ロータ及びモータ
【課題】安定して更に漏れ磁束を低減することができるロータを提供すること。
【解決手段】ロータ11は、それぞれ第1及び第2コアベース21aの外周部に複数の第1及び第2爪状磁極21b,22bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成された第1及び第2ロータコア21,22と、第1及び第2コアベース21aの軸方向の間に配置され第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bを異なる磁極として機能させる環状磁石と、第1及び第2爪状磁極21b,22bの径方向内側に設けられ径方向に磁化された第1及び第2背面補助磁石24,25と、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向の間に設けられ周方向に磁化された第1及び第2極間磁石26,27を備える。第1及び第2爪状磁極21b,22bには、第1及び第2極間磁石26,27と径方向に係合する係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)が形成される。
【解決手段】ロータ11は、それぞれ第1及び第2コアベース21aの外周部に複数の第1及び第2爪状磁極21b,22bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成された第1及び第2ロータコア21,22と、第1及び第2コアベース21aの軸方向の間に配置され第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bを異なる磁極として機能させる環状磁石と、第1及び第2爪状磁極21b,22bの径方向内側に設けられ径方向に磁化された第1及び第2背面補助磁石24,25と、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向の間に設けられ周方向に磁化された第1及び第2極間磁石26,27を備える。第1及び第2爪状磁極21b,22bには、第1及び第2極間磁石26,27と径方向に係合する係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ及びモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータに使用されるロータとしては、周方向に複数の爪状磁極をそれぞれ有して組み合わされる2つのロータコアと、それらの間に配置された界磁磁石とを備え、各爪状磁極を交互に異なる磁極に機能させるいわゆる永久磁石界磁のランデル型構造のロータがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、特許文献1のロータでは、爪状磁極の径方向内側の面に背面補助磁石が固着されることで、ロータでの漏れ磁束が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−43749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなロータでは、背面補助磁石により漏れ磁束が低減されるものの製品化するにあたり、更なる高効率化及び高出力化を図るべく更なる漏れ磁束の低減が求められている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、安定して更に漏れ磁束を低減することができるロータ及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、前記コアベース同士の軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、前記爪状磁極の径方向内側に設けられ径方向に磁化された背面補助磁石とを備えたロータであって、前記爪状磁極同士の周方向の各間に設けられ周方向に磁化された極間磁石を備え、前記爪状磁極と前記背面補助磁石の少なくとも一方には、前記極間磁石の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部が形成されたことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、爪状磁極同士の周方向の各間には周方向に磁化された極間磁石が設けられるため、第1爪状磁極と第2爪状磁極間の漏れ磁束を低減することができる。又、爪状磁極と背面補助磁石の少なくとも一方には、極間磁石の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部が形成されるため、例えば、特に別部材を設けることなく、極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。よって、安定して更に漏れ磁束を低減することができ、安定して高効率化及び高出力化を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のロータにおいて、前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端部に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、前記爪部には、前記突出部の先端よりも周方向に延びる周方向延出部が形成され、前記係合部は、前記周方向延出部における径方向内側面を含むことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、爪状磁極は、コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有する。そして、爪部には、突出部の先端よりも周方向に延びる周方向延出部が形成され、係合部は、周方向延出部における径方向内側面を含むため、該径方向内側面にて極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のロータにおいて、前記背面補助磁石の周方向端面は、前記突出部の周方向端面と面一とされ、前記極間磁石は、その周方向端面が前記突出部及び前記背面補助磁石の周方向端面と当接するように設けられたことを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、背面補助磁石の周方向端面は、突出部の周方向端面と面一とされ、極間磁石は、その周方向端面が突出部及び背面補助磁石の周方向端面と当接するように設けられるため、極間磁石の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載のロータにおいて、前記極間磁石は、前記突出部同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部と、前記爪部同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部とを有することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、極間磁石は、突出部同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部と、爪部同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部とを有するため、例えば、外側極間磁石部を有さないものに比べて、多くの極間磁石を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のロータにおいて、前記周方向延出部における径方向内側面は、該周方向延出部の周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面とされたことを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、周方向延出部における径方向内側面(係合部)は、該周方向延出部の周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面とされるため、極間磁石を破損し難い形状(例えば軸方向から見て爪部傾斜面周辺の極間磁石の内角を鈍角)としながら、爪部(爪部傾斜面)同士の周方向の間に前記外側極間磁石部を設けることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載のロータにおいて、前記外側極間磁石は、前記爪部傾斜面よりも径方向外側に膨出するとともにその膨出量が前記爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定された膨出部を有することを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、外側極間磁石は、前記爪部傾斜面よりも径方向外側に膨出するとともにその膨出量が前記爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定された膨出部を有するため、例えば膨出部を有さないものに比べて、多くの極間磁石を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。尚、膨出部の膨出量は、爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定されるため、膨出部が爪状磁極よりも径方向外側に突出することがなく、例えば、膨出部がロータの径方向外側に設けられるステータとのエアギャップを広げてしまうことはない。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載のロータにおいて、前記係合部は、径方向外側ほど径方向に沿った直線よりも周方向に突出するように該直線に対して傾斜した前記背面補助磁石の周方向端面である背面傾斜面を含むことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、係合部は、径方向外側ほど径方向に沿った直線よりも周方向に突出するように該直線に対して傾斜した背面補助磁石の周方向端面である背面傾斜面を含むため、該背面傾斜面にて極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載のロータにおいて、前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、前記突出部及び前記爪部の少なくとも一方の周方向端面は、前記背面傾斜面と面一とされて前記係合部の一部を構成することを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、爪状磁極は、コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有する。そして、突出部及び爪部の少なくとも一方の周方向端面は、前記背面傾斜面と面一とされて係合部の一部を構成するため、突出部及び爪部の少なくとも一方の周方向端面によっても極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明では、請求項7に記載のロータにおいて、前記爪状磁極の周方向端面は、前記背面傾斜面よりも周方向内側に配置されるように形成されたことを要旨とする。
