説明

ローソク玩具、照明玩具およびこれらの制御方法

【課題】周囲が暗くなるとローソクが灯ることを演出して、ローソク玩具の趣味性を増加させる。また、光源の電力消費を低減する。
【解決手段】ローソク玩具は、筐体と、筐体に対して昇降自在の人形と、人形内に設けられた光源と、周囲の光量を測定するための光量測定手段と、周囲の光量が予め定められた光量閾値未満となると記光源を点灯させる点灯制御手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を有する玩具およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローソク玩具が提案されている(特許文献1)。このローソク玩具は、本体部材から炎部材が支持部材によって押し上げられるように構成されている。また、炎部材に息を吹きかけると、炎部材が支持部材から外れ、本体部材内に落下するように構成されている。なお、支持部材は手動操作によって上下する。
【特許文献1】実用新案登録第3084185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来技術では、ローソクの炎は絵によって実現されているにすぎないため、ローソクの炎が消え行く様を十分に表現しているとはいえない。仮に、ローソクを光源により実現したと仮定すると、ローソクの炎が消え行く様を十分に表現できると考えられる。しかしながら、光源を常に点灯させていたのでは、電力が無駄に消費されるだけでなく、ローソクとしての演出も不十分であろう。例えば、周囲が暗くなるとローソクが灯ることを演出できれば、ローソク玩具の趣味性が増すであろう。
【0004】
従来技術のように炎を単に模した絵を採用するだけでは、物語性やメルヘン性に欠けるであろう。よって、炎を人形等により表現することで、物語性やメルヘン性をローソク玩具に付与することが望ましい。このような物語性やメルヘン性を付与するには、例えば、暗くなると人形が登場し、明るくなると人形がローソク玩具の筐体内に収納するように人形を昇降させることが望ましいだろう。
【0005】
ところで、登場した人形を下降させる条件として周囲の明るさ(光量)以外の条件を付加的にまたは代替的に採用することも望ましいだろう。実際のローソクは、息を吹きかけると炎が消えるため、これに類似した方法で、人形を下降させることができれば、ローソク玩具の趣味性が増すであろう。
【0006】
もちろん、人形が下降する際には、光源を消灯させることが望ましい。なぜなら、人形が下降したにもかかわらず、光源が点灯していれば、電力が無駄に消費されるだけでなく、ローソクを消す動作と光源の消灯との関連性が曖昧となるからである。よって、ローソクを消す動作に類似した動作が検出されたときは、光源を消灯すべきであろう。
【0007】
なお、消費電力を削減する観点からは、光源としてLEDなどを採用することが望ましい。一方で、LEDは、明から暗への遷移が急激に発生するため、ローソクを演出することが難しいだろう。よって、この二律背反する課題を解決することも望ましいだろう。
【0008】
ところで、実際のローソクは暗くなってから使用されるため、ローソク玩具も周囲が明るければ消灯しているべきであり、人形も筐体に格納されていることが望ましいだろう。しかしながら、利用者によっては、たとえ周囲が明るくても人形を見たいと望むこともあろう。よって、周囲が明るくても人形を登場させるための何らかの随意的な手段が提供されるべきであろう。
【0009】
人形を登場させたり、収納したりすることは望ましいが、単純に人形を昇降させるだけでは、物語性やメルヘン性の観点から不十分であろう。物語性やメルヘン性を増すためには、例えば、人形を踊りながら登場させることも有用であろう。
【0010】
ローソク玩具の利用方法も様々であろう。例えば、ベッドのそばにローソク玩具を置いて、就寝時の補助灯として利用されることも想定される。この場合、部屋の照明がOFFにされると、人形が登場するとともに光源も点灯することになる。一般に、就寝時は照明がOFFにされたままとなることから、ローソク玩具の光源が点灯したままとなるおそれがある。特に、眠ってしまうと、ローソク玩具の主電源をOFFにすることは不可能である。よって、電力を節約するためのさらなる工夫が必要であろう。
【0011】
もちろん、周囲が暗いからといって、常に、人形が登場したままとなるよりも、利用者が朝起きたときには人形が筐体に収納されていたほうが、物語性やメルヘン性が増すであろう。
【0012】
