しあうようになっている請求項34又は請求項35に記載された底部反射器。
【請求項38】
前記底部反射器が、前記タンクの底部に近接して載置可能である請求項1から請求項36までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項39】
請求項1から請求項38までのいずれか1項に記載された底部反射器(15)を含む、レーダ液位計(11)システム。
【請求項1】
レーダ液位計(11)用の底部反射器(15)であって、該液位計が、タンク(12)に貯蔵された液体の液位(71)を、前記タンクの頂部から前記液体の表面に向かってマイクロ波信号を送信し、前記液体の表面から反射された前記マイクロ波信号を受信し、送信および反射されたマイクロ波信号の伝播時間から前記タンクに貯蔵された前記液体の前記液位を計算することによって測定するようになっており、前記底部反射器が、前記タンク内で所定の高さに載置可能であり、前記タンク内に前記所定高さの液体が存在しない場合に前記マイクロ波信号を反射するようになっている、底部反射器(15)において、
前記底部反射器(15)が、前記液体の前記液位が反射用構造体よりも上方にある場合には、前記マイクロ波信号に対する第1の反射係数を有し、前記液体の前記液位が前記反射用構造体よりも下方にある場合には、前記マイクロ波信号に対する第2の反射係数を有する反射用構造体(23〜24;25;23、26;27;29;32、33;32、35;36;37;41、42;43、44;51〜52;55〜56;61;72)を含み、
前記第1の反射係数が前記第2の反射係数より実質的に小さいことを特徴とする底部反射器(15)。
【請求項2】
前記マイクロ波信号に対する前記反射用構造体の前記第1の反射係数が、前記マイクロ波信号に対する前記液体表面の反射係数より小さい、好ましくは実質的に小さい請求項1に記載された底部反射器。
【請求項3】
前記マイクロ波信号に対する前記反射用構造体の前記第2の反射係数が、前記マイクロ波信号に対する前記液体表面の反射係数とほぼ同じ大きさである、又はわずかに大きい請求項1又は請求項2に記載された底部反射器。
【請求項4】
前記液体が、1.6〜3の範囲の誘電率を有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項5】
前記液体が、原油、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、他の炭化水素液体、及び前記マイクロ波信号に対して少なくとも部分的に透過性を有する液体を含む群の液体である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項6】
前記マイクロ波信号が、特定の偏波状態を有し、前記特定の偏波状態にある前記マイクロ波信号に対して前記第1及び第2の反射係数が与えられる請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項7】
前記マイクロ波信号が、特定の周波数範囲にある請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項8】
前記第1の反射係数が0.2より小さく、好ましくは0.1より小さく、より好ましくは0.05より小さい請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項9】
前記第2の反射係数が0.1より大きく、好ましくは0.2より大きい請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項10】
前記第2の反射係数が、0.5より小さく、好ましくは0.4より小さく、より好ましくは0.3より小さい請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項11】
前記反射用構造体が、ハンド・ディッピングによる手動液位計測の使用に適合されている請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項12】
前記液位計が、前記送信および反射されたマイクロ波信号が案内される実質的に鉛直方向の管(13)を含む請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項13】
前記底部反射器(15)が、前記実質的に鉛直方向の管(13)の下端部に載置可能である請求項12に記載された底部反射器。
【請求項14】
前記マイクロ波信号が、特定の伝播モードを有し、前記特定の伝播モードの前記マイクロ波信号に対して前記第1及び第2の反射係数が与えられる請求項12又は請求項13に記載された底部反射器。
【請求項15】
前記反射用構造体がカットオフ格子(23〜24;25;23、26;27;29)である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項16】
前記マイクロ波信号がH11モードで伝播し、前記カットオフ格子が、前記マイクロ波信号の電界と実質的に平行に配置された多数の実質的に平行な条片(23)を含む請求項15に記載された底部反射器。
【請求項17】
前記マイクロ波信号がH01モードで伝播し、前記カットオフ格子が、前記マイクロ波信号の電界と実質的に平行に配置された多数の同心状に配置された円形の条片(25)を含む請求項15に記載された底部反射器。
【請求項18】
前記反射用構造体の下方に配置された偏向構造体(27)をさらに含む請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項19】
前記反射用構造体の下方に配置された吸収構造体(29)をさらに含む請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項20】
前記反射用構造体が、好ましくはダイポール(32,33;32,35;36;37)を含む共鳴構造体である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項21】
