説明

ロール及びプリンタ

【課題】 保護フィルムをラベル基材に貼付する際に、同時にラベル形状に対応した切り込みを形成することができるロールと、当該ロールを用いたプリンタを提供すること
【解決手段】 ラベル基材LBを備えた帯状のラベル原反Mの繰出部12と、ラベル基材LBの表面に印字を行う印字部14と、保護フィルムFを供給するフィルム供給部16と、この保護フィルムFをラベル基材LBに貼付する貼付部18とを含んでプリンタ10が構成されている。貼付部18はプレスロール50と圧胴51とからなり、プレスロール50はロール本体52の外周部分に軟質部材54とカッター刃55A,55Bとを備えて構成されている。この貼付部18は保護フィルムFの貼付と同時に、ラベル原反Mと保護フィルムFにラベルLの形状に対応した切り込みCを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール及びプリンタに係り、特に、剥離シートに仮着された帯状のラベル基材に印字を行うとともに、当該印字面に帯状の保護フィルムを貼付すると同時にラベル形状の切り込みを形成することに適したロールと、これを用いて一枚ずつラベルを得ることができるプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラベルの面に印字を行うことができるプリンタが開示されている。このプリンタは、帯状の剥離シートの一方の面に、予めラベル形状に形成されたラベルが所定間隔毎に仮着されたラベル原反が用いられ、当該ラベル原反を繰り出す過程で印字を行う構成が採用されている。また、印字が行われたラベルには、印字面を保護する大きさに設けられたフィルムを剥離シートから剥離して貼付する構成も併せて採用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−103420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のプリンタに用いられるラベルと保護フィルムは、それぞれが予め所定形状に形成されて帯状の台紙に所定間隔をおいて仮着されたものであり、帯状をなすラベル及び保護フィルムを繰り出す過程でラベル形状に切り込む構成とはなっていない。従って、ラベルの表面に印字を行った後に、当該印字面に保護フィルムを貼付することでラベルを製造することができるが、この構成では、前工程において、帯状のラベル基材と保護フィルムを所定のラベル形状に形成する作業が必要となり、別途の専用装置が必要となる。
このような前工程と装置を不要とするためには、ラベル形状に形成されていない帯状のラベル基材と、帯状の保護フィルムを用い、ラベル基材の面に印字を行って保護フィルムを貼付した後にこれらに所定のラベル形状に対応した切り込みを形成すればよいことになる。
ところが、このような構成を採用する場合には、ラベル基材に保護フィルムを貼付するための貼付ロールの他に、当該貼付ロールの下流側に、ラベル形状の切り込みを形成するためのダイカットロール等が必要となり、繰出経路に沿って部品を配置するための領域が長く必要となり、その分装置を小型化することができない、という不都合を招来する。
【0005】
また、特許文献1のプリンタは、印字不良が発生しても、これを検出する構成とはなっていない。そのため、例えば、ラベルに印字される情報が個体識別情報であって、プリンタに併設された搬送路に沿って順次搬送される被着体に当該ラベルを順次貼付するシステムとしたときに、次のような不都合を招来する。
例えば、ラベルが貼付される被着体の製造年月日、製造番号、製造場所、シリアルナンバー等をラベルで表示する場合に、プリンタで印字されるラベルは全て個体識別可能な印字情報となる。このような印字情報を含むラベルの製造は、搬送される被着体の搬送順に対応して行われることとなるため、印字不良が発生すると、当該印字不良とされたラベルはそのまま貼付されてしまうことになる。
