説明

ロックプレート装置

【課題】高速道路などに設置される遮断機の遮断バーを遮断機本体の枠体からなる固定部に拘束して締め付け固定する場合などに最適なロックプレート装置を提供する。
【解決手段】この装置1は、枠体の開放部の両側縁部の外側に固定される第1、第2の支軸11、12と、第1の支軸に枢支され、回動端が第2の支軸に近接する位置まで延び、回動端側に受け部22を有するロックプレート2と、第2の支軸に枢支され、回動端が第1の支軸に向けて延び、回動端側に溝32を有する補強プレート3と、補強プレート3の正面に溝32に近接して固着され、受け部22に係合可能な締め付け錠4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高速道路の料金所に設置される遮断機の遮断バーを遮断機本体の枠体からなる固定部に拘束して締め込み固定する場合など、特に激しい衝撃や振動を受ける各種の被固定物を拘束保持するための枠体又は筐体に使用して、各種の被固定物を枠体又は筐体に締め込み固定するロックプレート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、高速道路の料金所にETCが採用され、料金所に遮断機が併せて設置されている。この遮断機は遮断バーが遮断機本体の固定部に拘束保持され、車両が料金所を通過するごとに回動されるようになっている。通常、この種の遮断バーは所定長さの円筒状のシャフトからなり、断面略コ字形の枠体からなる固定部に通されて、その枠体の開放部の両側縁部間に固定板が架け渡しされ、この固定板が枠体にボルト、ナットにより締め付け固定されて、遮断バーが枠体に固定板により押圧されて締め込み固定される。
ところで、このような枠体に固定板をボルト、ナットを用いて締め付け固定する場合、一般に、振動や衝撃によってボルトが緩むのを防止するため、ボルトやナットの座面と固定板との間にばね座金を介装し、常時ボルトやナットの座面と固定板との間に突張り力を生じさせて、ボルトの緩みを防止したり、また、ボルトに締め付け用のナットに重ねてさらに緩み止め用のナットを締め付けて、所謂ダブルナット同士の互いに締め付け合う作用によって、ボルトが緩まないようにしたりしている。この種の技術は特許文献1他多くの文献により広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−61645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既述の遮断機などは遮断バーが繰り返し回動され、遮断バーや遮断機本体が絶えず激しい衝撃や振動を受けるため、遮断機本体の枠体からなる固定部に固定板がボルト、ナットにより締め付け固定され、また併せて上記従来のボルトの緩みを防止するための手段が講じられていても、遮断バーや遮断機本体が激しい衝撃や振動を繰り返し受けているうちに、ボルト、ナットは徐々に緩んでしまい、長期に亘り安定した締め付け力を維持することができない、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、例えばこの種の遮断機の遮断バーを遮断機本体の枠体からなる固定部に拘束して締め付け固定する場合など、特に激しい衝撃や振動を受ける各種の被固定物を拘束保持するための枠体又は筐体に使用して、各種の被固定物を枠体又は筐体に押圧して締め込み固定し、各種の被固定物や枠体又は筐体に激しい衝撃や振動を頻繁に受けても、枠体内又は筐体内の被固定物に対して長期間に亘る安定した締め付け力を維持することのできるロックプレート装置を提供する、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のロックプレート装置は、一部が切り開かれて開放部を有する枠体又は筐体に前記開放部の両側縁部間に架け渡されて当該両側縁部に対し締め付け固定され、前記枠体内又は前記筐体内に拘束保持される被固定物を押圧して締め込み固定するロックプレート装置であって、前記開放部の両側縁部の外側にそれぞれ固定され、当該両側縁部と略平行に配置される第1、第2の支軸と、前記第1の支軸に一端