ワイヤで巻かれた工具
工具ロール、および工具ロールを使用して1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造する方法を開示する。工具ロールは、適切な粘度または成形性の材料と関連して使用されると、物品上に構造化表面を形成することができる外面を含む。工具は、ロール形態で製造されるので、有利に、連続製造プロセスで使用することができる。あるいは、工具ロールを使用して、別々の物品を処理してもよい。工具ロールは、円筒形ベースロール(12)から構成され、かつ1つ以上の連続ワイヤ(20、40)で螺旋パターンに巻付けられる。ワイヤ(20、40)は、本質的に、工具ロールを使用して処理される物品上に形成すべき構造化表面のネガティブである、工具ロール上の構造化表面を形成するために使用される。ベースロール(12)の周りに巻かれたワイヤ(20、40)の1つが、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれると、工具ロールの外面上にキャビティを形成する、中に形成された凹部(26)を含んでもよい。あるいは、1つ以上の巻かれたワイヤ(20、40)の螺旋パターンを使用して、連続螺旋構造化表面、たとえば、1つまたは複数の螺旋溝を形成してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化表面を備えた物品を製造する分野に関する。より詳細には、本発明は、1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造するための工具、工具を製造する方法、および工具を使用して1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の構造化表面を備えた物品には、さまざまな用途がある。これらの物品は、たとえば、増加した表面積、機械的ファスナを提供するために使用される構造、光学特性などを示すフィルムとして提供することができる。これらのフィルムを、機械的ファスナとして使用するために製造する場合、構造化表面上に見出される突出部は、通常、フックと呼ばれる。フックは、湾曲形状に形成してもよいし、たとえばキノコの形状のヘッドを含むように変形される、実質的に直立したステムであってもよい。
【0003】
機械的ファスナは、2つのフックストリップを、各ストリップを物品の一方に接着し、次に、2つのストリップを相互に係合させることによって2つの物品をともに固定するために使用することができるように設計されることがある。そのような機械的ファスナは、米国特許第3,192,589号明細書(ピアソン(Pearson))に示されており、この特許では、そのファスナを「両性」と呼び、というのは、そのヘッド付スタッドが、相互に噛合ったときに雄および雌特徴の両方を有するからである。ピアソンのファスナは、一体的な、ヘッドのないスタッドが突出するベースを成形し、次に、スタッドの先端を熱軟化させることによって、製造することができる。
【0004】
米国特許第5,077,870号明細書(メルビー(Melbye)ら)は、溶融材料を、移動するモールド表面に形成されたキャビティに押込むことによって、機械的ファスナのフックストリップ部分を製造する1つの方法を開示している。次に、移動するモールド表面によって形成されたステムをキャップして、所望のファスナを形成する。キャビティは、ドリリングによってモールド表面に形成される。その結果、キャビティの形状は円筒形であり、深さ、直径、およびキャビティ間の間隔においていくらかの精度を得ることができるが、それは、いくらかの困難および増加したコストを伴って得られる。さらに、モールド表面の損傷は、典型的には、モールド全体を捨てることを必要とする。
【0005】
米国特許第5,792,411号明細書(モリス(Morris)ら)は、モールド表面をレーザ加工することによって製造された成形工具を開示している。次に、溶融材料を、移動するモールド表面のキャビティに押込み、ステムを形成する。次に、ステムをキャップして、所望のファスナを形成する。キャビティがレーザアブレーションによって形成されるので、キャビティ形状は、キャビティを形成するために使用されるレーザビーム内のエネルギー分布に基いている。さらに、モールドを構成するために使用される材料、レーザビームのパワー、ビーム内のエネルギー分布、ビームの焦点などの可変性によって、キャビティの深さの精密な制御を得ることが困難である。
【0006】
米国特許第4,775,310号明細書(フィッシャー(Fischer))および国際公開第97/46129号パンフレット(レーシー(Lacey)ら)は、フックアンドループ式機械的ファスナ用フックストリップを製造するために使用される工具を開示している。これらの工具は、水冷ジャケットを備えた中空ドラムによって形成される。一連のモールドディスクまたは交互のモールドディスクおよびスペーサプレートを、ドラムの長さに沿ってともに積層して、ロールの面上に所望のモールドキャビティを形成する。これらの設計の欠点としては、モールドキャビティが、同じ深さ、長さ、間隔などであることを確実にするために、十分な精度を有するモールドディスクを製造するコストが挙げられる。製造の困難さによってディスクに課されたサイズ制限は、工具を使用するプロセスの線速度を制限することがある。この設計の他の欠点としては、モールドキャビティの不均一な冷却、積重ねられたプレートによって製造された製品の不均一性などが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、工具ロール、および工具ロールを使用して、1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造する方法を提供する。工具ロールは、適切な粘度または成形性の材料と関連して使用されると、物品上に構造化表面を形成することができる外面を含む。工具は、ロール形態で製造されるので、有利に、連続製造プロセスで使用することができる。あるいは、本発明の工具ロールを使用して、別々の物品を処理してもよい。
【0008】
「構造化表面」とは、物品の表面が、平らなまたは他の滑らかな表面からそれることを意味する。たとえば、構造化表面は、機械的ファスナと関連して使用されるステムなどの、それから延在する突出部を含んでもよい。他の代替の構造化表面としては、連続溝または連続リッジ、細長い構造などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
