説明

ロータリ耕耘装置

【課題】ボルトを完全に抜くことなく耕耘爪の交換作業を行うことができるものでありながら、耕耘爪の交換作業の作業効率の向上を可能とし、耕耘爪の製造工程の簡素化を可能としたロータリ耕耘装置を提供する。
【解決手段】ロータリ耕耘装置は、耕耘爪軸16に固着され、挿入空間21及び壁面24dの先端側を切欠いた切り欠き部25が設けられた爪ホルダ20と、凹部31が形成された耕耘爪30と、挿入空間21に耕耘爪軸16の回転方向と直交する方向に挿通され、爪ホルダ20に耕耘爪30を取付けるボルト41とを備える。耕耘爪30は、爪ホルダ20の切り欠き部25を介して耕耘爪30の凹部31をボルト41に係合させ、凹部31を中心に正転回転方向ω1の上流側に向けて回動させることで耕耘爪軸16に対して装着する。これにより、耕耘爪30の交換作業の作業効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行機体に装着されるロータリ耕耘装置に係り、詳しくは駆動軸への耕耘爪の着脱の簡素化を図ったロータリ耕耘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロータリ耕耘装置に装着される耕耘爪は、該ロータリ耕耘装置の駆動軸上に設けられたホルダに耕耘爪の基部を挿入し、該ホルダ及び該耕耘爪の基部に設けられた取付孔にボルトを挿通し、ナットによって締め付けることで固定するように構成されており、駆動軸の回転方向及び該回転方向に直交する方向において確実に固定されるように構成されていた。
【0003】
しかし、上記のような構成のロータリ耕耘装置では、耕耘爪を交換する際、ボルトを完全に取付孔から抜き、耕耘爪を交換後改めて取付孔にボルトを挿通し、ナットを締め付けるという作業を行わなくてはならず、耕耘爪交換作業に手間と時間を要していた(図2参照)。
【0004】
このため、耕耘爪にボルトの軸部を挿通する切り欠き部と、ボルトの頭部を係合する凹部とを形成し、ナットを締めることによって該耕耘爪を固定する構成を有し、ボルトを完全に抜くことなく耕耘爪交換作業を行うことが可能な耕耘爪の装着装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開昭58−182608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に示すような耕耘爪の装着装置は、耕耘爪を取外す際に、耕耘爪に形成された凹部からボルトの頭部が完全に外れないと、該耕耘爪を取外すことができないが、ホルダの内部を目視することができず、作業効率が悪化する虞があった。またナットを緩めすぎることで、該ナットがボルトから外れ、該ボルトもホルダから外れてしまう虞があった。さらに、上記耕耘爪の装着装置では、耕耘爪の取付け時に、該耕耘爪の凹部に僅かな量でも土等が付着していた場合、ボルトの頭部による抜け止めの効果が不完全となり、動作中に耕耘爪が抜けてしまう危険性があった。
【0007】
また、一般的に耕耘爪は、バネ鋼等の硬度の高い材料を使用しており、鍛造により製造される。このため、上記特許文献1に示す耕耘爪の装着装置のように、ボルトの軸部を挿通する切り欠き部と、ボルトの頭部を係合する凹部とを形成するという複雑な形状のものを鍛造によって製造することは、製造工程の複雑化とコストアップを招いてしまう問題があった。
【0008】
そこで本発明は、ボルトを完全に抜くことなく耕耘爪の交換作業を行うことができるものでありながら、耕耘爪の交換作業の作業効率の向上を可能とし、耕耘爪の製造工程の簡素化を可能としたロータリ耕耘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図7参照)、駆動軸(16)と、該駆動軸に着脱自在に固定される耕耘爪(30)と、を備えたロータリ耕耘装置(1)において、
前記駆動軸(16)に固着され、前記耕耘爪(30)の基部(30a)が挿入される挿入空間(21)を有し、前記空間(21)を構成する前記駆動軸(16)の正転回転方向(ω1)の下流側の壁面(24b)の先端側を切欠いた切り欠き部(25)が設けられたホルダ(20,20,20,20)と、
前記耕耘爪(30)の基部(30a)における前記駆動軸(16)の正転回転方向(ω1)の下流側に形成された凹部(31)と、
前記ホルダ(20,20,20,20)の前記挿入空間(21)に前記駆動軸(16)の回転方向と直交する方向に挿通され、前記ホルダ(20,20,20,20)に前記耕耘爪(30)を取付けるボルト(41)と、を備え、
前記ホルダ(20,20,20,20)の前記切り欠き部(25)を介して前記凹部(31)を前記ボルト(41)に係合させ、前記耕耘爪(30)を前記凹部(31)を中心に前記正転回転方向(ω1)上流側に向けて回動させることで前記耕耘爪(30)を前記駆動軸(16)に装着してなる、
ことを特徴とするロータリ耕耘装置(1)にある。
【0010】
