説明

ロングタンク型FSRU/FLSV/LNGC

貯蔵流体の流体運動の固有共振が貯蔵タンクを含む浮き船の固有共振周期相互間に収まるように液体を貯蔵タンク内に貯蔵する方法及び装置。その結果、貯蔵タンク内に貯蔵された流体に及ぼされる浮き船の共振エネルギーを制御することができると共にスロッシング負荷を減少させることができ、それにより浮き船の損傷が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、液化天然ガスの海上貯蔵に関し、特に、貯蔵された流体及び環境によって引き起こされる負荷に対して強度及び安定性を備える海上貯蔵タンクの設計及び構造に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2006年12月15日に出願された米国特許仮出願第60/875,277号の優先権主張出願である。
【背景技術】
【0003】
クリーンな燃焼用天然ガスは、工業化された世界中における多くの工業及び消費者マーケットにおける選択燃料になっている。天然ガス源が天然ガスを所望する商業マーケットに対して遠隔の場所に存在している場合、天然ガスをマーケットまで輸送する仕組みが必要である。このような仕組みの1つは、天然ガスを気体の形態でパイプラインにより輸送する仕組みを含み又は天然ガスを液体の形態で大型航海用船により輸送する仕組みを含む場合がある。
【0004】
液化天然ガス(LNG)を運搬するよう設計された船は、他の貨物運搬システムと比較して大きな資本的支出を必要とする場合がある。これは、1つには、LNGを長期航海のためにほぼ周囲圧力下で液体状態に維持するのに必要な極低温に起因している場合がある。LNGは比較的軽いので、船は、貨物の重量が所与である場合、他形式の貨物と比較して、大きな容積容量を備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,332,386号明細書
【特許文献2】米国特許第3,759,209号明細書
【特許文献3】米国特許第3,941,272号明細書
【特許文献4】米国特許第5,727,492号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0172803号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0188446号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0150443号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ハームンドスタッド他(Hermundstad, et al. )著,「ハル・モニタリング(Hull Monitoring )」,ソサイアティ・オブ・ペトロレウム・エンジニアーズ(Society of Petroleum Engineers),論文番号61454−MS,2000年6月26日,p.1231〜1240
【非特許文献2】ヴァンディヴァー他(Vandiver, et al.)著,「ジ・エフェクト・オブ・リキッド・ストレージ・タンク・オン・ザ・ダイナミック・レスポンス・オブ・オフショア・プラットホームズ(The Effect of Liquid Storage Tanks on the Dynamic Response of Offshore Platforms)」,ソサイアティ・オブ・ペトロレウム・エンジニアーズ(Society of Petroleum Engineers),論文番号72854−PA,1979年10月,p.1〜9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LNG貯蔵タンク設計に対する課題のうちの1つは、LNG貯蔵タンクが貨物の動き及びスロッシングに起因した負荷に耐えるのに十分な構造的健全性又は一体性を有するようにすることにある。スロッシングは、周期的運動(例えば、海上の船舶)により生じる場合のあるタンク内の液体の運動である。タンク内の液体が動くと、波が生じ、一定長さのタンク内に収容された流体中で移動する波は、タンクの端で反射し、逆方向に戻っている波と干渉する場合がある。或る特定の振動数では、定常波が生じる場合があり、このような定常波は、共振現象である場合がある。定常波が生じる振動数は、共振振動数と呼ばれる場合がある。力を加える振動数がタンク内の流体の共振振動数に近い場合、振幅の大幅な増大が生じる場合があり、場合によっては、その結果として大きな力がタンクに及ぼされる。
【0008】
スロッシングは、液体を貯蔵タンク内に入れて運ぶ船にとっての関心事であり、このような船の設計の際に考慮される場合がある。スロッシングは、船の運動の振動数が貯蔵タンク内の液体の運動と関連した振動数に一致した場合に、より顕著になる場合がある。貯蔵タンク内の運動と関連している場合のある振動数は、タンクの幾何学的形状及び貯蔵タンク内の貨物充填レベルの関数である場合がある。
【0009】
流体のスロッシングの結果として、船及び(又は)貯蔵タンクに種々の問題が生じることがある。例えば、スロッシングに関連した貯蔵タンクの構造に対する損傷は、単一の大きな負荷事象又は累積的事象の結果である場合がある。累積的損傷は、多くの小さな負荷事象の結果である場合があり、これら小さな負荷事象は、互いに組み合わさって、貯蔵タンクの構造、貯蔵タンク内のメンブレン及び(又は)貯蔵タンクの温度を維持するために用いられる断熱システムを次第に劣化させる。さらに、流体、例えばLNGのスロッシングは、これにより航海用船の船郭構造に加わる流体力学的荷重が増大する場合があるので問題となる場合がある。また、スロッシングは、船の安定性を低下させ、貯蔵タンク内のLNGの気化を促進する場合がある。
【0010】
