説明

レーダ表示処理装置及びレーダ表示処理方法

【課題】出力したプロットデータの表示装置における表示がちらつき、また、プロットデータの減衰時間を調整することを可能とする。
【解決手段】レーダ表示処理装置30は、受信するレーダビデオ信号を、プロット処理部33でディスプレイ40の表示フレーム単位でプロットデータに変換する。そして、メモリ35にプロットデータを書き込んでいる間はメモリ36に記録されたプロットデータを出力し、メモリ35にプロットデータを書き込んでいる間は第1のメモリに記録されたプロットデータを出力する。また、一方のメモリから出力されたプロットデータは、CPU38で生成される減衰係数により減衰処理部37で減衰処理され、他方のメモリに記録されているプロットデータに上書きされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダから送出されるレーダビデオ信号を受信し、このレーダビデオ信号を表示装置で表示するための処理を施すレーダ表示処理装置及びレーダ表示処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーダ表示処理装置は、レーダが送出するレーダビデオ信号を受信し、このレーダビデオ信号を、出力先であるディスプレイの態様に従ってプロットデータに変換する。従来、ディスプレイにはCRT(Cathode Ray Tube)が用いられ、レーダ表示処理装置から出力されたプロットデータは、このCRTの残存現象を利用することにより滑らかに表示されていた。
【0003】
ところで、ラスタスキャン方式を用いてプロットデータの滑らかな表示を実現するため、2つのメモリを備えるレーダ表示処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のレーダ表示処理装置は、一方のメモリに新たなプロットデータを保存しながらその保存データを読み出し、データを減衰させて他方のメモリに保存する処理を相互のメモリ間で繰り返すことで、プロットデータの輝度の減衰を実現するようにしている。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、プロットデータの書き込みと読出しとが、一つのメモリに対して同一のタイミングで行われていた。そのため、書き込み途中のプロットデータがディスプレイで表示される場合があり、表示画面のちらつきが生じていた。また、プロットデータを一方のメモリに書き込むのと同時に、減衰率をかけて他方のメモリにコピーするため、書き込み途中のデータが他方のメモリにコピーされることとなり、表示画面のちらつきの要因となっていた。
【0005】
また、特許文献1では、減衰処理のための減衰率が予め設定されてROM化されているため、減衰時間を調整することができなかった。
【特許文献1】特開平9−318730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、従来のレーダ表示処理装置では、出力したプロットデータの表示装置における表示がちらつき、また、プロットデータの減衰時間を調整することができなかった。
【0007】
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、出力したプロットデータの表示装置における表示のちらつきを抑制し、プロットデータの減衰時間の調整をすることが可能なレーダ表示処理装置及びレーダ表示処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るレーダ表示処理装置は、レーダアンテナで受信されたレーダビデオ信号を受信する受信部と、前記レーダビデオ信号を、当該信号を表示する表示装置の表示フレーム単位でプロットデータに変換するプロット処理部と、前記プロットデータの出力を、2系統に分岐された出力系統のうち一方の系統に選択的に切り替える第1の切替部と、前記2系統のそれぞれに設置され、入力されるプロットデータを前記表示フレーム毎に記録又は上書きし、出力指示により記録されている全フレームの前記プロットデータを出力する第1及び第2のメモリと、前記第1又は第2のメモリから出力されるプロットデータの輝度を減衰処理すると共に、減衰処理後の輝度が予め設定された輝度に満たないフレームのプロットデータの輝度を零とする減衰処理部と、前記減衰処理されたプロットデータを前記第1又は第2のメモリに選択的に出力する第2の切替部と、前記第1又は第2のメモリから出力されるプロットデータを前記表示装置の表示フォーマットに従って変換処理する変換処理部と、前記第1の切替部を切替制御して前記第1のメモリにプロットデータを記録させると共に前記第2のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記変換処理部に出力させる第1の制御と、前記第1のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記減衰処理部及び前記変換処理部に出力させると共に前記第2の切替部を切替制御して前記減衰処理部で減衰処理されたプロットデータを前記第2のメモリに上書きさせる第2の制御と、前記第1の切替部を切替制御して前記第2のメモリにプロットデータを記録させると共に前記第1のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記変換処理部に出力させる第3の制御と、前記第2のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記減衰処理部及び前記変換処理部に出力させると共に前記第2の切替部を切替制御して前記減衰処理部で減衰処理されたプロットデータを前記第1のメモリに上書きさせる第4の制御とを、前記表示装置がデータを表示する表示レートタイミングに同期させて繰り返し行う制御部とを具備する。
【0009】
上記構成によるレーダ表示処理装置では、第1のメモリにプロットデータの記録又は上書きを行っている間は第2のメモリに記録されたプロットデータを出力し、第2のメモリにプロットデータの記録又は上書きを行っている間は第1のメモリに記録されたプロットデータを出力するようにしている。これにより、第1又は第2のメモリに対するプロットデータの書き込みと読出しとが異なるタイミングに行われるようになるので、表示装置における画面のちらつきを抑制することが可能となる。
【0010】
また、上記レーダ表示処理装置は、前記プロットデータの輝度の減衰量を規定する減衰係数を生成するCPU(Central Processing Unit)をさらに備え、前記減衰処理部は、前記第1又は第2のメモリから出力されるプロットデータの輝度から前記減衰係数を減じることで前記減衰処理をし、当該減衰処理後のプロットデータの輝度が前記減衰係数以下となる場合そのときのフレームのプロットデータの輝度を零とする。
【0011】
これにより、減衰係数を生成するCPUを備えているため、プロットデータの輝度の減衰時間を調整することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係るレーダ表示処理方法は、レーダアンテナで受信されたレーダビデオ信号を受信し、前記レーダビデオ信号を、当該信号を表示する表示装置の表示フレーム単位でプロットデータに変換し、前記プロットデータを第1のメモリに記録させると共に第2のメモリに記録された前記プロットデータを前記表示装置の表示フォーマットに従って変換処理し、前記第1のメモリに記録された前記プロットデータを2系統に分配し、一方の系統のプロットデータの輝度を減衰処理したのち前記第2のメモリに上書きし、他方の系統のプロットデータを前記変換処理し、前記プロットデータを前記第2のメモリに記録させると共に前記第1のメモリに記録された前記プロットデータを前記変換処理し、前記第2のメモリに記録された前記プロットデータを2系統に分配し、一方の系統のプロットデータの輝度を減衰処理したのち前記第1のメモリに上書きし、他方の系統のプロットデータを前記変換処理し、前記各処理を前記表示装置がデータを表示する表示レートタイミングに同期させて繰り返すことを特徴とする。
【0013】
上記構成によるレーダ表示処理方法では、第1のメモリにプロットデータの記録又は上書きを行っている間は第2のメモリに記録されたプロットデータを出力し、第2のメモリにプロットデータの記録又は上書きを行っている間は第1のメモリに記録されたプロットデータを出力するようにしている。これにより、第1又は第2のメモリに対するプロットデータの書き込みと読出しとが異なるタイミングに行われるようになるので、表示装置における画面のちらつきを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、出力したプロットデータの表示装置における表示のちらつきを抑制し、プロットデータの減衰時間の調整をすることが可能なレーダ表示処理装置及びレーダ表示処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るレーダ表示処理装置30を含むレーダシステムの機能構成を示すブロック図である。図1におけるレーダシステムでは、アンテナ10の受信タイミングに従って受信された信号を、信号処理部20で目標抽出等の信号処理を施してレーダビデオ信号としてレーダ表示処理装置30に出力する。レーダ表示処理装置30は、受信したレーダビデオ信号をプロットデータに変換し、ディスプレイ40の表示レートに従ってディスプレイ40に出力する。本実施形態では、ディスプレイ40は表示レート60Hzであり、ディスプレイ40はこの表示レートでプロットデータを表示する。