請求項2に係る本発明は(例えば図3乃至図7参照)、前記耕耘爪(30)の前記凹部(31)を中心とした前記正転回転方向(ω1)下流側への回動を規制するストッパ部材(50,150)を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置(1)にある。
【0011】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る本発明によると、ホルダの切り欠き部を介して凹部をボルトに係合させ、耕耘爪を凹部を中心に正転回転方向上流側に向けて回動させることで耕耘爪を駆動軸に装着するので、ボルトを完全に抜くことなく耕耘爪の交換作業を行うことができるものでありながら、耕耘爪を回動させられるようにナットを緩めるだけで、ホルダの内部を視認することなく、確実に耕耘爪の着脱を行うことができ、作業効率を向上することができる。また、耕耘爪を回動させられるようにナットを緩めるだけいいので、ナットを緩めすぎることによる該ナットやボルトの脱落を防ぐことができる。
【0013】
さらに、耕耘爪は、基部における駆動軸の正転回転方向の下流側に形成された凹部を有して構成されているので、例えばボルトの軸部を挿通する切り欠き部と、ボルトの頭部を係合する凹部とが形成される耕耘爪に比してシンプルな形状とすることができ、製造工程の簡素化とコストダウンを図ることができる。また、ボルトの頭部を係合する凹部を不要とすることができ、土等の付着により耕耘爪の抜け止めの効果が不完全となることで動作中に耕耘爪が抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によると、耕耘爪の凹部を中心とした正転回転方向下流側への回動を規制するストッパ部材を備えているので、耕耘爪を駆動軸に対して装着した際に、該耕耘爪が正転回転方向下流側へ回動することを防止することができ、駆動軸が逆転回転した場合にも耕耘爪がホルダに対して回動せず、耕耘爪が脱落することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に関する第1の実施の形態を図1乃至図3に沿って説明する。
【0016】
例えばトラクタ等の走行機体(不図示)の後方に装着されるロータリ耕耘装置1は、図1に示すように、ギヤケース10と、該ギヤケース10から左右に延設されたアーム8a,8bと、該アーム8aの端部に配設されたチェンケース15と、該アーム8bの端部に配設されたサイドプレート17と、該チェンケース15及び該サイドプレート17を連結する耕耘爪軸(駆動軸)16とによって構成されている。
【0017】
上記ギヤケース10は、上記走行機体からの動力を伝達する動力伝達軸3を回転自在に支持しており、該動力伝達軸3には、ギヤケース10内部においてピニオン5が連結されている。また、ギヤケース10は、上記アーム8aの中空部分に配置されたドライブシャフト7を回転自在に支持している。該ドライブシャフト7は、ギヤケース10内部の一端部(図1中右方側)において伝動ギヤ6が連結されており、該伝動ギヤ6は、上記ピニオン5と噛合している。該ドライブシャフト7の他端部(図1中左方側)は、チェンケース15に対して回転自在に支持されると共にスプロケット11が連結されている。
【0018】
上記耕耘爪軸16は、一端部(図1中右方側)においてサイドプレート17に対して回転自在に支持されており、他端部(図1中左方側)においてチェンケース15に対して回転自在に支持されている。また、耕耘爪軸16の他端部は、チェンケース15内部においてスプロケット12が連結されており、該スプロケット12及びスプロケット11には、ローラチェン13が巻き掛けられている。これにより、耕耘爪軸16は、動力伝達軸3からの動力が伝達され、回転駆動するように構成されている。
【0019】
さらに、耕耘爪軸16は、詳しくは後述するように、耕耘爪の取付け構造2によって、円筒状の外面の全長に亘って多数の爪ホルダ(ホルダ)20が固着されており、該爪ホルダ20にはボルト41によって耕耘爪30が取付けられている。
【0020】
次に、本第1の実施の形態に係るロータリ耕耘装置1の作用について説明する。
【0021】
上記構成に基づき、ロータリ耕耘装置1は、走行機体に搭載された駆動源からの回転駆動力が動力伝達軸3に伝達され、該回転駆動力は、ピニオン5及び伝動ギヤ6を介してドライブシャフト7に伝達される。該ドライブシャフト7に伝達された回転駆動力は、スプロケット11及びスプロケット13に巻き掛けられたローラチェン13を介して耕耘爪軸16に伝達される。回転駆動力が伝達された耕耘爪軸16は、外面に配置された多数の爪ホルダ20及び耕耘爪30と共に正転回転(走行機体の前進時の車輪の回転方向と同方向)し、該耕耘爪30の先端部分が土壌を反転させることで圃場を耕耘する。
【0022】
つづいて、本発明の要部である耕耘爪の取付け構造2について説明する。
【0023】