【0024】
同構成によれば、爪状磁極の周方向端面は、前記背面傾斜面よりも周方向内側に配置されるように形成されるため、極間磁石の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、極間磁石と爪状磁極とを離間させることができる。これにより、爪状磁極から極間磁石への局部的な逆磁界の影響を避けることができ、極間磁石の減磁を抑えることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明では、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロータを備えたモータを要旨とする。
同構成によれば、モータにおいて、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、安定して更に漏れ磁束を低減することができるロータ及びモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施形態におけるモータの断面図。
【図2】(a)(b)一実施形態におけるロータの斜視図。
【図3】一実施形態におけるロータの一部平面図。
【図4】一実施形態におけるロータの断面図。
【図5】別例におけるロータの一部平面図。
【図6】別例におけるロータの一部平面図。
【図7】別例におけるロータの一部平面図。
【図8】別例におけるロータの一部平面図。
【図9】別例におけるロータの一部平面図。
【図10】別例におけるロータの一部平面図。
【図11】別例におけるロータの一部平面図。
【図12】別例におけるロータの一部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、モータ1のモータケース2は、有底筒状に形成された筒状ハウジング3と、該筒状ハウジング3のフロント側(図1中、左側)の開口部を閉塞するフロントエンドプレート4とを有している。また、筒状ハウジング3のリア側(図1中、右側)の端部には、回路基板等の電源回路を収容した回路収容ボックス5が取着されている。
【0029】
筒状ハウジング3の内周面にはステータ6が固定されている。ステータ6は、径方向内側に延びる複数のティースを有する電機子コア7と、電機子コア7のティースに巻装されたセグメントコンダクタ(SC)巻線8とを有する。
【0030】
モータ1のロータ11は回転軸12を有し、ステータ6の内側に配置されている。回転軸12は非磁性体の金属シャフトであって、筒状ハウジング3の底部3a及びフロントエンドプレート4に支持された軸受13,14により回転可能に支持されている。
【0031】
ロータ11は、図2〜図4に示すように、第1及び第2ロータコア21,22と、界磁磁石としての環状磁石23(図4参照)と、背面補助磁石としての第1及び第2背面補助磁石24,25(図2及び図4参照)と、極間磁石としての第1及び第2極間磁石26,27(図2参照)とを備える。
【0032】
第1ロータコア21は、略円板状のコアベースとしての第1コアベース21aの外周部に、等間隔に複数(本実施形態では5つ)の爪状磁極としての第1爪状磁極21bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。詳しくは、第1爪状磁極21bは、第1コアベース21aの外周部から径方向外側に突出した突出部21cと、該突出部21cの先端に設けられ軸方向に延びる爪部21dとを有する。突出部21cは、図3に示すように、軸方向から見て扇形状に形成されている。又、爪部21dには、前記突出部21cの先端よりも周方向に延びる周方向延出部21eが形成されている。言い換えると、爪部21dの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L1は、突出部21cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2よりも大きく設定されている。そして、本実施形態では、爪部21dの周方向延出部21eにおける径方向内側面21fが係合部を構成している。又、爪部21dは、軸直交方向断面が扇形状とされ、径方向外側から見て長方形形状に形成されている。又、本実施形態の爪部21dの径方向の長さは、前記突出部21cの径方向の長さの約半分に設定されている。
【0033】
又、第2ロータコア22は、第1ロータコア21と同形状であって、略円板状のコアベースとしての第2コアベース22a(図2(b)参照)の外周部に、等間隔に複数(本実施形態では5つ)の爪状磁極としての第2爪状磁極22bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。詳しくは、第2爪状磁極22bは、第2コアベース22aの外周部から径方向外側に突出した突出部22cと、該突出部22cの先端に設けられ軸方向に延びる爪部22dとを有する。突出部22cは、第1ロータコア21の突出部21cと同様に、軸方向から見て扇形状に形成されている。又、爪部22dには、第1ロータコア21の爪部21dと同様に、前記突出部22cの先端よりも周方向に延びる周方向延出部22eが形成されている。言い換えると、爪部22dの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L1は、突出部22cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2よりも大きく設定されている。そして、本実施形態では、爪部22dの周方向延出部22eにおける径方向内側面22fが係合部を構成している。又、爪部22dは、軸直交方向断面が扇形状とされ、径方向外側から見て長方形形状に形成されている。又、本実施形態の爪部22dの径方向の長さは、前記突出部22cの径方向の長さの約半分に設定されている。そして、第2ロータコア22は、各第2爪状磁極22bがそれぞれ対応する各第1爪状磁極21b間に(即ち、第1爪状磁極21bと周方向に交互に)配置され、又、図4に示すように、対向する第1コアベース21aと第2コアベース22aとの軸方向の間に環状磁石23が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア21に対して組み付けられる。尚、この際、第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの周方向の間には、径方向外側から見て長方形の溝が形成されることになる。
【0034】
環状磁石23は、その外径が第1及び第2コアベース21a,22aの外径と同じに設定され、第1爪状磁極21bを第1の磁極(本実施形態ではN極)として機能させ、第2爪状磁極22bを第2の磁極(本実施形態ではS極)として機能させるように、軸方向に磁化されている。
【0035】
又、図2(b)及び図4に示すように、各第1爪状磁極21b(爪部21d)の背面(径方向内側の面)と第2コアベース22aの外周面との間には、第1背面補助磁石24が配置されている。第1背面補助磁石24は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第1爪状磁極21b(爪部21d)の背面に当接する側が第1爪状磁極21bと同極のN極に、第2コアベース22aに当接する側が同第2コアベース22aと同極のS極となるように径方向に磁化されている。又、第1背面補助磁石24の周方向端面は、前記突出部21cの周方向端面と面一とされている。即ち、第1背面補助磁石24の周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L3は、突出部21cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2と同じに設定されている(図3参照)。
【0036】
又、図2(a)及び図4に示すように、各第2爪状磁極22b(爪部22d)の背面(径方向内側の面)と第1コアベース21aの外周面との間には、第2背面補助磁石25が配置されている。第2背面補助磁石25は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第2爪状磁極22b(爪部22d)の背面に当接する側が第2爪状磁極22bと同極のS極に、第1コアベース21aに当接する側が同第1コアベース21aと同極のN極となるように径方向に磁化されている。又、第2背面補助磁石25の周方向端面は、前記突出部22cの周方向端面と面一とされている。即ち、第2背面補助磁石25の周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L3は、突出部22cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2と同じに設定されている(図3参照)。
