ロック機構を備えた流体接続アッセンブリ
この開示は、概して言えば、ロック機構を有し、医療用流体注入装置に接続されることができる、流体接続アッセンブリの実装および使用のための技法に関する。例示的な流体接続アッセンブリは、少なくとも1つの流体コネクタと、前記少なくとも1つの流体コネクタに結合され、この流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するように構成された嵌合機構と、この嵌合機構に結合され、ロック位置またはアンロック位置に可動なロック機構と、を備えている。この例では、流体接続アッセンブリは、ロック機構がロック位置にあるときには、医療用流体注入装置に対し確実に結合され、また、ロック機構がアンロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリは、医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除されるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して言えば、医療用流体注入装置に対する部品の接続に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用流体注入装置は、典型的には、患者に医療用流体を注入するのに用いられる。多くの場合、かかる装置には、医療用流体を保持するための1つ若しくはそれ以上の貯留容器と、医療用流体を患者に注入するための1つ若しくはそれ以上の加圧ユニットと、が備えられる。例えば、動力付き造影剤注入装置には、造影剤を収容した貯留容器と、造影剤を患者内に注入するのに用いられる注射器(シリンジ:syringe)と、が備えられるかも知れない。造影剤注入装置は、例えば血管造影検査やコンピュータ断層撮影(CT)処置などの、或る種の医療処置中に使用され得るものである。
【0003】
多くの医療用流体注入装置には、流体を注入するために、1つ若しくはそれ以上の注射器が備えられている。注射器は、流体を保持するための室(チャンバ:chamber)と、チャンバ内で移動可能なプランジャ(plunger)と、を有している。流体は、プランジャが第1の方向に移動するときに、典型的には、流体貯留容器からチャンバ内へ引き込まれる。その後、流体は、プランジャが第2の反対方向に移動するときに、チャンバから放出され、患者内に注入される。流体は、プランジャの移動速度によって決定され得る一定の速度で送給される。
【0004】
多くの場合、流体は、注入装置に接続された患者ライン(patient line)つまり配管チューブキット(tubing kit)を介して、医療用流体注入装置から患者へ注入することができる。或る場合には、患者ラインは、使い捨ての部品で構成されているかも知れない。例えば、臨床医は、注入処置の初めに、滅菌処理された患者ラインを注入装置に接続するかも知れない。注入処置が完了すると、臨床医は、注入装置から患者ラインを接続解除し、その後、患者ラインを廃棄する。それから、臨床医は、後続する注入処置のために、新しい患者ラインつまり配管チューブキットを用いることができる。
【発明の概要】
【0005】
概して言えば、この開示は、拘留機構(ロック機構:locking mechanism)を備え、医療用流体注入装置に接続されることができる、流体接続組立体(アッセンブリ:assembly)の実装および使用のための技法に関する。前記流体接続アッセンブリは、滅菌処理されていない注入装置に接続され得る、滅菌された使い捨ての部品で構成されているかも知れない。幾つかの場合には、臨床医は、患者ラインの一部である流体接続アッセンブリを注入装置に接続するのに、片手だけを使う手動式の挿入手順を用いるかも知れない。これらの場合に、臨床医は、この接続を行う間、滅菌性を維持することができる。
【0006】
或る実施形態では、例示的な流体接続アッセンブリは、少なくとも1つの流体接続具(コネクタ:connector)と、前記少なくとも1つの流体コネクタに結合され、この流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するように構成された嵌合機構と、この嵌合機構に結合され、ロック位置またはアンロック位置に可動なロック機構と、を備えている。
ロック機構がロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリは、医療用流体注入装置に対し確実に結合されるようになる。また、ロック機構がアンロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリは、医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除されるようになる。
【0007】
或る実施形態では、例示的な方法は、流体接続アッセンブリの少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するステップと、流体接続アッセンブリのロック機構をロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に対し確実に結合するステップと、流体接続アッセンブリのロック機構をアンロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除するステップと、を備えている。
【0008】
或る実施形態では、例示的な流体接続アッセンブリは、当該流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に接続する接続手段と、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に確実に結合するロック手段と、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除するアンロック手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】流体接続アッセンブリに接続することができる動力付きの医療用流体注入装置の一実施形態の概略斜視図である。
【図1B】流体貯留容器および配管チューブを含む様々の部品に接続された、図1Aの動力付きの医療用流体注入装置の一実施形態の概略斜視図である。
【図2A】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2B】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2C】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2D】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2E】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図3】本発明の一実施形態に係る動力付き医療用流体注入装置と共に用いることができる例示的な注射器の概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る動力付き医療用流体注入装置と共に用いることができる患者ライン(patient line)の概略斜視図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図5B】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図5C】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図5D】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図6】ロック機構が異なる位置に動かされている、図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリの或る構成要素の概略斜視図である。
【図7A】図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリに包含されるロック機構の概略斜視図の一つである。
【図7B】図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリに包含されるロック機構の概略斜視図の一つである。
【図7C】図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリに包含されるロック機構の概略斜視図の一つである。
【図8】図5A〜5Dに示された流体接続アッセンブリを動力付き医療用流体注入装置に接続するのに実行され得る、本発明の一実施形態に係る方法の流れ(フロー:flow)図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、流体接続アッセンブリに接続され得る動力付きの医療用流体注入装置100の一実施形態の概略斜視図である。図1Aの実施形態では、スリーブ108内の加圧ユニットは注射器である。別の実施形態では、他の形式の容積型ポンプを含む、別の形態の加圧ユニットが用いられるかも知れない。幾つかの実施形態では、装置100は、例えば血管造影検査やコンピュータ断層撮影(CT)処置などの医療処置中に、例えば造影剤や生理食塩水などの医療用流体を、患者内に注入するのに用いられる。
【0011】
装置100には、制御パネル102,注入器ヘッド104,加圧ユニットを保持するためのスリーブ108,貯留容器の保持具(ホルダ:holder)110,モジュール(module)112,患者用マニホールドセンサ(manifold sensor)114及び空気(エアー:air)検出器116が、備えられている。
注入器ヘッド104には、ポンプ106があり、また、装置100の、注入器ヘッド104,制御パネル102,スリーブ108内の加圧ユニット,患者用マニホールドセンサ114及びエアー検出器116を、制御および/または監視(モニタ:monitor)するために、1つ若しくはそれ以上の処理装置(プロセッサ:processor)も備えられている。
貯留容器ホルダ110は、装置100の作動中に注射器内に引き込まれるべき量の流体を収容する流体貯留容器を保持することができる。例えば、貯留容器ホルダ110は、造影剤あるいは希釈剤の貯留容器を保持するかも知れない。第2の貯留容器ホルダ(不図示)が、ポンプ106での使用のための希釈剤(例えば生理食塩水)の貯留容器を保持するかも知れない。
図3は、一実施形態に従った、スリーブ108内で使用することができる注射器の例を示している。患者用マニホールドセンサ114は、幾つかの場合では、図1Bを参照して説明されるように、患者用マニホールドに接続することができる。
【0012】
例えば臨床医などの装置100の操作者(オペレータ)は、制御パネル102を用いて、所定の注入処置に用いるために、様々なパラメータ(parameter)及び/又はプロトコル(protocol)を設定(セットアップ:set up)することができる。例えば、オペレータは、流量,最大注入量,最高注入圧力,立ち上がり時間のためのパラメータ、或いは他のパラメータを入力するために、制御パネル102とやり取りすることができる。或る実施形態では、制御パネル102には、タッチスクリーン(touch-screen)のパネルが備えられている。
【0013】
ポンプ106は、流体を汲み上げることができる。或る実施形態では、ポンプ106は蠕動ポンプである。この実施形態では、配管チューブおよび流体貯留容器(不図示)は、ポンプ106に、また、ポンプ106を介して、接続されている。ポンプ106は、配管チューブを通じて、流体貯留容器からモジュール112に向かって流体を汲み上げる。図1Aの例では、ポンプ106もスリーブ108内に収容された注射器も、装置100からカテーテル内へ流体を供給することができる。ポンプ106は、ポンプ106の一部であるモータによって駆動され、注射器内のプランジャは、注入器ヘッド104の一部である、アクチュエータを含むモータ・アッセンブリによって駆動される。
【0014】
或る実施形態では、貯留容器ホルダ110は、流入流体配管チューブに接続された流体貯留容器を保持している。前記流入流体配管チューブは注射器に接続されており、注射器内のプランジャがモータによって第1の方向に移動させられると、流体が貯留容器から注射器内へ引き込まれる。スリーブ108内の注射器は、更に、流出配管チューブに接続されている。注射器内のプランジャが逆向きの第2の方向に移動させられると、流体は注射器から流出配管チューブ内へ放出される。
或る実施形態では、注射器はデュアルポート(dual-port)注射器であり、流入配管チューブが注射器の一つの開口部(ポート:port)に接続され、流出配管チューブは注射器の今一つのポートに接続されている。図3は、かかるデュアルポート型の注射器の一例を示しており、以下により詳しく説明されよう。
【0015】
患者用マニホールドセンサ114は、或る実施形態に従えば、マニホールドバルブ(不図示)に接続される。このマニホールドバルブ(manifold valve)は、スリーブ108内の注射器あるいはポンプ106に接続された配管チューブからの流体の流れを制御するものである。或る実施形態では、マニホールドバルブは、注射器からの流出配管チューブに接続されると共に、ポンプ106を通って延びる配管チューブにも接続されている。
マニホールドバルブとエアー検出器116との間にも、配管チューブが接続されている。エアー検出器116を通った後、配管チューブは、患者ラインつまりカテーテル(不図示)に接続されており、流体は、装置100から最終的に患者に供給されることができる。
【0016】
患者用マニホールドセンサ114によって保持されたマニホールドバルブは、注射器およびポンプ106から外部のカテーテルへの流体の流れを制御することができる。或る実施形態では、マニホールドバルブには、注射器からカテーテルへ供給されるべき流体のみを許容する第1の位置がある。また、マニホールドバルブには、ポンプ106からカテーテルへ供給されるべき流体のみを許容する第2の位置がある。
或る実施形態では、マニホールドバルブは、バネ付勢されたスプール弁(spool valve)で成っているかも知れないが、別の実施形態では、逆止弁(チェックバルブ:check valve)を含む他のタイプのバルブが使用されてもよい。患者用マニホールドセンサ114は、安全目的のために、マニホールドバルブの位置を検出し、この位置を注入器ヘッド104に報知することができる。
【0017】
また、装置100には、エアー検出器116がある。装置100から外部のカテーテルへ延びる管は、管内の気泡や気柱を検出することができるエアー検出器116を通る。エアー検出器116は、測定可能な、或いは、そうでなければかなりの量のエアーを、配管チューブ内に検出した場合には、注入器ヘッド104に対して警報信号を生成することが可能である。このような場合、警告または警報のメッセージ(message)は、エアーが検出されたことを示す制御パネル102上で、オペレータに対して表示されることができる。更に、或る実施形態では、エアー検出器116が配管チューブ内にエアーを検出した場合には、エアーがカテーテルに供給されることがないように、装置100は、流体注入工程を中断または終了する。
【0018】
装置100は数多くの注入処置および患者の処置に対して用いられるかも知れないので、注入流体はひっきりなしに取り換えられる必要があるかも知れない。例えば、ホルダ110によって保持されている貯留容器が空になると、オペレータによって手動で新しい(満杯の)貯留容器に交換される必要があるかも知れない。更に、スリーブ108内の注射器は、患者の処置のための注入を実行するのに十分な流体が注射器内にあるようにするために、時々注入流体を供給される必要があるかも知れない。
【0019】
図1Bは、流体貯留容器および配管チューブを含む様々の部品に接続された、図1Aの動力付きの医療用流体注入装置100の一実施形態の概略斜視図である。例えば、図1Bは、第1流体貯留容器132及び第2流体貯留容器138を示している。第1流体貯留容器132は、例えば造影剤のような第1の流体を収容している。オペレータは、第1流体貯留容器132を貯留容器ホルダ110に吊り下げることができる。幾つかの場合には、第1流体貯留容器132は、ガラス製の貯留容器であるかも知れず、一方、別の場合には、プラスチック(plastic)製の貯留容器であってもよい。
第1流体貯留容器132内に収容されている流体は、作動中に、配管チューブを通じて、スリーブ108内に挿入されている加圧ユニット130(例えば注射器)内へ引き出されることができる。自動的な補給動作中、装置100は、第1流体貯留容器132から、或る量の流体を加圧ユニット130内へ自動的に供給することができる。
【0020】
第2流体貯留容器138は、例えば生理食塩水のような第2の流体を収容している。オペレータは、第2流体貯留容器138を留め金(フック:hook)137に吊り下げることができる。幾つかの場合には、第2流体貯留容器138は、例えば袋体(バッグ:bag)のようなプラスチック製の貯留容器であるかも知れない。第2流体貯留容器138内に収容されている流体は、ポンプ106を介して、配管チューブ128を通じて引き出されることができる。
【0021】
図1Bは、手動制御装置136が、接続具(コネクタ:connector)134を介して制御パネル102に結合されていることも示している。或る実施形態では、手動制御装置136は、制御パネル102以外にも、装置100の別の構成部品にも接続されているかも知れない。図1Bに示されるように、手動制御装置136は、当該手動制御装置136をコネクタ134に接続する、配管チューブ,配線ケーブル或いは配線ワイヤに結合されている。コネクタ134は、制御パネル102に接続することができるし、または制御パネル102から接続解除することもできる。
オペレータは、手動制御装置136を操作して、装置100からの流体の注入を制御することができる。例えば、オペレータは、装置100からの流体の流れ(例えば、加圧ユニット130からの流体の流れ)の流量を可変制御する可変流量制御装置として、手動制御装置136を用いることができる。或る実施形態では、手動制御装置136は電気機器を備えているかも知れない。また、或る実施形態では、手動制御装置136は、空圧機器を備えているかも知れない。
【0022】
配管チューブ128は、圧力変換器(pressure transducer)126に結合されている。圧力変換器126は、また、コネクタ120を介して患者ラインに接続することができる高圧配管チューブ122にも、出力するために結合されている。高圧配管チューブ122が(患者内の)患者ラインに接続されている場合には、圧力変換器126は、患者のための血行動態モニタとして機能することができる。圧力変換器126は、検出された圧力を、装置100若しくは別の監視(モニタ:monitor)装置によってモニタされるか或いはそうでなければ用いられる、電気信号に変換する。また、高圧配管チューブ122は、エアー検出器116を通って延びている。エアー検出器116は、高圧配管チューブ122を通って流れることができる流体内のエアー(例えば、気泡または気柱)の存在を検出することができる。
【0023】
また、図1Bは、マニホールドバルブ124も示している。このマニホールドバルブ124は、高圧配管チューブ122にも患者用マニホールドセンサ114にも接続されている。マニホールドバルブ124は、加圧ユニット130から高圧配管チューブ122への流体の流れ、及び/又はポンプ106を通っての高圧配管チューブ122への流体の流れを、制御することができる。
例えば、或る実施形態では、マニホールドバルブ124が第1の位置にある場合には、加圧ユニット130から高圧配管チューブ122へ流体が流れる。しかしながら、マニホールドバルブ124が第2の位置にある場合には、流体は、ポンプ106を通り、配管チューブ128を介して、高圧配管チューブ122へ流れる。或る実施形態では、マニホールドバルブ124は、加圧ユニット130か或いはポンプ106の一方のみから、高圧配管チューブ122への流体の流れを一度に許容する。
【0024】
図2Aは、様々の機能を果たすのに用いることができ、また、動作可能な場合には、流体接続アッセンブリに接続されることができる、動力付きの注入装置200の別の実施形態の概略斜視図である。図2Aにおいては、装置200には、第1の主貯留容器ホルダ202A,第2の主貯留容器ホルダ202B,電気的接続インタフェース部206,第1の補助的貯留容器ホルダ208A,第2の補助的貯留容器ホルダ208B,制御パネル212,第1の注射器ロッド214A,第2の注射器ロッド214B,第1の注射器スリーブ216A,第2の注射器スリーブ216B,第1の前端部アッセンブリ218A,第2の前端部アッセンブリ218B、及び患者用接続案内ロッド220が、備えられている。
