説明

ロータリーダンパ

【課題】小型で軽量なロータリーダンパを提供する。
【解決手段】本発明のロータリーダンパは、本体ケース1が、本体ケース1の回転を規制するストッパー部材9を配置可能な凹部2を有し、凹部2は、本体ケース1の外周面1aよりも内側に在って、ストッパー部材9と当接し得る当接部2a,2bと、凹部2内でストッパー部材9が移動し得る領域2cとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーダンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2007−050765号公報には、本体ケースの外周面よりも外側に在って、本体ケースの回転を規制するストッパー部材を配置可能な案内溝を有するロータリーダンパが記載されている。案内溝は、ストッパー部材と当接し得る当接部と、案内溝内でストッパー部材が移動し得る領域とを有している。
【0003】
しかしながら、このロータリーダンパでは、案内溝が、本体ケースの外周面よりも外側に在るため、ダンパの大きさが必然的に大きくなってしまうという欠点があった。また、案内溝が、本体ケースに突設された板状部材に形成されているため、ダンパの総重量も重いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−050765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、小型で軽量なロータリーダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下のロータリーダンパを提供する。
1.本体ケースが、該本体ケースの回転を規制するストッパー部材を配置可能な凹部を有し、該凹部は、前記本体ケースの外周面よりも内側に在って、前記ストッパー部材と当接し得る当接部と、前記凹部内で前記ストッパー部材が移動し得る領域とを有することを特徴とするロータリーダンパ。
2.前記本体ケース内に設けられるロータと、該ロータと前記本体ケースとの間に、前記本体ケースと共に回転し得るように設けられる隔壁と、該隔壁により仕切られた室内に充填される粘性液体と、前記室内に前記ロータと共に回転し得るように設けられるベーンと、前記本体ケースの開口部を閉塞する蓋とを有し、前記凹部が前記隔壁として機能するものであることを特徴とする前記1に記載のロータリーダンパ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロータリーダンパによれば、本体ケースが、該本体ケースの回転を規制するストッパー部材を配置可能な凹部を有し、該凹部は、前記本体ケースの外周面よりも内側に在って、前記ストッパー部材と当接し得る当接部と、前記凹部内で前記ストッパー部材が移動し得る領域とを有するため、小型で軽量なロータリーダンパを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す正面図である。
【図3】図3は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す底面図である。
【図4】図4は、図1におけるA−A部断面図である。
【図5】図5は、図1におけるB−B部断面図である。
【図6】図6は、図2におけるA−A部断面図である。
【図7】図7は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパの動作を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す平面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す正面図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す底面図である。
【図11】図11は、図8におけるA−A部断面図である。
【図12】図12は、図8におけるB−B部断面図である。
【図13】図13は、図9におけるA−A部断面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
図1〜図3は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、本体ケース1が、凹部2を有して構成される。
【0011】
凹部2は、円筒状の本体ケース1の外周面1aよりも内側に存在している(図2及び図3参照)。本実施例では、本体ケース1の底壁1bの一部に、一定の幅及び高さを有する弧状の凹みが形成され、この凹みが凹部2である(図2〜図5参照)。
【0012】
凹部2は、その内部に本体ケース1の回転を規制するストッパー部材9を配置することが可能なものである(図7参照)。ストッパー部材9は、ロータリーダンパを構成する部材ではなく、ロータリーダンパによって回転動作が制御される可動体に設置されるものである。
【0013】
凹部2は、ストッパー部材9と当接し得る当接部2a,2bと、凹部2内でストッパー部材9が移動し得る領域2cとを有している(図3及び図7参照)。
【0014】
本体ケース1内には、本体ケース1又はロータ3の回転速度を減速し得るダンパ機構が設けられる。ダンパ機構としては、従来周知の様々な機構を利用することができる。本実施例では、本体ケース1内に設けられるロータ3と、ロータ3と本体ケース1との間に、本体ケース1と共に回転し得るように設けられる隔壁4と、隔壁4により仕切られた室5内に充填される粘性液体6と、室5内にロータ3と共に回転し得るように設けられるベーン7と、本体ケース1の開口部を閉塞する蓋8とを有して構成されるダンパ機構が用いられている(図4〜図6参照)。
【0015】
本実施例で採用したダンパ機構によれば、ロータ3が回転不能に固定され、ロータ3の周りを本体ケース1が回転した場合には、隔壁4が粘性液体6を押圧し、押圧された粘性液体6がベーン7と本体ケース1との間に形成された僅かな隙間を通って移動するときに、粘性液体6の抵抗が発生し、その抵抗によって本体ケース1の回転速度が減速されることになる。
【0016】
上記のように構成されるロータリーダンパは、ロータ3が回転不能に固定され、ロータ3の周りを本体ケース1が回転し得るように設置された場合には、図7に示したように、可動体に設置されたストッパー部材9が1つの凹部2に設けられた2つの当接部2a,2bの間(領域2c)を移動するときは、本体ケース1が回転しない。したがって、ロータリーダンパは制動力を発揮せず、可動体は回動速度を減速されることなく回動する。