したがって、用いるべき貯蔵タンクの形式を決定する際、スロッシング及び他の問題を考慮に入れる必要がある。例えば、自立型タンク、例えば球形タンク及び角柱状タンクは、船の格納システム及び船郭への接近をもたらす場合がある。しかしながら、自立型タンクは、厚く、重くしかも高価なプレートを必要とする場合がある。特定の例として、球形タンクは、約30〜60ミリメートル(mm)の壁厚を有する場合があり、これにより、他の貯蔵タンクと比較して重量が増すと共にコストが増大する場合がある。さらに、球形タンクの形状は、船上の利用可能な空間にマッチしていない場合があり、その結果、球形タンクの上方部分は、主甲板よりも約15メートル(m)上方に延びる。上方部分がこのように延びることにより、船の重心高さが増す場合がある。船の重心高さの増大により、天候による影響(例えば、風及び着氷)に対する船の脆弱性が増大し、球形タンクに対する視認性を提供するために船尾船橋を高くする必要がある場合がある。規則により必要とされる場合のある頂部からの荷積みを可能にするため、球形タンクを搭載した船の甲板の上方に相当大きな接近構造体(例えば、はしご、常設歩路(キャットウォーク)及び配管)も又追加される場合がある。さらに、幾つかの自立型タンク、例えば角柱状タンクも又、貨物及びタンクそれ自体の重量に起因した負荷に打ち勝つために高価な補強手段を必要とする場合がある。
【0011】
さらに、角柱状メンブレンタンクは又、特に重量及び材料費に関し自立型貯蔵タンクの幾つかの欠点を回避するが、船への接近を制限する場合がある。例えば、角柱状メンブレンタンクは、船の内側船郭の内部及び貯蔵タンクの断熱及び補助バリヤへの接近を制限する場合がある。
【0012】
したがって、LNG、CO2及び他の流体を収容することができ、冷凍/極低温流体を貯蔵し、海洋環境において貯蔵流体の運動(例えば、スロッシング)に対する適当な強度及び安定性を提供するよう構成された貯蔵タンクを設計する方法が要望されている。このような貯蔵タンクは、多量の(例えば、100,000立方メートル(m3))以上の流体を貯蔵することができ、しかも容易に製作可能である。
【0013】
他の関連資料は、少なくとも、米国特許第3,332,386号明細書、同第3,759,209号明細書、同第3,941,272号明細書、同第5,727,492号明細書、米国特許出願公開第2004/0172803号明細書、同第2004/0188446号明細書、同第2005/0150443号明細書、ハームンドスタッド他(Hermundstad, et al. )著,「ハル・モニタリング(Hull Monitoring )」,ソサイアティ・オブ・ペトロレウム・エンジニアーズ(Society of Petroleum Engineers),論文番号61454−MS,2000年6月26日,p.1231〜1240及びヴァンディヴァー他(Vandiver, et al.)著,「ジ・エフェクト・オブ・リキッド・ストレージ・タンク・オン・ザ・ダイナミック・レスポンス・オブ・オフショア・プラットホームズ(The Effect of Liquid Storage Tanks on the Dynamic Response of Offshore Platforms)」,ソサイアティ・オブ・ペトロレウム・エンジニアーズ(Society of Petroleum Engineers),論文番号72854−PA,1979年10月,p.1〜9に見受けられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態は、液体を貯蔵する浮き船用貯蔵タンクを設計する方法に関する。この方法は、一般に、船に作用する予想波力のエネルギースペクトルを求めるステップと、船寸法に基づいて1つ又は2つ以上の増幅レジームを決定するステップとを有し、1つ又は2つ以上の増幅レジームの各々は、船に作用する予想波力を増幅する周期範囲を有し、この方法は、予想充填高さで少なくとも1つの貯蔵タンク内に貯蔵されている液体のスロッシング周期が、結果的に、1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れるようにする寸法を有する貯蔵タンクを設計するステップを更に有する。さらに、1つ又は2つ以上の増幅レジームは、少なくとも2つの増幅レジームから成るのが良く、少なくとも2つの増幅レジームの各々は、航海用船の互いに異なる自由度、例えば縦揺れ、横揺れ及びサージに対応する。
【0015】
別の実施形態は、一般に、浮き貯蔵船であって、船郭構造体と、船郭造体内に設けられた少なくとも1つの貯蔵タンクとを有し、少なくとも1つの貯蔵タンクは、予想充填高さで少なくとも1つの貯蔵タンク内に貯蔵されている流体のスロッシング周期が、結果的に、航海用船に作用する予想波力を増幅させる周期範囲によって定められる1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れるようにする寸法を有することを特徴とする浮き貯蔵船に関する。
【0016】
別の実施形態は、一般に、液体を輸送する船であって、船郭構造体と、船郭造体内に設けられた少なくとも1つの貯蔵タンクとを有し、少なくとも1つの貯蔵タンクは、予想充填高さで少なくとも1つの貯蔵タンク内に貯蔵されている液体のスロッシング周期が、結果的に、船に作用する予想波力を増幅させる周期範囲によって定められる1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れるようにする寸法を有することを特徴とする船に関する。
【0017】
別の実施形態は、流体を受け入れる方法に関する。この方法は、船郭構造体と、船郭造体内に設けられた少なくとも1つの貯蔵タンクとを有し、少なくとも1つの貯蔵タンクは、予想充填高さで少なくとも1つの貯蔵タンク内に貯蔵されている流体のスロッシング周期が、結果的に、航海用船に作用する予想波力を増幅させる周期範囲によって定められる1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れるようにする寸法を有する航海用船を用意するステップと、流体を航海用船から荷揚げするステップとを有する。さらに、この方法は、流体を収容した航海用船を受入れ基地まで移動させて流体を荷揚げするステップを有するのが良く、流体は、液化天然ガスから成る。