【0037】
又、第1背面補助磁石24と第2背面補助磁石25とは、図4に示すように、環状磁石23が配置される軸方向位置で互いに軸方向に重なるように、言い換えると環状磁石23が配置される軸方向位置にも配置されるように設定されている。
【0038】
そして、第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの周方向の間には、第1及び第2極間磁石26,27が配置されている。詳しくは、本実施形態の第1及び第2極間磁石26,27の軸方向長さは、第1及び第2爪状磁極21b,22bの軸方向長さと同じに設定されている。又、第1及び第2極間磁石26,27は、前記突出部21c,22c(第1及び第2背面補助磁石24,25)同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部26a,27aと、前記爪部21d,22d同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部26b,27bとを有する。そして、内側極間磁石部26a,27aは、軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その周方向端面が突出部21c,22c及び第1及び第2背面補助磁石24,25の周方向端面と当接(面接触)するように設定されている。又、外側極間磁石部26b,27bは、内側極間磁石部26a,27aの径方向外側面の中央に設けられ、軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その周方向端面が爪部21d,22dの周方向端面と当接(面接触)するように設定されている。又、内側極間磁石部26a,27aにおける径方向外側面の両端は、爪部21d,22dの周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f(係合部)と径方向に係合(当接)するように設定されている。
【0039】
そして、第1及び第2極間磁石26,27は、第1及び第2爪状磁極21b,22bとそれぞれ同じ磁極となるように(第1爪状磁極21b側がN極で、第2爪状磁極22b側がS極となるように)周方向に磁化されている。
【0040】
次に、上記のように構成されたモータ1の作用について説明する。
ロータ11では、第1及び第2背面補助磁石24,25と、第1及び第2極間磁石26,27とが設けられることで、それぞれの配置箇所で漏れ磁束が低減され、ひいては環状磁石23の磁束をモータ1の出力に有効利用することができる。又、第1及び第2極間磁石26,27にはロータ11の回転時に大きな遠心力が掛かるが、係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)が径方向に係合することで第1及び第2極間磁石26,27の径方向外側への飛び出しが防止される。
【0041】
次に、上記実施形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)第1及び第2爪状磁極21b,22b(爪部21d,22d)の径方向内側には、径方向に磁化された第1及び第2背面補助磁石24,25が設けられるため、その部分での(径方向の)漏れ磁束を低減することができる。又、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向の各間には周方向に磁化された第1及び第2極間磁石26,27が設けられるため、その部分での(周方向の)漏れ磁束を低減することができる。又、第1及び第2爪状磁極21b,22bには、第1及び第2極間磁石26,27の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)が形成される。これにより、例えば、特に別部材を設けることなく、係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)にて第1及び第2極間磁石26,27の径方向外側への飛び出しを防止することができる。よって、安定して更に漏れ磁束を低減することができ、安定して高効率化及び高出力化を図ることができる。
【0042】
(2)第1及び第2背面補助磁石24,25の周方向端面は、突出部21c,22cの周方向端面と面一とされ、第1及び第2極間磁石26,27(内側極間磁石部26a,27a)は、その周方向端面が突出部21c,22c及び第1及び第2背面補助磁石24,25の周方向端面と当接(面接触)するように設けられる。よって、第1及び第2極間磁石26,27の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0043】
(3)第1及び第2極間磁石26,27は、突出部21c,22c同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部26a,27aと、爪部21d,22d同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部26b,27bとを有する。よって、例えば、外側極間磁石部26b,27bを有さないものに比べて、多くの極間磁石(第1及び第2極間磁石26,27)を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0044】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける突出部21c,22c及び爪部21d,22dが軸方向から見てそれぞれ扇形状に形成され、それらの各周方向端面がロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)と一致する形状であるとしたが、これに限定されず、例えば、図5や図6に示すように、変更してもよい。
【0045】
即ち、図5及び図6に示す別例では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける爪部21d,22dの周方向両端面が、ロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)に対して対称であって、該直線に対して平行に形成されている。言い換えると、爪部21d,22dは、その周方向の幅が径方向に一定に形成されている。
【0046】
又、図5に示す別例では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける突出部21c,22c(図5中、突出部21cのみ図示)の周方向両端面が、ロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)に対して対称であって、該直線に対して平行に形成されている。言い換えると、突出部21c,22c(図5中、突出部21cのみ図示)は、その周方向の幅が径方向に一定に形成されている。この例(図5参照)では、各部において径方向と直交する断面の断面積が一定、即ち磁気抵抗が一定となる。
【0047】
又、図6に示す別例では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける突出部21c,22c(図6中、突出部21cのみ図示)の周方向両端面が、ロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)に対して対称であって、突出部21c,22cの周方向の幅が径方向内側に向かうほど広く形成されている。この例(図6参照)では、第1及び第2爪状磁極21b,22bの根元側(径方向内側)の強度が向上し、回転に対して爪部21d,22dが安定することになる。
【0048】
尚、これらの例(図5及び図6参照)では、第1及び第2背面補助磁石24,25(図5及び図6中、第2背面補助磁石25のみ図示)と第1及び第2極間磁石26,27の形状が、第1及び第2爪状磁極21b,22b(突出部21c,22c及び爪部21d,22d)と対応した形状に変更されている。
【0049】
・上記実施形態では、爪部21d,22dの径方向の長さは、突出部21c,22cの径方向の長さの約半分に設定されているとしたが、これに限定されず、例えば、図7に示すように、突出部21c,22cの径方向の長さの半分未満であって、半分よりも大幅に短い長さ(例えば、約1/6程度)に変更してもよい。この例では、例えば、第1及び第2爪状磁極21b,22bを板材の折り曲げ加工で容易に成形することができる。
【0050】
・上記実施形態では、爪部21d,22dは軸直交方向断面が扇形状とされ、周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f(係合部)は軸中心Zを中心とした円弧形状であるとしたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように変更してもよい。即ち、この例(図8参照)では、爪部21d,22dの周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面(係合部)は、該周方向延出部21e,22eの周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面21g,22gとされている。そして、この例では、第1及び第2極間磁石26,27の外側極間磁石部26b,27bが前記爪部傾斜面21g,22gと当接(面接触)するように、軸直交方向断面が略台形形状とされている。このようにすると、第1及び第2極間磁石26,27を破損し難い形状(例えば軸方向から見て爪部傾斜面21g,22g周辺の内角を鈍角)としながら、爪部21d,22d(爪部傾斜面21g,22g)同士の周方向の間に前記外側極間磁石部26b,27bを設けることができる。