図2Aの実施形態では、医療用流体を供給するのに用いられる加圧ユニットは、それぞれスリーブ216A及び216B内に収容された注射器である。注入器ヘッド201には、貯留容器ホルダ202A,貯留容器ホルダ202B,接続インタフェース部206,貯留容器ホルダ208A,貯留容器ホルダ208B、及び制御パネル212が備えられている。注入器ヘッド201には、更に、当該注入器ヘッド201の構成部品および装置200の他の構成部品を制御および/またはモニタするのに用いられる、一つ若しくはそれ以上の処理装置(プロセッサ)がある。
【0025】
貯留容器ホルダ202Aは、医療用流体の第1貯留容器を保持することができ、一方、貯留容器ホルダ202Bは、医療用流体の第2貯留容器を保持することができる。或る実施形態では、貯留容器ホルダ202Aは、例えば造影剤などの第1のタイプの流体の貯留容器を保持し、一方、貯留容器ホルダ202Bは、例えば希釈剤(例えば生理食塩水)などタイプが異なる第2の流体の貯留容器を保持する。異なる形態の貯留容器(例えば、ボトル,袋体)が、貯留容器ホルダ202A及び202Bと共に用いられることができる。
装置200は、患者の複合的な治療にわたって医療用流体を注入するのに用いることができるので、ホルダ202A及び202Bにそれぞれ保持されている貯留容器は、時間と共に取り換えられる必要があるかも知れない。典型的には、装置200のオペレータは、ホルダ202A及び202Bの貯留容器をそれぞれ手作業で取り換える。オペレータの便宜のため、装置200には、補助的ホルダ208A及び208Bが更に備えられている。オペレータは、補助的流体貯留容器をホルダ208A及び208Bに用意しておくことができる。主ホルダ202A又は202Bの貯留容器が空になり交換されることが必要になった場合、オペレータは、補助的ホルダ208A又は208Bの1つから新しい流体貯留容器に迅速かつ容易にアクセス(access)し、主ホルダ202A又は202Bへ取り付けることができる。
【0026】
装置200には、当該装置200を例えば医用画像装置などの外部の医療用装置へ直接もしくは間接的に結合する、電気的接続インタフェース部206が備えられている。典型的には、装置200は、造影剤注入装置として用いられる場合には、医用画像装置に接続した状態で働く。例えば、装置200は、血管造影検査やCT処置中には、医用画像装置に接続した状態で作動することができる。
接続インタフェース部206は、装置200を、直接もしくは間接的にかかる画像装置に接続するのに用いられる。或る実施形態では、装置200は、インタフェース部206を介して、注入および/または制御の情報を外部の画像装置に伝達することができ、また同様に、インタフェース部206を介して、撮像および/または制御の情報を外部の画像装置から受け取ることができる。
【0027】
図2Aは、装置200が制御パネル212も包含していることも示している。制御パネル212は、例示的な装置200の上部側に位置している。オペレータは、注入処置のために用いることができる様々な注入処置用のパラメータ及び/又はプロトコルをプログラムに組み込むために、制御パネル212とやり取りすることができる。また、オペレータは、使用のために装置200をセットアップし、処置を開始し休止し再開し或いは終了するために、若しくは、様々な注入関連情報(例えば、流量,容量,圧力,立ち上がり時間,処置のタイプ,流体の情報、及び/又は患者の情報など)を視認するために、制御パネル212を用いることができる。図2Aは、制御パネル212の側面上にある様々なユーザ始動のボタン(button)を示している。しかしながら、或る実施形態では、制御パネル212はタッチ始動の画面(touch-activated screen)を有しているかも知れない。
【0028】
或る実施形態では、別体のより大きな制御パネル(不図示)が、装置200と通信可能であるかも知れない。この実施形態では、より大きな制御パネルは、前記制御パネル212によって与えられるのと同様のオペレータ機能性をもたらすものである。しかしながら、このより大きな制御パネルは、患者が横たわっているベッドの手すり(レール:rail)に取り付けることができ、或いは、装置200から離れた他の装置に取り付けることもできる。或る実施形態では、前記より大きな制御パネルは、図1Aに示される制御パネル102と外観が似ている。
【0029】
装置200は、スリーブ216A及び216Bにそれぞれ収容された2つの注射器を有する複式の注射器(デュアルシリンジ)装置である。両注射器は共に、医療用流体を患者に供給することができる。
【0030】
或る実施形態では、スリーブ216A内の注射器は、ホルダ202Aに結合された流体貯留容器から流体を吸い出すことができ、また、スリーブ216B内の注射器は、ホルダ202Bに結合された流体貯留容器から流体を吸い出すことができる。例えば、これらの注射器は、流体補給操作中、流体を吸い込むことができる。
各注射器は、二つの方向のうちの一方にプランジャを駆動するモータ/アクチュエータ・アッセンブリ(不図示)に結合されている。流体補給サイクル中、装置200のモータ/アクチュエータ・アッセンブリは、例えば、スリーブ216Aの注射器内のプランジャを一方向へ駆動し、ホルダ202Aに結合された貯留容器から注射器内へ流体を吸い出すことができる。注入サイクル中、装置200のモータ/アクチュエータ・アッセンブリは、この注射器内のプランジャを逆の方向へ駆動し、流体を吐出することができる。
或る実施形態では、装置200は、2つの異なるモータ/アクチュエータ・アッセンブリを収容しており、一方のアッセンブリは、スリーブ216A内の注射器を駆動し、他方のアッセンブリは、スリーブ216B内の注射器を駆動する。これらのモータ/アクチュエータ・アッセンブリは、注入器ヘッド201の一部であり、当該注入器ヘッド201内に包含される一つ若しくはそれ以上の処理装置(プロセッサ)によって、個別に制御され或いはモニタされることができる。
【0031】
流体流入チューブは、或る実施形態によれば、スリーブ216A及び216B内の注射器を、流体貯留容器および流出ラインに結合している。或る実施形態では、各々の注射器は、デュアルポート注射器(例えば、図3に示されているようなデュアルポート注射器)である。或る実施形態では、一方の注射器ポートは、流体貯留容器に結合された流入配管チューブ用に使用され、第2のポートは、アッセンブリ218A又は218Bを通じて流出(患者)ラインに動作可能なように結合された流出配管チューブ用に用いられる。
【0032】
前端部アッセンブリ218Aはスリーブ216Aに繋がれ、前端部アッセンブリ218Bはスリーブ216Bに繋がれている。スリーブ216A内の注射器からの流出配管チューブは、アッセンブリ218Aを通って患者ラインに向かって延びる一方、スリーブ216B内の注射器からの流出配管チューブは、アッセンブリ218Bを通って患者ラインに向かって延びている。
各アッセンブリ218A及び218Bは、オペレータによって開閉される扉(ドア)又は覆い(カバー)を有している。例えば、オペレータは、チューブを装着するときにドアを開け、装着するとドアを閉じることができる。或る実施形態では、各ドアは、透明もしくは半透明の材料で製作され、たとえドアが閉じられていても、オペレータはアッセンブリ218A又は218Bの中身を視認することができる。
【0033】
或る実施形態では、各前端部アッセンブリ218A及び218Bは、エアー検出器および弁(バルブ)要素(不図示)を有している。エアー検出器は、用いられる流体配管チューブ内の気泡または気柱を検出するのに用いられる。バルブ要素は、流体が配管チューブを通って流れることを許容または制限する。例えば、ピンチバルブ(pinch valve)が用いられる場合、バルブは、或る状態では流体配管チューブを絞って流体の流れを制限するが、別の状態では配管チューブを開いたままにして流体が流れることを許容する。様々な異なった形態のバルブが、アッセンブリ218A及び218B内で用いられることができる。更に、様々な異なった形態のエアー検出器(例えば、超音波式,光学式のもの)が、同様に用いられることができる。
【0034】
或る実施形態では、スリーブ216A内の注射器に結合された流入および流出配管チューブは、前端部アッセンブリ218Aを通って延び、スリーブ216B内の注射器に結合された流入および流出配管チューブは、前端部アッセンブリ218Bを通って延びている。この実施形態では、各アッセンブリ218A及び218Bは、それぞれの注射器用の流入配管チューブに結合された第1ピンチバルブ及び第1エアー検出器を収容し、更に、それぞれの注射器用の流出配管チューブに結合された第2ピンチバルブ及び第2エアー検出器を収容している。これらの構成要素は、図2Dにおいてより明瞭に示されており、以下により詳しく議論されよう。
【0035】
また、図2Aは、患者用接続案内ロッド220を示している。注射器216A及び216Bからの流出配管チューブは、それぞれ前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延び、その後、患者ライン或いはキット(kit:不図示)に結合されている。患者ラインは、或る実施形態によれば、単一の患者処置に用いられる使い捨てのラインである。各患者ラインは、前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延びる流出配管チューブに対して接続することができ、また、接続を断つこともできる。
患者ラインは、或る実施形態によれば、接続案内ロッド220を介して流出配管チューブに接続されている。患者ラインは、流出配管チューブと結合状態になるために、接続案内ロッド220を覆って摺動(スライド:slide)することができる。或る実施形態では、患者ラインに2つの管要素(チューブエレメント:tube element)があり、各エレメントは、スリーブ216A又は216B内の注射器の流出チューブエレメントの一つに対応している。或る例示的な患者ラインが、図4に示されており、以下により詳しく議論されよう。
【0036】
或る実施形態では、例えば装置200のような医療用流体注入装置は、3つ若しくはそれ以上の加圧ユニットを含む複数の加圧ユニットを有している。これら加圧ユニットの各々は、作動中、別々のスリーブ内に包含されることができる。
幾つかの実施形態では、複数の加圧ユニットが同じタイプの流体を収容しているかも知れない。例えば、第1の加圧ユニットが造影剤を収容し、第2の加圧ユニットは希釈剤(例えば生理食塩水)を収容し、第3の加圧ユニットは造影剤を収容しているかも知れない。この状況(シナリオ:scenario)では、第3の加圧ユニットは、予備的または2次的な造影剤の供給源を構成しているかも知れない。この例では、第1及び第3の加圧ユニットは共に、例えば、前端部アッセンブリ218A又は218Bに類似した前端部アッセンブリのような、共通の前端部アッセンブリに結合されているかも知れない。
【0037】
図2Bは、図2Aに示された装置200の別の概略斜視図である。図2Bにおいては、前端部アッセンブリ218A及び218Bに沿ったスリーブ216A及び216Bが、より明瞭に見ることができる。図2Bの例では、アッセンブリ218A及び218Bのドアは閉じられているけれども、これらドアは半透明の材料で製作されており、内部のピンチバルブ及びエアー検出器構成要素はより明瞭に見ることができる。
また、図2Bは、接続ポート222及び224も示している。或る実施形態では、(例えば、図4に示されたコネクタ410に結合されたもののような)圧力変換器コネクタが、接続ポート224に接続されることができる。圧力変換器コネクタは、患者ラインの血行動態の信号(シグナル:signal)を計測する圧力変換器に、動作可能なように結合される。圧力変換器を接続ポート224に接続することにより、装置200は、患者ライン内で検出される患者の血行動態圧力信号を利用および処理することができる。
【0038】
装置200には、手動制御装置(不図示)に接続されることができる接続ポート222もある。或る実施形態では、手動制御装置は、オペレータによって単一の患者処置用に使用される使い捨ての構成要素である。
手動制御装置は、注射器216A及び216Bの一方または両方の作動を制御することができる。例えば、オペレータは、ボタンを押すか或いはそうでなければ手動制御装置とやり取りをし、モニタ/アクチュエータ・アッセンブリにスリーブ216A内の注射器から流体を注入せしめることができ、また、別のボタンを押すか或いはそうでなければ手動制御装置とやり取りをし、モニタ/アクチュエータ・アッセンブリにスリーブ216B内の注射器から流体を注入せしめることができる。従って、スリーブ216A内の注射器が造影剤を収容し、スリーブ216B内の注射器が希釈剤を収容している場合には、オペレータは、手動制御装置の或る1つのボタンを押して造影剤を患者ラインへ注入することができ、また、別のボタンを押して生理食塩水を注入することができる。
或る実施形態では、手動制御装置は、流量可変機能を有しており、オペレータが、ボタンをより強く押す、つまり構成要素をより強く作動させるほど、スリーブ216A又は216B内の注射器から注入される流体の流量が増大する。
【0039】
図2Cは、装置200の別の概略斜視図である。図2Cは、或る実施形態に従った装置200の上方からの眺めを示している。
【0040】
また、図2Cは、前端部アッセンブリ218A及び218Bのドア221A及び221Bをそれぞれ示している。注記したように、或る実施形態では、アッセンブリ218A及び218Bの各々は、それぞれ可動ドア221A及び221Bを有している。ドア221Aはアッセンブリ218Aを覆い、ドア221Bはアッセンブリ218Bを覆っている。図2Cの実施形態においては、ドア221A及び221Bは、透明もしくは半透明の材料で製作されており、オペレータは、(図2Dにより詳しく示されている)アッセンブリ218A及び218Bの中身を視認することができる。
ドア221Aには把手(ハンドル:handle)219Aがあり、ドア221Bには把手219Bがある。オペレータは、ドア221A及び221Bを開閉するのに、把手219A及び219Bをそれぞれ利用することができる。ドア221A及び221Bは、当該ドア221A及び221Bが開閉されることができるようにする一つ若しくはそれ以上の蝶番(ヒンジ:hinge)228に結合されている。
【0041】
図2Cには、枢支ピン(ピボットピン:pivot pin)229も示されている。或る実施形態によれば、ヒンジ228を通して枢支ピン229が挿通され、ドア221A及び221Bが、オペレータによって自在に開閉されることが確実にできるようにしている。ドア221A及び221Bは、枢支ピン229を通って伸びる軸線を中心にして旋回する。
【0042】
或る実施形態では、枢支ピン229は、その箇所にネジ込まれている。また、枢支ピン229は、オペレータによって取り除かれることもできる。例えば、オペレータは、枢支ピン229を螺脱して前端部アッセンブリ218A及び218Bから除去することができる。枢支ピン229が除去された後、ドア221A及び221Bもアッセンブリ218A及び218Bから除去することができる。例えば、オペレータがドア221A及び221Bを清掃もしくは取り換えることを望む場合には、ドア221A及び221Bを取り外すことを選択することができる。
【0043】
図2Dは、或る実施形態に係る前端部アッセンブリ218A及び218Bをより詳細に示す斜視図である。図2Dには、ドア221A及び221Bは示されていないが、これらドアは透明もしくは半透明の材料で製作されており、たとえドア221A及び221Bが閉じられていても、アッセンブリ218A及び218Bの中身は、オペレータによって、より明瞭に視認されることができる。
【0044】
前端部アッセンブリ218Aには、第1エアー検出器230A,第1ピンチバルブ232A,第2ピンチバルブ234A及び第2エアー検出器236Aが備えられている。ホルダ202Aの貯留容器からの流入配管チューブは、或る実施形態によれば、エアー検出器230A及びピンチバルブ232Aを通り、第1注射器ポートを介して、スリーブ216A内の注射器へ延びている。スリーブ216A内の注射器の第2注射器ポートに結合された流出配管チューブは、ピンチバルブ234A及びエアー検出器236Aを通って延び、その後、(例えば図4に示されるもののような)外部の患者ライン若しくはキットに結合される。
エアー検出器230Aは、流入配管チューブ内の気泡または気柱を検出するのに用いられ、エアー検出器236Aは、流出配管チューブ内の気泡または気柱を検出するのに用いられる。エアー検出器230A及び236Aは、音響式,光学式、或いは他の形式のエアー検出器で構成されていてもよい。
エアー検出器230A及び236Aの何れか一方または両方が、流入配管チューブ及び/又は流出配管チューブ内に計測可能な量のエアーを検出した場合には、これら検出器は、装置200の注入器ヘッド201へ信号を伝播することができる。
注入器ヘッド201の一つ若しくはそれ以上のプロセッサは、これらの受信された信号を処理することができる。注入器ヘッド201は、制御パネル212を介して、オペレータに警告メッセージ若しくは警報を与えることができ、オペレータは適切な行動をとることができる。また、或る実施形態では、注入器ヘッド201は、流入および/または流出配管チューブ内にエアーが検出された場合には、注射器を駆動するモータ/アクチュエータ・アッセンブリの作動を制御することにより、スリーブ216A内の注射器からの流体の如何なる注入をも、自動的に休止あるいは終了させることができる。
【0045】
ピンチバルブ232Aは、流入配管チューブからスリーブ216A内の注射器内への流体の流れを制御する。注入器ヘッド201は、ピンチバルブ232Aの作動を制御する。注入器ヘッド201がピンチバルブ232Aを開弁した場合には、ホルダ202Aに結合された貯留容器から注射器内へ流体が流れることができる。ピンチバルブ232Aが閉じられている場合には、流入配管チューブ内での如何なる流体の流れも許容されることはない。例えば、注入器ヘッド201が注射器に流体を供給しているときには、注入器ヘッド201は、ピンチバルブ232Aを開いて流入配管チューブ内で流体が流れることができるようにするが、ピンチバルブ234Aは閉じて流出配管チューブ内での如何なる流体の流れをも禁止することができる。
注射器内のプランジャは、流体を注射器に供給するために、(モータ/アクチュエータ・アッセンブリにより)第1の方向へ移動させられることができる。流体の注入が生じると、モータ/アクチュエータ・アッセンブリは、注射器内のプランジャを、逆向きの第2の方向へ移動させることになる。
注入器ヘッド201は、注入処置中は、流入配管チューブ内の流体の流れを禁止するために、ピンチバルブ232Aを閉じることができる。しかしながら、注入器ヘッド201は、かかる処置中に、ピンチバルブ234Aを開いて流出配管チューブ内で流体が流れることができるようにすることができる。注入器ヘッド201は、このようなやり方で、ピンチバルブ232A及び234Aを用いて、様々な操作(例えば、補給操作および注入操作)中、流入および流出配管チューブ内の流体の流れを制御する。
【0046】
或る実施形態では、ピンチバルブ232A及び234Aは、電磁(ソレノイド:solenoid)式のピンチバルブである。別の実施形態では、例えば空圧式のバルブなど、他の形式のピンチバルブ232A及び234Aが用いられてもよい。或る実施形態では、ピンチバルブ232A及び234Aは、閉弁位置において不履行(デフォルト:default)状態を有している。従って、装置200が、スリーブ216A内の注射器内への流体の供給も、前記注射器からの注入もしていないときには、ピンチバルブ232A及び234Aは共に閉じられている。その後、ピンチバルブ232A及び/又は234Aにエネルギーが能動的に供給されると、装置200によってピンチバルブ232A及び234Aが開かれることができる。ピンチバルブ232A及び/又は234Aにエネルギーが供給されない場合には、これらバルブはデフォルトの閉弁位置に戻る。従って、装置200に何らかの電源異常がある場合には、バルブ232A及び234Aは閉弁位置に戻ることになる。このことは、装置200の安全性を高めるのに役立つことができる。
【0047】
同様に、前端部アッセンブリ218Bには、第1エアー検出器230B,第1ピンチバルブ232B,第2ピンチバルブ234B及び第2エアー検出器236Bが備えられている。ホルダ202Bに接続された貯留容器からの流入配管チューブは、エアー検出器230B及びピンチバルブ232Bを通り、スリーブ216B内の注射器へ延びている。注射器の第2注射器ポートに結合された流出配管チューブは、ピンチバルブ234B及びエアー検出器236Bを通って延び、その後、患者ラインに結合されることができる。装置218B内の構成要素は、或る実施形態によれば、上述のように装置218A内に収容されたものと同様に機能する。
