説明

ロータ翼の表面に荷重センサを取り付ける方法及びロータ翼

【課題】荷重センサをどのようにロータ翼の表面に取り付けるかの改良された可能性を提供する。
【解決手段】荷重センサ5,5a,5b,5c,5d,5eをロータ翼1の表面3に取り付ける方法において、荷重センサ5,5a,5b,5c,5d,5eが支持体6を有しており、この支持体が、多数のひずみゲージと、所定の間隔(d)を置いた複数の固定穴8とを有しており、方法が、a)複数の穴7を形成し、その際、前記固定穴8の所定の間隔(d1)と実質的に等しい間隔(d2)を穴7の間に有するように形成するステップと、b)ねじ山付き挿入体9を穴7に提供するステップと、c)ボルト(13)を荷重センサ5,5a,5b,5c,5d,5eに貫通させてねじ山付き挿入体9内へ挿入するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ翼の表面に荷重センサを取り付ける方法に関し、荷重センサは支持体を有しており、この支持体は、多数のひずみゲージと、所定の間隔を置いた複数の固定穴とを有している。本発明は、ロータ翼の表面に取り付けられたこのような荷重センサを備えたロータ翼にも関する。
【背景技術】
【0002】
ロータ翼、特に風車用途におけるロータ翼は、翼を応力下にもたらす力に関して監視される必要がある。その目的は、ロータ翼の静荷重及び/又は動的に振動する荷重を制御することができるようにすることである。これにより、荷重、又は動荷重の合計が大きくなりすぎて、摩耗によりロータ翼(又はロータ翼の部材)の交換が必要となる、起こりそうもない状況が生じたかどうかを見つけることができなくなると、対抗手段を取る。又は、好適には、風車のロータ翼の荷重を制御し、ロータ翼、又は例えばギヤボックス、ピッチ軸受、主軸受等の風車のその他の構成部材の交換の必要を、継続的に回避する。
【0003】
荷重、すなわち、このような翼に対する圧力又は圧縮によって生ぜしめられるたわみ、を測定するために、例えば米国特許第3853000号明細書に記載されているように、いわゆる荷重センサ又はひずみ測定トランスジューサが使用される。板状支持体の薄い条片上に抵抗ひずみゲージが取り付けられている。
【0004】
このような荷重センサは、表面に埋設することができる小さなスパイクによって表面に配置することができる。荷重センサは、センサに設けられた穴を貫通するボルトによって表面にしっかりと固定され、これらのボルトは表面の構造に溶接されている。しかしながら、ロータ翼の表面にボルトを溶接することは表面の構造を弱め、表面及びボルトの材料の不適合性によりいつでも可能であるわけではないことが考慮されなければならない。例えば、ガラス繊維又は同様の非金属材料を溶接することは困難であるか又は不可能でさえある。さらに、荷重センサのスパイク若しくはピンは、ボルトのナットが締め付けられるときに表面の構造を損傷する恐れがある。
【0005】
荷重センサをどのようにロータ翼に固定するかの別の可能性は、接着剤、例えばのり又はその他の種類の感圧接着剤によるものである。しかしながら、このような接着方法は、時間がかかり、表面が準備されなければならないことも意味する。表面は、研磨及び酸腐食されなければならず、さらに、荷重センサが適切に取り付けられることを保証することがしばしば困難である。さらに、荷重センサが表面にしっかりと固着されると、荷重センサを交換することはやはり時間がかかりかつ高価であり、表面の損傷につながる恐れがある。
【0006】
従って、上述の原理、及び実際にはあらゆるその他の測定原理の荷重センサを取り付けるための現在利用されている手段は、特に風車のロータ翼のような用途にとって、依然として不十分であると要約することができる。このようなロータ翼の表面は、特別な材料から成り、作動前又は作動中に翼が欠陥を生ずる程度にまで損傷を受ける恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3853000号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、荷重センサをどのようにロータ翼の表面に取り付けるかの改良された可能性を提供することである。本発明の別の課題は、このような改良された形式で取り付けられた荷重センサを備えたロータ翼を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、前記課題は、請求項1記載の方法及び請求項12記載のロータ翼によって解決される。
