説明

ロータリ圧縮機

【課題】ロータリ圧縮機において、インジェクション機構(70)を設けることにより生じる死容積を小さくできるようにして圧縮機の効率が低下するのを抑えるとともに、圧縮機構(20)の大型化やコスト増大を抑え、さらには十分なインジェクション量を確保できるようにする。
【解決手段】インジェクション機構(70)をミドルプレート(21)に設け、インジェクション通路(71)をシリンダ(41,51)の径方向に形成する。インジェクション通路(71)とシリンダ室(25,26)を連通するインジェクションポート(72a,72b)をスライド弁(73)で開閉するスライド機構(75)を設け、インジェクションポート(72a,72b)を開くときにスライド弁(73)がインジェクションポート(72a,72b)から退避してインジェクション通路(71)内に位置しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インジェクション機構を有するロータリ圧縮機に関し、特に、インジェクション機構のインジェクション通路を開閉する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置や空調装置において、例えばローリングピストン型や揺動ピストン型などのロータリ圧縮機が用いられている。このロータリ圧縮機は、冷媒回路の蒸発器から吸入した低圧のガス冷媒を高圧に圧縮して吐出し、凝縮器(放熱器)に供給する。
【0003】
ロータリ圧縮機は、密閉ケーシング内に、冷媒ガスを圧縮する圧縮機構と、圧縮機構を駆動する駆動機構とを備えている。駆動機構は、電動機と駆動軸(クランク軸)とを有している。圧縮機構は、シリンダ室を有するシリンダと、駆動軸に装着されてシリンダ室の中で偏心回転運動をするピストンとを有している。圧縮機構には吸入ポートと吐出ポートが形成されていて、シリンダ室の中でピストンが偏心回転をすることにより、冷媒の吸入と圧縮と吐出の各行程が行われる。
【0004】
特許文献1には、中間圧力の冷媒ガスを圧縮室に注入するためのインジェクション機構を備えたロータリ圧縮機が記載されている。この特許文献1のロータリ圧縮機は、2つの圧縮機構がミドルプレートを介して上下に積層された2シリンダ型のロータリ圧縮機である。上記インジェクション機構では、ミドルプレートにインジェクション管が接続され、インジェクション管をミドルプレートを介して上下の2つのシリンダ室に連通させることでインジェクション通路が形成されている。
【0005】
また、例えばスクロール圧縮機では、固定スクロールに圧縮室と連通するように形成されるインジェクション通路の途中に、スライド弁を設けてオンとオフを切り換えるようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。この特許文献2では、固定スクロールに軸方向へのびるインジェクションポートを形成するとともに、インジェクションポートの一端が圧縮室に開口するようにし、インジェクションポートの他端に固定スクロールの外側面から軸方向に沿ってインジェクション管を接続してインジェクション通路を構成している。また、固定スクロールには、上記インジェクションポートを開閉するように、インジェクションポートと直交する方向にスライドするスライド弁が設けられている。このスライド弁は、該スライド弁の両端面に圧力の異なる流体(冷媒ガス)を導入してその圧力差により開閉するように構成されていて、スライド弁がインジェクションポートを塞ぐ位置にあるとインジェクション通路が閉塞され、スライド弁がインジェクション通路から退避するとインジェクション通路が開放されるようになっている。
【0006】
また、ロータリ圧縮機において、フロントヘッドまたはリアヘッドにインジェクション管を接続するとともに、インジェクション管から圧縮室に連通するインジェクションポートを形成してインジェクション通路を構成し、さらにインジェクション通路におけるインジェクションポートとインジェクション管の間に、インジェクション冷媒の圧力と中間圧力位置の圧縮室の圧力との差圧が大きくなるとインジェクション動作をオンにして、その差圧が小さくなるとインジェクション動作をオフにする開閉弁(逆止弁)を設けているものもある(例えば特許文献3参照)。つまり、この構成では、インジェクション通路内の冷媒流路中に専用のスペースを形成して、そこに径閉弁を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−170678号公報
【特許文献2】特開2008−303858号公報
【特許文献3】特開平3−37391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、インジェクション動作を行うときには、インジェクション管に設けている弁を開くことが記載されている(明細書の段落[0006])。逆に言うと、インジェクション動作を行わないときは、インジェクション管の弁は閉じられることになる。しかし、この場合、インジェクション動作を行わないときは、インジェクション管に設けた弁のところからシリンダ室までの間の空間が死容積になってしまい、再膨張損失が大きくなって圧縮機の効率が低下することになる。
【0009】
特に、運転容量が大きな圧縮機では、インジェクション量を増やすためにインジェクション管の直径を大きくするのが望ましいが、そうすると死容積が増加して圧縮機の効率も著しく低下する。また、冷媒にHFO1234yfのような低圧冷媒を用いる場合は、圧力損失を小さくするためにインジェクション管の直径を大きくするのが望ましいのに対して、インジェクション管の直径を大きくすると、上記と同様に死容積が増加して圧縮機の効率が著しく低下する。
【0010】
また、特許文献2に記載されているスライド弁を用いる構成では、死容積になるインジェクションポートの容積を小さくすることは可能であると考えられるものの、軸方向へのびるインジェクション通路と直交する方向へスライドするスライド弁を設ける必要があるために、機構が大型になってしまう。特に、2つの圧縮機構がミドルプレートを介して上下に積層された2シリンダ型のロータリ圧縮機に特許文献2のスライド弁を適用するために、フロントヘッドとリアヘッドのそれぞれにインジェクション機構を設けると、フロントヘッドもリアヘッドも厚くなり、機構が大型になって製造コストが高くなる。また、スライド弁をミドルプレートに設けようとすると、ミドルプレートが厚くなる。そして、ミドルプレートが厚くなると、やはり機構が大型になり製造コストが高くなる。
【0011】
さらに、特許文献3のものでは、インジェクション通路におけるインジェクション管とインジェクションポートの接続部分のスペースに開閉弁を設けているため、開閉弁がインジェクション流体(中間圧冷媒)の流れる抵抗になって冷媒の圧力損失が大きくなり、インジェクション量が少なくなってしまう。特に低圧冷媒を用いる圧縮機では、上述したようにインジェクションの圧力損失を低減することが好ましいのに対して、この特許文献3の構成では圧力損失を低減することが非常に困難になる。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、ロータリ圧縮機において、インジェクション機構を設けることにより生じる死容積を小さくできるようにして圧縮機の効率が低下するのを抑えるとともに、圧縮機構の大型化やコスト増大を抑え、さらには十分なインジェクション量を確保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の発明は、シリンダ室(25,26)(85)を有するシリンダ(41,51)(81)と、該シリンダ(41,51)(81)内に配置されて該シリンダ室(25,26)(85)の中で偏心回転動作をするピストン(42,52)(86)と、上記シリンダ(41,51)(81)の端面に固定される閉塞部材(21,43,53)(83,84)とを有する圧縮機構(20)と、上記シリンダ室(25,26)(85)に中間圧冷媒を注入するインジェクション機構(70)とを備えたロータリ圧縮機を前提としている。
【0014】
そして、このロータリ圧縮機構(20)は、上記インジェクション機構(70)が、上記閉塞部材(21,43,53)(83,84)にシリンダ(41,51)(81)の径方向に形成されて外周端にインジェクション流体の導入開口(71a)を有するインジェクション通路(71)と、インジェクション通路(71)とシリンダ室(25,26)(85)を連通するように上記閉塞部材(21,43,53)(83,84)にシリンダ(41,51)(81)の軸方向へ形成されたインジェクションポート(72a,72b)(72)と、インジェクション通路(71)にその通路方向へスライド可能に装填されるスライド弁(73)と、該スライド弁(73)を、上記インジェクションポート(72a,72b)(72)を閉塞する閉位置と、該スライド弁(73)が該インジェクションポート(72a,72b)(72)に対してシリンダ(41,51)(81)の径方向内側に位置して該インジェクションポート(72a,72b)(72)を開放する開位置とにスライドさせるスライド機構(75)と、を備えていることを特徴としている。
【0015】
この第1の発明では、スライド弁(73)が閉位置にあるときは、インジェクションポート(72a,72b)(72)が閉塞されるので、インジェクション通路(71)が閉じられる。したがって、この状態では圧縮機構(20)へインジェクション流体は導入されない。一方、スライド弁(73)が開位置にあるときは、該スライド弁(73)はインジェクションポート(72a,72b)(72)に対して径方向内側に退避して、インジェクションポート(72a,72b)(72)が開放される。したがって、この状態ではインジェクション通路(71)が開かれるので、圧縮機構(20)へインジェクション流体が導入される。また、この開位置では、スライド弁(73)はインジェクションポート(72a,72b)(72)に対してシリンダ(41,51)(81)の径方向内側に位置するので、径方向外側の導入開口(71a)から入ってくるインジェクション流体の流れを妨げない。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、上記スライド機構(75)が、上記スライド弁(73)を開位置へ付勢する第1付勢力と閉位置へ付勢する第2付勢力との大きさを調整して、各付勢力の相対的な大小関係が入れ替わるように設定可能に構成されていることを特徴としている。
