説明

ロータリー袋詰真空包装機

【課題】ロータリー袋詰真空包装機の各耐圧チャンバー内に、被包装物を充填した各包袋を、搬入したかどうかに関係なくインパルスシール装置のヒーター線に通電している。包袋を搬入していないときに通電することで無駄なエネルギーを消費している。
【解決手段】クランプ31が袋詰ローター30と一体に回転する間に、前記各クランプ31で支持した包袋20に被包装物21を次々と充填するロータリー袋詰機11から搬出する前記各包袋20を、真空ローター50に支持して回転する各耐圧チャンバー51内に次々と搬入し、該耐圧チャンバー51の備えるインパルスシール装置55で前記各包袋20をインパルスシールするロータリー真空機12であって、前記包袋20内の被包装物21の充填状態をセンサー34でもって検出し、被包装物21を充填した包袋20を耐圧チャンバー51内に搬入したときのみに、該包袋20をインパルスシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー袋詰真空包装機、特に、ロータリー真空機の各耐圧チャンバー内に、被包装物を充填された各包袋を、搬入したかどうかの条件により、インパルスシール装置が制御されるロータリー袋詰真空包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クランプに支持された包袋に被包装物を充填し、前記包袋の開口部が一対のシールバーに挟圧され、前記包袋の開口部がシールされるロータリー袋詰シール機を開示している。
【0003】
当該ロータリー袋詰シール機は、2個を1組とする多数組のクランプを袋詰ローターに支持する。前記クランプが袋詰ローターと一体に該袋詰ローターを中心に回転する。回転中に、前記各クランプで支持された包袋に被包装物が次々と充填される。被包装物が充填された包袋は、該包袋の回転軌道中に設けられた一対のシールバーで前記包袋の開口部を挟圧する。前記包袋の開口部が挟圧されると同時に、前記シールバーの挟圧面に設けられたヒーター線に通電されることで前記開口部がインパルスシールされる。
【0004】
一方、包袋の回転移動中に包袋内の被包装物の充填状態はセンサーでもって検出される。前記センサーによって空袋が検知されたときは、前記センサーからの信号に基づき前記ヒーター線への通電が中止されるようにしたものである。
【0005】
特許文献2には、ロータリー袋詰機に隣設してロータリー真空機が備えられたロータリー袋詰真空包装機を開示しており、ロータリー袋詰機でもって各包袋に被包装物が充填され、ロータリー真空機の備える耐圧チャンバー内の一対のシールバーで包袋の開口部が挟圧されて、シールされる。
【0006】
前記ロータリー袋詰真空包装機には、インパルスシール装置が備えられ、耐圧チャンバー内の真空環境下において包袋の開口部を、前記シールバーの挟圧面に設けられたヒーター線に通電されてインパルスシールされる。
【0007】
特許文献3には、耐圧チャンバー内に不活性ガスを充満するガス供給手段が、ロータリー袋詰真空包装機に備えられたロータリーガス置換包装機を開示している。
【0008】
当該ロータリーガス置換包装機は、各耐圧チャンバーとガス源とを繋ぐガス供給ラインに設置されかつ、該ガス供給ラインを開閉可能な開閉弁と、前記開閉弁を操作するソレノイドの電源回路に介設された開閉器と、シフトレジスタを組入れかつ、その出力回路が前記開閉器に繋がれた制御器と、各耐圧チャンバーの通過ピッチを前記制御器に入力するタイミング検出器と、耐圧チャンバー内に搬入される包袋の存在を検出して検出信号を前記制御器に入力するセンサーとを備えている。
【0009】
前記タイミング検出器からの入力信号に基づいて各耐圧チャンバーのスピードプログラムを制御器で組み立て、前記センサーからの不正常な入力信号で、前記制御器は、この不正常な耐圧チャンバーがガス充満領域に到達したときに、開閉器を操作して、開閉弁を閉鎖するガス制御装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平04−057723
【特許文献2】特開平09−048409
