説明

ロボット安全柵用搬入搬出装置及び台車搬入搬出装置

【課題】ロボットが稼働する安全柵内に物品さらには台車を安全確実に搬入搬出するための回転テーブル装置を提供。
【解決手段】作業エリア2を囲む開口部4を有する安全柵3と、開口部に設けられ積載エリアA,Bを有する回転テーブル5と、回転テーブルを分割する仕切壁7と、を設け、所定位置で仕切壁が開口部を閉塞するようにして、安全柵全体を形成した。台車20を載置可能にし、回転テーブル上に台車を固定する第一の固定部40と、仕切壁に台車の上部を固定する第二の固定部90を設ける。第一の固定部は、台車底部24を底部導入部41cから底部受け部41a,41bに導入し、台車の背面側枠61側梁38に係止爪42aで固定する。第二の固定部は、台車左右側枠の支持棒64及び固定棒93により仕切壁に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの稼働中にロボットと人との干渉を避けるため、ロボットが配置された安全柵内への人の侵入を防止するための安全柵に関し、特に安全柵内に物品を出入りさせるためのロボット安全柵用搬入搬出装置に関する。さらには、物品を積載可能にされた台車を安全柵内に出入りさせるためのロボット安全柵用台車搬入搬出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の加工機への搬送や、物品のピッキング作業にロボットが使用されているが、ロボットの作業領域内への人間の侵入を阻止するために、ロボットの作業領域を囲むように安全柵が設けられている。しかし、安全柵があるため、このロボットの作業領域内に物品を搬入又は搬出するにあたって、安全柵に開閉ドアを設けたり、安全柵を乗り越えてクレーン等でつり上げたりする場合がある。この場合には、人間が作業領域内に入る必要があるためあまり推奨できない。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1にあっては天板フレームにスライド可能に吊り下げられて取り付けられた多関節ロボットを支える支柱に、支柱回り回転自在の円盤状のワーク載置用パレット(回転パレット)を配置している。そして、円盤の半分側にワークを載置し、パレットを回転し、載置されたワークがロボット側になるようにし、ロボット作業域にワークを搬入している。ロボットはこのワークを加工機へ取付、加工後のワークをパレットに戻す。ロボットの作業側とは反対側で、ワークの供給、加工済みのワークを取り出し作業が可能である。なお、多数のワークを籠(バケット)等にいれたままパレットに載置することも可能である。
【0004】
一方、ワークは台車等に載置して運び、台車を安全柵内に持ち込み、ロボットにより台車からワークを加工機に運び加工する。空になった台車を安全柵外に、あるいは、加工されたワークを別の台車に乗せ安全柵外に搬出する。あるいは空台車を安全柵内に持ち込み、ピッキング作業によりピッキングされた物品を台車に積載し、搬出する等、台車ごと、あるいは空台車を安全柵内外に出入りさせる場合がある。そこで、特許文献2にあっては、安全柵の一部に出入り口を設け、台車が出入りできるようにしている。さらに、この台車全体を覆うカバーを台車と共に、あるいは台車とは分離して、出入り可能とする。これにより、安全柵内に台車を搬入するときには、カバーを安全柵内に搬入した状態で、台車を安全柵内に搬入し、作業領域内で台車を固定し、カバーのみを安全柵外に引き戻す。台車に関する一連のロボットの作業が完了すると、カバーを再び安全柵内に搬入し、台車を安全柵外に引き出すことにより、搬入・搬出時の台車とロボットの干渉防止、作業者との隔離を行っている。また、これを複数設けることにより作業の効率化を図っている。
【0005】
特許文献2に記載の台車は、車輪が取り付けられた底板の一方に反U字状に垂直に取り付けられた押し棒枠が設けられた比較的高さの低いものが例示されているが、台車には多くの種類がある。例えば、特許文献3の図1では、荷を支持する平面矩形状(長方形)の底部下側に車輪が取り付けられ、この底部長辺部手前を除く左右、奥側の3側面に格子網状のサイドパネルとバックパネルが設けられ、サイドパネルの手前側間に掛け外し自在の支持棒が設けられ、手前が開放された比較的背の高い台車が記載されている。この手のものは、スーパー等で野菜等が梱包された段ボール等を多量に積載して搬送する場合等にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−228853号公報
【特許文献2】特開2004−353847号公報
【特許文献3】特開2005−125909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の回転パレットは、安全柵に関しては記載されておらず、回転パレットの作業側への人又は腕等の人の一部の侵入の検知や阻止対策が必要である。また、特許文献2に記載のような、台車を回転するパレット上に設けることも考慮されていない。さらに、特許文献3のような背の高い台車を積載することも考慮されていない。
【0008】
また、特許文献2のものにあっては、台車の出入りに際して、カバーを出し入れするが手順も面倒であり、カバーも大きく作業がしにくい。また、台車がない状態では、人が容易に出入りできるので、人検知のための光電管等のセンサが必須であり、前述した手順とも合わせ制御システムが複雑となる問題があった。また、台車の出し入れを効率化するためには複数のカバーとセンサシステムが必要である。また、特許文献3のような背の高い台車ではカバーも大きなものが必要であり、作業も不安定となり適用は困難である。また、特許文献2の安全柵内の台車の固定方法は明確ではないが、単に凹穴に台車の車輪をはめ込み固定する程度が開示されているに過ぎない。また、機械的、自動的に固定できるようにするにしても、その固定・解除に当たっては、カバーが邪魔となるので複雑な構造となるという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献2の出入りシステムに特許文献1の回転パレットを適用したとしても、出入りの際にカバー等を設けたのでは、前述した問題点を解決できない。
【0010】
