説明

ロケーションフリー印刷システム

【課題】本発明は、無線対応型プリンタを含むロケーションフリー印刷システムにおいて、ユーザビリティを向上することを目的とする。
【解決手段】ユーザが携帯するスマートフォンなど高機能モバイル端末を認証トークンとして機能させるともに、未設定の無線対応型プリンタに対する接続設定用トークンとして機能させ、さらに、その表示画面を各ユーザ用にカスタマイズされた操作パネルとして機能させる。その結果、ユーザは、自身のモバイル端末を携帯さえしていれば、そのネットワークプリントシステムが未設定の無線プリンタを含む場合であっても、いつでも好きなときに、好きな場所から、所望のファイルを印刷出力することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロケーションフリー印刷システムに関し、より詳細には、無線対応型プリンタを含むロケーションフリー印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を身分証明書、定期券、電子マネーなどとして機能させることが行われている。この場合、携帯電話は、個人認証や課金処理などに必要な情報を保持するトークンデバイスとして機能する。これらの携帯電話は、NFC(Near Field Communication)やTJ(Transfer Jet)などの規格に準拠した数cmレベルの近接無線通信機能を搭載しており、携帯電話をリード/ライト装置にかざすだけで個人認証や支払を簡単に行うことができる。
【0003】
併せて、近年、アドホック通信モードが可能な携帯電話が急速に普及してきている。これらの携帯電話は、BluetoothやWirelessUSBなどの規格に準拠した近距離無線通信機能を搭載しており、数m〜数十mの範囲にある周辺機器と直接通信することができる。さらに、これらの携帯電話の中には、マルチタッチスクリーン方式を採用するなど、高度なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を搭載した機種も登場してきている。
【0004】
一方、近年、専用サーバに印刷したいファイルをアップデートしておき、いつでも、好きな場所(プリンタ機器)で当該ファイルを印刷出力させることができる、ロケーションフリー印刷というソリューションが提案されている。この点につき、特開2009−294889号公報(特許文献1)は、プリンタのメーカーや機種に依存しない自由度の高いロケーションフリー印刷システムを開示する。
【0005】
さらに、近年、アドホック通信モードが可能な無線対応型のプリンタ装置が登場し、これらの無線プリンタ装置を含んだプリントシステムが構築されることも増えてきている。しかしながら、ユーザ端末と無線プリンタ装置を無線接続するための設定は非常に煩雑であり、これらの無線プリンタ装置を含んだプリントシステムは、未設定端末のユーザにとってユーザビリティの高いものではなかった。この点につき、特開2009−75806号公報(特許文献2)は、無線通信に関する専門知識や煩雑な設定を必要とせずに、無線プリンタを、無線LAN又はホストPC等と容易に無線接続することができるプリンタおよびその制御方法を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、無線対応型プリンタを含むロケーションフリー印刷システムにおいて、ユーザビリティを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、無線対応型プリンタを含むロケーションフリー印刷システムにおいて、ユーザビリティの向上を実現しうる構成につき鋭意検討した結果、ユーザが携帯するスマートフォンなど高機能モバイル端末を認証トークンとして機能させるともに、未設定の無線対応型プリンタに対する接続設定用トークンとして機能させ、さらに、その表示画面を各ユーザ用にカスタマイズされた操作パネルとして機能させる構成に想到し、本発明に至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明によれば、インフラストラクチャーモードで相互にネットワーク接続される近距離無線対応型ネットワークプリントサーバおよび複数の近距離無線対応型印刷装置と、近距離無線対応型移動携帯端末とを含むロケーションフリー印刷システムであって、前記移動携帯端末は、少なくも、ユーザ認証情報と、前記ネットワークプリントサーバおよび前記印刷装置との間の近距離無線接続を設定