ところで、人形を昇降させる機構は、できるだけ簡素で、ローソク玩具の小型化に起用するような機構であることが望ましい。さらに、人形を踊りながら登場させる機構についても同様である。
【0013】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
筐体と、
前記筐体に対して昇降可能な人形と、
前記人形内に設けられた光源と、
周囲の光量を測定するための光量測定手段と、
前記周囲の光量が予め定められた光量閾値未満となると、前記光源を点灯させる点灯制御手段と
を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
前記人形を上昇又は下降させる昇降手段と、
前記周囲の光量が前記光量閾値未満となると前記人形を上昇させ、前記周囲の光量が前記光量閾値以上となると前記人形を下降させるよう前記昇降手段を制御する昇降制御手段と
をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の第3の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
周囲の音を検出する音検出手段をさらに備え、
前記昇降制御手段は、前記音検出手段により第1の音が検出されると、前記人形を下降させるよう前記昇降手段を制御することを特徴とする。
【0017】
本発明の第4の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
前記昇降制御手段は、前記第1の音が検出されると、前記光源を消灯させることを特徴とする。
【0018】
本発明の第5の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
前記点灯制御手段は、前記光源の明るさを徐々に暗くするよう制御することを特徴とする。
【0019】
本発明の第6の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
前記周囲の光量が前記光量閾値以上であり、かつ、前記人形が下降状態にある場合に、前記人形を上昇準備状態へ移行させるための状態移行手段をさらに含み、
前記昇降制御手段は、前記上昇準備状態において、前記音検出手段により第2の音が検出されると、前記人形を上昇させるよう前記昇降手段を制御することを特徴とする。
【0020】
本発明の第7の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
前記昇降手段は、前記人形を水平方向に回転させながら上昇させる手段を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の第8の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
前記光源の点灯時間を計時する計時手段をさらに含み、
前記昇降制御手段は、前記計時手段により計時された点灯時間が予め定められた点灯時間よりも長くなると、前記人形を下降させるよう前記昇降手段を制御することを特徴とする。
【0022】
本発明の第9の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具は、
前記光源の点灯時間を計時する計時手段をさらに含み、
前記点灯制御手段は、前記計時手段により計時された点灯時間が予め定められた点灯時間よりも長くなると、前記周囲の光量が閾値未満であっても、前記光源を消灯させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のローソク玩具。
【0023】
本発明の第10の課題は、例えば、次のような玩具によって解決されよう。本発明に係るローソク玩具が備える昇降手段は、
モーターと、
前記モーターの軸の回転運動を、前記人形を上昇又は下降させるための直線運動に変換する第1変換手段とを含む。なお、ローソク玩具は、さらに、前記直線運動を、前記人形が上昇又は下降しながら水平方向にも回転するよう変換する第2変換手段を含んでもよい。なお、水平方向は一例にすぎず、上昇・下降の方向とは異なる方向であれば十分であろう。
【0024】
なお、本発明を照明玩具に適用してもよい。本発明に係る照明玩具は、
筐体と、
前記筐体に対して露出および格納可能な光源と、
周囲の光量を測定するための光量測定手段と、
前記筐体内から露出または前記筐体内へと格納されるよう前記光源を移動させる光源移動手段と、