【特許文献3】特許2866991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1は、クランプに支持された包袋が空袋の場合にはヒーター線への通電が中止される点が開示されているが、特許文献1はロータリー袋詰シール機の技術であるため、ロータリー袋詰真空包装機に備えられた多数の耐圧チャンバーのインパルスシール装置には対応しておらず、しかも耐圧チャンバーが存在しないから、その真空制御にも対応していない。従って、特許文献1は、耐圧チャンバー内に包袋が提供されなかった場合のエネルギーロスの直接的な解決策とはならない。
【0012】
また、特許文献2は、耐圧チャンバー内に包袋が無い場合でも耐圧チャンバー内を真空環境にし、またヒーター線に通電される。
【0013】
また、特許文献3は、耐圧チャンバー内を真空環境にしたあと、該耐圧チャンバー内に包袋が無い場合にはガスの供給が中止されるが、該耐圧チャンバー内に包袋が無い場合でもヒーター線に通電される。
【0014】
前記特許文献2及び3は、仮にロータリー袋詰真空包装機の耐圧チャンバー内に包袋が提供されなかった場合、空の耐圧チャンバーのヒーター線に対して通電されるため、エネルギーロスが発生するという問題点があり、さらに、耐圧チャンバー内に包袋が無いにも関わらず、前記空の耐圧チャンバー内を真空環境にするために、真空ポンプに負荷を与えてエネルギーロスが発生するという問題点がある。
【0015】
そこで本発明は、包袋が搬入されない耐圧チャンバーに対して、ヒーター線への通電を遮断すると共に、同耐圧チャンバーに対して、真空ポンプによる吸引をしないことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、袋詰ローターの外周に包袋を把持する一対のクランプを複数備えたロータリー袋詰機と、前記ロータリー袋詰機に隣接して配置され、真空ポンプと連通する複数の耐圧チャンバー内に、包袋の袋口をシールするシール台とシールバーとを備えたロータリー真空機と、包袋を前記ロータリー袋詰機からロータリー真空機に受け渡す受渡し装置と、から構成されたロータリー袋詰真空包装機であって、包袋内の被包装物を検知するセンサーがロータリー袋詰機に設けられ、前記センサーで被包装物が無いと判断されると、前記受渡し装置を作動させることなく、包袋をロータリー袋詰機のクランプに把持させたままリサイクルし、該当する耐圧チャンバー内のシールバーの通電を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記構成により、本発明のロータリー袋詰真空包装機は、被包装物を検知するセンサーが被包装物が無いと判断し、受渡し装置が包袋を耐圧チャンバーに受け渡さないときに、該当する耐圧チャンバー内のシールバーの通電を遮断して、無駄な通電をしないので、省エネルギーとなる。
【0018】
しかも、センサーで被包装物が無いと判断されると、真空ポンプによる耐圧チャンバー内の空気の吸引をしないため、無駄な電流を使わなくてよいので、省エネルギーとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のロータリー袋詰真空包装機の平面図
【図2】本発明のロータリー袋詰真空包装機の耐圧チャンバーの断面図
【図3】本発明のロータリー袋詰真空包装機の電気回路略図
【図4】本発明のロータリー袋詰真空包装機に関するインパルスシール装置の制御器のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
以下において、図1から図3を用いて、インパルスシール装置の制御器が備えられたロータリー袋詰真空包装機を説明する。
【0021】
図1に示すように、ロータリー袋詰真空包装機10は、ロータリー袋詰機11と、当該ロータリー袋詰機11に隣接して配設したロータリー真空機12とから構成されている。
【0022】
前記ロータリー袋詰機11は、6箇所のセクションで作業が行われ、間欠回転する袋詰ローター30が備えられ、当該袋詰ローター30の外周部の6箇所には、包袋20を把持する一対のクランプ31が備えられる。
【0023】
前記ロータリー袋詰機11の第(1)セクションに、前記クランプ31に包袋20が1枚ずつ供給される給袋装置32が備えられ、第(2)セクションに、前記クランプ31に把持された包袋20に捺印する図示しない印字装置が備えられる。また第(2)セクションに、前記包袋20の袋口を開口する図示しない開口装置が備えられる。
【0024】
第(3)セクションに、開口された包袋20の袋口に漏斗状のホッパー33が挿入され、前記包袋20に前記ホッパー33を介して被包装物21を充填する充填装置が備えられる。