するための無線接続設定情報を含む設定情報とを記憶する設定情報記憶部と、近接無線通信によって前記設定情報を送信する設定情報送信部と、を含み、前記ネットワークプリントサーバおよび前記印刷装置は、それぞれ、近接無線通信によって前記移動携帯端末から前記設定情報を取得する設定情報取得部と、前記ユーザ認証情報に基づいてユーザ認証局に認証を要求するユーザ認証部と、認証成功を条件に前記無線接続設定情報に基づいて前記移動携帯端末との間にアドホック無線通信を確立する無線通信確立部とを含み、前記ネットワークプリントサーバは、さらに、前記印刷装置を印刷先として選択するための装置選択用GUIを生成し、前記移動携帯端末との間で確立されたアドホック無線通信によって、該装置選択用GUIを該移動携帯端末にダウンロードする装置選択用GUI生成部を含み、前記印刷装置は、さらに、該印刷装置を操作するための操作パネル用GUIを生成し、前記移動携帯端末との間で確立されたアドホック無線通信によって、該操作パネル用GUIを該移動携帯端末にダウンロードする操作パネル用GUI生成部を含むロケーションフリー印刷システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態のロケーションフリー印刷システムのネットワーク図。
【図2】本実施形態のロケーションフリー印刷システムを構成する各装置の機能ブロック図。
【図3】本実施形態のロケーションフリー印刷システムにおいて実行される処理のシーケンス図。
【図4】本実施形態におけるモバイル端末の装置選択用GUI画面を示す図。
【図5】本実施形態におけるモバイル端末の操作パネル用GUI画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0011】
図1は、本発明の実施形態であるロケーションフリー印刷システム10のネットワーク図を示す。ロケーションフリー印刷システム10は、ロケーションフリー印刷サーバ200と、複数の印刷装置300とを含んで構成されており、これらは、いずれも、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)、ワイドエリア・ネットワーク(WAN)、またはインターネットといったネットワーク基盤として参照するネットワーク12に接続されており、相互にインフラストラクチャーモードで通信するように構成されている。
【0012】
ロケーションフリー印刷サーバ200は、ファイル共有機能ならびにルータ機能を有する無線対応型ネットワークプリントサーバであり、アドホックモードおよびインフラストラクチャーモードの両方に対応可能に構成されている。また、ロケーションフリー印刷サーバ200は、ダイレクト印刷を実現するために各印刷装置300が搭載するプリンタエンジンに対応したプリンタドライバを搭載している。ロケーションフリー印刷サーバ200は、ユーザから送信された印刷対象となるファイル(以下、印刷ファイルという)を印刷データに変換し印刷装置300に送信する。
【0013】
印刷装置300は、ネットワークプリンタとして機能してロケーションフリー印刷サーバ200から受信した印刷データを出力する。なお、印刷装置は、アドホックモードおよびインフラストラクチャーモードの両方に対応可能な無線対応型プリンタとして構成されている。以下の説明においては、印刷装置300をMFP300として参照する。
【0014】
なお、ロケーションフリー印刷システム10は、ネットワーク12を介して外部のユーザ認証局400に接続されており、ロケーションフリー印刷サーバ200およびMFP300は、必要な時に、ユーザ認証局400に対してユーザ認証を要求することができるようになっている。
【0015】
本実施形態のロケーションフリー印刷システム10は、さらに、当該システムを利用するユーザが管理・携帯する移動携帯端末100を含んで構成される。本実施形態における移動携帯端末100は、本質的には、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を備え、BluetoothやWirelessUSBなどの規格に準拠した近距離無線通信機能に加え、NFC(Near Field Communication)やTJ(Transfer Jet)などの規格に準拠した近接無線通信機能を搭載する近距離無線対応型情報処理装置として定義されるものであり、上記機能を備える限り、移動携帯端末100は、ノート型PCであってよく、PDA(携帯情報端末)であってもよいが、本システムの利便性についての理解を容易にするために、以下の説明においては、移動携帯端末100を、近年、急速に普及し始めたマルチタッチスクリーン方式を採用するスマートフォンとして参照されたい。なお、以下の説明においては、移動携帯端末100をモバイル端末100として称呼する。
