説明

ワイパブレード

【課題】ケースに対するブレードラバーの着脱時におけるキャップの紛失を防止することができるワイパブレードを提供する。
【解決手段】ワイパブレード3を構成するブレードラバー11は、長尺状の被保持部12及び被保持部12と平行に延び払拭面を払拭するための払拭部16を有し長尺状をなしている。また、ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられたバッキング21は、ブレードラバー11に剛性及び弾性を付与する。そして、被保持部12及びバッキング21は、ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられたケース31の内部に保持されている。また、バッキング21の長手方向の端部には、ブレードラバー11及びバッキング21のケース31からの脱落を阻止するキャップ41が装着されている。このキャップ41は、キャップ41の外部に開口するとともにケース31の内部に連通し被保持部12が通過可能なラバー挿通孔42eを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードラバーに剛性及び弾性を付与するバッキングを備えたワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントガラス等の払拭面を払拭するワイパブレードには、例えば特許文献1に記載されているように、複数のレバーをトーナメント状に連結したレバー組立体を用いずに、ブレードラバーに剛性及び弾性を付与する板ばね状のバッキングを内部に保持したケースにブレードラバーを装着することで高さを低く抑えたものがある。このワイパブレードにおいては、バッキングの長手方向の両端部に、ケースに対するバッキングの長手方向の位置決めをするキャップがそれぞれ装着されている。このキャップによって、ケースの長手方向の端部からブレードラバー及びバッキングがケースの外に抜け出す、言い換えれば、ケースがブレードラバー及びバッキングから抜け出すことが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006−513928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたワイパブレードにおいては、摩耗劣化した古いブレードラバーを新しいブレードラバーに取り換える場合、2つのキャップをバッキングから取り外した後に、ブレードラバーをケースの外に取り出すことになる。キャップは小さな部品であるため、ケースに対するブレードラバーの着脱時にキャップを紛失してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ケースに対するブレードラバーの着脱時におけるキャップの紛失を防止することができるワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、長尺状の被保持部及び前記被保持部と平行に延び払拭面を払拭するための払拭部を有する長尺状のブレードラバーと、前記ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ該ブレードラバーに剛性及び弾性を付与するバッキングと、前記ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ前記被保持部及び前記バッキングを内部に保持するケースと、前記バッキングの長手方向の端部若しくは前記ケースの長手方向の端部に装着され前記ブレードラバー及び前記バッキングの前記ケースからの脱落を阻止するキャップとを備えたワイパブレードであって、前記キャップは、前記キャップの外部に開口するとともに前記ケースの内部に連通し前記ブレードラバーの前記被保持部が通過可能なラバー挿通孔を有することをその要旨としている。
【0007】
同構成によれば、キャップがバッキングの長手方向の端部若しくはケースの長手方向の端部に装着された状態のままで、キャップに設けられたラバー挿通孔から、ブレードラバーの被保持部をケースの内部に挿入可能である。また、ケースの内部に保持された被保持部を、ラバー挿通孔からケースの外部に取り出し可能である。