このような印字不良は、作業者の目視により把握してラベル貼付を一時的に保留し、同一の印字情報が印字されたラベルを再発行させて貼付することができるが、ラベル再発行までの間に、順次搬送されてくる被着体に対応した次から次の個体識別情報を含むラベルが既に相当数発行されてしまうことになる。つまり、ラベル印字からラベル排出までの間にラベルのストック状態があったのでは、ラベル再発行のタイムラグが長くなってしまう上、再発行されたラベルがどれなのか判らなくなってしまい、作業効率を大幅に低下させるという不都合を招来する。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、保護フィルムをラベル基材に貼付する際に、同時にラベル形状に対応した切り込みを形成することができるロールと、当該ロールを用いたプリンタを提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、印字不良を自動的に検出可能とし、当該印字不良を検出したときに、次の印字情報を印字することなく同一の印字情報を印字することができるプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、ロール本体の外周に軟質部材を巻装するとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃を配置したロールであって、
ラベル基材に保護フィルムを貼付すると同時にラベル形状に切り込みを形成する、という構成を採っている。
【0009】
前記ロールにおいて、前記カッター刃の高さは前記軟質部材の表面高さ位置よりも低く設定され、前記軟質部材が圧縮力を受けたときにカッター刃で前記切り込みが形成される構成とすることが好ましい。
【0010】
また、前記ロールは、前記カッター刃の一部高さが相対的に低くなる領域を含む形状に設けられてラベルの一部外縁にシート捲り代として作用する突片を形成するように設けることができる。
【0011】
また、本発明は、剥離シートの一方の面にラベル基材が仮着された帯状のラベル原反を繰り出す繰出部と、この繰出部からラベル原反を繰り出す途中で前記ラベル基材の表面に印字を行う印字部と、前記ラベル基材の印字面側に帯状の保護フィルムを供給するフィルム供給部と、前記保護フィルムをラベル基材に貼付する貼付部とを備えたプリンタにおいて、
前記貼付部はプレスロールと当該プレスロールに対向する圧胴とを含み、
前記プレスロールは、ロール本体の外周部分に軟質部材が巻装されるとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃が配置され、
前記ラベル原反及び保護フィルムが前記貼付部を通過するときに、前記印字面側に保護フィルムが貼付されると同時に、所定のラベル形状に対応した切り込みが形成される、という構成を採っている。
【0012】
前記プリンタにおいて、前記印字部は、ラベル毎に個体識別可能な印字情報を印字するように設けられている。
【0013】
また、前記印字部の下流側にセンサが配置され、当該センサが印字不良を検出したときに、次の印字情報を印字することなく前記印字不良と判定された時の印字情報を印字する、という構成が採用されている。
【0014】
更に、前記プリンタにおけるカッター刃は前記ロール本体の外周部分に複数設けられ、当該ロール本体の一回転で複数のラベルが形成されるように設けられている。
【0015】
また、前記センサが印字不良を検出したときに、前記プレスロールの回転駆動を一時的に停止させて印字不良の領域に前記切り込みを形成することなく印字不良の領域を含んだまま、前記剥離シート、ラベル原反及び保護フィルムを巻き取る、という構成を採っている。
【0016】
更に、前記プレスロールは、印字不良が前記センサで検出されたときに、その軸心を変位させて前記切り込みを形成することがないように保たれる、という構成を採ることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ラベル基材に保護フィルムを貼付するためのロールがダイカットロールとしての機能をも有するため、貼付ロールとダイカットロールとを併設する従来タイプに比べて繰出経路に沿う部品配置用のスペース(長さ)を短くすることが可能となる。しかも、繰出経路に沿う長さを短くできることから、印字部と貼付部との距離を接近させることができ、ラベル間ピッチを短く設定してラベル基材の無駄な消費を回避することができる。
【0018】
また、カッター刃が軟質部材の表面高さ位置よりも低く設定されていることで、保護フィルムをラベル基材に貼付するための圧力を十分なものとすることができる。
【0019】