【0018】
本発明の上述の特徴を詳細に理解することができるように上記において概要説明された本発明の具体的な説明を、実施形態を参照することによって行うが、これら実施形態の幾つかは、添付の図面に示されている。しかしながら、注目されるべきこととして、添付の図面は、本発明の代表的な実施形態を記載しているに過ぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものと理解されてはならない。というのは、本発明は、作用効果において等しい他の実施形態で実施できるからである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に従って流体の輸出及び受け入れる行う方法を示す流れ図である。
【図2】本発明の一実施形態に従って貯蔵タンクの幾何学的形状を決定する方法を示す流れ図である。
【図3A】係留された船の縦揺れ、横揺れ及びサージの周期に関する波浪エネルギースペクトル中のエネルギー量の例示のグラフ図である。
【図3B】係留された船の縦揺れ、横揺れ及びサージの周期に関する波浪エネルギースペクトル中のエネルギー量の例示のグラフ図である。
【図4A】本発明の一実施形態に従って細分された貨物を収容した船の縦揺れ、横揺れ及びサージ周期に関する波浪エネルギースペクトル中のエネルギー量の例示のグラフ図である。
【図4B】本発明の一実施形態に従って細分された貨物を収容した船の縦揺れ、横揺れ及びサージ周期に関する波浪エネルギースペクトル中のエネルギー量の例示のグラフ図である。
【図5】本発明の一実施形態に従ってスロッシングにより生じて貯蔵タンクの壁に加わる圧力の例示のグラフ図である。
【図6A】本発明の一実施形態としての例示のタレット係留タンクシステムを示す図である。
【図6B】本発明の一実施形態としての例示のタレット係留タンクシステムを示す図である。
【図6C】本発明の一実施形態としての例示のタレット係留タンクシステムを示す図である。
【図7A】本発明の一実施形態としての例示のタレット係留タンクシステムを示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態としての例示のタレット係留タンクシステムを示す図である。
【図7C】本発明の一実施形態としての例示のタレット係留タンクシステムを示す図である。
【図8A】本発明の一実施形態としての中心線コファダムによって分離された2つの貯蔵タンクを搭載している例示のLNG運搬船を示す図である。
【図8B】本発明の一実施形態としての中心線コファダムによって分離された2つの貯蔵タンクを搭載している例示のLNG運搬船を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態としての船の断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は、貯蔵された液体の運動が浮き流体貯蔵船の固有共振周期相互間に位置するように多量の液体の収容チャンバを備えた浮き流体貯蔵船である。その結果、本発明の共振エネルギーは、収容された流体に及ぼされることはなく、それ故、スロッシング負荷を燃焼させて船及び貯蔵タンクの損傷を回避し又は減少させることができる。
【0021】
例示の設計利用分野
遠隔源からの液化天然ガス(LNG)を用いようとする場合、LNGを受け入れる方法を見出すことができる。図1は、本発明の実施形態としての流体の輸出及び受入れのための方法100を示している。ブロック110では、貯蔵タンクは、例えば以下の図2に記載された作業を利用して、特定の用途の用件を満たすよう設計され又は特定される。即ち、貯蔵タンクに関するスロッシングの潜在的可能性は、潜在的なスロッシングの共振レジーム(regime)の範囲を超えた貯蔵タンクを設計するために使用されるのが良い。ブロック120では、貯蔵タンクを貯蔵タンクに関する設計上の用件に基づいて製作し又は得る。ブロック130では、貯蔵タンクを船の中に設置する。タンクがいったん正しく設置されると、ブロック140に示されているように、流体の輸出及び(又は)受入れを実施するのが良い。これは流体を貯蔵タンク内に貯蔵し又は荷積みし、船を貯蔵された流体と共に別の場所に移動させ、そして流体を別の場所で荷揚げするステップを含むのが良い。
【0022】
ブロック110において貯蔵タンクを設計する際に多くの要因を考慮するのが良く、タンクの各タイプは、考慮されなければならない特有の特性を有する場合がある。確かに、液体貯蔵タンク設計の多くの形式は、スロッシングの影響によりマイナスの影響を受ける場合がある。スロッシングのマイナスの影響は、船及びタンクの設計の共振レジームにより増大する場合があり、これを改良するには、これら共振レジームから外れたタンクを設計して製作するのが良い。
【0023】
貯蔵タンクの設計パラメータを決定するため、図2に示すように多くの要因を考慮する。図2は、液体貯蔵タンク、例えば液化天然ガス(LNG)貯蔵タンクに関する設計パラメータ及び構成を決定する方法の例示の流れ図200である。この方法を多くの種々の環境において貯蔵タンクに利用することができるが、この流れ図では、例示目的で浮きLNG貯蔵タンクが用いられている。ブロック210では、力又は波のエネルギースペクトル(例えば、波浪)中のエネルギー量を関心のある特定の地理学的領域(例えば、船が稼働する水域)について求めるのが良い。種々のデータ源を用いてこの決定を行うのが良く、このようなデータ源としては、実験データ、解析モデル、履歴データ及び近似値が挙げられる。例えば、米国海洋データセンタは、世界の海洋に関する履歴データを含むデータベースを維持している。種々の海洋条件に関する履歴データも又、米国海洋大気庁から入手できる。