従って、バッキングの長手方向の端部若しくはケースの長手方向の端部からキャップを取り外さなくても、ケースに対してブレードラバーの着脱を行うことができるため、ケースに対するブレードラバーの着脱時におけるキャップの紛失を防止することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイパブレードにおいて、前記ケースにおける前記キャップと隣り合う長手方向の端部は、前記キャップに挿入されており、前記キャップは、前記キャップに挿入された前記ケースの端部表面を被覆するように前記ケース側に延びるラップ部を有し、前記ラップ部は、前記キャップにおける前記ラップ部よりも前記ケースと反対側の部分よりも肉薄に形成されていることをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、ケースにおけるキャップと隣り合う長手方向の端部表面がラップ部によって被覆されるため、ケースにおけるキャップと隣り合う長手方向の端部からケースの内部に異物(雪や枯葉等)が侵入することが抑制される。また、ラップ部は、キャップにおけるラップ部よりもケースと反対側の部分よりも肉薄に形成されているため、ラップ部がキャップにおけるラップ部以外の部分に比べて外側に大きく突出することを抑制しつつ、ケースの長手方向の端部をキャップに挿入することができる。従って、キャップを備えたワイパブレードの見栄えを向上させることができる。更に、キャップにおいては、ラップ部以外の部分の肉厚をラップ部よりも厚くすることで、キャップの強度を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケースに対するブレードラバーの着脱時におけるキャップの紛失を防止することができるワイパブレードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両用ワイパの斜視図。
【図2】連結装置を除くワイパブレードの分解斜視図。
【図3】ワイパブレードの断面図(図1におけるA−A断面図)。
【図4】キャップの斜視図。
【図5】ワイパブレードの側面図。
【図6】(a)〜(c)はブレードラバー着脱時のワイパブレードの斜視図。
【図7】(a)は別の形態のキャップの斜視図、(b)は別の形態のキャップ及びケースの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す車両用ワイパ1は、自動車の払拭面としてのフロントガラスの外表面に付着した雨滴等を払拭するためのものである。この車両用ワイパ1は、略棒状のワイパアーム2と、該ワイパアーム2の先端部に連結されたワイパブレード3とから構成されている。ワイパアーム2は、その基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸(図示略)に固定され、該ピボット軸の往復回動に伴って往復揺動運動を行う。
【0013】
図2に示すように、ワイパブレード3は、長尺状のブレードラバー11と、該ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられる1本のバッキング21と、ブレードラバー11の長手方向に沿って設けられた一対のケース31と、バッキング21の長手方向の両端部にそれぞれ装着される2つのキャップ41とを備えている。
【0014】
図2及び図3に示すように、ブレードラバー11は、弾性を有するゴム材料から形成されている。ブレードラバー11において上方に位置する被保持部12は、長尺な帯状をなしている。この被保持部12の幅方向の中央部には、被保持部12の厚さ方向に突出した括れ部13が該被保持部12と一体に形成されている。括れ部13は、被保持部12よりも幅が狭く形成されるとともに、被保持部12の長手方向に沿って該被保持部12の一端から他端まで延びている。この括れ部13の下端(即ち被保持部12と反対側の端部)には、長尺な帯状をなす肩当て部14が該括れ部13と一体に形成されている。肩当て部14の幅は、被保持部12の幅と略等しく形成されている。そして、肩当て部14の幅方向の中央部には、肩当て部14の厚さ方向に突出したネック部15が該肩当て部14と一体に形成されている。ネック部15は、括れ部13よりも幅が狭く形成されるとともに、肩当て部14の長手方向に沿って該肩当て部14の一端から他端まで延びている。また、ネック部15の下端には、被保持部12と平行に延びフロントガラスの外表面(払拭面)を払拭するための払拭部16が該ネック部15と一体に形成されている。払拭部16は、ネック部15側の端部から下方に向かうに連れて幅が狭くなるとともに、下方の先端部においてはネック部15と略等しい幅に形成されている。このようなブレードラバー11は、長手方向に沿ってその断面形状が一定となっている。
【0015】
