説明

ロール製品用プロテクター

【課題】衝撃を吸収してプロテクターの破損を防止し、更に、衝撃が加わったことを検知したり、衝撃が加わった時間等を検知することができるロール製品用プロテクターを提供する。
【解決手段】側板部2と該側板部2の中央部から突設した支軸3を有するロール製品用プロテクター1において、前記側板部2の外周に、衝撃を吸収するための緩衝部4が設けられ、必要に応じ、衝撃を受けた際に破れる容器に封入したインキや衝撃を受けた際に停止される時計等の衝撃表示手段が組み込まれていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム等の帯状製品を巻回したロール製品の両端面に装着され、該ロール製品の端面及び周面を保護するプロテクターに係り、特に、輸送中や取り扱い中にプロテクターに想定外の強い衝撃が加わった場合に、該衝撃を緩衝部で吸収して輸送製品の破損を防止し、更に、衝撃が加わったことを表示する手段等を備えたロール製品用プロテクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙等の帯状製品を輸送、保管する場合には、これらの帯状製品を芯材に巻回してロール製品を形成し、このロール製品にロール製品用プロテクター(単にプロテクターと称することがある)を組み付けて、輸送や保管中にロール製品の周囲が汚れたり傷付いたりするのを防止している。
この従来のプロテクターPとしては、図17に示したような、方形の側板部2の中心付近から円筒状支軸3が突設されたもの等が挙げられ、ロール製品Rの両端面を一対のプロテクターPの側板部で挟持するとともに、支軸3を芯材の中空孔に挿入してロール製品Rを支持し、必要に応じ、両側板部2の外側に梱包用バンド6を十字状に掛けて全体を緊締し、さらにダンボール箱(図示せず)等に収納して輸送や保管に供している(例えば、特許文献1)。
【0003】
ロール製品Rは、両端面が側板部2の内面と密接してロール製品Rが竹の子状に滑り出すのが防止されるとともに、支軸3が芯材R1の中空孔に挿入されることにより、ロール製品Rの幅面が梱包用バンド6やダンボール箱の内面と接しないように懸垂状に支持され、傷が付かないように輸送又は保管される。
しかしながら、誤って輸送中に落下させたり、取り扱いが悪いと、例えば、図18に示したように、例えば支軸3の箇所で破損して支軸3が側板部2から分離し、その結果、支軸3により懸垂状に支持されていたロール製品Rの幅面の一部が梱包用バンドやダンボール箱の内面と衝突して、傷が付いたり、汚れたりするトラブルが発生し、商品価値を著しく低下させ、場合によっては製品として使用できなくなる。また、支持3が側板部2から分離すると、梱包用バンド6も緩み、ロール製品Rの端面も損傷することになる。尚、図18では、片方のプロテクターが破損した場合を示したが、両方のプロテクターが破損する場合もある。
このようなトラブルは、側板部2の下方端部付近が破損した場合にも同様である。
【0004】
このようなプロテクターは、保護すべきロール製品Rの重さや、輸送、保管中に通常加えられる衝撃等を考慮して強度設計されている。しかし、プロテクターの軽量化や製造コストの低減のため、過度の余裕を持たせるわけにはいかず、輸送等の際には業者に対し乱暴な取り扱いをしないことを期待して、衝撃によるプロテクターの破損を防いでいる。従って、取り扱いが荒く、放り投げたり、落下させたりしてプロテクターの破損が頻繁に生じるような場合には、業者に改善を促したり、改善が見込めない場合は他の業者への切り替え等を検討して再発防止を図っている。
しかしながら、多数の輸送手段を中継しての長距離輸送する場合には、現実には、どの段階で破損が生じたかを特定できず、従って、改善を促すことは事実上困難である。特に、海外に向けて輸送するような場合は、中継する輸送手段も多く、また多くの国や地域を経由する場合には、国民性や仕事観やモラルも様々で、上記したような輸送中のトラブルがどこの国、どの地域で起きたのか、どの業者の取り扱い中に起きたのか、等を把握し、注意を促したり、輸出ルートや業者の変更を検討することが重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2604907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる実情に鑑み、上記従来技術の問題点を解消し、衝撃を緩衝部で吸収してプロテクターの破損を防止し、更に、例えば、ダンボール箱の外側から衝撃が加わったことを検知したり、衝撃が加わった時間等を検知することができるロール製品用プロテクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、本発明の請求項1は、側板部と該側板部の中央部から突設した支軸を有するロール製品用プロテクターにおいて、