本発明の工具ロールは、円筒形ベースロールから構成され、かつ1つ以上の連続ワイヤで螺旋パターンに巻付けられる。ワイヤは、本質的に、工具ロールを使用して処理される物品上に形成すべき構造化表面のネガティブである、工具ロール上の構造化表面を形成するために使用される。一実施形態において、ベースロールの周りに巻かれたワイヤの少なくとも1つが、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれると、工具ロールの外面上にモールドキャビティを形成する、中に形成された凹部を含んでもよい。
【0010】
本発明による工具ロールの利点は、特に小さい接線方向の断面積を有するモールドキャビティを設けることができることを含む。また、ワイヤの主側面に形成された凹部の特徴寸法は、両方の主側面を通ってパンチングされた空隙を含むワイヤのように、たとえばワイヤの厚さによって制限されないであろう。本発明による凹部によって形成されたモールドキャビティは、ワイヤの全側面にわたって延びてもよい深さで形成してもよい。結果として、突出部を、特に高いアスペクト比を有する工具ロールを使用して形成してもよい。
【0011】
そのような高アスペクト比モールドキャビティの充填を、ワイヤおよび/またはベースロール上のブリード構造によって向上させてもよい。これらのブリード構造は、成形の間モールドキャビティからの空気の逃げを助ける。
【0012】
本発明による工具ロールの別の利点は、モールドキャビティを工具ロールの外面上に設けてもよい密度である。凹部からモールドキャビティを形成することによって、ワイヤの構造一体性を、ワイヤの両方の主側面を通ってパンチングされた空隙によって形成されたモールドキャビティと比較して向上させることができる。その向上した構造一体性は、工具ロール上のモールドキャビティのより近い間隔を考慮することができる。モールドキャビティのより近い間隔は、工具ロールを使用して製造された物品上に形成してもよい特徴の増加した密度になる。
【0013】
本発明による工具ロールのさらに別の利点は、ワイヤの主側面の1つ以上の凹部を、ワイヤを通って形成された空隙と組合せて、空隙または凹部だけでは可能でない形状を有する複合モールドキャビティを形成してもよいことである。
【0014】
工具ロールの他の利点としては、工具ロールの外面が損傷または磨耗した場合、ベースロール上のワイヤ巻線を取替えることができることが挙げられるが、これに限定されない。工具ロールは、また、たとえば、積重ねられたプレート、またはモールド表面の直接ドリリングを用いて工具ロールを製造するコストと比較して比較的安価であろう。
【0015】
別の利点は、ベースロールの周りに巻付けられる1つまたは複数のワイヤの厚さを変えることによって、ロールの幅に沿ったモールドキャビティの間隔を制御することができることである。円周のモールドキャビティの間隔も、ベースロールの周りに巻付けられる1つまたは複数のワイヤの凹部の間の間隔を制御することによって、独立して制御することができる。さらなる利点は、1つまたは複数のワイヤのプロファイルまたは断面形状、およびワイヤに形成される凹部の1つまたは複数の形状を制御することによって、モールドキャビティの1つまたは複数の形状の変化も達成することができることである。
【0016】
本発明のさらに別の利点は、ベースロールの熱質量と比較して、ベースロールの周りに巻付けられる1つまたは複数のワイヤの、比較的小さい熱質量である。結果として、モールドキャビティの熱制御を向上させることができ、これは、工具ロールを使用して製造される製品の均一性の対応する向上をもたらすことができる。
【0017】
本発明と関連して使用されるように、「モールドキャビティ」は、成形プロセスの間に成形可能な材料が流れてもよい、そうでなければ滑らかなまたは平らな表面のいかなる不連続であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、工具ロールは、以下で定義されるような高アスペクト比を有するモールドキャビティを含んでもよいが、モールドキャビティが高アスペクト比を有さなくてもよいことが理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を有する第1のワイヤとを備えた工具ロールを提供する。第1のワイヤの第1の主側面は、その中に形成された複数の凹部を含み、第1のワイヤは、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる。第1のワイヤの第1の主側面の複数の凹部は、複数のモールドキャビティを形成し、モールドキャビティの各々は、第1のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面においてモールド開口部を含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第1のワイヤとを含む工具ロールを提供する。第1のワイヤの第1の主側面は、その中に形成された複数の凹部を含み、第1のワイヤは、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる。第1のワイヤの第1の主側面の複数の凹部は、複数のモールドキャビティを形成し、モールドキャビティの各々は、第1のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面においてモールド開口部を含む。工具ロールは、また、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第2のワイヤを含む。第2のワイヤは、第2のワイヤの内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれ、第2のワイヤは、第1のワイヤの隣接した螺旋コイルの間に配置される。第2のワイヤの第1の主側面は、その中に形成されたブリード構造と、ブリード構造のない端縁ゾーンとを含む。
【0020】
別の態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第1のワイヤとを含む工具ロールを提供する。第1のワイヤは、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる。第1のワイヤは、また、第1のワイヤの第1の主側面に形成された複数の凹部と、第1のワイヤの第1および第2の主側面を通って形成された複数の空隙とを含み、空隙の各々は、それから延在する凹部を含む。凹部が延在する複数の空隙は、複数の複合モールドキャビティを形成し、複合モールドキャビティの各々は、第1のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面においてモールド開口部を有する。