【0024】
ブロック220において、増幅レジームを決定するのが良い。増幅レジームは、少なくとも2つ又は3つ以上の増幅レジームを含むのが良く、増幅レジームの各々は、航海用船の種々の自由度、例えば、縦揺れ、横揺れ及びサージに対応している。一例を挙げると、増幅レジームは、縦揺れ増幅レジーム、横揺れ増幅レジーム及びサージ増幅レジームを含むのが良い。これらレジームを船の物理的寸法、船の構成に用いられる材料の性質及び船に作用する力に関するデータを含むのが良い計算により決定できる。これらレジームは又、コンピュータ環境において船をモデル化し、船に作用する場合のある力をモデル化することによっても決定できる。これらレジームは又、スケール変更試験により又はコンピュータモデル化用途においてモデル化可能である。これらレジームの各々は、秒で表される1つ又は2つ以上の時間単位について拡張可能である。船、例えばLNG運搬船(LNGC)又は他の適当な船舶の縦揺れレジーム、上下浮動レジーム及び横揺れレジームを波のエネルギーによって容易に励起することができ、これらレジームは、船の物理的寸法及び構成によって実施できることが判明した。係留された船の場合、サージレジーム、左右揺れ、船首揺れレジームも又求めることができる。例えば、長さ及び幅が異なる船は、異なる時間周期で起こり、異なる時間の長さにわたって続くレジームを有する場合がある。
【0025】
ブロック230では、物理的制約条件を決定するのが良い。これら制約条件としては、貯蔵タンクの有効空間(例えば、船の大きさ及び形態)、取り締まり団体及び認可団体により課される要件、操業環境(例えば、入渠施設、航路及び天候)により課される制約条件が挙げられる。船舶貯蔵及びLNGの輸送のための格納システムも又、効果的な温度断熱を提供すると共に熱の流入及び船の基本的な船郭構造の許容できない冷却を阻止する上で考慮される場合がある。例えば、LNGは、非常に軽い炭化水素(例えば、メタン及びエタン)を約マイナス摂氏160度(℃)まで冷却することによって形成できる。LNGを液化プロセスにより冷却するのが良く、このような冷却プロセスは又、貯蔵及び輸送のためにガスの量を最大にすることができる。次に、LNGを専用の極低温貯蔵タンク内に周囲圧力状態で貯蔵するのが良く、このような貯蔵タンクは、陸上又は航海用船に設置されるのが良い。したがって、LNGの場合、格納システムは、極めて低い温度及び大きな温度変化に耐えるよう設計された材料で構成されるのが良い。
【0026】
ブロック240において、1つ又は2つ以上の貯蔵タンクの幾何学的形状を決定するのが良い。貯蔵タンクを構成する際、先に求めた波エネルギースペクトル、増幅レジーム及び物理的制約条件を考慮するのが良い。効率を高めようとする際、貯蔵タンクの寸法、形状、内部構成、配置場所及び向きを変えてみるのが良い。貯蔵タンクの幾何学的形状は、貯蔵された液体の横方向/長手方向流体運動が、流体貯蔵船(例えば、船舶)の固有共振周期相互間に位置し、これよりも下に位置し又はこれを越えて位置するよう設計されるのが良い。その結果、船の共振エネルギーは、貯蔵タンク内の貯蔵流体に限定され又はこれには及ぼされず、それにより、貯蔵流体のスロッシングが減少する。
【0027】
貯蔵タンクをいったん構成すると、ブロック250においてこの設計を分析するのが良い。ブロック250で行われる最終的構成の分析は、コンピュータモデル及びシミュレータの使用及びスケール変更されたモデル及び波シミュレータの使用を含む場合がある。
【0028】
図3A及び図3Bは、係留状態の船の縦揺れ周期、横揺れ周期及びサージ周期に関する波浪エネルギースペクトル中のエネルギー量の例示のグラフ図である。このエネルギー量は、代表的な船の運動増幅レジームの代表的な海上条件を含む場合がある。グラフ310において、周期及び波エネルギースペクトル316中の代表的なエネルギー量は、その振幅が縦軸312上に表され、周期が秒の単位で横軸314上に表されている。波エネルギースペクトル316は、エネルギー量を代表的な設計上の海上条件で表している。グラフ320は、代表的な船についての縦揺れ増幅レジーム322、横揺れ増幅レジーム324及びサージ増幅レジーム326を示している。これらレジーム322〜324は、係留状態の船に関する代表的な船の運動増幅レジームのものであるのが良い。また、代表的な船について、長手方向スロッシング周期328が充填高さの関数として、横方向スロッシング周期330が充填高さの関数としてそれぞれ示されている。
【0029】
図3A及び図3Bに示されているように、代表的な船の縦揺れ増幅レジーム322及び横揺れ増幅レジーム324は、海洋における波の周期に非常に近い場合がある。その結果、船及び貨物の運動の増幅が生じる場合がある。船及び貯蔵流体の運動の増幅は、望ましくない影響を有する場合があり、それにより、共振と液体スロッシングに対する貯蔵タンクの構造的応答を評価する必要がある。LNG貯蔵及び(又は)運搬船を設計するため、貨物のスロッシング共振周期328及び貯蔵流体の横方向スロッシング周期330を予想される波についての波エネルギースペクトル316の周期から離そうとして、種々の設計又は形態を考慮するのが良い。スロッシング共振周期328を波エネルギースペクトル316の波周期及び増幅レジーム320〜326(及びそれ故に船の共振周期)から分離することは、種々の方式、例えば貯蔵タンク内の液体貨物を細分することによって達成できる。
【0030】
