説明

ロール状シート原反の裁断装置

【課題】裁断時に裁断刃が横滑りを起こしてシートが位置ズレを起こすのを防止する。
【解決手段】ロール状シート原反の裁断装置1は、ロール状に巻かれたシート原反2を送り出すシート送出手段3と、シート送出手段3によって送り出されてきたシート原反2を伸ばして支持するシート支持テーブル4と、シート送出手段3により送り出されたシート原反2の先端部の位置決めを行うシート位置決め手段5と、シート位置決め手段5により先端部を位置決めされたシート原反2を一定の長さに裁断するシート裁断手段6と、を備えている。シート裁断手段6は、裁断刃7と、裁断刃を取付けた裁断刃支持アーム8と、裁断刃支持アーム8を介して裁断刃7をシート原反2を裁断する裁断位置と待機位置との間で移動させる駆動機構9と、を備えている。裁断刃7は、裁断刃支持アーム8に第1のバネ11によって裁断刃支持アーム8の移動方向に逃げ移動可能に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたシート原反を一定量づつ送り出して一定の長さに裁断ずるロール状シート原反の裁断装置、特に、積層型電気二重層キャパシタに使用するセパレータや分極基板等を、ロール状に巻かれたシート原反から裁断して形成するのに使用して好適なロール状シート原反の裁断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電気二重層キャパシタとして、図5に示すものが知られている。前記積層型電気二重層キャパシタ101は、電解液を含浸させた一対の活性炭電極102,103の間にセパレータ104を挟んで成る複数のセル105…105を分極板106を介して積層し、これらセル105,105の間にセル間パッキン107を介在させて上,下部を集電極板108及びエンドプレート109で挟んで締付ボルト110で締め付けてセル積層体111を構成することにより構成されている。(例えば特許文献1)。
【0003】
積層型電気二重層キャパシタは、ロススペースが少なくコンパクトな形状に形成でき、蓄電エネルギーの高密度化が期待できる。特に、積層型電気二重層キャパシタは、使用する電圧の上限を上げるために積層数を増加させる傾向にある。従って、使用するセパレータ104や分極板106の枚数も多くなり、これらセパレータ104や分極板106を効率的に製造することが要求される。前記セパレータ104や分極板106は、長尺に形成されロール状に巻かれたシート状原反を一定の長さに裁断することにより形成されている。
【0004】
ところで、ロール状に巻かれたシート原反を裁断する装置として、例えば、図6に示すものが知られている。この装置201は、包装箱製造装置であって、ロール状に巻回した材料紙202を印刷機構203、裁断機構204に向けて送り出して供給する供給機構205と、裁断機構204に近接して設置され該裁断機構204に送り込まれた材料紙202を定位置に一時停止させる基準となる位置決めガイド206とを備えている。前記供給機構205は、ロール軸に供給モータを連結することにより構成されていて、材料紙202をロール軸に巻回してロール軸の回転により材料紙202を連続的に送出し供給する。(例えば特許文献2)。
【0005】
図6に示す装置201は、包装箱製造装置であって、これを積層型電気二重層キャパシタに使用するセパレータや分極板を裁断する装置としてそのまま適用することはできない。
【0006】
セパレータや分極板を形成するためのロール状シート原反の裁断装置として、特許出願は為されていないが、図7に示すものが知られている。このロール状シート原反の裁断装置301は、ロール状に巻かれたシート原反302を送り出すシート送出手段303と、該シート送出手段303によって送り出されてきたシート原反302を直線状に伸ばして支持するシート支持テーブル304と、前記シート送出手段303により前記シート支持テーブル304上に送り出されてきたシート原反302の先端部302aの位置決めを行うシート位置決め手段305と、該シート位置決め手段305により先端部を位置決めされたシート原反302を所定の長さに裁断するシート裁断手段306と、を備えている。前記シート裁断手段306は、裁断刃307と、該裁断刃307を取付けた裁断刃支持アーム308と、該裁断刃支持アーム308を介して前記裁断刃307を前記シート支持テーブル304上のシート原反302を裁断する裁断位置と該裁断位置から上昇した待機位置との間で移動させる駆動機構309と、を備えている。前記駆動機構309は、昇降ガイド支柱310に沿って前記裁断刃支持アーム308を図示省略のラックANDピニオンや油圧シリンダ等により昇降させるようになっている。そして、前記シート送出手段303により前記シート支持テーブル304上に送り出されてきたシート原反302の先端部302aを前記シート位置決め手段305で位置決めした後に、前記裁断刃307で一定の長さに裁断するようになっている。