【0016】
ここで、再度、ロケーションフリー印刷サーバ200およびMFP300について説明する。本実施形態におけるロケーションフリー印刷サーバ200およびMFP300は、いずれも、モバイル端末100と同じ規格に準拠した近距離無線通信機能を搭載する近距離無線対応型装置として構成されるものであり、モバイル端末100との間でアドホック無線通信を実行可能に構成されている。
【0017】
さらに、ロケーションフリー印刷サーバ200およびMFP300は、いずれも、モバイル端末100と同じ規格に準拠した近接無線通信機能を搭載しており、それぞれ、近接無線通信の規格(NFC/TJ等)に準拠したインターフェースであるリード/ライト装置201およびリード/ライト装置301を備える。本実施形態においては、各リード/ライト装置201,301とモバイル端末100が備えるリード/ライト装置101が近接することによって、相互にデータをやりとりすることできるように構成されている。以上、本実施形態のロケーションフリー印刷システム10を構成する各装置について概説してきたが、次に、ロケーションフリー印刷システム10を構成する各装置の機能について説明する。
【0018】
なお、各装置(ロケーションフリー印刷サーバ200およびMFP300)のCPUは、NB、PCI BUS、USBホストを介して、USBケーブルにて各リード/ライト装置201,301と接続されており、各リード/ライト装置201,301に対してコマンドを送信することにより制御を行って、モバイル端末100と通信を行う。このUSBの通信経路には、後述する各種設定情報へアクセスするための鍵情報などのデータが送受信される。本実施形態においては、USBバスがモニターされることによる情報の漏洩を防止するため、USB上のコマンド及びデータの送受信を暗号化する事が好ましい。暗号化を行う前に各リード/ライト装置201,301との間で認証を行い、その結果から得られた共通な鍵を生成し、これを利用して暗号/復号することでUSBバス上をセキュアにすることができる。
【0019】
図2は、本実施形態のロケーションフリー印刷システム10を構成する各装置の機能ブロック図を示す。
【0020】
モバイル端末100は、設定情報記憶部102と、設定情報送信部104と、ロケーションフリー印刷機能部106(以下、LF印刷機能部106として参照する)を含んで構成されている。LF印刷機能部106は、FTPクライアント部やGUI制御部等の既知の機能部から構成され、ユーザに本システムを利用するためのGUIを提供し、提供したGUIを介して印刷を指示されたファイルをロケーションフリー印刷サーバ200に転送し、あるいは、提供したGUIを介して入力された印刷出力命令をMFP300に送信するといった一連の処理を実行する。
【0021】
モバイル端末100の設定情報記憶部102には、設定情報として、少なくとも「無線接続設定情報」および「ユーザ認証情報」が格納されており、好ましくは、「装置利用権限情報」、「機能利用権限情報」、「使用履歴情報」などが格納されている。
【0022】
ここで、「無線接続設定情報」とは、無線接続のための設定パラメータをいい、近距離無線通信(Bluetooth/WirelessUSB)の場合、当該無線接続設定情報は、ESSID、チャネル番号、WEPキーなどの「ペアリング情報」である。以下の説明においては、「無線接続設定情報」を「ペアリング情報」として参照する。
【0023】
「ユーザ認証情報」は、ユーザIDとその他の適切な認証情報(パスワード、証明書)から構成される認証情報として構成することができる。また、「装置利用権限情報」は、ユーザが利用権限を持つMFP300の機器のIDによって構成し、「機能利用権限情報」は、各MFP300においてユーザが利用権限を持つ機能のIDによって構成することができる。さらに、「使用履歴情報」は、ユーザが使用した機能や印刷設定条件(用紙サイズ、省エネトナーセーブ設定等)の履歴を記録した情報として構成することができる。
【0024】
