説明

ロール紙の残量検出装置及びプリンタ

【課題】プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とで取付位置を変更することなく、簡単な構成で、ロール紙の残量を検出できるようにする。
【解決手段】ロール紙の端面に当接する第1及び第2の凸部26a、26bを有し、ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて第1の凸部26aがロール紙の筒状巻芯内に挿入され、或いは、第2の凸部26bがロール紙の端面から外れることにより動作するアーム26と、このアームの動作に基づいてロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、POSプリンタで用いられるロール紙の残量を検出する残量検出装置及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプリンタには、例えば、テーブル上に設置されたり、壁面に掛けて設置されるなど、その設置姿勢を選択できるものがある。
【0003】
このプリンタは、ロール紙を収納するホッパを有し、このホッパにはプリンタがテーブル設置された場合にロール紙を保持する第1の凹部、また、壁掛け設置された場合にロール紙を保持する第2の凹部が設けられている。
【0004】
第1或いは第2の凹部に保持されたロール紙は、消費により残量が低下するが、残量が所定量以下になると、残量検出手段により検出されて交換が促されるようになっている。
【0005】
しかしながら、従来においては、プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とで、残量検出手段の取付位置を変更する必要があり、手間取るものとなっている。
【0006】
そこで、プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とで、残量検出手段の位置を変更することなく、そのアームの端部に突設した凸部をロール紙のスプロケットに嵌合させてロール紙の残量を検出できるようにしたものが開発されている。
【0007】
しかしながら、従来においては、アームの凸部をスプロケットの穴径に適合させるためにカム式の調整部材を必要としていたため、構成的に複雑化してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3480225号公報
【特許文献2】特表2007−518642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とで取付位置を変更することなく、簡単な構成で、ロール紙の残量を検出できるようにしたロール紙の残量検出装置及びプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、実施の形態は、長尺紙を筒状巻芯に巻回してなるロール紙の外周面を設置姿勢に応じて支える載置部を有するロール紙収納部と、このロール紙収納部の前記載置部に連続的に形成され、前記ロール紙が消費されて所定の巻径になるのに基づいて自重で落下する前記ロール紙を収容する第1及び第2の凹部と、前記ロール紙収納部の近傍に設けられた取付フレームと、この取付フレームに支持され、前記ロール紙の端面に当接する第1及び第2の凸部を有し、前記ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて前記第1の凸部が前記ロール紙の前記筒状巻芯内に挿入され、或いは、前記第2の凸部が前記ロール紙の端面から外れることにより動作するアームと、このアームの動作に基づいて前記ロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態であるテーブル設置されたプリンタを示す側断面図。
【図2】図1のプリンタが壁掛け設置された状態を示す図。
【図3】図1のロール紙が消費されてホルダの第1の凹部内に収納された状態を示す図。
【図4】図2のロール紙が消費されてホルダの第2の凹部内に収納された状態を示す図。
【図5】図3、図4のロール紙の残量を検知する残量検知装置を示す斜視図。
【図6】図5の残量検知装置を異なる角度から示す斜視図。
【図7】図5の残量検知装置が図3のロール紙の残量を検知した状態を示す図。
【図8】図5の残量検知装置が図4のロール紙の残量を検知した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施の形態であるプリンタの内部構造を示す側断面図である。
【0014】
このプリンタは、ロール状に巻回された長尺紙に情報を印字するもので、横長又は縦長の設置姿勢の選択が可能なプリンタ本体1を備えている。プリンタ本体1はテーブル上に設置しても、壁面にかけて設置しても自由である。図1は横長の設置姿勢でテーブル上に設置した場合を示し、図2は縦長の設置姿勢で壁掛け設置した場合を示す。
【0015】
すなわち、プリンタ本体1の幅の広い一辺2はプリンタ本体1を横長の設置姿勢で机上に設置する場合、或いは壁掛け設置する場合の取付部3とされている。
【0016】
また、プリンタ本体1はヒンジ6を中心に開閉可能なカバー7を備え、その内部にはロール紙8を収納するロール紙収納部としてのホッパ9と、印字部10とが設けられている。ロール紙8は、筒状巻芯8aに長尺紙である感熱紙8bをロール状に巻回してなるものである。なお、カバー7には、巻径が最大のときのロール紙8に余裕をもたせるために、円弧状の膨出面7aが形成されている。
【0017】
印字部10はプラテンモータで回転されるプラテン12と、このプラテン12にヘッドスプリング13の付勢力により圧接されるサーマルヘッド14とにより構成されている。
【0018】
印字部10の下流側には、カッタモータで駆動されるカッタ16とカッタ16のホームポジションを検出するカッタホームポジションセンサ17が設けられている。