が枢支され、他端が前記第2の支軸に近接する位置まで延び、前記開放部の両側縁部間に架け渡し可能なロックプレート、及び前記ロックプレートの前記開放部に対向する面とは反対側の面で、前記一端側に形成され、前記開放部の外側に向けて曲折される受け部と、前記第2の支軸に一端が枢支され、他端が前記第1の支軸に向けて延び、前記ロックプレートに重ねて前記開放部の両側縁部間に架け渡し可能な補強プレート、及び前記補強プレートの他端側に前記ロックプレートの受け部に対応して形成され、前記受け部を挿通可能な溝又は穴と、前記補強プレートの前記ロックプレートに対向する面とは反対側の面に、前記溝又は穴に近接して固着され、前記受け部に係合可能な係止アームを有する締め付け錠とを備え、前記ロックプレートを前記第1の支軸を回動中心として前記枠体又は前記筐体の開放部に向けて回動し、前記ロックプレートを前記枠体内又は前記筐体内に拘束保持される被固定物を押圧可能に、当該開放部の両側縁部間に架け渡すとともに、前記補強プレートを前記第2の支軸を回動中心として、前記補強プレートの前記第2の支軸側の端部で前記ロックプレートの他端を押え込みながら、前記枠体又は前記筐体の開放部に向けて回動し、前記補強プレートにより前記ロックプレートを前記枠体内又は前記筐体内の被固定物に対して押圧して、前記補強プレートを前記ロックプレートに重ね合わせ、前記補強プレート側の前記締め付け錠の係止アームを前記ロックプレート側の前記受け部に係合させて、前記締め付け錠により、前記補強プレートを前記ロックプレートに向けて締め付けることにより、前記ロックプレート及び前記補強プレートを共に前記開放部の両側縁部に締め付け固定し、前記ロックプレート及び前記補強プレートで前記枠体内又は前記筐体内の被固定物を押圧して締め込み固定する、ことを要旨とする。
この場合、第1の支軸及びロックプレートは前記第1の支軸に取付プレートが枢支されて、第1の蝶番ユニットとして構成され、前記取付プレートを介して、枠体又は筐体の開放部の一方の側縁部の外側に設けられる取付部に取り付け固定されることが好ましい。同様に、第2の支軸及び補強プレートは前記第2の支軸に取付プレートが枢支されて、第2の蝶番ユニットとして構成され、前記取付プレートを介して、前記枠体又は前記筐体の開放部の他方の側縁部の外側に設けられる取付部に取り付け固定されることが好ましい。
また、締め付け錠は、補強プレートに固着され、ロックプレートの受け部側の一方の端部に前記補強プレートの両側方向に向けて軸支される第1の軸を有し、ロックプレートの受け部側とは反対側の他方の端部に前記補強プレートの両側方向に向けて軸支される第2の軸を有するベースと、前記ベースに前記第2の軸を介して回動可能に取り付けられ、回動端にフックを有するフックレバー、及び前記フックレバーを前記ベースの他端方向に向けて回動付勢するばね部材と、一端が前記ベースに前記第1の軸を介して取り付けられて、前記ベース上に倒伏可能にかつ前記ベース上から引き上げ可能に配置され、一端と他端の中間に前記ベース側の第1、第2の軸と平行にかつ前記第1の軸よりも前記ベース側に寄せて軸支される第3の軸、及び他端側で前記フックレバーに対応する位置に前記フックが係合可能な係止受穴を有する操作レバーと、前記操作レバーに前記第3の軸を介して連結され、前記操作レバーの一端の先方に延び、前記ロックプレートの受け部に係止可能な係止アームと、前記操作レバーの一端と前記第3の軸との間に介装され、前記第3の軸を前記操作レバーの他端に向けて押圧付勢するばね部材とを備え、前記ロックプレートの受け部に対して前記係止アームを係合させ、前記操作レバーを前記ベースに倒伏させることにより、前記補強プレートと前記ロックプレートとを相互に締め付け固定する前記係止アームの掛け止め状態を保持し、前記フックレバーと前記操作レバーの前記係止受穴との係合により、前記操作レバーの倒伏状態を維持する形式の締め付け錠が採用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロックプレート装置によれば、上記の構成により、ロックプレートを第1の支軸を回動中心として枠体又は筐体の開放部に向けて