説明

ロータリー作業機

【課題】爪軸の長手方向にわたって残耕を生じないロータリー作業機を提供する。
【解決手段】偏芯耕耘爪Eを爪軸AXの長手方向P−Pの中央から両端に向かってそれぞれ距離Lだけ離れた位置に1つずつ配置し、偏芯耕耘爪Eに隣接する普通耕耘爪45の直刃部45Bが偏芯耕耘爪Eの先端Etの回転軌跡と爪軸AXの半径を含む仮想面に接するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の爪軸と、爪軸の外周面に、半径方向に向けて突設された複数の爪ホルダと、それぞれの爪ホルダに取り付けられた複数の耕耘爪とを備え、耕耘爪を接地させて爪軸を回転することで耕耘作業を行うロータリー作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリー作業機は、円筒状の爪軸と、爪軸の外周面に、半径方向に向けて突設された複数の爪ホルダと、それぞれの爪ホルダに取り付けられた複数の耕耘爪とを備え、耕耘爪を接地させて爪軸を回転することで耕耘作業を行う。図7には、通常耕耘(平面耕)の例を示す。なお、符号1はロータリーカバー、符号2は偏芯耕耘爪、符号3は普通耕耘爪を示し、爪軸4上の耕耘爪は5つのブロックB1〜B5に分割されて配置されている。ブロックB3は、その中心付近に爪軸4の長手方向の中央CLが配置される。
【0003】
しかし、例えば、耕作土に二つ盛を形成するような場合、爪軸4の中央CLに耕耘爪を配置しないと、中央付近に残耕が生じてしまう。爪軸の中央付近に偏芯耕耘爪を配置することで残耕を防止する提案が特許文献1に開示されている。この特許文献1では、二つ盛作業に際し、爪軸の両端に備える偏芯耕耘爪を、爪軸の中央付近に取り付けられている普通耕耘爪と付け替えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−275602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような構成のロータリー作業機では、偏芯耕耘爪の爪高さが十分でなく、隣接する普通耕耘爪との間に隙間ができてしまう。これによって、偏芯耕耘爪と普通耕耘爪との間に残耕ができてしまうという問題があった。また、爪軸の両端に配置する偏芯耕耘爪は、爪軸の両端をロータリー作業機本体に取り付けるためのブラケットによって生じる耕耘出来ない部分(残耕)をなくすことが目的であった。したがって、特許文献1のように、爪軸の両端に配置されている偏芯耕耘爪を爪軸の中央付近に移動すると、爪軸の両端に残耕が発生してしまうという問題もあった。そこで、この発明の目的は、爪軸の長手方向にわたって残耕を生じないロータリー作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため請求項1に記載の発明は、円筒状の爪軸と、
該爪軸の外周面に、半径方向に向けて突設された複数の爪ホルダと、
該それぞれの爪ホルダに取り付けられた複数本の耕耘爪とを備え、
該耕耘爪を接地させて前記爪軸を回転することで耕耘作業を行うロータリー作業機において、
前記複数本の耕耘爪が、前記爪軸の長手方向略中央付近に配置される2本の偏芯耕耘爪と、前記爪軸のそれ以外の箇所に配置される複数本の普通耕耘爪とを含み、
前記普通耕耘爪は、基端が前記爪ホルダに固定される直線的な直刃部と、湾曲した湾曲刃部とで構成され、さらに、前記直刃部が前記爪ホルダの突設方向に延出するように形成される一方、
前記偏芯耕耘爪は、基端が前記爪ホルダに固定される屈曲形状の屈曲部と、直線的な直刃部と、湾曲した湾曲刃部とで構成され、さらに、前記屈曲部によって前記直刃部が前記爪ホルダの突設方向から偏芯して配置され、
前記偏芯耕耘爪を前記爪軸の長手方向略中央から両端に向かってそれぞれ距離Lだけ離れた位置に1つずつ配置し、かつ、それぞれの前記偏芯耕耘爪が前記爪軸の中央に向かって偏芯するように配置したロータリー作業機であって、
前記爪軸の長手方向略中央で前記爪軸の半径を含む仮想面を形成したとき、該仮想面の両側から前記2本の偏芯耕耘爪のそれぞれの直刃部が接するように配置され、