【0017】
この第2の発明では、上記スライド弁(73)に作用する第1付勢力が第2付勢力よりも大きくなると、上記インジェクション通路(71)が開かれてインジェクション動作が行われる。また、逆に上記スライド弁(73)に作用する第1付勢力が第2付勢力よりも小さくなると、上記インジェクション通路(71)が閉じられてインジェクション動作が行われない状態となる。
【0018】
第3の発明は、第2の発明において、上記スライド機構(75)が、インジェクション通路(71)の圧力を中間圧とそれより低い圧力に切り換える切換弁(7)と、スライド弁(73)を閉位置から開位置へ付勢するコイルバネ部材(76)と、スライド弁(73)の径方向内側端面に高圧圧力を導入する圧力導入部(77)と、を備え、上記第1付勢力がインジェクション通路(71)の圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力に基づく力であり、上記第2付勢力が上記圧力導入部(77)の圧力に基づく力であることを特徴としている。
【0019】
また、第4の発明は、第2の発明において、上記スライド機構(75)が、インジェクション通路(71)の圧力を中間圧とそれより低い圧力に切り換える切換弁(7)と、スライド弁(73)を開位置から閉位置へ付勢するコイルバネ部材(76)と、スライド弁(73)の径方向内側端面に低圧圧力を導入する圧力導入部(77)と、を備え、上記第1付勢力がインジェクション通路(71)の圧力に基づく力であり、上記第2付勢力が上記圧力導入部(77)の圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力に基づく力であることを特徴としている。
【0020】
第3の発明では、インジェクション動作をオフにするときはインジェクション通路(71)が中間圧よりも低い圧力になり、その圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力が圧力導入部(77)の高圧圧力による力よりも弱くなる一方、インジェクション動作をオンにするときはインジェクション通路(71)が中間圧になり、その中間圧による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力が圧力導入部(77)の高圧圧力による力よりも強くなるように、コイルバネ部材(76)の付勢力が設定されて、第2の発明の要件が満たされる。
【0021】
また、第4の発明では、インジェクション動作をオフにするときはインジェクション通路(71)が中間圧よりも低い圧力になり、その圧力による力が圧力導入部(77)の低圧圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力よりも弱くなる一方、インジェクション動作をオンにするときはインジェクション通路(71)が中間圧になり、その中間圧による力が圧力導入部(77)の低圧圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力よりも強くなるように、コイルバネ部材(76)の付勢力が設定されて、第2の発明の要件が満たされる。
【0022】
上記第3,第4の発明においては、インジェクション通路(71)への中間圧力の冷媒導入のオンとオフを切り換えるだけで、第1付勢力が第2付勢力よりも大きくなる状態と、第1付勢力が第2付勢力よりも小さくなる状態とを切り換えることができる。そして、スライド弁(73)は、インジェクション動作時に開位置になってシリンダ室(25,26)(85)へインジェクション流体を導入し、インジェクション動作停止時に閉位置になってシリンダ室(25,26)(85)へのインジェクション流体の導入を禁止する。
【0023】
第5の発明は、第1から第4の発明のいずれか1つにおいて、上記圧縮機構(20)が、2つのシリンダ(41,51)が中間閉塞部材(21)を介して積層され、両端に端部閉塞部材(43,53)が装着された2シリンダ型圧縮機構(20)であり、上記インジェクション機構(70)が上記中間閉塞部材(21)に設けられ、上記インジェクションポート(72a,72b)が、上記インジェクション通路(71)から2つのシリンダ室(25,26)のうちの第1シリンダ室(25)に連通する第1インジェクションポート(72a)と、該インジェクション通路(71)から第2シリンダ室(26)に連通する第2インジェクションポート(72b)とを有していることを特徴としている。
【0024】
この第5の発明では、一つのインジェクション通路(71)から、第1シリンダ室(25)へは第1インジェクションポート(72a)を介してインジェクション流体が導入され、第2シリンダ室(26)へは第2インジェクションポート(72b)を介してインジェクション流体が導入される。
【0025】
第6の発明は、第1から第4の発明のいずれか1つにおいて、上記圧縮機構(20)が、2つのシリンダ(41,51)が中間閉塞部材(21)を介して積層され、両端に端部閉塞部材(43,53)が装着された2シリンダ型圧縮機構(20)であり、上記インジェクション機構(70)が上記端部閉塞部材(43,53)の両方に設けられ、上記インジェクションポート(72a,72b)が、上記端部閉塞部材(43,53)の一方に形成されるインジェクション通路(71)から2つのシリンダ室(25,26)のうちの第1シリンダ室(25)に連通する第1インジェクションポート(72a)と、上記端部閉塞部材(43,53)の他方に形成されるインジェクション通路(71)から第2シリンダ室(26)に連通する第2インジェクションポート(72b)とを有していることを特徴としている。
【0026】
この第6の発明では、第1シリンダ室(25)には、端部閉塞部材(43,53)の一方に設けられたインジェクション機構(70)から第1インジェクションポート(72a)を介してインジェクション流体が導入される。また、第2シリンダ室(26)には、端部閉塞部材(43,53)の他方に設けられたインジェクション機構(70)から第2インジェクションポート(72b)を介してインジェクション流体が導入される。
【0027】
第7の発明は、第1から第4の発明のいずれか1つにおいて、上記圧縮機構(20)が、1つのシリンダ(81)の両端に端部閉塞部材(83,84)が設けられた1シリンダ型圧縮機構(20)であり、上記インジェクション機構(70)が端部閉塞部材(83,84)のいずれか一方に設けられていることを特徴としている。
【0028】
この第7の発明では、上記シリンダ室(85)には、端部閉塞部材(83,84)の一方に設けられたインジェクション機構(70)からインジェクションポート(72)を介してインジェクション流体が導入される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、スライド弁(73)を閉位置にしてインジェクション動作を行わないとき、スライド弁(73)がインジェクションポート(72a,72b)(72)を閉塞し、このとき、死容積はインジェクションポート(72a,72b)(72)の容積だけとなる。したがって、再膨張損失を小さくすることができるから、圧縮機の効率が低下するのを抑えられる。
【0030】
また、インジェクション量を増やすためにインジェクション通路(71)の直径を大きくしても、死容積はインジェクションポート(72a,72b)(72)だけでその容積を最小限に保つことができるから、運転容量が大きな圧縮機や、低圧冷媒を用いる圧縮機においても、効率が低下するのを防止できる。
【0031】
さらに、本発明では、インジェクション通路(71)の中に、その通路方向へだけスライドするスライド弁(73)を設けているので、インジェクション通路(71)と直交する方向へ動作するスライド弁(73)を設ける場合に比べて機構をコンパクトに構成できる。
【0032】
さらに、スライド弁(73)を開位置にしてインジェクション動作を行うとき、インジェクション流体がインジェクション通路(71)とインジェクションポート(72a,72b)(72)を通ってシリンダ室(25,26)(85)に導入されるが、このとき、スライド弁(73)はインジェクションポート(72a,72b)(72)に対してシリンダ(41,51)(81)の径方向内側に位置し、インジェクション通路(71)からインジェクションポート(72a,72b)(72)を通ってシリンダ室(25,26)(85)へ流入するインジェクション流体の流れを妨げない。したがって、インジェクション流体の圧力損失を最小限にすることができるから、十分なインジェクション量を確保できるし、特に低圧冷媒を用いる圧縮機においてインジェクション量を確保できる効果が高い。
【0033】
以上のように、本発明によれば、ロータリ圧縮機において、インジェクション機構(70)を設けることにより生じる死容積を小さくして圧縮機の効率が低下するのを抑えることができるうえ、圧縮機構(20)の大型化やそれに伴うコスト増大を抑えることができ、さらには十分なインジェクション量を確保することが可能となる。
【0034】
上記第2の発明によれば、上記スライド弁(73)に作用する第1付勢力と第2付勢力を調整するだけでスライド弁(73)を駆動することができる。したがって、簡単な構成でインジェクション動作のオンとオフを切り換えることができる。
【0035】
上記第3,第4の発明によれば、上記スライド弁(73)に作用する冷媒圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力を用いてスライド弁(73)の動作が制御され、該スライド弁(73)が開位置と閉位置に設定される。冷媒圧力だけを利用してスライド弁(73)を駆動する場合は、スライド弁(73)に対してインジェクション流体導入側と圧力導入部(77)側の圧力を開位置と閉位置で異ならせることが必要になるが、この第3,第4の発明ではコイルバネ部材(76)を用いているので、圧力導入部(77)の圧力は一定でよい。したがって、スライド弁(73)の両側に圧力を印加する構成を簡素化できるから、機構を簡素化できる。
【0036】