【特許文献1】特開2003−217988号公報(段落0002、段落0004、段落0006等)
【特許文献2】特開2002−86596号公報(段落0007、段落0008、段落0016等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図7に示す従来のロール状シート原反の裁断装置301には、次に述べるような課題があった。
(1)シート原反302を裁断した後に前記裁断刃307の刃先307aが当たる部分が磨耗して、図8に示すようにシート支持テーブル304に溝311が穿たれ、該溝311によって裁断刃307の所謂切れが悪くなったり、裁断位置にズレが発生したりする。
(2)前記溝311の発生を防止するために、図9に示すように、前記シート支持テーブル304の前記裁断刃307の刃先307aが当たる部分に、硬質ガラス等の刃受部312を設けた裁断装置321も開発されているが、硬質ガラス等の刃受部312を設けると、裁断時に裁断刃307が横滑りを起こし、シート原反302が位置ズレを起こして裁断ラインが曲線状になってしまうことがある。
(3)前記裁断刃307により一定の長さに裁断したシート原反(製品)を前記シート支持テーブル304上から取り出す作業が面倒である。
【0008】
本発明の目的は、シート支持テーブルに裁断刃の刃先によって溝が穿たれるのを抑制すると共に、裁断刃の刃先を保護することのできるロール状シート原反の裁断装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、裁断時に裁断刃が横滑りを起こしてシート原反が位置ズレを起こすのを防止することのできるロール状シート原反の裁断装置を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の他の目的は、一定の長さに裁断したシート原反をシート支持テーブルから容易に取り出すことのできるロール状シート原反の裁断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、ロール状に巻かれたシート原反を送り出すシート送出手段と、該シート送出手段によって送り出されてきたシート原反を直線状に伸ばして支持するシート支持テーブルと、前記シート送出手段により前記シート支持テーブル上に送り出されてきたシート原反の先端部の位置決めを行うシート位置決め手段と、該シート位置決め手段により先端部を位置決めされたシート原反を所定の長さに裁断するシート裁断手段と、を備え、前記シート裁断手段は、裁断刃と、該裁断刃を取付けた裁断刃支持アームと、該裁断刃支持アームを介して前記裁断刃を前記シート支持テーブル上のシート原反を裁断する裁断位置と待機位置との間で移動させる駆動機構と、を備えたロール状シート原反の裁断装置において、
前記裁断刃を、前記裁断刃支持アームに第1のバネによって前記裁断刃支持アームの移動方向に逃げ移動可能に取付けて、前記シートの裁断後に前記裁断刃の先端が前記シート支持テーブルに設けた刃受部に当たって押されたときに前記裁断刃支持アームに対して前記第1のバネの付勢力に抗して逃げ方向に移動可能にした。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1のロール状シート原反の裁断装置において、前記裁断刃支持アームに、前記裁断刃によって前記シート原反を裁断する際に前記裁断刃を挟んでシート送り方向の上流側と下流側を押さえるシート押さえ部材を設けた。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2のロール状シート原反の裁断装置において、前記シート押さえ部材を、前記裁断刃支持アームに第2のバネによって前記裁断刃支持アームの移動方向に逃げ移動可能に取付けて、前記シート原反を前記シート支持テーブルに押し付けた後に前記第2のバネの付勢力に抗して逃げ方向に移動する構成にした。