本発明の課題は、前述したかかる問題点に鑑みて、回転パレット方式であっても、ロボットと人との作業領域内での干渉を避けるための新たなロボット安全柵用搬入搬出装置を提供することである。また、台車等の不安定な積載物、さらに背の高いより不安定な台車であっても確実に取り扱えるロボット安全柵用台車搬入搬出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、ロボットが稼働する作業エリアを囲む安全柵と、前記安全柵の一部が開口する開口部と、前記開口部に設けられ揺動又は回転可能にされた回転テーブルと、前記回転テーブルを扇形に分割する中心を通る線上に垂直に設けられた仕切壁と、前記仕切壁で区切られた回転テーブル上に設けられた積載エリアと、を有し、前記回転テーブルの所定位置で前記仕切壁が前記開口部を閉塞することにより安全柵を形成できるようにされたロボット安全柵用搬入搬出装置を提供することにより前述した課題を解決した。
【0012】
即ち、安全柵の開口部に回転テーブルに設けた仕切壁が所定位置で、安全柵の一部となり、安全柵の開口部以外と、仕切壁とで、安全柵全体を形成できるようにした。これにより、ワークや籠等の搬入物品を安全柵の外側で積載エリアに載置し、回転テーブルを回転して、安全柵内に搬入する。このとき、安全柵と仕切壁とで安全柵を形成する位置となるようにして安全柵の内外を遮断する。この間にロボットは所定の作業をするが、安全柵外では、自由に安全柵外側の積載エリアでの作業が可能である。
【0013】
仕切壁は、少なくとも二分割以上必要である。そこで、請求項2記載の発明においては、前記回転テーブルは仕切壁により二分割されているロボット安全柵用搬入搬出装置とした。二分割の場合は、前述した特許文献1、2のような使用ができる。さらに、三分割すれば、積載エリアの一箇所を安全柵外側とし、二箇所を安全柵内側とし、く字状の仕切壁を安全柵の一部として安全柵との協働安全柵とする。外側の積載エリアを搬入搬出エリア、内側の積載エリアに加工前ワーク、次の積載エリアに加工済みワークをおくようにすることもできる。
【0014】
台車等を搬入・搬出する場合は、回転テーブル上での固定具が必要である。そこで、請求項3に記載の発明においては、前記仕切壁で区切られた回転テーブル上に台車が載置可能にされており、前記台車を前記回転テーブル上に固定する第一の固定部と、前記仕切壁に設けられ前記台車の上部を固定する第二の固定部と、のいずれか一以上の固定部を有するロボット安全柵用台車搬入搬出装置とした。特に、仕切壁側に第二固定部を設け、仕切壁に台車の固定と安全柵の2つの働きを兼ねさせるようにした。
【0015】
回転テーブル上での台車の固定は、単なる凹部では、ロボット作業時の干渉や荷崩れ、ワーク崩れ等により容易にずれる可能性がある。そこで、請求項4に記載の発明においては、前記台車は車輪が設けられた四角形状の底部を備え、前記第一の固定部は、前記底部の一辺側の角隅部をそれぞれの対向面で受けるようにされた一組の底部受け部と、前記一組の底部受け部から先端がハ字状に広がる底部導入部と、前記一組の底部受け部に嵌挿された前記底部に設けられた梁に係合及び離脱可能にされた係止爪と、を有し、前記一組の底部受け部の裏面が前記仕切壁が背後になるように配置されているロボット安全柵用台車搬入搬出装置とした。
【0016】
仕切壁を背後にして、底部導入部の開口から台車の底部を導入しながら台車を押し入れ、底部受け部に台車を押し込む。押し込み端で係止爪が台車の梁に引っかかるので台車が固定される。台車が矩形状である場合は、長手方向が底部受け部に挿入されるようにし、長手方向が仕切壁が背後になるようにするのが好ましい。また、台車の底部下方に設けられた4つの車輪が全て自在車輪(車輪の軸とはの対向面の取付軸回りに回転可能にされた車輪)の場合は方向は自由であるが、長手方向を底部受け部に挿入する方が安定した固定ができる。固定車輪2個と自在車輪2個の組み合わせの場合は、固定車輪側が底部受け部側になるように押し込む方が作業が容易である。
【0017】
しかし、矩形台車の場合は、固定車輪の多くは短辺側に設けられる。そのため、長手方向が底部受け部側になるようにするためには、固定車輪の回転方向以外へ移動させるために、力を要したり、車輪を滑らす必要がある。そこで、請求項5に記載の発明においては、前記台車は、車輪が設けられた四角形状の底部と、前記車輪の少なくとも一対の車輪が自由回転可能にされた自在車輪と、を備え、前記第一の固定部は、前記自在車輪が外側になり、かつ前記底部の一辺側の角隅部をそれぞれの対向面で受けるようにされた一組の底部受け部と、前記一組の底部受け部から先端がハ字状に広がる底部導入部と、前記一組の底部受け部に嵌挿された前記底部に設けられた梁に係合及び離脱可能にされた第一の係止爪と、を有し、前記一組の底部受け部と前記第一の係止爪とは前記回転テーブルに設けられた回転軸に軸支され、前記回転軸回りに前記一組の底部受け部の裏面が前記仕切壁を背にする方向と前記一組の底部受け部の一側部が前記仕切壁を背にする方向とに回転可能にされ、前記底部受け部の一側部が前記仕切壁を背にする位置で、前記台車の底部に設けられた仕切壁側となる梁に係合及び離脱可能にされた第二の係止爪が設けられているロボット安全柵用台車搬入搬出装置とした。
【0018】
底部受け部の裏面が仕切壁を背にする方向、即ち底部導入部の開口が外側になるようにして、自在車輪が外側になるように底部導入部で台車の底部(固定車輪がある場合は固定車輪側底部)を導入しながら台車を押し入れ、底部受け部に台車を押し込む。押し込み端で第一の係止爪が台車の梁に引っかかるので台車が固定される。次に、回転軸回りに90°回転させ、底部受け部の側部が仕切壁を背にする方向、即ち底部の長手方向が仕切壁を背にする方向、仕切壁が1面の場合は、仕切壁と並行となる方向に押しつける。押しつけ端で第二の係止爪が台車の長手方向の梁(仕切壁側の梁)に係合し、台車が仕切壁側に固定される。これにより、固定車輪があっても、容易に回転させ、所望の方向で台車を回転テーブルの載置エリアに載置固定できる。
【0019】
なお、固定車輪がない、全て自在車輪の場合でも使用できることはいうまでもない。また、底部受け部に押し込み方向で底部の下側に当接しながら徐々に底部を押し上げ、固定車輪を浮かすような斜面を設けてもよい。また、底部受け部と一体にされ回転可能な固定車輪を支える受け板を設け、車輪を浮かせればよりスムースに回転できる。
【0020】
一方、背の高い台車の場合は、底部を固定しても、上部がぐらついたり、ロボットやワークがぶつかり、傾いたりするおそれがある。特に前述した特許文献3に記載のような、左右、背側に側枠を有するような背の高い台車では上部を固定するのが好ましい。上部の固定は、一端が仕切壁に取り付けられ他端に係止部材を有する、長尺ばね、伸縮可能な棒材等を左右や背側の側枠に係止させたり、各側枠の棒状部分をゴムやバンド等を用いて固定すればよい。しかし、より簡単で操作のし易い固定方法が望まれる。