更に、ラベルの一部外縁に突片を形成することができるカッター刃を採用することで、剥離シートをラベルから捲り取る作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0020】
更に、ラベル基材の印字不良が検出されたときに、次の印字情報の印字を保留して同一の印字情報を印字する構成としたことで、ラベルが貼付される被着体が印字の順番に対応して搬送される場合において、当該被着体と再発行されるラベルとの対応関係を考える必要がないので、誤ったラベル貼付も回避可能となる。
【0021】
また、印字不良が検出されたときに切り込みが形成されずに巻き取る構成としたことで、印字不良のラベルの発行自体を回避することができる。
【0022】
しかも、プレスロールの軸心が変位する構成を採用した場合には、ラベル基材等の掛け回し作業を行う際のクリアランスを大きく形成でき、作業性を良好に確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
[第1実施形態]
図1には第1の実施形態に係るプリンタの概略正面図が示され、図2には、その要部概略斜視図が示されている。これらの図において、プリンタ10は、ケース11と、当該ケース11内に設けられるとともに、剥離シートSの一方の面にラベル基材LBが仮着された帯状のラベル原反Mを繰り出す繰出部12と、この繰出部12からラベル原反Mを繰り出す途中で前記ラベル基材LBの表面に印字を行う印字部14と、この印字部14の下流側近傍に配置されて印字の良否を検出するセンサ15と、前記ラベル基材LBの印字面側に帯状の保護フィルムFを供給するフィルム供給部16と、前記保護フィルムFをラベル基材LBに貼付すると同時に、所定のラベル形状に切り込みC(図2参照)を形成する機能を備えた貼付部18と、保護フィルムFが貼付されたラベル原反Mを急激に反転してラベルLを抜き出すプレート材20と、ラベルLが抜き出された外周領域をカスとして巻き取る巻取部22とを備えて構成されている。
【0025】
前記繰出部12は、ロール状のラベル原反Mを繰出可能に保持する保持ロール24と、この保持ロール24から繰り出されたラベル原反Mをガイドするガイドロール25と、当該ガイドロール25の下方に配置されるとともにモータM1を介して回転駆動される駆動ロール26と、この駆動ロール26との間にラベル原反Mを挟み込むピンチロール27とにより構成されている。
【0026】
前記印字部14は、ラベル基材LBの表面に所定の印字情報を印字する印字ヘッド30と、剥離シートS側に配置されたプラテンロール31と、当該プラテンロール31を回転可能な状態で受容するとともに、剥離シートSを下面側から支えるガイドプレート33と、前記印字ヘッド30にインキリボンRを巻装した状態で繰り出すリボン繰出ロール35と、ラベル基材LBにインキ転写された後のインキリボンRを順次巻き取るリボン巻取ロール36とにより構成されている。このプリンタ10には、図示しない入力部を含む制御装置及びディスプレイが接続されており、当該制御装置の所定のプログラムに従って、ラベルLが貼付される被着体を個体識別するための可変情報が順次印字されるように構成されている。また、前記可変情報は、当該プリンタ10を含むライン全体を一括制御する上位コンピュータ等と通信を行うことによって入力されるようにしてもよい。
【0027】
前記センサ15は、印字部14によってラベル基材LBの面に印字された印字情報の良否を判定するものである。このセンサ15は、例えば、バーコードリーダ等の可変情報を読み取り可能なセンサなどによって構成されており、印字ヘッド30による印字直後の印字不良を検出したときに、前記図示しない制御装置に制御信号を出力し、当該制御装置が次の可変情報を含む印字情報の印字を保留して不良とされた印字情報を再度印字する制御を行うようになっている。
【0028】
前記フィルム供給部16は、ロール状に巻回された保護フィルムFを繰出可能に保持するフィルム保持ロール40を含む。本実施形態における保護フィルムFは、裏面側に帯状の剥離フィルムPFが貼付されており、保持ロール40から繰り出した後に保護フィルムFが剥離フィルムPFから剥離して用いられるようになっている。そのため、フィルム保持ロール40の側方位置に、一対の剥離ロール42,43が配置され、剥離フィルムPFは、フィルム巻取ロール45に巻き取られる一方、保護フィルムFは、貼付部18側に繰り出されるように構成されている。