バッキング21は、金属板材から形成され、長尺な帯状をなしている。このバッキング21は、ブレードラバー11に剛性及び弾性を付与するものであり、板ばね状をなしている。そして、バッキング21は、前記被保持部12の上方に配置され、払拭部16と反対側から被保持部12に当接している。バッキング21の幅は、被保持部12の幅よりも広く、バッキング21の幅方向の両端部は、被保持部12の幅方向の両側に突出している。また、バッキング21の長手方向の両端部には、それぞれ一対の係合凹部22が形成されている。バッキング21の長手方向の端部において対をなす係合凹部22は、バッキング21の幅方向の両側から幅方向中央に向かって凹設されている。そして、各係合凹部22は、バッキング21を厚さ方向に貫通するとともに、バッキング21の厚さ方向から見た形状が矩形状をなしている。
【0016】
一対のケース31は、ブレードラバー11の被保持部12及びバッキング21の周囲を包囲して保持する保持部32と、走行風をフロントガラスの外表面(払拭面)側への押圧力に変換するフィン部33とをそれぞれ備えている。
【0017】
保持部32は、軟質の(可撓性を有する)樹脂材料よりなり、ブレードラバー11の長手方向に沿って延びる略筒状をなしている。また、各ケース31において、保持部32の長さは、バッキング21の半分の長さよりも若干短い長さとなっている。そして、保持部32の内側には、ケース31の長手方向に沿って延びる溝状をなすバッキング収容部32aが形成されている。バッキング収容部32aは、保持部32の一端から他端に亘って形成されるとともに、保持部32の長手方向の両側に開口している。また、バッキング収容部32aは、バッキング21の幅と略等しい幅及びバッキング21の厚さと略等しい厚さ(深さ)を有するとともに、保持部32の長手方向に沿ってその断面形状が一定となっている。
【0018】
また、保持部32の内側には、バッキング収容部32aの下方(払拭面側)となる位置に、ラバー収容部32bが形成されている。ラバー収容部32bは、保持部32の長手方向に沿って延びる溝状をなしている。このラバー収容部32bは、保持部32の一端から他端に亘って形成されるとともに、保持部32の長手方向の両側に開口している。また、ラバー収容部32bは、バッキング収容部32aの幅よりも狭く、前記被保持部12の幅と略等しい幅及び被保持部12の厚さと略等しい厚さ(深さ)を有する。そして、ラバー収容部32bは、保持部32の長手方向に沿ってその断面形状が一定となっている。また、ラバー収容部32bの上端は、バッキング収容部32aの内側に開口しており、ラバー収容部32bの内部空間は、バッキング収容部32aの内部空間と繋がっている。
【0019】
また、保持部32には、ラバー収容部32bの下方(払拭面側)となる部位に、挿通溝32cが形成されている。挿通溝32cは、ラバー収容部32bの幅方向の中央部と隣り合う位置に形成され、ケース31の長手方向に沿ってケース31の一端から他端まで(ケース31の全長に亘って)延びている。また、挿通溝32cは、ラバー収容部32bの内部と保持部32の外部とに開口している。更に、挿通溝32cの幅は、前記括れ部13の幅と略等しく形成されるとともに、挿通溝32cの厚さ(深さ)は、括れ部13の厚さ(上下方向の長さ)と略等しく形成されている。
【0020】
図1及び図3に示すように、フィン部33は、エラストマー材料よりなり、二色成形により保持部32の上面に該保持部32と一体に形成されている。フィン部33は、ワイパブレード3が停止位置に配置された状態において車両後方側に向かうほど払拭面からの高さが高くなる湾曲面を有した形状をなしている。
【0021】
図2及び図3に示すように、上記のように構成された一対のケース31は、その長手方向の一端部からバッキング収容部32a内にバッキング21が長手方向に沿って挿入されることで、該バッキング21を保持部32の内部に保持している。そして、保持部32の内部に保持されたバッキング21の長手方向の両端部は、保持部32の長手方向の端部から保持部32の外部に突出しており、係合凹部22が保持部32の外部に位置する。尚、各ケース31において、バッキング21の長手方向の端部側の端部を第1端部31aとし、バッキング21の長手方向の中央部側の端部を第2端部31bとする。
【0022】
また、一対のケース31は、括れ部13が長手方向に沿って挿通溝32cに挿入されつつ、被保持部12が長手方向に沿ってラバー収容部32b内に挿入されることで、該被保持部12を保持部32の内部に保持している。そして、ブレードラバー11は、被保持部12がラバー収容部32bに挿通されることで、保持部32にて保持されている。ラバー収容部32b内に配置された被保持部12は、バッキング21に対して払拭面側に位置するとともに、同被保持部12の上面には、バッキング21が当接(載置)されている。また、肩当て部14、ネック部15及び払拭部16は、保持部32の外で該保持部32の下方(払拭面側)に配置されている。更に、肩当て部14は、保持部32の下面(払拭面側の面)に当接している。また、被保持部12及び括れ部13の長手方向の両端部は、保持部32の長手方向の端部(ケース31の第1端部31a)から保持部32の外に突出している。