上記第5の発明によれば、2つの圧縮機構(20)が中間閉塞部材(21)(ミドルプレート)を介して上下に積層された2シリンダ型のロータリ圧縮機において、インジェクション通路(71)の中にその通路方向へスライドするスライド弁(73)を配置したインジェクション機構(70)を上記中間閉塞部材(21)に設けていて、インジェクション機構(70)をコンパクトに構成することができるから、中間閉塞部材(21)が厚くなるのを防止できる。中間閉塞部材(21)が厚くなると、圧縮機構(20)の軸受け部間の距離が長くなり、駆動軸のたわみや軸の片当たりによる信頼性の低下が生じるおそれがあるが、この第5の発明によれば、そのような問題を防止できる。また、シリンダ(41,51)の両端の端部閉塞部材(43,53)にはインジェクション機構(70)を設ける必要がなく、中間閉塞部材(21)にだけインジェクション機構(70)を設ければよいので、簡単な機構を実現できる。
【0037】
上記第6の発明によれば、2つの圧縮機構(20)が中間閉塞部材(21)(ミドルプレート)を介して上下に積層された2シリンダ型のロータリ圧縮機において、インジェクション通路(71)の中にその通路方向へスライドするスライド弁(73)を配置したインジェクション機構(70)を各端部閉塞部材(43,53)に設けていて、該インジェクション機構(70)をコンパクトに構成することができるから、各端部閉塞部材(43,53)が厚くなるのを防止できる。したがって、機構の大型化を防止できる。
【0038】
上記第7の発明によれば、1つのシリンダ(81)の両端に端部閉塞部材(83,84)が設けられた1シリンダ型圧縮機構(20)において、インジェクション通路(71)の中にその通路方向へスライドするスライド弁(73)を配置したインジェクション機構(70)を一方の端部閉塞部材(83,84)に設けていて、該インジェクション機構(70)をコンパクトに構成することができるから、その端部閉塞部材(83,84)が厚くなるのを防止できる。また、他方の端部閉塞部材(83,84)にはインジェクション機構(70)が設けられないので、その端部閉塞部材(83,84)が厚くなるのも防止できる。したがって、機構の大型化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係るロータリ圧縮機が設けられる冷凍装置の冷媒回路図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るロータリ圧縮機の縦断面図である。
【図3】図3(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す図2の要部拡大断面図、図3(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す図2の要部拡大断面図である。
【図4】図4は、圧縮機構の横断面図である。
【図5】インジェクション動作を行う冷媒回路の運転条件を示す表である。
【図6】図6は、実施形態1の変形例1に係る圧縮機構を示し、図6(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図、図6(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図である。
【図7】図7は、実施形態1の変形例2に係る圧縮機構を示し、図7(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図、図7(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図である。
【図8】図8は、実施形態1の変形例3に係る圧縮機構を示し、図8(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図、図8(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図である。
【図9】図9は、実施形態1の変形例4に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【図10】図10は、実施形態2に係るロータリ圧縮機の縦断面図である。
【図11】図11(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図、図11(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図である。
【図12】図12は、圧縮機構の横断面図である。
【図13】図13は、実施形態2の変形例1に係る圧縮機構を示し、図13(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図、図13(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図である。
【図14】図14は、実施形態2の変形例2に係る圧縮機構を示し、図14(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図、図14(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図である。
【図15】図15は、実施形態2の変形例3に係る圧縮機構を示し、図15(A)は、インジェクション機構が「閉位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図、図15(B)は、インジェクション機構が「開位置」の状態で圧縮機構の概略構造を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0041】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施形態1に係るロータリ圧縮機(1)が設けられる冷凍装置(100)の冷媒回路図である。まず、冷媒回路(110)について説明する。
【0043】
図1において、冷媒回路(110)は、ロータリ圧縮機(1)と、室外熱交換器(2)と、膨脹機構である膨張弁(3)と、室内熱交換器(4)と、エコノマイザ熱交換器(5)とを有している。また、冷媒回路(110)には、冷媒の循環方向を暖房サイクルと冷房サイクルとで切り換え可能にするように、冷媒の循環方向を反転させる四路切換弁(6)が設けられている。上記ロータリ圧縮機(1)は蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧縮行程を行うものである。
【0044】
ロータリ圧縮機(1)の吐出ポート(1a)は四路切換弁(6)の第1ポート(P1)に接続され、四路切換弁(6)の第2ポート(P2)は室内熱交換器(4)の一端に接続されている。室内熱交換器(4)の他端はエコノマイザ熱交換器(5)と膨張弁(3)を介して室外熱交換器(2)の一端に接続されている。室外熱交換器(2)の他端は四路切換弁(6)の第3ポート(P3)に接続され、四路切換弁(6)の第4ポート(P4)はロータリ圧縮機(1)の吸入ポート(1b)に接続されている。
【0045】
四路切換弁(6)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が連通して第3ポート(P3)と第4ポート(P4)が連通する暖房サイクル時の第1位置(図1に実線で示す位置)と、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通して第2ポート(P2)と第4ポート(P4)が連通する冷房サイクル時の第2位置(図1に破線で示す位置)とに切り換え可能に構成されている。
【0046】
エコノマイザ熱交換器(5)は、高圧冷媒が流れる高圧流路(5a)と、中間圧冷媒が流れる中間圧流路(5b)とを有する熱交換器により構成され、高圧冷媒と中間圧冷媒が熱交換をするように構成されている。高圧流路(5a)は、室内熱交換器(4)と膨張弁(3)との間の高圧冷媒配管(111)の途中に設けられている。
【0047】
高圧冷媒配管(111)には、室内熱交換器(4)とエコノマイザ熱交換器(5)の間にインジェクション配管(120)が接続されている。このインジェクション配管(120)は、高圧液冷媒を中間圧に減圧する中間減圧弁(7)と、上記エコノマイザ熱交換器(5)の中間圧流路(5b)とを介して、ロータリ圧縮機(1)のインジェクションポート(1c)に接続されている。
【0048】
上記中間減圧弁(7)を所定開度に開くと、高圧液冷媒と熱交換した中間圧のガス冷媒をロータリ圧縮機(1)に中間インジェクションすることができ、上記中間減圧弁(7)を全閉にするとインジェクション動作を停止することができる。
【0049】
なお、上記冷媒回路には、図示を省略しているが、暖房サイクル時と冷房サイクル時のいずれもエコノマイザ熱交換器(5)が膨張弁(3)の上流側に位置するように、冷媒の流れる順序を調整する機構(例えばブリッジ回路)が設けられている。
【0050】
図2はロータリ圧縮機(1)の縦断面図である。図示するように、このロータリ圧縮機(1)は全密閉型圧縮機であって、上下が閉塞された縦長円筒状のケーシング(10)と、圧縮機構(20)と、圧縮機構(20)を駆動する駆動機構(30)とを備えている。上記圧縮機構(20)及び駆動機構(30)は、上記ケーシング(10)に収納されている。
【0051】
上記ケーシング(10)は、縦長の円筒状で上下両端が開口した胴部(11)と、この胴部(11)の上部開口を閉塞するように該胴部(11)に固定された上部鏡板(12)と、胴部(11)の下部開口を閉塞するように該胴部(11)に固定された下部鏡板(13)とから構成されている。上記ケーシング(10)の下端部には、油(冷凍機油)を貯留するための油溜まり(14)が形成されている。
【0052】
上記駆動機構(30)は電動機(31)と駆動軸(35)とを備えている。電動機(31)はケーシング(10)内の空間における上方寄りの位置でケーシング(10)に固定され、圧縮機構(20)は電動機(31)よりも下方の位置においてケーシング(10)に固定されている。
【0053】
上記電動機(30)は、ステータ(32)とロータ(33)とを有している。ステータ(32)は、ケーシング(10)の胴部(11)に溶接や焼き嵌めによって固定されている。上記ロータ(33)は、その外周面とステータ(32)の内周面との間に均一で微細なラジアルギャップが形成されるように、ステータ(32)の内周側に配置されている。上記ロータ(33)には、その内周面に上記駆動軸(35)(クランク軸)が固定されている。