【0021】
そこで、請求項6に記載の発明においては、前記台車は、車輪が設けられた四角形状の底部と、前記底部の一辺から上部に伸び背面を形成する背面側枠と、前記底部のから上部に伸び前記背面側枠の一方と隣接する第一の側枠と、前記底部のから上部に伸び前記背面側枠の他方と隣接する第二の側枠と、前記側枠のない開口部と、底部から離隔した位置で前記開口部の両側であって前記第一及び第二の側枠間を接続する支持棒と、前記支持棒を前記第一の側枠に方向自在に固定する固定部材と、前記第二の側枠に設けられ前記支持棒の他方が係止される取付部と、を有する搬送台車であって、前記台車の上部を固定する第二の固定部は、前記背面側枠を前記仕切壁側に配置させ、前記支持棒の他方部を前記仕切壁の前記第一の側枠の外方側に固定し、前記仕切壁の前記第二の側枠の外方側に設けられ前記取付部に伸びる固定棒を前記取付部に係止させたロボット安全柵用台車搬入搬出装置とした。
【0022】
即ち、台車の第一及び第二の側枠間を接続する支持棒の他方(第二の側枠側)を仕切壁に設けられた固定部、例えば筒状の穴に引っ掛け固定し、仕切壁の第二の側枠の外側に固定棒を設け、この固定棒の先端を支持棒が外された反対側の取付部に係合するようにして、側枠を固定し、台車の上部枠を固定する。台車の支持棒は邪魔することなく、前面が大きく開口され、側枠がしっかり固定される。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように本願発明においては、回転テーブルに設けた仕切壁で安全柵を形成し、安全柵内への搬入物品の搬入搬出を回転テーブルを回転(又は揺動)することにより行うので、安全柵内への搬入搬出が容易で、安全なものとなった。また、回転テーブルに仕切壁を設ければよいので、構造も簡単で、制御、操作も容易なものとなった。
【0024】
また、請求項2記載の発明においては、回転テーブルを仕切壁により二分割しているので、構造が簡単である。また、特許文献2のように搬入搬出装置を複数設置する必要もない。さらに、請求項3に記載の発明においては、。回転テーブル上に台車を固定する第一の固定部と、仕切壁に設けられ台車の上部を固定する第二の固定部とを設けたので、回転テーブルの回転や、ロボット作業域内でのロボットとの干渉やワーク、積載物等の干渉があっても、位置や姿勢を確保安定化し、ロボットの作業の緊急停止や、作業ミスを防止できる。また、仕切壁に台車の固定と安全柵の2つの働きを兼ねさせているので、スペースも小さいものとなった。
【0025】
また、請求項4記載の発明においては、第一の固定部は、底部導入部で、底部の一辺側の角隅部を導入して、角隅部を一組の底部受け部でそれぞれの対向面で受け、かつ台車の梁を係止爪で固定した。これにより、台車を底部受け部に押し込むだけで、台車の位置決め及び固定ができるので、台車の取扱が容易であり、搬入搬出が容易になる。
【0026】
さらに、請求項5に記載の発明においては、(固定車輪側の)底部受け部、底部導入部、台車を固定する第一の係止爪を回転(揺動)可能にし、自在車輪が外側(固定車輪が底部受け部側)になるように底部導入部が形成する開口から台車の底部を導入しながら台車を押し入れ、固定し、さらに、台車を回転させて所定位置に第二の係止爪で固定できるようにした。これにより、固定車輪を有する台車でも所望の方向で回転テーブルの載置エリアに載置固定できるので、種々の構造の台車や、自在車輪、固定車輪等を有する種々の台車に適用が可能となり、種々の物品を容易に搬入搬出できるものとなった。
【0027】
さらに、請求項6に記載の発明においては、背が高く、左右側枠(第一、第二の側枠)及び背面側枠を有する台車の側枠間を接続する支持棒の他方を仕切壁に設けられた固定部に引っ掛け、反対側の取付部に仕切壁に取り付けられた固定棒を係合して台車の上部枠をしっかり固定できるので、台車の固定作業が簡単である。さらに、支持棒が避けられ前面が大きく開口されるので、ロボット側での台車への積み込み、積み卸し作業が容易になり、荷崩れやワークの崩れ、も少ないものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示すロボット安全柵用搬入搬出装置及び安全柵の平面図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態を示すロボット安全柵用搬入搬出装置及び安全柵の平面図である。
【図3】本発明の第三の実施の形態で搬入・搬出する台車の斜視図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態を示す台車を積載したロボット安全柵用台車搬入搬出装置の平面図である。
【図5】本発明の第三の実施の形態を示す台車を積載したロボット安全柵用台車搬入搬出装置の部分拡大平面図である。
【図6】本発明の第三の実施の形態を示す台車の第一の固定部の斜視図である。
【図7】本発明の第三の実施の形態を示す台車の第二の固定部の固定棒の斜視図である。
【図8】本発明の第四の実施の形態を示す台車を積載したロボット安全柵用台車搬入搬出装置の平面図である。
【図9】本発明の第四の実施の形態を示す台車の搬入搬出方法を説明するためのロボット安全柵用台車搬入搬出装置の説明図であり、(a)は載置する台車の斜視図、(b)は搬入前、(b)は搬入時、(c)は回転時、(d)は固定時を示す部分平面図である。
【図10】本発明の第四の実施の形態を示す第一の固定部の斜視図である。
【図11】本発明の第四の実施の形態の第一の固定部の底部受け部に台車を嵌挿させて第一の係止爪で台車を固定した状態を示す説明図であって、図10の左側方からみた部分斜視図である。
【図12】本発明の第四の実施の形態において、第一の固定部の底部受け部を係止する第三の係止爪と第二の係止爪との連動状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第一の実施の形態を示すロボット安全柵用搬入搬出装置及び安全柵の平面図である。図1に示すように、本発明の第一の実施の形態は鉄籠13内にワーク11を入れたものを作業エリア2内に搬入し、空になった籠を搬出するものである。図1に示すように、ワーク11を加工する加工機71と、加工機にワークを取り付け取り出し可能にされたロボット1と、加工されたワークを次の行程に搬出するベルトコンベア72が設けられている。加工機71と、ロボット1と、ベルトコンベア72のワーク受け部73等の作業エリア2を囲むように安全柵3が設けられている。安全柵は一部にメッシュ状の金網部を有し、外側から安全柵内が見通せるようにされている。安全柵3には開口4が設けられ、本発明の第一の実施の形態であるロボット安全柵用搬入搬出装置(以下「本第一装置」という)101が設けられている。また、メンテナンス等のため安全柵内へ人が出入りできるように開閉扉74が設けられている。