【0048】
図2Eは、或る例示的な実施形態に係る装置200の案内ロッド220をより詳細に示す概略斜視図である。この例示的な実施形態では、案内ロッド220はピン223を備えている。ピン223は、以下において更に詳しく説明されるように、例えば患者ラインの流体接続アッセンブリなどの外部の構成要素に、嵌合するか、そうでなければ接続することができる、案内ロッド220の一部を構成している。
或る実施形態では、流体接続アッセンブリは、少なくとも1つの流体コネクタと嵌合機構とロック機構とを備えることができる。嵌合機構は、少なくとも1つの流体コネクタに結合され、該少なくとも1つの流体コネクタを、装置200の高圧配管チューブに接続するように構成されている。ロック機構は、嵌合機構に結合され、ロック位置またはアンロック位置へ動くことができる。
ロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリは装置200に確実に結合されるようになる。例えば、ロック機構は、自身がロック位置にあるときには、以下により詳しく説明されるように、案内ロッド220のピン223を係合もしくは受け合うことができ、ロック機構は、案内ロッド220に確実に結合されるようになる。例えば、ロック機構がロック位置にあるときには、ピン223は、流体接続アッセンブリの一部分の溝部の内部に在るか、そうでなければ溝部内に拘留(ロック:lock)されてもよい。
ロック機構は、アンロック位置へ動くと、案内ロッド220のピン223を係合解除し、ロック機構が、装置200の案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されるようになる。これらの態様は、図5A〜5Dを参照しながら、以下において更に詳しく説明されよう。
【0049】
図3は、或る実施形態に係る装置200と共に用いることができる例示的な注射器301の概略斜視図である。この注射器301は、スリーブ216A又は216Bの何れか内に装着されることができる。注射器301がスリーブ216A内に装着される場合には、当該注射器は、ホルダ202A(図2A参照)に接続された流体貯留容器に結合され、更に、患者ライン(図4参照)に結合されることができる。
【0050】
図3の例では、注射器301は、デュアルポート(dual-port)注射器である。流入ポート300は流入配管チューブ308に結合され、流出ポート302は流出配管チューブ304に結合されている。流入配管チューブはコネクタ310に結合されており、このコネクタは、注射器301がスリーブ216A内に装着されていると仮定すれば、ホルダ202A内の流体貯留容器に接続されることができる。例えば、コネクタ300が先の尖ったスパイク(spike)状のものである場合には、当該スパイクは、ホルダ202Aに接続された医療用流体の容器(ボトル:bottle)内に挿入されることができる。流出配管チューブ304は、当該流出配管チューブ304を別物の患者ラインに結合するコネクタ306に結合されている。或る実施形態では、コネクタ306は、ルアー型(Luer-type)のコネクタである。
【0051】
流体は、流入配管チューブ308を介して、流体貯留容器から注射器301のポート300内に吸引される。また、流体は、注射器301のポート302から流出配管チューブ304内に吐出される。流入配管チューブ308は、先により詳しく説明されている、前端部アッセンブリ218Aのエアー検出器230A及びピンチバルブ232A(図2D参照)を通って延び、一方、流出配管チューブ304は、ピンチバルブ234A及びエアー検出器236Aを通って延びることができる。
或る実施形態では、流入配管チューブ308と並んだ注射器301,コネクタ310,流出配管チューブ304及びコネクタ306は、使い捨てで多重用途の部品である。すなわち、これらの部品は、装置200から接続が外され処分される前に、多重の用途または患者の処置にわたって装置200内で使用されることができる。別の実施形態では、これらの部品は、使い捨てで単一用途の部品であり、このことは、単一の患者の処置の後に、処分されることを意味している。
【0052】
或る実施形態では、注射器301は、また、装置100(図1A参照)内でも用いることができる。装置100内で用いられる場合には、コネクタ310はホルダ110の流体貯留容器に接続され、流出配管チューブ304は患者用マニホールドセンサ114を通って延びることになる。
【0053】
図4は、図2A〜2Cに示された本発明の一実施形態に係る注入装置200と共に用いることができる患者ライン400の概略斜視図である。患者ライン400には、組立体(アッセンブリ)401,弁(バルブ)416,停止栓(ストップコック:stopcock)418及びコネクタ420が、備えられている。患者ライン400は、医療用流体を患者に供給するのに用いられるカテーテルに、装置200を結合するのに使用されるものである。
【0054】
アッセンブリ401には、第1流体コネクタ402と第2流体コネクタ404とがある。アッセンブリ401が装置200に結合される場合、流体コネクタ402は、スリーブ216A又は216B内の注射器の一方に結合されている流出配管チューブ用のコネクタに接続され、一方、流体コネクタ404は、他方の注射器に結合されている流出配管チューブ用のコネクタに接続される。例えば、流体コネクタ402は、スリーブ216A内の注射器用の流出配管チューブ304に結合されているコネクタ306(図3参照)に接続されることができる。
患者ライン400は、或る実施形態では、使い捨てのキット(kit)であり、コネクタ402及び404は、オペレータにより、例えばコネクタ306のような配管チューブコネクタに接続され、また配管チューブコネクタから取り外されることができる。或る実施形態では、患者ライン400は、単一用途の使い捨てキットであり、或る患者用の装置200に接続され、その後、引き続いて接続が外され廃棄される。
【0055】
或る実施形態によれば、アッセンブリ401は、当該アッセンブリ401を装置200の案内ロッド220上に摺動させ所定の位置にロックすることにより、装置200に結合されることができる。てこ(レバー:lever)403は、案内ロッド220に結合されている場合には、アッセンブリ401をロック及びアンロックするのに用いられることができる。
レバー403は、アッセンブリ401を案内ロッド220にロックするために第1位置へ移動させられることができ、また、アッセンブリ401をアンロックするために第2位置へ移動させられることができる。例えば、オペレータは、アッセンブリ401が動かないように固定されて注入処置中での使用のために準備されるように、レバー403を引っ張り上げてアッセンブリ401をロックすることができる。注入処置が完了した後、オペレータは、アッセンブリ401が案内ロッド220から取り外すことができるように、レバー403を押し下げてアッセンブリ401をアンロックすることができる。
【0056】
流体コネクタ402は操作可能に配管チューブ406に接続され、流体コネクタ404は操作可能に配管チューブ408に接続される。或る実施形態では、流体コネクタ402は、造影剤を収容したスリーブ216A内の注射器に結合され、一方、流体コネクタ404は、例えば生理食塩水などの希釈剤を収容したスリーブ216B内の注射器に結合されている。従って、この実施形態では、造影剤は患者ライン400の配管チューブ406内に注入され、一方、希釈剤は配管チューブ408内へ注入される。
配管チューブ406及び408はバルブ416に接続されており、或る実施形態では、当該バルブは、配管チューブ406及び408の一方のみから流出配管チューブ417へ流体が流れることを許容する弾性(エラストマー型の:elastomeric-type)バルブを構成している。或る実施形態では、バルブ416は、流出配管チューブ417に向かう方向のみに流体の流れを許容する一方弁を構成している。或る場合には、案内ロッド220は、これらのコネクタを整列させることにより、挿入中に、非滅菌状態の物品に接触することを防止し、コネクタ402及び404の滅菌性を維持するのに役立つことができる。
【0057】
図4に示されるように、配管チューブ408は、逆止弁(チェックバルブ:check valve)412及び変換器(トランスデューサ:transducer)414に結合されている。或る実施形態では、逆止弁412は、二方向性の逆止弁で構成されている。変換器414は、或る実施形態では、患者内に挿入されているカテーテルに患者ライン400が結合されている場合に患者の血行動態の信号を計測することができる、圧力変換器で構成されている。変換器コネクタ410は、例えばポート224(図2B参照)などによって、装置200に結合されることができる。接続された場合、変換器414により生成された血行動態信号は、装置200内のプロセッサによって処理されることができる。
【0058】
流出配管チューブ417は、停止栓418に結合され、図4に示されているコネクタ420に結合されている。停止栓418は、流体の流れを制御するために、オペレータによって手動で操作されることができ、また、例えば注射器などの他の外部装置にも接続されることができる。コネクタ420は、患者ライン400を、患者に流体を供給することができる外部のカテーテルに接続するのに用いられる。或る実施形態では、コネクタ420は、ルアータイプ(Luer-type)のコネクタで構成されている。
【0059】
或る実施形態では、患者ライン400は、図1Aに示された装置100と共に用いられることもできる。装置100と共に用いられる場合には、変換器コネクタ410は、装置100のプロセッサが血行動態信号を処理できるように、装置100内の嵌め合いポート(不図示)に結合される。アッセンブリ401も、この実施形態では、装置100に結合されることができる。
患者ライン400は、患者用マニホールドセンサ114に結合されたマニホールドバルブに結合されることができ、接続ポート402は注射器からの配管チューブに結合されることができる一方、接続ポート404は、ポンプ106を通って延びる配管チューブに接続されることができる。この実施形態では、配管チューブ417は、装置100のエアー検出器116に結合されるか、若しくはエアー検出器を通って延びることができる。
【0060】
図5A〜5Dは、例えば装置100或いは装置200のような、本発明の一実施形態に係る動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図である。以下の説明においては、図説のみの目的で、流体接続アッセンブリ401は、装置200に接続されるように構成されている。
【0061】
流体接続アッセンブリ401は、少なくとも1つの流体コネクタと嵌合機構とロック機構とを備えることができる。図5A〜5Dの例では、流体接続アッセンブリ401は、2つの流体コネクタ402及び404を有している。嵌合機構は、流体コネクタ402及び404に結合されることができるものであり、1つ若しくはそれ以上の第1覆い(ハウジング:housing)部材502,第2ハウジング部材504、及びレバー403を備えることができる。ロック機構は、1つ若しくはそれ以上の第1ハウジング部材502,第2ハウジング部材、及びレバー403を備えることができる。
【0062】
或る実施形態では、流体接続アッセンブリ401の嵌合機構は、流体コネクタ402及び404を装置200に接続するように構成されている。ロック機構は、嵌合機構に結合されることができ、また、ロック位置またはアンロック位置へ可動である。ロック機構がロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリ401は、以下により詳しく説明されるように、装置200に確実に結合されるようになる。また、ロック機構がアンロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリ401は、装置200から取り外し可能に結合解除されるようになる。
【0063】
図5A〜5Dに示されるように、第1流体コネクタ402には、第1端末コネクタ508及び第1チューブコネクタ506が備えられている。また、第2流体コネクタ404には、第2端末コネクタ512及び第2チューブコネクタ510が備えられている。第1端末コネクタ508及び第2端末コネクタ5512は、装置200に包含されているかそうでなければ挿入されている配管チューブ用の、対応するチューブコネクタに接続されることができる。例えば、前述のように、オペレータは、装置200のスリーブ216A及び216B内に加圧ユニットを装着することができる。オペレータは、その後、2つの加圧ユニットの各々に接続される配管チューブを装着することができる。
【0064】
例えば、オペレータは、前端部アッセンブリ218Aのピンチバルブ234A及びエアー検出器236Aを通って、第1加圧ユニットの流出ポート(例えば、注射器301の流出ポート302)に接続される、第1配管チューブ(例えば、図3に示されている配管チューブ304)を装着することができ、また、前端部アッセンブリ218Bのピンチバルブ234B及びエアー検出器236Bを通って、第2加圧ユニットの流出ポートに接続される、第2配管チューブを装着することができる。
前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延びる配管チューブは、流体接続アッセンブリ401が装置200に接続されているときに、第1及び第2端末コネクタ508及び512に嵌合もしくは繋がる、対応するチューブコネクタ(例えば、図3に示されているコネクタ306)に結合されることができる。
流体コネクタ402及び404は、配管チューブ406及び408にそれぞれ結合されることができ、その結果、前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延びる配管チューブから、アッセンブリ401を通って配管チューブ406及び408内へ、流体が流れることができる。配管チューブ408は、流体コネクタ404に結合されるために、チューブ用通路(チャンネル:tube channel)530を介してハウジング部材502及び504を通って延びることができる。
【0065】
或る実施形態では、オペレータは、流体接続アッセンブリ401を装置200の案内ロッド220上に嵌挿させることにより、当該流体接続アッセンブリ401を装置200に接続することができる。図5Dは、流体接続アッセンブリ401の概略斜視図を示しており、そこでは、第2ハウジング部材504が、流体接続アッセンブリ401の嵌合機構の一部を構成することができる案内ロッド用溝部(チャンネル:channel)504を有している。
オペレータは、案内ロッド220を、当該案内ロッド220を受容する案内ロッド用チャンネル540内に挿入することにより、流体接続アッセンブリ401を装置200に対し手動で嵌合させることができる。その後、オペレータは、案内ロッド220に沿って流体接続アッセンブリ401を移動させ、当該流体接続アッセンブリ401を装置200に接続することができる。
案内ロッド用チャンネル540内での案内ロッド220の挿入は、流体コネクタ402及び404を装置200の対応するコネクタ(例えば、図3に示されているコネクタ306)に整列させるのに助けとなり得る。アッセンブリ401の確実動作の嵌合機構は、流体コネクタ402及び404を装置200の対応するコネクタと接続するのに助けとなり得る。特に、嵌合機構は、端末コネクタ508及び512を対応する流体コネクタと接続することができる。
【0066】
案内ロッド用チャンネル540が装置200の案内ロッド220を受け合うと、ロック機構がロック位置にある場合には、アッセンブリ401のロック機構は案内ロッド220に確実に結合されるようになる。例えば、オペレータは、装置200の作動中およびアッセンブリ401を通じての流体の注入中はアッセンブリ401が実質的に移動できないように、アッセンブリ401を、案内ロッド220及び装置200に関して所定の位置にロックすることを望むかも知れない。
【0067】
例えば、オペレータは、アッセンブリ401のレバー403をロック位置へ動かして、ロック機構を案内ロッド220に対して確実に結合することができる。或る状況(シナリオ)では、オペレータは、レバー403を、図5A〜5Dに示されるように、ハウジング部材502及び504に関して実質的に平らな(フラット:flat)位置から、ハウジング部材502及び504に関して直立した(アップライト:upright)位置へ回動させて、レバー403をアンロック位置からロック位置へ動作させることができる。この状況では、レバー403が、ハウジング部材502及び504の少なくとも1つによって定められる平面に対し実質的に垂直な第1の平面に沿って位置している場合に、ロック機構はロック位置にある。
また、レバー403が、ハウジング部材502及び504の少なくとも1つによって定められる平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って位置している場合に、ロック機構はアンロック位置にある。ロック機構は、当該ロック機構がアンロック位置にある場合には、装置200の案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されるようになる。
【0068】
図5Bに示されるように、アッセンブリ401は、ロック用溝部520も有している。このロック用溝部520は、アッセンブリ401のロック機構の一部であり得る。例えば、ロック用溝部520は、レバー403の一部であってもよい。
或る例では、案内ロッド220の一部分がロック用溝部520内で拘留(ロック:lock)されて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を制限する場合に、アッセンブリ401のロック機構はロック位置にある。また、案内ロッド220の一部分がロック用溝部520内でロック解除されて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を許容する場合に、ロック機構はアンロック位置にある。
【0069】
例えば、案内ロッド220のピン223(図2E)がロック用溝部520内でロックされて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を制限する場合に、アッセンブリ401のロック機構はロック位置にあることができる。ロック機構がロック位置に動かされている、若しくは回動させられている場合には、案内ロッド220のピン223は、ロック用溝部520内に摺動し当該ロック用溝部520内にしっかりと係合されることができ、アッセンブリ401は、案内ロッド220から取り外されることはできない。この位置では、アッセンブリ401は、案内ロッド220に確実に結合されていると見なすことができる。
【0070】
案内ロッド220のピン223がロック用溝部520内でロック解除されて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を許容する場合には、ロック機構はアンロック位置にあることができる。ロック機構がアンロック位置に動かされ若しくは回動させられている場合には、ピン223は、ロック用溝部520から抜け出し当該ロック用溝部520から係合解除されるようになり、アッセンブリ401は、案内ロッド220から取り外されることができる。ロック機構がアンロック位置にあるときには、アッセンブリ401は、案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されていると見なすことができる。
【0071】
図7A〜7Bにより明瞭に示されるように、或る実施形態では、レバー403は複数の肋材(リブ:rib)を有している。幾つかの場合においては、少なくとも1つの流体コネクタ402及び404は、少なくとも1つの透明な端末コネクタを有している。例えば、端末コネクタ508及び512の一方または両方は、透明なコネクタを構成することができる。
【0072】
或る実施形態では、少なくとも1つの流体コネクタ402及び404の一部分は、外側被覆(オーバ・モールド:overmold)された熱可塑性エラストマー(elastomer)で製作されてもよい。例えば、チューブコネクタ506及び510は、オーバ・モールドされた熱可塑性エラストマーで製作されてもよい。