【0017】
上記レーダ表示処理装置30は、レーダビデオ信号を受信部31で受け取り、バッファ部32で一時的に保持する。バッファ部32は、レーダビデオ信号がディスプレイの表示レートに対応した表示フレーム分蓄積されると、そのレーダビデオ信号をプロット処理部33へ出力する。
【0018】
プロット処理部33は、バッファ部32から出力される表示フレーム毎のレーダビデオ信号をプロットデータに変換して切替部aに出力する。切替部aは、制御部34の切替制御に従い、プロットデータをメモリ35又はメモリ36に選択的に出力する。
【0019】
メモリ35,36は、入力されるプロットデータを表示フレーム毎に順次記録又は上書きする。また、制御部34からの出力指示を受け取ると、記録されている全フレームのプロットデータを切替部b及び切替部cに出力する。
【0020】
切替部bは、メモリ35又は36からのプロットデータを受け取ると、制御部34からの切替制御に従って一方のプロットデータを減衰処理部37へ選択的に導出する。
【0021】
減衰処理部37は、導出されたプロットデータの輝度の減衰処理を行う。減衰処理部37は、プロットデータが入力されると、プロットデータの輝度情報からCPU(Central Processing Unit)38で生成される減衰係数の輝度情報を減じる。そして、減衰処理部37は、減算後の輝度情報が減衰係数の輝度情報以下である場合、プロットデータの輝度情報を零として切替部dに出力する。また、減算後の輝度情報が減衰係数の輝度情報より大きい場合、減算後の輝度情報のプロットデータを切替部dに出力する。
【0022】
切替部dは、減衰処理部37で減衰処理されたプロットデータを、制御部34からの切替制御に従ってメモリ35又はメモリ36に選択的に出力する。
【0023】
切替部cは、メモリ35又は36から出力されるプロットデータを受け取ると、制御部34からの切替制御に従って一方のプロットデータを読出し処理部39へ選択的に導出する。
【0024】
読出し処理部39は、導出されたプロットデータをディスプレイ40の表示フォーマットに沿って処理し、重畳部310へ出力する。
【0025】
上記CPU38は、ディスプレイ40におけるプロットデータの輝度の減衰時間を調整可能であり、その減衰時間に基づいて減衰係数を生成する。生成された減衰係数は、減衰処理部37に出力される。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係るプロットデータ及び減衰係数の輝度情報を示す模式図である。プロットデータの輝度情報及び減衰係数の輝度情報はともに16ビットで表され、そのうち8ビットは輝度情報整数部であり、残りの8ビットは輝度情報小数部である。仮にプロットデータの輝度情報がFFFF、そのうち整数部がFF、小数部がFFであるとする。また、減衰係数の輝度情報が0100、そのうち整数部が01、小数部が00であるとする。このとき、減衰処理によりプロットデータの輝度情報は、
FFFF−0100=FEFF
と算出され、整数部がFE、小数部がFFとなる。この処理が繰り返されることにより、プロットデータの輝度が減衰されていく。CPU38により減衰時間が短縮されて設定されると、減衰係数が大きくなり、1回の減衰処理における減衰量が増加する。なお、ディスプレイ40では、輝度情報整数部の値のみがプロットデータの輝度として表示に反映される。
【0027】
また、CPU38は、ディスプレイ40で表示されるアプリケーションツール等の表示データの描画を描画処理部311に指示する。
【0028】
描画処理部311は、CPU38の指示に基づいて表示データの描画を行う。描画された表示データは、切替部eにより描画メモリ312又は描画メモリ313に選択的に出力される。
【0029】
描画メモリ312,313は、表示データを記録し、制御部34の出力指示により記録されている表示データを出力する。描画メモリ312,313から出力された表示データは、切替部fにより重畳部310へ選択的に導出される。
【0030】
重畳部310は、読出し処理部39から出力されるプロットデータと、切替部fから導出される表示データとを重畳し、インターフェース部314を介してディスプレイ40に出力する。
【0031】