回動し、このロックプレートを枠体内又は筐体内に拘束保持される被固定物を押圧可能に、当該開放部の両側縁部間に架け渡すとともに、補強プレートを第2の支軸を回動中心として、補強プレートの第2の支軸側の端部でロックプレートの他端を押え込みながら、枠体又は筐体の開放部に向けて回動し、この補強プレートによりロックプレートを枠体内又は筐体内の被固定物に対して押圧して、補強プレートをロックプレートに重ね合わせ、補強プレート側の締め付け錠の係止アームをロックプレート側の受け部に係合させて、締め付け錠により、補強プレートをロックプレートに向けて締め付けることにより、ロックプレート及び補強プレートを共に開放部の両側縁部に締め付け固定し、ロックプレート及び補強プレートで枠体内又は筐体内の被固定物を押圧して締め込み固定するので、枠体又は筐体に拘束保持される被固定物を一定の大きな締め付け力で締め込み固定することができ、また、締め付け錠と受け部との係合を解かない限り、ロックプレート、補強プレートはいずれも緩むことがなく、このロックプレート装置の被固定物に対する大きな締め付け力を長く維持することができる。したがって、このロックプレート装置を、例えば高速道路で使用される遮断機の遮断バーを遮断機本体の枠体からなる固定部に拘束して締め付け固定する場合など、特に激しい衝撃や振動を受ける各種の被固定物を拘束保持するための枠体又は筐体に使用して、枠体内又は筐体内の各種の被固定物を押圧して締め込み固定することにより、各種の被固定物や枠体又は筐体に激しい衝撃や振動を頻繁に受けても、このロックプレート装置の締め付け力を長期間に亘り安定して維持することができ、被固定物を枠体内又は筐体内に長く確実に押圧して締め込み固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態におけるロックプレート装置を示し、(a)はその平面断面図、(b)はその正面図、(c)はその側面断面図である。
【図2】同ロックプレート装置の特にロックプレートを示し、(a)はその平面断面図((b)におけるA−A線断面図)、(b)はその正面図、(c)はその側面断面図((b)におけるB−B線断面図)である。
【図3】同ロックプレート装置の特に取付プレートを示し、(a)はその平面断面図、(b)はその正面図である。
【図4】同ロックプレート装置の特に第1の支軸、ロックプレート及び取付プレートの組み立て状態を示し、(a)はその平面断面図、(b)はその一部省略正面図である。
【図5】同ロックプレート装置の特に補強プレートを示し、(a)はその平面断面図((b)におけるA−A線断面図)、(b)はその正面図、(c)はその側面断面図である。
【図6】同ロックプレート装置の特に第2の支軸、補強プレート及び取付プレートの組み立て状態を示し、(a)はその平面断面図(b)はその一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1にロックプレート装置を示している。図1に示すように、ロックプレート装置1は、一部が切り開かれて開放部を有する枠体又は筐体に当該開放部の両側縁部間に架け渡されてその両側縁部に対し締め付け固定され、枠体内又は筐体内に拘束保持される被固定物を押圧して締め込み固定する形式のもので、枠体又は筐体の開放部の両側縁部の外側にそれぞれ固定され、その両側縁部と略平行に配置される第1、第2の支軸11、12と、第1の支軸11に一端が枢支され、他端が第2の支軸12に近接する位置まで延び、当該開放部の両側縁部間に架け渡し可能なロックプレート2、及びロックプレート2の当該開放部に対向する面とは反対側の面で、一端側に形成され、当該開放部の外側に向けて略鉤形に曲折される受け部22と、第2の支軸12に一端が枢支され、他端が第1の支軸11に向けて延び、ロックプレート2に重ねて当該開放部の両側縁部間に架け渡し可能な補強プレート3、及び補強プレート3の他端側にロックプレート2の受け部22に対応して形成され、受け部22を挿通可能な溝32又は穴と、補強プレート3のロックプレート2に対向する面とは反対側の面に、溝32又は穴に近接して固着され、受け部22に係合可能な係止アーム41を有する締め付け錠4とを備えて構成される。
