説明

ロボットシステム

【課題】ロボットシステムによる作業時間を短縮し、作業効率を向上させる。
【解決手段】複数のロボット2,3と、各ロボット2,3の駆動制御を行う制御装置4と、を備えるロボットシステム1において、制御装置4は、作業情報記憶手段43と、補間演算周期記憶手段43と、解析手段45と、補間点位置演算手段46と、補間点位置情報記憶手段43,48と、駆動制御手段49と、判断手段47と、を備え、駆動制御手段49は、判断手段47により、一のロボット2の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他のいずれかのロボット3の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔未満であると判断された場合に、n番目(nは自然数)における補間点位置情報43dの各ロボット2,3への送信を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の産業用ロボットを備え、各ロボットの先端に設けられたツールによりワークに対して作業を行うロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のロボットで同一の作業空間において、一つのワークに対して加工やハンドリング動作を行うロボットシステムが知られている。このようなロボットシステムにおいて、複数のロボットは、それぞれ独立して制御されているために、お互いのロボットが作業中に干渉しないように信号でインターロックをとる措置が施されている。そのため、信号によりロボットを停止させるために作業が中断されたり、信号待ちするタイミングによっては、サイクルタイムが安定しないという問題があった。この問題を解決するため、それぞれのロボットのツールに2重の干渉領域を設けて干渉をチェックすることで、ロボット同士の干渉を早い段階で予測する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
具体的には、図9に示すように、ロボットシステムを構成するロボット100がA1、B1、C1と動作する場合、そのロボット100の先端に設けられたツールに設定された干渉領域がE12として設定され、停止位置を検出するための外側の干渉領域がE11として設定されている。また、ロボットシステムを構成するロボット200がA2、B2、C2と動作する場合、ツールに設定された干渉領域がE22、外側に設定された干渉領域がE21として設定されている。
【特許文献1】特開平8−141978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示すようなロボットシステムにおいて、複数のロボットを制御する場合に互いのツールの干渉を防ぐには、ツールの干渉領域をできるだけ大きく設定し、互いの干渉領域が重複した際にロボットを停止させることが好ましい。すなわち、干渉領域を大きくすることによりツールが干渉する危険性を少しでも低下させようとするものである。しかし、干渉領域が大きすぎる場合は、いずれかのロボットが停止してしまう頻度が高くなり、作業効率が向上しないことになる。すなわち、図9に示すように、ロボット100のツールがA1に、ロボット200のツールがA2に到達した時、それぞれのロボットのツールに2重に設定された干渉領域E11とE21が接近しているために、近づこうとしているロボットを停止しようとする処理がはたらき、実際のツール干渉領域E12又はE22が接近していないにもかかわらずロボットが停止しまう。このため、ロボットシステムの作業効率の向上を図ることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ロボットの無駄な停止を抑制して作業工程中の作業時間を短縮し、作業効率を向上させることができるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、複数のロボットと、当該ロボットの駆動制御を行う制御装置と、を備え、各ロボットの先端に設けられたツールによりワークに対して作業を行うロボットシステムにおいて、前記制御装置は、各ツールの移動目標位置に関する移動目標位置情報及び各ツールが前記移動目標位置に達するまでに要する時間に関する移動時間情報とが記憶された作業情報記憶手段と、各ツールが移動目標位置に到達するまでの移動経路を補間する補間点の位置を演算する際の補間演算周期に関する補間演算周期情報を記憶する補間演算周期記憶手段と、前記移動目標位置情報と前記移動時間情報と前記補間演算周期情報とを各記憶手段から読み取って解析する解析手段と、前記解析手段によって解析された前記移動目標位置情報と前記移動時間情報と前記補間演算周期情報とに基づいて各ツールにおける各補間点の位置を演算する補間点位置演算手段と、前記補間点位置演算手段により演算された各補間点の位置に関する補間点位置情報を記憶する補間点位置情報記憶手段と、各ロボットの前記補間点位置情報を移動開始位置から移動目標位置に向かって順に読み取り、前記補間点位置情報を各ロボットに送信して各ロボットを駆動させる駆動制御手段と、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置が他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置に対して所定間隔未満であるか否かを判断する判断手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記判断手段により、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔未満であると判断された場合に、n番目(nは自然数)における補間点位置情報の各ロボットへの送信を停止させることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のロボットシステムにおいて、前記制御装置を各ロボットに対応させて複数設け、それぞれの制御装置において前記補間点位置演算手段により演算された補間点位置情報を他の制御装置に送信するとともに、他の制御装置において前記補間点位置演算手段により演算された補間点位置情報を受信する送受信手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、解析手段は、作業情報記憶手段から移動目標位置情報及び移動時間情報を読み取るとともに、補間演算周期記憶手段から補間演算周期情報を読み取る。