前記周囲の光量が予め定められた光量閾値未満となると前記光源を前記筐体内から少なくとも一部露出させ、前記周囲の光量が該光量閾値以上となると前記光源の少なくとも一部を前記筐体内に格納させるよう前記光源移動手段を制御する制御手段と
を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る照明玩具は、
前記周囲の光量が前記光量閾値未満となると、前記光源を点灯させる点灯制御手段をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
なお、本発明は、玩具の制御方法としても実現可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の第1の観点によれば、周囲が暗くなるとローソクが灯ることを演出できるため、ローソク玩具の趣味性が増すであろう。また、光源は常に点灯するわけではないので、電力が無駄に消費されることもないだろう。炎を人形や光源等により表現することで、物語性やメルヘン性をローソク玩具に付与することができる。
【0028】
本発明の第2の観点によれば、暗くなると人形を登場させることができるため、物語性やメルヘン性をローソク玩具に付与することができる。
【0029】
本発明の第3の観点によれば、実際のローソクの炎を消す動作と類似した方法により人形を下降させることができるので、ローソク玩具の趣味性が増すであろう。
【0030】
本発明の第4の観点によれば、人形が下降する際には光源を消灯することで、電力を節約でき、かつ、ローソクを消す動作と光源の消灯との関連性を明瞭にできる。
【0031】
本発明の第5の観点によれば、消費電力を削減するとともに、明から暗への遷移をローソクらしく演出することが可能となる。
【0032】
本発明の第6の観点によれば、周囲が明るくても人形を登場させることで、たとえ周囲が明るくても人形を見たいと望む利用者を満足させられよう。
【0033】
本発明の第7の観点によれば、あたかも人形を踊りながら登場させることで物語性やメルヘン性を増すことが可能となる。
【0034】
本発明の第8の観点によれば、ローソク玩具が就寝時の補助灯として利用されるときでも、人形を好適に下降させることができる。すなわち、物語性やメルヘン性が増すように、人形を昇降制御できるといえる。
【0035】
本発明の第9の観点によれば、ローソク玩具が就寝時の補助灯して利用されるときでも、電力を好適に節約できる。
【0036】
本発明の第10の観点によれば、人形の昇降機構や水平回転機構を簡素にできるため、ローソク玩具自体を小型にできるだけでなく、駆動減であるモータの数を削減できる。
【0037】
本発明の第11の観点によれば、ローソク玩具だけではなく、照明玩具や照明装置も提供できる。すなわち、暗くなると光源が登場して点灯し、明るくなると消灯して光源が収納される照明玩具や照明装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1は、実施形態に係る玩具の外観を示す図である。ローソク玩具100は、筐体101、人形102、フォトセンサ103、マイク104、メインスイッチ105を含む。なお、筐体上部には、人形102を筐体内に収納するための開口部106が設けられている。
【0039】
人形102は、少なくとも一部に透光性を有する部材が採用されており、人形102の内部に設けられた光源からの光を外部に放出する。なお、炎を人形102や光源により表現することで、物語性やメルヘン性をローソク玩具に付与することができる。
【0040】
フォトセンサ103は、周囲の光量を検出および測定するためのセンサである。マイク104は、周囲の音を検出および測定するためのセンサである。フォトセンサ103は、例えば、フォトダイオードなど光電変換を利用する素子により実現できる。
【0041】
メインスイッチ105は、ローソク玩具100の制御ユニットの電源をONにしたりOFFにしたりするために使用される。なお、メインスイッチ105は、ローソク玩具100がスリープモードにある場合に、強制的にアイドルモードへ切り替える際にも利用される。スリープモードとアイドルモード間の切り替えは、一定期間(例:5秒間)にわたりメインスイッチ105が押し下げられることにより実行される。なお、アイドルモードにおいて周囲が暗くなると、点灯・上昇モードに移行する。また、点灯・上昇モードにおいて、所定時間(例:10分)が経過したり、消灯指示がなされたりすると、スリープモードへ移行してもよい。
【0042】