【0029】
前記貼付部18は、図2及び図3に示されるように、保護フィルムFをラベル基材LBの印字面に貼付するためのプレスロール50と、前記剥離シートSの下面側においてプレスロール50に対向する圧胴51とにより構成されている。プレスロール50は図示しないモータを介して回転駆動されるロール本体52と、当該ロール本体52の外周部分に巻装された軟質部材としてのEVA(エチレンビニルアセテート)等のプレスシート54と、ロール本体52の周方向180度間隔位置に一対配置されるとともに、プレスシート54の面内に位置して前記保護フィルムF、ラベル基材LB及び剥離シートSにラベルLの形状に対応した切り込みCを形成するカッター刃55A,55Bとを備えて構成されている。なお、プレスロール50には、圧胴51とのクリアランスを調整する図示しないロール高さ調整機構と、ラベル原反M、保護フィルムFの通紙を容易に行うための図示しないエアシリンダによるロール昇降機構が設けられている。
【0030】
前記カッター刃55A、55Bは、プレスロール50が一回転することにより、二枚のラベルLに対応した切り込みCを所定間隔を隔てて形成するように設けられている。各カッター刃55A,55Bは、その先端(刃先)がプレスシート54の面高さよりも若干低い位置に設定され、プレスシート54による保護フィルムFの貼付圧力不足が生じないように設けられている。なお、本実施形態においては、図2に示されるように、ラベルLを形成した際に、剥離シートSにはラベルLの一部外縁にシート捲り代として作用する突片S1を形成することができるように、カッター刃55A,55Bは、一部の刃の高さが相対的に低くなる領域を含む形状に設けられている。
【0031】
前記カッター刃55A,55Bとの間には、周方向に沿う所定領域に刃不存在領域60が略180度対称領域に設けられている。この刃不存在領域60におけるプレスシート54は、カッター刃55A,55Bの刃先の高さよりも低くなるように肉薄に設けられ、これにより、図3に示されるように、一方の刃不存在領域60が圧胴51側に対向し、プレスロール50の回転が停止している状態としたときに、ラベル原反M及び保護フィルムFが素通りできるように設けられている。本実施形態では、前述した印字不良がセンサ15で検出されたときに、当該センサ15がプレスロール50を回転駆動するための図示しないモータを一時的に停止させる信号を付与する制御を行うことで、印字不良の領域にラベルLに対応した切り込みCを形成することがなく、印字不良の領域を含んだまま巻取部22で巻き取りできるように構成されている。なお、プレスロール50は、印字不良がセンサ15で検出されたときに、前述した図示しないエアシリンダによるロール昇降機構を利用して軸心位置を上方に変位させて切り込みCを形成することがないように設けてもよい。
【0032】
前記プレート材20は先端が鋭角な形状に設けられており、巻取部22による巻き取り力により、ラベルLが順次抜き出しできるようになっている。
【0033】
前記巻取部22は、巻取ロール70と、この巻取ロール70よりも上流側において、モータM2によって回転駆動される巻取駆動ロール71と、当該巻取駆動ロール71との間にラベルLが抜き出されたラベル原反M及び保護フィルムFをピンチするピンチロール72と、前記プレート材20の下方に配置されたガイドロール73とを備えて構成されている。なお、巻取ロール70は、モータM2の図示しない出力軸に滑りベルト等を介して連結されており、これにより、巻取駆動ロール71と同期して回転可能となっている。
【0034】
次に、本実施形態におけるラベル製造方法について、図4をも参照しながら説明する。ここでは、プリンタ10に図示しない搬送路が併設され、当該搬送路には、ラベルLが一枚ずつ貼付される被着体が順次搬送されているものとする。また、プリンタ10から排出される各ラベルLは、作業者によって剥離シートSを剥がして一枚ずつ被着体に手貼りされ、被着体毎に異なる印字情報はプリンタ10の入力装置を介して入力されているものとする。
【0035】