【0021】
別の態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第1のワイヤであって、第1のワイヤが、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる第1のワイヤとを含む工具ロールを提供する。第1のワイヤは、また、第1のワイヤの第1の主側面に形成された複数の凹部を含む。工具ロールは、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第2のワイヤをさらに含み、第2のワイヤは、第2のワイヤが第1のワイヤの隣接した螺旋コイルの間に配置されるように、ベースロールの周りに巻かれる。第2のワイヤは、第2のワイヤの第1および第2の主側面を通って形成された複数の空隙を含む。第1のワイヤの複数の凹部および第2のワイヤの複数の空隙は、複数の複合モールドキャビティを形成し、複合モールドキャビティの各々は、複数の空隙のうちの少なくとも1つの空隙と、複数の凹部のうちの少なくとも1つの凹部と、第1および第2のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面におけるモールド開口部とを含む。
【0022】
別の態様において、本発明は、物品上に構造化表面を形成する方法であって、本発明による工具ロールを提供する工程と、成形可能な材料を工具ロールの外面に接触させて、工具ロールの外面を用いて構造化表面を形成する工程であって、成形可能な材料が、モールドキャビティまたは複合モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填する工程と、工具ロールの外面から構造化表面を取外す工程であって、構造化表面が、複数のモールドキャビティまたは複合モールドキャビティに対応する複数の突出部を含む工程とを含む方法を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、ベース表面と、ベース表面から突出する複数の細長いリッジと、複数の細長いリッジの各細長いリッジから突出する複数の耳とを含む物品を提供する。
【0024】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点を、本発明の例示的な実施形態と関連して、以下で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、工具ロール、および工具ロールを使用して1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造する方法を提供する。工具ロールは、適切な粘度または成形性の材料と関連して使用されると、物品上に構造化表面を形成することができる外面を含む。工具は、ロール形態で製造されるので、有利に、連続製造プロセスで使用して、たとえば、フィルム、シートなどを形成することができる。あるいは、本発明の工具ロールを使用して、別々の物品を処理してもよい。
【0026】
本発明の工具ロールは、適切な粘度または成形性の材料と関連して使用されると、フィルムの少なくとも1つの表面上に突出部または構造を形成することができる、外面の複数のキャビティを含んでもよい。あるいは、2つのそのようなロールを組合せて使用して、両方の主面が突出部または構造を示すフィルムを形成することができる。
【0027】
図1は、工具ロール10の外面内に開くモールドキャビティ30を含む本発明による工具ロール10の1つの例示的な実施形態を示す。図2は、図1の工具ロール10の表面の拡大部分破断図を示す。工具ロール10は、好ましくは、周りに1つ以上のワイヤが螺旋コイルの形状に巻付けられて、中にモールドキャビティ30が形成された表面を製造する円筒形ベースロール12を含む。
【0028】
ベースロール12の周りに巻付けられた1つまたは複数のワイヤは、クランプ、溶接、接着剤などを含むが、これらに限定されない、任意の適切な機構によって所定位置に保持してもよい。そのような技術は、たとえば、カーディングロールの製造において知られている。たとえば、米国特許第4,272,865号明細書(シュモルケ(Schmolke))を参照のこと。
【0029】
工具ロール10などの、本発明によって製造された工具ロールの1つの好ましい用途を、高アスペクト形状構造化表面の製造に用いてもよい。図1Aを参照すると、工具ロール10を使用して形成された1つの例示的な物品70が、上に突出部72が形成された構造化表面を含んで示されている。示された突出部は、物品70の表面74より高い高さh’と、表面74の平面に略平行な平面Iで測定された最小幅w’とを有する。表面74が、いくらかの湾曲を有する場合、平面Iは、好ましくは、突出部72の領域の表面74に接線方向に配向される。
【0030】
突出部72は、高アスペクト比を有してもよく、本発明による工具ロールは、高アスペクト比形状を備えた構造化表面の製造に特に有利であろう。「高アスペクト比」とは、表面74に近接した突出部72のベースにおける突出部高さと最小幅との比(h’:w’)が、たとえば、少なくとも約2:1以上、より好ましくは約3:1以上、さらに好ましくは、少なくとも約5:1以上であることを意味する。上で定義されたような高アスペクト比に加えて、またはその代わりに、物品の主面より高い突出部または構造の高さh’が、たとえば、約0.1ミリメートル以上、より好ましくは約0.2ミリメートル以上、さらに好ましくは約0.4ミリメートル以上であることが好ましいであろう。
【0031】
図1Bは、本発明の原理に従って製造された1つの例示的な物品の一部の拡大斜視顕微鏡写真である。シートまたはフィルム形態で提供してもよい物品は、本発明による工具での形成後キャップされた突出部を含む。そのような物品は、有利に、機械的ファスナ(たとえば、キノコタイプまたはフックタイプ機械的ファスナ)として使用してもよい。物品が機械的ファスナとして使用される場合、突出部は、通常、ステムと呼んでもよいが、その用語の使用は、本発明を用いて製造された物品の用途の範囲を限定するように意図されない。
【0032】
本発明の工具ロールおよび方法によって製造できる物品は、有利に、機械的ファスナとして使用されるが、物品にさまざまな他の用途があってもよいし、本発明による、工具ロール、および工具ロールを使用して構造化表面を備えた物品を製造する方法は、機械的ファスナの分野に限定されるべきではない。たとえば、本発明による物品の構造化表面上に形成された突出部は、たとえばフィルムの表面積を増加させることによって、接着剤または他のコーティング/材料を保持する点で利点をもたらすことができる。工具ロールによって形成された構造化表面は、また、フローチャネル、抗力低減構造、研磨バッキングなどとして、装飾のために有用であろう。