制御部34は、切替部a〜dの切替制御及びメモリ35,36への出力指示を行うことにより、プロットデータの記録、上書き及び、出力を行う。また、切替部e,fの切替制御及び描画メモリ312,313への出力指示を行うことにより、重畳部310への表示データの出力を行う。以下、図3及び4を用いて制御部34による切替部a〜dの切替制御を詳細に説明する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係る制御部34による切替部a〜dの切替制御を表す模式図である。図3(a)は切替部aをメモリ35への出力に切り替え、切替部bをオフに切り替え、切替部cをメモリ36からのプロットデータの導出に切り替える第1の切替制御を示す。これにより、プロット処理部33からのプロットデータは、メモリ35に記録される。また、制御部34の出力指示によりメモリ36から出力されたプロットデータは、読出し処理部39へ出力される。
【0033】
図3(b)は切替部aをオフに切り替え、切替部bをメモリ35からのプロットデータの導出に切り替え、切替部dをメモリ36への出力に切り替え、切替部cをメモリ35からのプロットデータの導出に切り替える第2の切替制御を示す。これにより、制御部34の出力指示によりメモリ35から出力されたプロットデータは、減衰処理部37で減衰処理され、メモリ36に記録されているプロットデータに上書きされる。また、メモリ35からのプロットデータは、読出し処理部39へ出力される。
【0034】
図3(c)は切替部aをメモリ36への出力に切り替え、切替部bをオフに切り替え、切替部cをメモリ35からのプロットデータの導出に切り替える第3の切替制御を示す。これにより、プロット処理部33からのプロットデータは、メモリ36に記録される。また、制御部34の出力指示によりメモリ35から出力されたプロットデータは、読出し処理部39へ出力される。
【0035】
図3(d)は切替部aをオフに切り替え、切替部bをメモリ36からのプロットデータの導出に切り替え、切替部dをメモリ35への出力に切り替え、切替部cをメモリ36からのプロットデータの導出に切り替える第4の切替制御を示す。これにより、制御部34の出力指示によりメモリ36から出力されたプロットデータは、減衰処理部37で減衰処理され、メモリ35に記録されているプロットデータに上書きされる。また、メモリ36からのプロットデータは、読出し処理部39へ出力される。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係る制御部34による切替部a〜dの切替制御のタイミングを示す模式図である。
【0037】
まず、制御部34は、図3(a)に示す第1の切替制御を行う(S1)。このとき、メモリ35はプロット処理部33で変換された表示フレーム分のプロットデータを受け取って記録する。同時にメモリ36からは制御部34の出力指示によりプロットデータが出力される。
【0038】
続いて、1/60秒が経過すると表示レートに従って図3(b)に示す第2の切替制御を行う(S2)。このとき、制御部34の出力指示によりメモリ35からプロットデータが出力される。同時にメモリ36は、メモリ35から出力されて減衰処理が施されたプロットデータを、記録しているプロットデータに上書きする。
【0039】
続いて、1/60秒が経過すると表示レートに従って図3(c)に示す第3の切替制御を行う(S3)。このとき、制御部34の出力指示によりメモリ35からプロットデータが出力される。同時にメモリ36はプロット処理部33で変換された表示フレーム分のプロットデータを受け取って記録する。この第3の切替制御によりディスプレイ40で表示されるプロットデータがメモリ36由来のものからメモリ35由来のものに切り替わる。つまり、ここでの画像更新レートは30Hzとなる。
【0040】
続いて、1/60秒が経過すると表示レートに従って図3(d)に示す第4の切替制御を行う(S4)。このとき、制御部34の指示によりメモリ36からプロットデータが出力される。同時にメモリ35は、メモリ36から出力されて減衰処理が施されたプロットデータを、記録しているプロットデータに上書きする。制御部34は、このS1〜S4の切替制御を繰り返す。
【0041】
また、切替部e,fの切替制御においては、制御部34は、切替部eを描画メモリ312への出力に切り替え、切替部fを描画メモリ313からの表示データの導出に切り替える第5の切替制御と、切替部eを描画メモリ312への出力に切り替え、切替部fを描画メモリ312からの表示データの導出に切り替える第6の切替制御とを、読出し処理部39からの出力と同期させて繰り返し行う。
【0042】
