説明

ロッド横方向連結クリップ

【課題】2本の細長い脊椎用ロッドを連結する装置を提供することである。
【解決手段】本発明による、脊椎固定システムの2本の細長い脊椎用ロッドを連結する装置は、第1の細長い脊椎用ロッドを受け入れると共にこれに係合するような形状になっている第1の部分及び第1の細長い脊椎用ロッドに対して横方向に延びる第2の細長い脊椎用ロッドを受け入れる横方向ボアが設けられた第2の部分を有するクリップ本体と、第1の細長い脊椎用ロッドに対する第2の細長い脊椎用ロッドの位置を固定するようクリップ本体の第2の部分の横方向ボア内に嵌まる寸法及び形状になっている係止部材とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎変形症の外科的治療のための植込み可能な脊椎固定システムに関する。より詳細には、本発明は、円柱状ロッドを互いに連結する横方向連結クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
何年間にもわたって、医師は問題部分の固定法(関節固定術)により脊椎に対する安定性を回復させようとした。この治療法によれば、本来的に可撓性のある脊柱に起因して許容限度ぎりぎりの結果が得られた。過去10年以上も前に、脊椎に安定性を付与して関節固定率を向上させる脊椎植込みシステムが開発された。かかるシステムは、固定されるようになった脊柱部分の両側に配置される連結用構造部材、例えば一対のプレートと一対のロッドの両方又はいずれか一方を備えた脊椎用器具を含む場合が多い。これら脊椎用システムは、脊椎にセグメント方式で取り付けられるネジ及びフックと、ネジ又はフックに連結される長手方向ロッドとから成る。これら構成部品は、引張状態と圧縮状態の両方において必要な安定性を提供するが、捩りに関する制御性が僅少である。
【0003】
一対の脊椎用ロッドを棘状突起の各側に互いに平行に取り付ける場合、一対の脊椎用ロッドを水平方向にブリッジ又は橋渡しするよう少なくとも一本の追加のロッドを用いることにより組立体を著しく補強できることが分かっている。直交ブレース組立体が、米国特許第5,084,049号に開示されている。例えばかかる器具は一般に、所望の横方向支持手段となるネジ付きロッドから成る。ネジ付きロッドは、その各端に設けられたクランプによって脊椎用ロッドの各々に締結される。しかしながら、この構成は、嵩張っていて、しかも患者の背筋や他の組織がこの器具に当たって擦れてちくちくする場合がある。好ましくは垂直の脊椎用ロッドと全体的に同一の平面内で脊椎により近接して装着される直交ブレース組立体を用いると、嵩張った器具と関連のある複雑さが軽減されることになりそうである。
【0004】
大抵の既存の横方向連結器又はコネクタは、止めネジ、ナット、又は各々の組合せを備えた結合機構によって長手方向ロッドに連結されたロッド、プレート及びバーから成る。これら連結器は、その組立てのために幾つかの構成部品及び器具を必要とする。連結器の組立てに必要な追加の各構成部品又は器具は、外科的手法の「フィドルファクター(fiddle factor)」を増やす。これら横方向連結器の例としては、ゾファモール・ダネック社製のトラントバース・リンク・デバイス(DLT)及びクロスリンク、シンセス社製のトランス−コネクタ、及びアクロメッド社製のモジュラー・クロス・コネクタ及びトランスバース・ロッド・コネクタ(TRC)が挙げられる。
【0005】
脊椎植込みシステムに用いられる入れ子式ロッド相互間カプラについても説明すると、係止部材への係合に先立って、入れ子式部分をこれらの先端を越えて滑らせると、相互の係合を解くことが容易に実施できる。これはカプラ部分の都合の良い着脱法であるが、もしこれらカプラ部分が不用意に外れると手術の際に不都合な場合がある。米国特許第5,275,600号は、入れ子式ロッド部分が180度のひねり動作で互いに組み合わされる入れ子式ロッド相互間カプラを記載している。これは、ロッド部分が植込み中に互いに不用意に外れる恐れを最小限に抑えるよう設計されている。
【0006】