アイドルモードは、所定の閾値以上の光量がフォトセンサ103によって検出されている場合に、人形が下降し、かつ、光源が消灯するモードである。アイドルモードでは、マイク104から入力される音が監視される。アイドルモードにおいて、所定の音が検出されると、周囲が明るくても、人形102が筐体101から登場する。その際には、同時に、光源が点灯されてもよい。
【0043】
図2は、実施形態に係る人形(光源)が筐体内に収納されている状態を示す図である。この例で、人形102は、頭部だけが露出しており、それ以外は筐体内に収納されている。このように、収納状態において、人形102は、一部が露出したままとなっていてもよい。もちろん、人形102が完全に筐体内部に収納されてもよい。
【0044】
人形102の一部を露出させた状態とすることには、いくつか利点がある。例えば、人形102が一部見えているため、利用者に対して、人形102を登場させたいとの希望を芽生えさせることができる。もし、人形102が全く見えていなければ、利用者の希望が芽生える確率は相対的に小さくなろう。
【0045】
さらに、人形102の頭部を完全に隠すためには、筐体101をさらに大きくする必要がある。これでは、ローソク玩具を小型化することは難しい。
【0046】
さらに、人形102の頭部形状がテーパー形状となっているため、頭部が筐体内に完全に収納されると、開口部106と頭部との間に隙間が生じ、筐体内にゴミその他の物体が侵入してしまうおそれがある。これらの物体は、人形が上昇することを阻害するおそれがあるため、好ましくない。
【0047】
よって、開口部106の形状と、人形102の少なくとも一部の水平断面形状とは相似である必要がある。相似であれば、人形が下降した際に、無用な隙間が生じないからである。もちろん、人形102の少なくとも一部の水平断面形状の面積は、開口部106の面積以上であることが望ましい。もちろん、ごみ等が侵入しにくければ、開口部106の面積がより大きくてもよい。
【0048】
図3は、実施形態に係る制御ユニットの一例を示すブロック図である。CPU301は、制御プログラムに従ってローソク玩具を統括的に制御する回路である。なお、CPU301は、タイマー311を内蔵している。ROM302は、制御プログラムなどを記憶する不揮発性の記憶回路である。RAM303は、ワークエリアとして機能する揮発性の記憶回路である。
【0049】
電源304は、電池などを含む電源回路である。電源304は、メインスイッチ105の押し下げに応じて、CPU201やその他の回路に通電を行う。
【0050】
ADC(アナログデジタル変換回路)305は、フォトセンサ(PD)103からの出力電圧をデジタル信号に変換する回路である。ADC306は、マイク(MIC)104からの出力電圧をデジタル信号に変換する回路である。
【0051】
昇降制御部307は、CPU301からの指示信号に応じてモーター(M)308を駆動する。点灯制御部309は、CPU301からの指示信号に応じて光源310の一例である発光ダイオード(LED)を点灯したり、消灯したりする。
【0052】
図4は、実施形態に係る制御方法の一例を示すフローチャートである。ステップS400において、CPU301は、フォトセンサ103により測定された周囲の光量を取得する。ステップS402において、CPU301は、測定された光量が予め定められた光量閾値未満であるか否かを判定する。光量閾値は、周囲が明るいか暗いかを判定するための閾値である。光量閾値以上であれば、ステップS400に戻る。一方、光量閾値未満であれば、ステップS404へ進む。
【0053】
ステップS404において、CPU301は、人形102を上昇させるための指示信号を昇降制御部307に送出するとともに、光源310を点灯させるための指示信号を点灯制御部309に送出する。昇降制御部307は、指示信号に応じて、人形102を上昇させるようモーター308を駆動する。なお、人形102が最高点に達すると、昇降制御部307は、モーターの駆動を停止する。一方、点灯制御部309は、指示信号に応じて、光源310を点灯させる。なお、炎を演出するために、点灯制御部309は、光源310をゆっくりと明滅させてもよい。また、CPU301は、タイマー311による計時をスタートさせる。
【0054】
このように、周囲が暗くなると光源310を点灯させることでローソクが灯ることを演出できるため、ローソク玩具100の趣味性が増すであろう。また、光源310は、原則として周囲が明るいうちは点灯が抑制されるため、電力が無駄に消費されることもないだろう。