なお、この実施の形態では、ロックプレート装置1は高速道路の料金所にETCとともに設置される遮断機の本体駆動部に取り付けられる遮断バーの固定部に使用されるものとして例示される。そして、枠体6として、遮断バーの固定部が例示され、この場合、固定部は所定の長さを有する断面コ字形の枠体からなり、開放部60の両側縁部61、61の両側にそれぞれ、複数のビス穴62を有する一対の取付ブラケット63が枠体6の各側面に対して直角に固着される。また、被固定物7として遮断バーが例示され、この場合、遮断バーに所定の長さを有する円筒状のシャフトが採用される。
【0010】
このロックプレート装置1では、第1の支軸11及びロックプレート2は第1の支軸11に取付プレート5が枢支されて、第1の蝶番ユニット111として構成される。この場合、第1の支軸11は鋼材からなる所定の長さ、径を有する軸が採用される。ロックプレート2は鋼板からなり、図2に示すように、横方向に枠体6の片側一方に固着される取付ブラケット63の外側の側部から片側他方に固着される取付ブラケット63の外側の側部までの長さと略同じか少し短い寸法を有する横に長い略平面状のプレートで、当該平面の両側所定の位置(この場合、上下両側所定の位置)にそれぞれ、ロックプレート2の開放部60に対向する面(以下、背面という。)側から反対側の面(以下、正面という。)側に向けて断面円弧状に膨出するリブ21、21が両端間(この場合、左右両端間)に亘って形成され、また、このロックプレート2の正面(上下のリブ21、21間)で一端側に、この場合、このロックプレート2を枠体6及びその両側の取付ブラケット63、63にその取付位置に合わせて重ねた状態として、このプレートの平面の縦方向略中央で、かつ枠体6の片側一方(この場合、左側)の側縁部61に対応する位置に、締め込み錠4の受け部22が正面側への切り起しにより、片側一方(この場合、左側)の側縁部61の外側に向けて略鉤形に曲折されて形成される。なお、このロックプレート2の切り起しによる受け部22の切り抜き部分はプレートの中心付近まで略矩形状に切り欠かれて開口される。また、このロックプレート2の枠体6の片側一方(この場合、左側)の取付ブラケット63に対応する一端の中央に軸管のカラー23が形成される。取付プレート5は鋼板からなり、図3に示すように、枠体6に固着される取付ブラケット63と略同じか少し小さい略平面状のプレートで、当該平面に複数のビス穴50が形成され、また、この取付プレート5の一端の上部及び下部に軸管のカラー51、51が形成される。そして、これらロックプレート2と取付プレート5は、図4に示すように、ロックプレート2一端の中央のカラー23と取付プレート5一端の上下の各カラー51、51が同芯的に嵌め合わせられ、これらのカラー51、23、51間に第1の支軸11が通されその両端がかしめられて、この支軸11に回動可能に連結される。このようにして蝶番ユニット111は、図1に示すように、取付プレート5が枠体6の片側一方(この場合、左側)の取付ブラケット63の背面に合わせられ、これら取付ブラケット63及び取付プレート5の各ビス穴62、50間にビス64が取り付けられて締結される。
【0011】
同様に、第2の支軸12及び補強プレート3は第2の支軸12に取付プレート5が枢支されて、第2の蝶番ユニット121として構成される。この場合、第2の支軸12は第1の支軸と共通である。補強プレート3は鋼板からなり、図5に示すように、横方向に枠体6の片側他方に固着される取付ブラケット63の外側の側部から片側一方に固着される取付ブラケット63の外側の側部までの長さよりも少し短い寸法を有する横に長い略平面状のプレートで、当該平面の両側所定の位置(この場合、上下両側所定の位置)にそれぞれ、補強プレート3の開放部60に対向する面(以下、背面という。)側から反対側の面(以下、正面という。)側に向けて断面円弧状に膨出するリブ31、31が両端間(この場合、左右両端間)に亘って形成され、また、この補強プレート3の他端でロックプレート2の受け部22に対応する位置に受け部22を挿通可能な溝32が略矩形状に切り欠き形成され、この溝32に近接して補強プレート3の正面側に締め付け錠4を取り付けられるため、この溝32の底部の側方(この場合、右側)適宜の位置に複数のねじ穴33が形成される。