【0010】
前記方法は、
a)実質的に固定穴の所定の間隔と等しい、穴の間の所定の間隔を置いて複数の穴を形成するステップと、
b)ねじ山付き挿入体を穴に提供するステップと、
c)ボルトを、荷重センサを貫通してねじ山付き挿入体に挿入するステップとを有する。
【0011】
複数の穴は、荷重センサの支持体に設けられた固体穴の間隔に相当する所定の間隔で配置されている。これにより、荷重センサにおける固定穴は、加工物が製造者から来るときに加工物に存在しているか、又は本発明による方法の経過において加工物に穿孔されてよい。
【0012】
この形式において、荷重センサはロータ翼の表面にしっかりと結合される一方で、荷重センサは、必要であれば交換のために容易に取り外されてもよい。穴を形成することによってだけでなく、付加的にこれらの穴にねじ山付き挿入体を提供することによって、極めて正確な配列及び整合を達することができ、ボルトが、望まれるように正確に位置決め及び整合させられることを保証する。それと同時に、ロータ翼の表面に対する損傷は、ロータ翼の機能を不能にするようなロータ翼の損傷につながる不要な力が加えられないようなものである。
【0013】
穴は、ロータ翼の作動中に不要かつ制御不能な応力が生ぜしめられないように正確に形成することができる。さらに、荷重、すなわち荷重センサによって測定されるべき静荷重及び/又は動的振動荷重は、制御されるべき表面の所定の位置における幾つかのボルトを伝ってセンサに直接に加えられる。従って、従来技術とは異なり、力又は荷重は、多数のピンから加えられず、又はかなり不確定な接着の領域からも加えられない。本発明による解決手段は、測定をより信頼性高くかつより正確にする。さらに、ねじ山付き挿入体の材料及び構造は、ねじ山付き挿入体が挿入される表面の構造の特定の要求に合わせて採用することができる。ねじ山付き挿入体は、表面に設けられた穴にボルト留め又はハンマ打ちされてよい。
【0014】
本発明の関連における"ボルト"は、好適には、長手方向の長さに沿って少なくとも部分的に設けられた雄ねじ山を備えたボルトである。従って、"ボルト留め"は、この文脈では、ボルトの長手方向長さによって規定される軸線を中心にしてボルトを回転させることによって、内側にねじ山が設けられた穴にこのようなボルトを導入する行為を意味する。
【0015】
上記種類のロータ翼は、
a)固定穴の所定の間隔に等しい、穴の間の所定の間隔を置いて表面に設けられた複数の穴と、
b)穴の内側に設けられたねじ山付き挿入体と、
c)ボルトとを有しており、このボルトが、荷重センサの固定穴を貫通して、それぞれの穴及びねじ山付き挿入体内へ延びており、これにより、荷重センサをロータ翼に結合している。
【0016】
このようなロータ翼において、荷重センサは、好適にはタービン荷重制御システムに接続されている。このような荷重制御システムは、荷重センサによって測定された荷重の値から制御命令を導き出し、この制御命令は、荷重センサが配置されたロータ翼及び/又はロータの全てのロータ翼に加えられた荷重を減じるために働く。例えば、荷重制御システムは、回転速度の減少を開始するための(例えばブレーキ機構への信号)及び/又は1つ又は複数のロータ翼のピッチを変化させるための及び/又は荷重を減じるために働く付加的な装置を作動させるための、制御命令を受け取るようにプログラムされていてよい。
【0017】
荷重制御システムは、荷重センサからの荷重の値を時間の経過とともに蓄積してもよく、これらの蓄積された値が所定のしきい値に達した場合に、ロータ又はロータの部材の検査及び/又は交換を容易にするために、使用者への警告信号及び/又はロータの作動を停止させるための制御命令を発生する。
【0018】
荷重センサを荷重制御システムに接続するために、伝送のために光ファイバを使用することが特に有利である。なぜならば、光ファイバは、落雷によって影響されないからである。同じことが、本発明に関するあらゆるその他の信号伝送接続に当てはまる。
【0019】
発明の特に有利な態様及び特徴は、以下で説明されるように、従属請求項によって示されている。従って、方法に関連して示された特徴は、ロータ翼及びその他に関連して実現されてもよい。
【0020】