前記側板部の外周に、衝撃を吸収するための緩衝部が設けられていることを特徴とするロール製品用プロテクターを内容とする。
【0008】
本発明の請求項2は、緩衝部が側板部の外周に延設され、前記緩衝部の強度が前記側板部の強度よりも小さく、前記緩衝部が破壊することにより衝撃を吸収することを特徴とする請求項1記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【0009】
本発明の請求項3は、緩衝部が、側板部の外周リブの外側に設けられた枠体と、前記外周リブと枠体を接続する接続部からなることを特徴とする請求項1又は2記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【0010】
本発明の請求項4は、接続部が全体又は一部で肉薄に形成されていることを特徴とする請求項3記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【0011】
本発明の請求項5は、接続部が斜設されていることを特徴とする請求項3記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【0012】
本発明の請求項6は、緩衝部が弾性体からなり、側板部の外周リブに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【0013】
本発明の請求項7は、緩衝部が衝撃を受けたことを示す衝撃表示手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【0014】
本発明の請求項8は、衝撃表示手段が衝撃により破れる容器に封入された液状の着色料であることを特徴とする請求項7記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【0015】
本発明の請求項9は、緩衝部が衝撃により止まる時計を備えていることを特徴とする請求項1〜8記載のロール製品用プロテクターを内容とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、落下させたり、放り投げたり等取り扱いが悪い場合に、外部からの衝撃が最も伝わり易いロール製品用プロテクターの側板部に緩衝部が設けられているので、衝撃はこの側板部で吸収され、プロテクターの破損が防止される。その結果、側板部と支軸との境界付近で破損したり、側板部の端部付近が破損したりして、ロール製品の幅面が梱包用バンドやダンボール箱の内面と接触・衝突し、ロール製品が破損したり汚れたりするトラブルが防止される。
【0017】
また、緩衝部が側板部の外周に延設され、前記緩衝部の強度が前記側板部の強度よりも小さく、前記緩衝部が破壊することにより衝撃を吸収され、その結果、プロテクターの破損が防止される。また、プロテクターを金型で成形する際に緩衝部も一体成形できるので好都合である。
具体的には、緩衝部を、側板部の外周リブの外側に設けられた枠体と、前記外周リブと枠体を接続する接続部で形成したり、また、接続部を全体又は一部で肉薄に形成したり、更に、接続部を斜設することにより好適に形成することができる。
【0018】
また、緩衝部を弾性体で形成すると、後加工により緩衝部を形成し易く、また側板部の外周リブに着脱自在に取り付けることも容易で好都合である。また、既存のプロテクターに取り付けることも容易である。
【0019】
更に、緩衝部が衝撃を受けたことを示す衝撃表示手段を備えていると便利である。このような衝撃表示手段が衝撃により破れる容器に封入された液状着色料とすれば、衝撃を受けると該容器が破れ封入されている液状着色料が、例えば、ダンボール箱の外側にしみ出し、ダンボール箱を開けることなく、ダンボール箱の外側から衝撃を受けたことを容易に視認することができる。
【0020】
更にまた、衝撃により止まる時計を組み込むことにより、時計の止まった時刻から、衝撃を受けた時間を知ることができる。時計が日付も表示する場合は、衝撃を受けた日、時が特定されるので、どの輸送過程で衝撃を受けたのか、即ち、どこの国の、どの地域の、どの業者の取り扱い時に衝撃を受けたのかを追跡して特定することができる。その結果、業者に注意を与えたり、場合によっては業者を取り替えたり、輸送ルートを変更したりすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は本発明のプロテクターの一例を示す正面図である。
【図2】図2は図1のA−A断面図である。
【図3】図3は本発明のプロテクターの他の例を示す正面図である。
【図4】図4は図3のB−B断面図である。
【図5】図5は本発明のプロテクターの他の例を示す正面図である。
【図6】図6は本発明のプロテクターの更に他の例を示す正面図である。
【図7】図7は図6のC−C断面図である。
【図8】図8は本発明のプロテクターの更に他の例を示す正面図である。