【0055】
ステップS406において、CPU301は、フォトセンサ103により周囲の光量を測定する。ステップS408において、CPU301は、測定された光量が予め定められた光量閾値未満であるか否かを判定する。光量閾値未満であれば、ステップS410に進む。一方、光量閾値以上であれば、ステップS416へ進む。
【0056】
ステップS410において、CPU301は、タイマー311により計時された時間が予め定められた時間を経過したか否かを判定する。経過していれば、ステップS416へ進む。経過していなければ、ステップS412へ進む。
【0057】
ステップS412において、CPU301は、マイク104から入力された音を検出する。ステップS414において、CPU301は、検出された音が予め定められた音であるか否かを判定する。例えば、CPU301は、息を吹きかけられたことを検出するために、300μ秒の継続した信号が入力されたか否かを判定する。なお、300μ秒の信号は、単なる例示にすぎない。ローソクを消灯する際の動作に類似した動作をCPU301が検出できれば、どのような信号であってもよい。予め定められた音が検出されなかったときは、ステップS406に戻る。一方、予め定められた音が検出されたときは、ステップS416に進む。
【0058】
ステップS416において、CPU301は、人形102を下降させるための指示信号を昇降制御部307に送出するとともに、光源310を消灯させるための指示信号を点灯制御部309に送出する。昇降制御部307は、指示信号に応じて、人形102を下降させるようモーター308を駆動する。なお、人形102が最下点に達すると、昇降制御部307は、モーターの駆動を停止する。一方、点灯制御部309は、指示信号に応じて、光源310を消灯させる。
【0059】
なお、ローソクの炎が消え行く様を演出するために、点灯制御部309は、光源310の明るさが徐々に暗くなるように制御してもよい。例えば、点灯制御部309は、所定の周期ごとに光源310に印加される電圧を低下させていってもよい。常に光源を点灯させる場合と比較し、本実施形態は、消費電力を削減できるとともに、明から暗への遷移をローソクらしく演出することが可能となる。あるいは、人形102の下降が始まった後で、CPU301は、光源310をいきなり消灯してもよい。
【0060】
このように、実際のローソクの炎を消す動作と類似した方法により人形102を下降させたり、光源310を消灯させたりすることで、ローソク玩具の趣味性が増すであろう。
【0061】
また、人形102が下降する際には光源310を消灯することで、電力を節約でき、かつ、ローソクを消す動作と光源の消灯との関連性を明瞭にできる。
【0062】
本実施形態によれば、ステップS410において所定時間が経過したと判定されるとステップS416に進み、自動的に人形102が下降する。よって、ローソク玩具100が就寝時の補助灯して利用されるときでも、人形102を好適に下降させることができる。すなわち、物語性やメルヘン性が増すように、人形を昇降制御できるといえる。
【0063】
さらに、本実施形態によれば、ステップS410において所定時間が経過したと判定されるとステップS416に進み、自動的に光源310が消灯する。よって、ローソク玩具100が就寝時の補助灯して利用されるときでも、電力を好適に節約できる。
【0064】
図5は、実施形態に係る制御方法の他の例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートに係る処理は、図4に示したステップS402でNoと判定されたときに実行されるものとする。すなわち、図5は、アイドルモードにおける処理を示している。
【0065】
ステップS500において、CPU301は、メインスイッチ105を通じてキー入力がなされたか否かを判定する。キー入力がなされていなければ、本フローチャートからメインルーチン(図4)のS400へ戻る。一方、キー入力が検出された場合は、ステップS502へ進む。キー入力は、例えば、メインスイッチ105が1秒未満押し下げられたことに対応する。
【0066】
ステップS502において、CPU301は、マイク104から入力された音を検出する。ステップS504において、CPU301は、検出された音が予め定められた音であるか否かを判定する。例えば、CPU301は、人形を起こすための動作(例:マイク104の付近をトントトトンと叩く。)が実行されたことを検出するために、2秒間に100μ秒の信号が3回入力されたか否かを判定する。予め定められた音が検出されなかったときは、本フローチャートを抜けてメインルーチンのステップS400に戻る。一方、予め定められた音が検出されたときは、ステップS506に進む。