ボルトを受容するために用いられるねじ山付き挿入体に関して、精度及び機械的安定性に関する高い基準を満たさなければならない。第1の実施形態によれば、少なくとも1つのねじ山付き挿入体はらせん挿入体である。このようならせん挿入体は、Heli-coil (R)で知られており、巻成されたワイヤから成る挿入体である。らせん挿入体は、通常、過剰寸法を有しており、挿入される穴において自力で係止する。本発明の関連において、らせん挿入体は、安定性と柔軟性とを同時に提供する。
【0021】
第1の実施形態の代わりに又は第1の実施形態に加えて用いられてよい第2の実施形態では、少なくとも1つのねじ山付き挿入体は、内側にねじ山を有するブシュである。このようなブシュの安定性は、らせん挿入体のものよりもさらに高くなっていることができ、これにより、第1の試験は、この第2の実施形態が特に有利であることを証明している。
【0022】
好適には、一方の長手方向端部に張出し部を有するねじ山付き挿入体は、張出し部が翼の表面と直接又は間接に接触するように穴に挿入される。このような張出し部は、ねじ山付き挿入体が穴における最終位置に達したことを示すストッパのように機能する。このような最終位置において、挿入体は、穴にしっかりと結合され、ボルトのための十分な安定性が達成されるように穴を充填する。張出し部を備えたねじ山付き挿入体の使用は、挿入体が、望んだよりもさらにロータ翼の表面内に挿入されないことも保証し、これにより、翼の表面の損傷につながる恐れがある挿入体による穴の拡張が生じないことを保証する。張出し部と表面との間接的な接触は、例えば、張出し部と表面との間にしっかりと配置されたワッシャ又は同様の間隔維持部品によって達成することができる。
【0023】
穴の間の所定の間隔は、例えば、ロータ翼の表面において間隔を単に計測しかつマークし、次いでマークによって示されたこれらの位置に穴を形成することによって達成することができる。所定の間隔、及び場合によっては穴の位置決め角度、に関する精度を高めるために、同じ所定の間隔の型穴を備えた穴形成用型を用いることが好適であり、この型は表面に配置される。型穴を介して、穿孔機械等の穴形成工具は表面上で案内される。
【0024】
このような型は、好適には、穴を備えたボード又は板から形成されており、穴は、好適には少なくとも1つの方向に垂直な角度で、ボードの平面から突出した円筒状の管によって延長させられていてよい。この場合、ドリルをこの管によって案内することができ、穴は正しい角度で形成される。
【0025】
従って、本発明は、本発明による方法に関連して穴の間に所定の間隔を有するようにロータ翼の表面に複数の穴を形成するための穴形成用型をも含む。本発明は、ロータ翼に形成される複数の穴の間の間隔と同じ所定の間隔を有する配列で穴を有するボードを含む。
【0026】
好適には、型は、ボードの接触面から突出した少なくとも3つの位置決め突起を有している。これについては、ちょうど3つのこのような突起を備えた型を使用することが最も有利であることが分かった。なぜならば、ロータ翼の場合にしばしば見られるように表面が僅かに湾曲していても、型が表面に極めて正確に配置されるからである。
【0027】
好適には、突起は中空の管として形成されており、これらの管を、ピンのような固定手段等を案内することができる。この構成により、型の使用中に型の位置が誤ってずれないように、型をこれらの固定手段を介して表面に予備固定することができる。
【0028】
型はさらに、荷重センサが表面に取り付けられた時に荷重センサの向きを間接的に示す、型の向きの表示手段を有していてよい。この表示手段は、好適には型の三角形を含み、この場合、荷重センサの向き、すなわち、荷重力が測定される方向が、三角形の1つの角度によって示されるので有利である。
【0029】
発明の特定の好適な実施形態によれば、荷重センサは翼の内面に取り付けられている。風車のロータ翼(ヘリコプタの翼とは異なる)は、通常、中空であり、外面と内面とを有している。荷重センサを内面に取り付けることは、センサが風及び湿気から、少なくとも著しくより高い程度に保護されていることを意味する。荷重センサは、タワー、ナセル及びハブを介して風車の内側から、担当の作業員によってより容易にアクセスすることもできる。ロータ翼の内側から操作する場合、作業員は、外部の足場において作業する場合よりも一層保護されている。なぜならば、ロータから落下する危険性が実質的に排除されるからである。
【0030】