【0033】
巻付けられたワイヤの螺旋性質が図1に示されている。コイルは、好ましくは、円筒形工具ロール10の表面に垂直な基準線に対して螺旋角度α(アルファ)で配向される。巻付けられたワイヤの螺旋性質の結果として、それらは、ロール10の表面を横切って一方の端部から反対側の端部まで進む。螺旋角度α(アルファ)は、好ましくはかなり小さく、たとえば、約5度以下であるが、より大きい螺旋角度を用いることができる。より小さい螺旋角度は、典型的には、工具ロール10の長手方向の軸11に沿ってモールドキャビティ間のより小さい間隔をもたらす。あるいは、たとえば、2001年12月18日に出願された構造化表面物品用の螺旋コイルを備えた工具(TOOLING WITH HELICAL COILS FOR STRUCTURED SURFACE ARTICLES)という名称の同時係属中の米国特許出願第10/024,919号明細書に記載されているように、ワイヤを起伏螺旋パターンでロールの周りに巻付けてもよい。
【0034】
示された工具ロール10は、凹部26を含む連続ワイヤ20、およびスペーサワイヤ40が周りに巻かれた円筒形ベースロール12を使用して製造される。結果は、凹部26を備えたワイヤ20およびスペーサワイヤ40の交互の螺旋コイルが、工具ロール10の表面にわたって配置される。ワイヤ20の内縁24およびスペーサワイヤ40の内縁44は、ベースロール12の周りに巻付けられ、ワイヤ20および40の外縁22および42は、それぞれ、ベースロール12から外方に面して巻かれる。ワイヤ20およびスペーサワイヤ40の両方が、好ましくは、ロール10を横切る螺旋コイルの均一な進行と適合する矩形断面を有してもよい。
【0035】
ワイヤ20は、ワイヤ20の内縁24と外縁22との間に延在する2つの主側面を含む。ワイヤ20は、略平坦な主側面を含むが、本発明と関連して使用されるワイヤの主側面は、任意の適切な形態をとってもよい。ワイヤの内縁から外縁まで延在する主側面をともに形成するさまざまな表面を含むワイヤのいくつかの例を、図8A〜8Dに見ることができる。
【0036】
ワイヤ20の第1の主側面21に設けられた示された凹部26は、図2に見られるように、対向する側壁27a、27b、および28、ならびに底部29を含む。ここで使用されるように、「凹部」という用語は、中に凹部が形成された表面が凹部のない相補的な表面に対して配置されたときに、凹部がモールドキャビティを形成するような、表面の変化と定義する。たとえば、凹部は、表面に直交する構造の厚さが表面を横切って変わるように材料を移動および/または除去することによって表面に形成された空隙またはディボットであってもよい。本発明の凹部は、ワイヤの対向する主側面を通って延在しない。
【0037】
凹部がワイヤ20の第1の主側面21に形成されているように図1に示されているが、本発明は、凹部が第1の主側面21および第2の対向する主側面の両方に形成されたワイヤ20をさらに含んでもよい。
【0038】
凹部26の各々が、同じサイズであり、かつワイヤ20の長さに沿って均一な間隔であり、結果として生じるモールドキャビティ30の間隔の均一性をもたらすことが好ましいであろうが必要ではないであろう。完成した工具ロール10のモールドキャビティ30間の領域が、実質的に滑らかである、すなわち、ワイヤ20とワイヤ40との間の著しい不連続がないように、ワイヤ20のコイルの外縁22が、スペーサワイヤ40の外縁42と同一平面上にあることがさらに好ましいであろう。
【0039】
あるいは、ワイヤ20および40の外縁22および42は、それぞれ、ベースロール12の表面より高い異なった高さに配置してもよい。異なった高さを有するワイヤ20および40は、製造されている物品の表面に構造を与えることができる。その構造は、たとえば、モールドキャビティによって形成されたより高い突出部および/または物品自体を強化することができる細長いリッジの形態であってもよい。
【0040】
上述されたようにベースロール12の周りに巻かれたときに所望のモールドキャビティ30を設ける、中に形成された凹部を含むワイヤ20は、好ましくは、略矩形断面を有するワイヤまたはストリップを使用して製造してもよい。ワイヤ20は、凹部26を備えて製造してもよいし、実質的に均一なプロファイルを備えたワイヤを最初に製造し、次に、1つまたは複数の任意の適切な技術によって処理して、その中に凹部26を形成してもよい。1つまたは複数の適切な技術としては、ローレット切り、スタンピング、エンボス加工、彫刻、従来の機械加工、レーザ加工、放電加工、ウォータージェット加工、エッチング、フォトリソグラフィなどが挙げられるが、これらに限定されないであろう。ワイヤ20は、1つまたは複数の任意の適切な材料から製造してもよいが、いくつかの好ましい材料としては、鋼が挙げられ、より好ましくは、中炭素鋼から低炭素鋼が挙げられる。
【0041】
各々がモールド開口部31を含む、図1および2に示されたモールドキャビティ30は、それらの深さに沿って、工具ロール10の表面における開口部からモールドキャビティ底部29まで、実質的に均一な断面積を有してもよい。モールドキャビティ底部29は、モールドキャビティ26および円筒形ベースロール12の外面によって形成される。図3Aは、少しのモールドキャビティ30の拡大平面図であり、図3Bおよび図3Cは、それぞれ、線3B−3Bおよび線3C−3Cに沿ったモールドキャビティ30の断面図である。モールドキャビティ30は、それらの深さdに沿った略直線の接線方向の断面積を示してもよい。接線方向のとは、断面がロール10の接線に沿ってとられることを意味する。直線のとは、接線方向の断面におけるモールドキャビティ30の形状が、実質的に平らな側面によって形成されることを意味する。示されたキャビティ30は、また、実質的にロール10の半径に沿って配向されるが、以下で説明されるようにさまざまな配向が可能である。
【0042】
モールドキャビティ30の側面27a、27b、および28は、平行であってもよいし、側面27aおよび27bが、モールドキャビティ30の開口部において、モールドキャビティ30の底部におけるより離れているか、またはその逆であるように、ドラフト角度で形成してもよい。
【0043】
ワイヤの主側面に形成された凹部の形状を制御することに加えて、本発明は、また、形成された突出部の幅(たとえば、図1Aの幅w’)を調整してもよいようにワイヤの主側面内への凹部の深さの制御をもたらす。ワイヤ20の主側面内へのモールドキャビティ30の深さwは、図3Aに見られる。