幾つかの場合においては、アッセンブリ401が装置200に接続されると、そして、レバー403が案内ロッド220にロックされると、チューブコネクタ506及び510は、エアー検出器236Aとエアー検出器236Bの間にそれぞれ挿入されることができる。これらの場合には、装置200は、チューブコネクタ506及び/又は510内にエアーが存在するかどうかを判定するのに、エアー検出器236A及び236Bを利用することができる。
例えば、エアー検出器236A及び236Bは、チューブコネクタ506及び/又は510内に気泡または気柱が存在するかどうかを判定することができる音響式のエアー検出器で構成されていてもよい。
【0073】
このように、装置200は、アッセンブリ401が装置200に接続された後には、使い捨ての部品を構成し得るアッセンブリ401内部のエアーを検出することができる。エアー検出器236A及び/又は236Bを用いることは、スリーブ216A及び216B内に装着された加圧ユニットの十分に下流側に存在するあらゆるエアーを特定するのに助けとなり得る。従って、これらの加圧ユニットに接続された配管チューブ内、並びにチューブコネクタ506及び/又は510に接続された配管チューブ内に存在し得るあらゆるエアーは、エアー検出器236A及び/又は236Bによって検出することができる。
【0074】
幾つかの事例では、オペレータは、患者注入処置中、滅菌領域内でアッセンブリ401を装置200に接続することを望むかも知れない。これらの事例では、装置200は非滅菌構成要素であってもよく、一方、アッセンブリ401は、滅菌され、患者注入処置中に使用されてその後に廃棄されるべき使い捨ての構成要素であってもよい。(装置200の一部分もしくはより多くの部分が、滅菌された掛け布(ドレープ:drape)で覆われていてもよい。)その結果、オペレータは滅菌領域内で滅菌性を維持し、オペレータは、片手だけを用いる操作でアッセンブリ401を装置200に接続することができる。
【0075】
例えば、オペレータは、装置200の案内ロッド220付近にアッセンブリ401を保持するのに片手だけを用い、それから、案内ロッド220をアッセンブリ401の案内ロッド用チャンネル540内に挿入せしめることができ、流体コネクタ402及び404は、接続のために装置200の対応する流体コネクタに向かって移動する。それに続いて、オペレータは、自身の手の1本もしくはそれ以上の指を用いてレバー403をロック位置へ(例えば上向きに)回動させ、案内ロッド220の一部分がロック用溝部520内にロックさせるようにする。この時点で、オペレータは、注入処置を開始することができる。
処置が完了すると、オペレータは、1本もしくはそれ以上の指を用いてレバー403をアンロック位置へ(例えば下向きに)回動させ、アッセンブリ401は、案内ロッド220を媒介として装置200から取り外すことができる。(図4に示された患者ライン400の一部である)アッセンブリ401は、その後、廃棄されることができる。
【0076】
図6は、ロック機構が異なる位置に動かされている、図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリの或る構成要素の概略斜視図である。この図6の例に示されるように、レバー403は、直立した(アップライト)位置へ回動させられており、ハウジング部材504によって定められる平面に対し実質的に垂直な平面に沿って横たわっている。
例えば、オペレータは、片手だけを用いる手動操作で、図6に示されている直立位置へレバー403を動かすことができる。この特定の例では、アッセンブリ401のロック機構の一部であるレバー403は、ロック位置へ動かされており、ロッド220のピン223は、アッセンブリ401と係合している場合、レバー403がアンロック位置からロック位置へ回動させられるときには、ロック用溝部520内にロックされるようになる。
【0077】
また、図6は、アッセンブリ401における別のチューブ用通路(チャンネル:tube channel)560も示している。チューブ用チャンネル560は、ハウジング部材504を通って延びている。流体配管チューブ406(図5A〜5D)は、チューブ用チャンネル560を通って延び、流体コネクタ402に繋がることができる。
【0078】
図7A〜7Cは、図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリ401に包含されるレバー403のより詳細な概略斜視図である。図7A及び7Bは、この実施形態では、レバー403が複数の肋材(リブ:rib)600を有していることを示している。幾つかの例においては、流体接続アッセンブリ401は、射出成形プロセスを用いて製造されることができる。これらの例では、流体接続アッセンブリ401は、リブ600を有することにより、全体を通じてかなり均一な肉厚をもって(例えば、肉厚の大きな塊(thick volumes)なしで)成形されることができる。
【0079】
また、図7Cは、レバー403の下側の概略斜視図であるので、ロック用溝部520のより詳細な図を示している。図7Cから分かるように、案内ロッド220のピン223(図2E)は、レバー403が第1位置から第2位置へ回動されるときに、溝部520内で係合もしくはロックされるようになる。典型的には、オペレータは、装置200の案内ロッド220を、アッセンブリ401の案内ロッド用チャンネル540内で、当該案内ロッド220のピン223が溝部520に近接して位置するまで、挿入することになる。
【0080】
例えば、オペレータは、ピン223が溝部520の一端に位置するまで、案内ロッド220上でアッセンブリ401を移動させることができる。この時点では、レバー403はアンロック位置にある。その後、オペレータは、レバー403をロック位置へ動かす若しくは回動させることができ、その結果、ピン223が、溝部520内に移動し、当該溝部520内に完全に係合されロックされるようになる。一旦、レバー403がロック位置へ動かされると、案内ロッド220のピン223が溝部520内にロックされているので、アッセンブリ401は案内ロッド220に確実に結合されることができる。
その後、オペレータは、レバー403を回動させてアンロック位置へ戻すことができ、その結果、ピン223が溝部520から係合解除されるようになる。この時点では、アッセンブリ401は案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されるようになり、その結果、オペレータは、アッセンブリ401を摺動させて案内ロッド220から離脱させ、当該アッセンブリ401を装置200から取り外すことができる。
【0081】
図8は、図5A〜5Dに示された流体接続アッセンブリ401を、例えば装置100(図1A〜1B)及び/又は装置200(図2A〜2E)のような動力付き医療用流体注入装置に接続するのに実行されることができる、本発明の一実施形態に係る方法の流れ(フロー:flow)図である。図説のみの目的で、以下の説明においては、図8に示された方法は、流体接続アッセンブリ401を装置200に接続するのに実行されるものと想定される。
【0082】
最初に、流体接続アッセンブリ(例えば流体接続アッセンブリ401)の少なくとも1つの流体コネクタ(例えば流体コネクタ402及び/又は404)が医療用流体注入装置(例えば装置200)に接続される(ステップ800)。例えば、臨床医などのオペレータは、前記少なくとも1つの流体コネクタを装置に(例えば、装置200の、図3に示されたコネクタ306などに)接続することができる。或る実施形態では、前記少なくとも1つの流体コネクタと医療用流体注入装置との間には、高圧封止(シール:seal)が創り出される。
【0083】
流体接続アッセンブリのロック機構がロック位置へ動かされて、例えば回動させられて、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に確実に結合する(ステップ802)。流体接続アッセンブリが使用されると、当該流体接続アッセンブリのロック機構がアンロック位置へ動かされて、例えば回動させられて、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除する(ステップ804)。幾つかの場合には、オペレータは、片手だけの操作を用いて手動で、ロック機構をロック位置かアンロック位置へ、動かす若しくは回動させることができる。
【0084】
幾つかの事例では、少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続することは、当該医療用流体注入装置の案内ロッド(例えば、図2A〜2C及び2Eに示された案内ロッド220)を、案内ロッド用チャンネル(例えば、図5Dに示された案内ロッド用チャンネル540)内に受容することを包含しているかも知れない。これらの事例では、ロック機構がロック位置へ動かされて、当該ロック機構を案内ロッドに確実に結合することができる。また、ロック機構がアンロック位置へ動かされて、当該ロック機構を案内ロッドから取り外し可能に結合解除することができる。案内ロッドが案内ロッド用チャンネル内に受容されて、少なくとも1つの流体コネクタが、医療用流体注入装置の少なくとも1つの対応するコネクタと整列できるようにすることができる。
【0085】
ロック機構は、ロック用溝部(例えば、図5Bに示されたロック用溝部520)を備えることができる。ロック機構がロック位置に動かされている場合には、案内ロッドの一部分がロック用溝部内にロックされて、案内ロッド上での流体接続アッセンブリの動作を制限することができる。ロック機構がアンロック位置へ動かされると、案内ロッドの前記一部分はロック用溝部内でアンロックされて、案内ロッド上での流体接続アッセンブリの動作を許容することができる。
【0086】
或る実施形態では、ロック機構をロック位置へ動かすことは、流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材(例えばハウジング部材502及び/又は504)によって定められる平面に実質的に垂直な第1の平面に沿って、レバー(例えばレバー403)を位置させることを包含していてもよい。また、ロック機構をアンロック位置へ動かすことは、前記少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って位置させることを包含していてもよい。幾つかの事例では、オペレータは、片手だけの操作を用いて手動で、ロック機構をロック位置かアンロック位置へ、動かすことができる。
【0087】
幾つかの場合には、流体配管チューブ(例えば配管チューブ406及び/又は408)が、例えばオペレータなどによって、流体接続アッセンブリに接続されてもよい。方法は、ロック機構をロック位置へ動かすと、医療用流体注入装置から前記流体接続アッセンブリ内および前記流体配管チューブ内へ医療用流体を注入するステップを更に有することができる。例えば、装置200は、スリーブ216A又は216B内の加圧ユニットから流体接続アッセンブリ内および流体配管チューブ内へ、流体を注入することができる。
【0088】
医療用流体の注入に続いて、方法は、(例えばユーザによって)ロック機構をアンロック位置へ動かすステップを更に有することができる。ロック機構をアンロック位置へ動かすと、流体接続アッセンブリは医療用流体注入装置から取り外すことができる。
【0089】
或る実施形態では、少なくとも1つの流体コネクタは滅菌された構成要素を有しており、医療用流体注入装置は滅菌されていない構成要素を有していてもよい。この実施形態では、オペレータは、少なくとも1つの流体コネクタの滅菌性を維持しつつ、前記少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するために、片手だけの手動操作を用いることができるかも知れない。
【0090】
或る実施形態では、少なくとも1つの流体コネクタの一部分は、医療用流体注入装置のエアー検出器(例えば、図2Dに示されたエアー検出器236A又は236B)内に挿入されてもよい。エアー検出器は、前記少なくとも1つの流体コネクタの一部分に、一定量のエアーが存在するか否かを判定することができる。エアーが存在する場合には、前記少なくとも1つの流体コネクタの一部分からエアーが排出されるように、装置はオペレータに警告を発することができる。幾つかの事例では、前記少なくとも1つの流体コネクタの一部分内でエアーが検出された場合には、オペレータは、注入処置を終了させるか、或いは装置から流体接続アッセンブリを取り外すことができる。
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して言えば、医療用流体注入装置に対する部品の接続に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用流体注入装置は、典型的には、患者に医療用流体を注入するのに用いられる。多くの場合、かかる装置には、医療用流体を保持するための1つ若しくはそれ以上の貯留容器と、医療用流体を患者に注入するための1つ若しくはそれ以上の加圧ユニットと、が備えられる。例えば、動力付き造影剤注入装置には、造影剤を収容した貯留容器と、造影剤を患者内に注入するのに用いられる注射器(シリンジ:syringe)と、が備えられるかも知れない。造影剤注入装置は、例えば血管造影検査やコンピュータ断層撮影(CT)処置などの、或る種の医療処置中に使用され得るものである。
【0003】
多くの医療用流体注入装置には、流体を注入するために、1つ若しくはそれ以上の注射器が備えられている。注射器は、流体を保持するための室(チャンバ:chamber)と、チャンバ内で移動可能なプランジャ(plunger)と、を有している。流体は、プランジャが第1の方向に移動するときに、典型的には、流体貯留容器からチャンバ内へ引き込まれる。その後、流体は、プランジャが第2の反対方向に移動するときに、チャンバから放出され、患者内に注入される。流体は、プランジャの移動速度によって決定され得る一定の速度で送給される。
【0004】
多くの場合、流体は、注入装置に接続された患者ライン(patient line)つまり配管チューブキット(tubing kit)を介して、医療用流体注入装置から患者へ注入することができる。或る場合には、患者ラインは、使い捨ての部品で構成されているかも知れない。例えば、臨床医は、注入処置の初めに、滅菌処理された患者ラインを注入装置に接続するかも知れない。注入処置が完了すると、臨床医は、注入装置から患者ラインを接続解除し、その後、患者ラインを廃棄する。それから、臨床医は、後続する注入処置のために、新しい患者ラインつまり配管チューブキットを用いることができる。
【発明の概要】
【0005】
概して言えば、この開示は、拘留機構(ロック機構:locking mechanism)を備え、医療用流体注入装置に接続されることができる、流体接続組立体(アッセンブリ:assembly)の実装および使用のための技法に関する。前記流体接続アッセンブリは、滅菌処理されていない注入装置に接続され得る、滅菌された使い捨ての部品で構成されているかも知れない。幾つかの場合には、臨床医は、患者ラインの一部である流体接続アッセンブリを注入装置に接続するのに、片手だけを使う手動式の挿入手順を用いるかも知れない。これらの場合に、臨床医は、この接続を行う間、滅菌性を維持することができる。
【0006】
或る実施形態では、例示的な流体接続アッセンブリは、少なくとも1つの流体接続具(コネクタ:connector)と、前記少なくとも1つの流体コネクタに結合され、この流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するように構成された嵌合機構と、この嵌合機構に結合され、ロック位置またはアンロック位置に可動なロック機構と、を備えている。
ロック機構がロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリは、医療用流体注入装置に対し確実に結合されるようになる。また、ロック機構がアンロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリは、医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除されるようになる。
【0007】
或る実施形態では、例示的な方法は、流体接続アッセンブリの少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するステップと、流体接続アッセンブリのロック機構をロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に対し確実に結合するステップと、流体接続アッセンブリのロック機構をアンロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除するステップと、を備えている。
【0008】
或る実施形態では、例示的な流体接続アッセンブリは、当該流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に接続する接続手段と、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に確実に結合するロック手段と、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除するアンロック手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】流体接続アッセンブリに接続することができる動力付きの医療用流体注入装置の一実施形態の概略斜視図である。
【図1B】流体貯留容器および配管チューブを含む様々の部品に接続された、図1Aの動力付きの医療用流体注入装置の一実施形態の概略斜視図である。
【図2A】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2B】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2C】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2D】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図2E】別の実施形態の動力付き医療用流体注入装置、或いは流体接続アッセンブリに接続され得る装置の構成要素の様々な概略斜視図の一つである。
【図3】本発明の一実施形態に係る動力付き医療用流体注入装置と共に用いることができる例示的な注射器の概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る動力付き医療用流体注入装置と共に用いることができる患者ライン(patient line)の概略斜視図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図5B】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図5C】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図5D】本発明の一実施形態に係る、動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図の一つである。
【図6】ロック機構が異なる位置に動かされている、図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリの或る構成要素の概略斜視図である。
【図7A】図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリに包含されるロック機構の概略斜視図の一つである。
【図7B】図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリに包含されるロック機構の概略斜視図の一つである。
【図7C】図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリに包含されるロック機構の概略斜視図の一つである。
【図8】図5A〜5Dに示された流体接続アッセンブリを動力付き医療用流体注入装置に接続するのに実行され得る、本発明の一実施形態に係る方法の流れ(フロー:flow)図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、流体接続アッセンブリに接続され得る動力付きの医療用流体注入装置100の一実施形態の概略斜視図である。図1Aの実施形態では、スリーブ108内の加圧ユニットは注射器である。別の実施形態では、他の形式の容積型ポンプを含む、別の形態の加圧ユニットが用いられるかも知れない。幾つかの実施形態では、装置100は、例えば血管造影検査やコンピュータ断層撮影(CT)処置などの医療処置中に、例えば造影剤や生理食塩水などの医療用流体を、患者内に注入するのに用いられる。
