説明

ロッドの反り検査方法

【課題】
断面円形のロッド(棒状線材)を、その反り(曲がり)の大小に関して選別する簡便な方法を提供する。
【解決手段】
転がし台上の一面に二つの棒状ストッパーを所定距離離して平行に対向配置し、被検査物ロッドを一方の棒状ストッパーに当接させて転がし台に載置し、回転転落させて他方の棒状ストッパーに到達静止させ、被検査物ロッドの載置位置と静止位置のロッド軸方向のずれ量または静止位置における被検査物ロッドと他方の棒状ストッパーからのずれ量から、被検査物のロッドの反りについての良不良を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド(棒状線材)の反り検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平5−45139号公報には、転動中の丸棒体の一端から長手方向に沿って光を照射し、他端に到達する光の到達量を測定することにより、丸棒体に生じた曲がりを測定する方法が開示されている。すなわち、検査すべき丸棒体を傾斜面から転がり落とし、基準平面状を転動中、丸棒の反りにより光が遮られ、受光器に到達する光量が反りの大きさに関係して変化することを利用した丸棒の反り検査方法および検査装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−45139
【0004】
特開2003−148948号公報には、断面円柱状の光ファイバー母材の両端を保持固定し、光ファイバーの軸方向と直角な方向からレーザー光を照射して光ファイバー母材の外径の変動と径方向の軸ずれを測定し、もって光ファイバー母材の曲がりを測定する方法および測定装置が開示されている。
【0005】
【特許文献2】特開2003−148948
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開平5−45139号公報に記載の方法では、棒状体の曲がりを測定するのにレーザー光源および受光器、それらの精密な位置決め機構を有する光学系装置を必要とする。したがってこの検査装置を用いて製造ラインを構築するには、高額な検査装置の複数台の設置が必要であり、検査設備コストが増大するという好ましくなく、検査コストの低下を目指すという点で課題があった。また、特開2003−148948号公報に記載の測定方法は、光ファイバーの曲がり特性を正確に計測できる利点はあるものの、設備が大がかりであり、経済性よくかつ迅速にロッド状のものの曲がり測定を製造ライン現場で実施することは不向きであるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされた発明であって、ロッドの反り(曲がり)測定を簡単に測定できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のロッドの検査方法は、転がし台上の一面に二つの棒状ストッパーを所定距離離して平行に対向配置し、前記転がし台上に一方の棒状ストッパーに当接させて載置した被検査物ロッドを、重力による回転転落により他方の棒状ストッパーに到達静止させ、被検査物ロッドの載置位置と静止位置のロッド軸方向のずれ量または前記静止位置における被検査物ロッドの一端部の前記他方の棒状ストッパーからのずれ量を計測し、これらのずれ量から反りを求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の検査方法によれば、断面円形のロッド(棒状あるいは線状体)の反り(曲がり)の大きさを、簡単な装置で短時間に測ることができる。これにより、製造ラインの現場に設置する検査選別装置として複数導入することにより、多量のロッドの選別を安価なコストで実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施態様について以下に説明する。図1は、本発明のロッドの反り検査方法を実施する検査装置の一実施例を説明する図である。図1(a)は、検査装置の主要部平面見取り図であり、図1(b)は検査装置の主要部側面見取り図である。転がし台2(たとえばアルミ製ブロックまたは厚板を表面研磨したもの)は平坦な面を有し、その両端部に棒状ストッパー3A、3Bが、それらの対向する面が平行になるように配設されている。転がし台2は、棒状ストッパーの長手方向を水平に維持して、対向する棒状ストッパーの方向に傾斜角度θが調整可能である。傾斜角度θは3〜5度程度が、ずれ量を再現性よく得るうえで好適である。棒状ストッパー3A、3Bの間隔は、被検査物であるロッドの長さ、直径等により定められるが、被検査物のロッドの長さが400mm程度、直径が0.4mm程度であると、100〜300mm程度とするのがよい。ここで棒状ストッパーは、全体形状が必ずしも棒状である必要がなく、二つのストッパーの対向する面(内側面)が直線であり平行であればよい。
【0011】
断面が円形の棒状体あるいは断面が円形の線状体である被検査物(ロッド)を、一方の棒状ストッパーの内壁面にその全体を押し当て、その後棒状ストッパー3Bの方へ傾斜を有する転がし台2上を重力により転動させて棒状ストッパー3Bに到達させる。ロッドに反りがなければ、棒状ストッパー3Bに到達静止したロッドの位置は、ロッドの軸方向にずれることなく、ずれ量(距離A)はゼロであり、静止位置における棒状ストッパー3Bと被検査物(ロッド)とのずれ量(最大距離B)はゼロである。ロッドを左側の棒状ストッパーに押当てるようにロッドを転がし台上に載置するには、転がし台上にロッドを載置し、その後転がし台2を図1に示す傾斜方向とは逆向き(左下がりの状態)にして、ロッドを棒状ストッパーに当接させる。その後転がし2を図1に示すように右下がりに傾斜させる。また転がし台2を図1の右下がりの状態のまま、ロッドを棒状ストッパーに手により押し当てて行ってもよい。
【0012】
本発明の検査方法は、ロッドの反りによるロッドの選別を短時間に行う上で極めて有用である。判別されるロッドの反り形状の一例を図2に示す。図2(a)は、U字状の変形反りであり、図2(b)は曲率の変曲点が1以上ある反りである。もちろん上記の反りの状態に限定されることなく、1本のロッドに3つ以上の曲率をもつ反りを有する被検査物も検査の対象になる。本発明のロッドの反り検査方法は、とりわけ細い直径を有するロッド(たとえば直径が0.2〜3mm程度)に好適に用いられる。可撓性を有するロッドについても被検査物とすることができる。ずれ量の計測は、図1で示す位置ずれAおよび平行ずれBが発生する領域に描かれた目盛りを、目視あるいは拡大ルーペにより瞬時に読み取ることにより行うのが最も簡便である。
【0013】
ロッドの反り特性とずれ量A、Bとの詳細な関連性は必ずしも明確でないが、ロッドの全体としての軸中心からの反りの大きさが、ずれ量Aおよびずれ量Bの大きさに影響する。ロッドの使用目的および必要とする反りのレベルにより、ロッドの選別基準として、ずれ量Aまたはずれ量Bのいずれかの計測値、ずれ量Aとずれ量Bの両者の計測値が定められる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
ロッド(断面円形の棒状体)をその反り(曲がり変形)の大小により簡易に選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の反り検査方法を実施する検査装置の一実施例の主要部見取り図である。
【図2】図2はロッドの反りを示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1:反り検査装置
2:転がし台
3A、3B:棒状ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がし台上の一面に二つの棒状ストッパーを所定距離離して平行に対向配置し、前記転がし台上に一方の棒状ストッパーに当接させて載置した被検査物ロッドを、重力による回転転落により他方の棒状ストッパーに到達静止させ、被検査物ロッドの載置位置と静止位置のロッド軸方向のずれ量または前記静止位置における被検査物ロッドの一端部の前記他方の棒状ストッパーからのずれ量を計測し、これらのずれ量から反りを求めるロッドの反り検査方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−162289(P2006−162289A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350146(P2004−350146)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】