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3のロール状シート原反の裁断装置において、前記シート支持テーブルを、前記刃受部の近傍の分割部においてシート送り方向の上流側に位置する第1のテーブル部と、シート送り方向の下流側に位置する第2のテーブル部と、に分割すると共に、前記第2のテーブル部のシート送り方向の下流側の端部を、軸部によって回動可能に枢支して、前記シート原反を裁断した後に前記第2のテーブル部を前記軸部を中心にして所定の下り勾配の傾斜角度に傾斜可能にした。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4のロール状シート原反の裁断装置において、前記第2のテーブル部に、該第2のテーブル部を所定の傾斜角度に傾斜させた状態において前記第2のテーブル部上に載置されている裁断されたシート原反の下面にエアーを吹き付けて前記第2のテーブル部上から落下させるエアー吹付機構を設けた。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5のロール状シート原反の裁断装置において、前記第1のテーブル部の下部に、前記所定の傾斜角度に傾斜させた前記第2のテーブル部から滑り落ちてきた裁断されたシート原反を積み重ねて収容するキャスター付きの容器を配置した。
【発明の効果】
【0017】
(1)請求項1のロール状シート原反の裁断装置は、シート原反裁断後に裁断刃の先端がシート支持テーブルに設けた刃受部に当たって押されたときに前記第1のバネの付勢力に抗して逃げ方向に移動して裁断刃の先端の衝撃を弱めて裁断刃を保護すると共に、該裁断刃によってシート支持テーブルに溝ができるのを抑制する。
(2)請求項2のロール状シート原反の裁断装置は、シート裁断時にシート送り方向の上流側と下流側を押さえるシート押さえ部材で押さえてシート原反が位置ズレを起こさないようにした状態でシート原反の裁断を行うことができる。
(3)請求項3のロール状シート原反の裁断装置は、シート押さえ部材でシート原反を押さえると該シート押さえ部材は、第2のバネの付勢力に抗して逃げ移動して、次に裁断刃の先端がシートに当たって該シートを裁断する。
(4)請求項4のロール状シート原反の裁断装置は、シートを一定の長さに裁断した後に、前記第2のテーブル部を前記軸部を中心に回動させて、該第2のテーブル部を下り勾配にすれば、一定の長さに裁断されたシート原反は、前記第2のテーブル部上を滑り落ちて前記第1のテーブル部の下部に取り出される。
(5)請求項5のロール状シート原反の裁断装置は、前記第2のテーブル部を所定の傾斜角度に傾斜させた状態において前記エアー吹付機構により第2のテーブル部上に載置されているシート原反の下面にエアーを吹き付けて第2のテーブル部上から浮き上がらせて該第2のテーブル部との間の摩擦を減少させて、前記シート原反を前記第2のテーブル部上から円滑に滑落させることができる。
(6)請求項6のロール状シート原反の裁断装置は、前記第2のテーブル部から滑り落ちてきたシート原反は、前記第1のテーブル部の下部に配置されているキャスター付きのシート容器に収納される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明のロール状シート原反の裁断装置の側面図、図2はシート支持テーブルの平面図、図3は図2のA−A断面図、図4はシート支持テーブルを構成する第2のテーブル部を傾斜させた状態の側面図である。ロール状シート原反の裁断装置1は、積層型電気二重層キャパシタのセパレータを構成するためのロール状に巻かれたシート原反2を送り出すシート送出手段3と、該シート送出手段3によって送り出されてきたシート原反2を直線状に伸ばして支持するシート支持テーブル4と、前記シート送出手段3により前記シート支持テーブル4上に送り出されてきたシート原反2の先端部の位置決めを行うシート位置決め手段5と、該シート位置決め手段5により先端部を位置決めされたシート原反2を所定の長さに裁断するシート裁断手段6と、を備えている。
【0019】
前記シート裁断手段6は、裁断刃7と、該裁断刃7を取付けた裁断刃支持アーム8と、該裁断刃支持アーム8を介して前記裁断刃7を前記シート支持テーブル4上のシート原反2を裁断する裁断位置と該裁断位置から待機位置に移動させる駆動機構9と、を備えている。前記駆動機構9は、昇降ガイド支柱10に沿って前記裁断刃支持アーム8を図示省略のラックANDピニオンや油圧シリンダ等により昇降させるようになっている。