【0011】
装置100には、制御パネル102,注入器ヘッド104,加圧ユニットを保持するためのスリーブ108,貯留容器の保持具(ホルダ:holder)110,モジュール(module)112,患者用マニホールドセンサ(manifold sensor)114及び空気(エアー:air)検出器116が、備えられている。
注入器ヘッド104には、ポンプ106があり、また、装置100の、注入器ヘッド104,制御パネル102,スリーブ108内の加圧ユニット,患者用マニホールドセンサ114及びエアー検出器116を、制御および/または監視(モニタ:monitor)するために、1つ若しくはそれ以上の処理装置(プロセッサ:processor)も備えられている。
貯留容器ホルダ110は、装置100の作動中に注射器内に引き込まれるべき量の流体を収容する流体貯留容器を保持することができる。例えば、貯留容器ホルダ110は、造影剤あるいは希釈剤の貯留容器を保持するかも知れない。第2の貯留容器ホルダ(不図示)が、ポンプ106での使用のための希釈剤(例えば生理食塩水)の貯留容器を保持するかも知れない。
図3は、一実施形態に従った、スリーブ108内で使用することができる注射器の例を示している。患者用マニホールドセンサ114は、幾つかの場合では、図1Bを参照して説明されるように、患者用マニホールドに接続することができる。
【0012】
例えば臨床医などの装置100の操作者(オペレータ)は、制御パネル102を用いて、所定の注入処置に用いるために、様々なパラメータ(parameter)及び/又はプロトコル(protocol)を設定(セットアップ:set up)することができる。例えば、オペレータは、流量,最大注入量,最高注入圧力,立ち上がり時間のためのパラメータ、或いは他のパラメータを入力するために、制御パネル102とやり取りすることができる。或る実施形態では、制御パネル102には、タッチスクリーン(touch-screen)のパネルが備えられている。
【0013】
ポンプ106は、流体を汲み上げることができる。或る実施形態では、ポンプ106は蠕動ポンプである。この実施形態では、配管チューブおよび流体貯留容器(不図示)は、ポンプ106に、また、ポンプ106を介して、接続されている。ポンプ106は、配管チューブを通じて、流体貯留容器からモジュール112に向かって流体を汲み上げる。図1Aの例では、ポンプ106もスリーブ108内に収容された注射器も、装置100からカテーテル内へ流体を供給することができる。ポンプ106は、ポンプ106の一部であるモータによって駆動され、注射器内のプランジャは、注入器ヘッド104の一部である、アクチュエータを含むモータ・アッセンブリによって駆動される。
【0014】
或る実施形態では、貯留容器ホルダ110は、流入流体配管チューブに接続された流体貯留容器を保持している。前記流入流体配管チューブは注射器に接続されており、注射器内のプランジャがモータによって第1の方向に移動させられると、流体が貯留容器から注射器内へ引き込まれる。スリーブ108内の注射器は、更に、流出配管チューブに接続されている。注射器内のプランジャが逆向きの第2の方向に移動させられると、流体は注射器から流出配管チューブ内へ放出される。
或る実施形態では、注射器はデュアルポート(dual-port)注射器であり、流入配管チューブが注射器の一つの開口部(ポート:port)に接続され、流出配管チューブは注射器の今一つのポートに接続されている。図3は、かかるデュアルポート型の注射器の一例を示しており、以下により詳しく説明されよう。
【0015】
患者用マニホールドセンサ114は、或る実施形態に従えば、マニホールドバルブ(不図示)に接続される。このマニホールドバルブ(manifold valve)は、スリーブ108内の注射器あるいはポンプ106に接続された配管チューブからの流体の流れを制御するものである。或る実施形態では、マニホールドバルブは、注射器からの流出配管チューブに接続されると共に、ポンプ106を通って延びる配管チューブにも接続されている。
マニホールドバルブとエアー検出器116との間にも、配管チューブが接続されている。エアー検出器116を通った後、配管チューブは、患者ラインつまりカテーテル(不図示)に接続されており、流体は、装置100から最終的に患者に供給されることができる。
【0016】
患者用マニホールドセンサ114によって保持されたマニホールドバルブは、注射器およびポンプ106から外部のカテーテルへの流体の流れを制御することができる。或る実施形態では、マニホールドバルブには、注射器からカテーテルへ供給されるべき流体のみを許容する第1の位置がある。また、マニホールドバルブには、ポンプ106からカテーテルへ供給されるべき流体のみを許容する第2の位置がある。
或る実施形態では、マニホールドバルブは、バネ付勢されたスプール弁(spool valve)で成っているかも知れないが、別の実施形態では、逆止弁(チェックバルブ:check valve)を含む他のタイプのバルブが使用されてもよい。患者用マニホールドセンサ114は、安全目的のために、マニホールドバルブの位置を検出し、この位置を注入器ヘッド104に報知することができる。
【0017】
また、装置100には、エアー検出器116がある。装置100から外部のカテーテルへ延びる管は、管内の気泡や気柱を検出することができるエアー検出器116を通る。エアー検出器116は、測定可能な、或いは、そうでなければかなりの量のエアーを、配管チューブ内に検出した場合には、注入器ヘッド104に対して警報信号を生成することが可能である。このような場合、警告または警報のメッセージ(message)は、エアーが検出されたことを示す制御パネル102上で、オペレータに対して表示されることができる。更に、或る実施形態では、エアー検出器116が配管チューブ内にエアーを検出した場合には、エアーがカテーテルに供給されることがないように、装置100は、流体注入工程を中断または終了する。
【0018】
装置100は数多くの注入処置および患者の処置に対して用いられるかも知れないので、注入流体はひっきりなしに取り換えられる必要があるかも知れない。例えば、ホルダ110によって保持されている貯留容器が空になると、オペレータによって手動で新しい(満杯の)貯留容器に交換される必要があるかも知れない。更に、スリーブ108内の注射器は、患者の処置のための注入を実行するのに十分な流体が注射器内にあるようにするために、時々注入流体を供給される必要があるかも知れない。
【0019】
図1Bは、流体貯留容器および配管チューブを含む様々の部品に接続された、図1Aの動力付きの医療用流体注入装置100の一実施形態の概略斜視図である。例えば、図1Bは、第1流体貯留容器132及び第2流体貯留容器138を示している。第1流体貯留容器132は、例えば造影剤のような第1の流体を収容している。オペレータは、第1流体貯留容器132を貯留容器ホルダ110に吊り下げることができる。幾つかの場合には、第1流体貯留容器132は、ガラス製の貯留容器であるかも知れず、一方、別の場合には、プラスチック(plastic)製の貯留容器であってもよい。
第1流体貯留容器132内に収容されている流体は、作動中に、配管チューブを通じて、スリーブ108内に挿入されている加圧ユニット130(例えば注射器)内へ引き出されることができる。自動的な補給動作中、装置100は、第1流体貯留容器132から、或る量の流体を加圧ユニット130内へ自動的に供給することができる。
【0020】
第2流体貯留容器138は、例えば生理食塩水のような第2の流体を収容している。オペレータは、第2流体貯留容器138を留め金(フック:hook)137に吊り下げることができる。幾つかの場合には、第2流体貯留容器138は、例えば袋体(バッグ:bag)のようなプラスチック製の貯留容器であるかも知れない。第2流体貯留容器138内に収容されている流体は、ポンプ106を介して、配管チューブ128を通じて引き出されることができる。
【0021】
図1Bは、手動制御装置136が、接続具(コネクタ:connector)134を介して制御パネル102に結合されていることも示している。或る実施形態では、手動制御装置136は、制御パネル102以外にも、装置100の別の構成部品にも接続されているかも知れない。図1Bに示されるように、手動制御装置136は、当該手動制御装置136をコネクタ134に接続する、配管チューブ,配線ケーブル或いは配線ワイヤに結合されている。コネクタ134は、制御パネル102に接続することができるし、または制御パネル102から接続解除することもできる。
オペレータは、手動制御装置136を操作して、装置100からの流体の注入を制御することができる。例えば、オペレータは、装置100からの流体の流れ(例えば、加圧ユニット130からの流体の流れ)の流量を可変制御する可変流量制御装置として、手動制御装置136を用いることができる。或る実施形態では、手動制御装置136は電気機器を備えているかも知れない。また、或る実施形態では、手動制御装置136は、空圧機器を備えているかも知れない。
【0022】
配管チューブ128は、圧力変換器(pressure transducer)126に結合されている。圧力変換器126は、また、コネクタ120を介して患者ラインに接続することができる高圧配管チューブ122にも、出力するために結合されている。高圧配管チューブ122が(患者内の)患者ラインに接続されている場合には、圧力変換器126は、患者のための血行動態モニタとして機能することができる。圧力変換器126は、検出された圧力を、装置100若しくは別の監視(モニタ:monitor)装置によってモニタされるか或いはそうでなければ用いられる、電気信号に変換する。また、高圧配管チューブ122は、エアー検出器116を通って延びている。エアー検出器116は、高圧配管チューブ122を通って流れることができる流体内のエアー(例えば、気泡または気柱)の存在を検出することができる。
【0023】
また、図1Bは、マニホールドバルブ124も示している。このマニホールドバルブ124は、高圧配管チューブ122にも患者用マニホールドセンサ114にも接続されている。マニホールドバルブ124は、加圧ユニット130から高圧配管チューブ122への流体の流れ、及び/又はポンプ106を通っての高圧配管チューブ122への流体の流れを、制御することができる。
例えば、或る実施形態では、マニホールドバルブ124が第1の位置にある場合には、加圧ユニット130から高圧配管チューブ122へ流体が流れる。しかしながら、マニホールドバルブ124が第2の位置にある場合には、流体は、ポンプ106を通り、配管チューブ128を介して、高圧配管チューブ122へ流れる。或る実施形態では、マニホールドバルブ124は、加圧ユニット130か或いはポンプ106の一方のみから、高圧配管チューブ122への流体の流れを一度に許容する。
【0024】
図2Aは、様々の機能を果たすのに用いることができ、また、動作可能な場合には、流体接続アッセンブリに接続されることができる、動力付きの注入装置200の別の実施形態の概略斜視図である。図2Aにおいては、装置200には、第1の主貯留容器ホルダ202A,第2の主貯留容器ホルダ202B,電気的接続インタフェース部206,第1の補助的貯留容器ホルダ208A,第2の補助的貯留容器ホルダ208B,制御パネル212,第1の注射器ロッド214A,第2の注射器ロッド214B,第1の注射器スリーブ216A,第2の注射器スリーブ216B,第1の前端部アッセンブリ218A,第2の前端部アッセンブリ218B、及び患者用接続案内ロッド220が、備えられている。
図2Aの実施形態では、医療用流体を供給するのに用いられる加圧ユニットは、それぞれスリーブ216A及び216B内に収容された注射器である。注入器ヘッド201には、貯留容器ホルダ202A,貯留容器ホルダ202B,接続インタフェース部206,貯留容器ホルダ208A,貯留容器ホルダ208B、及び制御パネル212が備えられている。注入器ヘッド201には、更に、当該注入器ヘッド201の構成部品および装置200の他の構成部品を制御および/またはモニタするのに用いられる、一つ若しくはそれ以上の処理装置(プロセッサ)がある。
【0025】
貯留容器ホルダ202Aは、医療用流体の第1貯留容器を保持することができ、一方、貯留容器ホルダ202Bは、医療用流体の第2貯留容器を保持することができる。或る実施形態では、貯留容器ホルダ202Aは、例えば造影剤などの第1のタイプの流体の貯留容器を保持し、一方、貯留容器ホルダ202Bは、例えば希釈剤(例えば生理食塩水)などタイプが異なる第2の流体の貯留容器を保持する。異なる形態の貯留容器(例えば、ボトル,袋体)が、貯留容器ホルダ202A及び202Bと共に用いられることができる。
装置200は、患者の複合的な治療にわたって医療用流体を注入するのに用いることができるので、ホルダ202A及び202Bにそれぞれ保持されている貯留容器は、時間と共に取り換えられる必要があるかも知れない。典型的には、装置200のオペレータは、ホルダ202A及び202Bの貯留容器をそれぞれ手作業で取り換える。オペレータの便宜のため、装置200には、補助的ホルダ208A及び208Bが更に備えられている。オペレータは、補助的流体貯留容器をホルダ208A及び208Bに用意しておくことができる。主ホルダ202A又は202Bの貯留容器が空になり交換されることが必要になった場合、オペレータは、補助的ホルダ208A又は208Bの1つから新しい流体貯留容器に迅速かつ容易にアクセス(access)し、主ホルダ202A又は202Bへ取り付けることができる。
【0026】
装置200には、当該装置200を例えば医用画像装置などの外部の医療用装置へ直接もしくは間接的に結合する、電気的接続インタフェース部206が備えられている。典型的には、装置200は、造影剤注入装置として用いられる場合には、医用画像装置に接続した状態で働く。例えば、装置200は、血管造影検査やCT処置中には、医用画像装置に接続した状態で作動することができる。
接続インタフェース部206は、装置200を、直接もしくは間接的にかかる画像装置に接続するのに用いられる。或る実施形態では、装置200は、インタフェース部206を介して、注入および/または制御の情報を外部の画像装置に伝達することができ、また同様に、インタフェース部206を介して、撮像および/または制御の情報を外部の画像装置から受け取ることができる。
【0027】
図2Aは、装置200が制御パネル212も包含していることも示している。制御パネル212は、例示的な装置200の上部側に位置している。オペレータは、注入処置のために用いることができる様々な注入処置用のパラメータ及び/又はプロトコルをプログラムに組み込むために、制御パネル212とやり取りすることができる。また、オペレータは、使用のために装置200をセットアップし、処置を開始し休止し再開し或いは終了するために、若しくは、様々な注入関連情報(例えば、流量,容量,圧力,立ち上がり時間,処置のタイプ,流体の情報、及び/又は患者の情報など)を視認するために、制御パネル212を用いることができる。図2Aは、制御パネル212の側面上にある様々なユーザ始動のボタン(button)を示している。しかしながら、或る実施形態では、制御パネル212はタッチ始動の画面(touch-activated screen)を有しているかも知れない。
【0028】
或る実施形態では、別体のより大きな制御パネル(不図示)が、装置200と通信可能であるかも知れない。この実施形態では、より大きな制御パネルは、前記制御パネル212によって与えられるのと同様のオペレータ機能性をもたらすものである。しかしながら、このより大きな制御パネルは、患者が横たわっているベッドの手すり(レール:rail)に取り付けることができ、或いは、装置200から離れた他の装置に取り付けることもできる。或る実施形態では、前記より大きな制御パネルは、図1Aに示される制御パネル102と外観が似ている。
【0029】
装置200は、スリーブ216A及び216Bにそれぞれ収容された2つの注射器を有する複式の注射器(デュアルシリンジ)装置である。両注射器は共に、医療用流体を患者に供給することができる。
【0030】
或る実施形態では、スリーブ216A内の注射器は、ホルダ202Aに結合された流体貯留容器から流体を吸い出すことができ、また、スリーブ216B内の注射器は、ホルダ202Bに結合された流体貯留容器から流体を吸い出すことができる。例えば、これらの注射器は、流体補給操作中、流体を吸い込むことができる。
各注射器は、二つの方向のうちの一方にプランジャを駆動するモータ/アクチュエータ・アッセンブリ(不図示)に結合されている。流体補給サイクル中、装置200のモータ/アクチュエータ・アッセンブリは、例えば、スリーブ216Aの注射器内のプランジャを一方向へ駆動し、ホルダ202Aに結合された貯留容器から注射器内へ流体を吸い出すことができる。注入サイクル中、装置200のモータ/アクチュエータ・アッセンブリは、この注射器内のプランジャを逆の方向へ駆動し、流体を吐出することができる。
或る実施形態では、装置200は、2つの異なるモータ/アクチュエータ・アッセンブリを収容しており、一方のアッセンブリは、スリーブ216A内の注射器を駆動し、他方のアッセンブリは、スリーブ216B内の注射器を駆動する。これらのモータ/アクチュエータ・アッセンブリは、注入器ヘッド201の一部であり、当該注入器ヘッド201内に包含される一つ若しくはそれ以上の処理装置(プロセッサ)によって、個別に制御され或いはモニタされることができる。
【0031】
流体流入チューブは、或る実施形態によれば、スリーブ216A及び216B内の注射器を、流体貯留容器および流出ラインに結合している。或る実施形態では、各々の注射器は、デュアルポート注射器(例えば、図3に示されているようなデュアルポート注射器)である。或る実施形態では、一方の注射器ポートは、流体貯留容器に結合された流入配管チューブ用に使用され、第2のポートは、アッセンブリ218A又は218Bを通じて流出(患者)ラインに動作可能なように結合された流出配管チューブ用に用いられる。
【0032】
前端部アッセンブリ218Aはスリーブ216Aに繋がれ、前端部アッセンブリ218Bはスリーブ216Bに繋がれている。スリーブ216A内の注射器からの流出配管チューブは、アッセンブリ218Aを通って患者ラインに向かって延びる一方、スリーブ216B内の注射器からの流出配管チューブは、アッセンブリ218Bを通って患者ラインに向かって延びている。
各アッセンブリ218A及び218Bは、オペレータによって開閉される扉(ドア)又は覆い(カバー)を有している。例えば、オペレータは、チューブを装着するときにドアを開け、装着するとドアを閉じることができる。或る実施形態では、各ドアは、透明もしくは半透明の材料で製作され、たとえドアが閉じられていても、オペレータはアッセンブリ218A又は218Bの中身を視認することができる。
【0033】
或る実施形態では、各前端部アッセンブリ218A及び218Bは、エアー検出器および弁(バルブ)要素(不図示)を有している。エアー検出器は、用いられる流体配管チューブ内の気泡または気柱を検出するのに用いられる。バルブ要素は、流体が配管チューブを通って流れることを許容または制限する。例えば、ピンチバルブ(pinch valve)が用いられる場合、バルブは、或る状態では流体配管チューブを絞って流体の流れを制限するが、別の状態では配管チューブを開いたままにして流体が流れることを許容する。様々な異なった形態のバルブが、アッセンブリ218A及び218B内で用いられることができる。更に、様々な異なった形態のエアー検出器(例えば、超音波式,光学式のもの)が、同様に用いられることができる。
【0034】
或る実施形態では、スリーブ216A内の注射器に結合された流入および流出配管チューブは、前端部アッセンブリ218Aを通って延び、スリーブ216B内の注射器に結合された流入および流出配管チューブは、前端部アッセンブリ218Bを通って延びている。この実施形態では、各アッセンブリ218A及び218Bは、それぞれの注射器用の流入配管チューブに結合された第1ピンチバルブ及び第1エアー検出器を収容し、更に、それぞれの注射器用の流出配管チューブに結合された第2ピンチバルブ及び第2エアー検出器を収容している。これらの構成要素は、図2Dにおいてより明瞭に示されており、以下により詳しく議論されよう。
【0035】