【0019】
印字部10の上流側には、ホッパ9とプラテン12との間に位置して用紙有無を検出するペーパエンドセンサ19が設けられている。
【0020】
また、プラテン12の上部側には、カバー7の開閉を検出するカバーオープンセンサ20が設けられている。
【0021】
上記したホッパ9は、ロール紙8の外周面を支える載置部9aを備えている。
【0022】
この載置部9aは、図1に示すように、第1の取付部3を下にしてプリンタ本体1を横置きの設置姿勢でテーブル上に設置した場合、或いは第1の取付部3を垂直にして壁掛け設置した場合の何れにおいても、ロール紙8の外周面を鉛直方向に作用する自重に抗して支えることができるようになっている。
【0023】
そして、この載置部9aには第1の凹部22と第2の凹部23とが連続的に形成されている。これら第1及び第2の凹部22,23は、感熱紙8bの消費が進行してロール紙8の巻径が一定以下になったときに、そのロール紙8を自重により落下させて収納できるようになっている。
【0024】
上記した構成において、印刷時にはプラテン12の回転により感熱紙8bが送り出され、この感熱紙8bにサーマルヘッド14より印字情報が印字される。この印字された感熱紙8bは所定距離送り出されると、カッタ16によりカットされて排出される。
【0025】
この印字動作により感熱紙8bが消費されるとロール紙8の巻径が縮小し、プリンタ本体1を横置きの設置姿勢でテーブル上に設置した場合には、図3に示すように、ホッパ9の第1の凹部22内にロール紙8が収納され、プリンタ本体1を壁掛け設置した場合には、図4に示すように、ホッパ9の第2の凹部23内にロール紙8が収納される。
【0026】
ところで、上記したプリンタ本体1の内部には、図5及び図6に示すような、ロール紙8の残量を検出するための残量検出装置24が設けられている。図5及び図6は、異なる角度から残量検出装置24を示している。
【0027】
残量検出装置24は、取付部材としての取付フレーム25を備え、この取付フレーム25の下端部は、プリンタ本体1の内底面部に固定されている。取付フレーム25の上部側には、支持機構29を介してアーム26がロール紙8の端面に対して接離する方向(第1の方向)にスライド自在に取り付けられている。アーム26は、図示しないスプリングによってロール紙8の端面に向かって弾性的に付勢されている。アーム26は略T字状に形成され、その一端部側が支持機構29に支持され、他端部側には所定間隔を存して第1の凸部26a及び第2の凸部26bが突設されている。これら第1及び第2の凸部26a,26bは、ロール紙8の端面に向かって突設され、上記ホッパ9の側壁に穿設される第1及び第2の穴部(図7に示す)9a,9b内に挿入されるようになっている。
【0028】
また、第1の凸部26aは、ロール紙8の残量が所定量以下になると、ロール紙8の筒状巻芯8a内に挿入し、第2の凸部26bはロール紙8の端面から外れるようになっている。
【0029】
アーム26は、その第1及び第2の凸部26a,26bがロール紙8の端面に当接されることにより、スプリングの付勢力に抗してロール紙8の端面から離れる方向に移動する。また、アーム26は、第1の凸部26aがロール紙8の筒状巻芯8a内に挿入され、或いは、第2の凸部26bがロール紙8の端面から外れるのに基づいてスプリングの付勢力によりロール紙8の端面に近づく方向に移動するようになっている。
【0030】
一方、取付フレーム25には検知手段としての検知センサ31が設けられ、この検知センサ31は、アーム26の移動によってオン、オフされるようになっている。
【0031】
すなわち、アーム26は、第1及び第2の凸部26a,26bを有する面と反対側の面に突起部(図示しない)を突設し、ロール紙8の端面から離れる方向に移動することにより、突起部を検知センサ31に押し付けてオフ状態とし、また、ロール紙8の端面に近づく方向に移動することにより、突起部を検知センサ31から離して押圧を解除してオン状態にする。
【0032】
さらに、取付フレーム25には、調整手段としての調整スクリュー27が設けられている。この調整スクリュー27には連結部材28を介して支持機構29が接続され、調整スクリュー27の正逆回転によりアーム26を上下方向(第2の方向)に移動して第1及び第2の凸部26a,26bの位置を調整できるようになっている。
【0033】
次に、上記したロール紙8の残量検知動作について説明する。
【0034】
ロール紙8の装填時には、アーム26の第1及び第2の凸部26a,26bがロール紙8の端面に当接され、アーム26はスプリングの付勢力に抗してロール紙8の端面から離れる方向に移動する。この移動により、検知センサ31がアーム26の突起部(図示しない)により押圧されてオフ状態となる。
【0035】
この状態から、印字動作が行われてロール紙8が消費されてその巻径が縮小すると、テーブル設置時には、ホッパ9の第1の凹部22内に収容され、壁掛け設置時には、ホッパ9の第2の凹部23内に収容される。この状態からロール紙8がさらに消費されてその残量が所定量以下になると、テーブル設置時には、図7に示すように、第1の凸部26aがロール紙8の筒状巻芯8a内に挿入され(このとき、第2の凸部26bはロール紙8の端面から外れている)、壁掛け設置時には、図8に示すように、第2の凸部26bがロール紙8の端面から外れる(このとき、第1の凸部26aはロール紙8の端面から外れている)。
【0036】
これにより、アーム26がロール紙8の端面に近接する方向に移動し、アーム26の突起部(図示しない)が検知センサ31から離れ、検知センサ31がオン状態となる。この検知センサ31のオンにより、ロール紙8の残量が所定量以下であることが検知されて表示部に表示され、オペレータにロール紙8の交換を促すことになる。
【0037】
上記したように、この実施の形態によれば、プリンタのテーブル設置時、及び壁掛け設置時のいずれの設置時においても、残量検出装置24を移動させることなく、ロール紙の残量を検知でき、手間取ることがない。