また、この補強プレート3の枠体6の片側一方(この場合、右側)の取付ブラケット63に対応する一端の中央に軸管のカラー34が形成される。取付プレート5は第1の支軸11に連結される取付プレート5と共通である(図3参照)。そして、これら補強プレート3と取付プレート5は、図6に示すように、補強プレート3一端の中央のカラー34と取付プレート5一端の上下の各カラー51、51が同芯的に嵌め合わせられ、これらのカラー51、34、51間に第2の支軸12が通されその両端がかしめられて、この支軸12に回動可能に連結される。また、図1に示すように、この補強プレート3の正面に溝32に近接して係止アーム41を有する締め付け錠4が複数の取付用のねじ42により取り付けられる。このようにして蝶番ユニット121は、図1に示すように、取付プレート5が枠体6の片側他方(この場合、右側)の取付ブラケット63の背面に合わせられ、これら取付ブラケット63及び取付プレート5の各ビス穴62、50間にビス64が取り付けられて締結される。
【0012】
ここで、締め付け錠4は、補強プレート3に複数の取付用のねじ42で固着され、受け部22側の一方の端部に補強プレート3の両側方向(上下両側方向)に向けて軸支される第1の軸401を有し、受け部22側とは反対側の他方の端部に補強プレート3の両側方向(上下両側方向)に向けて軸支される第2の軸402を有するベース403と、ベース403に第2の軸402を介して回動可能に取り付けられ、回動端にフック404を有するフックレバー405、及び第2の軸402に巻き付けられて一端がフックレバー405に係止され、他端がベース403に係止されて、フックレバー405をベース403の他端方向に向けて回動付勢するトーションばね406と、一端がベース403に第1の軸401を介して取り付けられて、ベース403上に倒伏可能にかつベース403上から引き上げ可能に配置され、一端と他端の中間にベース403側の第1、第2の軸401、402と平行にかつ第1の軸401よりもベース403側に寄せて軸支される第3の軸407、及び他端側でフックレバー405に対応する位置にフック404が係合可能な係止受穴408を有する操作レバー409と、操作レバー409に第3の軸407を介して連結され、操作レバー409の一端の先方に延び、受け部22に係止可能な略U字形の係止アーム41と、操作レバー409の一端と第3の軸407との間に介装され、第3の軸407を操作レバー409の他端に向けて押圧付勢する圧縮コイルスプリング410とを備え、受け部22に対して係止アーム41を係合させた状態で、操作レバー409をベース403に倒伏させることにより、補強プレート3とロックプレート2とを相互に締め付け固定する掛け止め状態を保持し、フックレバー405と操作レバー409の係止受穴408との係合により、操作レバー409の倒伏状態を維持する形式の締め付け錠が採用される。
【0013】
このようにしてロックプレート装置1が枠体6に取り付けられ、このロックプレート装置1で枠体6内に拘束保持される被固定物7を締め込み固定する。なお、この場合、被固定物7の周面を断面六角形を2等分割した保持部材71、71により包囲保持して、被固定物7を枠体6内に拘束する。そして、枠体6の開放部60に断面コ字形の保持部材72を介装して、この上から、被固定物7をロックプレート装置1により締め込み固定する。
【0014】
このロックプレート装置1の使い方は次のとおりである。まず、ロックプレート2を第1の支軸11を回動中心として枠体6の開放部60に向けて回動し、このロックプレート2を枠体6内に拘束保持される被固定物7を押圧可能に、当該開放部6の両側縁部61、61間に架け渡す。続いて、補強プレート3を第2の支軸12を回動中心として、補強プレート3の第2の支軸12側の端部でロックプレート2の他端を押え込みながら、枠体6の開放部60に向けて回動し、この補強プレート3によりロックプレート2を枠体6内の被固定物7に対して押圧する。そして、補強プレート3をロックプレート2に重ね合わせ、補強プレート3側の締め付け錠4の係止アーム41をロックプレート2側の受け部32に係合させて、締め付け錠4により、補強プレート3をロックプレート2に向けて締め付けることにより、ロックプレート2及び補強プレート3を共に当該開放部60の両側縁部61、61に締め付け固定し、ロックプレート2及び補強プレート3の2重のプレートで枠体6内の被固定物7を押圧して締め込み固定する。