【図9】図9は本発明のプロテクターの更に他の例を示す正面図である。
【図10】図10は図9のD−D断面図である。
【図11】図11は本発明のプロテクターの更に他の例を示す正面図である。
【図12】図12は本発明のプロテクターの更に他の例を示す正面図である。
【図13】図13は図12のE−E断面図である。
【図14】図14は本発明のプロテクターの更に他の例を示す正面図である。
【図15】図15は本発明のプロテクターでロール製品を保持した状態を示す一部切り欠き断面図である。
【図16】図16は図15のプロテクターに衝撃が加わった状態を示す一部切り欠き断面図である。
【図17】図17は従来のプロテクターでロール製品を保持した状態を示す一部切り欠き断面図である。
【図18】図18は図17のプロテクターに衝撃が加わり破損した状態を示す一部切り欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のロール製品用プロテクター1は、例えば図1及び図2に示したように、側板部2と該側板部2の中央部から突設した支軸3を有するロール製品用プロテクター1において、前記側板部2の外周に、衝撃を吸収するための緩衝部4が設けられていることを特徴とする。
【0023】
本発明における側板部2は、従来のプロテクターにおいて、ロール製品Rの端面を保護し、ロール製品Rが竹の子状に滑り出すのを防止する目的で使用されている側板部2と実質的に同じものであり、通常は、軽量で且つ強度を出すために、ロール製品Rの端面に当接する薄板の外面側に適宜リブ2bを設けたものが使用される。薄板の部分には、必要に応じ、プロテクターの装飾の目的で、あるいは軽量化の目的で透孔2dを設けてもよい。
また、本発明における支軸3は、従来のプロテクターにおいて、芯材R1の中空孔に挿入して、ロール製品Rの幅面が梱包用バンド6やダンボールの内面と接しないように懸垂状に支持する目的で使用されている支軸3と実質的に同じものである。通常、円筒状である。
【0024】
本発明は、前記側板部2の外周に、衝撃を吸収するための緩衝部4が設けられていることを特徴とする。緩衝部4の構造は、プロテクター1に加わる衝撃を緩和できる限り特に限定されないが、本例では、図1に示したように、側板部2の外周リブ2aの外側に枠体4aを設けるとともに、枠体4aと外周リブ2aとを接続部4bで繋ぎ、衝撃が加わったときに接続部4bが破壊されることにより衝撃を吸収するようにされている。
本例のプロテクターのように、側板部2の外周全部を囲うように枠体4aを設ける場合、緩衝部4が破壊されても梱包用バンド6が弛まないように、梱包用バンド6を枠体4aの内側の側板部2の外周リブ2aの一部をバンド溝2cとするのが好ましい。
【0025】
枠体4aと接続部4bからなる緩衝部4を側板部2の外周リブ2aの外側に設ける場合、図1、図2のように外周全部を囲うように枠体4aを設けることもできるが、図3、図4に示したように、側板部2の外周の一部に枠体4aが設けられていない部分を設け、当該側板部2の外周リブ2aの一部分を梱包用バンド6で緊締するためのバンド溝2cとしてもよい。この場合は、バンド溝2cが開放されているので梱包用バンドによる緊締作業が容易である。
【0026】
接続部4bは、上記のように、プロテクター1に衝撃が加わったときに、プロテクター1が破損するまえに破壊されるように、強度を小さくしておく必要がある。接続部4bの強度を小さくする方法は特に限定されないが、接続部4bの全体を肉薄にしたり、或いは、図1や図3に示したように、接続部の一部に切り込みを入れて部分的に肉薄に形成する方法等が挙げられる。強度をどの程小さくするかについては、ロール製品の重量、素材である樹脂の種類等を勘案して適宜決定される。
【0027】
接続部4bの強度を小さくする別の方法として、図5に示したように、接続部4bを側板部2の外周リブ2aと枠体4aとの間に斜め方向になるように、斜設する方法が挙げられる。
上記のように、側板部2の外周リブ2aに緩衝部4を一体的に設けるプロテクターは、樹脂を用いて金型で一挙に成形できる利点がある。勿論、必要に応じ、枠体と接続部とを別途成形して、適当な取付具を用いてプロテクターの側板部の外周リブに取り付けることも可能で、この場合は、緩衝部4が不要な場合は取り外したり、また既存のプロテクターに適用することもできる。
【0028】
以上、緩衝部4が側板部2の外周リブ2aに形成されたロール製品用プロテクター1について説明したが、例えば、図6、図7に示したように、側板部2の外周リブ2aに弾性体からなる緩衝部4を取り付けすることもできる。
このような弾性体としては、弾性変形により衝撃を吸収するものが用いられ、例えばゴム、エラストマーや、ポリエチレンフオーム、ポリウレタンフオーム等の発泡樹脂等が挙げられる。弾性体からなる緩衝部は側板部2の外周リブ2aに着脱自在に取り付けることもできる。また、既存のプロテクターにも容易に取り付けることができる。弾性体の衝撃吸収の程度については、ロール製品の重量、弾性体の種類等を勘案して適宜決定される。