【0030】
本第一装置101は、回転軸芯6を中心に揺動できるようにされた回転テーブル5と、回転テーブルを平面視で二分割する仕切壁7が立設され、二分割された回転テーブルには載置エリアが設けられ、図1では安全柵の外側にある場合をA、安全柵の内側にある場合をBとしている。仕切壁7は支持体87で支持されている。回転テーブルの底部外周にチェーンが取り付けられ、このチェーンに噛み合うピニオンが減速機付き電動機の出力軸に取り付けられている(図示せず)。電動機の回転により、仕切壁7と安全柵の開口4が一致する位置で回転テーブル5が180°揺動する。これにより、安全柵3と仕切壁7とで安全柵全体を形成する。
【0031】
かかる本第一装置101の形態においては、加工すべきワーク11を積載した籠13をフォークリフトやクレーンで回転テーブル5の安全柵3の外側の積載エリアAに置く。次に回転テーブルを180°揺動させ籠13の位置を積載エリアB位置に移動させる。ロボット1は籠内のワーク11を視覚装置等を用いて取り出し、加工機71へ取り付ける。加工終了後、ロボット1はワーク11を加工機71より取り出し、ワーク受け部73に置く。ワーク11はベルトコンベア72で次行程に運ばれる。ロボットは籠内のワークが無くなるまでこれを繰り返す。
【0032】
一方、安全柵3の外側の積載エリアAには、次のロットのワーク11を積載した籠13を置く。安全柵の内側の籠が空になると、回転テーブル5を逆方向に反転揺動させて、空籠を安全柵外側Aに、ワークを安全柵内側Bに移動させる。これにより、ロボット1はワーク11の供給作業を続行し、安全柵3の外側Aでは空籠を回収し、あらたなワークを積載した籠を供給する。これを繰り返し、ワーク11の供給と、籠13の回収を本第一装置101により行う。
【0033】
なお、籠に代えて、パレットでもよい。また、ワークはバラ積みでも整列させてもよい。回転テーブルは位置決めの容易さ、制御の容易さの点でそれぞれの揺動端にストッパを設け揺動させている。回転させてもよいことはいうまでもない。回転装置、視覚装置、ロボット、その他の制御装置等は一般的なものであるので説明及び図を省略する。本実施の形態においては、ワーク11を籠13にいれて本第一装置側から搬入(供給)し、ベルトコンベア72側からワークを搬出したが、ベルトコンベア側からワークを搬入し、本第一装置側から空籠を供給して、ワークを空籠に積載し、ワークを本第一装置側から搬出するようにしてもよい等、種々の形態が可能であることはいうまでもない。
【0034】
次に本発明の第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態においては、第一の実施の形態において、加工済みワークは別に設けたベルトコンベアで搬出したが、本発明回転テーブル側から搬出するようにしたものである。図2は本発明の第二の実施の形態示すロボット安全柵用搬入搬出装置(以下「本第二装置」という)及び安全柵の平面図である。なお、前述した図1と同様な構成については同符号を付し説明の一部を省略する。
【0035】
図2に示すように、本第二装置102の回転テーブル5は、平面視で三分割する仕切壁7a,7b,7cが立設され、三分割された回転テーブルには載置エリアが設けられている。図2では安全柵の外側にある場合をA、安全柵の内側の二箇所をそれぞれB,Cとしている。載置エリアB,C間の仕切壁7cによるロボット1の干渉を避けるため、あるいはロボットの作業性を向上させるため、ロボットが図でみて左右に移動できるように搬送レール89が設けられている。回転テーブル5の底部外周に歯車が取り付けられ、この歯車に噛み合うピニオンが減速機付き電動機の出力軸に取り付けられている(図示せず)。電動機の回転により、仕切壁7a,7b,7cの3枚の内、外側になる2枚の仕切壁7a,7bと安全柵3の開口4とが一致する位置で回転テーブル5が120°おきに回転する(図でみて左回り)。これにより、安全柵3と仕切壁の外側2枚7a,7bとで安全柵全体を形成する。
【0036】
かかる本第二装置102の形態においては、空籠13aを回転テーブル5の安全柵3の外側の載置エリアAに置く。次に回転テーブル5を図で120°左回転させ籠13aの位置を載置エリアB位置に移動させる。さらに加工すべきワーク11を積載した籠13bを載置エリアAに置く。次に回転テーブル5を120°回転させ空籠13aを載置エリアC、ワーク積載籠13bを載置エリアB位置に移動させる。ロボット1は載置エリアBの籠13b内のワーク11を取り出し、搬送レール89上を移動し、加工機71へ取り付ける。加工終了後、ロボットは加工済みワークを加工機より取り出し、載置エリアCの(空又は受け入れ)籠13aに積載する。ロボットは載置エリアBの籠内のワークが無くなるまでこれを繰り返す。
【0037】
一方、積載エリアAには、次のロットのワーク11を積載した籠13を置く(図2)。載置エリアBの籠13bが空になると、回転テーブル5を120°回転させ、載置エリアCの加工済みワークが積載された加工済み籠13aを安全柵外側Aに、ワークを載置エリアBに移動させる。これにより、ロボット1はワーク11の供給、取り出し作業を続行し、安全柵の外側載置エリアAでは加工済みワークを回収し、あらたなワークを積載した籠を供給する。これを繰り返し、ワーク11の供給と、回収を本第二装置102により行う。
【0038】
次に本発明の第三の実施の形態について説明する。第一、第二の実施の形態においては、フォークリフトやクレーンを用いて籠を回転テーブルの載置エリアAに置くようにしているが、第三の実施の形態は、台車を直接回転テーブルの載置エリアに搬送するものである。図3は本発明の第三の実施の形態で搬入・搬出する台車の斜視図、図4は本発明の第三の実施の形態を示す台車を積載したロボット安全柵用台車搬入搬出装置(以下「本第三装置」という)の平面図、図5は図4の回転テーブルの載置エリアA付近の部分拡大平面図。図6は本第三装置の台車の第一の固定部の説明図(斜視図)、図7は台車の第二の固定部の固定棒の斜視図である。なお、前述した図1、2と同様の部分は同符号を付し、また、図及び説明の一部又は全部を省略する。