【0051】
又、この例(図8参照)では、外側極間磁石部26b,27bが爪部傾斜面21g,22gの径方向外側端部と同じ径方向位置までの形状としたが、図9に示すように、外側極間磁石部26b,27bは、爪部傾斜面21g,22gよりも径方向外側に膨出する膨出部26c,27cを有するようにしてもよい。この膨出部26c,27cの膨出量は第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける径方向外側端部の軸中心Zからの距離以下に設定されている。このようにすると、膨出部26c,27cを有さない上記別例(図8参照)に比べて、多くの極間磁石(第1及び第2極間磁石26,27)を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。尚、膨出部26c,27cの膨出量は、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける径方向外側端部の軸中心Zからの距離以下に設定されるため、膨出部26c,27cが第1及び第2爪状磁極21b,22bよりも径方向外側に突出することがない。よって、例えば、膨出部26c,27cがロータ11の径方向外側に設けられるステータ6とのエアギャップを広げてしまうことはない。又、この例(図8参照)では、膨出部26c,27cと第1及び第2爪状磁極21b,22b(爪部21d,22d)とを離間させることができるので、膨出部26c,27cへの局部的な逆磁界の影響を避けることができ、膨出部26c,27c(第1及び第2極間磁石26,27)の減磁を抑えることができる。
【0052】
・上記実施形態では、第1及び第2極間磁石26,27と径方向に係合する係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)を第1及び第2爪状磁極21b,22bに形成したが、第1及び第2爪状磁極21b,22bと第1及び第2背面補助磁石24,25の少なくとも一方に形成すれば、他の構成に変更してもよい。
【0053】
例えば、図10に示すように、変更してもよい。この例(図10参照)では、第1及び第2背面補助磁石24,25(図10中、第2背面補助磁石25のみ図示)の周方向端面が径方向外側ほど径方向に沿った直線X(ロータ11の軸中心Zを通る直線)よりも周方向に突出するように該直線Xに対して傾斜した背面傾斜面25aとされ、その背面傾斜面25aが係合部とされている。言い換えると、この例(図10参照)では、第1及び第2背面補助磁石24,25(図10中、第2背面補助磁石25のみ図示)の周方向端面が、ロータ11の軸中心Zよりも径方向外側を軸中心Zaとした扇形状の周方向端面と一致するように形成されて背面傾斜面25a(係合部)とされている。又、この例(図10参照)では、爪部21d,22dに前記周方向延出部21e,22eが形成されていない。そして、この例(図10参照)の突出部21c,22c(図10中、一方の突出部21cのみ図示)及び爪部21d,22dの周方向端面は、前記背面傾斜面25aと面一とされて(背面傾斜面25aと共に)係合部の一部を構成している。又、この例(図10参照)の第1及び第2極間磁石31,32は、前記背面傾斜面25a等に応じて(面接触するように)径方向外側ほど周方向の幅が狭くなる形状に形成されている。
【0054】
このようにすると、背面傾斜面25aにて第1及び第2極間磁石31,32の径方向外側への飛び出しを防止することができる。又、第1及び第2爪状磁極21b,22b(突出部21c,22c及び爪部21d,22d)の周方向端面によっても第1及び第2極間磁石31,32の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0055】
又、この別例(図10参照)では、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向端面も係合部を構成するとしたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向端面を、前記背面傾斜面25aよりも周方向内側に配置されるように形成してもよい。詳しくは、この例(図11参照)では、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向端面が、前記背面傾斜面25aの軸中心Zaよりも径方向外側を軸中心Zbとした扇形状の周方向端面と一致するように形成されて、背面傾斜面25aよりも周方向内側に配置されるように形成されている。
【0056】
このようにすると、第1及び第2極間磁石31,32の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、第1及び第2極間磁石31,32と第1及び第2爪状磁極21b,22bとを離間させることができる。これにより、第1及び第2爪状磁極21b,22bから第1及び第2極間磁石31,32への局部的な逆磁界の影響を避けることができ、第1及び第2極間磁石31,32の減磁を抑えることができる。
【0057】
又、このような別例(図11参照)においても、例えば、図12に示すように、爪部21d,22dの径方向の長さを、突出部21c,22c(図12中、一方の突出部21cのみ図示)の径方向の長さの半分未満であって、半分よりも大幅に短い長さ(例えば、約1/6程度)に変更してもよい。この例では、例えば、第1及び第2爪状磁極21b,22bを板材の折り曲げ加工で容易に成形することができる。
【0058】
・上記実施形態では、第1及び第2極間磁石26,27が内側極間磁石部26a,27aと外側極間磁石部26b,27bとを有するとしたが、これに限定されず、爪部21d,22d同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部26b,27bがない(内側極間磁石部26a,27aのみの)極間磁石に変更してもよい。
【0059】
上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項2乃至6のいずれか1項に記載のロータにおいて、前記突出部は、その周方向の幅が径方向に一定に形成されたことを特徴とするロータ。
【0060】
このようにすると、突出部において径方向と直交する断面の断面積が一定、即ち磁気抵抗が一定となる。
(ロ)請求項2乃至6のいずれか1項に記載のロータにおいて、前記突出部は、その周方向の幅が径方向内側に向かうほど広く形成されたことを特徴とするロータ。
【0061】
このようにすると、爪状磁極の根元側(径方向内側)の強度が向上し、回転に対して爪部が安定することになる。
【符号の説明】
【0062】
11…ロータ、21…第1ロータコア、21a…第1コアベース(コアベース)、21b…第1爪状磁極(爪状磁極)、21c,22c…突出部、21d,22d…爪部、21e,22e…周方向延出部、21f,22f…径方向内側面(係合部)、21g,22g…爪部傾斜面(係合部)、22…第2ロータコア、22a…第2コアベース(コアベース)、22b…第2爪状磁極(爪状磁極)、23…環状磁石(界磁磁石)、24…第1背面補助磁石(背面補助磁石)、25…第2背面補助磁石(背面補助磁石)、25a…背面傾斜面、26,31…第1極間磁石(極間磁石)、26a,27a…内側極間磁石部、26b,27b…外側極間磁石部、26c,27c…膨出部、27,32…第2極間磁石(極間磁石)、X…直線、Z…ロータの軸中心。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ及びモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータに使用されるロータとしては、周方向に複数の爪状磁極をそれぞれ有して組み合わされる2つのロータコアと、それらの間に配置された界磁磁石とを備え、各爪状磁極を交互に異なる磁極に機能させるいわゆる永久磁石界磁のランデル型構造のロータがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、特許文献1のロータでは、爪状磁極の径方向内側の面に背面補助磁石が固着されることで、ロータでの漏れ磁束が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−43749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなロータでは、背面補助磁石により漏れ磁束が低減されるものの製品化するにあたり、更なる高効率化及び高出力化を図るべく更なる漏れ磁束の低減が求められている。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、安定して更に漏れ磁束を低減することができるロータ及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、前記コアベース同士の軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、前記爪状磁極の径方向内側に設けられ径方向に磁化された背面補助磁石とを備えたロータであって、前記爪状磁極同士の周方向の各間に設けられ周方向に磁化された極間磁石を備え、前記爪状磁極と前記背面補助磁石の少なくとも一方には、前記極間磁石の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部が形成されたことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、爪状磁極同士の周方向の各間には周方向に磁化された極間磁石が設けられるため、第1爪状磁極と第2爪状磁極間の漏れ磁束を低減することができる。