現在利用できる脊椎固定システムでは、脊椎用器具の構成部品をたがいに連結するのに用いられるバードウエアについて注意深く整列関係をとることが必要であることが多い。かくして、脊椎用器具の追加の操作を必要としないで脊椎用ロッドを横方向に連結し、有茎ネジの使用を最小限に抑えると同時に外科手術中に小さなハードウエアを組み合わせるための要件又は手間を減らす改良型ロッド連結器が要望されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、脊椎固定システムの円柱状ロッドを連結するための横方向連結クリップに関する。本発明の横方向連結クリップは、第1の側部及び第2の側部を備えたクリップ本体を有する。クリップ本体の第1の側部は、長手方向軸線及び一対の鏡像関係にある半円筒形シェルを有している。半円筒形シェルは各々、円柱状脊椎用ロッドの外形よりも僅かに小さな内径を有している。クリップ本体は、円柱状脊椎用ロッドを半円筒形シェルの間に差し込むと、半円筒形シェルが円柱状脊椎用ロッドの周りに拡がることができるような形状になっている。半円筒形シェルの撓み及びシェルの内径により、クリップ本体を円柱状脊椎用ロッドにしっかりとクランプでき、差し込まれた状態の円柱状脊椎用ロッドはクリップ本体の長手方向軸線に対して90°に配置される。
【0008】
本発明の横方向連結クリップを用いると、脊椎用器具の操作を別途行う必要なく脊椎用ロッドを横方向に連結することができる。本発明のクリップは追加の係止機構を全く必要としないので、これを用いると、外科手術中における小さなハードウエアの組立てが減る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、脊椎固定システムに用いられる横方向連結クリップ10及びその組立体に関する。脊椎固定システムは代表的には、連結構造部材、例えば固定されるようになった椎骨近傍で脊柱の両側に配置される一対のプレートとロッドの両方又はいずれか一方を有する脊椎用器具を含む。これら脊椎固定システムは、脊椎にセグメント方式で取り付けられるネジ及びフックとネジ又はフックに連結される長手方向ロッドとから成る。これら構成部品は、引張状態と圧縮状態の両方において必要な安定性を提供するが、捩りに関する制御性が僅少である。さらに、一対の脊椎用ロッドを棘状突起の各側に互いに平行に取り付ける場合、一対の脊椎用ロッドを水平方向にブリッジ又は橋渡しするよう少なくとも一本の追加のロッドを用いることにより組立体を著しく補強できる。
【0010】
本発明の横方向連結クリップ10は、脊椎用又は円筒形ロッド11に本装置をクリップ留めするための手段を備えた構成部品と、2本のロッド連結器を横方向に互いに連結するための手段を備えた構成部品とから成る。本発明の横方向連結クリップ10は、第1の側部14及び第2の側部16を備えたクリップ本体12を有している(図1)。第1の側部14には、2つの鏡像関係にある半円筒形シェル18,20が設けられている。これら2つの鏡像関係にある半円筒形シェル18,20は、円柱状ロッド11を通すことができるロッド用ボア26を構成する内面24を有している。ロッド用ボア26は、これが受け入れる円柱状ロッド11の外径よりも僅かに小さく設計された内径22を有している。半円筒形シェル18,20の頂面28は、外径30を定めている。
【0011】
2つの鏡像関係にある半円筒形シェル18,20を図2のクリップ10Aに示すようにクリップ本体12の第1の側部14に、或いは図6のクリップ10Aに示すように互いに鏡像関係をなして連結できることは注目されるべきである。
クリップ本体12を円柱状ロッド11に90°の角度で当て、そしてこれを回して半円筒形シェル18,20がロッド11の周りに拡がるようにする。半円筒形シェル18,20の撓み及びロッド用ボア26の内径22により、クリップ10をロッド11にしっかりとクランプできる。
【0012】
クリップ本体12の第2の側部は、短い半円柱状ロッド(図2のクリップ10A)、複数の垂直方向の歯を備えた横方向に延びる半円柱状ロッド(図3及び図4のクリップ10B)、第2の対をなす互いに鏡像関係にある半円筒形シェル(図8及び図9のクリップ10C)、ほぼ円筒形の部分から末端の半円筒形の部分までテーパした横方向に延びるロッド(図12のクリップ10D)又は半円筒形又は円柱状ロッドを受け入れるよう設計された外方に延びるU字形レセプタクル又は開口部及び係止キャップ装置(図15及び図16のクリップ10E)を有するのが良いが、これらには限定されない。これら実施形態の各々につき以下に説明する。
【0013】