そして、補間点位置演算手段は、解析手段により読み取った移動目標位置情報、移動時間情報、補間演算周期情報に基づいて、各ロボットの先端に設けられたツールが移動目標位置に到達するまでの移動経路を補間する各補間点の位置を演算する。補間点位置演算手段により演算された各補間点の位置に関する補間点位置情報は補間点位置情報記憶手段に記憶される。
駆動制御手段が補間点位置情報を移動開始位置から移動目標位置に向かって順に読み取り、補間点位置情報をロボットに送信することによりロボットは駆動するが、その前に、判断手段が、複数のロボットのうち、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置が他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置に対して所定間隔未満であるか否かを判断する。
【0009】
そして、判断手段が、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔未満であると判断すると、駆動制御手段は、n番目(nは自然数)における補間点位置情報の各ロボットへの送信を停止する。
一方、判断手段が、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔以上であると判断すると、駆動制御手段は、n番目(nは自然数)における補間点位置情報を各ロボットに送信する。補間点位置情報を受信したロボットはその補間点に向けて移動する。
すなわち、予め補間点の位置を求めておくことによりロボットの周囲に干渉領域を設けなくてもロボットの干渉を検出することができる。
よって、ロボットが移動する直前の判断でロボットの移動又は停止を決定することができるので、従来のように二重の干渉領域を設けることにより生じていたロボットの無駄な停止を抑制して作業工程中の作業時間を短縮し、作業効率を向上させることができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、ロボットの数が増えて、ロボットを制御する制御装置の数が複数になっても、送受信手段により補間点位置情報を互いに送受信することで自己の補間点位置情報だけでなく、他のロボットの補間点位置情報も得ることができる。
これにより、判断手段が、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔未満であると判断すると、駆動制御手段は、n番目(nは自然数)における補間点位置情報の各ロボットへの送信を停止させる。
一方、判断手段が、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔以上であると判断すると、駆動制御手段は、n番目(nは自然数)における補間点位置情報を各ロボットに送信する。補間点位置情報を受信したロボットはその補間点に向けて移動する。
よって、ロボットが移動する直前の判断でロボットの移動又は停止を決定することができるので、従来のように二重の干渉領域を設けることにより生じていたロボットの無駄な停止を抑制して作業工程中の作業時間を短縮し、作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係るロボットシステムの最良の形態について詳細に説明する。なお、本実施形態においては、二基のロボットを一台の制御装置で制御するロボットシステムを例に挙げて説明する。
<ロボットシステムの構成>
図1はロボットシステムを示す図である。ロボットシステム1は、複数のロボット2,3と、このロボット2,3の動作制御を行う制御装置4と、を備えている。
(ロボット)
ロボット2,3は、土台となるベース21,31と、関節23,33で連結された複数のアーム22,32と、各関節23,33に設けられた駆動源としてのサーボモータ(図示略)と、各サーボモータの軸角度をそれぞれ検出するエンコーダ(図示略)とを備えている。そして、連結された各アーム22,32の先端部24,34にはロボット2,3の用途に応じたツール25,35(例えば、溶接ガン等)が装備される。
各関節23,33は、アーム22,32の一端部を揺動可能として他端部を軸支する揺動関節と、アーム22,32自身をその長手方向を中心に回転可能に軸支する回転関節とのいずれかから構成される。つまり、ロボット2,3はいわゆる多関節型ロボットに相当する。
また、ロボット2,3は、六つの関節23,33を備えており、その先端部24,34を任意の位置に位置決めすることが可能となっている。
【0012】
(制御装置)
図2は制御装置4の構成ブロック図である。制御装置4は、ロボット2,3の動作制御に関する処理プログラムに従って各処理を実行するCPU41と、各処理を実行するための処理プログラムや処理データ等が記憶されるメモリ42と、を備えている。