図4A及び図4Bは、本発明の一実施形態に従って貨物が細分された船の縦揺れ周期、横揺れ周期及びサージ周期に関する波浪エネルギースペクトル中のエネルギー量の例示のグラフ図である。これら図4A及び図4Bでは、代表的な設計上の解除条件及び代表的な船運動増幅レジーム422〜426であるものの周期及びエネルギー量416が示されている。図4Aでは、グラフ410は、波エネルギースペクトル416中の代表的なエネルギー量をその振幅が縦軸412に表され、周期が秒の単位で横軸414上に表された状態で示している。図4Bでは、グラフ420は、船についての縦揺れ増幅レジーム422、横揺れ増幅レジーム424及びサージ増幅レジーム426を示している。これら増幅レジーム422〜424は、係留状態の船に関する船の代表的な運動に関するものであるのが良い。また、船について、長手方向スロッシング周期428が充填高さの関数として、横方向スロッシング周期430が充填高さの関数としてそれぞれ示されている。
【0031】
本明細書において提案される貯蔵タンク設計に対する一取組みでは、固有スロッシング共振周期428,430が船/波の固有周期416及び422〜426とは異なりこれらとは一致しないように貯蔵タンクの幾何学的形状を選択することによりスロッシング負荷を減少させることができる。代表的には、横方向液体運動モードに関するスロッシング共振周期430及び長手方向液体運動モードに関するスロッシング共振周期428は、船の横揺れ及び縦揺れ/サージ運動によって駆動される場合がある。提案する細分では、貯蔵流体(例えば、貨物)を船の操業環境(例えば、海洋環境)において船の固有周期からのスロッシング共振周期428,436の分離を達成しようとして選択された寸法を備える長い貯蔵タンクに細分するのが良い。
【0032】
図4A及び図4Bに示されているように、貯蔵タンクの幾何学的形状は、特定の設計上の海上条件又は海洋環境において波416のエネルギー量により引き起こされる充填高さの関数としての横方向スロッシング周期430の増幅が最小限に抑えられるように設計されるのが良い。このような設計では、長手方向スロッシング周期428及び横方向スロッシング周期430が、船の増幅レジーム422〜426(例えば、縦揺れ増幅レジーム、サージ増幅レジーム及び横揺れ増幅レジーム)の周期によっては増幅されないようにすることにより貯蔵タンク壁に加わる応力を減少させることができ、貯蔵タンク壁の損傷を回避し又は減少させることができる。貯蔵タンク内の貯蔵流体のサージにより励起される共振を制限するため、貯蔵タンクの寸法は、長手方向共振周期428が、代表的には波浪から観察される長手方向共振周期よりも実質的に高いが、船のサージ周期よりも低いように設計されるのが良い。
【0033】
貯蔵タンクの寸法の結果として、貯蔵タンク壁に加わるスロッシングにより生じた圧力は、図5に示されているように、非共振型のものである場合がある。図5では、グラフ図500は、縦軸520に圧力を示すと共に横軸530に時間(単位秒)を示している。観察できることとして、共振スロッシング550に関する衝撃圧力トレースは、非共振スロッシング540に関する圧力トレースよりも大きい場合がある。共振スロッシングを減少させ又はなくすことにより、貯蔵タンクの受ける圧力を著しく減少させることができる。したがって、貯蔵タンクは、貯蔵タンクの壁に加わる共振型のスロッシングにより生じる圧力を減少させるよう構成されているのが良い。
【0034】
浮き貯蔵船のための例示の用途
貯蔵タンクの構成に加えて、他の機器、例えば処理機器を船の主甲板上に設置することができる。例えば、処理機器としては、供給ガスから液化天然ガス(LNG)を作るために利用される液化機器又はLNGを気化させる再ガス化機器が挙げられる。処理機器の追加により、船の重量が増し、船の物理的寸法の変更が必要な場合があり、しかも船と関連した増幅レジームへの影響が生じる場合がある。浮き貯蔵船は又、輸送向きに設計された船とは異なる設計基準を有しても良い。一例を挙げると、浮き貯蔵船は、輸送船よりも多量のLNGの貯蔵することが必要な場合があり、処理機器を支持することが必要な場合があり、しかも比較的静止状態であるように設計される場合がある。
【0035】
図6A及び図6Bは、タレット係留式FSRU/FLSVシステム608を備えた二重船郭(ダブルハル)船600を示している。船600は、貨物領域内に流体貯蔵チャンバ610を有するのが良く、この流体貯蔵チャンバは、長手方向中心コファダム614によって2つの貯蔵タンク612A,612Bに分割されている。2つの液体貯蔵チャンバは、船尾側が、コファダム618により境界付けられると共に船首側がコファダム616によって境界付けられているのが良い。流体貯蔵タンク612A,612Bの各々は、ポンプタワー620を更に有するのが良く、このポンプタワーは、ポンプによりLNGを貯蔵タンク612A,612Bに送り込み又はこれから送り出す際に用いられる。船600の内部シェル(例えば、内側船郭)622は、流体貯蔵チャンバ610の右舷境界部及び左舷境界部をもたらすことができ、又、このような内部シェルは、船600の外側シェル626まで延びるのが良い水バウスト及びボイドスペース624を有するのが良い。気化/液化機器630も又、貯蔵タンク612の前方で且つタレット608の近くで甲板上に設置されるのが良い。
【0036】
図6Cは、タンクスロッシング固有周期654(単位は秒)及び充填高さ656(単位はメートル(m))に対する横方向スロッシング周期652及び長手方向スロッシング周期653のグラフ図650を示している。また、横方向スロッシング周期652及び長手方向スロッシング周期653に対して縦揺れ周期657、横揺れ周期658及びサージ周期659が示されている。船600に関するこの構成では、横方向スロッシング周期652は、ピッチ周期657、横揺れ周期658及びサージ周期659とはオーバーラップしない。また、長手方向スロッシング周期653は、縦揺れ周期567及び横揺れ周期658とはオーバーラップしない。長手方向スロッシング周期653がサージ周期659とオーバーラップしているが、このオーバーラップは、減少した充填高さ656のところである。したがって、船600内の貯蔵タンクは、貯蔵タンク及び船600に対する潜在的なスロッシングによる損傷を減少させ又は最小限に抑えるよう共振周期657,658,659から外れた横方向スロッシング周期652及び長手方向スロッシング周期653を有するよう構成され又は設計されている。