【0044】
しかし、モールドキャビティが不均一な形状を有する、たとえば、キャビティがフックまたは他の構造の形状で形成される場合、モールドキャビティの「底部」は、円筒形ベースロールの外面に最も近いモールドキャビティの部分と定義する。そのようなモールドキャビティの一例が、図6Cに示されており、モールドキャビティ230cが、円筒形ベースロール212の外面230cに最も近い底部229cを有する。さらに、モールドキャビティ230cの深さdcは、また、モールドキャビティ230cの底部229cによって規定される。モールドキャビティ230cは、その底部229cから区別できる端部231cを有し、というのは、モールドキャビティ230cは、ワイヤ220cの内縁224cからそれるからである。
【0045】
上述されたさまざまな例示的なモールドキャビティの底部は、ベースロールによって形成されるが、凹部が形成された表面内にモールドキャビティの底部が形成されるように、凹部がベースロールの表面より上で終わってもよいことが理解されるべきである。
【0046】
米国特許第6,190,594B1号明細書(ゴーマン(Gorman))および米国特許出願第10/024,919号明細書(2001年12月18日に出願された、構造化表面物品用の螺旋コイルを備えた工具(TOOLING WITH HELICAL COILS FOR STRUCTURED SURFACE ARTICLES))の教示に従って製造された工具ロールと比較して、本発明によって製造された工具ロールの1つの利点は、モールドキャビティを規定するようにワイヤの表面に形成された凹部を用いることによって、モールドキャビティ密度を実質的に増加させることができることである。増加したモールドキャビティ密度は、より小さいモールドキャビティを提供し、かつモールドキャビティをワイヤの長さに沿ってともにより近い間隔で配置することができるため、可能であろう。
【0047】
本発明によって製造された工具ロールは、1cm2あたり少なくとも50キャビティ以上の密度を含んでもよい。工具ロール10が、1cm2あたり少なくとも100キャビティ以上の密度を含むことが好ましいであろう。工具ロール10が、1cm2あたり少なくとも500キャビティ以上の密度を含むことがより好ましいであろう。
【0048】
工具の表面におけるモールドキャビティ開口部のサイズは、たとえばワイヤの厚さに対して比較的小さくてもよい。たとえば、モールドキャビティ開口部の接線方向の断面積は、0.1cm2以下、いくつかの場合0.02cm2以下であってもよい。
【0049】
好ましい円筒形ベースロール12は、厳しく制御された振れを有するように精密形成される。その精密な振れは、ワイヤ20の厳しく制御された高さ寸法hと組合されて、ロール10の外面から測定されるような深さdが実質的に均一なモールドキャビティ30を提供することができる。高さ寸法hを制御できる公差は、一般に、比較的小さく、ベースロール12の振れは、厳しく制御することができ、それにより、完成した工具ロール10の全体的な厳しい公差制御をもたらすことができる。
【0050】
モールドキャビティ30は、また、図1Aの物品70上の突出部72と関連して上述されたようなアスペクト比の点で特徴づけることができる。モールドキャビティ30のアスペクト比は、モールドキャビティの最小幅w(図3Aを参照のこと)と比較して深さdに基づいて定められ、最小幅wは、モールドキャビティの開口部においてベースロール12の表面に接線方向の平面で測定される。換言すれば、モールドキャビティ30のアスペクト比はd:wであり、工具ロール10が、高アスペクト比形状を備えた構造化表面を有する物品を製造するために使用されるべきである場合、比d:wが、たとえば、少なくとも約2:1以上、より好ましくは、少なくとも約3:1以上、さらに好ましくは、少なくとも約5:1以上であることが好ましいであろう。上で定義されたような高アスペクト比に加えて、またはその代わりに、モールドキャビティ深さdが、たとえば、約0.1ミリメートル以上、より好ましくは約0.2ミリメートル以上、さらに好ましくは約0.4ミリメートル以上であることが好ましいであろう。
【0051】
図3Bおよび図3Cは、本発明の別の任意の特徴、すなわち、ロール10上のめっきまたは他のコーティング50の任意の追加を示す。示されたコーティング50は、工具ロール10の全外面、すなわち、モールドキャビティ30間およびモールドキャビティ30の内面上の領域にわたって配置される。あるいは、コーティングは、ロール10の外面上のみに配置し、キャビティ30の内面にはないことができる。別の代替例において、コーティング50をキャビティ30内のみに配置し、ロール10の外面上に配置しないことができる。さらに別の代替例において、第1のコーティングをモールドキャビティ30内に配置することができ、第2のコーティングを工具ロール10の外面上に配置することができる。
【0052】
コーティング50は、均質な層として示されているが、コーティング50が、実際には、混合されるか連続層で付与された1つ以上の材料の組合せであってもよいことが理解されるべきである。コーティング50に使用される1つまたは複数の材料は、所望の物理特性によって変わってもよい。望ましいであろういくつかの物理特性としては、増加した耐摩耗性、制御された剥離特徴、制御された表面粗さ、隣接したワイヤ巻線の間の結合などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい材料は、金属めっき、より詳細には、無電解ニッケルめっき、クロムなどであろう。
【0053】
図4および図5は、工具ロール110の外面内に開くモールドキャビティ130を含む工具ロール110の別の例示的な実施形態を示す。工具ロール110は、好ましくは、周りに1つ以上のワイヤが螺旋コイルの形状に巻付けられて、中に複数のモールドキャビティ130が形成された表面を製造する円筒形ベースロール112を含む。
【0054】
図5に最もよく示されているように、工具ロール110の表面は、2つのワイヤ120および120’で巻くことができ、各ワイヤは、ともに巻かれると、モールドキャビティ130を形成する、中に形成された凹部を含む。工具ロール110とロール10との1つの差は、実質的に均一な断面を有するスペーサワイヤ40の代わりに、工具ロール110は、両方とも中に形成された凹部を含む2つのワイヤを含むことである。工具ロール110の設計の1つの利点は、より高密度のモールドキャビティ130、すなわち、モールドキャビティ130間の減少した間隔をもたらすことができることである。