又、爪状磁極と背面補助磁石の少なくとも一方には、極間磁石の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部が形成されるため、例えば、特に別部材を設けることなく、極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。よって、安定して更に漏れ磁束を低減することができ、安定して高効率化及び高出力化を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のロータにおいて、前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端部に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、前記爪部には、前記突出部の先端よりも周方向に延びる周方向延出部が形成され、前記係合部は、前記周方向延出部における径方向内側面を含むことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、爪状磁極は、コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有する。そして、爪部には、突出部の先端よりも周方向に延びる周方向延出部が形成され、係合部は、周方向延出部における径方向内側面を含むため、該径方向内側面にて極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のロータにおいて、前記背面補助磁石の周方向端面は、前記突出部の周方向端面と面一とされ、前記極間磁石は、その周方向端面が前記突出部及び前記背面補助磁石の周方向端面と当接するように設けられたことを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、背面補助磁石の周方向端面は、突出部の周方向端面と面一とされ、極間磁石は、その周方向端面が突出部及び背面補助磁石の周方向端面と当接するように設けられるため、極間磁石の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載のロータにおいて、前記極間磁石は、前記突出部同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部と、前記爪部同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部とを有することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、極間磁石は、突出部同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部と、爪部同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部とを有するため、例えば、外側極間磁石部を有さないものに比べて、多くの極間磁石を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のロータにおいて、前記周方向延出部における径方向内側面は、該周方向延出部の周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面とされたことを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、周方向延出部における径方向内側面(係合部)は、該周方向延出部の周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面とされるため、極間磁石を破損し難い形状(例えば軸方向から見て爪部傾斜面周辺の極間磁石の内角を鈍角)としながら、爪部(爪部傾斜面)同士の周方向の間に前記外側極間磁石部を設けることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載のロータにおいて、前記外側極間磁石は、前記爪部傾斜面よりも径方向外側に膨出するとともにその膨出量が前記爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定された膨出部を有することを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、外側極間磁石は、前記爪部傾斜面よりも径方向外側に膨出するとともにその膨出量が前記爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定された膨出部を有するため、例えば膨出部を有さないものに比べて、多くの極間磁石を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。尚、膨出部の膨出量は、爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定されるため、膨出部が爪状磁極よりも径方向外側に突出することがなく、例えば、膨出部がロータの径方向外側に設けられるステータとのエアギャップを広げてしまうことはない。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載のロータにおいて、前記係合部は、径方向外側ほど径方向に沿った直線よりも周方向に突出するように該直線に対して傾斜した前記背面補助磁石の周方向端面である背面傾斜面を含むことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、係合部は、径方向外側ほど径方向に沿った直線よりも周方向に突出するように該直線に対して傾斜した背面補助磁石の周方向端面である背面傾斜面を含むため、該背面傾斜面にて極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載のロータにおいて、前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、前記突出部及び前記爪部の少なくとも一方の周方向端面は、前記背面傾斜面と面一とされて前記係合部の一部を構成することを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、爪状磁極は、コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有する。そして、突出部及び爪部の少なくとも一方の周方向端面は、前記背面傾斜面と面一とされて係合部の一部を構成するため、突出部及び爪部の少なくとも一方の周方向端面によっても極間磁石の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明では、請求項7に記載のロータにおいて、前記爪状磁極の周方向端面は、前記背面傾斜面よりも周方向内側に配置されるように形成されたことを要旨とする。
【0024】
同構成によれば、爪状磁極の周方向端面は、前記背面傾斜面よりも周方向内側に配置されるように形成されるため、極間磁石の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、極間磁石と爪状磁極とを離間させることができる。これにより、爪状磁極から極間磁石への局部的な逆磁界の影響を避けることができ、極間磁石の減磁を抑えることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明では、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロータを備えたモータを要旨とする。
同構成によれば、モータにおいて、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、安定して更に漏れ磁束を低減することができるロータ及びモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】一実施形態におけるモータの断面図。
【図2】(a)(b)一実施形態におけるロータの斜視図。
【図3】一実施形態におけるロータの一部平面図。
【図4】一実施形態におけるロータの断面図。
【図5】別例におけるロータの一部平面図。
【図6】別例におけるロータの一部平面図。
【図7】別例におけるロータの一部平面図。
【図8】別例におけるロータの一部平面図。
【図9】別例におけるロータの一部平面図。
【図10】別例におけるロータの一部平面図。
【図11】別例におけるロータの一部平面図。
【図12】別例におけるロータの一部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1に示すように、モータ1のモータケース2は、有底筒状に形成された筒状ハウジング3と、該筒状ハウジング3のフロント側(図1中、左側)の開口部を閉塞するフロントエンドプレート4とを有している。また、筒状ハウジング3のリア側(図1中、右側)の端部には、回路基板等の電源回路を収容した回路収容ボックス5が取着されている。
【0029】
筒状ハウジング3の内周面にはステータ6が固定されている。ステータ6は、径方向内側に延びる複数のティースを有する電機子コア7と、電機子コア7のティースに巻装されたセグメントコンダクタ(SC)巻線8とを有する。
【0030】
モータ1のロータ11は回転軸12を有し、ステータ6の内側に配置されている。回転軸12は非磁性体の金属シャフトであって、筒状ハウジング3の底部3a及びフロントエンドプレート4に支持された軸受13,14により回転可能に支持されている。
【0031】
ロータ11は、図2〜図4に示すように、第1及び第2ロータコア21,22と、界磁磁石としての環状磁石23(図4参照)と、背面補助磁石としての第1及び第2背面補助磁石24,25(図2及び図4参照)と、極間磁石としての第1及び第2極間磁石26,27(図2参照)とを備える。
【0032】