また、図2Aは、患者用接続案内ロッド220を示している。注射器216A及び216Bからの流出配管チューブは、それぞれ前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延び、その後、患者ライン或いはキット(kit:不図示)に結合されている。患者ラインは、或る実施形態によれば、単一の患者処置に用いられる使い捨てのラインである。各患者ラインは、前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延びる流出配管チューブに対して接続することができ、また、接続を断つこともできる。
患者ラインは、或る実施形態によれば、接続案内ロッド220を介して流出配管チューブに接続されている。患者ラインは、流出配管チューブと結合状態になるために、接続案内ロッド220を覆って摺動(スライド:slide)することができる。或る実施形態では、患者ラインに2つの管要素(チューブエレメント:tube element)があり、各エレメントは、スリーブ216A又は216B内の注射器の流出チューブエレメントの一つに対応している。或る例示的な患者ラインが、図4に示されており、以下により詳しく議論されよう。
【0036】
或る実施形態では、例えば装置200のような医療用流体注入装置は、3つ若しくはそれ以上の加圧ユニットを含む複数の加圧ユニットを有している。これら加圧ユニットの各々は、作動中、別々のスリーブ内に包含されることができる。
幾つかの実施形態では、複数の加圧ユニットが同じタイプの流体を収容しているかも知れない。例えば、第1の加圧ユニットが造影剤を収容し、第2の加圧ユニットは希釈剤(例えば生理食塩水)を収容し、第3の加圧ユニットは造影剤を収容しているかも知れない。この状況(シナリオ:scenario)では、第3の加圧ユニットは、予備的または2次的な造影剤の供給源を構成しているかも知れない。この例では、第1及び第3の加圧ユニットは共に、例えば、前端部アッセンブリ218A又は218Bに類似した前端部アッセンブリのような、共通の前端部アッセンブリに結合されているかも知れない。
【0037】
図2Bは、図2Aに示された装置200の別の概略斜視図である。図2Bにおいては、前端部アッセンブリ218A及び218Bに沿ったスリーブ216A及び216Bが、より明瞭に見ることができる。図2Bの例では、アッセンブリ218A及び218Bのドアは閉じられているけれども、これらドアは半透明の材料で製作されており、内部のピンチバルブ及びエアー検出器構成要素はより明瞭に見ることができる。
また、図2Bは、接続ポート222及び224も示している。或る実施形態では、(例えば、図4に示されたコネクタ410に結合されたもののような)圧力変換器コネクタが、接続ポート224に接続されることができる。圧力変換器コネクタは、患者ラインの血行動態の信号(シグナル:signal)を計測する圧力変換器に、動作可能なように結合される。圧力変換器を接続ポート224に接続することにより、装置200は、患者ライン内で検出される患者の血行動態圧力信号を利用および処理することができる。
【0038】
装置200には、手動制御装置(不図示)に接続されることができる接続ポート222もある。或る実施形態では、手動制御装置は、オペレータによって単一の患者処置用に使用される使い捨ての構成要素である。
手動制御装置は、注射器216A及び216Bの一方または両方の作動を制御することができる。例えば、オペレータは、ボタンを押すか或いはそうでなければ手動制御装置とやり取りをし、モニタ/アクチュエータ・アッセンブリにスリーブ216A内の注射器から流体を注入せしめることができ、また、別のボタンを押すか或いはそうでなければ手動制御装置とやり取りをし、モニタ/アクチュエータ・アッセンブリにスリーブ216B内の注射器から流体を注入せしめることができる。従って、スリーブ216A内の注射器が造影剤を収容し、スリーブ216B内の注射器が希釈剤を収容している場合には、オペレータは、手動制御装置の或る1つのボタンを押して造影剤を患者ラインへ注入することができ、また、別のボタンを押して生理食塩水を注入することができる。
或る実施形態では、手動制御装置は、流量可変機能を有しており、オペレータが、ボタンをより強く押す、つまり構成要素をより強く作動させるほど、スリーブ216A又は216B内の注射器から注入される流体の流量が増大する。
【0039】
図2Cは、装置200の別の概略斜視図である。図2Cは、或る実施形態に従った装置200の上方からの眺めを示している。
【0040】
また、図2Cは、前端部アッセンブリ218A及び218Bのドア221A及び221Bをそれぞれ示している。注記したように、或る実施形態では、アッセンブリ218A及び218Bの各々は、それぞれ可動ドア221A及び221Bを有している。ドア221Aはアッセンブリ218Aを覆い、ドア221Bはアッセンブリ218Bを覆っている。図2Cの実施形態においては、ドア221A及び221Bは、透明もしくは半透明の材料で製作されており、オペレータは、(図2Dにより詳しく示されている)アッセンブリ218A及び218Bの中身を視認することができる。
ドア221Aには把手(ハンドル:handle)219Aがあり、ドア221Bには把手219Bがある。オペレータは、ドア221A及び221Bを開閉するのに、把手219A及び219Bをそれぞれ利用することができる。ドア221A及び221Bは、当該ドア221A及び221Bが開閉されることができるようにする一つ若しくはそれ以上の蝶番(ヒンジ:hinge)228に結合されている。
【0041】
図2Cには、枢支ピン(ピボットピン:pivot pin)229も示されている。或る実施形態によれば、ヒンジ228を通して枢支ピン229が挿通され、ドア221A及び221Bが、オペレータによって自在に開閉されることが確実にできるようにしている。ドア221A及び221Bは、枢支ピン229を通って伸びる軸線を中心にして旋回する。
【0042】
或る実施形態では、枢支ピン229は、その箇所にネジ込まれている。また、枢支ピン229は、オペレータによって取り除かれることもできる。例えば、オペレータは、枢支ピン229を螺脱して前端部アッセンブリ218A及び218Bから除去することができる。枢支ピン229が除去された後、ドア221A及び221Bもアッセンブリ218A及び218Bから除去することができる。例えば、オペレータがドア221A及び221Bを清掃もしくは取り換えることを望む場合には、ドア221A及び221Bを取り外すことを選択することができる。
【0043】
図2Dは、或る実施形態に係る前端部アッセンブリ218A及び218Bをより詳細に示す斜視図である。図2Dには、ドア221A及び221Bは示されていないが、これらドアは透明もしくは半透明の材料で製作されており、たとえドア221A及び221Bが閉じられていても、アッセンブリ218A及び218Bの中身は、オペレータによって、より明瞭に視認されることができる。
【0044】
前端部アッセンブリ218Aには、第1エアー検出器230A,第1ピンチバルブ232A,第2ピンチバルブ234A及び第2エアー検出器236Aが備えられている。ホルダ202Aの貯留容器からの流入配管チューブは、或る実施形態によれば、エアー検出器230A及びピンチバルブ232Aを通り、第1注射器ポートを介して、スリーブ216A内の注射器へ延びている。スリーブ216A内の注射器の第2注射器ポートに結合された流出配管チューブは、ピンチバルブ234A及びエアー検出器236Aを通って延び、その後、(例えば図4に示されるもののような)外部の患者ライン若しくはキットに結合される。
エアー検出器230Aは、流入配管チューブ内の気泡または気柱を検出するのに用いられ、エアー検出器236Aは、流出配管チューブ内の気泡または気柱を検出するのに用いられる。エアー検出器230A及び236Aは、音響式,光学式、或いは他の形式のエアー検出器で構成されていてもよい。
エアー検出器230A及び236Aの何れか一方または両方が、流入配管チューブ及び/又は流出配管チューブ内に計測可能な量のエアーを検出した場合には、これら検出器は、装置200の注入器ヘッド201へ信号を伝播することができる。
注入器ヘッド201の一つ若しくはそれ以上のプロセッサは、これらの受信された信号を処理することができる。注入器ヘッド201は、制御パネル212を介して、オペレータに警告メッセージ若しくは警報を与えることができ、オペレータは適切な行動をとることができる。また、或る実施形態では、注入器ヘッド201は、流入および/または流出配管チューブ内にエアーが検出された場合には、注射器を駆動するモータ/アクチュエータ・アッセンブリの作動を制御することにより、スリーブ216A内の注射器からの流体の如何なる注入をも、自動的に休止あるいは終了させることができる。
【0045】
ピンチバルブ232Aは、流入配管チューブからスリーブ216A内の注射器内への流体の流れを制御する。注入器ヘッド201は、ピンチバルブ232Aの作動を制御する。注入器ヘッド201がピンチバルブ232Aを開弁した場合には、ホルダ202Aに結合された貯留容器から注射器内へ流体が流れることができる。ピンチバルブ232Aが閉じられている場合には、流入配管チューブ内での如何なる流体の流れも許容されることはない。例えば、注入器ヘッド201が注射器に流体を供給しているときには、注入器ヘッド201は、ピンチバルブ232Aを開いて流入配管チューブ内で流体が流れることができるようにするが、ピンチバルブ234Aは閉じて流出配管チューブ内での如何なる流体の流れをも禁止することができる。
注射器内のプランジャは、流体を注射器に供給するために、(モータ/アクチュエータ・アッセンブリにより)第1の方向へ移動させられることができる。流体の注入が生じると、モータ/アクチュエータ・アッセンブリは、注射器内のプランジャを、逆向きの第2の方向へ移動させることになる。
注入器ヘッド201は、注入処置中は、流入配管チューブ内の流体の流れを禁止するために、ピンチバルブ232Aを閉じることができる。しかしながら、注入器ヘッド201は、かかる処置中に、ピンチバルブ234Aを開いて流出配管チューブ内で流体が流れることができるようにすることができる。注入器ヘッド201は、このようなやり方で、ピンチバルブ232A及び234Aを用いて、様々な操作(例えば、補給操作および注入操作)中、流入および流出配管チューブ内の流体の流れを制御する。
【0046】
或る実施形態では、ピンチバルブ232A及び234Aは、電磁(ソレノイド:solenoid)式のピンチバルブである。別の実施形態では、例えば空圧式のバルブなど、他の形式のピンチバルブ232A及び234Aが用いられてもよい。或る実施形態では、ピンチバルブ232A及び234Aは、閉弁位置において不履行(デフォルト:default)状態を有している。従って、装置200が、スリーブ216A内の注射器内への流体の供給も、前記注射器からの注入もしていないときには、ピンチバルブ232A及び234Aは共に閉じられている。その後、ピンチバルブ232A及び/又は234Aにエネルギーが能動的に供給されると、装置200によってピンチバルブ232A及び234Aが開かれることができる。ピンチバルブ232A及び/又は234Aにエネルギーが供給されない場合には、これらバルブはデフォルトの閉弁位置に戻る。従って、装置200に何らかの電源異常がある場合には、バルブ232A及び234Aは閉弁位置に戻ることになる。このことは、装置200の安全性を高めるのに役立つことができる。
【0047】
同様に、前端部アッセンブリ218Bには、第1エアー検出器230B,第1ピンチバルブ232B,第2ピンチバルブ234B及び第2エアー検出器236Bが備えられている。ホルダ202Bに接続された貯留容器からの流入配管チューブは、エアー検出器230B及びピンチバルブ232Bを通り、スリーブ216B内の注射器へ延びている。注射器の第2注射器ポートに結合された流出配管チューブは、ピンチバルブ234B及びエアー検出器236Bを通って延び、その後、患者ラインに結合されることができる。装置218B内の構成要素は、或る実施形態によれば、上述のように装置218A内に収容されたものと同様に機能する。
【0048】
図2Eは、或る例示的な実施形態に係る装置200の案内ロッド220をより詳細に示す概略斜視図である。この例示的な実施形態では、案内ロッド220はピン223を備えている。ピン223は、以下において更に詳しく説明されるように、例えば患者ラインの流体接続アッセンブリなどの外部の構成要素に、嵌合するか、そうでなければ接続することができる、案内ロッド220の一部を構成している。
或る実施形態では、流体接続アッセンブリは、少なくとも1つの流体コネクタと嵌合機構とロック機構とを備えることができる。嵌合機構は、少なくとも1つの流体コネクタに結合され、該少なくとも1つの流体コネクタを、装置200の高圧配管チューブに接続するように構成されている。ロック機構は、嵌合機構に結合され、ロック位置またはアンロック位置へ動くことができる。
ロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリは装置200に確実に結合されるようになる。例えば、ロック機構は、自身がロック位置にあるときには、以下により詳しく説明されるように、案内ロッド220のピン223を係合もしくは受け合うことができ、ロック機構は、案内ロッド220に確実に結合されるようになる。例えば、ロック機構がロック位置にあるときには、ピン223は、流体接続アッセンブリの一部分の溝部の内部に在るか、そうでなければ溝部内に拘留(ロック:lock)されてもよい。
ロック機構は、アンロック位置へ動くと、案内ロッド220のピン223を係合解除し、ロック機構が、装置200の案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されるようになる。これらの態様は、図5A〜5Dを参照しながら、以下において更に詳しく説明されよう。
【0049】
図3は、或る実施形態に係る装置200と共に用いることができる例示的な注射器301の概略斜視図である。この注射器301は、スリーブ216A又は216Bの何れか内に装着されることができる。注射器301がスリーブ216A内に装着される場合には、当該注射器は、ホルダ202A(図2A参照)に接続された流体貯留容器に結合され、更に、患者ライン(図4参照)に結合されることができる。
【0050】
図3の例では、注射器301は、デュアルポート(dual-port)注射器である。流入ポート300は流入配管チューブ308に結合され、流出ポート302は流出配管チューブ304に結合されている。流入配管チューブはコネクタ310に結合されており、このコネクタは、注射器301がスリーブ216A内に装着されていると仮定すれば、ホルダ202A内の流体貯留容器に接続されることができる。例えば、コネクタ300が先の尖ったスパイク(spike)状のものである場合には、当該スパイクは、ホルダ202Aに接続された医療用流体の容器(ボトル:bottle)内に挿入されることができる。流出配管チューブ304は、当該流出配管チューブ304を別物の患者ラインに結合するコネクタ306に結合されている。或る実施形態では、コネクタ306は、ルアー型(Luer-type)のコネクタである。
【0051】
流体は、流入配管チューブ308を介して、流体貯留容器から注射器301のポート300内に吸引される。また、流体は、注射器301のポート302から流出配管チューブ304内に吐出される。流入配管チューブ308は、先により詳しく説明されている、前端部アッセンブリ218Aのエアー検出器230A及びピンチバルブ232A(図2D参照)を通って延び、一方、流出配管チューブ304は、ピンチバルブ234A及びエアー検出器236Aを通って延びることができる。
或る実施形態では、流入配管チューブ308と並んだ注射器301,コネクタ310,流出配管チューブ304及びコネクタ306は、使い捨てで多重用途の部品である。すなわち、これらの部品は、装置200から接続が外され処分される前に、多重の用途または患者の処置にわたって装置200内で使用されることができる。別の実施形態では、これらの部品は、使い捨てで単一用途の部品であり、このことは、単一の患者の処置の後に、処分されることを意味している。
【0052】
或る実施形態では、注射器301は、また、装置100(図1A参照)内でも用いることができる。装置100内で用いられる場合には、コネクタ310はホルダ110の流体貯留容器に接続され、流出配管チューブ304は患者用マニホールドセンサ114を通って延びることになる。
【0053】
図4は、図2A〜2Cに示された本発明の一実施形態に係る注入装置200と共に用いることができる患者ライン400の概略斜視図である。患者ライン400には、組立体(アッセンブリ)401,弁(バルブ)416,停止栓(ストップコック:stopcock)418及びコネクタ420が、備えられている。患者ライン400は、医療用流体を患者に供給するのに用いられるカテーテルに、装置200を結合するのに使用されるものである。
【0054】
アッセンブリ401には、第1流体コネクタ402と第2流体コネクタ404とがある。アッセンブリ401が装置200に結合される場合、流体コネクタ402は、スリーブ216A又は216B内の注射器の一方に結合されている流出配管チューブ用のコネクタに接続され、一方、流体コネクタ404は、他方の注射器に結合されている流出配管チューブ用のコネクタに接続される。例えば、流体コネクタ402は、スリーブ216A内の注射器用の流出配管チューブ304に結合されているコネクタ306(図3参照)に接続されることができる。
患者ライン400は、或る実施形態では、使い捨てのキット(kit)であり、コネクタ402及び404は、オペレータにより、例えばコネクタ306のような配管チューブコネクタに接続され、また配管チューブコネクタから取り外されることができる。或る実施形態では、患者ライン400は、単一用途の使い捨てキットであり、或る患者用の装置200に接続され、その後、引き続いて接続が外され廃棄される。
【0055】
或る実施形態によれば、アッセンブリ401は、当該アッセンブリ401を装置200の案内ロッド220上に摺動させ所定の位置にロックすることにより、装置200に結合されることができる。てこ(レバー:lever)403は、案内ロッド220に結合されている場合には、アッセンブリ401をロック及びアンロックするのに用いられることができる。
レバー403は、アッセンブリ401を案内ロッド220にロックするために第1位置へ移動させられることができ、また、アッセンブリ401をアンロックするために第2位置へ移動させられることができる。例えば、オペレータは、アッセンブリ401が動かないように固定されて注入処置中での使用のために準備されるように、レバー403を引っ張り上げてアッセンブリ401をロックすることができる。注入処置が完了した後、オペレータは、アッセンブリ401が案内ロッド220から取り外すことができるように、レバー403を押し下げてアッセンブリ401をアンロックすることができる。
【0056】
流体コネクタ402は操作可能に配管チューブ406に接続され、流体コネクタ404は操作可能に配管チューブ408に接続される。或る実施形態では、流体コネクタ402は、造影剤を収容したスリーブ216A内の注射器に結合され、一方、流体コネクタ404は、例えば生理食塩水などの希釈剤を収容したスリーブ216B内の注射器に結合されている。従って、この実施形態では、造影剤は患者ライン400の配管チューブ406内に注入され、一方、希釈剤は配管チューブ408内へ注入される。
配管チューブ406及び408はバルブ416に接続されており、或る実施形態では、当該バルブは、配管チューブ406及び408の一方のみから流出配管チューブ417へ流体が流れることを許容する弾性(エラストマー型の:elastomeric-type)バルブを構成している。或る実施形態では、バルブ416は、流出配管チューブ417に向かう方向のみに流体の流れを許容する一方弁を構成している。或る場合には、案内ロッド220は、これらのコネクタを整列させることにより、挿入中に、非滅菌状態の物品に接触することを防止し、コネクタ402及び404の滅菌性を維持するのに役立つことができる。
【0057】
図4に示されるように、配管チューブ408は、逆止弁(チェックバルブ:check valve)412及び変換器(トランスデューサ:transducer)414に結合されている。或る実施形態では、逆止弁412は、二方向性の逆止弁で構成されている。変換器414は、或る実施形態では、患者内に挿入されているカテーテルに患者ライン400が結合されている場合に患者の血行動態の信号を計測することができる、圧力変換器で構成されている。変換器コネクタ410は、例えばポート224(図2B参照)などによって、装置200に結合されることができる。接続された場合、変換器414により生成された血行動態信号は、装置200内のプロセッサによって処理されることができる。
【0058】