さらに、前記偏芯耕耘爪に隣接する前記普通耕耘爪の直刃部が前記偏芯耕耘爪の先端の回転軌跡と前記爪軸の半径を含む仮想面に接するように構成されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロータリー作業機において、前記爪軸上に配置された前記耕耘爪を隣接する2N本ずつで1つのブロックを構成させ、該ブロックを複数備えるロータリー作業機であって、
前記ブロックを構成する2N本の前記耕耘爪のうち、
N本の前記耕耘爪の前記湾曲刃部の先端の向きと、残りのN本の前記耕耘爪の前記湾曲刃部の先端の向きとがそれぞれ反対を向くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、円筒状の爪軸と、該爪軸の外周面に、半径方向に向けて突設された複数の爪ホルダと、該それぞれの爪ホルダに取り付けられた複数本の耕耘爪とを備え、該耕耘爪を接地させて前記爪軸を回転することで耕耘作業を行うロータリー作業機において、前記複数本の耕耘爪が、前記爪軸の長手方向略中央付近に配置される2本の偏芯耕耘爪と、前記爪軸のそれ以外の箇所に配置される複数本の普通耕耘爪とを含み、前記普通耕耘爪は、基端が前記爪ホルダに固定される直線的な直刃部と、湾曲した湾曲刃部とで構成され、さらに、前記直刃部が前記爪ホルダの突設方向に延出するように形成される一方、前記偏芯耕耘爪は、基端が前記爪ホルダに固定される屈曲形状の屈曲部と、直線的な直刃部と、湾曲した湾曲刃部とで構成され、さらに、前記屈曲部によって前記直刃部が前記爪ホルダの突設方向から偏芯して配置され、前記偏芯耕耘爪を前記爪軸の長手方向略中央から両端に向かってそれぞれ距離Lだけ離れた位置に1つずつ配置し、かつ、それぞれの前記偏芯耕耘爪が前記爪軸の中央に向かって偏芯するように配置したロータリー作業機であって、前記爪軸の長手方向略中央で前記爪軸の半径を含む仮想面を形成したとき、該仮想面の両側から前記2本の偏芯耕耘爪のそれぞれの直刃部が接するように配置され、さらに、前記偏芯耕耘爪に隣接する前記普通耕耘爪の直刃部が前記偏芯耕耘爪の先端の回転軌跡と前記爪軸の半径を含む仮想面に接するように構成されることを特徴とする。
【0009】
これにより、偏芯耕耘爪と普通耕耘爪との間に残耕が発生することを防止することができる。したがって、爪軸の長手方向にわたって残耕を生じないロータリー作業機を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記爪軸上に配置された前記耕耘爪を隣接する2N本ずつで1つのブロックを構成させ、該ブロックを複数備えるロータリー作業機であって、前記ブロックを構成する2N本の前記耕耘爪のうち、N本の前記耕耘爪の前記湾曲刃部の先端の向きと、残りのN本の前記耕耘爪の前記湾曲刃部の先端の向きとがそれぞれ反対を向く。これによって、1つのブロック内で、爪軸の長手方向の一方に湾曲刃部の先端が向く耕耘爪と、爪軸の長手方向の他方に湾曲刃部の先端が向く耕耘爪とが同数となり、ブロック内で均一な耕耘作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明のロータリー作業機、およびこれを牽引し動力を伝達するためのトラクタの概略側面図である。
【図2】図1のロータリー作業機の側面図である。
【図3】図1のロータリー作業機の要部拡大図である。
【図4】普通耕耘爪の、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図5】偏芯耕耘爪の、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図6】偏芯耕耘爪と普通耕耘爪の配置を説明するための図である。
【図7】従来の偏芯耕耘爪と普通耕耘爪を備えるロータリー作業機を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。図1にこの発明の一例のロータリー作業機50およびこれを牽引し、動力を伝達するためのトラクタ21の側面図を示す。トラクタ21は、車体フレーム22の前後に前輪23および後輪24を2つずつ備え、前輪23の上方にボンネット25を形成し、その内側には原動機部としてのエンジンを備える。そして、ボンネット25の後部に連続して運転ボックス26を設ける。
【0013】
