説明

レール転倒防止プレートの製造方法

【課題】的確なレール転倒防止効果を奏することができるレール転倒防止プレートの製造コストを抑える。
【解決手段】鉄道レール転倒防止装置(1)のレール転倒防止プレート(12)は、ベースプレート(120)と、アーム部材(150)とを接合することにより作られる。レール転倒防止プレート(12)は、レール溝(126)と、レール溝(126)の内側縁に設けられた逆L字状の第1アーム(134)と、レール反力受け座(136)を備えており、アーム部材(150)は第1アーム(134)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道のレールに関し、車両の脱線時にレールが転倒するのを防止するためのレール転倒防止プレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の脱線に対する様々な対策が提案されている(例えば特許文献1〜3)。特許文献1は、車輪の側方に且つ隣接して車体から下方に突出するストッパ片を設けることを提案している。このストッパ片は、車輪が脱線したときにレールの側面に係止し、これにより脱線した車両が軌道から逸脱する範囲を規定することができる。
【0003】
周知のように、レールはその下端フランジ部が締結手段によって枕木や軌道スラブに固定されているが、車輪がレールから脱線したときに、脱線した車輪が接地してレール締結手段を破壊してしまう虞がある。このことから、特許文献2は、上記ストッパ片の代わりに、レールの頂部と当接するスロープ部などを備えたガイド部材を設けることを提案している。この特許文献2の提案によれば、車輪が脱線したときに、ガイド部材のスロープ部がレールの頂面に乗って車輪が接地するのを防止することができる。
【0004】
特許文献3は、脱線した車輪によってレール締結手段が破壊されるのを阻止しつつレールが転倒してしまうのを防止する手段として、レール締結手段の近傍にレールの内外の下端フランジの端縁を係止するためのブロック状金具とこれに併設した係合ブロックとを設けることを提案している。
【0005】
【特許文献1】特開平10−250576号公報
【特許文献2】特開2006−315518号公報
【特許文献3】特開2006−316553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、的確なレール転倒防止効果を奏することができ且つ製造コストを抑えることのできるレール転倒防止プレートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題は、本発明によれば、基本的には、
鉄道のレールを支持する枕の間に設置されて左右の各レールの下に固設され且つ該レールの車幅方向内外に亘って延びるベースプレートを有するレール転倒防止プレートであって、
該ベースプレートが、レールの一方の下端フランジと係合する逆L字状の第1アームと、該レールの一方の下端フランジの外端部を受止するためのレール反力受け座とを備え、
前記レールに対して横方向に荷重が加わったときに、該第1アームが前記レールの一方の下端フランジと係合すると共に該レールの一方の下端フランジの外端部が前記レール反力受け座によって受け止められることにより前記レールの倒れ角度を規制して該レールが転倒するのを防止するためのレール転倒防止プレートの製造方法であって、
前記第1アームの部分に開口を備えた前記ベースプレートを作るベースプレート形成工程と、
前記第1アームを備え且つ該ベースプレートの開口に対応する大きさのアーム部材を作るアーム部材形成工程と、を有することを特徴とするレール転倒防止プレートの製造方法を提供することにより達成される。
【0008】
すなわち、本発明の方法により製造したレール転倒防止プレートによれば、車両の脱線により車両から下方に延びるストッパ片によって横方向の荷重がレールに付加されてレールが倒れ動作すると、レールの一方の下端フランジは第1アームによって支持されるだけでなく、当該下端フランジの外端がレール反力受け座によって受け止められるため、レールの倒れ角度を小さな値に抑えることができる。
【0009】
そして、このような逆L字状の第1アームを備えたレール転倒防止プレートの製造に際して、ベースプレートと、逆L字状の第1アーム部材とを別々に作る工法を採用することにより、レール転倒防止プレートを一体的に製造するのに比べて、複雑な成形型を使うことなくキャビティ形状が簡素な成形型や、例えば板材や各部を溶接を使って作るなどにより、また、特別な工法や切削のような手間の掛かる工法を採用することなく製造することができる。したがって、逆L字状の第1アームを備えたレール転倒防止プレートの生産能率を向上でき、これにより製造コストを下げることができる。
【0010】