【0023】
図2及び図4に示すように、バッキング21の長手方向の両端部に装着される各キャップ41は、樹脂材料よりなる。キャップ41は、ケース31の保持部32よりも一回り大きい略筒状をなす連続保持部42と、該連続保持部42の上部に一体に形成された連続フィン部43とを有する。また、キャップ41において、ケース31側となる端部には、ケース31の第1端部31aが挿入される装着凹部44が形成されている。装着凹部44は、ワイパブレード3の長手方向に凹設されるとともに、連続保持部42及び連続フィン部43に亘って形成されている。そして、この装着凹部44の側壁は、ケース31の第1端部31aの表面(外周面)を被覆するようにケース31側に延びるラップ部45となっている。ラップ部45の内周面の形状は、第1端部31aの表面(外周面)の形状に対応した形状をなしている。また、ラップ部45は、キャップ41におけるラップ部45よりもケース31と反対側となる部分よりも肉薄に形成されている。
【0024】
連続保持部42は、装着凹部44の凹設方向の同方向に延びる略筒状をなすとともに、装着凹部44と反対側の端部が閉塞されている。そして、連続保持部42の内側には、前記保持部32に形成されたバッキング収容部32aと同様の溝状をなすキャップ側バッキング収容部42aが形成されている。キャップ側バッキング収容部42aは、バッキング21の幅と略等しい幅及びバッキング21の厚さと略等しい厚さ(深さ)を有するとともに、その長手方向に沿って断面形状が一定となっている。更に、キャップ側バッキング収容部42aは、装着凹部44側の長手方向の端が装着凹部44の底面に開口している。また、キャップ側バッキング収容部42aの幅方向の一方の内側面(図4において手前側の側面)には、キャップ側バッキング収容部42a内に突出した係合凸部42bが形成されている。この係合凸部42bは、その基端から先端に向かうに連れて装着凹部44から遠ざかるように傾斜している。また、係合凸部42bは弾性変形可能である。
【0025】
また、連続保持部42の内側には、キャップ側バッキング収容部42aの下方(払拭面側)となる位置に、前記保持部32に形成されたラバー収容部32bと同様の溝状をなすキャップ側ラバー収容部42cが形成されている。キャップ側ラバー収容部42cは、キャップ側ラバー収容部42cと平行に延びるとともに、キャップ側バッキング収容部42aと同様に、装着凹部44側の長手方向の端が装着凹部44の底面に開口している。また、キャップ側ラバー収容部42cは、キャップ側バッキング収容部42aの幅よりも狭く、前記被保持部12の幅と略等しい幅及び被保持部12の厚さと略等しい厚さ(深さ)を有する。そして、キャップ側ラバー収容部42cは、その長手方向に沿って断面形状が一定となっている。また、キャップ側ラバー収容部42cの上端は、キャップ側バッキング収容部42aの内側に開口しており、キャップ側ラバー収容部42cの内部空間は、キャップ側バッキング収容部42aの内部空間と繋がっている。
【0026】
また、連続保持部42には、キャップ側ラバー収容部42cの下方(払拭面側)となる部位に、前記保持部32に形成された挿通溝32cと同様の溝状をなすキャップ側挿通溝42dが形成されている。キャップ側挿通溝42dは、キャップ側ラバー収容部42cの幅方向の中央部と隣り合う位置に形成されてキャップ側ラバー収容部42cと平行に延びるとともに、キャップ側バッキング収容部42aと同様に、装着凹部44側の長手方向の端が装着凹部44の底面に開口している。更に、キャップ側挿通溝42dは、キャップ側ラバー収容部42cの内部と連続保持部42の外部とに開口している。
【0027】
また、連続保持部42には、キャップ側ラバー収容部42cの下方(払拭面側)となる部位に、ラバー挿通孔42eが形成されている。ラバー挿通孔42eは、キャップ側挿通溝42dの長手方向の略中央部で、該キャップ側挿通溝42dの幅を広くした形状をなしており、連続保持部42におけるキャップ側ラバー収容部42cの下方となる部位を上下方向に貫通している。従って、ラバー挿通孔42eは、払拭面側に向かってキャップ41の外部に開口するとともに、キャップ41の外部とキャップ41の内部(即ち、連続保持部42のキャップ側ラバー収容部42c)とを連通している。また、ラバー挿通孔42eの幅D1は、括れ部13をキャップ側挿通溝42dに挿入しつつ被保持部12が通過可能となるように、被保持部12の幅D2(図3参照)と略等しい幅となっている。