【0039】
図3に示すように、本第三装置に用いる台車20は、特許文献3に記載のものと同様なものであり、台車は、四隅25,26,27,28に自在車輪22が設けられた矩形状の底部24の一つの長辺33から上部に伸び背面を形成する背面側枠(バックパネル)61と、底部の短辺35aから上部に伸び背面側枠の一方と隣接する第一の側枠(サイドパネル)62と、底部の他方の短辺35bから上部に伸び背面側枠の他方と隣接する第二の側枠(サイドパネル)63とからなる。即ち、格子網状の3側面を有する台車20であり、比較的背が高く、スーパー等で野菜等が梱包された段ボール等を多量に積載するものである。
【0040】
また、第一及び第二の側枠62,63手前側間(サイドパネルの手前側間)37に掛け外し自在の支持棒64が設けられ、手前が開放(37)されている。支持棒64は第一の側枠62に方向自在に固定部材65により固定され、第二の側枠63に設けられた取付部66に支持棒の他方64aが係止されている。台車底部24の背面側下側には長手方向に沿って背面梁38が設けられている。
【0041】
本第三装置は、かかる台車に野菜等が梱包された段ボールをロボットにより積み込むものに適しているものであり、トラック等で産地より運び込まれた野菜が梱包された段ボールを送り先毎に仕分けた後、安全柵内に搬入された空の台車にロボットにより仕分けされた段ボールを積み上げ、安全柵外側に台車を搬出するものである。図4に示すように、野菜が積み込まれた段ボール75を搬入するベルトコンベア76、ベルトコンベアで搬入された段ボールを検出し、ロボット1が把持できるように設けられた待機部77、待機部の段ボールを台車20に積み上げる又は異常を検知した場合に段ボールを不合格置き場78へ振り分けるロボット1等が配置された作業エリア2を囲むように安全柵3が設けられている。安全柵には第一の実施の形態と同様に開閉扉74、開口4が設けられている。開口4に本第三装置103が設けられている。本第三装置103の回転テーブル5は、前述した第一装置101と同様に、平面視で二分割する仕切壁7が立設され、二分割された回転テーブルには載置エリアA,Bが設けられ、仕切壁7と安全柵の開口4が一致する位置で回転テーブル5が180°揺動し、安全柵3と仕切壁7とで安全柵全体を形成している。
【0042】
図5,6に示すように、回転テーブル5上の仕切壁7に近接して、台車の底部24を固定する第一の固定部40が設けられている。第一の固定部40は、一組の底部受け部41a,41bと、一組の底部導入部41cと、係止爪42aとからなる。底部受け部は対向面の長さが台車の底部24の背面33の長手方向長さより若干長くされた長手方向受け部41bと、底部長手方向面33が当接できるようにされた突き当て部41aとで構成され、底部の長手方向の一辺33側の角隅部26,27をそれぞれの対向面で受けるようにされている。
【0043】
突き当て部41aは、ボルトナットで突き当て部の位置を微調整できるようにされている。また、長手方向受け部41bも同様に微調整できるようにしてもよい。底部導入部41cは、一組の底部受け部の長手方向受け部41bから板状の部材が先端が全体としてハ字状になるように広がっている。一組の底部受け部の裏面が前記仕切壁が背後になるように配置、即ち、一組の底部受け部は仕切壁7と並行にされている。これにより、底部受け部は、扱う台車20の底部24の長手方向、背面側33が嵌挿可能にされる。底部受け部の高さは扱う台車の底部24の高さに合わせ支持部材80によりかさ上げされている。
【0044】
底部受け部41aから底部導入部41cに向かって、先端に係止爪42aを設けた断面矩形の棒状部材42が伸びている。係止爪42aは先端から後方にかけて上方に漸増する直角三角形状にされている。棒状部材の中間には係止用回転軸81が垂直に固着されており、軸受79に支承され、係止爪が上下方向に揺動するようにされている。係止用回転軸81に付勢板82が垂直になるよう固定され、付勢版の先端に係止されたスプリング83により係止爪を上方(図6でみて矢印83′方向)に付勢するようにしている。さらに係止用回転軸にストッパ板84が垂直に固定され、ストッパ板の下側面にストッパボルト85が設けられ、係止爪の上方向への移動を制限している。これにより、係止爪は常に水平よりやや上方に付勢されている。
【0045】
係止爪42aの後端(直角三角形の垂線部)42bの位置は、台車20の底部が突き当て部41aに接した位置で、台車底部24の背面側(背面枠側61)33下部に設けられた背面梁38を超えるような寸法とされている。これにより、台車の背面梁38は底部受け部の突き当て部41aに向かって押されることにより、スプリング83に抗して係止爪42aを下方に押しながら係止爪を乗り越える。係止爪の垂線部42bに達すると係止爪は上方に引っ張られ梁の裏側に入り込む。これにより、梁の後退を防止し、台車20を底部受け部(第一の固定部40)に固定することができる。なお、底部受け部には、ゴムや発泡体等の弾性体、スプリング等を設けるなどして、固定時の隙間を減少させるようにしてもよい。
【0046】
係止用回転軸81は仕切壁7と並行とされ、底部受け部より外側に伸びており、端部81aに解除用腕部材86aが軸直角方向手前(反仕切壁側)下側に延出するように取り付けられている。解除用腕部材86aの先端にはペダル86が設けられている。このペダルを押すことにより、係止用回転軸81を介してスプリング83に抗して、係止爪42aを下側に移動させることができ、係止爪を台車底部の背面梁38から離脱させることができる。これにより、背面側枠61が仕切壁7側で並行となるように、即ち開口37が手前になるように、台車を固定し、あるいは解除することができる。
【0047】
さらに、図5に示すように、仕切壁7に第二の固定部90が設けられている。第二の固定部は、台車の開口37を手前にして支持棒64が方向自在に取り付けられた第一の側枠(図で左側)62の固定部材65から仕切壁7までの距離が支持棒の長さとほぼ同距離となる水平位置に第二の側枠63に設けられた取付部66と同形状同寸法の壁側取付部91が設けられている。支持棒64の先端(他方)64aは折れ曲り形状であり、取付部は筒状であり、支持棒の先端64aが壁側取付部91に係止可能にされている。
【0048】