また、ベースプレートとアーム部材とを別体構造とすることにより、ベースプレートとアーム部材とを別の金属や別の成形方法によって作ることができるため、レール転倒防止プレートの設計上の自由度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0012】
図1は、実施例の方法により製造された鉄道レール転倒防止装置をスラブ軌道に適用した例を説明するための図である。スラブ軌道1は、既知のように、コンクリート路盤上に並置された数多くのコンクリート板2を有し、このコンクリート板2には、上方に向けて突出した枕4が形成されている。枕4の上に敷設されたレール6は、その内外の下端フランジ6a、6bがバネ8を介してコンクリート板2に固定される。なお、図1中、右側に位置するレール6には「R」を付記し、左側に位置するレール6には「L」を付して識別してある。
【0013】
引き続き図1を参照して、左右のレール6R、6Lの夫々に関して、隣接する2つの枕4、4の間に、図外の絶縁プレートを介して鉄道レール転倒防止装置10が設置される。この実施例では、左右のレール6R、6Lに関して、鉄道レール転倒防止装置10は千鳥状に配置されており、各鉄道レール転倒防止装置10は、コンクリート板2に植設された2本のボルト(図示せず)に螺合されるナットNを締め付けることにより固定されている。勿論、左右のレール6R、6Lに関して、全ての隣接する2つの枕4、4の間に鉄道レール転倒防止装置10を設けてもよい。
【0014】
図1は、左右の車輪よりも車幅方向外方に位置して車体から下方に垂下するストッパ片を備えた列車が脱線事故を起こしたときに、当該ストッパ片が外方側からレールと係合してレールを内方側に転倒させてしまうのを防止する意図で鉄道レール転倒防止装置10をスラブ軌道1に設置した例を図示するものであり、これを前提として、以下に実施例を具体的に説明する。
【0015】
図2は鉄道レール転倒防止装置10の斜視図である。鉄道レール転倒防止装置10は、基本的には、レール転倒防止プレート12と、別部材の板バネ14とで構成されている。レール転倒防止プレート12は鍛造品であってもよいし鋳造品であってもよく、また、後の説明から分かるように、その一部が板材を溶接することにより作られてもよい。図3は、レール転倒防止プレート12の要部拡大図である。
【0016】
図2及び図3を参照して、レール6を横断する方向に長い長方形のベースプレート120と、長手方向両端部に夫々設けられた複数の透孔124、124(実施例では透孔124は2つ)と、ベースプレート120の長手方向中央部分に形成され且つベースプレート120の幅方向一端から他端に亘って連続して延びるレール溝126とを有する。レール6はレール溝126の部分を通過する。上記2つの透孔124については、図2において、レール6を挟んで車幅方向内方に位置する透孔には「a」と付記し、外方に位置する透孔には「b」を付記してある。レール転倒防止プレート12は、スラブ軌道1のコンクリート板2に植設されたボルトを透孔124に挿入してナット(図示せず)を締め付けることによりスラブ軌道1に定置されるが、このレール転倒防止プレート12を固定する前に、絶縁プレートがコンクリート板2の上に設置される。すなわち、レール転倒防止プレート12は図外の絶縁プレートを介してスラブ軌道1に固定される。
【0017】
図2において、右上の部分が左右の各レール6R、6Lの車幅方向内側に位置し、左下の部分が左右の各レール6R、6Lの車幅方向外側に位置する。ベースプレート120は、また、レール溝126の内側縁に沿って連続して延びる断面矩形の第1隆起部128と、レール溝126の外側縁に沿って延びる断面矩形の第2隆起部130とを有し、これら第1、第2の隆起部128、130によってレール溝126が規定されると共にベースプレート120が補強される。
【0018】
第2隆起部130は、比較的長い長尺第2隆起部130aと、比較的短い短尺第2隆起部130bとで構成され、これら長尺、短尺の第2隆起部130a、130bとの間に切欠き部132が形成されている。板バネ14は切欠き部132に配設される。
【0019】
図2、図3を参照して、第1隆起部128には、第2隆起部130の切欠き部132に対抗する部位に第1アーム134が設けられ、この第1アーム134の下方にレール反力受け座136が形成されている。なお、第1アーム134は、上記切欠き部132からレール溝126の長手方向にオフセットして配置するようにしてもよい。図3から最も良く分かるように、第1アーム134は、第1隆起部128から上方に延びる起立部134aと、起立部24aの上端からレール溝126の幅方向内方に向けて横方向に延びる係止部134bとで構成された断面逆L字状の形状を有し、係止部134bの先端がレール溝126の幅方向内方に侵入している。すなわち、第1アーム134は、その係止部134bがレール溝126を横断する方向に延びており、そして、係止部134bの先端はレール6の内側下端フランジ6aの基端部に位置している(図4)。