【0054】
上記ケーシング(10)の胴部(11)には、上記圧縮機構(20)に対応する位置に、第1吸入管(16a)と第2吸入管(16b)とインジェクション管(17)が設けられている。また、上記ケーシング(10)の上部鏡板(12)には、該上部鏡板(12)を上下方向に貫通する吐出管(18)が設けられている。そして、この圧縮機(1)は、圧縮機構(20)から吐出された高圧ガスをケーシング(10)内の空間を介して該ケーシング(10)外へ吐出する高圧ドーム式の圧縮機(1)に構成されている。
【0055】
図3(A),(B)は、図2の要部拡大断面図であって圧縮機構(20)の概略構造を示し、図4は圧縮機構(20)の横断面図である。上記圧縮機構(20)は、第1圧縮機構(40)と第2圧縮機構(50)を上下に重ねて配置した2シリンダ型の圧縮機構である。この実施形態では、第1圧縮機構(40)が第2圧縮機構(50)の上方に配置されている。各圧縮機構はロータリ式の圧縮機構の一種である揺動ピストン式圧縮機構により構成されている。
【0056】
上記第1吸入管(16a)は第1圧縮機構(40)に接続され、第2吸入管(16b)は第2圧縮機構(50)に接続されている。また、上記インジェクション管(17)は、詳細は後述するが、第1圧縮機構(20)と第2圧縮機構(50)の両方に接続されるようになっている。
【0057】
上記第1圧縮機構(40)及び第2圧縮機構(50)は、それぞれ、シリンダ室(25,26)を有するシリンダ(41,51)(第1シリンダ(41)及び第2シリンダ(51))と、シリンダ室(25,26)の中でシリンダ室(25,26)の内周面に沿って周回軌道上を公転(偏心回転動作)する揺動ピストン(42,52)(第1揺動ピストン(42)及び第2揺動ピストン(52))とを備えている。第1圧縮機構(40)は、第1シリンダ(41)と第1揺動ピストン(42)に加えてフロントヘッド(第1プレート)(43)を備えている。第2圧縮機構(50)は、第2シリンダ(51)と第2揺動ピストン(52)に加えてリアヘッド(第2プレート)(53)を備えている。また、第1シリンダ(41)と第2シリンダ(51)の間にはミドルプレート(21)が設けられている。
【0058】
このように、第1圧縮機構(40)の第1シリンダ(41)と第2圧縮機構(50)の第2シリンダ(51)とがミドルプレート(21)を挟んで積層されている。そして、第1シリンダ(41)の外側端がフロントヘッド(43)(第1プレート:第1端部閉塞部材)で閉塞され、第2シリンダ(51)の外側端がリアヘッド(53)(第2プレート:第2端部閉塞部材)で閉塞されている。第1シリンダ(41)及び第2シリンダ(51)の内側端は、ミドルプレート(中間閉塞部材)(21)で閉塞されている。
【0059】
上記圧縮機構(20)は、フロントヘッド(43)、第1シリンダ(41)、ミドルプレート(21)、第2シリンダ(51)、及びリアヘッド(53)を、上方から下方へ重ねて締結して、これらを一体化することにより構成されている。フロントヘッド(43)の上面にはマフラー(22)が固定され、リアヘッド(53)の下面には下部プレート(23)が固定されている。
【0060】
駆動軸(35)は、ケーシング(10)の上下方向の中心線に沿って配置されている。駆動軸(35)は、主軸部(35a)と、主軸部(35a)の中心から偏心して形成されて上記各揺動ピストン(42,52)に嵌合する偏心部(偏心ピン)(35b,35c)とを備えている。この偏心部(35b,35c)には、第1揺動ピストン(42)に嵌合する第1偏心部(35b)と、第2揺動ピストン(52)に嵌合する第2偏心部(35c)とが含まれている。第1偏心部(35b)は、第1シリンダ(41)に形成されている第1シリンダ室(25)内に位置するように形成され、第2偏心部(35c)は、第2シリンダ(51)に形成されている第2シリンダ室(26)内に位置するように形成されている。第1偏心部(35b)と第2偏心部(35c)は、主軸部(35a)の回転中心に対する偏心方向が、駆動軸(35)の軸方向と直角の面上で、位相が180°ずれている。したがって、第1揺動ピストン(42)と第2揺動ピストン(52)の回転時の位相が180°ずれていることになる。
【0061】
上記各揺動ピストン(42,52)には、その外周面から径方向外方へのびるブレード(42a,52a)(第1ブレード(42a)及び第2ブレード(52a))が一体的に形成されている。各シリンダ(41,51)には、ほぼ半月形状の一対の揺動ブッシュ(44,54)(第1揺動ブッシュ(44)及び第2揺動ブッシュ(54))が保持されている。これらの揺動ブッシュ(44,54)は、平面部分が対向して配置され、各シリンダ(41,51)のブッシュ孔(45,55)(第1ブッシュ孔(45)及び第2ブッシュ孔(55))に保持されている。
【0062】
第1揺動ブッシュ(44)及び第2揺動ブッシュ(54)のそれぞれの一対の平面の間には、ブレード溝(46,56)(第1ブレード溝(46)及び第2ブレード溝(56))が形成され、このブレード溝(46,56)に上記ブレード(42a,52a)がそれぞれ挿入されている。上記各シリンダ(41,51)には、ブッシュ孔(45,55)の径方向外側に背圧空間(47,57)(第1背圧空間(47)及び第2背圧空間(57))が形成されている。これらの背圧空間(47,57)を各シリンダ(41,51)に設けることにより、各ブレード(42a,52a)の進退動作と揺動動作が可能になっている。
【0063】
また、第1圧縮機構(40)には、第1吸入ポート(48)と第1吐出ポート(45)が形成され、第2圧縮機構(50)には、第2吸入ポート(58)と第2吐出ポート(59)が形成されている。第1吸入ポート(48)には第1吸入管(16a)が接続され、第2吸入ポート(58)には第2吸入管(16b)が接続されている。第2吐出ポート(59)は下部プレート(23)内の空間からマフラー(22)内の空間へ連通している。そして、第1吐出ポート(49)から吐出された冷媒と第2吐出ポート(59)から吐出された高圧冷媒は、マフラー(22)から圧縮機(1)のケーシング(10)内の空間へ流出する。
【0064】
本実施形態の圧縮機構(20)には、上記シリンダ室に中間圧冷媒を注入するインジェクション機構(70)が設けられている。このインジェクション機構(70)は、中間閉塞部材である上記ミドルプレート(21)にシリンダ(41,51)の径方向に形成されて、外周端にインジェクション流体(中間圧冷媒)の導入開口(71a)を有するインジェクション通路(71)を有している。また、ミドルプレート(70)には、インジェクション通路(71)とシリンダ室(25,26)を連通するように、インジェクションポート(72a,72b)がシリンダ(41,51)の軸方向へ形成されている。
【0065】
また、上記インジェクション機構(70)は、インジェクション通路(71)にその通路方向へスライド可能に装填されるスライド弁(73)と、該スライド弁(73)を、上記インジェクションポート(72a,72b)を閉塞する閉位置(図3(A)の位置)と、該スライド弁(73)が該インジェクションポート(72a,72b)に対してシリンダ(41,51)の径方向内側に位置して該インジェクションポート(72a,72b)を開放する開位置(図3(B)の位置)とにスライドさせるスライド機構(75)とを備えている。
【0066】
上記スライド機構(70)は、上記スライド弁(73)を開位置へ付勢する第1付勢力と、閉位置へ付勢する第2付勢力との大きさを調整して、第1付勢力と第2付勢力の相対的な大小関係が入れ替わるように構成されている。
【0067】
具体的には、上記スライド機構(70)は、インジェクション通路(71)の圧力を中間圧とそれより低い圧力に切り換える切換弁(インジェクション弁)(7)と、スライド弁(73)を閉位置から開位置へ付勢するコイルバネ部材(76)と、スライド弁(73)の径方向内側端面に高圧圧力を導入する圧力導入部(77)とを備えている。そして、上記第1付勢力がインジェクション通路(71)の圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力に基づく力であり、上記第2付勢力が上記圧力導入部(77)の圧力に基づく力である。
【0068】
この構成において、インジェクション動作をオフにするときはインジェクション通路(71)が中間圧よりも低い圧力になり、その圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力が圧力導入部(77)の高圧圧力による力よりも弱くなる一方、インジェクション動作をオンにするときはインジェクション通路(71)が中間圧になり、その中間圧による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力が圧力導入部(77)の高圧圧力による力よりも強くなるように、コイルバネ部材(76)の付勢力が設定されている。このことにより、インジェクション動作をオフにするときにはスライド弁(73)が図3(A)の閉位置に設定され、インジェクション動作をオンにするときにはスライド弁(73)が図3(B)の開位置に設定される。
【0069】
このように、本実施形態では、上記圧縮機構(20)が、2つのシリンダ(41,51)がミドルプレート(21)を介して積層され、両端にフロントヘッド(43)とリアヘッド(53)が装着された2シリンダ型圧縮機構であって、上記インジェクション機構(70)は、ミドルプレート(21)に設けられている。そして、上記インジェクションポート(72a,72b)には、上記インジェクション通路(71)から2つのシリンダ室のうちの第1シリンダ室(25)に連通する第1インジェクションポート(72a)と、該インジェクション通路(71)から第2シリンダ室(26)に連通する第2インジェクションポート(72b)とが含まれている。各インジェクションポート(72a,72b)は直径が小さく、ミドルプレート(21)の厚さ寸法からインジェクション通路(71)の直径寸法を引いた値の半分の寸法が長さ寸法となる孔であるから、その容積は非常に小さい。
【0070】