第1ロータコア21は、略円板状のコアベースとしての第1コアベース21aの外周部に、等間隔に複数(本実施形態では5つ)の爪状磁極としての第1爪状磁極21bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。詳しくは、第1爪状磁極21bは、第1コアベース21aの外周部から径方向外側に突出した突出部21cと、該突出部21cの先端に設けられ軸方向に延びる爪部21dとを有する。突出部21cは、図3に示すように、軸方向から見て扇形状に形成されている。又、爪部21dには、前記突出部21cの先端よりも周方向に延びる周方向延出部21eが形成されている。言い換えると、爪部21dの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L1は、突出部21cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2よりも大きく設定されている。そして、本実施形態では、爪部21dの周方向延出部21eにおける径方向内側面21fが係合部を構成している。又、爪部21dは、軸直交方向断面が扇形状とされ、径方向外側から見て長方形形状に形成されている。又、本実施形態の爪部21dの径方向の長さは、前記突出部21cの径方向の長さの約半分に設定されている。
【0033】
又、第2ロータコア22は、第1ロータコア21と同形状であって、略円板状のコアベースとしての第2コアベース22a(図2(b)参照)の外周部に、等間隔に複数(本実施形態では5つ)の爪状磁極としての第2爪状磁極22bが径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。詳しくは、第2爪状磁極22bは、第2コアベース22aの外周部から径方向外側に突出した突出部22cと、該突出部22cの先端に設けられ軸方向に延びる爪部22dとを有する。突出部22cは、第1ロータコア21の突出部21cと同様に、軸方向から見て扇形状に形成されている。又、爪部22dには、第1ロータコア21の爪部21dと同様に、前記突出部22cの先端よりも周方向に延びる周方向延出部22eが形成されている。言い換えると、爪部22dの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L1は、突出部22cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2よりも大きく設定されている。そして、本実施形態では、爪部22dの周方向延出部22eにおける径方向内側面22fが係合部を構成している。又、爪部22dは、軸直交方向断面が扇形状とされ、径方向外側から見て長方形形状に形成されている。又、本実施形態の爪部22dの径方向の長さは、前記突出部22cの径方向の長さの約半分に設定されている。そして、第2ロータコア22は、各第2爪状磁極22bがそれぞれ対応する各第1爪状磁極21b間に(即ち、第1爪状磁極21bと周方向に交互に)配置され、又、図4に示すように、対向する第1コアベース21aと第2コアベース22aとの軸方向の間に環状磁石23が配置(挟持)されるようにして第1ロータコア21に対して組み付けられる。尚、この際、第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの周方向の間には、径方向外側から見て長方形の溝が形成されることになる。
【0034】
環状磁石23は、その外径が第1及び第2コアベース21a,22aの外径と同じに設定され、第1爪状磁極21bを第1の磁極(本実施形態ではN極)として機能させ、第2爪状磁極22bを第2の磁極(本実施形態ではS極)として機能させるように、軸方向に磁化されている。
【0035】
又、図2(b)及び図4に示すように、各第1爪状磁極21b(爪部21d)の背面(径方向内側の面)と第2コアベース22aの外周面との間には、第1背面補助磁石24が配置されている。第1背面補助磁石24は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第1爪状磁極21b(爪部21d)の背面に当接する側が第1爪状磁極21bと同極のN極に、第2コアベース22aに当接する側が同第2コアベース22aと同極のS極となるように径方向に磁化されている。又、第1背面補助磁石24の周方向端面は、前記突出部21cの周方向端面と面一とされている。即ち、第1背面補助磁石24の周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L3は、突出部21cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2と同じに設定されている(図3参照)。
【0036】
又、図2(a)及び図4に示すように、各第2爪状磁極22b(爪部22d)の背面(径方向内側の面)と第1コアベース21aの外周面との間には、第2背面補助磁石25が配置されている。第2背面補助磁石25は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第2爪状磁極22b(爪部22d)の背面に当接する側が第2爪状磁極22bと同極のS極に、第1コアベース21aに当接する側が同第1コアベース21aと同極のN極となるように径方向に磁化されている。又、第2背面補助磁石25の周方向端面は、前記突出部22cの周方向端面と面一とされている。即ち、第2背面補助磁石25の周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L3は、突出部22cの周方向の幅と対応した(軸中心Zを中心とした)角度L2と同じに設定されている(図3参照)。
【0037】
又、第1背面補助磁石24と第2背面補助磁石25とは、図4に示すように、環状磁石23が配置される軸方向位置で互いに軸方向に重なるように、言い換えると環状磁石23が配置される軸方向位置にも配置されるように設定されている。
【0038】
そして、第1爪状磁極21bと第2爪状磁極22bとの周方向の間には、第1及び第2極間磁石26,27が配置されている。詳しくは、本実施形態の第1及び第2極間磁石26,27の軸方向長さは、第1及び第2爪状磁極21b,22bの軸方向長さと同じに設定されている。又、第1及び第2極間磁石26,27は、前記突出部21c,22c(第1及び第2背面補助磁石24,25)同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部26a,27aと、前記爪部21d,22d同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部26b,27bとを有する。そして、内側極間磁石部26a,27aは、軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その周方向端面が突出部21c,22c及び第1及び第2背面補助磁石24,25の周方向端面と当接(面接触)するように設定されている。又、外側極間磁石部26b,27bは、内側極間磁石部26a,27aの径方向外側面の中央に設けられ、軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状とされ、その周方向端面が爪部21d,22dの周方向端面と当接(面接触)するように設定されている。又、内側極間磁石部26a,27aにおける径方向外側面の両端は、爪部21d,22dの周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f(係合部)と径方向に係合(当接)するように設定されている。
【0039】
そして、第1及び第2極間磁石26,27は、第1及び第2爪状磁極21b,22bとそれぞれ同じ磁極となるように(第1爪状磁極21b側がN極で、第2爪状磁極22b側がS極となるように)周方向に磁化されている。
【0040】
次に、上記のように構成されたモータ1の作用について説明する。
ロータ11では、第1及び第2背面補助磁石24,25と、第1及び第2極間磁石26,27とが設けられることで、それぞれの配置箇所で漏れ磁束が低減され、ひいては環状磁石23の磁束をモータ1の出力に有効利用することができる。又、第1及び第2極間磁石26,27にはロータ11の回転時に大きな遠心力が掛かるが、係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)が径方向に係合することで第1及び第2極間磁石26,27の径方向外側への飛び出しが防止される。
【0041】
次に、上記実施形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)第1及び第2爪状磁極21b,22b(爪部21d,22d)の径方向内側には、径方向に磁化された第1及び第2背面補助磁石24,25が設けられるため、その部分での(径方向の)漏れ磁束を低減することができる。又、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向の各間には周方向に磁化された第1及び第2極間磁石26,27が設けられるため、その部分での(周方向の)漏れ磁束を低減することができる。又、第1及び第2爪状磁極21b,22bには、第1及び第2極間磁石26,27の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)が形成される。これにより、例えば、特に別部材を設けることなく、係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)にて第1及び第2極間磁石26,27の径方向外側への飛び出しを防止することができる。よって、安定して更に漏れ磁束を低減することができ、安定して高効率化及び高出力化を図ることができる。
【0042】