【0020】
前記裁断刃7は、前記裁断刃支持アーム8に第1のバネ11によって前記裁断刃支持アーム8の矢印A−Bで示す移動方向のうちの矢印Bで示す逃げ方向に移動可能に前記裁断刃支持アーム8に取付けられている。そして、シート裁断後に前記裁断刃7の先端が前記シート支持テーブル4に設けた硬質ガラス等の刃受部12に当たってその反力で押されたときに前記裁断刃支持アーム8に対して前記第1のバネ11の付勢力に抗して逃げ方向に移動するようになっている。
【0021】
前記裁断刃支持アーム8は、前記裁断刃7によって前記シート原反2を裁断する際に前記裁断刃7を挟んで前記シート原反2の送り方向(矢印C方向)の上流側と下流側を押さえる一対のシート押さえ部材13,14を備えている。
【0022】
前記一対のシート押さえ部材13,14は、前記裁断刃支持アーム8に第2のバネ15によって前記裁断刃7と同様に矢印B方向に逃げ移動可能に取付けられている。前記一対のシート押さえ部材13,14は、前記シート原反2を前記シート支持テーブル4に押し付けた後に前記第2のバネ15の付勢力に抗して逃げ方向に移動するようになっている。
【0023】
図1に示すように、待機位置において、前記一対のシート押さえ部材13,14の先端部13a,14aは、前記裁断刃7の先端部7aよりもシート支持テーブル4側に突出している。そして、前記裁断刃支持アーム8が裁断方向に移動すると、先ず、前記一対のシート押さえ部材13,14の先端部13a,14aが前記シート原反2に接触して該シート原反2を押さえる。さらに、前記裁断刃支持アーム8が裁断方向に移動すると、前記一対のシート押さえ部材13,14は、シート原反2を押さえた侭の状態で逃げ移動して、前記裁断刃7の先端部7aがシート原反2に接触して、該シート原反2を裁断する。シート原反2を裁断した後に、前記裁断刃7の先端部7aは、前記硬質ガラス等の刃受部12に当たる。前記裁断刃7が更に押されると前記第1のバネ11の付勢力に抗して逃げ方向に移動する。
【0024】
前記シート支持テーブル4は、前記刃受部12の近傍の分割部21においてシート送り方向(矢印C方向)の上流側に位置する第1のテーブル部22と、シート送り方向の下流側に位置する第2のテーブル部23と、に分割されている。前記刃受部12は、第1のテーブル部22側に配置されている。
【0025】
前記第2のテーブル部23は、シート送り方向の下流側の端部が軸部24によって回動可能に枢支されている。図1に示すように、前記第2のテーブル部23は、シート原反2を切断する前はテーブル駆動機構(図示省略)により前記第1のテーブル部22に対して直列(一直線状)に並べた状態に支持されている。そして、シート原反2を切断した後に前記テーブル駆動機構(図示省略)により図4に示すように、前記軸部24を中心にして所定の下り勾配の傾斜角度に傾斜させた状態に支持されるようになっている。
【0026】
前記第2のテーブル部23は、所定の傾斜角度に傾斜させた状態において前記第2のテーブル部23上に載置されている所定の長さに切断された積層型電気二重層キャパシタのセパレータとしてのシート原反2(以下、所定の長さに切断されたシート原反2を単にシート2aと称する)の下面にエアーを吹き付けて該シート2aを前記第2のテーブル部23上から浮き上がらせるエアー吹付機構25を備えている。
【0027】
前記エアー吹付機構25は、エアーポンプ26からエアーパイプ27を介して前記第2のテーブル部23の裏面23aに取付けた面状のエアーガイド28に圧縮されたエアーを送り込んで、前記第2のテーブル部23の裏面23aから表面23bに貫通する多数のエアー孔23c…23cから前記第2のテーブル部23上に載置されているシート2aの下面にエアーを吹き付ける構成になっている。
【0028】