【0028】
図1及び図5に示すように、前記連続フィン部43は、前記フィン部33と同様の形状をなしており、ワイパブレード3が停止位置に配置された状態において車両後方側に向かうほど払拭面からの高さが高くなる湾曲面を有した形状をなしている。また、連続フィン部43における装着凹部44と反対側の端部は、装着凹部44から遠ざかるに連れて徐々に高さが低くなるように形成されている。この連続フィン部43は、装着凹部44が形成された部位を除いて、内部に空洞を備えない充実構造となっている。
【0029】
図4及び図5に示すように、上記のように構成されたキャップ41は、ケース31の保持部32にて保持されたバッキング21の長手方向の端部が、装着凹部44側からキャップ側バッキング収容部42a内に挿入されて、係合凹部22に係合凸部42bがスナップフィット係合することにより、バッキング21に対して固定(装着)されている。バッキング21の長手方向の端部に固定されたキャップ41の装着凹部44には、ケース31の第1端部31aが挿入され、当該第1端部31aにラップ部45が重なっている。そして、バッキング21に固定されたキャップ41によって、バッキング21とケース31との長手方向の相対移動が規制され、ケース31の長手方向の端部(第1端部31a)からバッキング21が抜け出すこと、言い換えれば、ケース31がバッキング21の端部から抜け出すことが防止されている。
【0030】
また、バッキング21に固定されたキャップ41においては、連続保持部42がケース31の保持部32と長手方向に隣り合うとともに、連続フィン部43がケース31のフィン部33と長手方向に隣り合っている。そして、連続保持部42は、保持部32を長手方向に延長するように延び、連続フィン部43は、フィン部33を長手方向に延長するように延びている。更に、キャップ41の外周面とケース31の外周面とは、ラップ部45の厚さ分の僅かな段差を有するのみでキャップ41の外周面からケース31の外周面へ移行するようになっている。
【0031】
また、キャップ側バッキング収容部42aは、ケース31のバッキング収容部32aとバッキング21の長手方向に隣り合い、該バッキング収容部32aの内部空間と繋がっている。同様に、キャップ側ラバー収容部42cは、ケース31のラバー収容部32bとバッキング21の長手方向に隣り合い、該ラバー収容部32bの内部空間と繋がっている。従って、ラバー挿通孔42eを介して、キャップ41の外部とキャップ41の内部(即ちキャップ側バッキング収容部42a及びキャップ側ラバー収容部42c)とが連通するとともに、更には、キャップ41の外部とケース31の内部(即ちバッキング収容部32a及びラバー収容部32b)が連通している。また、キャップ側挿通溝42dは、ケース31の挿通溝32cとバッキング21の長手方向に隣り合い、該挿通溝32cを延長するように該挿通溝32cと繋がっている。
【0032】
また、保持部32の長手方向の端部(ケース31の第1端部31a)から保持部32の外部に突出したブレードラバー11の被保持部12及び括れ部13は、被保持部12がキャップ側ラバー収容部42cに挿入され、括れ部13がキャップ側挿通溝42dに挿入されている。そして、ブレードラバー11は、バッキング21に固定されたキャップ41によって、バッキング21及びケース31に対する長手方向の相対移動が規制され、ケース31の長手方向の端部(第1端部31a)から抜け出すことが防止されている。
【0033】
また、図1に示すように、ワイパブレード3は、該ワイパブレード3を前記ワイパアーム2に連結するための連結装置51を備えている。連結装置51は、バッキング21の長手方向の中央部に固定され、この連結装置51にワイパアーム2の先端部が連結されている。そして、連結装置51は、ワイパアーム2に対してワイパブレード3を回動可能に連結している。尚、連結装置51には、両ケース31の第2端部31bにおいて両ラバー収容部32bが連通するように不図示の連結装置側ラバー収容部が長手方向に沿って形成されている。
【0034】
上記のように構成された車両用ワイパ1では、ワイパアーム2の先端部が図示しない付勢機構によりフロントガラス(払拭面)側に付勢されることで、その付勢力が連結装置51及びバッキング21を介してブレードラバー11に伝達されて、ブレードラバー11の払拭部16が長手方向全長に亘ってフロントガラスの外表面(払拭面)に押圧接触される。また、車両の走行時には、フィン部33によって走行風がフロントガラス(払拭面)側への押圧力に変換されて、払拭部16がフロントガラスの外表面(払拭面)に押圧接触される。これらのことから、ワイパアーム2がピボット軸を中心に往復回動されると、ワイパブレード3によって良好な払拭動作が行われる。