メモリ42には、ロボット2,3を駆動させるに当たって必要なデータが記憶されたデータエリア43と、ロボット2,3を駆動させる処理プログラム等が記憶されるプログラムエリア44と、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられ、各処理が行われる作業エリア45と、が形成されている。
【0013】
データエリア43には、各ロボット2,3の各ツール25,35の移動目標位置に関する移動目標位置情報43a及び各ツール25,35が移動目標位置に達するまでに要する時間に関する移動時間情報43bとが記憶されており、データエリア43は作業情報記憶手段として機能する。
また、データエリア43には、各ツール25,35が移動目標位置に到達するまでの移動経路を補間する補間点の位置を演算する際の補間演算周期に関する補間演算周期情報43cが記憶されており、データエリア43は補間演算周期記憶手段として機能する。
また、データエリア43には、演算された各補間点の位置に関する補間点位置情報43dが記憶される領域を有しており、補間点位置情報記憶手段として機能する。
【0014】
プログラムエリア44には、移動目標位置情報43aと移動時間情報43bと補間演算周期情報43cとに基づいて各ツール25,35における各補間点の位置を演算する機能を実現する補間点位置演算プログラム44aが記憶されている。
また、プログラムエリア44には、各ロボット2,3の補間点位置情報43dを移動開始位置から移動目標位置に向かって順に読み取り、補間点位置情報43dを各ロボット2,3に送信して各ロボット2,3を駆動させる機能を実現する駆動制御プログラム44bが記憶されている。
【0015】
さらに、駆動制御プログラム44bは、後述する判断プログラム44cにより、一方のロボット2の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他方のロボット3の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔未満であると判断された場合に、n番目(nは自然数)における補間点位置情報43dの各ロボット2,3への送信を停止させる機能を有する。
また、プログラムエリア44には、二基のロボット2,3のうち、一方のロボット2の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置が他方のロボット3の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置に対して所定間隔未満であるか否かを判断する判断プログラム44cが記憶されている。
また、プログラムエリア44には、ロボット2,3の駆動制御に用いる移動目標位置情報43a、移動時間情報43b、補間演算周期情報43cを各記憶手段から読み取って解析する解析プログラム44dが記憶されている。
【0016】
図3はロボットシステム1の機能ブロック図である。
制御装置4は、CPU41が解析プログラム44dを実行することにより、ロボット2,3の駆動制御に用いる移動目標位置情報43a、移動時間情報43b、補間演算周期情報43cを各記憶手段から読み取って解析する解析部45を有し、この解析部45が解析手段として機能する。
また、制御装置4は、解析部45に接続されるとともにCPU41が補間点位置演算プログラム44aを実行することにより、補間点の位置を演算する補間点演算部46を有し、この補間点演算部46が補間点位置演算手段として機能する。
また、制御装置4は、補間点演算部46に接続されるとともにCPU41が判断プログラム44cを実行することにより、一方のロボット2の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置が他方のロボット3の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置に対して所定間隔未満であるか否かを判断する判断部47を有し、この判断部47が判断手段として機能する。
また、制御装置4は、補間点演算部46及び判断部47に接続されるとともに補間点演算部46にて演算された補間点位置情報を記憶する記憶部48を有し、この記憶部48が補間点位置情報記憶手段として機能する。
また、制御装置4は、判断部47に接続されるとともにCPU41が駆動制御プログラム44bを実行することにより、補間点位置情報をロボット2,3に送信してロボット2,3を駆動させるサーボ制御部49を有し、このサーボ制御部49が駆動制御手段として機能する。このサーボ制御部49は、ロボット2,3に接続され、サーボ制御部49から補間点位置情報を送信することによりロボット2,3が駆動する。
【0017】
<制御装置による処理>
制御装置4によるロボット2,3の駆動制御について説明する。
(補間点の位置の演算)
最初に、補間点の位置の演算方法について説明する。
制御装置4を起動させて所定の操作を行うと、図4に示すように、CPU41は、プログラムエリア44に記憶された解析プログラム44dを作業エリア45に展開して実行し、データエリア43に記憶された移動目標位置情報43a、移動時間情報43b、補間演算周期情報43cを読み取る(ステップS1)。
次いで、CPU41は、プログラムエリア44に記憶された補間点位置演算プログラム44aを作業エリア45に展開して実行し、移動目標位置情報43a、移動時間情報43b、補間演算周期情報43cから補間点の位置を演算する(ステップS2)。なお、演算される補間点の位置とは、具体的には、補間点の位置座標である。そして、CPU41は、演算された補間点の位置を補間点位置情報43dとしてデータエリア43に記憶する(ステップS3)。