横方向連結クリップ10Aの一実施形態が図2に示されている。この実施形態では、クリップ本体12は、上述したような第1の側部14(図1)及び好ましくは短い横方向に延びる半円柱状ロッド40を有する第2の側部16とから成る。しかしながら、任意形状のロッドを利用してもよい。クリップ本体12の第2の側部16と一体の短い半円柱状ロッド40は、ユーザーによりクリップ10Aの取付けが楽なような形状になっている。ユーザーは、脊椎固定システムにおいて互いに結合された2本のロッドのうち円柱状ロッド11からクリップ本体12を手動で着脱するために短いロッド40を用いるのがよい。クリップ10Aを用いると、横方向に延びる半円柱状ロッド10B(図6)を有する横方向連結クリップを連結することができる。従来技術の連結器と比べた本発明の連結クリップ10Aの一利点は、クリップ10Aが単一のワンピース連結器であり、それにより外科手術中、従来技術の連結器によって必要とされた脊椎固定システムの組立ての量又は手間が減ることにある。
【0014】
本発明の別の実施形態は、横方向連結クリップ10B(図3)である。この実施形態では、クリップ本体12は、上述したような第1の側部14(図1)及び第1の側部52、第2の側部54及び長手方向軸線LA1−LA1を備えた横方向に延びる半円柱状ロッド50を含む第2の側部16とから成る。しかしながら、横方向に延びる半円柱状ロッド50につき他の形状を利用することができる。第1の側部52は、長手方向軸線LA1−LA1に沿って延びる複数の垂直方向に配置された歯56を有している。図4は、連結クリップ10Bの第2の側部54の斜視図である。
【0015】
クリップ10Bは、第2のクリップ10B(図5)に相互係止されるよう設計されている。半円柱状ロッド50の第1の側部52は、半円柱状ロッド50の長手方向軸線LA1−LA1に沿って延びる複数の垂直方向の歯56によって互いに連結されている。クリップ10Bは、互いに漸変距離のところに配置された2つの長手方向ロッド11に横方向に連結できる。この可変距離は、横方向の動作を表わす矢印LM1−LM1によって示されている(図5)。クリップ10Bのかかる性能により、患者内における組立体の整列状態を微調整するために多くのかかる調整作業が必要な外科手術中、顕著な利点が得られる。
【0016】
クリップ10B相互間の連結は、横方向連結クリップ10A(図6)を用いて維持できる。半円柱状ロッドの第1の側部52を複数の垂直方向の歯56の相互係止によって係合させると、第2の側部54は、クリップ10Aの半円筒形シェル18,20の内面24によって構成される内周22よりも僅かに大きな直径を有する円柱状ロッドを形成する。かくして、クリップ10Aの半円柱状ロッド18,20は、まるで互いに連結された半円柱状ロッド50が単一の円柱状ロッド11であるかのようにクリップ10Bの互いに連結された半円柱状ロッド50上にスナップ作用で嵌まることができる。
【0017】
図6は、クリップ10Bの横方向に延びる半円柱状ロッド50を相互に連結する本発明の横方向連結クリップ10Aを示しているが、当業者に公知の任意の連結装置を用いても半円柱状ロッド50を連結できることは理解されるべきである。しかしながら、本発明の横方向連結クリップ10Aを用いることの利点は、これが組立てに必要な部品の個数を減らすことにより手術を容易にするシングルピース(単一品)からなることにある。
【0018】
本発明の横方向連結クリップ10A,10Bを用いる脊椎用ロッド組立体は、図7に概略的に示すように人間の椎骨91に連結された長手方向ロッド11に連結されている。2本の円柱状ロッド11はそれぞれ、鏡像関係にある半円筒形シェル18,20を介して横方向連結クリップ10Bに連結されている。クリップ10Bの横方向に延びる半円柱状ロッド50は、複数の垂直方向の歯56の相互係止により互いに連結されている。この連結状態はクリップ10Aによって維持される。
【0019】
クリップ10C(図8及び図9)は、第1の側部14及び第2の側部16を備えたクリップ本体12を有する横方向クリップ連結器10の変形例である。第1の側部14の構成は上述したようなものである(図1)。クリップ本体12の第2の側部16は、第2の組をなす鏡像関係にある半円筒形シェル60,62で構成されている。クリップ本体12の第1の側部14に取り付けられた半円筒形シェル18,20と同様、半円筒形シェル60,62を図示のように(図8)クリップ本体12の第2の側部に取り付けるのがよく、或いは鏡像関係(図示せず)に配置してもよい。
【0020】
第2の組をなす半円筒形シェル60,62は、外面64及び内面68を有している。内面68は、円柱状ロッド88を通すことができるロッド用ボア70を備えている。ロッド用ボア70は、これが受け入れるよう設計されたロッド88の直径よりも僅かに小さな直径72を有している。