【0015】
このロックプレート装置1では、ロックプレート2を第1の支軸11を回動中心として枠体6の開放部60に向けて回動し、ロックプレート2で枠体6内に拘束保持される被固定物7を押圧可能に、当該開放部60の両側縁部61、61間に架け渡した後、補強プレート3を第2の支軸12を回動中心として当該開放部60に向けて回動し、補強プレート3の第2の支軸12側の端部でロックプレート2の他端を押え込み、ロックプレート2を開放部60に向けて押圧回動するので、補強プレート3のてこの原理により、補強プレート3を軽く当該開放部60に向けて軽く押す程度の操作でも、ロックプレート2の回動端に大きな加圧力を付与することができ、この回動端を枠体6の側縁部61に向けて押圧して、このロックプレート2の当該開放部60に対する面を枠体6の両側縁部61、61に一定の大きな力で圧接することができる。そして、この補強プレート3をロックプレート2に重ね合わせ、補強プレート3側の締め付け錠4の係止アーム41をロックプレート2側の受け部22に係合させ、操作レバー409を第1の軸401を回動中心にして押し下げ回転すると、係止アーム41は受け部22に係止されて、補強プレート3はロックプレート2を枠体6側に締め付けていき、第3の軸407が受け部22と第1の軸401を通る基準直線よりもベース403側に来たところで、補強プレート3はロックプレート2を枠体6の両側縁部61、61側に完全に締め付けて、係止アーム41は受け部22に緊結係止される。これにより、ロックプレート2及び補強プレート3は共に当該開放部60の両側縁部61、61に対して完全に締め付け固定され、これら2重のプレートで枠体6内の被固定物7を確実に押圧して締め込み固定することができる。また、ここで採用される締め付け錠4では、係止アーム41が受け部22に係止されると、操作レバー409はベース403に向かって倒伏され、第3の軸407が受け部22と第1の軸401を通る基準直線よりもベース403の側に来ると、操作レバー409は圧縮コイルスプリング410によって第1の軸401を回動中心として反時計回り方向に回動付勢されて、操作レバー409が倒伏状態に保持される。また、このとき、フックレバー405のフック404は操作レバー409の係止受穴408から表面側に挿通されて、フック404が係止受穴408の表側の縁部に係合し、このフック404と操作レバー409の係合がトーションばね406の回動付勢によって保持されるため、操作レバー409の倒伏状態が維持される。なお、この締め付け錠4の掛け止め状態を解除するには、フックレバー405のフック404に指を掛けて、フック404が係止受穴408の表側の縁部から離脱するようにトーションばね406の回動付勢に抗して第2の軸402を回動中心に退避回動するとともに、操作レバー409を圧縮コイルスプリング410の回動付勢に抗して第1の軸401を回動中心に引き上げる。このようにして第3の軸407が基準直線を越えたところで、操作レバー409の圧縮コイルスプリング410による回動付勢の方向が反転し、この操作レバー409をベース403に対して一定角度以上に引き上げると、係止アーム41が受け部22から離れる方向に傾動し、受け部22から離脱される。これにより、ロックプレート2及び補強プレート3は共に被固定物9からの押圧力により押し開かれ、各プレート2、3による被固定物7の締め込み固定が解除される。
【0016】