【0055】
示された工具ロール110は、好ましくは、2つのワイヤ120および120’を使用して提供されるが、工具ロール110を、3つ以上のワイヤを使用して製造することができることが理解されるであろう。さらに別の代替例において、工具ロール110には、1つのワイヤを設けることができ、その場合、参照番号120および120’は、ワイヤの交互の巻線またはコイルを示す。
【0056】
別の工具ロール変更例が、図5A、すなわち、ベースロール(図示せず)の周りに巻かれると互いに面するワイヤ320および340の2つの主側面に形成された凹部326および346の複合体としてモールドキャビティ330が形成された1つの工具ロール表面の平面図に示されている。互いに面する凹部326および346は、対称的であるように示されているが、複合モールドキャビティ330を形成するために用いられる凹部が、対称的でも非対称的でもよいことが理解されるべきである。2つ以上の凹部によって形成された複合モールドキャビティを設けることによって、そうでなければ1つのワイヤのみの側面に形成された凹部によって達成することが困難な形状および/または寸法を有するキャビティを設けることが可能であろう。
【0057】
図6A〜6Fは、上述された実質的に均一な凹部と異なる、本発明と関連して使用されるワイヤの凹部のさまざまな形状を示す。本発明による工具ロールの1つの利点は、凹部を異なった形状および/または配向で形成して、また異なった形状および/または配向を有するモールドキャビティを設けることができることである。さらに、本発明で使用されるワイヤは、突出部の複雑なパターンを有する完成したフィルムを製造してもよいように、凹部の1つを超える形状を含んでもよい。所望の突出部を備えた完成したフィルムを製造するためのこれらのモールドキャビティのいくつかの使用が、樹脂選択およびプロセス条件によることが理解されるであろう。
【0058】
図6Aのモールドキャビティ230aは、キャビティ230aの開口部から底部229aまで増加する変化する断面積を有する。側壁227aおよび228aは、その方向に広がる。結果として、キャビティ230aは、キャビティ230aの開口部における接線方向の断面積より大きい、キャビティ230aの底部229aに近接した接線方向の断面積を有する。
【0059】
図6Bは、側壁227bおよび228bが、キャビティ230bの開口部とキャビティ230bの底部229bとの間のあるポイントにおいて最大に達する変化する幅を有するキャビティ230bを設けるモールドキャビティ230bを示す。示されたキャビティ230bにおいて、幅w”は、キャビティ230bの深さの中間点の近くで最大である。キャビティ230bが形成されたワイヤの厚さが、キャビティの深さにわたって一定である場合、モールドキャビティ230bは、その開口部より下のあるポイントにおけるキャビティ230bの接線方向の断面積より小さい、その開口部における接線方向の断面積を有すると説明することができる。
【0060】
図6Cは、本発明の工具ロールに設けることができるモールドキャビティの形状のさらに別の変更例を示す。示されたモールドキャビティ230cは、フックの形態の湾曲した形状を有する。その形状を備えたモールドキャビティを用いて、著しい付加的な処理をせずにフックストリップを直接形成してもよい。図6Dは、また本発明による工具ロールによって成形してもよい二端フック形状を含むモールドキャビティ230dを示す。
【0061】
図6Eは、本発明による工具ロールに供給されるモールドキャビティの配向の変更例を示す。モールドキャビティ230eは、工具ロール(図示せず)の半径rに対してある角度で配向された軸231eで形成される。
【0062】
図6Fは、側壁227fおよび228fが、キャビティ230fの開口部とキャビティ230fの底部229fとの間のあるポイントにおいてテーパする変化する幅を有するキャビティ230fを設けるモールドキャビティ230fを示す。換言すれば、キャビティ230fは、そのときその開口部より下のあるポイントにおけるキャビティ230fの接線方向の断面積より、その開口部において大きい、その開口部における接線方向の断面積を有すると説明することができ、キャビティ230fは、キャビティ230fがワイヤ220fの外縁222fから内縁224fに進むにつれて狭くなる。
【0063】
本発明は、また、モールドキャビティを形成するために使用される1つまたは複数のワイヤの表面に形成されたブリード構造を含んでもよい。ブリード構造は、流体(たとえば、空気)がモールドキャビティからより容易に逃げることを可能にし、それにより、キャビティの充填を向上させてもよい。ブリード構造は、モールドキャビティが、そうでなければ完全に充填するのが困難なことがあるより高いアスペクト比を有する場合、特に役立つであろう。
【0064】
端縁ゾーンが工具ロールの外面に近接して設けられるように、ブリード構造がワイヤの表面の一部のみを占めることが好ましいであろう。端縁ゾーンは、好ましくは、処理の間の成形可能な材料によるブリード構造の望まれない充填を防止するために、ブリード構造がない。
【0065】
さらに、ブリード構造は、モールドキャビティ230fを形成する凹部と同じ表面に形成されているように図6Fに示されているが、ブリード構造を、代わりに、モールドキャビティ230fを形成する凹部に面する表面上に配置することができることが理解されるべきである。図2に関して、ブリード構造を、凹部26に面するスペーサワイヤ40の表面上に配置することができる。図5に関して、ブリード構造を、ワイヤ120および120’の、モールドキャビティ130を形成する凹部が形成された側と反対側に形成することができる。別の代替例において、ブリード構造を、本発明の原理に従ってモールドキャビティを規定するために使用される表面の両方の上に設けることができる。
【0066】
ワイヤ220fの第1の主側面221fに形成された示されたブリード構造225fは、モールドキャビティ230fの側壁227fおよび228fと交差するチャネル226fを本質的に規定するローレットパターンである。チャネル226fが、著しい量の成形可能な材料がブリード構造225fに入ることができないであろうようなサイズであることが好ましいであろう。ブリード構造225fは、好ましくは、ワイヤ220fの内縁224fまで延在して、流体がモールドキャビティ230fを出るための経路を提供してもよい。
【0067】