ロケーションフリー印刷サーバ200は、設定情報取得部202と、ユーザ認証部204、無線通信確立部206と、装置選択用GUI生成部208を含み、さらに、ロケーションフリー印刷機能部210(以下、LF印刷機能部210として参照する)を含んで構成されている。LF印刷機能部210は、プリンタドライバ部、FTPサーバ部、データベース部等の既知の機能部から構成され、ユーザから転送された印刷ファイルを受け付け、当該印刷ファイルをMFP300が搭載するプリンタエンジンが処理可能な印刷データに変換して転送するといった一連の処理を実行する。
【0025】
MFP300は、設定情報取得部302と、ユーザ認証部304と、無線通信確立部306と、操作パネル用GUI生成部308を含み、さらに、ロケーションフリー印刷機能部310(以下、LF印刷機能部310として参照する)を含んで構成されている。LF印刷機能部310は、図示しないプリンタエンジン部、FTPクライアント部等の既知の機能部から構成され、ユーザからの印刷指示に応答してロケーションフリー印刷サーバ200に対して印刷データ要求を送信するともに、ロケーションフリー印刷サーバ200から受信した印刷データを印刷出力するといった一連の処理を実行する。
【0026】
以上、各装置の機能について概説してきたが、次に、図3に基づいて本システムが実行する処理を説明しながら、各装置の機能について、より詳細に説明する。なお、以下の説明においては、適宜、図2を参照するものとする。
【0027】
図3は、本実施形態のロケーションフリー印刷システム10において実行される処理のシーケンス図を示す。以下の説明においては、ロケーションフリー印刷サーバ200(以下、LF印刷サーバ200として参照する)がオフィス内の適切な場所(たとえば、オフィス内の共有スペースなど)に設置されているものする。
【0028】
ユーザは、まず、自分のデスクからLF印刷サーバ200が設置されている場所に出向き、LF印刷サーバ200のリード/ライト装置(以下、R/Wとして参照する)に自身が携帯するモバイル端末100をかざす(近接させる)。すると、LF印刷サーバ200のR/W201とモバイル端末100に内蔵されたR/W101の間で近接無線通信(NFC/TJ)が確立し、モバイル端末100の設定情報記憶部102に記憶された各種設定情報のうち、「ペアリング情報」、「ユーザ認証情報」、「装置利用権限情報」が設定情報送信部104によってLF印刷サーバ200に送信される(ステップ101)。
【0029】
モバイル端末100から近接無線通信で送信された各種設定情報は、LF印刷サーバ200の設定情報取得部202によって解析される(ステップ102)。ユーザ認証部204は、設定情報取得部202が取得した「ユーザ認証情報」に基づいてユーザ認証局400に対してユーザ認証を要求する(ステップ103)。
【0030】
ユーザ認証局400は、設定情報取得部202から送信された「ユーザ認証情報」に基づいてユーザ認証を実行し、認証が成功した場合には、その旨を応答する(ステップ104)。
【0031】
LF印刷サーバ200の無線通信確立部206は、認証成功応答を受領すると、設定情報取得部202が取得した「ペアリング情報」に基づいて近距離無線通信(Bluetooth/WirelessUSB)をセットアップする(以下、この処理をペアリングという)。その結果、モバイル端末100とLF印刷サーバ200との間でアドホック通信の伝送路が確立される(ステップ105)。
【0032】
モバイル端末100との間でアドホック通信が確立すると、LF印刷サーバ200の装置選択用GUI生成部208は、設定情報取得部202が取得した「装置利用権限情報」に基づいて、当該ユーザが利用権限を持つMFPのみを選択可能に表示する装置選択用GUIを生成し(ステップ106)、これをモバイル端末100に対してアドホック通信でダウンロードする(ステップ107)。
【0033】
ここでは、ユーザがモバイル端末100のストレージに保管しておいた「企画書」を印刷する場合を例にとって、以下の説明を行う。ユーザは、モバイル端末100を操作して、ステップ107でダウンロードした装置選択用GUI画面を開く(ステップ108)。図4は、モバイル端末100が表示する装置選択用GUI画面500を例示する。
【0034】
図4に示すように、装置選択用GUI画面500の左側には、モバイル端末100のストレージに保持されるデータファイルのアイコンが表示され、右側には、当該ユーザが利用権限を持つMFP300を示す2つのアイコンとLF印刷サーバ200を示すアイコンが表示されている。さらにその上側には、「印刷するファイルを出力したいプリンタ又はLFサーバにドラッグ&ドロップして下さい」という案内が表示されている。