前記共鳴構造体が、積み重ねられたダイポール(32)を含む請求項20に記載された底部反射器。
【請求項22】
前記反射用構造体が、2つの交差したダイポール(32、35)を含む請求項20又は請求項21に記載された底部反射器。
【請求項23】
前記マイクロ波信号がH11モードで伝播し、前記共鳴構造体が、前記実質的に鉛直方向の管(13)の中心軸に配置された単一のダイポール要素(32、35)を含む請求項20から請求項22までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項24】
前記マイクロ波信号がH01モードで伝播し、前記共鳴構造体が、前記実質的に鉛直方向の管(13)内で、中心軸から離隔された周縁部に配置された複数のダイポール要素(36)を含む請求項20から請求項22までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項25】
前記マイクロ波信号がH01モードで伝播し、前記共鳴構造体が、前記実質的に鉛直方向の管(13)の中心軸に一致する対称軸を有するリング(37)を含む請求項20から請求項22までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項26】
前記反射用構造体が誘電反射器(41、42;43、44)である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項27】
前記誘電反射器が、穴の開けられたプレート(41、42)である請求項26に記載された底部反射器。
【請求項28】
前記誘電反射器が、下向きの小さな誘電部材(44)を備える実質的に水平に配置されたプレート(43)を含む請求項26に記載された底部反射器。
【請求項29】
前記反射用構造体が偏波回転構造体(51〜52;55〜56)である請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項30】
前記偏波回転構造体が、リッジ(52)を含むツイスト反射器構造体(51)である請求項29に記載された底部反射器。
【請求項31】
前記偏波回転構造体が、反射器(55)と、複数の異なる方向を向いたダイポール(56)とを含む請求項29に記載された底部反射器。
【請求項32】
前記反射用構造体がマイクロ波案内構造体であり、前記マイクロ波案内構造体が前記実質的に鉛直方向の管(13)内に配置され、前記マイクロ波案内構造体を介して、前記送信および反射されたマイクロ波信号が前記実質的に鉛直方向の管(13)の内部から離れるように案内される請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載の底部反射器。
【請求項33】
前記マイクロ波案内構造体が漏斗(61)である請求項32に記載された底部反射器。
【請求項34】
前記液位計が、前記マイクロ波信号の自由空間伝播に適合されている請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載された底部反射器(15)。
【請求項35】
前記反射用構造体が、カットオフ格子、好ましくはダイポールを含む共鳴構造体、誘電反射器、又は、偏波回転構造体である請求項34に記載された底部反射器。
【請求項36】
前記反射用構造体(72)が、前記レーダ液位計の下方で、
の面積の少なくとも実質的な部分の面積を占める底部反射器であって、上式で、hは前記レーダ液位計から前記底部反射器までの距離であり、λは前記マイクロ波信号の波長である請求項34又は請求項35に記載された底部反射器。
【請求項37】
前記底部反射器(72)の面積が、前記底部反射器の高さにおける前記マイクロ波信号の面積よりも小さく、前記液体の前記液位が前記底部反射器よりも上方にある場合に、前記底部反射器(72)を介して透過される前記マイクロ波信号の位相シフトが制御され、それにより、前記底部反射器(72)の外側で前記タンクの底部から反射された前記マイクロ波信号の部分と、前記底部反射器(72)を通過した前記タンクの底部から反射された前記マイクロ波信号の部分とが互いに打ち消しあうようになっている請求項34又は請求項35に記載された底部反射器。
【請求項38】
前記底部反射器が、前記タンクの底部に近接して載置可能である請求項1から請求項36までのいずれか1項に記載された底部反射器。
【請求項39】
請求項1から請求項38までのいずれか1項に記載された底部反射器(15)を含む、レーダ液位計(11)システム。
【図1】
【図2f】
【図3f】
【図4c】
【図6】
【図7】
【図2f】
【図3f】
【図4c】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2006−515068(P2006−515068A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518787(P2005−518787)
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000110
【国際公開番号】WO2004/068081
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505184388)サーブ ローズマウント タンク レーダー アクチボラゲット (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月28日(2004.1.28)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000110
【国際公開番号】WO2004/068081
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505184388)サーブ ローズマウント タンク レーダー アクチボラゲット (15)
【Fターム(参考)】
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