初期作業において、保持ロール24に保持されているラベル原反Mを引き出して貼付部18を通過させると同時に、保護フィルムFを剥離フィルムから剥離して貼付部18を通過させて相互に積層し、そのリード端を巻取ロールに固定しておく。また、剥離フィルムFのリード端はフィルム巻取ロールに固定した後、電源を投入して所定量の巻き取りを行って初期化作業を完了させる。
【0036】
図示しない制御装置のスイッチをONさせることで、ラベル原反Mと保護フィルムFの繰り出しが開始すると同時に、制御装置による所定のプログラムにより印字情報が印字部14によって印字される。この印字は、印字ヘッド30の直後に位置するセンサ15によって良否が検出される。そして、正常に印字が行われた場合のラベル基材LBは、剥離シートSと共に貼付部18に繰り出された位置で印字面に保護フィルムFが貼付され、同時に、カッター刃55A又は55Bによって印字領域を囲むように切り込みCが形成される(図4参照)。
【0037】
この一方、センサ15が印字不良を検出したときは、図3に示されるように、プレスロール50は、刃不存在領域60が圧胴51に対向した位置で停止したままカッター刃55A又は55Bによる切り込みが形成されないように保たれ、ラベル原反Mと保護フィルムFとを素通りさせる。そして、次の印字情報を印字することなく、印字不良とされた同一の印字情報を含む印字が再度正常に行われたときに、プレスロール50が回転することで切り込みCが形成されて前方に繰り出されることとなる。なお、図示しないロール昇降機構を利用して、プレスロール50の軸心を上方に変位させて切り込みCの形成を保留するようにしてもよい。
【0038】
印字が適切に行われ、保護フィルムFの貼付と切り込みCの形成が行われたラベルLは、プレート材20を通過する際に前方に向けて抜き出され、プリンタ10の外側に排出されて作業者に受け取られる。そして、作業者は、受け取ったラベルLから剥離シートSの突片S1を摘んで容易且つ迅速に剥離して被着体に貼付することができる。
【0039】
従って、このような実施形態によれば、印字面を保護フィルムFで保護するのと同時に、ラベルLの形状に対応した切り込みCの形成を行うことができるので、保護フィルムFの貼付用ロールと、切り込みCを形成するダイカットロールとを別々に設ける必要がなく、ラベルL若しくはラベル原反Mの繰出方向に沿う部品配置用のスペースを短く設定することができ、各ラベル間ピッチが短く設定されてラベル基材の無駄な消費を回避できるとともに、プリンタ10を小型化することが可能となる。
しかも、印字の不良が検出されたときに、次の印字情報の印字を行うことなく、不良と判定された印字情報の印字を再び行う構成であるため、搬送路上を搬送される被着体の順番に従ってラベルLの貼付を行うことが可能となり、貼付ミスを回避しつつ作業効率の飛躍的な向上を図ることができる。
【0040】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0041】
[第2実施形態]
図5には、本発明の第2実施形態に係るプリンタ10の概略正面図が示されている。この第2実施形態は、インキリボンを用いることなくラベル基材LBに印字が行えるように設けたところに特徴を有する。すなわち、この実施形態では、ラベル基材LBが感熱紙により構成されており、印字ヘッド30により所定パターンの熱をラベル基材LBに加えることによって印字が行えるものとなっている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
このような第2実施形態によれば、インキリボンを利用することがないので、リボンの繰り出し、巻き取りを行うロールなどを省略して構成の簡易化を達成できるとともに、リボン掛け回し作業等を行う必要を一掃することができる。なお、感熱紙の場合、表面が何らかの要因で擦れることにより、その発熱作用で印字面の明瞭性を喪失する場合があるが、本実施形態では、保護フィルムFが貼付されているので、常に安定した明瞭性を維持することができる。
【0042】
[第3実施形態]
図6には本発明に係る第3実施形態が示されている。この実施形態は、保護フィルムFの裏面に剥離フィルムを有しないものを採用したものである。これにより、保護フィルムFに剥離フィルムがない分ランニングコストを低減できる上、フィルム巻取ロール45が不要となるため、装置をコンパクトにできる。その他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0043】