本第1の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造2は、図3(a)に示すように、耕耘爪軸16と、該耕耘爪軸16に固着された爪ホルダ20と、該爪ホルダ20に取付けられた耕耘爪30とによって構成されている。該耕耘爪軸16には、上述のように多数の爪ホルダ20が、円筒状の外面の全長に亘り偏ることなく配置され(例えば、図2参照)、固着されている。
【0024】
爪ホルダ20は、図3(c)に示すように、略々四角柱の形状をしており、基端側面が耕耘爪軸16の外面の形状に合わせて湾曲して形成されている。また、爪ホルダ20は、耕耘爪30の基部30aの断面形状に合わせた四角柱状の空間(挿入空間)21を有しており、該空間21は、内側の壁面24a,24b,24c,24d(図3(b)参照)に囲まれることによって構成されている。さらに、爪ホルダ20における耕耘爪軸16の正転回転方向ω1下流側となる壁面24bの先端側には、該爪ホルダ20の壁面が切欠かれた切り欠き部25を有している。また、爪ホルダ20の側面には、耕耘爪軸16の回転方向と直交する方向(耕耘爪軸16の軸方向)に挿通されるボルト41(図3(a)、(b)、(e)参照)が貫通するボルト孔23及び該ボルト41の頭部41aが嵌合する非円形孔22が形成されている。
【0025】
なお、本第1の実施の形態に係るボルト41の頭部41a及び非円形孔22が共に正六角形となり、隙間なく嵌合するように図示しているが、これに限らず、非円形孔22にボルト41の頭部41aが嵌合し、該ボルト41が回転不能となるように構成されていれば、非円形孔22及びボルト41の頭部41aの形状は、どのような形状であっても構わない。
【0026】
耕耘爪30は、図3(d)に示すように、上記爪ホルダ20に取付けられる基部30aを有しており、該基部30aには、耕耘爪軸16の正転回転方向ω1下流側となる端部に、ボルト41と係合するために略々半円形状に切欠かれた凹部31が形成されている。また該基部30aの基端部分における耕耘爪軸16の正転回転方向ω1上流側には、爪ホルダ20の内側の壁面24aと滑らかに摺動するための湾曲部32が形成されている。
【0027】
以上ように構成された耕耘爪の取付け構造2における耕耘爪30の取付け方法は、図3(e)に示すように、まず、爪ホルダ20にボルト41の頭部41aが非円形孔22に嵌合し、軸部がボルト孔23を貫通するようにボルト41を配置する。次に、耕耘爪30を、凹部31が耕耘爪軸16側に向くようにした状態で、切り欠き部25を介して空間21に基部30aを挿入し、該凹部31をボルト41に係合させる。
【0028】
ついで、耕耘爪30をボルト41に係合している凹部31を中心として、正転回転方向ω1上流側に向けて回動させ、耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側の端面を壁面24bに当接させると共に、耕耘爪30の正転回転方向ω1上流側の端面を壁面24aに当接させる。このとき、湾曲部32が壁面24aに滑らかに摺動することで容易に耕耘爪30を回動させることができる。そして、図3(b)に示すように、ボルト41の軸部にワッシャ43を取付け、ナット42を締め付ける。ここで、ナット42を締め付けることにより、ボルト41の頭部41aが空間21内に入り込む方向に力が加わり、耕耘爪30を壁面24dに押し付けるように力が作用する。これにより、爪ホルダ20に対して耕耘爪30が固定される。また、上述した取付け方法の逆を行うことで、耕耘爪30を取外すことができる。この際、ナット42は、耕耘爪30を回動させられるだけ緩めればよく、該ナット42を取外すことなく耕耘爪30の取外しができる。
【0029】
以上のように本発明の第1の実施の形態に係るロータリ耕耘装置1によると、爪ホルダ20の切り欠き部25を介して凹部31をボルト41に係合させ、耕耘爪30を凹部31を中心に正転回転方向ω1上流側に向けて回動させることで耕耘爪30を耕耘爪軸16に装着するので、ボルト41を完全に抜くことなく耕耘爪30の交換作業を行うことができるものでありながら、耕耘爪30を回動させられるようにナット42を緩めるだけで、爪ホルダ20の内部を視認することなく、確実に耕耘爪30の着脱を行うことができ、作業効率を向上することができる。また、耕耘爪30を回動させられるようにナット42を緩めるだけいいので、ナット42を緩めすぎることによる該ナット42やボルト41の脱落を防ぐことができる。
【0030】
さらに、耕耘爪30は、基部30aにおける耕耘爪軸16の正転回転方向ω1の下流側に形成された凹部31を有して構成されているので、例えばボルトの軸部を挿通する切り欠き部と、ボルトの頭部を係合する凹部とが形成される耕耘爪に比してシンプルな形状とすることができ、製造工程の簡素化とコストダウンを図ることができる。また、ボルトの頭部を係合する凹部を不要とすることができ、土等の付着により耕耘爪の抜け止めの効果が不完全となることで動作中に耕耘爪が抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0031】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を図4に沿って説明する。なお、本第2の実施の形態においては、一部の変更を除き、第1の実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