【0035】
「企画書」を「会議室」に設置されたMFP300で出力したいユーザは、表示された案内にしたがって、「企画書」ファイルのアイコンにタッチして「会議室」に設置されたMFP300を示すアイコンにドラッグ&ドロップする。これに応答して、モバイル端末100のLF印刷機能部106は、ストレージに格納された「企画書」ファイルを出力先(すなわち、「会議室」のMFP)の機器IDおよびユーザIDに紐づけて、アドホック通信でLF印刷サーバ200に送信する(ステップ109)。
【0036】
LF印刷サーバ200が「企画書」ファイルを受信すると、LF印刷機能部106が機器IDをキーとして出力先(「会議室」のMFP300)を特定し、当該「企画書」ファイルを当該出力先のMFP300に対応したプリントドライバによって印刷データに変換する。LF印刷機能部106は、変換した当該印刷データをユーザIDに紐づけて出力先(「会議室」のMFP300)に送信する(ステップ110)。「会議室」のMFP300は、LF印刷サーバ200から送信された「企画書」の印刷データをユーザIDに紐づけて管理する(ステップ111)。
【0037】
一方、「企画書」の出力先をフリーにしておきたいユーザは、表示された案内にしたがって、「企画書」ファイルのアイコンにタッチしてLF印刷サーバ200を示すアイコンにドラッグ&ドロップする。これに応答して、モバイル端末100のLF印刷機能部106は、ストレージに格納された「企画書」ファイルをアドホック通信でLF印刷サーバ200に送信する(ステップ109)。LF印刷サーバ200が「企画書」ファイルを受信すると、LF印刷機能部106は、当該「企画書」ファイルをユーザIDに紐づけて管理する(ステップ112)。
【0038】
「企画書」の出力先として「会議室」のMFP300を指定したユーザは、会議室に出向き、そこに設置されたMFP300のR/W301に自身が携帯するモバイル端末100をかざす。すると、LF印刷サーバ200のR/W201とモバイル端末100に内蔵されたR/W101の間で近接無線通信(NFC/TJ)が確立し、モバイル端末100の設定情報記憶部102に記憶された各種設定情報のうち、「ペアリング情報」、「ユーザ認証情報」、「機能利用権限情報」、「使用履歴情報」が設定情報送信部104によってMFP300に送信される(ステップ113)。
【0039】
モバイル端末100から近接無線通信で送信された各種設定情報は、MFP300の設定情報取得部302によって解析される(ステップ114)。ユーザ認証部304は、設定情報取得部302が取得した「ユーザ認証情報」に基づいてユーザ認証局400に対してユーザ認証を要求する(ステップ115)。
【0040】
ユーザ認証局400は、設定情報取得部302から送信された「ユーザ認証情報」に基づいてユーザ認証を実行し、認証が成功した場合には、その旨を応答する(ステップ116)。
【0041】
MFP300の無線通信確立部306は、認証成功応答を受領すると、設定情報取得部302が取得した「ペアリング情報」に基づいてペアリングを実行し、アドホック通信を確立する(ステップ117)。
【0042】
モバイル端末100との間でアドホック通信が確立すると、MFP300の操作パネル用GUI生成部308は、設定情報取得部302が取得した「機能利用権限情報」に基づいて、当該ユーザが利用権限を持つ機能のみを選択可能に表示する操作パネル用GUIを生成する。さらに、設定情報取得部302が取得した「使用履歴情報」に基づいて、当該ユーザが過去に使用した機能や印刷設定条件(用紙サイズ、省エネトナーセーブ設定等)の履歴を反映した操作パネル用GUI(使用頻度の多い機能や条件のアイコンを目立つように表示するなど)を生成する(ステップ118)。MFP300は、生成した操作パネル用GUIをモバイル端末100に対してアドホック通信でダウンロードする(ステップ119)。
【0043】
ここでは、まず、ユーザが「企画書」の出力先として「会議室」のMFP300を指定した場合について説明する。ユーザは、モバイル端末100を操作して、ステップ119でダウンロードした操作パネル用GUI画面を開く(ステップ120)。図5は、モバイル端末100が表示する操作パネル用GUI画面700を例示する。
【0044】