運転ボックス26内には、エンジンキー、アクセルペダル,クラッチペダル,ブレーキペダルなどの操作ペダル28、シフトレバー、ハンドル29、運転席30、さらに、速度、燃料、警報などを表示する表示部(不図示)などを設ける。運転ボックス26の外周はそれぞれフロントガラス、リアガラス、ドア31などが視認性を向上させるためにガラス張りにて構成されている。また、運転ボックス26の左前部にはラジオ放送などを受信するアンテナ32を取り付けるとともに、運転ボックス26の両前部には後方確認用のミラー33を設ける。
【0014】
運転ボックス26の前方のボンネット25上にはエンジンの排気を誘導するパイプ状の排気口27を鉛直方向に設ける。また、運転ボックス26の左下方には、運転者が運転ボックス26に昇降するためのステップ34を車体フレーム22に固定して取り付ける。
運転ボックス26の後部下方には、フェンダ36が後輪24の後側上半分付近まで覆うように設けられ、反射板37がフェンダ36の後端に取り付けられる。このフェンダ36は本体フレーム22に固設されている。
【0015】
さらに、トラクタ21の後部には、トップリンク39,左右一対のロワーリンク40およびPTO軸41を延設する。トップリンク39および左右一対のロワーリンク40の先端には、三点リンク式のオートヒッチを取り付けるようにしてもよい。
そして、トラクタ21にはロータリー作業機50をトップリンク39,ロワーリンク40を介して取り付け、PTO軸41をロータリー作業機50の入力軸に取り付ける。
【0016】
図2には、ロータリー作業機50の概略側面図を示す。ロータリー作業機50は、動力を伝達するメインビーム43、メインビーム43の左端に備えるチェーンケース44、メインビーム43の中央に備える不図示のギアボックス、ギアボックスに固設されたV字状のアッパーアーム54、ギアボックスの両側方でメインビーム43に回動自在に取り付けられたデプスビーム56、爪軸45aの周りに突設された複数の普通耕耘爪45、複数の普通耕耘爪45を上方より覆うことで耕耘した土の飛散を防止するロータリーカバー(耕耘カバー)46などを備える。
【0017】
ロータリーカバー46には、これを前後に回動させるためのハンドル49が取り付けられている。ロータリーカバー46は、ハンドル49を回転させることで爪軸45aを中心にして進行方向に対して前後に回動可能に構成されている。ロータリーカバー46の回動は耕耘深さ(耕深)に合わせて調整される。また、ロータリーカバー46の後端には、リヤカバー47が回動部48を介して回動自在に連結されている。
【0018】
リヤカバー47の下部には、ハンガーロッド51の下端がピンによって回動自在に取り付けられている。一方、ロータリーカバー46の後部上には左右両側にロッドステー52が後斜め上方に向けて設けられ、そのロッドステー52の上端部にハンガーロッド51の上部が回動軸53の周りに回動自在に、かつハンガーロッド51の長さ方向に摺動自在に支持されている。また、ハンガーロッド51の外周には不図示のコイルバネが巻きつけられ、リヤカバー47を下方(本図において時計回り)に付勢している。
【0019】
アッパーアーム54の一端には前述のトラクタ21のトップリンク39が取り付けられるとともに、アッパーアーム54の別の一端には、アジャストスクリュー55が取り付けられている。このアジャストスクリュー55は、デプスビーム56の上下傾斜角を調整ハンドル57を操作することによって調整できるようになっている。なお、ロータリーカバー46の後部にはサイドカバーを取り付けたり、リヤカバー47の下部にはサイドアンダーカバーを取り付けたりしてもよい。
【0020】
ロータリー作業機50のギアボックスには、ユニバーサルジョイント42を介してトラクタ21のPTO軸41を連結し、トラクタ21の駆動力をロータリー作業機50に伝達する。このギアボックス内にて、PTO軸41の駆動力は、メインビーム43内のシャフトに伝達される。シャフトの端部はチェーンケース44内に配置され、そのシャフトの端部にはギアが固設されている。チェーンケース44内には、爪軸45aの端部に固設された別のギアも備える。そして、2つのギアに無端チェーンを掛け回すことで、メインビーム43内のシャフトから爪軸45aへと駆動力が伝達されるようになっている。
【0021】