【0035】
次に、本実施形態のワイパブレード3の作用を、図2、図4及び図6を参照して説明する。
図6(a)に示すように、ケース31内にはバッキング21(図6においては図示略)が収容され、該バッキング21の長手方向の両端部には、それぞれキャップ41が装着されている。この状態のケース31に対してブレードラバー11を装着するには、まず、被保持部12の長手方向の一端部を、一方のキャップ41のラバー挿通孔42eからキャップ側ラバー収容部42c内に挿入すると同時に、括れ部13の長手方向の一端部を同ラバー挿通孔42eからキャップ側挿通溝42d内に挿入する。そして、括れ部13をケース31側へ向けてキャップ側挿通溝42dに挿入しつつ、被保持部12をケース31側へ向けてキャップ側ラバー収容部42cに挿入していく。更に、バッキング21の長手方向に沿ってブレードラバー11を移動させることで、括れ部13を、キャップ側挿通溝42dから連続する挿通溝32cに挿入しつつ、被保持部12を、キャップ側ラバー収容部42cから連続するラバー収容部32bに挿入していく。そして、被保持部12の長手方向の一端部及び括れ部13の長手方向の一端部が、一対のケース31を通り抜けて他方のキャップ41のキャップ側ラバー収容部42c及びキャップ側挿通溝42dに達するまで、バッキング21の長手方向に沿ってブレードラバーを移動させる。その後、図6(b)に示すように、ブレードラバー11を他方のキャップ41側に向かってその長手方向に圧縮しながら、被保持部12の長手方向の他端部をラバー挿通孔42eから一方のキャップ41のキャップ側ラバー収容部42cに挿入しつつ、括れ部13の長手方向の他端部を同ラバー挿通孔42eから一方のキャップ41のキャップ側挿通溝42dに挿入する。その後、図6(c)に示すように、ブレードラバー11の長手方向の圧縮を解除して該ブレードラバー11を原形に復帰させると、被保持部12の長手方向の他端部及び括れ部13の長手方向の他端部は、一方のキャップ41においてラバー挿通孔42eよりもキャップ41の底部側(装着凹部44と反対側)へ移動する。こうして、キャップ41をバッキング21から取り外すことなく、ブレードラバー11をケース31に装着することができる。
【0036】
また、ブレードラバー11をケース31から取り外すときには、まず、図6(b)に示すように、ブレードラバー11の長手方向の一端部が、該一端部を保持したキャップ41のラバー挿通孔42eに達するまでブレードラバー11をその長手方向に圧縮する。その後、ラバー挿通孔42eから、被保持部12及び括れ部13をキャップ41の外部に引き出すことで、キャップ41をバッキング21から取り外すことなく、ブレードラバー11をケース31から取り外すことができる。
【0037】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)キャップ41がバッキング21の長手方向の端部に装着された状態のままで、キャップ41に設けられたラバー挿通孔42eから、ブレードラバー11の被保持部12をケース31の内部に挿入可能である。また、ケース31の内部に保持された被保持部12を、ラバー挿通孔42eからケース31の外部に取り出し可能である。従って、バッキング21の長手方向の端部からキャップ41を取り外さなくても、ケース31に対してブレードラバー11の着脱を行うことができるため、ケース31に対するブレードラバー11の着脱時におけるキャップ41の紛失を防止することができる。
【0038】
(2)ケース31におけるキャップ41と隣り合う長手方向の端部(即ち第1端部31a)の表面がラップ部45によって被覆される。そのため、第1端部31a(詳しくは、第1端部31a側のバッキング収容部32a及びラバー収容部32bの開口部)からケース31の内部に異物(雪や枯葉等)が侵入することが抑制される。また、ラップ部45は、キャップ41におけるラップ部45よりもケース31と反対側の部分よりも肉薄に形成されているため、ラップ部45がキャップ41におけるラップ部45以外の部分に比べて外側に大きく突出することを抑制しつつ、ケース31の第1端部31aをキャップ41に挿入することができる。従って、キャップ41を備えたワイパブレード3の見栄えを向上させることができる。更に、キャップ41においては、ラップ部45以外の部分の肉厚をラップ部45よりも厚くすることで、キャップ41の強度を大きくすることができる。