本第2の実施の形態に係るロータリ耕耘装置1は、第1の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造2に比して、爪ホルダ20に対する耕耘爪30の正転回転方向ω1側への回動を規制するストッパ部材50を配置した耕耘爪の取付け構造2に変更したものである。該ストッパ部材50は、図4(c)に示すように、耕耘爪30の回動を規制する鉤部51と、爪ホルダ20を把持する把持部52と、ボルト41が貫通配置され、先端側端部55a及び基端側端部55bを有する長孔部55とによって構成されている。
【0033】
以上のように構成された耕耘爪の取付け構造2における耕耘爪30の取付け方法は、図4(d)に示すように、まず、爪ホルダ20にボルト41の頭部41aが非円形孔22に嵌合し、軸部がボルト孔23を貫通するようにボルト41を配置する。次に、ボルト41の軸部が長孔部55の基端側端部55bに係合し、かつ鉤部51及び把持部52が正転回転方向ω1上流側となるようにストッパ部材50を配置する(図4(d)実線部分参照)。ついで、耕耘爪30を凹部31が耕耘爪軸16側に向け、鉤部51及び把持部52の間を通るように切り欠き部25を介して空間21に基部30aを挿入し、該凹部31をボルト41に係合させる。
【0034】
次に、ストッパ部材50と共に耕耘爪30をボルト41に係合している凹部31を中心として、正転回転方向ω1上流側に向けて回動させ、耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側の端面を壁面24bに当接させると共に、耕耘爪30の正転回転方向ω1上流側の端面を壁面24aに当接させる。ついで、図4(a)に示すように、ボルト41の軸部が長孔部55の先端側端部55aに係合し、かつ爪ホルダ20の正転回転方向ω1上流側の外面26aを把持部52が把持するようにストッパ部材50を爪ホルダ20の基端側に移動させる。このとき、鉤部51は、爪ホルダ20の正転回転方向ω1下流側の外面26bを把持すると共に耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側への回動を規制する。
【0035】
そして、図4(b)に示すように、ボルト41の軸部にワッシャ43を取付け、ナット42を締め付ける。ここで、ナット42を締め付けることにより、ストッパ部材50を固定すると共に、ボルト41の頭部41aが空間21内に入り込む方向に力が加わり、耕耘爪30を壁面24dに押し付けるように力が作用する。これにより、爪ホルダ20に対して耕耘爪30が固定され、確実に耕耘爪30の脱落を防止することができる。また、上述した取付け方法の逆を行うことで、耕耘爪30を取外すことができる。この際、ナット42は、緩めるだけでよく、該ナット42を取外すことなく耕耘爪30の取外しができる。
【0036】
以上のように本発明の第2の実施の形態に係るロータリ耕耘装置1によると、耕耘爪30の凹部31を中心とした正転回転方向ω1下流側への回動を規制するストッパ部材50を備えているので、耕耘爪30を耕耘爪軸16に対して装着した際に、該耕耘爪30が正転回転方向ω1下流側へ回動することを防止することができ、耕耘爪軸16が逆転回転した場合にも耕耘爪30が爪ホルダ20に対して回動せず、耕耘爪30が脱落することを防ぐことができる。
【0037】
なお、本第2の実施の形態においては、この他の構成、作用、及び効果は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0038】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態を図5に沿って説明する。なお、本第3の実施の形態においては、一部の変更を除き、第1の実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
本第3の実施の形態に係るロータリ耕耘装置1は、第1の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造2に比して、耕耘爪30の正転回転方向ω1側への回動を規制するストッパ部材150を配置した耕耘爪の取付け構造2に変更したものである。該ストッパ部材150は、図5(d)に示すように、板状に形成された本体151と、該本体151に突設された突出部152と、該本体151に穿設されたボルト孔153とによって構成されている。また、爪ホルダ20は、図5(c)に示すように、切り欠き部25に上記突出部152が貫通配置される貫通孔27が穿設されている。
【0040】