【0067】
ステップS506において、CPU301は、人形102を上昇させるための指示信号を昇降制御部307に送出するとともに、光源310を点灯させるための指示信号を点灯制御部309に送出する。
【0068】
ステップS508において、CPU301は、タイマー311により計時された時間が予め定められた時間を経過したか否かを判定する。なお、タイマー311は、ステップS502において計時を開始したものとする。計時された時間が予め定められた時間を経過していれば、ステップS514へ進む。経過していなければ、ステップS510へ進む。
【0069】
ステップS510において、CPU301は、マイク104から入力された音を検出する。ステップS512において、CPU301は、検出された音が予め定められた音であるか否かを判定する。例えば、CPU301は、息を吹きかけられたことを検出するために、300μ秒の継続した信号が入力されたか否かを判定する。予め定められた音が検出されなかったときは、ステップS508に戻る。一方、予め定められた音が検出されたときは、ステップS514に進む。
【0070】
ステップS514において、CPU301は、人形102を下降させるための指示信号を昇降制御部307に送出するとともに、光源310を消灯させるための指示信号を点灯制御部309に送出する。
【0071】
このように本実施形態によれば、周囲の光量が光量閾値以上であり、かつ、人形102が下降状態にある場合にCPU301は、人形102を上昇準備状態へ移行させる。すなわち、図5に示すアイドルモードへと移行する。そして、CPU301は、アイドルモードにおいて、マイク104により所定の音が検出されると、人形102を上昇させるように制御する。よって、周囲が明るくても人形を登場させることで、暗くなくても人形を見たいと望む利用者を満足させられよう。
【0072】
図6は、実施形態に係る人形の昇降機構の一例を示す図である。モーター308の軸には、ウォームギア601が取り付けられている。このウォームギア601に対して、ギア602がかみ合っている。ギア602は、ウォームギア603と一体化されている。なお、ギア602とウォームギア603は、筐体101に固定された軸608に通されている。軸608と、モーター308の軸とは直交している。
【0073】
ウォームギア603に対して、ギア604がかみ合っている。なお、ギア604の下部には、ギア604の径よりも小径のギア605が一体化されている。なお、ギア604およびギア605に通されている軸は、軸608とモーター308の軸との双方に直交している。
【0074】
このギア605に対して、より大径のギア606がかみ合っている。大径のギア606の外周付近にはクランクピン607が設けられている。なお、ギア605の軸とギア606の軸とは平行である。また、クランクピン607もギア605の軸とギア606の軸とに対して平行である。このようなギア機構によって、モーター308の回転が、クランクピン607の回転へと変換される。
【0075】
図7は、実施形態に係る人形の昇降機構および回転機構の一例を示す図である。上述したクランクピン607は、クランク701の溝孔702内を往復運動する。この往復運動に応じて、クランク701が上下に運動する。
【0076】
クランク701には、軸受703が設けられている。この軸受703は、円筒形の溝として形成されている。この軸受703には、人形102を支持するほぼ円筒形の支持部材710の底部が挿入される。なお、支持部材710は、軸受703に対して回動可能となっている。
【0077】
クランク701の両側端は、それぞれ筐体101に設けられた移動支持体704、705にそれぞれ設けられた溝部706、707に挿入されている。この溝部706、707によって、クランク701は上下にのみ移動するよう移動方向が規制されている。 支持部材710は、クランク701と一緒に上下運動をする。このようにして、モーター308の軸の回転運動を、人形102を上昇又は下降させるための直線運動に変換することが可能となる。
【0078】