また、仕切壁7の第二の側枠63の外方側に取付部66に伸びる固定棒93が設けられている。図7に示すように、固定棒93は先端94aが折れ曲がった棒材94がパイプ95に挿入されている。棒材には取っ手94bが溶接され、パイプに設けられた切り込み95aに沿って移動できる。棒材の後側94cとパイプの後方95cとの間には伸縮用スプリング96が設けられ、パイプ側に引き込まれるように付勢され、切り込み端95bでそれ以上は引き込まれないようにされている。パイプ後ろ端95dの自在接ぎ手92を介して、固定棒93がほぼ水平方向で仕切壁7に固定されている。棒材94を引き出しながら、棒材先端94aが第二の側枠63の取付部66に係止可能にされている。なお、支持棒には種々のものがあるが、ここでは説明の簡単のため簡略化した。よって、支持棒の種類により、壁側取付部91、固定棒93等も適宜変更することはいうまでもない。
【0049】
かかる本第三装置103の形態においては、空の台車20の開口部37が手前になるようにして、回転テーブル5上に運ぶ。台車長手方向(背面側枠)61を先にして、底部導入部41cから台車の底部24を導入しながら台車を押し入れ、底部受け部41a,41bに台車を押し込む。押し込み端で係止爪42a台車の背面梁38に引っかかるので台車が自動的に固定される。次に、第一の側枠62側の支持棒64の先端64aを仕切壁7の取付部91に差し込む。さらに、支持壁に設けられた固定棒93の先端94aを引き出しながら第二の側枠63側の取付部66に差し込む。これにより、台車20の支持棒64は邪魔せずに前面37が大きく開口され、側枠がしっかり固定され、台車上部が固定される。次に回転テーブル5を180°揺動させて、台車を安全柵内側へ移動させる。これにより、回転移動中、ロボット作業中での台車のずれ、転倒や移動がない。回転させた後、新たに回転テーブルに空の台車を載置、固定しておく。
【0050】
図4に示すように、ロボット1は搬入された段ボール75を把持して、手前37が開放した台車20に段ボールを積み上げる。段ボールの積み上げが完了したら、回転テーブル5を180°戻して段ボールを積載した台車を安全柵の外側Aへ戻す。新たに安全柵内に搬入された空台車にロボットは段ボールの積み込み作業を行う。戻された台車の第二の側枠63の取付部66から固定棒93を外す。また、支持棒先端64aを仕切壁7の取付部91から外して第二の側枠63の取付部66に係止させて第一、第二の側枠、背面側枠を固定する。次にペダル86を押し、係止爪42aを解除しながら、台車20を引き出す。かかる一連の作業により、台車の搬入搬出を行う。このように本第三装置によれば、スーパー等で用いられる背の高い段ボール用台車であっても安定して、確実に作業を行える。なお、各実施の形態で述べた例は、一例であり、種々の変形が可能であり、実施の形態に限定されるものではないことはいうまでもない。なお、係止爪は、単数、複数を適宜配置する。また、回転テーブルの上面高さを床と同位置としたが、回転や揺動機構のために回転テーブルの高さが高くなる場合には、搬送斜面を設けるとよい。
【0051】
次に本発明の第四の実施の形態について説明する。第三の実施の形態においては、車輪を全て自在車輪としたが、固定車輪を有する場合に適用できるものである。図8は本発明の第四の実施の形態を示す台車を積載したロボット安全柵用台車搬入搬出装置(以下「本第四装置」という)の平面図、図9は台車の搬入搬出方法を説明するための本第四装置の説明図であり、(a)は載置する台車の斜視図、(b)は搬入前、(b)は搬入時、(c)は回転時、(d)は固定時を示す部分平面図、図10は本第四装置の第一の固定部を略正面からみた斜視図、図11は本第四装置の第一の固定部の底部受け部に台車を嵌挿させて第一の係止爪で台車を固定した状態を示す説明図であって、図10の左側方からみた部分斜視図、図12は本第四装置の第一の固定部の底部受け部を係止する第三の係止爪と第二の係止爪との連動状態を示す模式図である。なお、前述した図1乃至7と同様の部分は同符号を付し、また、図及び説明の一部又は全部を省略する。
【0052】
前述した本第三装置の台車20の車輪が4輪とも自在車輪22が設けられた格子網状の3側面を有する台車であるが、図9の(a)に示すように、本第四装置は台車21の2輪が固定車輪23の場合に適した点で相違する。本第四装置においては、台車21の底部24の四隅に車輪取付板が設けられ、開放側37を手前にして左短辺(第一の側枠62)側の車輪取付板にそれぞれ2個の固定車輪23と反対側短辺(第二の側枠63側)35bにそれぞれ2個の自在車輪22が取り付けられている。図8に示すように、作業エリア2を囲む安全柵3の開口4に本第四装置104が設けられている。第一の固定部を除き、本第四装置に係る構成の殆どは、前述したと同様であるので同符号を付し説明を割愛する。
【0053】
本第四装置の第一の固定部は、前述した本第三装置の第一の固定部と類似するが、さらに、この第一の固定部を回転テーブル5上に設けられた回転軸55にて支持させて水平方向に揺動できるようにし、さらに、揺動位置で第二の係止爪で台車を固定するようにしたものである。図9,10に示すように、第一の固定部400は、回転固定部401と回転止め402とからなっている。回転固定部401は、一組の底部受け部51a,51bと、一組の底部導入部41cと、第一の係止爪52aと、回転支持部材50からなる。底部受け部は対向面の長さが台車の底部24の第一の側枠側(固定車輪側)62の短辺36の長さより若干長くされた短辺方向受け部51bと、第一の側枠側の短辺面36が当接できるようにされた短辺突き当て部51aとで構成され、底部の固定車輪側短辺36側の角隅部25,26をそれぞれの対向面で受けるようにされている。
【0054】
短辺突き当て部51aはボルトナットで突き当て部の位置を微調整できるようにされている。底部導入部41cは、一組の底部受け部の短辺方向受け部51bから板状の部材が先端が全体としてハ字状になるように広がっている。これにより底部受け部は、扱う台車21の底部24の反自在車輪側(固定車輪23側)36が容易に嵌挿可能にされる。また、底部受け部及び底部導入部は扱う台車の底部24の高さに合わせT字形状の回転支持部材50に固定されている。回転支持部材はT字状の下端部の回転軸53を中心に揺動できるようになっている。
【0055】
回転支持部材50には、さらに、底部受け部51aから底部導入部51cに向かって、先端に第一の係止爪52aを設けた断面矩形の棒状部材52が伸びている。第一の係止爪52aは先端から後方にかけて上方に漸増する直角三角形状にされている。棒状部材の中間には係止用回転軸81が直角方向に固着されており、回転支持部材50に設けられた軸受79に支承され、第一の係止爪が上下方向に揺動するようにされている。図11に示すように、係止用回転軸81に付勢兼ストッパ板82aが垂直に固定され、係止されたスプリング83により第一の係止爪52aを上方に付勢し、ストッパボルト85により第一の係止爪の上方向への移動が制限され、第一の係止爪52aは常に水平よりやや上方に付勢されている。