【0020】
レール反力受け座136は断面矩形の形状を有し、上記第1隆起部128からレール溝126の車幅方向内方に向けて僅かに延びている。すなわち、第1アーム134の下方に位置するレール反力受け座136は、レール6の内側下端フランジ6aの外端部の下に位置して、レール6が内側に所定角度倒れるとレール6の内側下端フランジ6aの外端がレール反力受け座136に当接可能である。
【0021】
図2を参照して、板バネ14は、平面視したときに、第2隆起部130の切欠き部132に相当する大きさの本体140と、この本体140の一端に形成された第2アーム142を有し、第2アーム142は、起立部142aと、起立部142aの上端からレール溝126の幅方向内方に向けて横方向に延びる係止部142bとで構成されている。
【0022】
板バネ14を受け入れる切欠き部132には、この切欠き部132を規定する長尺、短尺の第2隆起部130a、130bの互いに対抗する壁面132a、132bの夫々に溝138が形成されている。なお、図3では、作図の関係で、長尺第2隆起部130aの壁面132aの溝138だけが描かれており、短尺第2隆起部130bの壁面132bの溝138は現れていない。切欠き部132を規定する壁面132a、132bに形成した溝138に板バネ14を挿入することで、板バネ14の両側縁部が溝138によって係止される。なお、この溝138は、鍛造によりレール転倒防止プレート12を成形した後に切削加工によって形成される。
【0023】
前述したように、レール転倒防止プレート12は絶縁プレートを介してスラブ軌道に設置されるが、先ず、レール転倒防止プレート12をレール6の下に仮位置決めし、次いで、レール転倒防止プレート12を持ち上げて、このレール転倒防止プレート12とスラブ軌道との隙間を作り、この隙間に絶縁プレートが挿入される。この設置の際のレール転倒プレート12の持ち上げ操作を許容するのに必要最小限のクリアランスC(図4)が第1アーム134の係止部134bとレール溝126との間に設定されている。
【0024】
図4は、鉄道レール転倒防止装置10の作用説明図であり、車両の脱線事故によって車両から垂下するストッパ片(特許文献1)がレール6の起立部6cの上端に位置する頂部6dの側面に当接して、レール6を車幅方向内方に向けて転倒させる横荷重Fが加わったときの状態を示す。
【0025】
レール6の頂部6dに加わる横荷重Fによってレール6は角度α傾斜するが、この状態でレール6の内外の下端フランジの6a、6bは、第1、第2のアーム134、142の係止部134b、142bによって拘束され、特に、第1アーム134の係止部134bの先端とレール6の内側下端フランジ6aの基端部との間の係合だけでなく、レール6の内側下端フランジ6aの外端がレール溝126の底面から上方に突出したレール反力受け座136によって受止されることによってレール6の倒れ角αを比較的小さな値に規定することができる。
【0026】
図5は比較例としてのレール転倒防止プレート22を示す。この図5と先に説明した図3などを対比すると直ちに分かるように、比較例のレール転倒防止プレート22にあっては、図2、図3のレール転倒防止プレート12で説明したレール反力受け座136が省かれている。図6は、比較例のレール転倒防止プレート22の作用効果を説明するための図である。この図6と前述した図4とを対比すると分かるように、比較例のレール転倒防止プレート22の方が、レール反力受け座136が存在していない分だけレール6の倒れ角βが、図2、図3のレール転倒防止プレート12におけるレール6の倒れ角αよりも大きい(β>α)。
【0027】
図1〜図4で説明した鉄道レール転倒防止装置10によれば、レール反力受け座136を設けることにより、レール転倒防止プレート12を設置するのに必要とされる第1アーム134とレール溝126との間のクリアランスCを確保しつつ、第1アーム134と反力受け座136との協働作用によって、脱線事故の際のレール6の倒れ角αを極力小さくすることができ、これによりレール6の転倒を的確に防止することができる。
【0028】
図7〜図10は、レール転倒防止プレート12に関する実施例の製造方法を説明するための図である。レール転倒防止プレート12は、ベースプレート120(図7)と、アーム部材150(図8)とを合体させることにより作られる。ベースプレート120は、前述した透孔124、レール溝126、第1、第2の隆起部128、130、切欠き部132などに加えて開口122を備えている。このような構成であれば、図外の上型、下型からなる成形型を使った鋳造、熱間鍛造によってベースプレート120を容易に製造できることが分かるであろう。また、ベースプレート120は、例えば、板材の上に、第1、第2の隆起部128、130を構成する別の板材を溶接することにより作ることもできる。