この支持部材710の表面には、カム溝711が掘られている。筐体101に固定されたカム712は、このカム溝711に挿入されている。よって、支持部材710が上下運動する際に、カム712に沿ってカム溝711が通過するため、支持部材710が水平方向に回転することになる。このようにカム機構によって上下運動が回転運動に変換されるため、支持部材710の上部に固定された人形102も水平方向に回転する。なお、実施形態によれば、水平方向は、上昇・下降の方向と直交しているが、水平方向は、人形の回転方向の一例にすぎない。人形の回転方向は、上昇・下降の方向とは異なる方向であれば十分であろう。人形の踊りを表現できれば十分だからである。
【0079】
図8は、実施形態に係る人形の昇降機構および回転機構の一例を示す図である。とりわけ、図8は、クランクピン607が最高点に達したときのクランク701、支持部材710および人形102の位置関係が示されている。
【0080】
図からわかるように、クランク701の上昇にともとなって、カム溝711が筐体101に固定されたカム712に沿って移動する。そのため、支持部材710と人形102が水平方向に回転する。このように、支持部材710に設けられたカム溝711と筐体に固定されたカム712とによって、クランク701の直線運動を、人形102が上昇又は下降しながら水平方向にも回転するよう変換することが可能となる。
【0081】
このように、人形102が水平方向に回転しながら昇降することで、あたかも人形102が踊りながら登場したり、下降したりするように見える。よって、ローソク玩具102に、物語性やメルヘン性を付与することができる。
【0082】
また、本実施形態の昇降機構および回転機構を用いれば、モーターを一つだけ使用することで、人形の昇降と水平回転とを実現できるためコスト的に有利である。また、モーターは1つだけでよいので、玩具の小型化の観点からも有利である。
【0083】
上述した実施形態では、ローソク玩具を一例として説明したが、本発明はローソク玩具にのみ限定されるわけではない。例えば、人形102を光源に置換すれば、照明玩具や照明装置も実現できる。すなわち、暗くなると光源が登場して点灯し、明るくなると消灯して光源が収納される照明玩具や照明装置が提供される。
【0084】
なお、登場タイミングと点灯タイミングとは、ほぼ同時であってもよいし、一方が先であってもよい。また、下降タイミングおよび消灯タイミングに関しても、ほぼ同時であってもよいし、一方が先であってもよい。これらのタイミングをどのように設定するかは、物語性やメルヘン性を玩具に付与する観点から決定されることが好ましいが、もちろん他の観点から決定されてもよい。例えば、人形が登場してから光源を点灯するよりも、光源を点灯してから人形を登場させた方が幻想的であろう。なぜなら、人形は昇降しつつ水平回転しながら登場するため、光が揺れるような現象が生じるからである。なお、省電力の観点からは、光源の点灯時間を短くするために、人形が昇降完了した後に光源を点灯させたり、光源を消灯させた後に人形を下降させたりすることが望ましいだろう。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施形態に係る玩具の外観を示す図である。
【図2】実施形態に係る人形(光源)が筐体内に収納されている状態を示す図である。
【図3】実施形態に係る制御ユニットの一例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係る制御方法の他の例を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係る人形の昇降機構の一例を示す図である。
【図7】実施形態に係る人形の昇降機構および回転機構の一例を示す図である。
【図8】実施形態に係る人形の昇降機構および回転機構の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローソク玩具であって、
筐体と、
前記筐体に対して昇降可能な人形と、
前記人形内に設けられた光源と、
周囲の光量を測定するための光量測定手段と、
前記周囲の光量が予め定められた光量閾値未満となると、前記光源を点灯させる点灯制御手段と
を含むことを特徴とするローソク玩具。
【請求項2】
前記人形を上昇又は下降させる昇降手段と、
前記周囲の光量が前記光量閾値未満となると前記人形を上昇させ、前記周囲の光量が前記光量閾値以上となると前記人形を下降させるよう前記昇降手段を制御する昇降制御手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のローソク玩具。
【請求項3】
周囲の音を検出する音検出手段をさらに備え、