【0037】
図7A及び図7Bは、二重船郭(ダブルハル)船700を示しており、この船は、メンブレン貯蔵タンク714と共にタレット708及び2つの貯蔵タンク712A,712Bを備えた係留された状態の浮き貯蔵及び再ガス化ユニット(FSRU)/浮き液化及び貯蔵船(FLSV)であるのが良い。メンブレン貯蔵タンク714は、2つの貯蔵タンク712A,712Bの前方に配置されるのが良く、このようなメンブレン貯蔵タンクは、船700に搭載される貯蔵容量を増大させるために用いられる場合がある。追加の貯蔵容量は、大量送り出し浮き貯蔵及び再ガス化船(FSRU)設計に望ましい場合がある。また、産出量を、LNGを取引きタンカーに移送することができる量から切り離すことが望ましい場合があり、このような場合にも追加の貯蔵が望ましいことがある。
【0038】
図7Cは、タンクスロッシング固有周期754(単位は秒)及び充填高さ756(単位はメートル(m))に対する横方向スロッシング周期752及び長手方向スロッシング周期753のグラフ図650を示している。また、横方向スロッシング周期752及び長手方向スロッシング周期753に対して縦揺れ周期757、横揺れ周期758及びサージ周期759が示されている。船700に関するこの構成では、横方向スロッシング周期752は、ピッチ周期757、横揺れ周期758及びサージ周期759とはオーバーラップしない。また、長手方向スロッシング周期753は、縦揺れ周期767及び横揺れ周期758とはオーバーラップしない。長手方向スロッシング周期753がサージ周期759とオーバーラップしているが、このオーバーラップは、減少した充填高さのところである。したがって、船700内の貯蔵タンクは、貯蔵タンク712A,712B,714及び船700に対する潜在的なスロッシングによる損傷を減少させ又は最小限に抑えるよう共振周期757,758,759から外れた横方向スロッシング周期752及び長手方向スロッシング周期753を有するよう構成され又は設計されている。
【0039】
図8A及び図8Bは、貨物領域840に2つの貯蔵タンク812A,812Bを備えた例示のメンブレンLNG運搬船800を示している。この船800は、長さが約326メートル、幅が約54.8メートルであるのが良い。貯蔵タンク812A,812Bの各々は、長さが約212メートル、幅が約14.5メートル、高さが32.5メートル、容積が約100KCM(100,000立方メートル)であるのが良い。貯蔵タンク812,812Bは、貯蔵タンク822A,822Bの長さにわたって延びる中心線コファダム814によって分離されるのが良い。横方向コファダム816,818は、貯蔵タンク812A,812Bを船800上の他の領域から分離するのが良い。
【0040】
例示の輸送用途
図9に示されている一実施形態では、船900は、船900の外方側部船郭960から距離970を置いたところに位置する側壁又は境界部920を備えた貨物領域910を有している。船900は、外方側部船郭960の一方の側から他方の側まで断面方向距離980を有するのが良い。貨物領域910は、外方底部船郭950から距離940を置いたところに位置する上側境界部924及び下側境界部930を有するのが良い。構造形式が同一の又は異なる1つ又は2つ以上のタンクを貨物領域910内に配置して流体を貯蔵するのに利用するのが良い。タンクの数及びこれらの構成は、他の制約条件(例えば、船の長さ、船の幅及び船の変位)及びスロッシング中に生じる場合のある圧力の増大及び損傷を制限する要望で決まる場合がある。
【0041】
一例を挙げると、船900がLNG船(例えば、輸送及び浮き貯蔵施設)である場合、船900は、極低温タンクを保持するよう構成された船郭を有するのが良い。これら船は、二重船郭を有するのが良く、このような二重船郭は、二重底部及び二重側部を有するのが良い。二重船郭構成は、船900の損傷の場合に貨物を保護する手段となる。即ち、外方側部船郭が損傷した場合でも、内側船郭にも侵入が生じない限り、海水が船に搭載している貯蔵タンクに接触することはない。したがって、この構成では、外側船郭960及び外側底部船郭950は、二重船郭船の外側船郭であるのが良い。
【0042】
特定の実施形態として、船900は、断面方向距離980を有するのが良い。長さBと称する場合のあるこの距離980は、特定の船の断面寸法に応じて30メートル〜57.5メートル又はこれ以上であるのが良い。貨物領域910の側壁920は、船900の外側船郭960から距離970を置いたところに位置決めされるのが良い。この距離970は、船の断面方向距離980に応じて、約6メートル〜約11.5メートル以上の範囲に収まる長さB/5であるのが良い。また、この形態では、貨物領域910の底部境界部930は、外方底部船郭950から距離940を置いたところに位置するのが良い。この距離940は、長さB/15の短い方又は約2メートルであるのが良い。特定の実施形態では、貯蔵タンクの長さは、約260メートル以上であると共に(或いは)船の幅は、約55メートル以上であるのが良い。
【0043】
貨物領域910は、多種多様な形式の貯蔵タンクのうちの任意のものを貯蔵するために利用できる。例えば、貯蔵流体がLNGである場合、貯蔵タンクとしては、断熱角柱状メンブレン貯蔵タンク及び独立貯蔵タンクが挙げられる。貯蔵流体を周囲空気の温度よりも低い温度で運搬するため、船900は、1つ又は2つ以上のコールドボックスを収容するよう構成するのが良い。コールドボックスという用語は、一般に、単一又は二重壁ボックスを意味し、これは、炭素鋼板で構成されるのが良い。コールドボックスには、断熱材、例えばパーライトを充填するのが良く、このようなコールドボックスは、貯蔵タンク、配管及び他の極低温処理機器を収容することができる。コールドボックスは又、内容物への容易な接近を可能にするよう断熱パネルで構成されても良い。