図5に示すように、操作パネル用GUI画面700には、「用紙選択」、「倍率」など、各種印刷条件を設定するための条件設定アイコンや「レイアウト」、「2in1」など、各種機能を設定するための機能設定アイコンが表示され、その他、「スタート」、「ストップ」などの操作アイコンが表示されている。ここで、操作パネル用GUI画面700は、先に説明したように、ユーザが利用権限を持つ機能のみを選択可能に表示する操作パネルとして構成されている。また、操作パネル用GUI画面700は、ユーザが各アイコンをタッチすると、過去に使用頻度の多い条件がプルダウンメニューのトップに表示されるなど、ユーザの使用履歴に基づいてカスタマイズされた操作パネルとして構成されている。
【0045】
ユーザが操作パネル用GUI画面700に表示された各種アイコンにタッチして所望の機能および印刷条件を入力し、テンキー600を操作して印刷枚数を入力した後、「スタート」アイコンにタッチすると、モバイル端末100のLF印刷機能部106は、MFP300に対して、ユーザIDを紐付けた印刷要求をアドホック通信で送信する(ステップ121)。なお、操作パネル用GUI画面700を介して入力された入力情報は、モバイル端末100のGUI制御部から、逐次、設定情報記憶部に送られ、当該入力情報に基づいて「使用履情情報」が更新される。MFP300は、モバイル端末100からの印刷要求に含まれるユーザIDをキーとしてデータベースを検索し、取得した印刷データ(「企画書」の印刷データ)を印刷出力する(ステップ122)。
【0046】
次に、ユーザが「企画書」の出力先をフリーにしておいた場合について説明する。ユーザは、同じくモバイル端末100を操作して、図5に示した操作パネル用GUI画面を開き、表示された各種アイコンおよびテンキー600を操作して後、「スタート」アイコンにタッチする。これに応答して、モバイル端末100のLF印刷機能部106は、MFP300に対して、ユーザIDを紐付けた印刷要求をアドホック通信で送信する(ステップ121)。MFP300は、モバイル端末100からの印刷要求に対し、さらに自身の機器IDを紐付け、これをLF印刷サーバ200に転送する(ステップ123)。
【0047】
LF印刷サーバ200は、受信した印刷要求に含まれるユーザIDをキーとしてデータベースを検索して該当する印刷ファイル(「企画書」ファイル)を取得した後、当該ファイルを受信した印刷要求に含まれる機器IDに対応するプリンタドライバを使用して印刷データに変換し、これをMFP300に送信する(ステップ124)。MFP300は、LF印刷サーバ200から受信した印刷データを印刷出力する(ステップ125)。
【0048】
以上、説明したように、本実施形態によれば、ユーザは、自身が携帯するモバイル端末(スマートフォンなど)を認証トークンとして機能させることができ、さらに、当該モバイル端末を使用して未設定の無線プリンタに対して簡単に接続設定することができる。さらに、その表示画面を自分用にカスタマイズされた操作パネルとして使用することもできる。その結果、ユーザは、自身のモバイル端末を携帯さえしていれば、そのネットワークプリントシステムが未設定の無線プリンタを含む場合であっても、いつでも好きなときに、好きな場所から、所望のファイルを印刷出力することが可能になる。
【0049】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえば、モバイル端末の通信方式として近距離無線通信機能(Bluetooth/WirelessUSB)に代えてWLANを採用することができる。この場合、モバイル端末は、「無線接続設定情報」として「ペアリング情報」の代りに「アソシエーション情報」を設定情報として記憶する。その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0050】
上述した実施形態の各機能は、アセンブリ言語、C、Visual C、C++、Visual C++、Java(登録商標)、Java(登録商標)Beans、Java(登録商標)Applet、Java(登録商標)Script、Perl、Rubyなど、レガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、装置可読な記録媒体に格納して頒布することができる。
【符号の説明】
【0051】
10…ロケーションフリー印刷システム
12…ネットワーク
100…移動携帯端末
101…リード/ライト装置
102…設定情報記憶部
104…設定情報送信部
106…ロケーションフリー印刷機能部
200…ロケーションフリー印刷サーバ
201…リード/ライト装置
202…設定情報取得部
204…ユーザ認証部
206…無線通信確立部
208…装置選択用GUI生成部