側板部2の外周リブ2aに弾性体からなる緩衝部4を取り付ける方法については特に限定されないが、弾性体の弾性を利用すれば特に取付具を用いることなく取り付けることができてる。例えば、図6、図7では、ドーナツ型に形成した緩衝部4の内側に断面L字型の溝を作成し、その溝の中に側板部2の外周リブ2aを嵌め込むことにより、緩衝部4を側板部2に取り付けている。図6、図7に示すように、側板部2の全周に緩衝部4を設けた場合、緩衝部4に梱包用バンドを掛けてもよく、また、側板部2の外周付近の透孔2dをバンド溝2cとして利用することもできる。前者の緩衝部4にバンドを掛けて緊締すると緩衝部の介在によりバンドが緩みにくい利点がある。
なお、この場合も図8に示した通り、側板部2の外周全部に緩衝部4を取り付ける必要はなく、外周の一部分には緩衝部4を設けず、当該外周リブ2aの一部分をバンド溝2cとして使用することができる。
【0029】
本発明のロール製品用プロテクターは、さらに衝撃表示手段を備えることにより、プロテクターに衝撃が加わったことを知ることができる。このような衝撃表示手段としては、例えばダンボール箱を開けることなく外から視認できるものが好ましく、例えば、衝撃により壊れる容器に封入された液状の着色料、具体的には、プラスチックやフィルム製の袋や容器に封入されたインキ等を挙げることができる。このような衝撃表示手段を備えることにより、衝撃が加わった際に、緩衝部が破壊したり、弾性変形(圧縮変形)すると同時に、容器が破壊されてインキがダンボール箱の外側にまで染み出すので、ダンボール箱を開けることなく外側から容易に視認することができ、ロール製品の破損の有無をチェックしたり、業者に注意を与えたりすることができる。
【0030】
本発明のロール製品用プロテクターは、さらに衝撃により止まる時計を備えることもできる。このような時計としては、日付も表示するものが好ましい。このように時計を備えることにより、衝撃により止まった日付と時刻から、どこの国でどこの地域で、どの業者の取り扱い中に衝撃を受けたのかを追跡し特定することができるので、業者に改善を促したり、場合によっては業者を取り替えたり、輸送ルートを変更する、等が可能である。
【0031】
図9、図10に、衝撃により壊れやすい容器に封入した液状の着色料を衝撃表示手段5として用いた例を示す。具体的には、薄いプラスチックシート製の容器5aに封入した赤インクを衝撃表示手段5として使用し、図3、図4に示したプロテクター1の緩衝部4、即ち外周リブ2aと枠体4aの間に前記の衝撃表示手段5を設けたものである。
このようなプロテクター1によれば、強い衝撃が加わると緩衝部4の肉薄部4cが破断することにより緩衝部4が破壊して衝撃が緩和されるが、その際、前記衝撃表示手段5の容器5aは押し潰される。これにより封入されていた赤インキ5bが洩れ出し、ロール製品Rを収納したダンボール箱(図示せず)の外側に染み出すので、プロテクター1に強い衝撃が加わったことを容易に視認することができる。
【0032】
なお、上記図9、図10に示した例では、強い衝撃はロール製品Rが収納されたダンボール箱を落下させることにより生じる事が多いことを考慮し、緩衝部4の下辺側だけに衝撃表示手段5が設けられているが、2辺以上、好ましくは4辺に該衝撃表示手段5を設けてもよい。この場合、落下以外の原因、例えば、ダンボール箱を放り投げたり、転落横転する等により衝撃が加わった場合にも対応できるばかりでなく、また、一度落下させて衝撃表示手段5の1つが破壊した場合でも、他の面が下面になるようダンボール箱の姿勢を変更することにより、再度、衝撃を検出できるようにすることも可能である。
尚、緩衝部4もプロテクター1の側板部2の少なくとも1つに設ければよいが、上記した理由で好ましくは2辺以上、より好ましくは4辺に設けられる。
【0033】
図11に、衝撃により止まる時計5cを衝撃表示手段5として用いた例を示す。これは、図5に示したプロテクター1の緩衝部4、即ち外周リブ2aと枠体4aの間に時計5cを設けたものである。
このようなプロテクター1によれば、強い衝撃が加わると緩衝部4の接続部4bが破断することにより緩衝部4が破壊して衝撃が緩和されるが、その際、前記時計5cは押し潰され、衝撃が加わった時刻で停止する。この停止した時刻から衝撃が加わった輸送工程や業者を追跡調査することができる。
【0034】
図12、図13に、緩衝部4として側板部2の外周に設けられた弾性体を使用したプロテクター1に衝撃表示手段5を設けた例を示す。この例は図8に示したプロテクター1の緩衝部4の一部に空洞を設け、この空洞に容器5aに着色料5bを封入した衝撃表示手段5を埋設したものである。このようなプロテクター1によれば、強い衝撃が加わると緩衝部4が弾性変形(圧縮変形)して前記衝撃表示手段5の容器5aは押しつ潰され、中の赤インキ5bが洩れ出し、プロテクター1に強い衝撃が加わったことが視認できる作用効果については、図9、図10の場合と同じである。