[第4実施形態]
図7には本発明の第4実施形態が示されている。この実施形態は、プリンタ10におけるケース11の側壁に、ラベル貼付装置80を設けたところに特徴を有する。このラベル貼付装置80は、シリンダ81と、当該シリンダ81の下部に設けられた吸着ヘッド82とを備えて構成されている。吸着ヘッド82は、ケース11のラベル排出口11Aの延長線に沿って位置するようになっており、当該ラベル排出口11Aより排出されたラベルLを吸着し、下方位置を搬送される図示しない被着体の被着面にラベルLを貼付できるように設けられている。なお、この実施形態では、プレスロール50による切り込みCの形成深さが剥離シートSの上面までとされ、剥離シートSは抜き取られることなく巻取部22に全て巻き取られるものとなり、プレート材20は、ピールプレートとして作用することとなる。また、この実施形態は、機械による自動貼付であるため、ラベルLを形成した際に、剥離シートSの一部外縁にシート捲り代として作用する突片S1を形成する必要はなく、カッター刃55A,55Bには、一部の刃の高さが相対的に低くなる領域はない。その他の構成は、第1実施形態と同一である。
従って、この実施形態では、作業者によるラベル貼付に代えて、自動的にラベルLの貼付を行うことが実現でき、プリンタ10にラベル貼付機能を付与することができる。
【0044】
[第5実施形態]
図8には本発明の第5実施形態が示されている。この実施形態は、前述した印字部14と略同様の構成をなす補助印字部85を剥離シートS側に設けたところに特徴を有する。従って、補助印字部85には、前記印字部14と同一の参照符号を付して説明を省略する。この補助印字部85は、ラベル基材LBに印字される情報と同じ、または別個の補助的な印字、例えば、製造元で使用する管理用のバーコード等の印字を行うものであり、後で製品管理等の集計に必要なデータであってもよい。なお、補助印字部85の直近下流側に印字を検出するセンサを設けることもでき、これにより、前記実施形態における印字部14の印字検出と同様の作用を奏するように設けてもよい。
【0045】
[第6実施形態]
図9には本発明の第6実施形態が示されている。この実施形態は、第1実施形態における巻取部22を省略する一方、ラベル基材LBに貼付された保護フィルムFのラベル形成領域の外側をカスとして巻き取る巻取ロール90を別途に設け、貼付部18を経過した剥離シートSをシートカッター91で切断してラベルLを形成できるようにしたものである。また、プレート材20は、カッター受け台として作用するように設けられている。この場合、プレスロール50は、保護フィルムFの貼付用ロールと、切り込みCを形成するダイカットロールの役割に加え、カス巻き上げロールとしての役割をも果たすこととなる。その他の構成は実質的に第1実施形態と同一である。
第6実施形態では、ラベルLは、図9(B)に示されるように略方形の剥離シートSの中央部にラベルLが保護フィルムFで保護された状態のものとなる。

【0046】
[第7実施形態]
図10には本発明の第7実施形態が示されている。この実施形態は、印字部14に非接触型印字装置、例えば、インクジェットプリンタ95を設けたところに特徴を有する。このような実施形態によっても第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、材料、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それら形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0048】
例えば、前記実施形態では、印字不良が検出されたときに、図示しない警報装置を介して音による報知を行うようにすることができる他、別途のスタンプ装置を設けて不良印字面に不良を示す適当なマークを付する構成を採用してもよい。
【0049】
また、プレスロール50に設けたカッター刃55A,55Bの数は前記実施形態に限定されるものではなく、一回転で得られるラベルの数を更に増加させることもできる。
【0050】