1つの荷重センサだけでも既に、特に荷重力の正確な伝達によるより信頼できる測定を提供する発明に関して、ロータ翼に加えられる荷重への大きな洞察を提供することができる。しかしながら、翼の表面に複数の荷重センサが取り付けられていると、より信頼できることが分かった。その場合、荷重センサは、2つ以上の方向に向けられることができ、これにより、それぞれ異なる角度からの荷重力を測定する。さらに、荷重センサは、ロータ翼の長手方向に沿った複数の位置に配置されていてよく、これにより、ロータ翼が長さに沿って受ける荷重をより広範囲に把握することができる。
【0031】
ロータのハブに最も近いロータ翼の部分は、損傷を受ける危険性が最も高い。荷重力が最も高く、ロータの軸に伝達される前に全ての力が蓄積するのがこの領域である。従って、この領域は、特に、所定の最大しきい値を超える荷重によって損傷を受けやすい。従って、この領域を正確に監視するために、荷重センサは、好適には、翼とロータのハブとのインターフェースの近くに取り付けられている。この近くとは、ハブに近いほうのロータ翼の3分の1、特に5分の1、最も特に10分の1である。
【0032】
従来の方法を用いて荷重センサを取り付けることは、新規のロータ翼において自体既に困難であるが、これらの障害は、既に作動している翼の再装備となると、一層大きくなる。従って、本発明の方法は、荷重センサが、既に稼働している翼に取り付けられる場合にはより一層有効である。このような翼の表面にボルトを溶接する必要はなく、表面を準備する必要もない。この表面の準備は、翼の摩耗及び作業による不純物により、行うのがより一層面倒である。従って、本発明による方法は、著しくより簡単に、既存の風車に荷重センサシステムを初めて又は古い荷重センサの交換として装着することができる。
【0033】
荷重センサを損傷する恐れがある又は測定に影響する恐れがある力等の、及び汚れ及び湿気等の、外部影響から荷重センサを保護するために、荷重センサを保護するハウジングが翼の表面に取り付けられていることが好ましい。このハウジングは、単に荷重センサに被せられて表面に固定することができる蓋を含んでよい。単に荷重センサを覆うだけでなく、ハウジングは、荷重センサの腐食を回避するために、防水性又は防湿性に形成することもできる。
【0034】
好適には、荷重センサは、光学的又は電気的なケーブルを介して、又はワイヤレス式に、荷重制御装置に接続されている。制御装置は、環境から保護されるようにハウジング内に配置されていてよい。制御装置と荷重センサとの間には、荷重センサから制御装置に信号を送信する送信機が設けられていてもよく、この送信機は、複数の荷重センサから信号を収集してもよい。
【0035】
穴の主延在方向と表面との間の角度が実質的に垂直であるように、翼の表面に穴を形成することがさらに好ましい。表面の主延在方向は、例えば曲面の場合、表面の平均延在方向を表す平面であると考えることができる。角度は、90゜に対して±10゜だけずれている場合には依然として実質的に垂直であると考えられる。この制限された角度は、ボルトがどのように向けられているかについての良好な基準であると考えることができる。さらに、ボルトのための実質的に直角の向きを用いる場合、荷重力の伝達は、大きな損失なしに生じる。なぜならば、さもないと、力の一部分が、荷重センサによってカバーされている方向とは異なる方向に向けられる恐れがあるからである。
【0036】
測定の明確性のためにも、荷重センサを取り付けるためにちょうど2つのボルトが用いられることが好ましい。これは、2つの穴だけが形成されればよく、2つのねじ山付き挿入体がこれらの穴に挿入されることを意味する。第1に、これは、表面に対して可能な最も小さな損傷が加えられることを意味する。第2に、この取付け方法は、荷重センサを取り付けるために十分であるだけでなく、できるだけその他の影響が測定精度を損なわせないことも保証する。例えば、荷重センサが3つ以上のボルトによって取り付けられている場合、張力が付加的な役割を果たし、測定結果を変動させる。
【0037】
本発明のその他の課題及び特徴は、添付の図面に関連して考慮される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、図面は、例示のためだけに設計されており、発明の限界の規定として設計されていないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による方法の実施形態を行う際のロータ翼の表面を示す断面図である。