前記昇降制御手段は、前記音検出手段により第1の音が検出されると、前記人形を下降させるよう前記昇降手段を制御することを特徴とする請求項2に記載のローソク玩具。
【請求項4】
前記昇降制御手段は、前記第1の音が検出されると、前記光源を消灯させることを特徴とする請求項3に記載のローソク玩具。
【請求項5】
前記点灯制御手段は、前記光源の明るさを徐々に暗くするよう制御することを特徴とする請求項4に記載のローソク玩具。
【請求項6】
前記周囲の光量が前記光量閾値以上であり、かつ、前記人形が下降状態にある場合に、前記人形を上昇準備状態へ移行させるための状態移行手段をさらに含み、
前記昇降制御手段は、前記上昇準備状態において、前記音検出手段により第2の音が検出されると、前記人形を上昇させるよう前記昇降手段を制御することを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載のローソク玩具。
【請求項7】
前記昇降手段は、前記人形を水平方向に回転させながら上昇させる手段を含むことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載のローソク玩具。
【請求項8】
前記光源の点灯時間を計時する計時手段をさらに含み、
前記昇降制御手段は、前記計時手段により計時された点灯時間が予め定められた点灯時間よりも長くなると、前記人形を下降させるよう前記昇降手段を制御することを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載のローソク玩具。
【請求項9】
前記光源の点灯時間を計時する計時手段をさらに含み、
前記点灯制御手段は、前記計時手段により計時された点灯時間が予め定められた点灯時間よりも長くなると、前記周囲の光量が閾値未満であっても、前記光源を消灯させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のローソク玩具。
【請求項10】
照明玩具であって、
筐体と、
前記筐体に対して露出および格納可能な光源と、
周囲の光量を測定するための光量測定手段と、
前記筐体内から露出または前記筐体内へと格納されるよう前記光源を移動させる光源移動手段と、
前記周囲の光量が予め定められた光量閾値未満となると前記光源を前記筐体内から少なくとも一部露出させ、前記周囲の光量が該光量閾値以上となると前記光源の少なくとも一部を前記筐体内に格納させるよう前記光源移動手段を制御する制御手段と
を含むことを特徴とする照明玩具。
【請求項11】
前記周囲の光量が前記光量閾値未満となると、前記光源を点灯させる点灯制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の照明玩具。
【請求項12】
前記照明玩具は、ローソク玩具であることを特徴とする請求項10または11に記載の照明玩具。
【請求項13】
ローソク玩具であって、
上部に開口部を有する筐体と、
前記筐体に対して昇降可能な人形と、
前記人形を上昇又は下降させる昇降手段と、
前記人形内に設けられた光源と、
周囲の光量が予め定められた光量閾値未満となると、前記光源を点灯させる点灯制御手段と、
前記周囲の光量が前記光量閾値未満となると前記人形を上昇させることで前記人形の少なくとも一部を前記開口部より露出させ、前記周囲の光量が前記光量閾値以上となると前記人形を下降させることで前記人形の少なくとも一部を前記開口部より収納させるよう前記昇降手段を制御する昇降制御手段とを含み、
前記昇降手段は、
モーターと、
前記モーターの軸の回転運動を、前記人形を上昇又は下降させるための直線運動に変換する第1変換手段と、
を特徴とするローソク玩具。
【請求項14】
前記ローソク玩具はさらに、
前記直線運動を、前記人形が上昇又は下降しながら水平方向にも回転するよう変換する第2変換手段
を含むことを特徴とする請求項13に記載のローソク玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−29416(P2008−29416A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203650(P2006−203650)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【特許番号】特許第3903068号(P3903068)
【特許公報発行日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】