流出配管チューブ417は、停止栓418に結合され、図4に示されているコネクタ420に結合されている。停止栓418は、流体の流れを制御するために、オペレータによって手動で操作されることができ、また、例えば注射器などの他の外部装置にも接続されることができる。コネクタ420は、患者ライン400を、患者に流体を供給することができる外部のカテーテルに接続するのに用いられる。或る実施形態では、コネクタ420は、ルアータイプ(Luer-type)のコネクタで構成されている。
【0059】
或る実施形態では、患者ライン400は、図1Aに示された装置100と共に用いられることもできる。装置100と共に用いられる場合には、変換器コネクタ410は、装置100のプロセッサが血行動態信号を処理できるように、装置100内の嵌め合いポート(不図示)に結合される。アッセンブリ401も、この実施形態では、装置100に結合されることができる。
患者ライン400は、患者用マニホールドセンサ114に結合されたマニホールドバルブに結合されることができ、接続ポート402は注射器からの配管チューブに結合されることができる一方、接続ポート404は、ポンプ106を通って延びる配管チューブに接続されることができる。この実施形態では、配管チューブ417は、装置100のエアー検出器116に結合されるか、若しくはエアー検出器を通って延びることができる。
【0060】
図5A〜5Dは、例えば装置100或いは装置200のような、本発明の一実施形態に係る動力付き医療用流体注入装置に接続され得る流体接続アッセンブリの概略斜視図である。以下の説明においては、図説のみの目的で、流体接続アッセンブリ401は、装置200に接続されるように構成されている。
【0061】
流体接続アッセンブリ401は、少なくとも1つの流体コネクタと嵌合機構とロック機構とを備えることができる。図5A〜5Dの例では、流体接続アッセンブリ401は、2つの流体コネクタ402及び404を有している。嵌合機構は、流体コネクタ402及び404に結合されることができるものであり、1つ若しくはそれ以上の第1覆い(ハウジング:housing)部材502,第2ハウジング部材504、及びレバー403を備えることができる。ロック機構は、1つ若しくはそれ以上の第1ハウジング部材502,第2ハウジング部材、及びレバー403を備えることができる。
【0062】
或る実施形態では、流体接続アッセンブリ401の嵌合機構は、流体コネクタ402及び404を装置200に接続するように構成されている。ロック機構は、嵌合機構に結合されることができ、また、ロック位置またはアンロック位置へ可動である。ロック機構がロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリ401は、以下により詳しく説明されるように、装置200に確実に結合されるようになる。また、ロック機構がアンロック位置にあるときには、流体接続アッセンブリ401は、装置200から取り外し可能に結合解除されるようになる。
【0063】
図5A〜5Dに示されるように、第1流体コネクタ402には、第1端末コネクタ508及び第1チューブコネクタ506が備えられている。また、第2流体コネクタ404には、第2端末コネクタ512及び第2チューブコネクタ510が備えられている。第1端末コネクタ508及び第2端末コネクタ5512は、装置200に包含されているかそうでなければ挿入されている配管チューブ用の、対応するチューブコネクタに接続されることができる。例えば、前述のように、オペレータは、装置200のスリーブ216A及び216B内に加圧ユニットを装着することができる。オペレータは、その後、2つの加圧ユニットの各々に接続される配管チューブを装着することができる。
【0064】
例えば、オペレータは、前端部アッセンブリ218Aのピンチバルブ234A及びエアー検出器236Aを通って、第1加圧ユニットの流出ポート(例えば、注射器301の流出ポート302)に接続される、第1配管チューブ(例えば、図3に示されている配管チューブ304)を装着することができ、また、前端部アッセンブリ218Bのピンチバルブ234B及びエアー検出器236Bを通って、第2加圧ユニットの流出ポートに接続される、第2配管チューブを装着することができる。
前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延びる配管チューブは、流体接続アッセンブリ401が装置200に接続されているときに、第1及び第2端末コネクタ508及び512に嵌合もしくは繋がる、対応するチューブコネクタ(例えば、図3に示されているコネクタ306)に結合されることができる。
流体コネクタ402及び404は、配管チューブ406及び408にそれぞれ結合されることができ、その結果、前端部アッセンブリ218A及び218Bを通って延びる配管チューブから、アッセンブリ401を通って配管チューブ406及び408内へ、流体が流れることができる。配管チューブ408は、流体コネクタ404に結合されるために、チューブ用通路(チャンネル:tube channel)530を介してハウジング部材502及び504を通って延びることができる。
【0065】
或る実施形態では、オペレータは、流体接続アッセンブリ401を装置200の案内ロッド220上に嵌挿させることにより、当該流体接続アッセンブリ401を装置200に接続することができる。図5Dは、流体接続アッセンブリ401の概略斜視図を示しており、そこでは、第2ハウジング部材504が、流体接続アッセンブリ401の嵌合機構の一部を構成することができる案内ロッド用溝部(チャンネル:channel)504を有している。
オペレータは、案内ロッド220を、当該案内ロッド220を受容する案内ロッド用チャンネル540内に挿入することにより、流体接続アッセンブリ401を装置200に対し手動で嵌合させることができる。その後、オペレータは、案内ロッド220に沿って流体接続アッセンブリ401を移動させ、当該流体接続アッセンブリ401を装置200に接続することができる。
案内ロッド用チャンネル540内での案内ロッド220の挿入は、流体コネクタ402及び404を装置200の対応するコネクタ(例えば、図3に示されているコネクタ306)に整列させるのに助けとなり得る。アッセンブリ401の確実動作の嵌合機構は、流体コネクタ402及び404を装置200の対応するコネクタと接続するのに助けとなり得る。特に、嵌合機構は、端末コネクタ508及び512を対応する流体コネクタと接続することができる。
【0066】
案内ロッド用チャンネル540が装置200の案内ロッド220を受け合うと、ロック機構がロック位置にある場合には、アッセンブリ401のロック機構は案内ロッド220に確実に結合されるようになる。例えば、オペレータは、装置200の作動中およびアッセンブリ401を通じての流体の注入中はアッセンブリ401が実質的に移動できないように、アッセンブリ401を、案内ロッド220及び装置200に関して所定の位置にロックすることを望むかも知れない。
【0067】
例えば、オペレータは、アッセンブリ401のレバー403をロック位置へ動かして、ロック機構を案内ロッド220に対して確実に結合することができる。或る状況(シナリオ)では、オペレータは、レバー403を、図5A〜5Dに示されるように、ハウジング部材502及び504に関して実質的に平らな(フラット:flat)位置から、ハウジング部材502及び504に関して直立した(アップライト:upright)位置へ回動させて、レバー403をアンロック位置からロック位置へ動作させることができる。この状況では、レバー403が、ハウジング部材502及び504の少なくとも1つによって定められる平面に対し実質的に垂直な第1の平面に沿って位置している場合に、ロック機構はロック位置にある。
また、レバー403が、ハウジング部材502及び504の少なくとも1つによって定められる平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って位置している場合に、ロック機構はアンロック位置にある。ロック機構は、当該ロック機構がアンロック位置にある場合には、装置200の案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されるようになる。
【0068】
図5Bに示されるように、アッセンブリ401は、ロック用溝部520も有している。このロック用溝部520は、アッセンブリ401のロック機構の一部であり得る。例えば、ロック用溝部520は、レバー403の一部であってもよい。
或る例では、案内ロッド220の一部分がロック用溝部520内で拘留(ロック:lock)されて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を制限する場合に、アッセンブリ401のロック機構はロック位置にある。また、案内ロッド220の一部分がロック用溝部520内でロック解除されて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を許容する場合に、ロック機構はアンロック位置にある。
【0069】
例えば、案内ロッド220のピン223(図2E)がロック用溝部520内でロックされて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を制限する場合に、アッセンブリ401のロック機構はロック位置にあることができる。ロック機構がロック位置に動かされている、若しくは回動させられている場合には、案内ロッド220のピン223は、ロック用溝部520内に摺動し当該ロック用溝部520内にしっかりと係合されることができ、アッセンブリ401は、案内ロッド220から取り外されることはできない。この位置では、アッセンブリ401は、案内ロッド220に確実に結合されていると見なすことができる。
【0070】
案内ロッド220のピン223がロック用溝部520内でロック解除されて、アッセンブリ401の案内ロッド220上での動作を許容する場合には、ロック機構はアンロック位置にあることができる。ロック機構がアンロック位置に動かされ若しくは回動させられている場合には、ピン223は、ロック用溝部520から抜け出し当該ロック用溝部520から係合解除されるようになり、アッセンブリ401は、案内ロッド220から取り外されることができる。ロック機構がアンロック位置にあるときには、アッセンブリ401は、案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されていると見なすことができる。
【0071】
図7A〜7Bにより明瞭に示されるように、或る実施形態では、レバー403は複数の肋材(リブ:rib)を有している。幾つかの場合においては、少なくとも1つの流体コネクタ402及び404は、少なくとも1つの透明な端末コネクタを有している。例えば、端末コネクタ508及び512の一方または両方は、透明なコネクタを構成することができる。
【0072】
或る実施形態では、少なくとも1つの流体コネクタ402及び404の一部分は、外側被覆(オーバ・モールド:overmold)された熱可塑性エラストマー(elastomer)で製作されてもよい。例えば、チューブコネクタ506及び510は、オーバ・モールドされた熱可塑性エラストマーで製作されてもよい。
幾つかの場合においては、アッセンブリ401が装置200に接続されると、そして、レバー403が案内ロッド220にロックされると、チューブコネクタ506及び510は、エアー検出器236Aとエアー検出器236Bの間にそれぞれ挿入されることができる。これらの場合には、装置200は、チューブコネクタ506及び/又は510内にエアーが存在するかどうかを判定するのに、エアー検出器236A及び236Bを利用することができる。
例えば、エアー検出器236A及び236Bは、チューブコネクタ506及び/又は510内に気泡または気柱が存在するかどうかを判定することができる音響式のエアー検出器で構成されていてもよい。
【0073】
このように、装置200は、アッセンブリ401が装置200に接続された後には、使い捨ての部品を構成し得るアッセンブリ401内部のエアーを検出することができる。エアー検出器236A及び/又は236Bを用いることは、スリーブ216A及び216B内に装着された加圧ユニットの十分に下流側に存在するあらゆるエアーを特定するのに助けとなり得る。従って、これらの加圧ユニットに接続された配管チューブ内、並びにチューブコネクタ506及び/又は510に接続された配管チューブ内に存在し得るあらゆるエアーは、エアー検出器236A及び/又は236Bによって検出することができる。
【0074】
幾つかの事例では、オペレータは、患者注入処置中、滅菌領域内でアッセンブリ401を装置200に接続することを望むかも知れない。これらの事例では、装置200は非滅菌構成要素であってもよく、一方、アッセンブリ401は、滅菌され、患者注入処置中に使用されてその後に廃棄されるべき使い捨ての構成要素であってもよい。(装置200の一部分もしくはより多くの部分が、滅菌された掛け布(ドレープ:drape)で覆われていてもよい。)その結果、オペレータは滅菌領域内で滅菌性を維持し、オペレータは、片手だけを用いる操作でアッセンブリ401を装置200に接続することができる。
【0075】
例えば、オペレータは、装置200の案内ロッド220付近にアッセンブリ401を保持するのに片手だけを用い、それから、案内ロッド220をアッセンブリ401の案内ロッド用チャンネル540内に挿入せしめることができ、流体コネクタ402及び404は、接続のために装置200の対応する流体コネクタに向かって移動する。それに続いて、オペレータは、自身の手の1本もしくはそれ以上の指を用いてレバー403をロック位置へ(例えば上向きに)回動させ、案内ロッド220の一部分がロック用溝部520内にロックさせるようにする。この時点で、オペレータは、注入処置を開始することができる。
処置が完了すると、オペレータは、1本もしくはそれ以上の指を用いてレバー403をアンロック位置へ(例えば下向きに)回動させ、アッセンブリ401は、案内ロッド220を媒介として装置200から取り外すことができる。(図4に示された患者ライン400の一部である)アッセンブリ401は、その後、廃棄されることができる。
【0076】
図6は、ロック機構が異なる位置に動かされている、図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリの或る構成要素の概略斜視図である。この図6の例に示されるように、レバー403は、直立した(アップライト)位置へ回動させられており、ハウジング部材504によって定められる平面に対し実質的に垂直な平面に沿って横たわっている。
例えば、オペレータは、片手だけを用いる手動操作で、図6に示されている直立位置へレバー403を動かすことができる。この特定の例では、アッセンブリ401のロック機構の一部であるレバー403は、ロック位置へ動かされており、ロッド220のピン223は、アッセンブリ401と係合している場合、レバー403がアンロック位置からロック位置へ回動させられるときには、ロック用溝部520内にロックされるようになる。
【0077】
また、図6は、アッセンブリ401における別のチューブ用通路(チャンネル:tube channel)560も示している。チューブ用チャンネル560は、ハウジング部材504を通って延びている。流体配管チューブ406(図5A〜5D)は、チューブ用チャンネル560を通って延び、流体コネクタ402に繋がることができる。
【0078】
図7A〜7Cは、図5A〜5Dに示された本発明の一実施形態に係る流体接続アッセンブリ401に包含されるレバー403のより詳細な概略斜視図である。図7A及び7Bは、この実施形態では、レバー403が複数の肋材(リブ:rib)600を有していることを示している。幾つかの例においては、流体接続アッセンブリ401は、射出成形プロセスを用いて製造されることができる。これらの例では、流体接続アッセンブリ401は、リブ600を有することにより、全体を通じてかなり均一な肉厚をもって(例えば、肉厚の大きな塊(thick volumes)なしで)成形されることができる。
【0079】
また、図7Cは、レバー403の下側の概略斜視図であるので、ロック用溝部520のより詳細な図を示している。図7Cから分かるように、案内ロッド220のピン223(図2E)は、レバー403が第1位置から第2位置へ回動されるときに、溝部520内で係合もしくはロックされるようになる。典型的には、オペレータは、装置200の案内ロッド220を、アッセンブリ401の案内ロッド用チャンネル540内で、当該案内ロッド220のピン223が溝部520に近接して位置するまで、挿入することになる。
【0080】
例えば、オペレータは、ピン223が溝部520の一端に位置するまで、案内ロッド220上でアッセンブリ401を移動させることができる。この時点では、レバー403はアンロック位置にある。その後、オペレータは、レバー403をロック位置へ動かす若しくは回動させることができ、その結果、ピン223が、溝部520内に移動し、当該溝部520内に完全に係合されロックされるようになる。一旦、レバー403がロック位置へ動かされると、案内ロッド220のピン223が溝部520内にロックされているので、アッセンブリ401は案内ロッド220に確実に結合されることができる。
その後、オペレータは、レバー403を回動させてアンロック位置へ戻すことができ、その結果、ピン223が溝部520から係合解除されるようになる。この時点では、アッセンブリ401は案内ロッド220から取り外し可能に結合解除されるようになり、その結果、オペレータは、アッセンブリ401を摺動させて案内ロッド220から離脱させ、当該アッセンブリ401を装置200から取り外すことができる。
【0081】
図8は、図5A〜5Dに示された流体接続アッセンブリ401を、例えば装置100(図1A〜1B)及び/又は装置200(図2A〜2E)のような動力付き医療用流体注入装置に接続するのに実行されることができる、本発明の一実施形態に係る方法の流れ(フロー:flow)図である。図説のみの目的で、以下の説明においては、図8に示された方法は、流体接続アッセンブリ401を装置200に接続するのに実行されるものと想定される。
【0082】
最初に、流体接続アッセンブリ(例えば流体接続アッセンブリ401)の少なくとも1つの流体コネクタ(例えば流体コネクタ402及び/又は404)が医療用流体注入装置(例えば装置200)に接続される(ステップ800)。例えば、臨床医などのオペレータは、前記少なくとも1つの流体コネクタを装置に(例えば、装置200の、図3に示されたコネクタ306などに)接続することができる。或る実施形態では、前記少なくとも1つの流体コネクタと医療用流体注入装置との間には、高圧封止(シール:seal)が創り出される。
【0083】
流体接続アッセンブリのロック機構がロック位置へ動かされて、例えば回動させられて、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置に確実に結合する(ステップ802)。流体接続アッセンブリが使用されると、当該流体接続アッセンブリのロック機構がアンロック位置へ動かされて、例えば回動させられて、流体接続アッセンブリを医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除する(ステップ804)。幾つかの場合には、オペレータは、片手だけの操作を用いて手動で、ロック機構をロック位置かアンロック位置へ、動かす若しくは回動させることができる。
【0084】
幾つかの事例では、少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続することは、当該医療用流体注入装置の案内ロッド(例えば、図2A〜2C及び2Eに示された案内ロッド220)を、案内ロッド用チャンネル(例えば、図5Dに示された案内ロッド用チャンネル540)内に受容することを包含しているかも知れない。これらの事例では、ロック機構がロック位置へ動かされて、当該ロック機構を案内ロッドに確実に結合することができる。また、ロック機構がアンロック位置へ動かされて、当該ロック機構を案内ロッドから取り外し可能に結合解除することができる。案内ロッドが案内ロッド用チャンネル内に受容されて、少なくとも1つの流体コネクタが、医療用流体注入装置の少なくとも1つの対応するコネクタと整列できるようにすることができる。
【0085】
ロック機構は、ロック用溝部(例えば、図5Bに示されたロック用溝部520)を備えることができる。ロック機構がロック位置に動かされている場合には、案内ロッドの一部分がロック用溝部内にロックされて、案内ロッド上での流体接続アッセンブリの動作を制限することができる。ロック機構がアンロック位置へ動かされると、案内ロッドの前記一部分はロック用溝部内でアンロックされて、案内ロッド上での流体接続アッセンブリの動作を許容することができる。