【0017】
ストッパー部材9が、例えば一方の当接部2bに当接し、さらにその当接部2bを押す方向に移動したときには、それに伴い本体ケース1が回転し、本体ケース1内のダンパ機構が作動することにより、ロータリーダンパは制動力を発揮する。その結果、可動体の回動速度は、減速されることになる。
【0018】
本実施例に係るロータリーダンパを自動車のシートに適用した場合には、可動体であるシートバックが前方へ所定の角度まで回動する間は、シートバックに設置されたストッパー部材9が凹部2の領域2cを移動しているため、シートバックの回動速度は減速されない。そのシートバックが前方へ所定の角度を超えて回動したときは、ストッパー部材9が凹部2の一方の当接部2bに当接し、さらにその当接部2bを押す方向に移動するため、本体ケース1が回転し、それに伴い本体ケース1内のダンパ機構が作動することにより、ロータリーダンパが制動力を発揮して、シートバックの回動速度が減速されることになる。
【0019】
逆に、前方へ倒されたシートバックが後方へ所定の角度まで回動する間は、ストッパー部材9が凹部2の領域2cを移動しているため、シートバックの回動速度は減速されない。そのシートバックが後方へ所定の角度を超えて回動したときは、ストッパー部材9が凹部2の他方の当接部2aに当接し、さらにその当接部2aを押す方向に移動するため、本体ケース1が回転し、それに伴い本体ケース1内のダンパ機構が作動することにより、ロータリーダンパが制動力を発揮して、シートバックの回動速度が減速されることになる。したがって、シートバックを回動させるときの安全性及び操作性を向上させることができる。
【0020】
本実施例に係るロータリーダンパは、上記したように、本体ケース1が、本体ケース1の回転を規制するストッパー部材9を配置可能な凹部2を有し、凹部2は、本体ケース1の外周面1aよりも内側に在って、ストッパー部材9と当接し得る当接部2a,2bと、凹部2内でストッパー部材9が移動し得る領域2cとを有する。したがって、従来のダンパのように、本体ケースの外周面から突出した部分がないので、ダンパの小型化を実現し得る。また、本体ケース1に凹部2が設けられることによって、本体ケースに凹部がない典型的なダンパと比較しても、ダンパの総重量を軽くすることができる。また、本体ケースの外周面から突出した板状部材を有する従来のダンパと比較した場合には、ダンパの総重量を大幅に軽くすることができる。
【実施例2】
【0021】
図8〜図10は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパも、実施例1に係るロータリーダンパと同様に、本体ケース1が凹部2を有して構成される。しかし、本実施例に係るロータリーダンパは、凹部2が隔壁4として機能するものである点で、実施例1に係るロータリーダンパと異なる。
【0022】
本実施例に係るロータリーダンパは、図11〜図13に示したように、本体ケース1と、本体ケース1内に設けられるロータ3と、ロータ3と本体ケース1との間に、本体ケース1と共に回転し得るように設けられる隔壁4と、隔壁4により仕切られた室5内に充填される粘性液体6と、室5内にロータ3と共に回転し得るように設けられるベーン7と、本体ケース1の開口部を閉塞する蓋8とを有して構成される。
【0023】
本実施例では、本体ケース1内に存する隔壁4の表面が凹部2の内面であり、凹部2の外面は本体ケース1の外面の一部を成している。したがって、凹部2は、粘性液体が充填される室を仕切る隔壁4として機能している。
【0024】
上記のように構成されるロータリーダンパは、ロータ3が回転不能に固定され、ロータ3の周りを本体ケース1が回転し得るように設置された場合には、図14に示したように、可動体に設置されたストッパー部材9が1つの凹部2に設けられた2つの当接部2a,2bの間(領域2c)を移動するときは、本体ケース1が回転しない。したがって、ロータリーダンパは制動力を発揮せず、可動体は回動速度を減速されることなく回動する。
【0025】
ストッパー部材9が、例えば一方の当接部2bに当接し、さらにその当接部2bを押す方向に移動したときには、それに伴い本体ケース1が回転し、隔壁4が粘性液体6を押圧する。そして、押圧された粘性液体6がベーン7と本体ケース1との間に形成された僅かな隙間を通って移動するときに、粘性液体6の抵抗が発生し、その抵抗によって本体ケース1の回転速度が減速されることになる。その結果、可動体の回動速度も減速されることになる。
【0026】
本実施例に係るロータリーダンパは、上記したように、凹部2が隔壁4として機能するものであるため、実施例1に係るロータリーダンパよりも軸方向の長さを短縮することができる。したがって、ダンパの更なる小型化を実現し得る。また、本体ケース1の底壁1bの厚さを薄くできるだけでなく、凹部2によって隔壁4の背後に空間が形成されることになるため、実施例1に係るロータリーダンパよりも更に軽量化を図ることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 本体ケース
1a 本体ケースの外周面
1b 本体ケースの底壁
2 凹部
2a,2b 当接部
2c 領域
3 ロータ
4 隔壁
5 室
6 粘性液体
7 ベーン
8 蓋
9 ストッパー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースが、該本体ケースの回転を規制するストッパー部材を配置可能な凹部を有し、該凹部は、前記本体ケースの外周面よりも内側に在って、前記ストッパー部材と当接し得る当接部と、前記凹部内で前記ストッパー部材が移動し得る領域とを有することを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項2】
前記本体ケース内に設けられるロータと、該ロータと前記本体ケースとの間に、前記本体ケースと共に回転し得るように設けられる隔壁と、該隔壁により仕切られた室内に充填される粘性液体と、前記室内に前記ロータと共に回転し得るように設けられるベーンと、前記本体ケースの開口部を閉塞する蓋とを有し、前記凹部が前記隔壁として機能するものであることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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