【0029】
図8のアーム部材150は、ベースプレート120の開口122(図7)に組み込まれる。アーム部材150は、前述した逆L字状の第1アーム134、レール反力受け座136を備えている。このような構成であれば、図外の上型、下型を使った鋳造、熱間鍛造によってアーム部材150を容易に製造できることが分かるであろう。また、アーム部材150のベース板の上に第1アーム134やレール反力受け座136を構成する部材を溶接することにより作ることもできる。
【0030】
ベースプレート120の開口122の周面122aと、当該周面122aと当接するアーム部材150の周面150aとは、上方に向かうに従って徐々に先細りになる互いに相補的なテーパ面で構成してもよいし(図9)、段付きの面で構成してもよい(図10)。これにより、ベースプレート120の下方からアーム部材150を開口122に挿入することで、ベースプレート120に対するアーム部材150の位置決めが可能となると共に、アーム部材150が上方に抜け出してしまうのを、構造的な構成によって防止することができる。このようなベースプレート120の開口122の周面122a及び/又はアーム部材150の周面150aは、ベースプレート120及び/又はアーム部材150の成形型によって形作ってもよいし、後加工によって形作ってもよい。勿論、周面122a、150aは、必ずしもテーパ面でなくてもよいし、段付き面でなくてもよい。
【0031】
ベースプレート120に対するアーム部材150は、物流段階で分離しない程度に接合されてもよいし、図9に図示するように溶接Wにより強固に接合されてもよい。この溶接Wは、ベースプレート120の開口122の全周に亘って行ってもよいが、図9に例示のように部分的であってもよい。また、このベースプレート120にアーム部材150を合体させる工程は、工場出荷前であってもよいが、レール転倒防止プレート12を設置する現場で行ってもよい。
【0032】
工場出荷前にベースプレート120とアーム部材150とを一体化する工程を実施した場合に、物流段階で分離しない程度の接合方法として、ベースプレート120を熱間鍛造した直後の高温状態で整形するコイニング工程において、予め製造してあるアーム部材150を組み込つけてコイニング処理を行う方法を例示することができる。
【0033】
ベースプレート120にアーム部材150を組み込んだ後に、前述した板バネ14を受け入れる溝138を形成するための切削処理などの後処理が行われ、これにより前述したレール転倒防止プレート12が完成する。
【0034】
このようにレール転倒防止プレート12の製造において、ベースプレート120とアーム部材150とを別々に作ることにより、ベースプレート120とアーム部材150とを別の金属によって作ることもできるし、ベースプレート120とアーム部材150とを異なる方法で作ることもできる。例えば、ベースプレート120を熱間鍛造によって作り、アーム部材150を鋳造によって作ることもできる。勿論、ベースプレート120を鋳造によって作り、アーム部材150を熱間鍛造によって作ることもできる。また、ベースプレート120及び/又はアーム部材150を成形型を使わないで作ることもできる。このように、ベースプレート120とアーム部材150とを別々に作って、工場出荷前又は鉄道軌道に設置する現場でこれらを合体させる方法を採用することにより、逆L字状の第1アーム134を備えた成形型で成形し難いレール転倒防止プレート12を、複雑な成形型を使うことなく、また、特別な工法や切削のような手間の掛かる工法を採用することなく製造することができる。したがって、逆L字状の第1アーム134を備えたレール転倒防止プレート12の生産能率を向上できる。
【0035】
上述したレール反力受け座136は、ベースプレート120を横断する方向つまりレール溝126の長手方向に関して任意の部分に設けることができる。例えば、レール反力受け座136をレール溝126の長手方向一端と他端にだけ設けてもよい。また、レール反力受け座136は、レール溝126の長手方向一端から他端まで連続して延びていてもよいし、断続していてもよい。このレール反力受け座136は、これを別部品として作って、これをベースプレート120に溶接するようにしてもよい。
【0036】
図11は、第1アーム134の部分からレール反力受け座136を省き、第1アーム134の両側にレール反力受け座136を設けたレール転倒防止プレート32を示す。これを製造するには、レール反力受け座136を省いた図12に図示のアーム部材152を用意すればよい。
【0037】
同じ要領で、図13に図示のように、レール反力受け座136をレール溝126の長手方向に断続的に設けたレール転倒防止プレート42を製造することができる。
【0038】