以上ように構成された耕耘爪の取付け構造2における耕耘爪30の取付け方法は、図5(a)に示すように、まず、爪ホルダ20にボルト41の頭部41aが非円形孔22に嵌合し、軸部がボルト孔23を貫通するようにボルト41を配置する。次に、耕耘爪30を、凹部31が耕耘爪軸16側に向くようにした状態で、切り欠き部25を介して空間21に基部30aを挿入し、該凹部31をボルト41に係合させる。ついで、耕耘爪30をボルト41に係合している凹部31を中心として、正転回転方向ω1上流側に向けて回動させ、耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側の端面を壁面24bに当接させると共に、耕耘爪30の正転回転方向ω1上流側の端面を壁面24aに当接させる。
【0041】
次に、ボルト41の軸部がボルト孔153に貫通配置され、かつ突出部152が爪ホルダ20の貫通孔27に貫通配置されるようにストッパ部材150を配置する。そして、図5(b)に示すように、ボルト41の軸部にワッシャ43を取付け、ナット42を締め付ける。このとき、ストッパ部材150の突出部152は、耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側の端面に当接するように切り欠き部25内に突出し、耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側への回動を規制する。また、ナット42を締め付けることにより、ボルト41の頭部41aが空間21内に入り込む方向に力が加わり、耕耘爪30を壁面24dに押し付けるように力が作用する。これにより、爪ホルダ20に対して耕耘爪30が固定され、確実に耕耘爪30の脱落を防止することができる。
【0042】
また、耕耘爪30を取外す際には、ナット42を緩め、突出部152を切り欠き部25内から退避させることで、ナット42を取外すことなく耕耘爪30の取外しができる。さらに、ストッパ部材150は、上記第2の実施の形態で用いたストッパ部材50に比して簡単な構成なものにすることができる。
【0043】
なお、本第3の実施の形態においては、この他の構成、作用、及び効果は第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0044】
<第4の実施の形態>
次に、本発明の第4の実施の形態を図6に沿って説明する。なお、本第4の実施の形態においては、一部の変更を除き、第3の実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
本第4の実施の形態に係るロータリ耕耘装置1は、第3の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造2に比して、爪ホルダ20の貫通孔27の位置を変更した耕耘爪の取付け構造2としたものである。耕耘爪の取付け構造2の爪ホルダ20は、図6(a)、(b)に示すように、上記第3の実施の形態で説明した貫通孔27に比して、僅かに耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側に穿設した貫通孔27を有して構成されている。即ち、ストッパ部材150の突出部152は、耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側の端面と、僅かな隙間を有して切り欠き部25内に突出している。これにより、例えばナット42が緩んでしまった場合、切り欠き部25内に突出した突出部152によって、耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側への回動を規制する際に、耕耘爪30と突出部152とが接触する際に音を発生するため、操作者にナット42の緩んだことを報知することができ、確実に耕耘爪30の脱落を防止することができる。
【0046】
なお、本第4の実施の形態においては、この他の構成、作用、及び効果は第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0047】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態を図7に沿って説明する。なお、本第5の実施の形態においては、一部の変更を除き、第1の実施の形態と同様な部分に、同符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
本第5の実施の形態に係るロータリ耕耘装置1は、第1の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造2に比して、爪ホルダ20の形状を変更した爪ホルダ20を有する耕耘爪の取付け構造2を備えている。該耕耘爪の取付け構造2の爪ホルダ20は、図7(a)、(b)、(c)に示すように、第1の実施の形態の爪ホルダ20に比して、耕耘爪軸16の回転方向に直交する方向(軸方向)の長さが拡大されたものになっており、該爪ホルダ20内部の空間21の長さも拡大されたものである。また、爪ホルダ20における耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側の端面には、凸部28を存して切り欠き部25が形成されている。