【0021】
クリップ10Cは、2本の長手方向ロッド11と横方向ロッド88を同時に互いに連結するよう設計されている。円柱状ロッド11は、上述したようにクリップ本体12の第1の側部14に連結されている。円柱状ロッド88は、これと同様な方法でクリップ本体12の第2の側部16に連結されている。即ち、クリップ本体12を円柱状ロッド88に90°の角度で当て、そしてこれを回して半円筒形シェル60,62がロッド88の周りに拡がるようにする。半円筒形シェル60,62の撓み及び内径72により、クリップ10Cのクリップ本体12をロッド88にしっかりとクランプできる。
【0022】
本発明のクリップ本体12の第2の側部16を第2の一対の半円筒形シェル60,62で構成することの一利点は、このように構成することにより脊椎外科手術で用いられる他の種々のロッドタイプのもの、例えばT形バー80(図10)及びI形バー(図示せず)にこの第2の対のシェル60,62の取付けが可能になることである。T形バー80及びI形バーは、一対の円柱状ロッド11を水平方向にブリッジでき(図11)、それにより脊椎固定システムは著しく強化される。
【0023】
T形バー80は、長手方向本体82、第1の端部84及び第2の端部86を有している。T形バー本体82の第1の端部84は、T形バー本体82に垂直方向に連結された円柱状バー88(図10)を有している。このバー88を上述のように本発明のクリップ10Cの第2の対をなす半円筒形シェル60,62に連結するのがよい。
【0024】
2つの本発明のロッド10Cは、2つの円柱状ロッド11を2本のT形バー80によって互いに連結するのに用いることができる(図11)。この例では、2つのクリップ10Cはそれぞれ、2つの別々のT形バー本体82の第1の端部84に設けられたバー88に連結されている。次に、各T形バー本体82の第2の端部86を、テーパ付き係止スリーブ90又は当業者に知られている任意の手段によって互いに連結する。動作を円で表した矢印CM1−CM1及びCM2−CM2で示すようにT形バーの連結状態を調節することにより一方の円柱状ロッド11と他方の円柱状ロッドの相対的配置状態を調節できる。このようにして、本発明のクリップ10Cは、最小限の部品個数を用いて2本の円柱状ロッド11相互間の所望の横方向のブリッジの形成を容易にすることができる。
【0025】
ここに示した実施形態(図11)は2つの別々のT形バー80に連結された本発明のクリップ10Cを示しているが、2つのクリップ10Cを1本のI形バー(図示せず)の両端に連結してもよいことは理解されるべきである。I形バーは、長手方向本体及び第1及び第2の端部を有している。第1の端部は、I形バー本体に垂直に位置した第1のロッド状バーを有している。第2の端部は、I形バー本体に垂直に位置した第2の円柱状バーを有している。クリップ10Cの第1の対をなす半円筒形シェル18,20は第1の円柱状ロッド11に連結され、第2の対をなす半円筒形シェル60,62はI形バー本体の第1の端部に設けられた第1のバーに連結されている。第2の本発明のクリップ10Cは、半円筒形シェル18,20を介して第2の円柱状ロッド11に連結され、次に半円筒形シェル60,62を介してI形バー本体の第2の端部に設けられた第2のバーに連結される。このように、I形バーは、本発明のロッド10Cを介する連結方式により2本の円柱状ロッド相互間の水平方向のブリッジをもたらす。
【0026】
本発明のクリップ10の別の実施形態では、クリップ本体12の第1の側部は上述したように構成され、クリップ本体12の第2の側部は、第1の側部102、第2の104、長手方向軸線LA1−LA1、基端部106及び末端部108を有する横方向に延びるロッド100を有している(図12、クリップ10D)。基端部106は形状が円筒形であり、末端部108のところの半円筒形の形のところまでテーパしている。
【0027】