また、上記圧力導入部(77)には、ミドルプレート(21)の内側端に形成された開口(78)により、駆動軸(35)の周りの高圧圧力が導入されるようになっている。
【0071】
−運転動作−
次に、この実施形態に係る圧縮機(1)の運転動作について説明する。
【0072】
電動機(31)を起動すると駆動軸(35)が回転し、その回転が圧縮機構(20)に伝達される。圧縮機構(20)においては、電動機(31)の回転に伴って、駆動軸(35)の各偏心部(35b,35c)が、その偏心量を半径とする周回軌道上を旋回する。一方、各揺動ピストン(42,52)は、ブレード(42a,52a)が揺動ブッシュ(44,54)に保持されているので、揺動ブッシュ(44,54)の中心に対して振り子のような動作(揺動動作)を行う。以上の動きが合成されて、揺動ピストン(42,52)は、ブレード(42a,52a)が揺動ブッシュ(44,54)に対して進退するとともに揺動ブッシュ(44,54)と一緒に揺動しながら、シリンダ(41,51)の内周面に沿って周回軌道上を旋回する。上記の動作は、第1圧縮機構(40)と第2圧縮機構(50)のいずれも同じである。
【0073】
第1圧縮機構(40)及び第2圧縮機構(50)では、第1揺動ピストン(42)及び第2揺動ピストン(52)の動作によって低圧冷媒が第1シリンダ室(25)及び第2シリンダ室(26)へ吸入され、第1揺動ピストン(42)及び第2揺動ピストン(52)の動作がさらに進むと冷媒の圧縮が開始される。また、インジェクション動作を行うときは、圧縮行程の途中でインジェクション管(17)から第1シリンダ室(25)及び第2シリンダ室(26)へ中間圧冷媒が注入される。そして、第1揺動ピストン(42)及び第2揺動ピストン(52)の動作がさらに進んで第1シリンダ室(25)及び第2シリンダ室(26)の圧力が所定の高圧圧力に達すると、各シリンダ室(25,26)内の高圧冷媒がケーシング(10)内の空間へ流出する。
【0074】
ケーシング(10)内に流出した高圧冷媒は、そのケーシング(10)に設けられている吐出管(18)から圧縮機(1)の外へ吐出される。吐出管(18)から吐出された冷媒は、冷媒回路(110)を循環する。
【0075】
暖房サイクル時は、圧縮機(1)から吐出された冷媒が、室内熱交換器(4)での放熱行程を行った後にエコノマイザ熱交換器(5)を通り、膨張弁(3)での膨張行程と室外熱交換器(2)での蒸発行程を経て、ふたたび第1圧縮機構(40)及び第2圧縮機構(50)に吸入される。冷房サイクル時は、室外熱交換器(2)で放熱行程が行われ、室内熱交換器(4)で蒸発行程が行われるが、他の動作は暖房サイクルと同じである。
【0076】
そして、図5の表に示すように、インジェクション動作は、暖房運転時には高負荷条件と定格条件で、図ではSVと示しているインジェクション弁(7)を開いて行われる一方、中間条件と低負荷条件では行われず、除霜運転時には行われる場合と行われない場合がある。また、冷房運転時には、インジェクション動作は高負荷条件と定格条件で行われる一方、中間条件と低負荷条件では行われない。
【0077】
インジェクション動作が行われるときは、中間減圧弁であるインジェクション弁(7)が開かれて、エコノマイザ熱交換器(5)の高圧流路(5a)を流れる高圧冷媒と中間圧流路(5b)を流れる中間圧冷媒が熱交換をする。そして、中間圧流路(5b)を流れる冷媒が高圧冷媒から熱を奪って圧縮機(1)に吸入され、高圧流路(5a)を流れる冷媒は中間圧冷媒により過冷却される。
【0078】
インジェクション機構のオンオフ動作は、以下のように行われる。
【0079】
まず、インジェクション動作を停止するときは、インジェクション弁を「閉」にする。そうすると、インジェクション通路(71)の圧力が中間圧力よりも低い圧力になり、その圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力が、圧力導入部(77)の高圧圧力による力よりも弱くなる。そのため、スライド弁(73)が図3(A)の閉位置に位置してインジェクションポート(72a,72b)が閉塞されるので、インジェクション通路(71)が閉じられる。したがって、この状態では圧縮機構(20)へ中間圧冷媒は導入されない。このときには、死容積がインジェクションポート(72a,72b)の小さな容積だけになる。。
【0080】
また、インジェクション動作を行うときは、インジェクション弁を「開」にする。そうすると、インジェクション通路(71)の圧力がが中間圧力になり、その中間圧による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力が、圧力導入部(77)の高圧圧力による力よりも強くなる。そのため、スライド弁(73)が図3(B)の開位置に位置してインジェクションポート(72a,72b)が開放されるので、インジェクション通路(71)が開かれる。したがって、この状態において、圧縮機構(20)へ中間圧冷媒が注入される。中間圧冷媒は、一つのインジェクション通路(71)から、第1シリンダ室(25)へは第1インジェクションポート(72a)を介して注入され、第2シリンダ室(26)へは第2インジェクションポート(72b)を介して注入される。
【0081】
このときには、スライド弁(73)がインジェクションポート(72a,72b)に対してシリンダの径方向内側に位置するので、径方向外側の導入開口(71a)から入ってくる中間圧冷媒の流れは妨げられない。
【0082】
このように、本実施形態では、インジェクション通路(71)への中間圧力の冷媒導入のオンとオフを切り換えるだけで、第1付勢力が第2付勢力よりも大きくなる状態と、第1付勢力が第2付勢力よりも小さくなる状態とを切り換えることができる。そして、スライド弁(73)が、インジェクション動作時に開位置になるとシリンダ室(25,26)へ中間圧冷媒が導入され、インジェクション動作停止時に閉位置になるとシリンダ室(25,26)への中間圧冷媒の導入が禁止される。
【0083】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、スライド弁(73)を閉位置にしてインジェクション動作を行わないとき、スライド弁(73)がインジェクションポート(72a,72b)を閉塞し、このとき、死容積はインジェクションポート(72a,72b)の容積だけとなる。したがって、再膨張損失を小さくすることができるから、圧縮機の効率が低下するのを抑えられる。
【0084】
また、インジェクション容量を増やすためにインジェクション通路(71)の直径を大きくしても、死容積はインジェクションポート(72a,72b)だけでその容積を最小限に保つことができるから、運転容量が大きな圧縮機や、低圧冷媒を用いる圧縮機においても、効率が低下するのを防止できる。
【0085】
さらに、本実施形態では、インジェクション通路(71)の中に、その通路方向へスライドするスライド弁(73)を設けているので、インジェクション通路と直交するスライド弁を設ける場合に比べてインジェクション機構(70)をコンパクトに構成できる。
【0086】
さらに、スライド弁(73)を開位置にしてインジェクション動作を行うとき、中間圧冷媒がインジェクション通路(71)とインジェクションポート(72a,72b)を通ってシリンダ室(25,26)に導入されるが、このとき、スライド弁(73)はインジェクションポート(72a,72b)に対してシリンダ(41,51)の径方向内側に位置し、インジェクション通路(71)からインジェクションポート(72a,72b)を通ってシリンダ室(25,26)へ流入する中間圧冷媒の流れを妨げない。したがって、冷媒の圧力損失を最小限にすることができるから、十分なインジェクション量を確保できるし、特に低圧冷媒を用いる圧縮機においてインジェクション量を確保できる効果が高い。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、ロータリ圧縮機(1)において、インジェクション機構(70)を設けることにより生じる死容積を小さくして圧縮機の効率が低下するのを抑えることができるうえ、圧縮機構(20)の大型化やそれに伴うコスト増大を抑えることができ、さらには十分なインジェクション量を確保することが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態によれば、上記スライド弁(73)に作用する第1付勢力と第2付勢力を調整するだけでスライド弁(73)を駆動することができる。特に、上記スライド弁(73)に作用する冷媒圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力を用いてスライド弁(73)の動作を制御し、該スライド弁(73)を開位置と閉位置に設定することができる。冷媒圧力だけを利用してスライド弁(73)を駆動する場合は、スライド弁(73)に対して中間圧冷媒の導入開口(71a)側の圧力が開位置と閉位置で変化するのに合わせて、圧力導入部(77)側の圧力も開位置と閉位置で異ならせることが必要になるが、本実施形態では、圧力導入部(77)の圧力は一定でよい。したがって、スライド弁(73)の両側に圧力を印加する構成を簡素化できるから、機構を簡素化できる。
【0089】
また、上記実施形態によれば、2つの圧縮機構(40,50)がミドルプレート(21)を介して上下に積層された2シリンダ型のロータリ圧縮機(1)において、インジェクション通路(71)の中にその通路方向へスライドするスライド弁(73)を配置したインジェクション機構(70)をミドルプレート(21)に設けていて、インジェクション機構(70)をコンパクトに構成することができるから、ミドルプレート(21)が厚くなるのを防止できる。ミドルプレート(21)が厚くなると、圧縮機構(20)の軸受け部間の距離が長くなり、駆動軸(35)のたわみや軸の片当たりによる信頼性の低下が生じるおそれがあるが、本実施形態によれば、そのような問題を防止できる。また、シリンダの両端のフロントヘッドとリアヘッドにはインジェクション機構(70)を設ける必要がなく、ミドルプレート(21)にだけインジェクション機構(70)を設ければよいので、簡単な機構を実現できる。
【0090】
−実施形態1の変形例−
(変形例1)
上記スライド機構は、図6の変形例1に示すように構成してもよい。
【0091】