【0086】
或る実施形態では、ロック機構をロック位置へ動かすことは、流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材(例えばハウジング部材502及び/又は504)によって定められる平面に実質的に垂直な第1の平面に沿って、レバー(例えばレバー403)を位置させることを包含していてもよい。また、ロック機構をアンロック位置へ動かすことは、前記少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って位置させることを包含していてもよい。幾つかの事例では、オペレータは、片手だけの操作を用いて手動で、ロック機構をロック位置かアンロック位置へ、動かすことができる。
【0087】
幾つかの場合には、流体配管チューブ(例えば配管チューブ406及び/又は408)が、例えばオペレータなどによって、流体接続アッセンブリに接続されてもよい。方法は、ロック機構をロック位置へ動かすと、医療用流体注入装置から前記流体接続アッセンブリ内および前記流体配管チューブ内へ医療用流体を注入するステップを更に有することができる。例えば、装置200は、スリーブ216A又は216B内の加圧ユニットから流体接続アッセンブリ内および流体配管チューブ内へ、流体を注入することができる。
【0088】
医療用流体の注入に続いて、方法は、(例えばユーザによって)ロック機構をアンロック位置へ動かすステップを更に有することができる。ロック機構をアンロック位置へ動かすと、流体接続アッセンブリは医療用流体注入装置から取り外すことができる。
【0089】
或る実施形態では、少なくとも1つの流体コネクタは滅菌された構成要素を有しており、医療用流体注入装置は滅菌されていない構成要素を有していてもよい。この実施形態では、オペレータは、少なくとも1つの流体コネクタの滅菌性を維持しつつ、前記少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するために、片手だけの手動操作を用いることができるかも知れない。
【0090】
或る実施形態では、少なくとも1つの流体コネクタの一部分は、医療用流体注入装置のエアー検出器(例えば、図2Dに示されたエアー検出器236A又は236B)内に挿入されてもよい。エアー検出器は、前記少なくとも1つの流体コネクタの一部分に、一定量のエアーが存在するか否かを判定することができる。エアーが存在する場合には、前記少なくとも1つの流体コネクタの一部分からエアーが排出されるように、装置はオペレータに警告を発することができる。幾つかの事例では、前記少なくとも1つの流体コネクタの一部分内でエアーが検出された場合には、オペレータは、注入処置を終了させるか、或いは装置から流体接続アッセンブリを取り外すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体接続アッセンブリであって、
少なくとも1つの流体コネクタと、
前記少なくとも1つの流体コネクタに結合され、この少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するように構成された嵌合機構と、
前記嵌合機構に結合され、ロック位置またはアンロック位置に可動であるロック機構と、を備え、
前記流体接続アッセンブリは、前記ロック機構がロック位置にあるときには、前記医療用流体注入装置に対し確実に結合され、
また、前記流体接続アッセンブリは、前記ロック機構がアンロック位置にあるときには、前記医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除される、
ことを特徴とする流体接続アッセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流体コネクタは複数の流体コネクタで成り、
前記嵌合機構は、前記流体コネクタに結合された少なくとも1つのハウジング部材を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項3】
前記嵌合機構は、前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続した場合に、当該医療用流体注入装置の案内ロッドを受け合うように構成された案内ロッド用チャンネルを備えており、
前記ロック機構は、当該ロック機構がロック位置にあるときには、前記案内ロッドに対し確実に結合され、
また、前記ロック機構は、当該ロック機構がアンロック位置にあるときには、前記案内ロッドから取り外し可能に結合解除される、
ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項4】
前記ロック機構はロック用溝部を備えており、
前記案内ロッドの一部分が前記ロック用溝部内でロックされて、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を制限する場合には、前記ロック機構はロック位置にあり、
前記案内ロッドの前記一部分が前記ロック用溝部内でロックされておらず、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を許容する場合には、前記ロック機構はアンロック位置にある、
ことを特徴とする請求項3に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項5】
前記案内ロッド用チャンネルは、前記案内ロッドを受容して、前記少なくとも1つの流体コネクタと、前記医療用流体注入装置の少なくとも1つの対応するコネクタとが、整列することを許容するように構成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項6】
前記ロック機構はレバーを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項7】
前記レバーが、前記流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面に実質的に垂直な第1の平面に沿って位置している場合には、前記ロック機構はロック位置にあり、
前記レバーが、前記流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って位置している場合には、前記ロック機構はアンロック位置にある、
ことを特徴とする請求項6に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項8】
前記レバーは複数のリブを備えている、ことを特徴とする請求項6に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流体コネクタは少なくとも1つの透明な端末コネクタを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項10】
前記ロック機構はロック位置またはアンロック位置へ回動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項11】
前記流体接続アッセンブリは使い捨ての滅菌されたアッセンブリを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの流体コネクタに結合された流体配管チューブを更に備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項13】
流体接続アッセンブリの少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するステップと、
前記流体接続アッセンブリのロック機構をロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを前記医療用流体注入装置に対し確実に結合するステップと、
前記流体接続アッセンブリが使用されると、前記流体接続アッセンブリの前記ロック機構をアンロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを前記医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除するステップと、
を備えている、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップは、前記医療用流体注入装置の案内ロッドを案内ロッド用チャンネル内に受容するステップを含み、
前記ロック機構をロック位置へ動かすステップは、前記ロック機構をロック位置へ動かして、当該ロック機構を前記案内ロッドに対し確実に結合するステップを含み、
前記ロック機構をアンロック位置へ動かすステップは、前記ロック機構をアンロック位置へ動かして、当該ロック機構を前記案内ロッドから取り外し可能に結合解除するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ロック機構はロック用溝部を備えており、
前記ロック機構をロック位置へ動かすステップは、前記案内ロッドの一部分を前記ロック用溝部内でロックして、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を制限するステップを含み、
前記ロック機構をアンロック位置へ動かすステップは、前記案内ロッドの前記一部分を前記ロック用溝部内でアンロックして、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を許容するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記医療用流体注入装置の前記案内ロッドを前記案内ロッド用チャンネル内に受容するステップは、前記案内ロッド用チャンネル内に前記案内ロッドを受容して、前記少なくとも1つの流体コネクタと、前記医療用流体注入装置の少なくとも1つの対応するコネクタとが、整列することを許容するステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ロック機構をロック位置へ動かすステップは、前記流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面に実質的に垂直な第1の平面に沿って、レバーを位置させるステップを含み、
前記ロック機構をアンロック位置へ動かすステップは、前記少なくとも1つのハウジング部材によって定められる前記平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って、前記レバーを位置させるステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの流体コネクタは滅菌処理された構成要素を備え、前記医療用流体注入装置は滅菌処理されていない構成要素を備えており、前記少なくとも1つの流体コネクタの滅菌性を維持しつつ、前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップが行われる、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップは、片手だけの手動操作を用いて前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項1】
流体接続アッセンブリであって、
少なくとも1つの流体コネクタと、
前記少なくとも1つの流体コネクタに結合され、この少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するように構成された嵌合機構と、
前記嵌合機構に結合され、ロック位置またはアンロック位置に可動であるロック機構と、を備え、
前記流体接続アッセンブリは、前記ロック機構がロック位置にあるときには、前記医療用流体注入装置に対し確実に結合され、
また、前記流体接続アッセンブリは、前記ロック機構がアンロック位置にあるときには、前記医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除される、
ことを特徴とする流体接続アッセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流体コネクタは複数の流体コネクタで成り、
前記嵌合機構は、前記流体コネクタに結合された少なくとも1つのハウジング部材を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項3】
前記嵌合機構は、前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続した場合に、当該医療用流体注入装置の案内ロッドを受け合うように構成された案内ロッド用チャンネルを備えており、
前記ロック機構は、当該ロック機構がロック位置にあるときには、前記案内ロッドに対し確実に結合され、
また、前記ロック機構は、当該ロック機構がアンロック位置にあるときには、前記案内ロッドから取り外し可能に結合解除される、
ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項4】
前記ロック機構はロック用溝部を備えており、
前記案内ロッドの一部分が前記ロック用溝部内でロックされて、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を制限する場合には、前記ロック機構はロック位置にあり、
前記案内ロッドの前記一部分が前記ロック用溝部内でロックされておらず、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を許容する場合には、前記ロック機構はアンロック位置にある、
ことを特徴とする請求項3に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項5】
前記案内ロッド用チャンネルは、前記案内ロッドを受容して、前記少なくとも1つの流体コネクタと、前記医療用流体注入装置の少なくとも1つの対応するコネクタとが、整列することを許容するように構成されている、ことを特徴とする請求項3に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項6】
前記ロック機構はレバーを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項7】
前記レバーが、前記流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面に実質的に垂直な第1の平面に沿って位置している場合には、前記ロック機構はロック位置にあり、
前記レバーが、前記流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って位置している場合には、前記ロック機構はアンロック位置にある、
ことを特徴とする請求項6に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項8】
前記レバーは複数のリブを備えている、ことを特徴とする請求項6に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流体コネクタは少なくとも1つの透明な端末コネクタを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項10】
前記ロック機構はロック位置またはアンロック位置へ回動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項11】
前記流体接続アッセンブリは使い捨ての滅菌されたアッセンブリを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの流体コネクタに結合された流体配管チューブを更に備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体接続アッセンブリ。
【請求項13】
流体接続アッセンブリの少なくとも1つの流体コネクタを医療用流体注入装置に接続するステップと、
前記流体接続アッセンブリのロック機構をロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを前記医療用流体注入装置に対し確実に結合するステップと、
前記流体接続アッセンブリが使用されると、前記流体接続アッセンブリの前記ロック機構をアンロック位置へ動かして、当該流体接続アッセンブリを前記医療用流体注入装置から取り外し可能に結合解除するステップと、
を備えている、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップは、前記医療用流体注入装置の案内ロッドを案内ロッド用チャンネル内に受容するステップを含み、
前記ロック機構をロック位置へ動かすステップは、前記ロック機構をロック位置へ動かして、当該ロック機構を前記案内ロッドに対し確実に結合するステップを含み、
前記ロック機構をアンロック位置へ動かすステップは、前記ロック機構をアンロック位置へ動かして、当該ロック機構を前記案内ロッドから取り外し可能に結合解除するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ロック機構はロック用溝部を備えており、
前記ロック機構をロック位置へ動かすステップは、前記案内ロッドの一部分を前記ロック用溝部内でロックして、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を制限するステップを含み、
前記ロック機構をアンロック位置へ動かすステップは、前記案内ロッドの前記一部分を前記ロック用溝部内でアンロックして、前記案内ロッド上での前記流体接続アッセンブリの動作を許容するステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記医療用流体注入装置の前記案内ロッドを前記案内ロッド用チャンネル内に受容するステップは、前記案内ロッド用チャンネル内に前記案内ロッドを受容して、前記少なくとも1つの流体コネクタと、前記医療用流体注入装置の少なくとも1つの対応するコネクタとが、整列することを許容するステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ロック機構をロック位置へ動かすステップは、前記流体接続アッセンブリの少なくとも1つのハウジング部材によって定められる平面に実質的に垂直な第1の平面に沿って、レバーを位置させるステップを含み、
前記ロック機構をアンロック位置へ動かすステップは、前記少なくとも1つのハウジング部材によって定められる前記平面と実質的に同一平面内にある第2の平面に沿って、前記レバーを位置させるステップを含んでいる、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの流体コネクタは滅菌処理された構成要素を備え、前記医療用流体注入装置は滅菌処理されていない構成要素を備えており、前記少なくとも1つの流体コネクタの滅菌性を維持しつつ、前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップが行われる、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップは、片手だけの手動操作を用いて前記少なくとも1つの流体コネクタを前記医療用流体注入装置に接続するステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【公表番号】特表2012−509745(P2012−509745A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538643(P2011−538643)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/065450
【国際公開番号】WO2010/062841
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(508286762)アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/065450
【国際公開番号】WO2010/062841
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(508286762)アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
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