図2、図3、図8を参照して前述した、レール反力受け座136を備えたアーム部材150に関し、図14、図15を比較すると分かるように、第1アーム134とレール反力受け座136との上下の離間距離Hを共通にしつつ、レール反力受け座136の高さh1(図14)、高さh2(図15)の異なるアーム部材150を用意するだけで、既に敷設してある鉄道レール6とコンクリート板2(図1)との間の上下方向の離間距離が異なる場合にも容易に対応することができる。
【0039】
すなわち、初期設定の段階で又は経年変化によって、既に敷設してある鉄道レール6とコンクリート板2との上下方向の離間距離が10mmと15mmというように異なっているのが実情である。このような鉄道レール6に対して後付けで、鉄道レール転倒防止装置10を設置する場合に、第1アーム134とレール反力受け座136との上下の離間距離Hを共通にしつつレール反力受け座136の高さhの異なるアーム部材150を用意するだけで、図4を参照して説明したレール反力受け座136によって受止されるレール6の倒れ角αの一定性を確保することができる。
【0040】
したがって、レール反力受け座136を備えたアーム部材150によれば、これからレール転倒防止装置10を設置施工する地域の鉄道レール6とコンクリート板2との間の上下離間距離を実測するなどによって把握し、もし、鉄道レール6とコンクリート板2との間の上下離間距離が何段階かに分類できるのであれば、これに対応した上記高さhの異なる複数の種類のアーム部材150を用意するだけで、施工する地域においてレール反力受け座136によって受止されるレール6の倒れ角αの一定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例の方法により製造したレール転倒防止プレートをスラブ軌道に適用した例を示す図である。
【図2】実施例の方法により製造したレール転倒防止プレート及びこれに固定される板バネの分解斜視図である。
【図3】図2に図示のレール転倒防止プレートの要部拡大図である。
【図4】図2に図示のレール転倒防止プレートを含むレール転倒防止装置の作用説明図である。
【図5】比較例のレール転倒防止プレートの斜視図である。
【図6】比較例のレール転倒防止プレートを含むレール転倒防止装置の作用説明図である。
【図7】図2に図示のレール転倒防止プレートの一つの要素としてのベースプレートの斜視図である。
【図8】図7のベースプレートに組み付けられるアーム部材の斜視図である。
【図9】図7のベースプレートと図8のアーム部材とを一体化した部分を断面した図である。
【図10】変形例として例示する、図7のベースプレートと図8のアーム部材とを一体化した部分を断面した図である。
【図11】第1アームの下のレール反力受け座を省いた変形例としてのレール転倒防止プレートの要部拡大図である。
【図12】図11のレール転倒防止プレートを製造するために用意されるアーム部材の斜視図である。
【図13】レール反力受け座をレール溝の長手方向に断続的に設けた変形例としてのレール転倒防止プレートの要部拡大図である。
【図14】レール反力受け座の高さの異なるアーム部材を用意する例として、レール反力受け座の高さがh1のアーム部材の斜視図である。
【図15】図14と同様に、レール反力受け座の高さの異なるアーム部材を用意する例として、レール反力受け座の高さがh2(h2>h1)のアーム部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
6 レール
6a レールの内側下端フランジ
6b レールの外側下端フランジ
10 鉄道レール転倒防止装置
12 レール転倒防止プレート
120 レール転倒防止プレートのベースプレート
122 アーム部材を受け入れる開口
122a 開口の周面
126 レール転倒防止プレートのレール溝
128 レール転倒防止プレートの第1隆起部
130 レール転倒防止プレートの第2隆起部
130a 長尺第2隆起部
130b 短尺第2隆起部
132 第2隆起部の切欠き部
134 レール転倒防止プレートの第1アーム
134a 第1アームの起立部
134b 第1アームの係止部
136 レール転倒防止プレートのレール反力受け座
14 板バネ
150 アーム部材
150a アーム部材の周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道のレールを支持する枕の間に設置されて左右の各レールの下に固設され且つ該レールの車幅方向内外に亘って延びるベースプレートを有するレール転倒防止プレートであって、
該ベースプレートが、レールの一方の下端フランジと係合する逆L字状の第1アームと、該レールの一方の下端フランジの外端部を受止するためのレール反力受け座とを備え、