【0025】
前記ロータリー袋詰機11の前記第(3)セクションと第(4)セクションとの間を回転移動中の包袋20の軌道22付近に、包袋20内の前記被包装物21の有無を検出するセンサー34が備えられ、当該センサー34は制御器80に接続され、その出力信号は前記制御器80に入力されて判断処理される。
【0026】
前記ロータリー袋詰機11の第(6)セクションにおいて、被包装物21が充填された包袋20が、ロータリー袋詰機11のクランプ31から前記ロータリー真空機12のチャック54に、受渡し装置70を介して受け渡される。前記受渡し装置70は前記ロータリー袋詰機11と前記ロータリー真空機12との間に備えられる。また、前記受渡し装置70は制御器80に接続され、前記制御器80で包袋20の受渡しの可否が判断処理される。
【0027】
前記ロータリー真空機12は、連続右回転する真空ローター50が備えられ、当該真空ローター50の外周部の10箇所に公知の耐圧チャンバー51を備える。また、前記真空ローター50に同心状に配電装置81が備えられる。前記耐圧チャンバー51は、前記真空ローター50に固定したチャンバー本体52と、該チャンバー本体52の開口部にヒンジを介して軸支されて開閉可能なチャンバー蓋53とが備えられる。
【0028】
図2に示すように、前記耐圧チャンバー51のチャンバー本体52に、前記受渡し装置70から受け渡される起立した包袋20の上部を把持するチャック54が備えられる。
【0029】
前記耐圧チャンバー51内の上部に、包袋20の袋口をシールするインパルスシール装置55が備えられる。前記インパルスシール装置55は公知の技術であって、前記チャンバー本体52の背面に固定したシリンダ56のロッド59の先端にシール台57が備えられ、該シール台57に対向するように、前記チャンバー蓋53にシールバー58が備えられる。さらに、前記シールバー58の前記シール台57との対向面にヒーター線60が備えられる。前記シリンダ56は前記制御器80に接続され、ロッド59の伸縮は前記制御器80で判断処理される。
【0030】
前記耐圧チャンバー51の内部は真空ポンプ62と接続している。前記耐圧チャンバー51と真空ポンプ62との接続通路間に真空バルブ61が備えられ、当該真空バルブ61は制御器80に接続され、前記耐圧チャンバー51の内部と前記真空ポンプ62との連通の可否は前記制御器80で判断処理される。
【0031】
図2及び図3に示すように、各耐圧チャンバー51内に備えられた前記ヒーター線60は、ロータリー式の前記配電装置81に接続され、真空ローター50の所定のポジションにある前記耐圧チャンバー51に対して選択的に通電して、耐圧チャンバー51内の前記ヒーター線60を加熱する。
【0032】
前記配電装置81と電源82との間の一方の配線に開閉器83が備えられる。該開閉器83の作用で前記配電装置81への電流を流したり遮断したりする。また前記開閉器83は制御器80に接続され、前記電源82と前記配電装置81との通電の可否は前記制御器80で判断処理される。
【0033】
次に作用を、図4のフローチャートを用いて説明する。
(S1)ロータリー袋詰機11の第(1)セクションにおいて、袋箱に積重ねられた包袋20の最上位の一枚が給袋装置32でもってクランプ31に供給される。前記包袋20を挟持したクランプ31は袋詰ローター30と一体に間欠回転し、前記包袋20が第(2)、第(3)セクションに順次搬送される。
【0034】
(S2)第(3)セクションにおいて、前記充填装置でもって前記包袋20に被包装物21が充填される。
【0035】
(S3)被包装物21が充填された前記包袋20は第(3)セクションと第(4)セクションとの間の搬送途中において、センサー34でもって前記包袋20内の被包装物21の有無が検出される。前記センサー34で検出された検出信号が制御器80に送信され、前記制御器80で包袋20内の被包装物21の有無が判断される。
【0036】
(S4)前記(S3)で制御器80によって、被包装物21が有ると判断された包袋20は、第(6)セクションに到達すると、前記制御器80から受渡し装置70に包袋受け渡しの指令が出され、前記受渡し装置70でもって、ロータリー袋詰機11のクランプ31からロータリー真空機12の耐圧チャンバー51内のチャック54に前記包袋20が受け渡される。
【0037】