以上説明したように、このロックプレート装置1では、ロックプレート2を第1の支軸11を回動中心として枠体6の開放部60に向けて回動し、ロックプレート2で枠体6内に拘束保持される被固定物7を押圧可能に、当該開放部60の両側縁部61、61間に架け渡すとともに、補強プレート3を第2の支軸12を回動中心として、補強プレート3の第2の支軸12側の端部でロックプレート2の他端を押え込みながら、当該開放部60に向けて回動し、この補強プレート3によりロックプレート2を枠体6内の被固定物7に対して押圧して、補強プレート3をロックプレート2に重ね合わせ、そして、補強プレート3側の締め付け錠4の係止アーム41をロックプレート2側の受け部22に係合させて、締め付け錠4により、補強プレート3とロックプレート2とを相互に締め付けることにより、ロックプレート2及び補強プレート3を共に当該開放部60の両側縁部61、61に締め付け固定し、ロックプレート2及び補強プレート3で枠体6内の被固定物7を押圧して締め込み固定するので、枠体6に拘束保持される被固定物7を一定の大きな締め付け力で締め込み固定することができ、また、締め付け錠4と受け部22との係合を解かない限り、ロックプレート2、補強プレート3はいずれも緩むことがなく、被固定物7に対する大きな締め付け力を長く維持することができる。したがって、このロックプレート装置1を、例えば高速道路に設置される遮断機の遮断バーを遮断機本体の枠体からなる固定部に拘束して締め付け固定する場合など、特に激しい衝撃や振動を受ける各種の被固定物を拘束保持するための枠体に使用して、この枠体内の各種の被固定物を押圧して締め込み固定することにより、各種の被固定物や枠体に激しい衝撃や振動を頻繁に受けても、このロックプレート装置1の締め付け力を長期間に亘り安定して維持することができ、被固定物を枠体内に長く確実に拘束保持することができる。
【0017】
なお、この実施の形態では、被固定物を一部に開放部を有する枠体に拘束保持し、この被固定物をロックプレート装置で押圧して締め込み固定する場合について説明したが、被固定物を一部に開放部を有する筐体に拘束保持する場合にも、このロックプレート装置を同様に適用することができ、同様の作用効果を奏することができる。また、この実施の形態では、補強プレートの他端にロックプレートの受け部を通すための溝を形成したが、ロックプレートにおける受け部の形成位置や補強プレートの大きさなどによって、溝に代えて穴を形成してもよい。さらに、この実施の形態では、2重のプレートで被固定物を押圧し締め込み固定したが、3重以上の多重のプレートで被固定物を押圧し締め込み固定するようにしてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0018】
1 ロックプレート装置
11 第1の支軸
111 第1の蝶番ユニット
12 第2の支軸
121 第2の蝶番ユニット
2 ロックプレート
21 リブ
22 受け部
23 カラー
3 補強プレート
31 リブ
32 溝
33 ねじ穴
34 カラー
4 締め付け錠
41 係止アーム
42 取付用のねじ
401 第1の軸
402 第2の軸
403 ベース
404 フック
405 フックレバー
406 トーションばね
407 第3の軸
408 係止受穴
409 操作レバー
410 圧縮コイルスプリング
5 取付プレート
50 ビス穴
51 カラー
6 枠体
60 開放部
61 側縁部
62 ビス穴
63 取付ブラケット
64 ビス
7 被固定物
71 保持部材
72 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が切り開かれて開放部を有する枠体又は筐体に前記開放部の両側縁部間に架け渡されて当該両側縁部に対し締め付け固定され、前記枠体内又は前記筐体内に拘束保持される被固定物を押圧して締め込み固定するロックプレート装置であって、
前記開放部の両側縁部の外側にそれぞれ固定され、当該両側縁部と略平行に配置される第1、第2の支軸と、
前記第1の支軸に一端が枢支され、他端が前記第2の支軸に近接する位置まで延び、前記開放部の両側縁部間に架け渡し可能なロックプレート、及び前記ロックプレートの前記開放部に対向する面とは反対側の面で、前記一端側に形成され、前記開放部の外側に向けて曲折される受け部と、