図3には、この例の要部を示す。ロータリーカバー46内に配置される円筒状の爪軸AXの外周面には、複数の爪ホルダ(後述の符号HL)を爪軸AXの半径方向に向けて突設する。そして、それぞれの爪ホルダには、普通耕耘爪45、偏芯耕耘爪E、偏芯耕耘爪Dのいずれかを取り付ける。爪軸AXの長手方向の中央CLに最も近い位置には2つの偏芯耕耘爪Eを取り付け、爪軸AXの両端には、別の偏芯耕耘爪Dをそれぞれ取り付ける(この偏芯耕耘爪Dは偏芯耕耘爪Eと同一形状であってもよいし、異なっていてもよい。同一形状である場合には、偏芯耕耘爪Dと偏芯耕耘爪Eを同一の製造工程で形成することができ、製造工程を簡略化することができる)。それ以外の爪軸AX上には、普通耕耘爪45を取り付ける。
【0022】
なお、爪軸AX上に取り付けられた普通耕耘爪45、偏芯耕耘爪E、偏芯耕耘爪Dは5つのブロックBK1〜BK5に区分けされる。各ブロックBK1〜BK5には、それぞれ6本の耕耘爪を備える。ブロックBK1には、5本の普通耕耘爪45と1本の偏芯耕耘爪Dを備え、5本の普通耕耘爪45と、偏芯耕耘爪Dはその先端がそれぞれ右側を向いている。ブロックBK2には、6本の普通耕耘爪45を備え、4本の普通耕耘爪45はその先端が左側を向き、2本の普通耕耘爪45はその先端が右側を向いている。
【0023】
ブロックBK3は、5つのブロックの中で中間に位置し、また、爪軸AXの中心を含む位置にある。ブロックBK3は、4本の普通耕耘爪45と2本の偏芯耕耘爪Eを備える。ブロックBK3の中央付近には、2本の偏芯耕耘爪Eを配置している。2本の普通耕耘爪45と1本の偏芯耕耘爪Eはその先端が左側を向き、2本の普通耕耘爪45と1本の偏芯耕耘爪Eはその先端が右側を向いている。ブロックBK4には、6本の普通耕耘爪45を備え、2本の普通耕耘爪45はその先端が左側を向き、4本の普通耕耘爪45はその先端が右側を向いている。ブロックBK5には、5本の普通耕耘爪45と1本の偏芯耕耘爪Dを備え、5本の普通耕耘爪45と1本の偏芯耕耘爪Dはその先端がそれぞれ左側を向いている。
【0024】
この例の普通耕耘爪45、偏芯耕耘爪E、偏芯耕耘爪Dの先端の向きの配置は、二つ盛耕耘作業をするときのものである。
【0025】
普通耕耘爪45は鉄などの金属製で、図4に示すように、基端が爪ホルダHLに固定される直線的な直刃部45Bと、湾曲した湾曲刃部45Aとで構成される。そして、直刃部45Bが爪ホルダHLの突設方向に向けて延出するように形成される。直刃部45Bの基端側には、貫通孔45Hを設け、この貫通孔45Hと爪ホルダHLに形成された貫通孔とを合わせてボルトBLを通して普通耕耘爪45を爪ホルダHLに固定する。なお、符号45Xは刃を、符号45tは先端を示す。この普通耕耘爪45の爪高さはMである。爪高さは、直刃部45Bの背面(先端45tと反対側)と湾曲刃部45Aの先端45tとの間の距離である。
【0026】
一方、偏芯耕耘爪Eは鉄などの金属製で、図5に示すように、基端が爪ホルダHLに固定される屈曲形状の屈曲部ECと、直線的な直刃部EBと、湾曲した湾曲刃部EAとで構成される、そして、屈曲部ECによって直刃部EBが爪ホルダHLの突設方向から偏芯して設けられる。直刃部EBの延出方向は、爪ホルダHLの突設方向と平行である。直刃部EBの基端側には、貫通孔EHを設け、この貫通孔EHと爪ホルダHLに形成された貫通孔とを合わせてボルトBLを通して偏芯耕耘爪Eを爪ホルダHLに固定する。なお、符号EXは刃を、符号Etは先端を示す。また、符号ECBは、屈曲部ECの屈曲箇所を示す。屈曲部ECは、略直角な屈曲箇所ECBを2箇所備えることで、爪ホルダHLの突設方向に対して直刃部EBを先端Etと反対側に向けて偏芯させるものである。偏芯耕耘爪Eの爪高さはNであり、普通耕耘爪の爪高さMよりも大きく設定される(N>M)。爪高さは、直刃部EBの背面(先端Etと反対側)と湾曲刃部EAの先端Etとの間の距離である。
【0027】
偏芯耕耘爪Eは、図6に示すように爪軸AX上に配置される。すなわち、2つの偏芯耕耘爪Eを、爪軸AXの長手方向P−Pの中央CLから両端に向かってそれぞれ距離Lだけ離れた位置に1つずつ爪ホルダHLを配置し、これに取り付ける。このとき、それぞれの偏芯耕耘爪Eが爪軸AXの中央CLに向かって偏芯するように配置する。詳しくは、爪軸AXの長手方向P−Pの中央CLで爪軸AXの半径を含む仮想面を形成したとき、この仮想面の一方の面に1つの偏芯耕耘爪Eの直刃部EBの背面が接し、仮想面の他方の面にもう一つの偏芯耕耘爪Eの直刃部EBの背面が接するように配置される。したがって、爪ホルダHLの中心線Rから直刃部EBの背面までが距離Lとなる。