(2)第1及び第2背面補助磁石24,25の周方向端面は、突出部21c,22cの周方向端面と面一とされ、第1及び第2極間磁石26,27(内側極間磁石部26a,27a)は、その周方向端面が突出部21c,22c及び第1及び第2背面補助磁石24,25の周方向端面と当接(面接触)するように設けられる。よって、第1及び第2極間磁石26,27の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0043】
(3)第1及び第2極間磁石26,27は、突出部21c,22c同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部26a,27aと、爪部21d,22d同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部26b,27bとを有する。よって、例えば、外側極間磁石部26b,27bを有さないものに比べて、多くの極間磁石(第1及び第2極間磁石26,27)を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。
【0044】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける突出部21c,22c及び爪部21d,22dが軸方向から見てそれぞれ扇形状に形成され、それらの各周方向端面がロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)と一致する形状であるとしたが、これに限定されず、例えば、図5や図6に示すように、変更してもよい。
【0045】
即ち、図5及び図6に示す別例では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける爪部21d,22dの周方向両端面が、ロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)に対して対称であって、該直線に対して平行に形成されている。言い換えると、爪部21d,22dは、その周方向の幅が径方向に一定に形成されている。
【0046】
又、図5に示す別例では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける突出部21c,22c(図5中、突出部21cのみ図示)の周方向両端面が、ロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)に対して対称であって、該直線に対して平行に形成されている。言い換えると、突出部21c,22c(図5中、突出部21cのみ図示)は、その周方向の幅が径方向に一定に形成されている。この例(図5参照)では、各部において径方向と直交する断面の断面積が一定、即ち磁気抵抗が一定となる。
【0047】
又、図6に示す別例では、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける突出部21c,22c(図6中、突出部21cのみ図示)の周方向両端面が、ロータ11の軸中心Zを通る直線(径方向)に対して対称であって、突出部21c,22cの周方向の幅が径方向内側に向かうほど広く形成されている。この例(図6参照)では、第1及び第2爪状磁極21b,22bの根元側(径方向内側)の強度が向上し、回転に対して爪部21d,22dが安定することになる。
【0048】
尚、これらの例(図5及び図6参照)では、第1及び第2背面補助磁石24,25(図5及び図6中、第2背面補助磁石25のみ図示)と第1及び第2極間磁石26,27の形状が、第1及び第2爪状磁極21b,22b(突出部21c,22c及び爪部21d,22d)と対応した形状に変更されている。
【0049】
・上記実施形態では、爪部21d,22dの径方向の長さは、突出部21c,22cの径方向の長さの約半分に設定されているとしたが、これに限定されず、例えば、図7に示すように、突出部21c,22cの径方向の長さの半分未満であって、半分よりも大幅に短い長さ(例えば、約1/6程度)に変更してもよい。この例では、例えば、第1及び第2爪状磁極21b,22bを板材の折り曲げ加工で容易に成形することができる。
【0050】
・上記実施形態では、爪部21d,22dは軸直交方向断面が扇形状とされ、周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f(係合部)は軸中心Zを中心とした円弧形状であるとしたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように変更してもよい。即ち、この例(図8参照)では、爪部21d,22dの周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面(係合部)は、該周方向延出部21e,22eの周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面21g,22gとされている。そして、この例では、第1及び第2極間磁石26,27の外側極間磁石部26b,27bが前記爪部傾斜面21g,22gと当接(面接触)するように、軸直交方向断面が略台形形状とされている。このようにすると、第1及び第2極間磁石26,27を破損し難い形状(例えば軸方向から見て爪部傾斜面21g,22g周辺の内角を鈍角)としながら、爪部21d,22d(爪部傾斜面21g,22g)同士の周方向の間に前記外側極間磁石部26b,27bを設けることができる。
【0051】
又、この例(図8参照)では、外側極間磁石部26b,27bが爪部傾斜面21g,22gの径方向外側端部と同じ径方向位置までの形状としたが、図9に示すように、外側極間磁石部26b,27bは、爪部傾斜面21g,22gよりも径方向外側に膨出する膨出部26c,27cを有するようにしてもよい。この膨出部26c,27cの膨出量は第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける径方向外側端部の軸中心Zからの距離以下に設定されている。このようにすると、膨出部26c,27cを有さない上記別例(図8参照)に比べて、多くの極間磁石(第1及び第2極間磁石26,27)を設けて良好に漏れ磁束を低減することができる。尚、膨出部26c,27cの膨出量は、第1及び第2爪状磁極21b,22bにおける径方向外側端部の軸中心Zからの距離以下に設定されるため、膨出部26c,27cが第1及び第2爪状磁極21b,22bよりも径方向外側に突出することがない。よって、例えば、膨出部26c,27cがロータ11の径方向外側に設けられるステータ6とのエアギャップを広げてしまうことはない。又、この例(図8参照)では、膨出部26c,27cと第1及び第2爪状磁極21b,22b(爪部21d,22d)とを離間させることができるので、膨出部26c,27cへの局部的な逆磁界の影響を避けることができ、膨出部26c,27c(第1及び第2極間磁石26,27)の減磁を抑えることができる。
【0052】
・上記実施形態では、第1及び第2極間磁石26,27と径方向に係合する係合部(周方向延出部21e,22eにおける径方向内側面21f,22f)を第1及び第2爪状磁極21b,22bに形成したが、第1及び第2爪状磁極21b,22bと第1及び第2背面補助磁石24,25の少なくとも一方に形成すれば、他の構成に変更してもよい。
【0053】
例えば、図10に示すように、変更してもよい。この例(図10参照)では、第1及び第2背面補助磁石24,25(図10中、第2背面補助磁石25のみ図示)の周方向端面が径方向外側ほど径方向に沿った直線X(ロータ11の軸中心Zを通る直線)よりも周方向に突出するように該直線Xに対して傾斜した背面傾斜面25aとされ、その背面傾斜面25aが係合部とされている。言い換えると、この例(図10参照)では、第1及び第2背面補助磁石24,25(図10中、第2背面補助磁石25のみ図示)の周方向端面が、ロータ11の軸中心Zよりも径方向外側を軸中心Zaとした扇形状の周方向端面と一致するように形成されて背面傾斜面25a(係合部)とされている。又、この例(図10参照)では、爪部21d,22dに前記周方向延出部21e,22eが形成されていない。そして、この例(図10参照)の突出部21c,22c(図10中、一方の突出部21cのみ図示)及び爪部21d,22dの周方向端面は、前記背面傾斜面25aと面一とされて(背面傾斜面25aと共に)係合部の一部を構成している。又、この例(図10参照)の第1及び第2極間磁石31,32は、前記背面傾斜面25a等に応じて(面接触するように)径方向外側ほど周方向の幅が狭くなる形状に形成されている。
【0054】
このようにすると、背面傾斜面25aにて第1及び第2極間磁石31,32の径方向外側への飛び出しを防止することができる。又、第1及び第2爪状磁極21b,22b(突出部21c,22c及び爪部21d,22d)の周方向端面によっても第1及び第2極間磁石31,32の径方向外側への飛び出しを防止することができる。
【0055】
又、この別例(図10参照)では、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向端面も係合部を構成するとしたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向端面を、前記背面傾斜面25aよりも周方向内側に配置されるように形成してもよい。詳しくは、この例(図11参照)では、第1及び第2爪状磁極21b,22bの周方向端面が、前記背面傾斜面25aの軸中心Zaよりも径方向外側を軸中心Zbとした扇形状の周方向端面と一致するように形成されて、背面傾斜面25aよりも周方向内側に配置されるように形成されている。
【0056】
このようにすると、第1及び第2極間磁石31,32の周方向端面を特に複雑な形状とすることなく(単純な平面としながら)、第1及び第2極間磁石31,32と第1及び第2爪状磁極21b,22bとを離間させることができる。これにより、第1及び第2爪状磁極21b,22bから第1及び第2極間磁石31,32への局部的な逆磁界の影響を避けることができ、第1及び第2極間磁石31,32の減磁を抑えることができる。