210…ロケーションフリー印刷機能部
300…印刷装置
301…リード/ライト装置
302…設定情報取得部
304…ユーザ認証部
306…無線通信確立部
308…操作パネル用GUI生成部
310…ロケーションフリー印刷機能部
400…ユーザ認証局
500…装置選択用GUI画面
600…テンキー
700…操作パネル用GUI画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2009−294889号公報
【特許文献2】特開2009−75806号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフラストラクチャーモードで相互にネットワーク接続される近距離無線対応型ネットワークプリントサーバおよび複数の近距離無線対応型印刷装置と、近距離無線対応型移動携帯端末とを含むロケーションフリー印刷システムであって、
前記移動携帯端末は、
少なくも、ユーザ認証情報と、前記ネットワークプリントサーバおよび前記印刷装置との間の近距離無線接続を設定するための無線接続設定情報を含む設定情報とを記憶する設定情報記憶部と、
近接無線通信によって前記設定情報を送信する設定情報送信部と、
を含み、
前記ネットワークプリントサーバおよび前記印刷装置は、それぞれ、
近接無線通信によって前記移動携帯端末から前記設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記ユーザ認証情報に基づいてユーザ認証局に認証を要求するユーザ認証部と、
認証成功を条件に前記無線接続設定情報に基づいて前記移動携帯端末との間にアドホック無線通信を確立する無線通信確立部と
を含み、
前記ネットワークプリントサーバは、さらに、
前記印刷装置を印刷先として選択するための装置選択用GUIを生成し、前記移動携帯端末との間で確立されたアドホック無線通信によって、該装置選択用GUIを該移動携帯端末にダウンロードする装置選択用GUI生成部を含み、
前記印刷装置は、さらに、
該印刷装置を操作するための操作パネル用GUIを生成し、前記移動携帯端末との間で確立されたアドホック無線通信によって、該操作パネル用GUIを該移動携帯端末にダウンロードする操作パネル用GUI生成部を含む、
ロケーションフリー印刷システム。
【請求項2】
前記設定情報は、さらに、装置利用権限情報を含み、
前記装置選択用GUI生成部は、前記装置利用権限情報に基づいて前記装置選択用GUIをカスタマイズする、
請求項1に記載のロケーションフリー印刷システム。
【請求項3】
前記設定情報は、さらに、機能利用権限情報を含み、
前記操作パネル用GUI生成部は、前記機能利用権限情報に基づいて前記操作パネル用GUIをカスタマイズする、
請求項1または2に記載のロケーションフリー印刷システム。
【請求項4】
前記設定情報は、さらに、前記印刷装置についてユーザが使用した機能あるいは印刷設定条件の履歴を記録した使用履歴情報を含み、
前記操作パネル用GUI生成部は、前記使用履歴情報に基づいて前記操作パネル用GUIをカスタマイズする、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のロケーションフリー印刷システム。
【請求項5】
前記移動携帯端末のGUI制御部は、前記操作パネル用GUIを介して入力された入力情報に基づいて前記使用履情情報を更新する、
請求項4に記載のロケーションフリー印刷システム。
【請求項6】
前記アドホック無線通信は、Bluetooth(登録商標)またはWireless USBの規格に準拠する、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のロケーションフリー印刷システム。
【請求項7】
前記近接無線通信は、NFC(Near Field Communication)またはTJ(Transfer Jet)の規格に準拠する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のロケーションフリー印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−64030(P2012−64030A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208403(P2010−208403)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】