【図2】本発明による実施形態における完成されたロータ翼を示す断面図である。
【図3】風車のロータの内部を示す概略図である。
【図4】本発明による方法の実施形態のステップを示す概略的なブロック図である。
【図5】本発明の実施形態による型を示す上面図である。
【図6】図5に示されたものと同じ型を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面において、同じ参照符号は全体を通じて同じ対象を示している。図面における対象は必ずしも実寸で描かれているわけではない。
【0040】
図1は、ロータ翼1の内面であるロータ翼1の表面3を示している。荷重センサ、例えば米国特許第3853000号明細書に記載されたような荷重センサの原理に従って働く荷重センサ、を取り付けるために、複数の穴7が表面3に、荷重センサに設けられた固定穴8の間隔d1に対応する間隔d2(図2参照)を置いて穿孔されている。これらの穴7には、ねじ山付き挿入体9が取り付けられる。ねじ山付き挿入体9は、内側11においてねじ山を備えたブシュとして形成されており、長手方向上端部に張出し部10を有している。
【0041】
左側には穴7に挿入されようとしているブシュ9が示されており、右側には穴7に既に配置されているもののまだ最終的な位置には達していないブシュ9が示されている。この最終位置には、張出し部10が表面3に接触した時に到達する。
【0042】
この状況は図2に示されており、両ブシュ9はロータ翼1の表面3内の最終位置に達している。さらに、荷重センサ5が表面3にボルト13によって固定されており、これらのボルトは、ブシュ9の内側11にボルト留め若しくは螺入されている。荷重センサ5は、2つの固定穴8を備えた板状の支持体6を有している。支持体6は、ブシュの張出し部10に載置されて、ボルト13によって張出し部10に対して押し付けられている。荷重センサ5を表面3に固定するために、2つのボルト13が必要かつ十分である。
【0043】
図3には、荷重センサ5a,5b,5c,5d,5eの位置が原理的に示されている。風車のロータにおいて、ハブ19は、ロータ翼1が結合される3つのインターフェース21を有しており、そのうち1つのロータ翼1が図示されている。ロータ翼1は1.6mの直径と40mを超える長さとを有しており、これは、現世代の風車のロータ翼の典型である。荷重センサ5a,5b,5c,5d,5eは、インターフェース21に最も近いロータ翼1の長手方向延在長さの10分の1以内に、すなわちロータ翼1の、ハブ19から4m以内に配置されている。これにより、過負荷により最も損傷を受けやすい領域において荷重が測定されることが保証される。損傷は、風車の包囲する領域における人又は物体に最も害を与える恐れがある。
【0044】
最も外側の荷重センサ5aは、ハブ19により近く配置された他の4つの荷重センサ5b,5c,5d,5eの向きと比較して傾斜した向きになっている。荷重センサ5b,5c,5d,5eの向きは、ロータ翼1の長手方向に沿っている。従って、荷重センサ5b,5c,5d,5eは全て、ロータ翼1の長手方向の荷重力を測定するのに対し、最初に言及した荷重センサ5aは、長手方向に対して傾斜した方向の力を測定する。測定方向は、それぞれの荷重センサ5a,5b,5c,5d,5eの側部の矢印によって示されている。
【0045】
荷重センサ5a,5b,5c,5d,5eからの信号は、ワイヤレス伝送接続4(線として示されている)を介して、ロータ翼1がハブ19内へ突入したロータ翼1の端部に配置された送信機17に伝送される。送信機17は、組み合わされた信号を、光ケーブル33を介して、タービン荷重制御システムの制御装置15に送信し、タービン荷重制御システムは、必要であるならば、ロータ翼1における及び場合によっては他のロータ翼における荷重を減じるように命令を導き出す。
【0046】
図4は、本発明による方法の実施形態の概略的なフローチャートを示している。これについて、前述の図面に関連して説明する。
【0047】
第1のステップAにおいて、複数の穴7が、所定の間隔dを置いて、ロータ翼1の表面3に穿孔される。第2のステップBにおいて、ブシュ9が穴7に挿入される。第3のステップCにおいて、ボルト13がブシュにボルト留めされ、これにより、荷重センサ5を表面に固定する。
【0048】
図5及び図6は、本発明による穿孔用型23の実施形態を示している。
【0049】