さらに、ブリード構造225fが、ワイヤ220fの外縁222fに近接した端縁ゾーン223f内に延在しないことが好ましいであろう。ブリード構造225fのない端縁ゾーン223fを設けることによって、チャネル226fは、成形可能な材料で充填してもよい、工具ロールの外面上の開口部を備えたキャビティを形成しない。しかし、いくつかの場合、たとえば、このように形成された任意の開口部が、成形可能な材料で著しく充填するには小さすぎる場合、または任意のそのような充填が受入れられる場合、ブリード構造が、ワイヤ220fの外縁222fまで延在することを可能にすることが可能であろう。
【0068】
ベースロールの周りに巻かれた1つまたは複数のワイヤ上に形成されたブリード構造に加えて(またはその代わりに)、周りに1つまたは複数のワイヤが巻かれた工具ロールの表面は、また、処理の間モールドキャビティからの空気または他の流体の除去を助けるためにブリード構造を含んでもよい。ベースロールの表面上のブリード構造は、単独で(ワイヤ上のブリード構造を伴わずに)使用してもよく、モールドキャビティは、ベースロール自体の外面によって形成された底部を含み、それにより、モールドキャビティをベースロール上のブリード構造と流体連通して配置する。
【0069】
図6Fのベースロール212fの外面214fは、ランダムに粗くされた表面の形態のブリード構造(たとえば、エッチング、サンドブラストなどによって形成された)を含むように示されている。表面214fのブリード構造は、ベースロール212fの全表面214fにわたって延在してもよいし、選択された領域のみに設けてもよい。
【0070】
外面214f上に形成されたブリード構造を含むベースロール212fによってもたらすことができる付加的な利点は、ワイヤ220fとベースロール212fとの間に発生される摩擦力を増加させることによって、ワイヤ220fを円筒形ベースロール212fの周りに所定位置に保持するのを助けることができることである。
【0071】
本発明と関連して使用されるブリード構造(ワイヤまたはベースロール上の)は、当該技術において知られている任意の適切な技術、たとえば、ローレット切り、スタンピング、エンボス加工、彫刻、従来の機械加工、レーザ加工、放電加工、ウォータージェット加工、エッチング、フォトリソグラフィなどを用いて形成してもよい。さらに、示されたブリード構造は、ローレットパターンおよび粗くされた表面であるが、2つの面する表面、たとえば、チャネル、空隙を作るスタンドオフ、粗くされた表面(エッチング、サンドブラストなどによって形成された)、およびそれらの組合せの間を流体が移動するための経路を設けることができる任意の適切な構造または表面処理によって、本発明によるブリード構造を形成してもよい。
【0072】
図7Aは、モールドキャビティが異なる領域314および316を含む、平面図の工具ロール310を示す。一例において、領域314には、モールドキャビティを設けてもよく、領域316は、実質的にモールドキャビティがなくてもよい。別の例において、異なった領域314および316のモールドキャビティが異なってもよい。工具ロール310上の領域314および316は、実質的に均一な幅を有するように示されており、好ましくは、また、ロール310の円周を延在する。
【0073】
本発明による工具ロールは、代わりに、均一な形状でない、および/またはロール310の円周を延在しない、モールドキャビティが異なる領域を含んでもよい。1つのそのような変更例が、図7Bに示されており、領域314’が、工具ロール310’の幅に沿って配向され、領域316’によって両側で囲まれる。したがって、領域314’は、ロール310’に沿って長手方向のストライプを形成する。
【0074】
図7Cは、また、モールドキャビティを有さないか、領域316”のモールドキャビティとある点で異なるモールドキャビティを有する領域314”を含む別の工具ロール310”を示す。領域314”は、たとえば示されているようなロゴなどの任意の形状をとることができる。工具ロール310”を製造する方法は、全表面にわたって均一に分配された均一な形状のモールドキャビティを含む工具ロールを製造することを含んでもよい。均一なモールドキャビティを備えた工具ロール310”を製造した後、工具ロール310”の表面の1つ以上の部分(たとえば、領域314”)をマスクし、他の1つまたは複数の部分(たとえば、領域316”)を処理して、領域314”内のモールドキャビティを領域316”内のモールドキャビティと区別することができる。工具ロール310”を処理する1つの方法は、たとえば、マスクされていない領域のモールドキャビティを部分的にまたは完全に充填することを含むことができる。充填に使用される材料としては、はんだ、プラスチック、ろうなどを挙げることができる。使用される材料は、モールドキャビティ内に永久的に配置することができるか、たとえば異なったロゴを備えた工具ロールの再使用を可能にするように除去可能であってもよい。
【0075】
図8A〜8Dは、本発明の工具ロールのモールドキャビティを形成するために使用されるワイヤのさらなる変更例を示す。断面は、ワイヤの長さに直角にとられ、図8Aにおいて、ワイヤ420aには、逆L字形断面が設けられ、スペーサワイヤ440aが、接するワイヤ420aの間に形成された空間内に嵌合する。
【0076】
図8Bにおいて、ワイヤ420bおよび440bが、噛合いプロファイルを有する。さらに、ワイヤ440bは、示された実施形態において湾曲した表面である平らでない表面442bを含む。ワイヤ420bが所望のモールドキャビティ(図示せず)を形成する凹部を含む場合、ワイヤ440bの外面442bに湾曲を加えることは、モールドキャビティによって形成される各突出部のベースの2つの側で対応するフィレットを製造してもよい。そのフィレットは、突出部の強度を向上させることができ、すなわち、撓みに対するその抵抗を増加させることができる。さらに、湾曲は、また、付加的な剛性をフィルムまたは物品に与えることができる、突出部間のリッジ構造を製造してもよい。
【0077】
図8Cのワイヤ420cおよび440cは、またテーパされた側面を含む噛合いプロファイルを備えたワイヤを示す。図8Dは、入れ子にされたプロファイルを有するワイヤ420dおよび440dを示す。
【0078】
図8A〜8Dに示されているような噛合いまたは入れ子プロファイルを含む1つまたは複数のワイヤを使用することは、完成した工具ロールが、製造および成形工具としての使用の間応力を受けるときに、ベースロール上の巻線の一体性を向上させることができる。ワイヤプロファイルの多くの他の変更例を、本発明の範囲内で想像してもよい。
【0079】
図9は、凹部526を含むワイヤ520およびスペーサワイヤ540でベースロール512を巻いて、モールドキャビティ530を含む工具ロール510を提供する1つのプロセスを示す。必要であれば、2つを超えるワイヤをともに巻いてもよいことが理解されるであろう。