前記レールに対して横方向に荷重が加わったときに、該第1アームが前記レールの一方の下端フランジと係合すると共に該レールの一方の下端フランジの外端部が前記レール反力受け座によって受け止められることにより前記レールの倒れ角度を規制して該レールが転倒するのを防止するためのレール転倒防止プレートの製造方法であって、
前記第1アームの部分に開口を備えた前記ベースプレートを作るベースプレート形成工程と、
前記第1アームを備え且つ該ベースプレートの開口に対応する大きさのアーム部材を作るアーム部材形成工程と、を有することを特徴とするレール転倒防止プレートの製造方法。
【請求項2】
前記ベースプレートに前記アーム部材を固定して一体化する一体化工程を更に有する、請求項1に記載のレール転倒防止プレートの製造方法。
【請求項3】
前記アーム部材が前記レール反力受け座を備えている、請求項1に記載のレール転倒防止プレートの製造方法。
【請求項4】
前記ベースプレートの開口及び前記アーム部材の周面がテーパ面、段付き面の少なくともいずれか一方の面で構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレール転倒防止プレートの製造方法。
【請求項5】
鉄道のレールを支持する枕の間に設置されるレール転倒防止装置であって、左右の各レールの一方の下端フランジと係合する逆L字状の第1アームを備えたレール転倒防止プレートと、該レール転倒防止プレートに固定され、前記レールの他方の下端フランジと係合する板バネとを有するレール転倒防止装置に含まれる前記レール転倒防止プレートが、
前記レールの下に位置して該レールの車幅方向内外に亘って延びるベースプレートと、
該ベースプレートに形成され且つ前記レールが位置するレール溝と、
前記ベースプレートの前記レール溝において前記レールの一方の下端フランジの車幅方向外端部の下方に位置するレール反力受け座とを備えてなるレール転倒防止プレートの製造方法であって、
前記第1アームの部分に開口を備えた前記ベースプレートを作るベースプレート形成工程と、
前記第1アームを備え且つ該ベースプレートの開口に対応する大きさのアーム部材を作るアーム部材形成工程と、を有することを特徴とするレール転倒防止プレートの製造方法。
【請求項6】
鉄道のレールを支持する枕の間に設置される鉄道レール転倒防止装置であって、左右の各レールの一方の下端フランジと係合する逆L字状の第1アームを備えたレール転倒防止プレートと、該レール転倒防止プレートに固定され、前記レールの他方の下端フランジと係合する板バネとを有するレール転倒防止装置に含まれる前記レール転倒防止プレートが、
前記レールの下に位置して該レールの車幅方向内外に亘って延びるベースプレートと、
該ベースプレートに設けられ、該ベースプレートを横断する前記レールを挟んで車幅方向一方側に位置して前記レールの長手方向に沿って延びる断面矩形の第1隆起部と、
該第1隆起部に設けられ且つ前記レールの一方の下端フランジと係合する前記第1アームと、
前記ベースプレートに設けられ、前記レールの一方の下端フランジの外端部を受止するレール反力受け座と、
前記ベースプレートに設けられ、前記レールを挟んで車幅方向他方側に位置して前記レールの長手方向に沿って延びる第2隆起部と、
該第2隆起部の一部を切り欠いた切欠き部とを備えてなるレール転倒防止プレートの製造方法であって、
前記第1アームの部分に開口を備えた前記ベースプレートを作るベースプレート形成工程と、
前記第1アームを備え且つ該ベースプレートの開口に対応する大きさのアーム部材を作るアーム部材形成工程と、を有することを特徴とするレール転倒防止プレートの製造方法。
【請求項7】
前記アーム部材が成形型を使って作られる、請求項5又は6に記載のレール転倒防止プレート。
【請求項8】
前記ベースプレートが成形型を使って作られる、請求項5〜7のいずれか一項に記載のレール転倒防止プレート。
【請求項9】
前記第1アームの係止部が前記レールの一方の下端フランジの基端部まで延びている、請求項5〜8のいずれか一項に記載のレール転倒防止プレートの製造方法。
【請求項10】
該切欠き部を規定する互いに対抗する壁面に、前記板バネの側縁部を受け入れる溝を切削する切削工程を更に含む、請求項8に記載のレール転倒防止プレートの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−155808(P2009−155808A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331797(P2007−331797)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(506070279)テクノメタル株式会社 (7)
【出願人】(000220147)東京ファブリック工業株式会社 (42)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)