【0049】
以上ように構成された耕耘爪の取付け構造2に耕耘爪30を取付ける場合には、ナット42を締め付けることにより、ボルト41の頭部41aが空間21内に入り込む方向に力が加わり、耕耘爪30を壁面24dに押し付けるように力が作用する。このとき、耕耘爪30は、凸部28によって正転回転方向ω1下流側への回動が規制され、確実に耕耘爪30の脱落を防止することができる。これにより、耕耘爪の取付け構造2は、上記第2乃至4の実施の形態で説明した耕耘爪の取付け構造2乃至2に比して、ストッパ部材50,150を用いることなく耕耘爪30の正転回転方向ω1下流側への回動を規制することができ、ロータリ耕耘装置1を安価にすることができてコストダウンを図ることができる。
【0050】
また、耕耘爪30を取外す際には、ナット42を緩め、耕耘爪30を壁面24c側に移動させることで、ナット42を取外すことなく耕耘爪30の取外しができる。
【0051】
なお、耕耘爪の取付け構造2において耕耘爪30を取付けた際、爪ホルダ20の内側の壁面24cと耕耘爪30との間に隙間ができるため、ボルト41の頭部41aは、非円形孔22に嵌合すると共に耕耘爪30を押し付けることができるように、軸方向長さの長いものを用いることが好ましい。
【0052】
なお、本第5の実施の形態においては、この他の構成、作用、及び効果は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るロータリ耕耘装置を示す部分断面図。
【図2】駆動軸に耕耘爪を取付ける際の従来例を示す斜視図。
【図3】第1の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造を示す図で、(a)は耕耘爪の取付け構造の側面図、(b)は(a)の上方側からの部分断面図、(c)は爪ホルダを示す側面図、(d)は耕耘爪を示す側面図、(e)は(a)の取付け動作を示す説明図。
【図4】第2の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造を示す図で、(a)は耕耘爪の取付け構造の側面図、(b)は(a)の上方側からの部分断面図、(c)はストッパ部材を示す側面図、(d)は(a)の取付け動作を示す説明図。
【図5】第3の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造を示す図で、(a)は耕耘爪の取付け構造の側面図、(b)は(a)の上方側からの部分断面図、(c)は爪ホルダを示す側面図、(d)はストッパ部材を示す側面図。
【図6】第4の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造を示す図で、(a)は耕耘爪の取付け構造の側面図、(b)は(a)の上方側からの部分断面図。
【図7】第5の実施の形態に係る耕耘爪の取付け構造を示す図で、(a)は耕耘爪の取付け構造の側面図、(b)は(a)の上方側からの部分断面図、(c)は(b)の爪ホルダのみを示す図。
【符号の説明】
【0054】
1 ロータリ耕耘装置
16 駆動軸(耕耘爪軸)
20,20,20,20 ホルダ(爪ホルダ)
21 空間(挿入空間)
24b 壁面
25 切り欠き部
30 耕耘爪
30a 基部
31 凹部
41 ボルト
50,150 ストッパ部材
ω1 正転回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸と、該駆動軸に着脱自在に固定される耕耘爪と、を備えたロータリ耕耘装置において、
前記駆動軸に固着され、前記耕耘爪の基部が挿入される挿入空間を有し、前記空間を構成する前記駆動軸の正転回転方向の下流側の壁面の先端側を切欠いた切り欠き部が設けられたホルダと、
前記耕耘爪の基部における前記駆動軸の正転回転方向の下流側に形成された凹部と、
前記ホルダの前記挿入空間に前記駆動軸の回転方向と直交する方向に挿通され、前記ホルダに前記耕耘爪を取付けるボルトと、を備え、
前記ホルダの前記切り欠き部を介して前記凹部を前記ボルトに係合させ、前記耕耘爪を前記凹部を中心に前記正転回転方向上流側に向けて回動させることで前記耕耘爪を前記駆動軸に装着してなる、
ことを特徴とするロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記耕耘爪の前記凹部を中心とした前記正転回転方向下流側への回動を規制するストッパ部材を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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