【0044】
さらに、貨物領域910は、1つ又は2つ以上の独立タンクを輸送するよう構成されているのが良い。独立タンクは、一般に、自立型であり、重力を独立タンクの重量、貯蔵流体の重量、底部境界部930の重量及び周囲の船郭構造体の重量に起因する場合のある他の力と共に伝えるこれらの基礎を利用している。独立タンクは、これらの設計に鑑みて、側部境界部920に隣接した船郭構造体から所与の距離を置いたところで貨物領域910内に配置可能であるのが良い。これら独立タンクは、アルミニウム合金で構成されるのが良いが、9%ニッケル鋼及びステンレス鋼も又許容できる。
【0045】
独立タンクは又、独立して静水圧又は動水圧(流体力学上の力)に耐えるのに十分頑丈であるのが良く、これらの力をこれらの基礎支持システムを介して周囲の船郭構造体又は境界部920,930に伝えることができるのが良い。独立タンクは、熱誘起応力を許容するよう設計されているのが良く、このような熱誘起応力は、周囲温度とLNG貨物使用温度の温度差によって引き起こされる場合がある。液化ガスを運搬する船の構造及び機器に関する国際符号によれば、バルク(IGCコード)タイプA及びタイプBという2つの形式の独立タンクがある。
【0046】
本発明の実施形態は又、独立角柱状タンクを利用することができる。角柱状タンクは、貨物領域910の輪郭を辿るよう形作られたタンクであるのが良い。この場合、タンク頂部及びタンク底部のフットプリントは、同一サイズのものである必要はない。自立型(又は独立)角柱状タンクは、球形タンクと比較して甲板下容積を効果的に利用することができる。角柱状タンクは又、貨物領域の上側境界部924よりも高いところに位置する構造体を有する必要性を回避することができる。貨物領域の上側境界部924よりも高いところに位置する構造体を備えないようにすることにより、角柱状設計は、船の重心の上昇を回避することができ、風及び着氷の影響を減少させることができ、しかも高い緯度、例えば北極近くの領域での利用が可能である。独立角柱状タンクの寸法、形状、形態及び内部構造は、タンク内の流体の横方向スロッシング周期及び長手方向スロッシング周期に影響を及ぼす場合があり、分析の際、これらを考慮するのが良い。
【0047】
本発明の実施形態は、貨物領域910内に構成されたメンブレンタンクを利用することができる。メンブレンタンクは、断熱材を介して隣接の船郭構造体によって支持された薄い層(メンブレン)から成る場合のある非自立型タンクである。メンブレンは、メンブレンに過度の応力を及ぼさないで熱等による膨張又は収縮を補償するよう設計されているのが良い。貨物領域の境界部920,924,930は、メンブレンが形状及び一体性を維持するのを助けることができ、しかも、タンクの内容物によって及ぼされる場合のある静水圧を吸収するのに役立ち得る。貨物領域の境界部920,924,930がメンブレンを支持することができるようにするためには、メンブレンが事実上全ての箇所で周囲の船郭構造体と密な接触状態にあることが必要である。
【0048】
メンブレン格納システムは、ステンレス鋼又は種々の金属(例えば、鉄、ニッケルカーボン及びクロム)の合金で構成されるのが良い。メンブレン格納システムを構成する材料は、熱膨張特性が最小限であることが望ましい場合がある。これら材料は、代表的な独立タンクのアルミニウム合金よりも単位重量当たり実質的にかなりコスト高である場合がある。しかしながら、これら材料は、比較的薄いこと及びその結果としてメンブレンが軽量になるので競合するシステムの状態に設計可能である。メンブレンは、受ける力に独立しては耐えることができず、力を船郭構造体に伝える耐力断熱システムを利用するのが良い。
【0049】
メンブレンタンクが受け、船郭構造体に伝えられる力の大きさを減少させるのに、メンブレン格納システム内に貯蔵された流体の横方向スロッシング周期及び長手方向スロッシング周期が、船の増幅レジームに一致しないようにするのが良い。船内に貯蔵された流体のスロッシング周期がその船の増幅レジームの範囲に収まらないようにタンクを設計することにより、流体を効率的に且つ高い安全性をもって輸送することができる。
【0050】
上述の説明は本発明の実施形態に関するが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の別の実施形態を案出することができ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航海用船のために流体を貯蔵する貯蔵タンクを設計する方法であって、
航海用船に作用する予想波力のエネルギースペクトルを求めるステップを有し、
前記航海用船の船寸法に基づいて1つ又は2つ以上の増幅レジームを決定するステップを有し、前記1つ又は2つ以上の増幅レジームの各々は、前記航海用船に作用する予想波力を増幅する周期範囲を有し、
前記1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れたスロッシング周期を超えて前記貯蔵タンクに提供する物理的寸法を有する前記貯蔵タンクを設計するステップを有する、方法。
【請求項2】
前記貯蔵タンクは、少なくとも100,000立方メートルの容積を提供する寸法を備えるよう設計されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記貯蔵タンクの長さは、少なくとも260メートルである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は2つ以上の増幅レジームは、少なくとも2つの増幅レジームから成り、前記少なくとも2つの増幅レジームの各々は、前記航海用船の互いに異なる自由度に対応している、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記流体は、液化天然ガスから成る、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記航海用船は、前記流体を海洋環境で輸送するよう構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項7】