【0028】
また、偏芯耕耘爪Eに隣接する普通耕耘爪45の直刃部45Bは、爪軸AXとともに偏芯耕耘爪Eが回転するときの先端Etの回転軌跡と爪軸AXの半径とを含む仮想面に接するように構成される。このように構成することで、爪軸AXが回転したとき、偏芯耕耘爪Eとそれに隣接する普通耕耘爪45との間に残耕が発生することがない。なお、偏芯耕耘爪Eの屈曲部ECによる偏芯距離d(図5参照)が距離L±15mmであると好適である。
【0029】
なお、偏芯耕耘爪Eの爪高さN=偏芯距離d+普通耕耘爪45の爪高さMとなるとなおよい。
【0030】
爪軸AXの長手方向P−Pの中央CLで爪軸AXの半径を含む仮想面に偏芯耕耘爪Eが接するように配置されることから、耕耘作業をするときに、ロータリー作業機50の中央付近に残耕が発生しない。また、耕耘爪は、金属製に限定されるものではなく、田畑の耕耘作業をする際に、破損しない材料であればよい。例えば、強化プラスチックなどで形成されていてもよい。
【0031】
なお、耕耘爪の本数と向き、およびブロック数は、二つ盛、外盛など用途に応じて適宜設定することができるものとする。ただし、ブロック数は奇数とする。また、1ブロックあたりの耕耘爪の本数は4〜8本程度であることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明のロータリー作業機は、畑、水田などあらゆる耕作地に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
45 普通耕耘爪
45A 湾曲刃部
45B 直刃部
46 ロータリーカバー
50 ロータリー作業機
AX 爪軸
E 偏芯耕耘爪
EA 湾曲刃部
EB 直刃部
EC 屈曲部
HL 爪ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の爪軸と、
該爪軸の外周面に、半径方向に向けて突設された複数の爪ホルダと、
該それぞれの爪ホルダに取り付けられた複数本の耕耘爪とを備え、
該耕耘爪を接地させて前記爪軸を回転することで耕耘作業を行うロータリー作業機において、
前記複数本の耕耘爪が、前記爪軸の長手方向略中央付近に配置される2本の偏芯耕耘爪と、前記爪軸のそれ以外の箇所に配置される複数本の普通耕耘爪とを含み、
前記普通耕耘爪は、基端が前記爪ホルダに固定される直線的な直刃部と、湾曲した湾曲刃部とで構成され、さらに、前記直刃部が前記爪ホルダの突設方向に延出するように形成される一方、
前記偏芯耕耘爪は、基端が前記爪ホルダに固定される屈曲形状の屈曲部と、直線的な直刃部と、湾曲した湾曲刃部とで構成され、さらに、前記屈曲部によって前記直刃部が前記爪ホルダの突設方向から偏芯して配置され、
前記偏芯耕耘爪を前記爪軸の長手方向略中央から両端に向かってそれぞれ距離Lだけ離れた位置に1つずつ配置し、かつ、それぞれの前記偏芯耕耘爪が前記爪軸の中央に向かって偏芯するように配置したロータリー作業機であって、
前記爪軸の長手方向略中央で前記爪軸の半径を含む仮想面を形成したとき、該仮想面の両側から前記2本の偏芯耕耘爪のそれぞれの直刃部が接するように配置され、
さらに、前記偏芯耕耘爪に隣接する前記普通耕耘爪の直刃部が前記偏芯耕耘爪の先端の回転軌跡と前記爪軸の半径を含む仮想面に接するように構成されることを特徴とする、ロータリー作業機。
【請求項2】
前記爪軸上に配置された前記耕耘爪を隣接する2N本ずつで1つのブロックを構成させ、該ブロックを複数備えるロータリー作業機であって、
前記ブロックを構成する2N本の前記耕耘爪のうち、
N本の前記耕耘爪の前記湾曲刃部の先端の向きと、残りのN本の前記耕耘爪の前記湾曲刃部の先端の向きとがそれぞれ反対を向くことを特徴とする、請求項1に記載のロータリー作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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