【0056】
第一の係止爪52aの後端(直角三角形の垂線部)52bの位置は、台車21の底部が突き当て部51aに接した位置で、台車の短辺側(固定車23輪側)底部36下部に設けられた側枠梁34を超えるような寸法とされている。これにより、台車の側枠梁34は底部受け部の突き当て部51aに向かって押されることにより、スプリング83に抗して第一の係止爪52aを下方に押しながら係止爪を乗り越える。第一の係止爪の垂線部52bに達すると係止爪は上方に引っ張られ梁の裏側に入り込む。これにより、梁の後退を防止し、台車21を底部受け部に固定することができる。
【0057】
図10に示すように、本第三装置と同様に、係止用回転軸81は底部受け部より外側に伸びており、ペダル86が設けられている。このペダルを押すことにより、係止用回転軸81を介してスプリング83に抗して、第一の係止爪52aを下側に移動させることができ、係止爪を台車底部の側枠梁34から離脱させることができる。これにより、台車を固定し、あるいは解除することができる。かかる第一の係止爪52a等が設けられた回転支持部材50は、図9(b),(c)に示す回転軸53回りに底部受け部51の裏面が仕切壁7を背にする方向(直角方向)と、図9(e)に示す底部受け部の側部が仕切壁7を背にする方向(水平方向)とに揺動できるようにされている。
【0058】
なお、図11に示すように、回転支持部材50の下方には補強部材50aが設けられ、第三の係止爪55aにより、直角方向で回転支持部材が固定できるようにされている。このとき、図10で調整ボルト114は回転支持部材の側面に当接して右回転方向端(直角方向)の位置を規制している。調整ボルト115は回転支持部材の左回転方向端(水平方向)の位置を規制している。また、スプリング115は直角方向位置、又は水平方向位置でその姿勢(位置)を保持するように働く。
【0059】
図9,10に示すように、底部受け部の側部が仕切壁7を背にする位置(水平方向)、即ち、縦長方向(背面側枠61)33が仕切壁7と並行となる位置に第二の係止爪56aを有する回転止め402が設けられている。仕切壁面7から垂直方向に向かって、先端に第二の係止爪56aを設けた断面矩形の第二棒状部材56が伸びている。他の係止爪と同様、第二の係止爪56aは先端から後方にかけて上方に漸増する直角三角形状にされている。第二棒状部材の中間には第二の係止用回転軸111が垂直方向に固着されており、軸受79に支承され、第二の係止爪が上下方向に揺動するようにされている。第二棒状部材56の後側のストッパボルト85により第二の係止爪の上方向への移動が制限されている。
【0060】
図12に示すように、第二の係止用回転軸は111は、リンク機構113を介して、第三の係止用回転軸112が同期するように接続されている。第三の係止用回転軸112は軸受79により支承され、第三の係止爪55aを有する棒状部材55が垂直に固定されている。第三の係止爪の後端に設けられた第二スプリング83aにより第二、第三の係止爪52a,55aを上方に付勢し、第二、第三の係止爪52a,55aは常に水平よりやや上方に付勢されている。
【0061】
さらに、図9(e)に示すように、水平方向位置となった場合に、第二の係止爪52aの後端(直角三角形の垂線部)52bが台車の背面側枠61の底部の背面梁38を超えるような寸法とされている。これにより、底部受け部を台車ごと揺動させて、長辺側(背面側枠61側)33を仕切壁7に押しつけるようにすると、台車21の背面梁38は第二スプリング83aに抗して第二の係止爪56aを下方に押しながら第二の係止爪を乗り越える。第二の係止爪の垂線部に達すると第の二係止爪は上方に引っ張られ背面梁38の裏側に入り込む。これにより、梁の後退を防止し、台車21を回転テーブル5に固定することができる。
【0062】
また、第二の係止用回転軸111は仕切壁7と並行とされ、台車21が水平方向位置となった場合に、台車より外側に伸びており、端部に第二解除用腕部材57aが軸直角方向手前(反仕切壁側)下側に延出するように取り付けられている。第二解除用腕部材の先端には第二ペダル57が設けられている。この第二ペダルを押すことにより、第二、第三の係止用回転軸111、112を介して第二スプリング83aに抗して、第二の係止爪を下側に移動させることができ、第二の係止爪を台車長辺側の背面梁38から離脱させることができる。また、第二ペダル57を押すことにより、第三の係止爪55aを回転支持部材50の補強部材50aから解除することができる。
【0063】
さらに、図8,9(e)に示すように仕切壁7には前述した第二の固定部90が設けられ、台車21が水平方向位置となった状態で、第二の固定部で台車を固定するようにされている。第二の固定部90は前述したと同様であるので、同符号を付し、説明を省略する。
【0064】
かかる本第四装置104の形態においては、図9(b)に示すように、回転テーブル5上の短辺側底部導入部51cの開口側が手前になるようにする(直角方向位置)。次に、図9(a)に示すように、固定車輪23側を先にして、空の台車21を回転テーブル上に運び、図9(c)に
示すように、固定車輪側の台車の短辺底部36を導入しながら短辺底部受け部51aに台車を当接させる。押し込み端で第一の係止爪52aが台車の側枠梁34に引っかかるので台車21が固定される(台車21を直角方向位置にする)。次に、第二ペダル57を押し、第三の係止爪55aを解除しながら、図9(d)に示すように、回転軸53左回りに90°揺動(回転)させ、図9(e)に示すように、台車の背面側枠61が仕切壁7を背にする方向に押しつける(台車21を水平方向位置にする)。押しつけ端で第二の係止爪56bが台車の長手方向の梁(仕切壁側の梁)38に係合し、台車21の底部が回転テーブル5に固定される。
【0065】
次に、第一の側枠側の支持棒64の先端64aを仕切壁7の取付部91に差し込み、支持壁に設けられた固定棒93の先端を引き出しながら第二の側枠側の取付部66に差し込む。次に回転テーブルを180°揺動させて、台車を安全柵内側の作業エリア2へ移動させる。これにより、回転移動中、ロボット作業中での台車のずれ、転倒や移動がない。回転させた後、新たに回転テーブルに空の台車を載置、固定しておく。
【0066】