更に、プレスロール50のロール本体52に巻装された軟質部材は特に限定されるものではなく、一定の貼付圧力を付与しつつ厚み方向に圧縮変形可能なものであれば足りる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態に係るプリンタの概略正面図。
【図2】図1の要部を拡大した概略斜視図。
【図3】カッター刃が切り込み形成しない位置を示す貼付部の拡大正面図。
【図4】カッター刃が切り込み形成している状態示す貼付部の拡大正面図。
【図5】第2実施形態に係るプリンタの概略正面図。
【図6】第3実施形態に係るプリンタの概略正面図。
【図7】第4実施形態に係るプリンタの概略正面図。
【図8】第5実施形態に係るプリンタの概略正面図。
【図9】(A)は第6実施形態に係るプリンタの概略正面図、(B)は同実施形態で得られるラベルの概略斜視図。
【図10】第7実施形態に係るプリンタの概略正面図。
【符号の説明】
【0052】
10 プリンタ
12 繰出部
14 印字部
16 フィルム供給部
18 貼付部
22 巻取部
30 印字ヘッド
50 プレスロール
51 圧胴
52 ロール本体
55A,55B カッター刃
C 切り込み
LB ラベル基材
F 保護フィルム
S 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール本体の外周に軟質部材を巻装するとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃を配置したロールであって、
ラベル基材に保護フィルムを貼付すると同時にラベル形状に切り込みを形成することを特徴とするロール。
【請求項2】
前記カッター刃の高さは前記軟質部材の表面高さ位置よりも低く設定され、前記軟質部材が圧縮力を受けたときにカッター刃で前記切り込みが形成されることを特徴とする請求項1記載のロール。
【請求項3】
前記ロールは、前記カッター刃の一部高さが相対的に低くなる領域を含む形状に設けられてラベルの一部外縁にシート捲り代として作用する突片を形成することを特徴とする請求項1又は2記載のロール。
【請求項4】
剥離シートの一方の面にラベル基材が仮着された帯状のラベル原反を繰り出す繰出部と、この繰出部からラベル原反を繰り出す途中で前記ラベル基材の表面に印字を行う印字部と、前記ラベル基材の印字面側に帯状の保護フィルムを供給するフィルム供給部と、前記保護フィルムをラベル基材に貼付する貼付部とを備えたプリンタにおいて、
前記貼付部はプレスロールと当該プレスロールに対向する圧胴とを含み、
前記プレスロールは、ロール本体の外周部分に軟質部材が巻装されるとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃が配置され、
前記ラベル原反及び保護フィルムが前記貼付部を通過するときに、前記印字面側に保護フィルムが貼付されると同時に、所定のラベル形状に対応した切り込みが形成されることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
前記印字部は、ラベル毎に個体識別可能な印字情報を印字することを特徴とする請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
前記印字部の下流側にセンサが配置され、当該センサが印字不良を検出したときに、次の印字情報を印字することなく前記印字不良と判定された時の印字情報を印字することを特徴とする請求項4記載のプリンタ。
【請求項7】
前記カッター刃は前記ロール本体の外周部分に複数設けられ、当該ロール本体の一回転で複数のラベルが形成されることを特徴とする請求項4ないし6の何れかに記載のプリンタ。
【請求項8】
前記センサが印字不良を検出したときに、前記プレスロールの回転駆動を一時的に停止させて印字不良の領域に前記切り込みを形成することなく印字不良の領域を含んだまま、前記剥離シート、ラベル原反及び保護フィルムを巻き取ることを特徴とする請求項7記載のプリンタ。
【請求項9】
前記プレスロールは、印字不良が前記センサで検出されたときに、その軸心を変位させて前記切り込みを形成することがないように保たれることを特徴とする請求項7又は8記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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