【0038】
また、テーブル設置時には、アーム26の第1の凸部26aをロール紙8の筒状巻芯8a内に挿入し、壁掛け設置時には、アーム26の第2の凸部26aをロール紙8の端面から外すことによりアーム26を動作させてロール紙8の残量を検出するため、アーム26の凸部26aを筒状巻芯8aの穴径に適合させるためにカム式の調整部材などを特別に必要とすることもなく、構成的に簡略化できる。
【0039】
さらに、テーブル設置時には、アーム26の第1の凸部26aをロール紙8の筒状巻芯8a内に挿入するため、ロール紙8の繰り出し時におけるバタツキも確実に防止することができる。
【0040】
また、テーブル設置時及び壁掛け設置時のいずれの設置時においても、1個のアーム26のみで検知センサ31を動作させることができ、アクチュエータの構造を簡略化できる。
【0041】
また、調整スクリュー27でアーム26を上下動させるだけで、テーブル設置時、及び壁掛け設置時におけるロール紙8の残量検知位置を同時に調整でき、調整作業が容易となる。
【0042】
なお、上記した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…プリンタ本体,3,5…取付部、10…印字部、8…ロール紙、8a…感熱紙(長尺紙)、9…ホッパ(ロール紙収納部)、9a…載置部、10…印字部、22…第1の凹部、23…第2の凹部、25…取付フレーム、26a,26b…第1及び第2の凸部、26…アーム、27…調整スクリュー(調整手段)、31…検知センサ(検知手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺紙を筒状巻芯に巻回してなるロール紙の外周面を設置姿勢に応じて支える載置部を有するロール紙収納部と、
このロール紙収納部の前記載置部に連続的に形成され、前記ロール紙が消費されて所定の巻径になるのに基づいて自重で落下する前記ロール紙を収容する第1及び第2の凹部と、
前記ロール紙収納部の近傍に設けられた取付フレームと、
この取付フレームに支持され、前記ロール紙の端面に当接する第1及び第2の凸部を有し、前記ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて前記第1の凸部が前記ロール紙の前記筒状巻芯内に挿入され、或いは、前記第2の凸部が前記ロール紙の端面から外れることにより動作するアームと、
このアームの動作に基づいて前記ロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段と
を具備することを特徴とするロール紙の残量検出装置。
【請求項2】
前記アームは、前記ロール紙の端面に対し接離する第1の方向に移動自在に支持され、かつ、前記ロール紙の端面に向かって弾性的に付勢されることを特徴とする請求項1記載のロール紙の残量検出装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記アームがその第1及び第2の凸部を前記ロール紙の端面に対して接離するのに基づいて開閉動作するセンサによって構成されることを特徴とする請求項2記載のロール紙の残量検出装置。
【請求項4】
前記アームを前記第1の方向に対し直交する第2の方向に移動させることにより、前記第1及び第2の凸部の位置を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項2または3記載のロール紙の残量検出装置。
【請求項5】
テーブル上又は壁面に取り付けられる複数の取付部を有し、前記取付部の選択により設置姿勢が変更可能なプリンタ本体と、
このプリンタ本体内に設けられた印字部と、
長尺紙を筒状巻芯に巻回してなるロール紙の外周面を設置姿勢に応じて支える載置部を有するロール紙収納部と、
このロール紙収納部の前記載置部に連続的に形成され、前記ロール紙が消費されて所定の巻径になるのに基づいて自重で落下する前記ロール紙を収容する第1及び第2の凹部と、
前記ロール紙収納部の近傍に設けられた取付フレームと、
この取付フレームに支持され、前記ロール紙の端面に当接する第1及び第2の凸部を有し、前記ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて前記第1の凸部が前記ロール紙の前記筒状巻芯内に挿入され、或いは、前記第2の凸部が前記ロール紙の端面から外れることにより動作するアームと、
このアームの動作に基づいて前記ロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段と
を具備することを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
前記アームは、前記ロール紙の端面に対し接離する第1の方向に移動自在に支持され、かつ、前記ロール紙の端面に向かって弾性的に付勢されることを特徴とする請求項5記載のプリンタ。
【請求項7】
前記検知手段は、前記アームがその第1及び第2の凸部を前記ロール紙の端面に対して接離するのに基づいて開閉動作するセンサによって構成されることを特徴とする請求項6記載のプリンタ。
【請求項8】
前記アームを前記第1の方向に対し直交する第2の方向に移動させることにより、前記第1及び第2の凸部の位置を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項6または7記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−184054(P2012−184054A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46913(P2011−46913)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】