補間点の位置は、図5に示すように、ロボット2,3が移動開始位置Sから移動目標位置Gに到達するまでの移動時間を補間演算周期で分割し、移動開始位置Sから移動目標位置Gまでの距離を分割された区分数で等分することにより求めることができる。例えば、移動開始位置Sから移動目標位置Gまでの移動時間が1秒、補間演算周期が0.25秒である場合には、移動開始位置Sから移動目標位置Gまでの距離は4つに分割され、0.25秒ごとにA1、B1、C1というように補間点の位置が演算される。また、図6に示すように、データエリア43に記憶される補間点位置情報43dは、ロボット2,3毎に、かつ、補間点毎に記憶される。
【0018】
(ロボットの駆動制御)
次に、ロボット2,3の駆動制御について説明する。
ロボット2,3を駆動させる際には、図7に示すように、CPU41は、プログラムエリア44に記憶された駆動制御プログラム44bを作業エリア45に展開して実行する(ステップS11)。次いで、CPU41は、データエリア43から読み取る補間点位置情報43dのデータ番号nをn=1に設定する(ステップS12)。ここで、データ番号n=1とは、移動開始位置から移動目標位置に到達するまでの間の補間点のうち、移動開始位置から数えて1番目(図5においてはA1)における補間点位置情報43dをいう。
次いで、CPU41は、各ロボット2,3におけるn番目の補間点位置情報43dを読み取る(ステップS13)。
【0019】
次いで、CPU41は、プログラムエリア44に記憶された判断プログラム44cを作業エリア45に展開して実行する(ステップS14)。そして、CPU41は、ロボット2におけるn番目の補間点位置情報43dとロボット3におけるn番目の補間点位置情報43dの比較を行う。具体的には、各補間点位置の位置座標の差から各補間点間の間隔を算出し、算出された間隔が所定間隔未満であるか否かを判断する(ステップS15)。所定間隔はロボット2とロボット3とが接触する限界の間隔をいう。
ここで、CPU41が、各ロボット2,3におけるn番目の補間点の位置の間隔が所定間隔未満であると判断した場合(ステップS15:YES)、CPU41は、各ロボット2,3におけるn番目の補間点位置情報43dに基づくロボット2,3の駆動制御を停止させる(ステップS16)。
【0020】
一方、CPU41が、各ロボット2,3におけるn番目の補間点の位置の間隔が所定間隔以上であると判断した場合(ステップS15:NO)、CPU41は、各ロボット2,3におけるn番目の補間点位置情報43dに基づきロボット2,3を駆動させる(ステップS17)。
ステップS17において、ロボット2,3を駆動させた後、CPU41は、補間点位置情報43dを全て読み取ったか否かを判断する(ステップS18)。
ここで、CPU41が、補間点位置情報43dの読み取りを全て終了したと判断した場合(ステップS18:YES)、CPU41は、本処理を終了させる。
一方、CPU41が、補間点位置情報43dの読み取りを全て終了していないと判断した場合(ステップS18:NO)、CPU41は、nに1を加算し(ステップS19)、ステップS13に戻ってデータエリア43におけるn+1番目の補間点位置情報43dの読み取りを行う。
【0021】
(ロボットシステムの作用効果)
上記実施形態におけるロボットシステム1によれば、CPU41が解析プログラム44dを実行することにより、メモリ42のデータエリア43から移動目標位置情報43a及び移動時間情報43bを読み取るとともに、補間演算周期情報43cを読み取る。そして、CPU41が補間点位置演算プログラム44aを実行することにより、読み取った移動目標位置情報43a、移動時間情報43b、補間演算周期情報43cに基づいて、各ロボット2,3の先端に設けられたツール25,35が移動目標位置に到達するまでの移動経路を補間する各補間点の位置を演算する。演算された各補間点の位置に関する補間点位置情報43dはデータエリア43に記憶される。
ロボット2,3は、CPU41が駆動制御プログラム44bを実行することにより、補間点位置情報43dを移動開始位置から移動目標位置に向かって順に読み取り、補間点位置情報43dをロボット2,3に送信することにより駆動するが、その前に、CPU41が判断プログラム44cを実行することにより、データエリア43に記憶された補間点位置情報43dを読み取り、複数のロボット2,3のうち、一方のロボット2の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置が他方のロボット3の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置に対して所定間隔未満であるか否かを判断する。
【0022】
そして、ロボット2の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置とロボット3の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔未満であると判断すると、CPU41は駆動制御プログラム44bを実行することにより、n番目(nは自然数)における補間点位置情報の各ロボット2,3への送信を停止させる。
一方、ロボット2の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置とロボット3の移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔以上であると判断すると、CPU41は駆動制御プログラム44bを実行することにより、n番目(nは自然数)における補間点位置情報43dを各ロボット2,3に送信する。補間点位置情報43dを受信したロボット2,3はその補間点に向けて移動する。
すなわち、予め補間点の位置を求めておくことによりロボット2,3の周囲に干渉領域を設けなくてもロボット2,3の干渉を検出することができる。