前記第1のテーブル部22の下部には、前記所定の傾斜角度に傾斜させた前記第2のテーブル部23から滑り落ちてきたシート2aを積み重ねて収容するキャスター付きの容器31が配置されている。なお、図2に示すように、前記シート位置決め手段5は、前記第2のテーブル部23に設けられた一対のレール41,42と、該レール41,42に位置移動可能に組付けられたシート当接部(ストッパー)43と、を備えていて、前記シート当接部43を移動させることにより裁断するシートの長さを自由に変えることができるようになっている。図3に示すように、前記一対のレール41,42は、第2のテーブル部23の上面に末広がり状の所謂アリ溝を設けることにより形成されている。一方、前記シート当接部43の下面には、前記アリ溝状のレール41,42に挿入するアリ状の突起44が設けられている。そして、前記アリ溝状のレール41,42にアリ状の突起44を挿入することにより前記シート当接部43は、レール41,42に移動可能に組み付けられていて、該シート当接部43の位置決めを終了した後にアジャストネジ45の締付けを行うことにより前記シート当接部43を移動不可能に固定するようになっている。なお、図2に示すように、前記アリ溝状のレール41,42の一端部には、これらレール41,42よりも幅広のアリ状の突起導入溝46が設けられていて、該溝46から前記アリ状の突起44をアリ溝状のレール41,42内に挿入するようになっている。また、図2に示すように、前記第1のテーブル部22の上面には一対の第1,第2のシートガイド51,52が設けられている。そして、前記シート送出手段3により送り出されてきたシート原反2をフレキシブルな第1のシートガイド51で第2のシートガイド52側に押し付けてシート原反2の幅方向の位置決めを行うようになっている。
【0029】
次に、前記ロール状シート原反の裁断装置1の作用について説明する。先ず、形成しようとするセパレータの長さに合わせて前記シート当接部43の位置を決めて固定する。そして、シート送出手段3によってロール状に巻かれているシート原反2を第1のテーブル部22上に送り出す。第1のテーブル部22上に送り出されたシート原反2は、前記第1のテーブル部22上で一直線状に伸び、かつ前記一対のシートガイド51,52で幅方向の位置決めをされて前記第2のテーブル部23側に送られてきて、その先端部が前記シート当接部43に当接して位置決めされる。
【0030】
次に、前記シート裁断手段6の駆動機構9で裁断刃支持アーム8を裁断位置に向けて下降させる。裁断刃支持アーム8を下降させると、前記一対のシート押さえ部材13,14の先端部13a,14aが前記シート原反2に接触して該シート原反2を押さえる。さらに、前記裁断刃支持アーム8を裁断方向に向けて移動させると、前記一対のシート押さえ部材13,14は、シート原反2を押さえた侭の状態で逃げ移動して、今度は前記裁断刃7の先端部7aがシート原反2に接触して、該シート原反2を裁断する。シート原反2を裁断した後に、前記裁断刃7の先端部7aは、前記硬質ガラス等の刃受部12に当たる。前記裁断刃7の先端部7aが硬質ガラス等の刃受部12に当たり押されると、前記裁断刃7は、前記第1のバネ11の付勢力に抗して逃げ方向に移動して、裁断刃7の刃先7aが前記硬質ガラス等の刃受部12に不必要に強く当たるのを防止して裁断刃7の刃先7aがダメージを受けるのを防止する。
【0031】
次に、前記シート裁断手段6の駆動機構9で裁断刃支持アーム8を待機位置に移動させる。そして、前記第2のテーブル部23を前記軸部24を中心に回動させさせると、前記シート2aの一端部は前記第1のテーブル部22の刃受部12に引っ掛って、図3の1点鎖線で示すように自重で撓んだ後に、前記第2のテーブル部23上に再び載置される。そして、前記第2のテーブル部23を所定の下り勾配の傾斜角度に傾斜させた後に前記エアー吹付機構25によって、前記シート2aの下面側にエアーを吹き付ければ、前記シート2aは、自重で前記第2のテーブル部23上を滑るように落下して、前記第1のテーブル部22の下部に配置されているキャスター付きの容器31内に収納される。該キャスター付きの容器31内に所定の枚数のシート2aが収納されたらキャスター付きの容器31と共にシート2を前記第1のテーブル部22の下部から取り出す。なお、前記実施例では、シート原反2を裁断した後に前記第2のテーブル部23を傾斜させると裁断されたシート2aの一端部が自重で撓んで前記第2のテーブル部23上に落下するようにしたが、シート2aが撓み難いものである場合には、前記第2のテーブル部23を第1のテーブル部22から離れる方向(矢印C方向)に水平移動させて、シート2aを前記刃受部12に対して非接触状態にしてから、前記第2のテーブル部23を傾斜させる構成にしてもよい。また、本発明のロール状シート原反の裁断装置は、積層型電気二重層キャパシタのセパレータを裁断する場合に限らず、分極板を裁断する場合などシート状原反を裁断する場合に広く用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の側面図(第2のテーブル部を傾斜させる前)。