図5は、プロットデータの輝度レベルが時間の経過とともに減衰する様子を示すグラフである。画像更新レート30Hzに従って1/30秒の経過と共に輝度レベルが一定の減衰量で減衰する。
【0043】
以上のように、上記一実施形態では、レーダ表示処理装置30は、受信するレーダビデオ信号を、プロット処理部33でディスプレイ40の表示フレーム単位でプロットデータに変換する。そして、メモリ35にプロットデータを書き込んでいる間はメモリ36に記録されたプロットデータを出力し、メモリ35にプロットデータを書き込んでいる間は第1のメモリに記録されたプロットデータを出力するようにしている。これにより、レーダ表示処理装置30は、メモリ35,36へのプロットデータの書き込みと、メモリ35,36からのプロットデータの出力とを異なるタイミングで行うことが可能となる。
【0044】
したがって、本実施例のレーダ表示処理装置30は、ディスプレイ40における画面のちらつきを抑制することができる。
【0045】
また、CPU38に対してプロットデータの減衰時間を任意に設定すると、それに基づいてCPU38で減衰係数が生成される。そして、減衰処理部37でプロットデータの輝度情報から生成された減衰係数の輝度情報を減算することにより、プロットデータの輝度を減衰させる。これにより、プロットデータの輝度を、CPU38で生成する減衰係数に基づいて任意の減少量で徐々に減衰することが可能となる。
【0046】
さらに、レーダ表示処理装置30は、描画処理部311からの表示データを描画メモリ312,313に記録する。そして、制御部34により、描画メモリ312に表示データを記録する際には描画メモリ313に記録された表示データを出力し、描画メモリ313に表示データを記録する際には描画メモリ312に記録された表示データを出力するようにしている。また、このときの表示データの出力は、読出し処理部39からのプロットデータと同期させて行うようにしている。これにより、描画メモリに書き込み途中の表示データの出力を回避することが可能となる。また、表示データをプロットデータと同期して出力するため、ディスプレイ40の表示レートと同期した重畳が可能となる。
【0047】
したがって、表示画面のちらつきを抑制することができ、プロットデータと表示データとの不一致を防止することもできる。
【0048】
これらのことから、本発明によれば、出力したプロットデータの表示装置における表示のちらつきを抑制し、プロットデータの減衰時間の調整をすることが可能なレーダ表示処理装置を提供することができる。
【0049】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、プロットデータ及び減衰係数の輝度情報を16ビットと設定したが、この値は、プロットデータの輝度の最大減衰時間を規定するものであるため、ユーザが希望する最大減衰時間に応じて、設計段階で自由に設定することができる。
【0050】
さらに、この発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るレーダ表示処理装置の一実施形態の機能構成を示すブロック図。
【図2】上記一実施形態のプロットデータ及び減衰係数の輝度情報を示す模式図。
【図3】上記一実施形態の切替制御部による切替部の切替制御を表す模式図。
【図4】上記一実施形態の切替制御部による切替部の切替制御のタイミングを表す模式図。
【図5】上記一実施形態のプロットデータの輝度レベルが時間の経過とともに減衰する一例を示すグラフ。
【符号の説明】
【0052】
10…アンテナ、20…信号処理部、30…レーダ表示処理装置、31…受信部、32…バッファ部、33…プロット処理部、34…制御部、35,36…メモリ、37…減衰処理部、38…CPU、39…読出し処理部、310…重畳部、311…描画処理部、312,313…描画メモリ、314…インターフェース部、40…ディスプレイ、a〜f…切替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダアンテナで受信されたレーダビデオ信号を受信する受信部と、
前記レーダビデオ信号を、当該信号を表示する表示装置の表示フレーム単位でプロットデータに変換するプロット処理部と、
前記プロットデータの出力を、2系統に分岐された出力系統のうち一方の系統に選択的に切り替える第1の切替部と、
前記2系統のそれぞれに設置され、入力されるプロットデータを前記表示フレーム毎に記録又は上書きし、出力指示により記録されている全フレームの前記プロットデータを出力する第1及び第2のメモリと、