この変形例1では、上記スライド機構(75)が、インジェクション通路(71)の圧力を中間圧とそれより低い圧力に切り換える切換弁(7)と、スライド弁(73)を開位置から閉位置へ付勢するコイルバネ部材(76)と、スライド弁(73)の径方向内側端面に低圧圧力を導入する圧力導入部(77)とを備えている(低圧圧力を導入する構造は図示省略)。この構成において、上記第1付勢力は、インジェクション通路(71)の圧力に基づく力であり、上記第2付勢力は、上記圧力導入部(77)の圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力に基づく力である。
【0092】
そして、インジェクション動作をオフにするときは、インジェクション通路(71)が中間圧よりも低い圧力になり、その圧力による力が圧力導入部(77)の低圧圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力よりも弱くなる一方、インジェクション動作をオンにするときはインジェクション通路(71)が中間圧になり、その中間圧による力が圧力導入部(77)の低圧圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力よりも強くなるように、コイルバネ部材(76)の付勢力が設定されている。
【0093】
このようにしても、インジェクション通路(71)への中間圧力の冷媒導入のオンとオフを切り換えるだけで、第1付勢力が第2付勢力よりも大きくなる状態と、第1付勢力が第2付勢力よりも小さくなる状態とを切り換えることができる。そして、スライド弁(73)がインジェクション動作時に開位置になるとシリンダ室(25,26)へ中間圧冷媒が導入され、インジェクション動作停止時に閉位置になるとシリンダ室(25,26)への中間圧冷媒の導入が禁止される。
【0094】
この変形例の構成においても、インジェクション動作のオンとオフを切り換えるだけでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には中間圧冷媒の流路中に弁が存在しないので圧力損失を小さくできる。
【0095】
(変形例2)
インジェクション機構(70)は、図7の変形例2に示すように構成してもよい。
【0096】
この変形例2では、インジェクション管(17)が分岐して、インジェクション機構(70)が、端部閉塞部材であるフロントヘッド(43)とリアヘッド(53)の両方に設けられている。具体的には、インジェクション通路(71)と、スライド弁(73)と、コイルバネ部材(76)と、圧力導入部(77)は、上記変形例1と同様の構成でフロントヘッド(43)とリアヘッド(53)の両方に設けられている。
【0097】
また、上記インジェクションポート(72a,72b)としては、上記端部閉塞部材の一方であるフロントヘッド(43)には、該フロントヘッド(43)に形成されているインジェクション通路(71)から第1シリンダ室(25)に連通する第1インジェクションポート(25a)が形成され、リアヘッド(53)には、該リアヘッド(53)に形成されているインジェクション通路(71)から第2シリンダ室(25)に連通する第2インジェクションポート(72b)が形成されている。
【0098】
その他の構造は図6の変形例2と同じであるため、具体的な説明は省略する。
【0099】
この変形例2において、インジェクション動作時に、第1シリンダ室(25)には、フロントヘッド(43)のインジェクション機構(70)から第1インジェクションポート(72a)を介して中間圧冷媒が導入される。また、第2シリンダ室(26)には、リアヘッド(53)のインジェクション機構(70)から第2インジェクションポート(72b)を介して中間圧冷媒が導入される。
【0100】
そして、この変形例2においても、インジェクション動作のオンとオフでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には流路中に弁が存在しないので圧力損失を小さくできる。
【0101】
また、インジェクション通路(71)の中にその通路方向へスライドするスライド弁(73)を配置したインジェクション機構(70)をフロントヘッド(43)とリアヘッド(53)の両方に設けていて、各インジェクション機構(70)をコンパクトに構成することができるから、フロントヘッド(43)とリアヘッド(53)が厚くなるのも防止できる。したがって、機構の大型化を防止できる。
【0102】
(変形例3)
インジェクション機構(70)は、図8の変形例3に示すように構成してもよい。
【0103】
この変形例3では、変形例2と同様にインジェクション機構(70)をフロントヘッド(43)とリアヘッド(53)の両方に設けている。また、上記圧力導入部(77)は、高圧空間になるように構成されている。この圧力導入部(77)を高圧空間にするために、この変形例3では、フロントヘッド(43)とリアヘッド(53)の両方に、上記圧力導入部(77)と圧縮機(1)の内部の空間(高圧ガスで満たされる空間)とを連通する高圧導入路(77a)が形成されている。また、コイルバネ部材(76)はインジェクション通路(71)内に設けられている。
【0104】
その他の構成は、上記実施形態及び変形例1,2と同様である。また、以上の構成において、コイルバネ部材(76)の付勢力や、インジェクション通路(71)及び圧力導入部(77)の圧力関係は、図3の実施形態1と同じである。
【0105】
したがって、この変形例3においても、インジェクション動作のオンとオフでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には流路中にスライド弁(73)が存在しないので圧力損失を小さくできる。
【0106】
(変形例4)
変形例4は、冷媒回路(110)の構成を実施形態1とは異なるようにした例である。
【0107】
図9に示すこの変形例の冷媒回路(110)は、図1のエコノマイザ熱交換器(5)に代えて気液分離器(8)を用いた例である。
【0108】
冷媒回路(110)は、ロータリ圧縮機(1)と、室外熱交換器(2)と、膨脹機構である膨張弁(3a,3b)と、室内熱交換器(4)と、気液分離器(8)とを有している。また、冷媒回路(110)には、冷媒の循環方向を暖房サイクルと冷房サイクルとで切り換え可能にするように、冷媒の循環方向を反転させる四路切換弁(6)が設けられている。上記ロータリ圧縮機(1)は蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧縮行程を行うものである。上記膨脹弁(3a,3b)には、第1膨張弁(3a)と第2膨張弁(3b)が用いられている。
【0109】
ロータリ圧縮機(1)の吐出ポート(1a)は四路切換弁(6)の第1ポート(P1)に接続され、四路切換弁(6)の第2ポート(P2)は室内熱交換器(4)の一端に接続されている。室内熱交換器(4)の他端は第2膨張弁(3b)を介して気液分離器(8)の第1ポート(8a)に接続され、気液分離器(8)の第2ポート(8b)は、第1膨張弁(3a)を介して室外熱交換器(2)の一端に接続されている。室外熱交換器(2)の他端は四路切換弁(6)の第3ポート(P3)に接続され、四路切換弁(6)の第4ポート(P4)はロータリ圧縮機(1)の吸入ポート(1b)に接続されている。
【0110】
気液分離器(8)の第1ポート(8a)及び第2ポート(8b)は、いずれも液冷媒の流出入が可能なポートである。また、気液分離器(8)には、ガス冷媒が流出する第3ポート(8c)が設けられており、この第3ポート(8c)とロータリ圧縮機(1)のインジェクションポート(1c)がインジェクション配管(120)により接続されている。また、上記インジェクション管には、インジェクション弁(開閉弁)(7)が設けられている。
【0111】
四路切換弁(6)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)が連通して第3ポート(P3)と第4ポート(P4)が連通する暖房サイクル用の第1位置(図1の実線の位置)と、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)が連通して第2ポート(P2)と第4ポート(P4)が連通する冷房サイクル用の第2位置(図1の破線の位置)とに切り換え可能に構成されている。
【0112】
この変形例4の冷媒回路(110)において、暖房サイクル時、圧縮機(1)から吐出された冷媒は、室内熱交換器(4)で室内空気に放熱し、第2膨張弁(3b)で減圧されて気液分離器(8)に流入する。気液分離器(8)の液冷媒は第1膨張弁(3a)を通過して室外熱交換器(2)に流入し、該室外熱交換器(2)で蒸発して圧縮機(2)に吸入される。冷房サイクル時には、室外熱交換器(2)で冷媒が室外空気に放熱し、第1膨張弁(3a)で減圧され、室内熱交換器(4)で蒸発する点を除いて暖房サイクルと同じ動作が行われる。
【0113】
また、インジェクション動作時には、インジェクション弁(7)が開かれて、中間圧冷媒が圧縮機(1)に注入される。
【0114】
冷媒回路(110)をこの変形例4のように構成しても、インジェクション機構(70)は上記実施形態1及びその変形例1から変形例3と同様に構成することができる。したがって、インジェクション動作のオンとオフでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には流路中にスライド弁(73)が存在しないので圧力損失を小さくできる。
【0115】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
【0116】
図10は、実施形態2に係るロータリ圧縮機(1)の縦断面図である。このロータリ圧縮機(1)は、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮する圧縮行程を行うものである。図示するように、このロータリ圧縮機(1)は、縦長円筒状のケーシング(10)と、このケーシング(10)内に配置された圧縮機構(80)と駆動機構(30)とを備えている。上記圧縮機構(80)は、ケーシング(10)内の下方の位置に配置され、上記駆動機構(30)はケーシング(10)内の上方の位置に配置されている。上記駆動機構(30)は、圧縮機構(80)を駆動するための電動機(31)と駆動軸(35)により構成されている。