【0057】
又、このような別例(図11参照)においても、例えば、図12に示すように、爪部21d,22dの径方向の長さを、突出部21c,22c(図12中、一方の突出部21cのみ図示)の径方向の長さの半分未満であって、半分よりも大幅に短い長さ(例えば、約1/6程度)に変更してもよい。この例では、例えば、第1及び第2爪状磁極21b,22bを板材の折り曲げ加工で容易に成形することができる。
【0058】
・上記実施形態では、第1及び第2極間磁石26,27が内側極間磁石部26a,27aと外側極間磁石部26b,27bとを有するとしたが、これに限定されず、爪部21d,22d同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部26b,27bがない(内側極間磁石部26a,27aのみの)極間磁石に変更してもよい。
【0059】
上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項2乃至6のいずれか1項に記載のロータにおいて、前記突出部は、その周方向の幅が径方向に一定に形成されたことを特徴とするロータ。
【0060】
このようにすると、突出部において径方向と直交する断面の断面積が一定、即ち磁気抵抗が一定となる。
(ロ)請求項2乃至6のいずれか1項に記載のロータにおいて、前記突出部は、その周方向の幅が径方向内側に向かうほど広く形成されたことを特徴とするロータ。
【0061】
このようにすると、爪状磁極の根元側(径方向内側)の強度が向上し、回転に対して爪部が安定することになる。
【符号の説明】
【0062】
11…ロータ、21…第1ロータコア、21a…第1コアベース(コアベース)、21b…第1爪状磁極(爪状磁極)、21c,22c…突出部、21d,22d…爪部、21e,22e…周方向延出部、21f,22f…径方向内側面(係合部)、21g,22g…爪部傾斜面(係合部)、22…第2ロータコア、22a…第2コアベース(コアベース)、22b…第2爪状磁極(爪状磁極)、23…環状磁石(界磁磁石)、24…第1背面補助磁石(背面補助磁石)、25…第2背面補助磁石(背面補助磁石)、25a…背面傾斜面、26,31…第1極間磁石(極間磁石)、26a,27a…内側極間磁石部、26b,27b…外側極間磁石部、26c,27c…膨出部、27,32…第2極間磁石(極間磁石)、X…直線、Z…ロータの軸中心。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、
前記コアベース同士の軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、
前記爪状磁極の径方向内側に設けられ径方向に磁化された背面補助磁石と
を備えたロータであって、
前記爪状磁極同士の周方向の各間に設けられ周方向に磁化された極間磁石を備え、
前記爪状磁極と前記背面補助磁石の少なくとも一方には、前記極間磁石の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部が形成されたことを特徴とするロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端部に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、
前記爪部には、前記突出部の先端よりも周方向に延びる周方向延出部が形成され、
前記係合部は、前記周方向延出部における径方向内側面を含むことを特徴とするロータ。
【請求項3】
請求項2に記載のロータにおいて、
前記背面補助磁石の周方向端面は、前記突出部の周方向端面と面一とされ、
前記極間磁石は、その周方向端面が前記突出部及び前記背面補助磁石の周方向端面と当接するように設けられたことを特徴とするロータ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のロータにおいて、
前記極間磁石は、前記突出部同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部と、前記爪部同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部とを有することを特徴とするロータ。
【請求項5】
請求項4に記載のロータにおいて、
前記周方向延出部における径方向内側面は、該周方向延出部の周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面とされたことを特徴とするロータ。
【請求項6】
請求項5に記載のロータにおいて、
前記外側極間磁石は、前記爪部傾斜面よりも径方向外側に膨出するとともにその膨出量が前記爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定された膨出部を有することを特徴とするロータ。
【請求項7】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記係合部は、径方向外側ほど径方向に沿った直線よりも周方向に突出するように該直線に対して傾斜した前記背面補助磁石の周方向端面である背面傾斜面を含むことを特徴とするロータ。
【請求項8】
請求項7に記載のロータにおいて、
前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、
前記突出部及び前記爪部の少なくとも一方の周方向端面は、前記背面傾斜面と面一とされて前記係合部の一部を構成することを特徴とするロータ。
【請求項9】
請求項7に記載のロータにおいて、
前記爪状磁極の周方向端面は、前記背面傾斜面よりも周方向内側に配置されるように形成されたことを特徴とするロータ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロータを備えたことを特徴とするモータ。
【請求項1】
それぞれ略円板状のコアベースの外周部に、等間隔に複数の爪状磁極が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成され、互いのコアベースが対向されつつ爪状磁極が周方向に交互に配置された第1及び第2ロータコアと、
前記コアベース同士の軸方向の間に配置され、前記軸方向に磁化されることで、第1ロータコアの前記爪状磁極を第1の磁極として機能させ、前記第2ロータコアの前記爪状磁極を第2の磁極として機能させる界磁磁石と、
前記爪状磁極の径方向内側に設けられ径方向に磁化された背面補助磁石と
を備えたロータであって、
前記爪状磁極同士の周方向の各間に設けられ周方向に磁化された極間磁石を備え、
前記爪状磁極と前記背面補助磁石の少なくとも一方には、前記極間磁石の径方向外側への移動を規制すべく径方向に係合する係合部が形成されたことを特徴とするロータ。
【請求項2】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端部に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、
前記爪部には、前記突出部の先端よりも周方向に延びる周方向延出部が形成され、
前記係合部は、前記周方向延出部における径方向内側面を含むことを特徴とするロータ。
【請求項3】
請求項2に記載のロータにおいて、
前記背面補助磁石の周方向端面は、前記突出部の周方向端面と面一とされ、
前記極間磁石は、その周方向端面が前記突出部及び前記背面補助磁石の周方向端面と当接するように設けられたことを特徴とするロータ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のロータにおいて、
前記極間磁石は、前記突出部同士の周方向の間に設けられる内側極間磁石部と、前記爪部同士の周方向の間に設けられる外側極間磁石部とを有することを特徴とするロータ。
【請求項5】
請求項4に記載のロータにおいて、
前記周方向延出部における径方向内側面は、該周方向延出部の周方向先端部に向かうほど径方向外側に向かう爪部傾斜面とされたことを特徴とするロータ。
【請求項6】
請求項5に記載のロータにおいて、
前記外側極間磁石は、前記爪部傾斜面よりも径方向外側に膨出するとともにその膨出量が前記爪状磁極における径方向外側端部の軸中心からの距離以下に設定された膨出部を有することを特徴とするロータ。
【請求項7】
請求項1に記載のロータにおいて、
前記係合部は、径方向外側ほど径方向に沿った直線よりも周方向に突出するように該直線に対して傾斜した前記背面補助磁石の周方向端面である背面傾斜面を含むことを特徴とするロータ。
【請求項8】
請求項7に記載のロータにおいて、
前記爪状磁極は、前記コアベースの外周部から径方向外側に突出した突出部と、該突出部の先端に設けられ軸方向に延びる爪部とを有し、
前記突出部及び前記爪部の少なくとも一方の周方向端面は、前記背面傾斜面と面一とされて前記係合部の一部を構成することを特徴とするロータ。
【請求項9】
請求項7に記載のロータにおいて、
前記爪状磁極の周方向端面は、前記背面傾斜面よりも周方向内側に配置されるように形成されたことを特徴とするロータ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロータを備えたことを特徴とするモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−102641(P2013−102641A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245670(P2011−245670)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
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