【0039】
(3)キャップ41は、バッキング21の長手方向の端部に装着されるため、ワイパブレード3の端部に位置している。従って、被保持部12をその長手方向の一端部からラバー挿通孔42eを介して保持部32の内部に挿入した場合、被保持部12の長手方向の他端部をキャップ41の内部に挿入するためにブレードラバー11を長手方向に圧縮する量が、例えばケース31にラバー挿通孔を設ける場合に比べて少なくてすむ。同様に、ケース31からブレードラバー11を取り外すべく被保持部12の長手方向の端部をラバー挿通孔42eからキャップ41の外部に取り出すときにおいても、ブレードラバー11を長手方向に圧縮する量が少なくてすむ。従って、ブレードラバー11のケース31への着脱を容易に行うことができる。
【0040】
(4)ラバー挿通孔42eは、払拭面側に開口するとともに、被保持部12は、保持部32の内部でバッキング21に対して払拭面側に位置する。従って、ラバー挿通孔42eからケース31の内部に被保持部12を挿入するときに、被保持部12はバッキング21を越えることなくケース31の内部に挿入される。同様に、ラバー挿通孔42eから被保持部12をケース31の外部に取り出すときに、被保持部12はバッキング21を越えることなくケース31の外部に取り出される。従って、ラバー挿通孔42eを使用したブレードラバー11のケース31への着脱をより容易に行うことができる。
【0041】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ラバー挿通孔42eは、キャップ41におけるキャップ側ラバー収容部42cの下方(払拭面側)となる部位において、キャップ側挿通溝42dの長手方向の略中央部に形成されている。しかしながら、ラバー挿通孔42eの形成位置はこの位置に限らない。図7(a)に示すように、ラバー挿通孔42eは、キャップ41におけるキャップ側ラバー収容部42cの下方(払拭面側)となる部位において、装着凹部44に隣接する位置に形成されてもよい。このラバー挿通孔42eは、装着凹部44の底面に開口している。そして、図7(b)に示すように、ケース31の第1端部31aが装着凹部44に挿入されると、ラバー挿通孔42eは、第1端部31aと隣接するとともに、ラバー挿通孔42eにおける装着凹部44の底部に開口した開口部が第1端部31aによって閉塞される。即ち、ラバー挿通孔42eは、ケース31の第1端部31a側に開口している。このようにしても、上記実施形態の(1)〜(4)と同様の効果を得ることができる。更に、ワイパブレード3の長手方向にキャップ41を小型化することが可能となる。また、上記実施形態のようにキャップ41においてケース31の第1端部31aから離間する位置にラバー挿通孔42eを形成する場合に比べて、キャップ41を形成するための成形型を簡単な形状とすることができる。
【0042】
・上記実施形態では、ラバー挿通孔42eは、払拭面側に開口している。しかしながら、ラバー挿通孔42eは、キャップ41の外部に開口するとともにラバー収容部32bに連通し被保持部12が通過可能であれば、必ずしも払拭面側に開口していなくてもよい。例えば、ラバー挿通孔42eは、連続保持部42の幅方向の一方側に開口するように形成されてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、ラップ部45は、キャップ41におけるラップ部45よりもケース31と反対側の部分よりも肉薄に形成されている。しかしながら、ラップ部45は、例えば、連続保持部42と同等の厚さに形成されてもよい。また、キャップ41は、ラップ部45を備えない構成であってもよい。
【0044】
・上記実施形態では、バッキング収容部32aとラバー収容部32bとは繋がっている。しかしながら、バッキング収容部32aとラバー収容部32bとを隔てる隔壁を形成し、バッキング21と被保持部12との間に当該隔壁が介在されるようにしてもよい。この場合、キャップ41においても、キャップ側バッキング収容部42aとキャップ側ラバー収容部42cとを仕切る隔壁を形成してもよい。但し、ラバー挿通孔42eとキャップ側ラバー収容部42cとが繋がり、更に、キャップ側ラバー収容部42cとラバー収容部32bとが繋がるように形成される。
【0045】
・上記実施形態では、キャップ41は、係合凸部42bが係合凹部22にスナップフィット係合することにより、バッキング21に固定されている。しかしながら、キャップ41は、ブレードラバー11の交換時において取り外しが不要なことから、接着や熱溶着等によりバッキング21に固定されてもよい。