図8に示すように、ロボット1は搬入された段ボール75を台車21に積み上げる。段ボールの積み上げが完了したら、回転テーブル5を180°戻して段ボールを積載した台車21を安全柵3の外側へ戻す。戻された台車の固定棒を外し、支持棒先端を第二の側枠の取付部に係止させて第一、第二の側枠、背面側枠62,63,61を固定する。次に第二ペダル57を押し、第二の係止爪56aを解除しながら、図9の(e)、(d)、(c)の順に台車21を回転軸右回りに90°戻す。
【0067】
さらに、第一ペダル86を押し、第一の係止爪52aを解除しながら、台車21を引き出す。かかる一連の作業により、台車の搬入搬出を行う。このように本第四装置によれば、固定車輪と自在車輪との組み合わせられた台車であっても安定して、確実に作業を行える。なお、回転軸53は底部受け部より台車側に設けたが、これは、台車挿入時、回転途中、固定時に、場所を取らないようにしたものである。回転テーブル、台車の大きさにより、回転軸位置は適宜設定すればよい。また、回転テーブルの台車以外の上面にセンサマット等を設け人の侵入を検知できるようにしてもよい。このように、実施の形態で述べた例は、一例であり、種々の変形が可能であり、実施の形態に限定されるものではないことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 ロボット
2 作業エリア
3 安全柵
4 安全柵の開口部
5 回転テーブル
6 回転テーブルの中心
7 仕切壁
20、21 台車
22 自在車輪
23 固定車輪
24 底部
26、27 長辺側の角隅部
25、26 短辺側の角隅部
34 (短辺側、第一の側枠側)梁
37 台車の開口部
38 (長辺側、平面側枠側)梁
40、400 第一の固定部
41a、41b、51a、51b 底部受け部
41c、51c 底部導入部
42a 係止爪
52a 第一の係止爪
53 回転軸
56a 第二の係止爪
64 支持棒
64a 支持棒の他方
65 固定部材
66 取付部
90 第二の固定部
93 固定棒
101、102 ロボット安全柵用搬入搬出装置
103、104 ロボット安全柵用台車搬入搬出装置
161 背面側枠
162 第一の側枠
163 第二の側枠
A 積載エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットが稼働する作業エリアを囲む安全柵と、前記安全柵の一部が開口する開口部と、前記開口部に設けられ揺動又は回転可能にされた回転テーブルと、前記回転テーブルを扇形に分割する中心を通る線上に垂直に設けられた仕切壁と、前記仕切壁で区切られた回転テーブル上に設けられた積載エリアと、を有し、前記回転テーブルの所定位置で前記仕切壁が前記開口部を閉塞することにより安全柵を形成できるようにされていることを特徴とするロボット安全柵用搬入搬出装置。
【請求項2】
前記回転テーブルは仕切壁により二分割されていることを特徴とする請求項1記載のロボット安全柵用搬入搬出装置。
【請求項3】
前記仕切壁で区切られた回転テーブル上に台車が載置可能にされており、前記台車を前記回転テーブル上に固定する第一の固定部と、前記仕切壁に設けられ前記台車の上部を固定する第二の固定部と、のいずれか一以上の固定部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のロボット安全柵用台車搬入搬出装置。
【請求項4】
前記台車は車輪が設けられた四角形状の底部を備え、前記第一の固定部は、前記底部の一辺側の角隅部をそれぞれの対向面で受けるようにされた一組の底部受け部と、前記一組の底部受け部から先端がハ字状に広がる底部導入部と、前記一組の底部受け部に嵌挿された前記底部に設けられた梁に係合及び離脱可能にされた係止爪と、を有し、前記一組の底部受け部の裏面が前記仕切壁が背後になるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載のロボット安全柵用台車搬入搬出装置。
【請求項5】
前記台車は、車輪が設けられた四角形状の底部と、前記車輪の少なくとも一対の車輪が自由回転可能にされた自在車輪と、を備え、前記第一の固定部は、前記自在車輪が外側になり、かつ前記底部の一辺側の角隅部をそれぞれの対向面で受けるようにされた一組の底部受け部と、前記一組の底部受け部から先端がハ字状に広がる底部導入部と、前記一組の底部受け部に嵌挿された前記底部に設けられた梁に係合及び離脱可能にされた第一の係止爪と、を有し、前記一組の底部受け部と前記第一の係止爪とは前記回転テーブルに設けられた回転軸に軸支され、前記回転軸回りに前記一組の底部受け部の裏面が前記仕切壁を背にする方向と前記一組の底部受け部の一側部が前記仕切壁を背にする方向とに回転可能にされ、前記底部受け部の一側部が前記仕切壁を背にする位置で、前記台車の底部に設けられた仕切壁側となる梁に係合及び離脱可能にされた第二の係止爪が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のロボット安全柵用台車搬入搬出装置。
【請求項6】
前記台車は、車輪が設けられた四角形状の底部と、前記底部の一辺から上部に伸び背面を形成する背面側枠と、前記底部のから上部に伸び前記背面側枠の一方と隣接する第一の側枠と、前記底部のから上部に伸び前記背面側枠の他方と隣接する第二の側枠と、前記側枠のない開口部と、底部から離隔した位置で前記開口部の両側であって前記第一及び第二の側枠間を接続する支持棒と、前記支持棒を前記第一の側枠に方向自在に固定する固定部材と、前記第二の側枠に設けられ前記支持棒の他方が係止される取付部と、を有する搬送台車であって、前記台車の上部を固定する第二の固定部は、前記背面側枠を前記仕切壁側に配置させ、前記支持棒の他方部を前記仕切壁の前記第一の側枠の外方側に固定し、前記仕切壁の前記第二の側枠の外方側に設けられ前記取付部に伸びる固定棒を前記取付部に係止させたことを特徴とする請求項3又は4又は5記載のロボット安全柵用台車搬入搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−25390(P2011−25390A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176260(P2009−176260)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【出願人】(592209803)株式会社中野 (4)
【Fターム(参考)】