前記第1又は第2のメモリから出力されるプロットデータの輝度を減衰処理すると共に、減衰処理後の輝度が予め設定された輝度に満たないフレームのプロットデータの輝度を零とする減衰処理部と、
前記減衰処理されたプロットデータを前記第1又は第2のメモリに選択的に出力する第2の切替部と、
前記第1又は第2のメモリから出力されるプロットデータを前記表示装置の表示フォーマットに従って変換処理する変換処理部と、
前記第1の切替部を切替制御して前記第1のメモリにプロットデータを記録させると共に前記第2のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記変換処理部に出力させる第1の制御と、前記第1のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記減衰処理部及び前記変換処理部に出力させると共に前記第2の切替部を切替制御して前記減衰処理部で減衰処理されたプロットデータを前記第2のメモリに上書きさせる第2の制御と、前記第1の切替部を切替制御して前記第2のメモリにプロットデータを記録させると共に前記第1のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記変換処理部に出力させる第3の制御と、前記第2のメモリに出力指示を出してプロットデータを前記減衰処理部及び前記変換処理部に出力させると共に前記第2の切替部を切替制御して前記減衰処理部で減衰処理されたプロットデータを前記第1のメモリに上書きさせる第4の制御とを、前記表示装置がデータを表示する表示レートタイミングに同期させて繰り返し行う制御部と
を具備することを特徴とするレーダ表示処理装置。
【請求項2】
前記プロットデータの輝度の減衰量を規定する減衰係数を生成するCPU(Central Processing Unit)をさらに備え、
前記減衰処理部は、前記第1又は第2のメモリから出力されるプロットデータの輝度から前記減衰係数を減じることで前記減衰処理をし、当該減衰処理後のプロットデータの輝度が前記減衰係数以下となる場合そのときのフレームのプロットデータの輝度を零とすることを特徴とする請求項1記載のレーダ表示処理装置。
【請求項3】
前記CPUは、任意に設定されるプロットデータの輝度の減衰時間に基づいて前記減衰係数を生成することを特徴とする請求項1記載のレーダ表示処理装置。
【請求項4】
前記プロットデータの輝度は、N(Nは自然数)ビットのデータで定義され、当該Nビットのうちxビットは輝度の整数部であり、yビットは小数部(ただし、x+y=Nとする)であることを特徴とする請求項2記載のレーダ表示処理装置。
【請求項5】
前記表示装置で前記プロットデータと重畳して表示する表示データを描画する描画処理部と、
前記表示データの出力を、2系統に分岐された出力系統のうち一方の系統に選択的に出力する第3の切替部と、
前記2系統のそれぞれに設置され、前記表示データを記録し、前記制御部の出力指示により記録されている表示データを出力する第1及び第2の描画メモリと、
前記処理部からの出力と前記第1又は第2の描画メモリからの表示データを重畳する重畳部と
をさらに備え、
前記制御部は、前記描画メモリの一方に前記表示データが記録されるとき他方の描画メモリに、前記処理部からの出力と同期させて、前記表示データの出力指示を出すことを特徴とする請求項1に記載のレーダ表示処理装置。
【請求項6】
レーダアンテナで受信されたレーダビデオ信号を受信し、
前記レーダビデオ信号を、当該信号を表示する表示装置の表示フレーム単位でプロットデータに変換し、
前記プロットデータを第1のメモリに記録させると共に第2のメモリに記録された前記プロットデータを前記表示装置の表示フォーマットに従って変換処理し、
前記第1のメモリに記録された前記プロットデータを2系統に分配し、一方の系統のプロットデータの輝度を減衰処理したのち前記第2のメモリに上書きし、他方の系統のプロットデータを前記変換処理し、
前記プロットデータを前記第2のメモリに記録させると共に前記第1のメモリに記録された前記プロットデータを前記変換処理し、
前記第2のメモリに記録された前記プロットデータを2系統に分配し、一方の系統のプロットデータの輝度を減衰処理したのち前記第1のメモリに上書きし、他方の系統のプロットデータを前記変換処理し、
前記各処理を前記表示装置がデータを表示する表示レートタイミングに同期させて繰り返すことを特徴とするレーダ表示処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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