クリップ10Dは、横方向に延びるテーパ付きロッド100を介して別のクリップ10D(図12〜図14)に連結されるよう設計されている。横方向に延びるテーパ付きロッド100は、第1の側部102を合致させることにより互いに連結されている。この連結状態は、テーパ付き係止スリーブ90を含む当業者に知られている装置のうち任意のものを用いて維持できるが、これには限定されない。このテーパ付き係止スリーブ90は、内側スリーブ部分92と外側スリーブ部分94とからなる。内側スリーブ部分92は、内面96及び外面98を有し、外側スリーブ部分94は内面110及び外面112を有している。内側部分92の外面98は、外側スリーブ94の内面110の直径116よりも僅かに小さな直径114を有しており、それにより内側スリーブ部分92を外側スリーブ部分94の内側に同心上に配置することができる。その目的は、内側スリーブ部分92を外側スリーブ部分94を互いに係止させることにある。
【0028】
クリップ10Dを組み立てるには、外側スリーブ部分94を第1の連結クリップ10Dの横方向に延びる半円柱状バー100上に位置決めし、内側スリーブ部分92を第2の連結クリップ10Dの横方向に延びる半円柱状バー100上に位置決めする(図12〜図14)。第1のクリップ10Dと第2のクリップ10Dの横方向に延びる半円柱状バー100の第1の側部102を互いに合致させると共にテーパ付きスリーブ90によって係止状態に保持する。
【0029】
図13の矢印LM2−LM2で示すように横方向に延びるテーパ付きロッド100を移動させることにより2つの連結クリップ10D相互間の距離を調節できる。クリップ10Dの各クリップ本体12の第1の側部14をクリップ本体12の第1の側部の半円筒形シェル18,20により2つの互いに異なる円柱状ロッド11に連結した場合(図14)、テーパ付きロッド100を横方向に調節すると、連結クリップ10Dが連結されている円柱状ロッド11の相対位置が横方向に調節される。これにより、ユーザーは、手術中、脊椎固定システムの円柱状ロッド11の整列状態の調節の際に或る程度の融通性を得ることになる。
【0030】
連結クリップ10D及びテーパ付き係止スリーブ90を用いる脊椎用ロッド組立体が、図14に概略的に示すように人の椎骨91に連結された長手方向ロッド11に連結されている。2本の円柱状ロッド11は各々、鏡像関係にある半円筒形シェル18,20によりクリップ10Dに連結されている。クリップ10Dの横方向に延びるテーパ付きバー100は、テーパ付き係止スリーブ90と一緒に保持されている。テーパ付き係止スリーブ90の組立て状態も示されている。
【0031】
本発明のクリップ本体12の第2の側部から横方向に延びる種々のタイプのロッドをクランプする幾つかの手段は、本発明のクリップ10Aの別の横方向クリップ(図6)及びテーパ付きスリーブ90(図12〜図14)を有するものとして上述した。しかしながら、横方向に延びる半円柱状ロッドは当業者に公知の任意他の連結手段により連結できることは理解されるべきである。
【0032】
本発明の横方向連結クリップ10の更に別の実施形態では、クリップ本体12の第1の側部14は上述のように構成され、クリップ本体12の第2の側部16は、外方に延びるロッド保持部分120及び係止機構130を有している。ロッド保持部分は、クリップ本体12の第1の側部14の長手方向軸線LA1−LA1に垂直に位置した長手方向軸線を有している。係止機構130は、長手方向ロッドをロッド保持部分120内に係止するためにロッド保持部分120に係合するような形状になっている。ロッド保持部分は、半円筒形又は円柱状ロッドを受け入れる貫通ボアを有する中実の保持部分の形態であるのが良く、係止機構は、当業者に知られている任意の係止機構のもの、例えばテーパ付き係止キャップ、止めネジ又は止めナットであるのが良い。一実施形態では、保持部分は、連結クリップ10Eの第1の側部14の長手方向軸線LA1−LA1に垂直に位置した長手方向軸線LA3−LA3を有するU字形保持部分120である。U字形保持部分120は、上方部分122及び下方部分124を有している。下方部分124は、半円柱状ロッド128の平らな側部126を受け入れるような形状になっている。変形例として(図示せず)、U字形部分120の下方部分124を円柱状ロッド11を受け入れるような形状にしても良い。U字形部分120の係止機構は、U字形部分120の上方部分122内に滑り込んでこれと嵌合するような形状になった上方側部132及び下方側部134を備える係止キャップ130を有する。係止キャップ130の上方側部12は、U字形部粉120の上方部分122に設けられたテーパ付き部分138に係合してこれと合致するテーパ付き部分136を有している。係止キャップ130の下方側部134は、半円柱状ロッド128の弧状側部140を受け入れるような形状になっている。
【0033】