【0117】
上記ケーシング(10)は、縦長の円筒状で上下両端が開口した胴部(11)と、この胴部(11)の上部開口を閉塞するように該胴部(11)に固定された上部鏡板(12)と、胴部(11)の下部開口を閉塞するように該胴部(11)に固定された下部鏡板(13)とから構成されている。上記ケーシング(10)の下端部には、油(冷凍機油)を貯留するための油溜まり(14)が形成されている。
【0118】
上記ケーシング(10)の胴部(11)の下側部分には、上記圧縮機構(80)と対応する位置に吸入管(16)が設けられている。また、上記ケーシング(10)の上部鏡板(12)には、そのほぼ中心位置に、ケーシング(10)の軸方向の中心線に沿うように吐出管(18)が設けられている。そして、この圧縮機(1)は、圧縮機構(80)から吐出された高圧ガスをケーシング(10)内の空間を介して該ケーシング(10)外へ吐出する高圧ドーム式の圧縮機(1)として構成されている。図10においてはインジェクション機構(70)は図示を省略しており、その構成については後述する。
【0119】
上記電動機(31)は、ステータ(32)とロータ(33)とを有している。ステータ(32)は、ケーシング(10)の胴部(11)における上記圧縮機構(80)の上方位置において、上記胴部(11)に溶接や焼き嵌めによって固定されている。上記ロータ(33)は、その外周面とステータ(32)の内周面との間に均一で微細なラジアルギャップ(図ではギャップを誇張して表している)が形成されるように、ステータ(32)の内周側に配置されている。
【0120】
上記ロータ(33)には、その内周面に上記駆動軸(35)(クランク軸)が固定されている。この駆動軸(35)は、主軸部(35a)と、この主軸部(35a)の軸方向中間部分の下方寄りに形成された偏心部(35b)とから構成されている。この偏心部(35b)は、主軸部(35a)よりも大径であって、その中心が主軸部(35a)の中心から偏心している。
【0121】
上記圧縮機構(80)は、旋回式の圧縮機構の一種である揺動ピストン式圧縮機構(80)により構成されている。図11(A),(B)は、圧縮機(1)の要部縦断面図であって圧縮機構(80)の縦断面概略構造を示し、図12は、圧縮機構(80)を平面的に見た内部構造を示している。この圧縮機構(80)は、図示するように、シリンダ室(85)を有するシリンダ(81)と、このシリンダ室(85)の内部で、該シリンダ室(85)の内周面に沿って旋回運動をすることが可能に構成された揺動ピストン(86)とを有している。
【0122】
上記シリンダ(81)には、図11(A)の上面にフロントヘッド(83)が固定され、図10(A)の下面にリアヘッド(84)が固定されている。そして、このシリンダ(81)とフロントヘッド(83)とリアヘッド(84)の間に区画された空間が、上記シリンダ室(85)になっている。
【0123】
上記シリンダ室(85)の内部には、上記駆動軸(35)の偏心部(35b)が位置している。また、この偏心部(35b)には揺動ピストン(86)が装着されている。揺動ピストン(86)は、該偏心部(35b)の外周に摺動自在に嵌合している。上記フロントヘッド(83)とリアヘッド(84)には、駆動軸(35)の主軸部(35a)を回転可能に支持する軸受け部(83a,84a)が形成されている。また、揺動ピストン(86)は、上記駆動軸(35)が回転するときに、該揺動ピストン(86)の外周面がシリンダ室(85)の内周面に油膜を介して実質的に接するように構成されている。
【0124】
上記揺動ピストン(86)は、上記駆動軸(35)の偏心部(35b)に嵌合する環状の揺動ピストン本体部(86a)と、この揺動ピストン本体部(86a)から径方向外方へ突出するブレード(86b)とが一体的に形成されたものである。上記シリンダ本体(82)には、上記ブレード(86b)を揺動可能に保持する揺動ブッシュ(87)が設けられている。この揺動ブッシュ(87)は、断面がほぼ半円形でシリンダ本体(82)と同程度の厚さを有する一対の部材であって、シリンダ本体(82)に形成されているブッシュ保持凹部(82a)に、平坦面同士が対向する状態で保持されている。そして、一対の揺動ブッシュ(87)の平坦面同士の間にブレード溝(87a)が形成され、このブレード溝(87a)に揺動ピストン(86)のブレード(86b)が摺動自在に保持されている。なお、ブッシュ保持凹部(82a)に対して径方向の外側には背圧室が形成されている。
【0125】
以上の構成により、上記圧縮機構(80)は、駆動軸(35)が回転すると、揺動ブッシュ(87)が揺動するとともに、揺動ブッシュ(87)のブレード溝(87a)の中をブレード(86b)が進退して、シリンダ室(85)の中で揺動ピストン(86)がシリンダ室(85)の内周面に沿って旋回運動をする。このように、上記圧縮機構(80)は、偏心部(35b)を有する駆動軸(35)が回転することによって、ブレード(86b)が揺動しながら揺動ピストン(86)がシリンダ(81)内で旋回運動をする上述の揺動ピストン式圧縮機構(80)により構成されている。
【0126】
上記シリンダ(81)のシリンダ本体(82)には吸入ポート(81a)が形成され、この吸入ポート(81a)には上記吸入管(16)が接続されている。また、上記シリンダ(81)のフロントヘッド(83)には吐出ポート(81b)が形成され、この吐出ポート(81b)は下面側が上記シリンダ室(85)に開口している。また、吐出ポート(81b)の上面には、リード弁である吐出弁(88a)と、吐出弁のリフト量を規制するための弁押さえ(88b)が設けられている。上記フロントヘッド(83)の上面には、吐出ポート(81b)を覆うように吐出カバー(89)(吐出マフラ)が装着されている。
【0127】
図11に示すように、この実施形態2のインジェクション機構(70)は、端部閉塞部材であるフロントヘッド(83)にシリンダ(81)の径方向に形成されて、外周端に中間圧冷媒の導入開口(71a)を有するインジェクション通路(71)を有している。また、フロントヘッド(83)には、インジェクション通路(71)とシリンダ室(85)を連通するように、インジェクションポート(72)がシリンダ(81)の軸方向へ形成されている。
【0128】
インジェクションポート(72a)は直径が小さく、フロントヘッド(83)の厚さ寸法からインジェクション通路(71)の直径寸法を引いた値の半分の寸法が長さ寸法となる孔であるから、その容積は非常に小さい。
【0129】
また、上記インジェクション機構(70)は、インジェクション通路(71)にその通路方向へスライド可能に装填されるスライド弁(73)と、該スライド弁(73)を、上記インジェクションポート(72a,72b)を閉塞する閉位置(図11(A)の位置)と、該スライド弁(73)が該インジェクションポート(72)に対してシリンダ(81)の径方向内側に位置して該インジェクションポート(72)を開放する開位置(図11(B)の位置)とにスライドさせるスライド機構(75)とを備えている。
【0130】
上記スライド機構(70)は、上記スライド弁(73)を開位置へ付勢する第1付勢力と、閉位置へ付勢する第2付勢力との大きさを調整して、第1付勢力と第2付勢力の相対的な大小関係が入れ替わるように構成されている。
【0131】
上記スライド機構(75)は、インジェクション通路(71)の圧力を中間圧とそれより低い圧力に切り換える切換弁(7)と、スライド弁(73)を開位置から閉位置へ付勢するコイルバネ部材(76)と、スライド弁(73)の径方向内側端面に低圧圧力を導入する圧力導入部(77)とを備えている(低圧圧力を導入する構造は図示省略)。この構成において、上記第1付勢力は、インジェクション通路(71)の圧力に基づく力であり、上記第2付勢力は、上記圧力導入部(77)の圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力に基づく力である。
【0132】
そして、インジェクション動作をオフにするときは、インジェクション通路(71)が中間圧よりも低い圧力になり、その圧力による力が圧力導入部(77)の低圧圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力よりも弱くなる一方、インジェクション動作をオンにするときはインジェクション通路(71)が中間圧になり、その中間圧による力が圧力導入部(77)の低圧圧力による力とコイルバネ部材(76)の付勢力を加えた力よりも強くなるように、コイルバネ部材(76)の付勢力が設定されている。
【0133】
−運転動作−
次に、このロータリ圧縮機(1)の運転動作について説明する。
【0134】
上記電動機(31)を起動するとロータ(33)が回転し、その回転が駆動軸(35)に伝達される。そして、駆動軸(35)が回転すると、シリンダ(81)内で揺動ピストン(86)がシリンダ室(85)の内周面に沿って旋回運動を行う。このことにより、シリンダ室(85)の容積が縮小と拡大を繰り返す。そして、シリンダ室(85)の容積が拡大するときに吸入ポート(81a)からシリンダ室(85)へ冷媒が吸入され、シリンダ室(85)の容積が縮小するときに冷媒が圧縮されて吐出ポート(81b)からケーシング(10)内へ吐出される。
【0135】
シリンダ室(85)から吐出された高圧冷媒はケーシング(10)内に充満する。ケーシング(10)内に充満した高圧冷媒は吐出管(17)から流出し、冷媒回路を循環する際に凝縮行程、膨張行程、及び蒸発行程を経た後、再び圧縮機(1)に吸入されて圧縮行程が行われる。以上のようにして冷媒が冷媒回路を循環することにより、蒸気圧縮式冷凍サイクルが行われる。
【0136】
また、インジェクション機構の動作は、実施形態1の変形例2で説明したものと同様であり、インジェクション通路(71)への中間圧力の冷媒導入のオンとオフを切り換えるだけで、第1付勢力が第2付勢力よりも大きくなる状態と、第1付勢力が第2付勢力よりも小さくなる状態とを切り換えることができる。そして、スライド弁(73)がインジェクション動作時に開位置になるとシリンダ室(85)へ中間圧冷媒が導入され、インジェクション動作停止時に閉位置になるとシリンダ室(85)への中間圧冷媒の導入が禁止される。
【0137】
−実施形態2の効果−