上述のように、型23は、三角形であり、これにより、型23を用いて形成される穴7に沿って整合させられた場合に荷重センサ5がどのように向けられるかを示す。型23は、穴27a,27bを備えたボード又は板29から成る。これらの穴27a,27bは、図1及び図2に示されているように同じ間隔d3を置いて、すなわち表面3に形成された穴7の間隔d2及び固定穴8の間隔d1と同じ間隔を置いて、互いに間隔を置いて配置されている。さらに、図6の側面図に最もよく示されているように、型23は、型23が使用される時にロータ翼1の表面に向けられるボード29の接触面31から突出した管として形成された3つの突起25a,25b,25cを有している。突起25a,25b,25cの管に、釘又はピンを押し込むことができ、この釘又はピンは、型を表面3上の特定の位置に一時的に固定するのを助ける。
【0050】
穴27a,27bは、接触面31とは反対の方向にボード29から突出した管35によって延長させられてもいる。管35は、この管35に挿入される穿孔工具に、所定の案内を提供し、この案内は、ドリルがロータ翼1の表面3内に所定の角度で、好適には実質的に90゜で、おそらく僅かな許容できるずれとともに挿入されることを保証する。
【0051】
型23はちょうど3つの突起25a,25b,25cを有しているので、型23は、このような面が平面に関して2つ以上の方向で湾曲させられているとしても、曲面3にしっかりと配置することもできる。このような湾曲はロータ翼に通常見られるものである。
【0052】
本発明を、好適な実施形態及び変化態様に関連して開示したが、発明の範囲から逸脱することなく前記実施形態及び変化態様に対して多くの付加的な変更を加えることができると理解されるであろう。明細書では、抵抗の測定に基づく荷重センサの使用が説明されているが、本発明による方法及びロータ翼に関連して、その他の荷重センサシステムが有効に使用されてもよい。さらに、ロータ翼内での荷重センサの向きは、純粋に例として示されており、荷重センサの作動場所における関連する需要に応じて変更されてよい。また、穿孔用型の使用は、図5及び図6に示された型の形態に限定されない。
【0053】
明確にするために、本願明細書を通じて単数のものは複数であることを排除せず、「含む」との記載はその他のステップ又は要素を排除しない。「間隔」との表現は、1つの間隔も含む。「ユニット」又は「モジュール」は、そうでないことが述べられない限り、複数のユニット又はモジュールを含む。
【符号の説明】
【0054】
1 ロータ翼、 3 表面、 5 荷重センサ、 6 支持体、 7 穴、 8 固定穴、 9 ねじ山付き挿入体、 10 張出し部、 11 内側、 13 ボルト、 15 ハブ、 17 送信機、 19 制御装置、 21 インターフェース、 23 型、 27a,27b 穴、 29 ボード、 31 接触面、 33 光ケーブル、 35 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)をロータ翼(1)の表面(3)に取り付ける方法において、前記荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)が支持体(6)を有しており、該支持体(6)が、多数のひずみゲージと、所定の間隔(d1)を置いた複数の固定穴(8)とを有しており、前記方法が、
a)複数の穴(7)を形成し、その際、前記固定穴(8)の所定の間隔(d1)と実質的に等しい間隔(d2)を穴(7)の間に有するように形成するステップと、
b)ねじ山付き挿入体(9)を穴(7)に提供するステップと、
c)ボルト(13)を荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)に貫通させてねじ山付き挿入体(9)内へ挿入するステップとを含むことを特徴とする、荷重センサをロータ翼の表面に取り付ける方法。
【請求項2】
少なくとも1つのねじ山付き挿入体が、らせん挿入体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのねじ山付き挿入体が、内側(11)にねじ山を有するブシュ(9)である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
一方の長手方向端部に張出し部(10)を有するねじ山付き挿入体(9)が、穴(7)に配置され、その際、前記張出し部(10)が翼(1)の表面(3)と直接又は間接に接触するように配置される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