【0046】
・上記実施形態では、キャップ41は、バッキング21の長手方向の両端部に装着(固定)されているが、両ケース31の第1端部31aに装着(固定)されてもよい。このようにしても、キャップ41がケース31の長手方向の端部に装着された状態のままで、キャップ41に設けられたラバー挿通孔42eから、ブレードラバー11の被保持部12をケース31の内部に挿入可能であるため、上記実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。
【0047】
・上記実施形態では、ワイパブレード3は、一対のケース31を備えている。しかしながら、ワイパブレード3は、バッキング21(ブレードラバー11)と略等しい長さのケース31を1本のみ備えた構成であってもよい。
【0048】
・ケース31は、必ずしもフィン部33を備えなくてもよい。
・上記実施形態では、連結装置51は、バッキング21に固定されているが、ケース31に固定されてもよい。また、連結装置51は、ワイパブレード3ではなく、ワイパアーム2の先端部に設けられてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、バッキング21は、1本のバッキングとしたが、2本のバッキングとしてもよい。更に、バッキング21は板(帯)状としたが棒状としてもよい。
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0050】
(イ)請求項1又は請求項2に記載のワイパブレードにおいて、前記ラバー挿通孔は、前記ケースの長手方向の端部と隣接し、該ケースの長手方向の端部側に開口していることを特徴とするワイパブレード。同構成によれば、ワイパブレードの長手方向にキャップを小型化することが可能となる。また、キャップにおいてケースの長手方向の端部から離間する位置にラバー挿通孔を形成する場合に比べて、キャップを形成するための成形型を簡単な形状とすることができる。
【0051】
(ロ)請求項1、請求項2及び前記(イ)の何れか1項に記載のワイパブレードにおいて、前記ラバー挿通孔は、前記払拭面側に開口し、前記被保持部は、前記バッキングに対して前記払拭面側に位置することを特徴とするワイパブレード。同構成によれば、ラバー挿通孔からケースの内部に被保持部を挿入するときに、被保持部はバッキングを越えることなくケースの内部に挿入される。同様に、ラバー挿通孔から被保持部をケースの外部に取り出すときに、被保持部はバッキングを越えることなくケースの外部に取り出される。従って、ラバー挿通孔を使用したブレードラバーのケースへの着脱をより容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
11…ブレードラバー、12…被保持部、16…払拭部、21…バッキング、31…ケース、31a…ケースにおけるキャップと隣り合う長手方向の端部としての第1端部、41…キャップ、42e…ラバー挿通孔、45…ラップ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の被保持部及び前記被保持部と平行に延び払拭面を払拭するための払拭部を有する長尺状のブレードラバーと、
前記ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ該ブレードラバーに剛性及び弾性を付与するバッキングと、
前記ブレードラバーの長手方向に沿って設けられ前記被保持部及び前記バッキングを内部に保持するケースと、
前記バッキングの長手方向の端部若しくは前記ケースの長手方向の端部に装着され前記ブレードラバー及び前記バッキングの前記ケースからの脱落を阻止するキャップと
を備えたワイパブレードであって、
前記キャップは、前記キャップの外部に開口するとともに前記ケースの内部に連通し前記ブレードラバーの前記被保持部が通過可能なラバー挿通孔を有することを特徴とするワイパブレード。
【請求項2】
請求項1に記載のワイパブレードにおいて、
前記ケースにおける前記キャップと隣り合う長手方向の端部は、前記キャップに挿入されており、
前記キャップは、前記キャップに挿入された前記ケースの端部表面を被覆するように前記ケース側に延びるラップ部を有し、前記ラップ部は、前記キャップにおける前記ラップ部よりも前記ケースと反対側の部分よりも肉薄に形成されていることを特徴とするワイパブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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