本発明のクリップ10Eの利点は、係止キャップ130、半円柱状支持バー128及び円柱状ロッド11と組み合わせて用いられた場合(図15及び図16)、連結クリップ10Eが2本のロッドを高いに連結する単一品であり、それにより手術中にハードウエアの小さな部分品を組み立てるための従来型連結器の要件が緩和されることである。
【0034】
脊椎外科手術法に合った状態で複数本の円柱状ロッド11を、各ロッドに複数の取付け装置を取り付けた状態で使用でき、その結果、本発明の取付け装置は2本のロッドを互いに又はロッドの連結部分を互いに他の整列状態で横方向に連結するものであるということは理解されるべきである。
本発明の上記開示内容及び説明は、例示であり、本発明の精神から逸脱することなく図示の装置の構造及び使用方法の細部における種々の変更を想到できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の横方向連結クリップの一実施形態の上方斜視図である。
【図2】短い横方向に延びるバーを備えた本発明の横方向連結クリップの一実施形態の斜視図である。
【図3】複数の垂直方向の歯を備えた横方向に延びるバーを有する本発明の横方向連結器の別の実施形態の上方斜視図である。
【図4】図3の本発明のクリップの下方斜視図である。
【図5】図3の一対の連結用の横方向連結クリップの斜視図である。
【図6】図5の横方向連結クリップを固定する図2のクリップの斜視図である。
【図7】人の脊椎に植え込まれた脊椎用ロッドに固定される本発明の斜視図であって、組立て方法を示している図である。
【図8】本発明の別の実施形態の上方斜視図である。
【図9】図8の本発明の下方斜視図である。
【図10】連結クリップの連結機構を示す図8の本発明の斜視図である。
【図11】T形バーの端に連結された図8の本発明の斜視図である。
【図12】本発明の別の実施形態の斜視図であり、テーパ付きスリーブで互いに連結された横方向に延びるテーパ付きバーを備える2つの連結クリップの組立て方法を示す図である。
【図13】2つのクリップ相互間の横方向調節範囲を示す図12の本発明の斜視図である。
【図14】人の脊椎に植え込まれた脊椎用ロッドに連結された図13の本発明の斜視図であり、組立て方法を示している図である。
【図15】本発明の別の実施形態の斜視図であり、組立て方法を示している図である。
【図16】図15の組立て状態の本発明の斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
10 横方向連結クリップ
11 脊椎用ロッド
12 クリップ本体
18,20,60,62 半円筒形シェル
40,50 半円柱状ロッド
80 T形バー
90 係止スリーブ
120 U字形保持部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎固定システムの2本の細長い脊椎用ロッドを連結する装置であって、
第1の細長い脊椎用ロッドを受け入れると共にこれに係合するような形状になっている第1の部分及び第1の細長い脊椎用ロッドに対して横方向に延びる第2の細長い脊椎用ロッドを受け入れる横方向ボアが設けられた第2の部分を有するクリップ本体と、
第1の細長い脊椎用ロッドに対する第2の細長い脊椎用ロッドの位置を固定するようクリップ本体の第2の部分の横方向ボア内に嵌まる寸法及び形状になっている係止部材とを有する
装置。
【請求項2】
クリップ本体の第1の部分は、第1の細長い脊椎用ロッドを受け入れてこれに係合する一対の対向した状態で間隔を置いて設けられた弧状のロッド係合フックを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
各弧状ロッド係合フックは、共通の中心軸線を有する曲線を描いている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
第2の細長い脊椎用ロッドは、U字形開口部の下側部分によって受け入れられるよう横断面が全体として半円形である、請求項3記載の装置。
【請求項5】
第1の側部から垂下していて、第1の細長い脊椎用ロッドに係合する一対の対向した状態で間隔を置いて設けられた弧状のロッド係合フック及び第2の側部から横方向に延びる横方向連結器を有する第1のクリップ本体と、
第1の側部から垂下していて、第2の細長い脊椎用ロッドに係合する一対の対向した状態で間隔を置いて設けられた弧状のロッド係合フック及び第2の側部から横方向に延びる横方向連結器を有する第2のクリップ本体と、