物理的寸法及び充填高さに関する1つ又は2つ以上の組み合わせについてスロッシング周期を求めるステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記貯蔵タンクを設計する前記ステップは、前記貯蔵タンクを分離構造体により長手方向に分割してスロッシング周期を増幅レジームから分離するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記貯蔵タンクの前記物理的寸法の結果として、予想充填高さにおける前記貯蔵タンク内の液体のスロッシングの固有共振周期が、前記航海用船の固有共振周期相互間に収まる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記航海用船を利用して前記貯蔵タンク内に貯蔵された流体を輸送するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記航海用船が海域において係留されている間に流体を前記貯蔵タンク内に貯蔵するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
航海用船であって、
船郭構造体と、
前記船郭造体内に設けられた少なくとも1つの貯蔵タンクとを有し、前記少なくとも1つの貯蔵タンクは、予想充填高さで前記少なくとも1つの貯蔵タンク内に貯蔵されている流体のスロッシング周期が、結果的に、前記航海用船に作用する予想波力を増幅させる周期範囲によって定められる1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れるようにする寸法を有する、航海用船。
【請求項13】
前記少なくとも1つの貯蔵タンクは、少なくとも100,000立方メートルの容積を有する、請求項12記載の航海用船。
【請求項14】
予想充填高さにおける少なくとも1つの貯蔵タンク内の前記流体のスロッシングの固有共振周期は、前記航海用船の固有共振周期相互間に収まり、或いは、前記航海用船の固有共振周期よりも下であり又は上である、請求項12記載の航海用船。
【請求項15】
前記航海用船をタレット係留するタレット係留システムを更に有する、請求項12記載の航海用船。
【請求項16】
前記貯蔵タンクの長さは、少なくとも260メートルである、請求項12記載の航海用船。
【請求項17】
前記貯蔵タンクは、分離構造体によって長手方向に分割されている、請求項12記載の航海用船。
【請求項18】
液体を輸送する船であって、
船郭構造体と、
前記船郭造体内に設けられた少なくとも1つの貯蔵タンクとを有し、前記少なくとも1つの貯蔵タンクは、予想充填高さで前記少なくとも1つの貯蔵タンク内に貯蔵されている液体のスロッシング周期が、結果的に、前記船に作用する予想波力を増幅させる周期範囲によって定められる1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れるようにする寸法を有する、船。
【請求項19】
前記少なくとも1つの貯蔵タンクは、液体が少なくとも100,000立方メートル分の貯蔵容量を有する、請求項18記載の船。
【請求項20】
前記少なくとも1つの貯蔵タンクの長さは、少なくとも260メートルである、請求項18記載の船。
【請求項21】
前記少なくとも1つの貯蔵タンクは、分離構造体によって長手方向に分割されている、請求項18記載の船。
【請求項22】
少なくとも1つの追加の貯蔵タンクを更に有する、請求項18記載の船。
【請求項23】
前記少なくとも1つの追加の貯蔵タンクの寸法は、前記少なくとも1つの貯蔵タンクの寸法に実質的に等しい、請求項22記載の船。
【請求項24】
前記船は、航海用船である、請求項18記載の船。
【請求項25】
流体を受け入れる方法であって、
船郭構造体と、前記船郭造体内に設けられた少なくとも1つの貯蔵タンクとを有し、前記少なくとも1つの貯蔵タンクは、予想充填高さで前記少なくとも1つの貯蔵タンク内に貯蔵されている流体のスロッシング周期が、結果的に、前記航海用船に作用する予想波力を増幅させる周期範囲によって定められる1つ又は2つ以上の増幅レジームから外れるようにする寸法を有する航海用船を用意するステップと、
前記流体を前記航海用船から荷揚げするステップとを有する、方法。
【請求項26】
前記流体を収容した前記航海用船を受入れ基地まで移動させて前記流体を荷揚げするステップを更に有する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記流体は、液化天然ガスから成る、請求項25記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−513148(P2010−513148A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541299(P2009−541299)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/022215
【国際公開番号】WO2008/076168
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(500450727)エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー (46)
【Fターム(参考)】