【図2】本発明のシート支持テーブルの平面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】本発明の側面図(第2のテーブル部を傾斜させた後)。
【図5】積層型電気二重層キャパシタの断面図。
【図6】従来例の説明図。
【図7】他の従来例の説明図。
【図8】従来例の問題点を示す説明図。
【図9】他の従来例の説明図。
【符号の説明】
【0033】
1…ロール状シート原反の裁断装置
2…シート原反
3…シート送出手段
4…シート支持テーブル
5…シート位置決め手段
6…シート裁断手段
7…裁断刃
8…裁断刃支持アーム
9…駆動機構
11…第1のバネ
12…硬質ガラス等の刃受部
13,14…一対のシート押さえ部材
15…第2のバネ
21…シート支持テーブルの分割部
22…第1のテーブル部
23…第2のテーブル部
24…軸部
25…エアー吹付機構
31…キャスター付きの容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたシート原反を送り出すシート送出手段と、該シート送出手段によって送り出されてきたシート原反を直線状に伸ばして支持するシート支持テーブルと、前記シート送出手段により前記シート支持テーブル上に送り出されてきたシート原反の先端部の位置決めを行うシート位置決め手段と、該シート位置決め手段により先端部を位置決めされたシート原反を所定の長さに裁断するシート裁断手段と、を備え、
前記シート裁断手段は、裁断刃と、該裁断刃を取付けた裁断刃支持アームと、該裁断刃支持アームを介して前記裁断刃を前記シート支持テーブル上のシートを裁断する裁断位置と待機位置との間で移動させる駆動機構と、を備え、
前記裁断刃は、前記裁断刃支持アームに第1のバネによって前記裁断刃支持アームの移動方向に逃げ移動可能に取付けられていて、前記シート原反の裁断後に前記裁断刃の先端が前記シート支持テーブルに設けた刃受部に当たって押されたときに前記裁断刃支持アームに対して前記第1のバネの付勢力に抗して逃げ方向に移動することを特徴とするロール状シート原反の裁断装置。
【請求項2】
前記裁断刃支持アームは、前記裁断刃によって前記シート原反を裁断する際に前記裁断刃を挟んでシート送り方向の上流側と下流側を押さえるシート押さえ部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載のロール状シート原反の裁断装置。
【請求項3】
前記シート押さえ部材は、前記裁断刃支持アームに第2のバネによって前記裁断刃支持アームの移動方向に逃げ移動可能に取付けられていて、前記シート原反を前記シート支持テーブルに押し付けた後に前記第2のバネの付勢力に抗して逃げ方向に移動することを特徴とする請求項2に記載のロール状シート原反の裁断装置。
【請求項4】
前記シート支持テーブルは、前記刃受部の近傍の分割部においてシート送り方向の上流側に位置する第1のテーブル部と、シート送り方向の下流側に位置する第2のテーブル部と、に分割されていて、前記第2のテーブル部は、シート送り方向の下流側の端部が軸部によって回動可能に枢支されていて、前記シートを裁断した後に前記第2のテーブル部を前記軸部を中心にして所定の傾斜角度に傾斜可能になっていることを特徴とする請求項3に記載のロール状シート原反の裁断装置。
【請求項5】
前記第2のテーブル部は、所定の傾斜角度に傾斜させた状態において前記第2のテーブル部上に載置されているシート原反の下面にエアーを吹き付けて前記第2のテーブル部上から落下させるエアー吹付機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載のロール状シート原反の裁断装置。
【請求項6】
前記第1のテーブル部の下部に、前記所定の傾斜角度に傾斜させた前記第2のテーブル部から滑り落ちてきた一定の長さに裁断されたシート原反を積み重ねて収容するキャスター付きの容器を配置したことを特徴とする請求項5に記載のロール状シート原反の裁断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−73802(P2008−73802A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255264(P2006−255264)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】