前記第2の支軸に一端が枢支され、他端が前記第1の支軸に向けて延び、前記ロックプレートに重ねて前記開放部の両側縁部間に架け渡し可能な補強プレート、及び前記補強プレートの他端側に前記ロックプレートの受け部に対応して形成され、前記受け部を挿通可能な溝又は穴と、
前記補強プレートの前記ロックプレートに対向する面とは反対側の面に、前記溝又は穴に近接して固着され、前記受け部に係合可能な係止アームを有する締め付け錠と、
を備え、
前記ロックプレートを前記第1の支軸を回動中心として前記枠体又は前記筐体の開放部に向けて回動し、前記ロックプレートを前記枠体内又は前記筐体内に拘束保持される被固定物を押圧可能に、当該開放部の両側縁部間に架け渡すとともに、前記補強プレートを前記第2の支軸を回動中心として、前記補強プレートの前記第2の支軸側の端部で前記ロックプレートの他端を押え込みながら、前記枠体又は前記筐体の開放部に向けて回動し、前記補強プレートにより前記ロックプレートを前記枠体内又は前記筐体内の被固定物に対して押圧して、前記補強プレートを前記ロックプレートに重ね合わせ、
前記補強プレート側の前記締め付け錠の係止アームを前記ロックプレート側の前記受け部に係合させて、前記締め付け錠により、前記補強プレートを前記ロックプレートに向けて締め付けることにより、前記ロックプレート及び前記補強プレートを共に前記開放部の両側縁部に締め付け固定し、前記ロックプレート及び前記補強プレートで前記枠体内又は前記筐体内の被固定物を押圧して締め込み固定する、
ことを特徴とするロックプレート装置。
【請求項2】
第1の支軸及びロックプレートは前記第1の支軸に取付プレートが枢支されて、第1の蝶番ユニットとして構成され、前記取付プレートを介して、枠体又は筐体の開放部の一方の側縁部の外側に設けられる取付部に取り付け固定される請求項1に記載のロックプレート装置。
【請求項3】
第2の支軸及び補強プレートは前記第2の支軸に取付プレートが枢支されて、第2の蝶番ユニットとして構成され、前記取付プレートを介して、前記枠体又は前記筐体の開放部の他方の側縁部の外側に設けられる取付部に取り付け固定される請求項1又は2に記載のロックプレート装置。
【請求項4】
締め付け錠は、補強プレートに固着され、ロックプレートの受け部側の一方の端部に前記補強プレートの両側方向に向けて軸支される第1の軸を有し、ロックプレートの受け部側とは反対側の他方の端部に前記補強プレートの両側方向に向けて軸支される第2の軸を有するベースと、前記ベースに前記第2の軸を介して回動可能に取り付けられ、回動端にフックを有するフックレバー、及び前記フックレバーを前記ベースの他端方向に向けて回動付勢するばね部材と、一端が前記ベースに前記第1の軸を介して取り付けられて、前記ベース上に倒伏可能にかつ前記ベース上から引き上げ可能に配置され、一端と他端の中間に前記ベース側の第1、第2の軸と平行にかつ前記第1の軸よりも前記ベース側に寄せて軸支される第3の軸、及び他端側で前記フックレバーに対応する位置に前記フックが係合可能な係止受穴を有する操作レバーと、前記操作レバーに前記第3の軸を介して連結され、前記操作レバーの一端の先方に延び、前記ロックプレートの受け部に係止可能な係止アームと、前記操作レバーの一端と前記第3の軸との間に介装され、前記第3の軸を前記操作レバーの他端に向けて押圧付勢するばね部材とを備え、前記ロックプレートの受け部に対して前記係止アームを係合させ、前記操作レバーを前記ベースに倒伏させることにより、前記補強プレートと前記ロックプレートとを相互に締め付け固定する前記係止アームの掛け止め状態を保持し、前記フックレバーと前記操作レバーの前記係止受穴との係合により、前記操作レバーの倒伏状態を維持する形式の締め付け錠が採用される請求項1乃至3のいずれかに記載のロックプレート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−57426(P2012−57426A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203944(P2010−203944)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)
【Fターム(参考)】