(S5)前記(S4)で包袋20が耐圧チャンバー51内のチャック54に受け渡された場合、前記チャンバー蓋53が閉じられ、前記制御器80の指令で前記真空バルブ61が連通制御され、前記耐圧チャンバー51内部が真空環境にされる。
【0038】
(S6)前記耐圧チャンバー51のシリンダ56のロッド59が前記制御器80の指令によって伸長されて、前記シール台57と前記シールバー58とで前記包袋20の袋口が挟圧される。前記挟圧と同時に、前記制御器80によって前記開閉器83がオン制御され、ヒーター線60に通電されて前記包袋20の袋口がインパルスシール(S7)される。
【0039】
(S8)前記包袋20の袋口がインパルスシールされたあと、前記耐圧チャンバー51内部の真空環境が解除される。
【0040】
(S9)前記耐圧チャンバー51の閉じられていたチャンバー蓋53が開けられ、前記耐圧チャンバー51内のチャック54が開放され、真空包装された前記包袋20が耐圧チャンバー51から排出される。前記(S1)−(S9)により、特定の包袋に被包装物が充填され真空包装されるが、当該ロータリー袋詰真空包装機では、前記(S1)−(S9)が間断なく継続的に繰り替えされる。
【0041】
(S41)前記(S3)で制御器80によって、被包装物21が無いと判断された場合、前記包袋20が第(6)セクションに到達しても、前記制御器80が受渡し装置70に受け渡しの指令を出さないので前記受渡し装置70は作動せず、包袋20はクランプ31に支持されたままセクション(1)に戻る。続いて前記包袋20は第(1)(2)セクションを素通りし、第(3)セクションに到達して(S2)のステップで当該包袋20内に被包装物を充填する。この一連の動作は空袋の公知のリサイクル技術である。
【0042】
(S51)前記(S3)で制御器80によって、被包装物21が無いと判断され、包袋20が耐圧チャンバー51に受け渡されなかった場合、前記制御器80の指令で前記真空バルブ61が閉塞制御され、前記耐圧チャンバー51内部は真空環境にされない。
【0043】
(S61)前記耐圧チャンバー51のシリンダ56のロッド59が前記制御器80の指令によって作動しない。また、前記制御器80によって前記開閉器83がオフ制御され、ヒーター線60に通電されない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、インパルスシール装置を備えるロータリー袋詰真空包装機に有用である。
【符号の説明】
【0045】
10 ロータリー袋詰真空包装機
11 ロータリー袋詰機
12 ロータリー真空機
20 包袋
21 被包装物
22 軌道
30 袋詰ローター
31 クランプ
32 給袋装置
33 ホッパー
34 センサー
50 真空ローター
51 耐圧チャンバー
52 チャンバー本体
53 チャンバー蓋
54 チャック
55 インパルスシール装置
56 シリンダ
57 シール台
58 シールバー
59 ロッド
60 ヒーター線
61 真空バルブ
62 真空ポンプ
70 受渡し装置
80 制御器
81 配電装置
82 電源
83 開閉器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋詰ローターの外周に包袋を把持する一対のクランプを複数備えたロータリー袋詰機と、
前記ロータリー袋詰機に隣接して配置され、真空ポンプと連通する複数の耐圧チャンバー内に、包袋の袋口をシールするシール台とシールバーとを備えたロータリー真空機と、
包袋を前記ロータリー袋詰機からロータリー真空機に受け渡す受渡し装置と、
から構成されたロータリー袋詰真空包装機であって、
包袋内の被包装物を検知するセンサーがロータリー袋詰機に設けられ、
前記センサーで被包装物が無いと判断されると、前記受渡し装置を作動させることなく、包袋をロータリー袋詰機のクランプに把持させたままリサイクルし、該当する耐圧チャンバー内のシールバーの通電を遮断することを特徴とするロータリー袋詰真空包装機。

【請求項2】
センサーで被包装物が無いと判断されると、真空ポンプによる耐圧チャンバー内の空気の吸引を停止する請求項1に記載のロータリー袋詰真空包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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