穴(7)の間の所定の間隔(d2)が、同じ所定の間隔(d3)で型穴(27a,27b)を備える穴形成用型(23)を用いることによって実現され、該型(23)が表面(3)に配置され、前記型穴(27a,27b)を通って表面(3)まで穴形成工具が案内される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)が、翼(1)の内面(3)に取り付けられる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)が、翼(1)とロータのハブ(15)との間のインターフェースの近くに取り付けられる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)を保護するハウジングが、翼(1)の表面(3)に取り付けられる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)が、ケーブルを介して及び/又はワイヤレス式に荷重制御装置(19)に接続されている(ハウジング内の制御装置)、請求項8記載の方法。
【請求項10】
穴(7)の主延在方向と表面(3)との間の角度が実質的に垂直であるように、前記穴(7)が翼(1)の表面(3)に形成される、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)を取り付けるために2つのボルト(13)が使用される、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ロータ翼(1)において、該ロータ翼(1)の表面(3)に取り付けられた荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)が設けられており、該荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)が支持体(6)を有しており、該支持体(6)が、多数のひずみゲージと、所定の間隔(d1)を置いて配置された複数の固定穴(8)とを有しており、前記ロータ翼が、
a)複数の穴(7)を有しており、該穴(7)が、前記固定穴(8)の所定の間隔(d1)と等しい、穴(7)の間の所定の間隔(d2)を置いて表面(3)に設けられており、
b)前記穴(7)の内部に設けられたねじ山付き挿入体(9)を有しており、
c)ボルト(13)を有しており、該ボルト(13)が、荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)の固定穴(8)を貫通してそれぞれの穴(7)及びねじ山付き挿入体(9)内へ延びており、これにより、荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)をロータ翼(1)と結合していることを特徴とする、ロータ翼。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法に関連して、ロータ翼(1)の表面(3)に、穴(7)の間に所定の間隔(d2)を置いて複数の穴(7)を形成するための穴形成用型(23)において、ロータ翼(1)に形成される複数の穴(7)の間の間隔(d2)と同じ所定の間隔(d3)を備えた配列において穴(27a,27b)を有するボード(29)を含むことを特徴とする、穴形成用型。
【請求項14】
ボード(29)の接触面(31)から突出した少なくとも3つの位置決め用突起(25a,25b,25c)が設けられている、請求項13記載の穴形成用型。
【請求項15】
荷重センサが表面(3)に取り付けられた時に該荷重センサ(5,5a,5b,5c,5d,5e)の向きを間接的に示す穴形成用型の向きの表示手段を有し、該表示手段が、好適には穴形成用型の三角形形状を含む、請求項13又は14記載の穴形成用型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−158472(P2011−158472A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−13099(P2011−13099)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】