第1の細長いクリップ本体の横方向連結器と第2の細長いクリップ本体の横方向連結器を互いに固定する締結具とを有する
脊椎固定システム。
【請求項6】
第1のクリップ本体から延びる横方向連結器と第2のクリップ本体から延びる横方向連結器は、合わせて一対の状態になった横方向連結器が横断面円形となるよう相補形状の横断面を有する、請求項5記載の脊椎固定システム。
【請求項7】
締結具は、一対の対向した状態で間隔を置いて設けられた弧状のロッド係合フックを備えた第3のクリップ本体で構成されている、請求項6記載の脊椎固定システム。
【請求項8】
締結具は、少なくとも一部が円筒形の圧縮スリーブで構成されている、請求項5記載の脊椎固定システム。
【請求項9】
第1のクリップ本体から延びる横方向連結器と第2のクリップ本体から延びる横方向連結器は、実質的に平らな相補形状の合致し合う面を有し、相補形状の合致面には相互係止歯が形成されている、請求項8記載の脊椎固定システム。
【請求項10】
各細長いクリップ本体は、第2の側部から垂下した第2の一対の対向した弧状係合フックを有し、横方向連結器は、第2の一対の弧状係合フックによって受け入れられる垂直ロッド部分を有する、請求項5記載の脊椎固定システム。
【請求項11】
細長い横方向連結器は、その第1の端部に設けられていて、第1のクリップ本体の第2の一対の対向した弧状係合フックに係合する第1のロッド部分及びその第2の端部に設けられていて、第2のクリップ本体の第2の一対の対向した弧状係合フックに係合する第2のロッド部分を有し、
細長い横方向連結器は、互いに締結具で連結される第1の細長い部分と第2の細長い部分を有する
請求項10記載の脊椎固定システム。
【請求項12】
細長い脊椎用ロッドと、横方向部材と、細長い脊椎用ロッドを受け入れてこれに係合する一対の対向した状態で間隔を置いて設けられた弧状のロッド係合フックを有する連結器とから成り、連結器は、細長い脊椎用ロッドは横方向部材を、細長い脊椎用ロッドと横方向部材が実質的に同一平面上に位置するような横方向の向きに固定する、脊椎固定システム。
【請求項13】
連結器には、横方向部材を受け入れる横方向ボアが設けられており、脊椎固定システムは、細長い脊椎用ロッドに対する横方向部材の位置を固定するよう連結器の横方向ボア内に嵌まる寸法及び形状になっている係止部材を更に有する、請求項12記載の脊椎固定システム。
【請求項14】
横方向部材は、横断面が全体として半円形の細長いロッドを有する請求項13記載の脊椎固定システム。
【請求項15】
第1の横断面を有する第1の細長い脊椎用ロッドと、
第1の細長い脊椎用ロッドの第1の横断面とは異なる第2の横断面を有する第2の細長い脊椎用ロッドと、
第1の細長い脊椎用ロッドに係合するような形状になっている第1の部分及び第2の細長い脊椎用ロッドに係合するような形状になっている第2の部分を有する連結器とを有し、
第1の部分と第2の部分は、第1の細長い脊椎用ロッドと第2の細長い脊椎用ロッドが互いに横方向に向くような形状になっている、
脊椎固定システム。
【請求項16】
第1の細長い脊椎用ロッドの横断面は全体として円形であり、第2の細長い脊椎用ロッドの横断面は全体として半円形である、請求項15記載の脊椎固定システム。
【請求項17】
第2の細長い脊椎用ロッドは、連結器の第2の部分の実質的に平らな面に接触する平らな面を有する、請求項16記載の脊椎固定システム。
【請求項18】
第1の細長い脊椎用ロッドに対する第2の細長い脊椎用ロッドの位置を固定するよう連結器の第2の部分に設けられた横方向ボア内に嵌まる寸法及び形状になっている係止部材を更に有する、請求項15記載の脊椎固定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−244894(P2007−244894A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136756(P2007−136756)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【分割の表示】特願平10−172009の分割
【原出願日】平成10年5月15日(1998.5.15)
【出願人】(503098056)ハウメディカ オステオニックス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】