したがって、この実施形態2においても、インジェクション動作のオンとオフでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には流路中に弁が存在しないので圧力損失を小さくできる。
【0138】
また、上記実施形態1及びその変形例と同様にインジェクション機構(70)をコンパクトに構成することができるから、フロントヘッド(83)が厚くなるのを防止できる。また、リアヘッド(84)にはインジェクション機構(70)が設けられないので、リアヘッド(84)が厚くなるのも防止できる。したがって、機構の大型化を防止できる。
【0139】
−実施形態2の変形例−
(変形例1)
図13に示す実施形態2の変形例1は、リアヘッド(83)にインジェクション機構(70)を設けた例である。具体的には、上記インジェクション通路(71)とスライド弁(73)とスライド機構(75)が上記リアヘッド(84)に設けられている。インジェクション機構(70)の構成は図11の実施形態2と同じであるため、具体的な説明は省略する。
【0140】
この変形例1においても、インジェクション動作のオンとオフでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には流路中に弁が存在しないので圧力損失を小さくできる。さらに、機構の小型化も可能である。
【0141】
(変形例2)
図14に示す実施形態2の変形例2は、フロントヘッド(83)にインジェクション機構(70)を設ける構成において、スライド弁(73)の両側の圧力関係を図11の実施形態2とは逆にした例である。言い換えると、インジェクション機構(70)を構成するインジェクション通路(71)とスライド弁(73)とスライド機構(75)の構成は、図8に示した実施形態1の変形例3と同じである。そのため、インジェクション機構(70)の構成についての具体的な説明はここでは省略する。
【0142】
この変形例2においても、インジェクション動作のオンとオフでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には流路中に弁が存在しないので圧力損失を小さくできるし、機構の大型化も防止できる。
【0143】
(変形例3)
図15に示す実施形態2の変形例3は、リアヘッド(84)にインジェクション機構(70)を設ける構成において、スライド弁(73)の両側の圧力関係を図11の実施形態2とは逆にした例(図14の変形例2と同じにした例)である。インジェクション機構(70)を構成するインジェクション通路(71)とスライド弁(73)とスライド機構(75)の構成は、図8に示した実施形態1の変形例3と同じである。そのため、インジェクション機構(70)の構成についての具体的な説明はここでは省略する。
【0144】
この変形例3においても、インジェクション動作のオンとオフでスライド弁(73)の位置を切り換えることができるとともに、インジェクション動作のオフ時には死容積を小さくできる。また、インジェクション動作のオン時には流路中に弁が存在しないので圧力損失を小さくできるし、機構の大型化も防止できる。
【0145】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0146】
例えば、上記各実施形態では、本発明のインジェクション機構(70)を、ピストンとブレードが一体になった揺動ピストン型の圧縮機構に適用した例を説明したが、ピストンとブレードが別部品で構成されるローリングピストン型の圧縮機構に適用してもよい。
【0147】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上説明したように、本発明は、インジェクション機構を有するロータリ圧縮機について有用である。
【符号の説明】
【0149】
1 ロータリ圧縮機
7 切換弁
20 圧縮機構
21 ミドルプレート(中間閉塞部材)
25 第1シリンダ室
26 第2シリンダ室
41 第1シリンダ
42 第1揺動ピストン
43 フロントヘッド(端部閉塞部材)
51 第2シリンダ
52 第2揺動ピストン
53 リアヘッド(端部閉塞部材)
70 インジェクション機構
71 インジェクション通路
71a 導入開口
72 インジェクションポート
72a 第1インジェクションポート
72b 第2インジェクションポート
73 スライド弁
75 スライド機構
76 コイルバネ部材
77 圧力導入部
81 シリンダ
83 フロントヘッド(端部閉塞部材)
84 リアヘッド(端部閉塞部材)
85 シリンダ室
86 揺動ピストン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ室(25,26)(85)を有するシリンダ(41,51)(81)と、該シリンダ(41,51)(81)内に配置されて該シリンダ室(25,26)(85)の中で偏心回転動作をするピストン(42,52)(86)と、上記シリンダ(41,51)(81)の端面に固定される閉塞部材(21,43,53)(83,84)とを有する圧縮機構(20)と、上記シリンダ室(25,26)(85)に中間圧冷媒を注入するインジェクション機構(70)とを備えたロータリ圧縮機であって、
上記インジェクション機構(70)は、
上記閉塞部材(21,43,53)(83,84)にシリンダ(41,51)(81)の径方向に形成されて外周端にインジェクション流体の導入開口(71a)を有するインジェクション通路(71)と、
インジェクション通路(71)とシリンダ室(25,26)(85)を連通するように上記閉塞部材(21,43,53)(83,84)にシリンダ(41,51)(81)の軸方向へ形成されたインジェクションポート(72a,72b)(72)と、
インジェクション通路(71)にその通路方向へスライド可能に装填されるスライド弁(73)と、
該スライド弁(73)を、上記インジェクションポート(72a,72b)(72)を閉塞する閉位置と、該スライド弁(73)が該インジェクションポート(72a,72b)(72)に対してシリンダ(41,51)(81)の径方向内側に位置して該インジェクションポート(72a,72b)(72)を開放する開位置とにスライドさせるスライド機構(75)と、
を備えていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項2】
請求項1において、
上記スライド機構(75)は、上記スライド弁(73)を開位置へ付勢する第1付勢力と閉位置へ付勢する第2付勢力との大きさを調整して、各付勢力の相対的な大小関係が入れ替わるように設定可能に構成されていることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項3】
請求項2において、
上記スライド機構(75)は、
インジェクション通路(71)の圧力を中間圧とそれより低い圧力に切り換える切換弁(7)と、
スライド弁(73)を閉位置から開位置へ付勢するコイルバネ部材(76)と、
スライド弁(73)の径方向内側端面に高圧圧力を導入する圧力導入部(77)と、を備え、
上記第1付勢力がインジェクション通路(71)の圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力に基づく力であり、
上記第2付勢力が上記圧力導入部(77)の圧力に基づく力である
ことを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項4】
請求項2において、
上記スライド機構(75)は、
インジェクション通路(71)の圧力を中間圧とそれより低い圧力に切り換える切換弁(7)と、
スライド弁(73)を開位置から閉位置へ付勢するコイルバネ部材(76)と、
スライド弁(73)をの径方向内側端面に低圧圧力を導入する圧力導入部(77)と、を備え、
上記第1付勢力がインジェクション通路(71)の圧力に基づく力であり、
上記第2付勢力が上記圧力導入部(77)の圧力とコイルバネ部材(76)の付勢力に基づく力である
ことを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1つにおいて、
上記圧縮機構(20)は、2つのシリンダ(41,51)が中間閉塞部材(21)を介して積層され、両端に端部閉塞部材(43,53)が装着された2シリンダ型圧縮機構(20)であり、
上記インジェクション機構(70)が上記中間閉塞部材(21)に設けられ、
上記インジェクションポート(72a,72b)が、上記インジェクション通路(71)から2つのシリンダ室(25,26)のうちの第1シリンダ室(25)に連通する第1インジェクションポート(72a)と、該インジェクション通路(71)から第2シリンダ室(26)に連通する第2インジェクションポート(72b)とを有していることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項6】
請求項1から4の何れか1つにおいて、
上記圧縮機構(20)は、2つのシリンダ(41,51)が中間閉塞部材(21)を介して積層され、両端に端部閉塞部材(43,53)が装着された2シリンダ型圧縮機構(20)であり、
上記インジェクション機構(70)が上記端部閉塞部材(43,53)の両方に設けられ、
上記インジェクションポート(72a,72b)が、上記端部閉塞部材(43,53)の一方に形成されるインジェクション通路(71)から2つのシリンダ室(25,26)のうちの第1シリンダ室(25)に連通する第1インジェクションポート(72a)と、上記端部閉塞部材(43,53)の他方に形成されるインジェクション通路(71)から第2シリンダ室(26)に連通する第2インジェクションポート(72b)とを有していることを特徴とするロータリ圧縮機。
【請求項7】
請求項1から4の何れか1つにおいて、
上記圧縮機構(20)は、1つのシリンダ(81)の両端に端部閉塞部材(83,84)が設けられた1シリンダ型圧縮機構(20)であり、
上記インジェクション機構(70)が端部閉塞部材(83,84)のいずれか一方に設けられていることを特徴とするロータリ圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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