【0035】
図14は、容器に封入されたインキ5(5b)と時計5(5c)の両方を備えたプロテクター1を示す。この場合は、衝撃が加わった際に、インキがダンボール箱の外側に染み出すことにより衝撃が加わったことが視認されるので、時計の停止時刻により、輸送工程のどの段階で衝撃が加わったかを一層正確に追跡調査することができる。
【0036】
本発明のプロテクター1は、図15に示したように、従来のプロテクターPと同様、ロール製品Rの両端面を一対のプロテクター1の側板部で挟持するとともに、支軸3を芯材の中空孔に挿入してロール製品Rを懸垂状に支持し、必要に応じ、両側板部2の外側に梱包用バンド6を十字状に掛けて全体を緊締し、必要に応じ、シュリンクフィルムで被包し、さらにダンボール箱(図示せず)等に収納して輸送や保管に供する。
このプロテクター1に強い衝撃が加わった際には、図16に示したように、緩衝部4が破壊する(緩衝部が弾性体からなる場合は緩衝部が弾性収縮する)ことにより衝撃が吸収され、プロテクター1は破損しないので、ロール製品Rが懸垂状に支持されている状態は保たれ、ロール製品Rの端面や周面が傷付いたり汚れたりするトラブルが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上記したとおり、本発明のロール製品用プロテクターは、側板部の外周に緩衝部を設けたことにより、輸送中や取り扱い中等において強い衝撃が加わってもこの緩衝部によって吸収されるのでプロテクター破損は防止され、ロール製品は本来の懸垂状態が維持されるので、端面や幅面が損傷したり、汚れたりするトラブルが防止される。
さらに衝撃表示手段を設けることにより、輸送工程のどこの段階で、どこの業者の取り扱い中にロール製品に衝撃が加わったか等を容易に調べることができ、業者に注意を促したり、輸送ルートを変更したりすることが可能となり再発防止の一助にすることができる。従って、本発明のロール製品用プロテクターは、特に多くの輸送手段を中継した長距離輸送のためのロール製品用プロテクターとして、極めて有用性の高いものである。
【符号の説明】
【0038】
1 ロール製品用プロテクター
2 側板部
2a 外周リブ
2b (外周リブ以外の)リブ
2c バンド溝
2d 透孔
3 支軸
4 緩衝部
4a 枠体
4b 接続部
4c 肉薄部
5 衝撃表示手段
5a 容器
5b 着色料
5c 時計
6 梱包用バンド
R ロール製品
R1 芯材
P 従来のプロテクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板部と該側板部の中央部から突設した支軸を有するロール製品用プロテクターにおいて、
前記側板部の外周に、衝撃を吸収するための緩衝部が設けられていることを特徴とするロール製品用プロテクター。
【請求項2】
緩衝部が側板部の外周に延設され、前記緩衝部の強度が前記側板部の強度よりも小さく、前記緩衝部が破壊することにより衝撃を吸収することを特徴とする請求項1記載のロール製品用プロテクター。
【請求項3】
緩衝部が、側板部の外周リブの外側に設けられた枠体と、前記外周リブと枠体を接続する接続部からなることを特徴とする請求項1又は2記載のロール製品用プロテクター。
【請求項4】
接続部が全体又は一部で肉薄に形成されていることを特徴とする請求項3記載のロール製品用プロテクター。
【請求項5】
接続部が斜設されていることを特徴とする請求項3記載のロール製品用プロテクター。
【請求項6】
緩衝部が弾性体からなり、側板部の外周リブに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のロール製品用プロテクター。
【請求項7】
緩衝部が衝撃を受けたことを示す衝撃表示手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6記載のロール製品用プロテクター。
【請求項8】
衝撃表示手段が衝撃により破れる容器に封入された液状の着色料であることを特徴とする請求項7記載のロール製品用プロテクター。
【請求項9】
緩衝部が衝撃により止まる時計を備えていることを特徴とする請求項1〜8記載のロール製品用プロテクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−228805(P2010−228805A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81382(P2009−81382)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(393030958)村角株式会社 (18)
【Fターム(参考)】