よって、ロボット2,3が移動する直前の判断でロボット2,3の移動又は停止を決定することができるので、従来のように二重の干渉領域を設けることにより生じていたロボット2,3の無駄な停止を抑制して作業工程中の作業時間を短縮し、作業効率を向上させることができる。
【0023】
(変形例)
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。上記実施形態においては、一台の制御装置4で二基のロボット2,3の制御を行う構成としたが、図8に示すように、ロボット2,3毎に別個の制御装置4,5で制御するようなロボットシステム10としてもよい。この場合、互いに相手の補間点位置情報を得るために、一方のロボット2の制御装置4において演算された補間点位置情報を他方の制御装置5に送信するとともに、他方の制御装置5において演算された補間点位置情報を一方の制御装置4で受信する送受信手段としてのLANケーブル、無線LAN等の通信装置6により互いの制御装置4,5を接続すればよい。
これにより、上記実施形態の効果に加え、ロボット2,3の数が増えて、ロボット2,3を制御する制御装置4,5の数が複数になっても、送受信手段としての通信装置6により補間点位置情報を互いに送受信することで自己の補間点位置情報だけでなく、他方のロボットの補間点位置情報も得ることができる。
また、ロボットの数も二基の場合に限らない。この場合、制御装置は一台でもよいし、ロボットの基数と同数でもよいし、ロボット数台毎に一台の制御装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ロボットシステムの構成図である。
【図2】図1における制御装置の構成ブロック図である。
【図3】ロボットシステムの機能ブロック図である。
【図4】補間点の位置の演算処理のフローチャートである。
【図5】補間点の位置の演算方法を説明する図である。
【図6】演算された補間点の位置のデータエリアへの記憶方法を説明する図である。
【図7】ロボットの駆動制御処理のフローチャートである。
【図8】ロボットシステムの変形例の構成図である。
【図9】従来技術におけるロボットの干渉防止方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ロボットシステム
2 ロボット
3 ロボット
4 制御装置
5 制御装置
6 通信装置(送受信手段)
10 ロボットシステム
25 ツール
35 ツール
43 データエリア(作業情報記憶手段、補間演算周期記憶手段、補間点位置情報記憶手段)
43a 移動目標位置情報
43b 移動時間情報
43c 補間演算周期情報
43d 補間点位置情報
45 解析部(解析手段)
46 補間点演算部(補間点位置演算手段)
47 判断部(判断手段)
48 記憶部(補間点位置情報記憶手段)
49 サーボ制御部(駆動制御手段)
G 移動目標位置
S 移動開始位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロボットと、当該ロボットの駆動制御を行う制御装置と、を備え、各ロボットの先端に設けられたツールによりワークに対して作業を行うロボットシステムにおいて、
前記制御装置は、
各ツールの移動目標位置に関する移動目標位置情報及び各ツールが前記移動目標位置に達するまでに要する時間に関する移動時間情報とが記憶された作業情報記憶手段と、
各ツールが移動目標位置に到達するまでの移動経路を補間する補間点の位置を演算する際の補間演算周期に関する補間演算周期情報を記憶する補間演算周期記憶手段と、
前記移動目標位置情報と前記移動時間情報と前記補間演算周期情報とを各記憶手段から読み取って解析する解析手段と、
前記解析手段によって解析された前記移動目標位置情報と前記移動時間情報と前記補間演算周期情報とに基づいて各ツールにおける各補間点の位置を演算する補間点位置演算手段と、
前記補間点位置演算手段により演算された各補間点の位置に関する補間点位置情報を記憶する補間点位置情報記憶手段と、
各ロボットの前記補間点位置情報を移動開始位置から移動目標位置に向かって順に読み取り、前記補間点位置情報を各ロボットに送信して各ロボットを駆動させる駆動制御手段と、
一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置が他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置に対して所定間隔未満であるか否かを判断する判断手段と、
を備え、
前記駆動制御手段は、前記判断手段により、一のロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置と他のいずれかのロボットの移動開始位置から数えてn番目(nは自然数)における補間点位置との間隔が所定間隔未満であると判断された場合に、n番目(nは自然数)における補間点位置情報の各ロボットへの送信を停止させることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記制御装置を各ロボットに対応させて複数設け、
それぞれの制御装置において前記補間点位置演算手段により演算された補間点位置情報を他の制御装置に送信するとともに、他の制御装置において前記補間点位置演算手段により演算された補間点位置情報を受信する送受信手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−955(P2007−955A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182329(P2005−182329)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】