【0080】
本発明による工具ロールを製造する方法において、完成した工具ロール510の振れを向上させるために、ワイヤ520および540を巻いた後、工具ロール510の外面を機械加工することが望ましいであろう。
【0081】
たとえば、ワイヤパンチングおよび/または巻かれたロールの機械加工から残っているいかなるばりも、重炭酸ナトリウム(重曹)または同様の材料でロールをブラストすることによって除去することも望ましいであろう。完成した工具ロール510は、また、モールドキャビティ530内に、および/またはモールドキャビティ530間の工具ロール510の外面上に、所望の表面仕上げをもたらすように処理してもよい。たとえば、工具ロール510の表面を、化学エッチング、サンドブラスト、めっき、コーティングするか、他の方法で修正することが望ましいであろう。
【0082】
図10は、本発明による工具ロール610を使用して、高アスペクト形状フィルムを形成することができる1つのプロセスを示す。たとえば押出またはキャスト成形によって、成形可能な材料660を工具ロール610の表面に付与して、工具ロール610のモールドキャビティのレプリカである突出部672を含むフィルム670を作ることができる。好ましい実施形態において、工具ロール610からの取外し時に、材料660の工具ロール610への接着は、材料660内の凝集より小さい。材料660の工具ロールへの接着が、工具ロール610を形成するために使用される1つまたは複数のワイヤの引張強度を超えないことがさらに好ましいであろう。
【0083】
実質的にいかなる成形可能な材料も、本発明と関連して使用してもよい。成形可能な材料が配向性熱可塑性樹脂であることが好ましいであろう。押出成形でき、かつ有用であるべき配向性熱可塑性樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、および可塑化ポリ塩化ビニルが挙げられる。1つの好ましい熱可塑性樹脂は、コネチカット州ダンバリーのユニオン・カーバイド(Union Carbide, Danbury, Connecticut)からSRD7−587として入手可能な、17.5%のポリエチレンを含有し、かつメルトフローインデックスが30の、ポリプロピレンとポリエチレンとの衝撃コポリマーである。熱可塑性樹脂は、また、ポリエチレンおよびポリプロピレンブレンドを含むブレンド、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーなどのコポリマーを含んでもよいし、多数の層として、または交互のゾーン内で共押出してもよい。可塑剤、充填剤、顔料、染料、酸化防止剤、離型剤などの添加剤も、成形可能な材料に組入れてもよい。
【0084】
1つの好ましいプロセスにおいて、材料660を、工具ロール610およびバックアップロール680によって形成されたニップ内に押出すことによって供給する。バックアップロール680は、好ましくは、ある圧力を与えて、成形可能な材料660を、工具ロール610に設けられたモールドキャビティ630(図11を参照のこと)に押込むのを助ける。あるいは、バックアップロール680を、モールド材料を工具ロール610のモールドキャビティに押込むのを助けることができる、任意の連続的に移動する表面と取替えてもよい。
【0085】
工具ロール610の内部に真空を供給して、そうでなければモールドキャビティの完全な充填を妨げることがある空気の除去を助けてもよい。しかし、多くの場合、モールドキャビティ内の空気が、工具ロール610を製造するために使用されるワイヤの間に逃げるので、真空を供給しないであろう。換言すれば、このプロセスを真空がない状態で行ってもよい。
【0086】
工具ロール610およびバックアップロール680のいずれかまたは両方でいくらかの熱制御をもたらすことも、望ましいであろう。プロセス条件、成形可能な材料660の温度、成形可能な材料660の特性などによって、ロール610および680の一方または両方を加熱するか、ロール610および680の一方または両方を冷却するか、ロールの一方を加熱し他方のロールを冷却することが望ましいであろう。
【0087】
材料660を工具ロール610のモールドキャビティ内に押込み、十分に冷却して、1つまたは複数の所望の形状を維持できる突出部672を備えたフィルム670を形成した後、それをさらなる処理のために工具ロール610からストリップするか、フィルム670をロールに巻くことができる。たとえば、機械的ファスナストリップが望まれる場合、フィルム674を1つまたは複数のステーションに向けて、突出部を修正し、接着剤をコーティングし、たとえば、米国特許第5,845,375号明細書(ミラー(Miller)ら)、米国特許第5,077,870号明細書(メルビー(Melbye)ら)、国際公開第98/57565号パンフレット、国際公開第98/57564号パンフレット、国際公開第98/30381号パンフレット、および国際公開第98/14086号パンフレットに記載されているような他の処理を行ってもよい。
【0088】
所望の付加的な特性をフィルム670に与えるために、1つ以上の付加的な材料を、工具ロール610およびバックアップロール680によって形成されたニップ内に向けることが望ましいであろう。たとえば、織布または不織布ウェブをニップ内に向けてもよい。あるいは、たとえば、熱、接着剤、共押出などによって、フィルム670を1つ以上の付加的な層に積層してもよい。
【0089】
図11は、図10の線11−11に沿った図10の装置の断面図である。工具ロール610は、フィルム670上の突出部672を形成するために成形可能な材料で充填されたモールドキャビティ630を含む。バックアップロール680上に形成された2つの隆起構造682も、図11に示されている。示されたバックアップロール680上の隆起構造682の1つの利点は、各隆起構造が、フィルム670を分離できる弱い線またはゾーンを作ることができることである。しかし、隆起構造682は、任意であり、本発明と関連して設けなくてもよい。
【0090】
バックアップロール680に組入れてもよい別の任意の特徴は、ある構造をロール680の表面に加えて、その表面積を増加させることである。バックアップロール680上の増加した表面積は、フィルム670上の表面積を増加させることができ、それにより、フィルム670の裏面674上に提供されたいかなる接着剤の接着も向上させることができる。有用な構造の一例は、1インチあたり約400線(1センチメートルあたり160線)のスケールの線角柱(linear prisms)のマイクロエンボス加工パターンであることができる。
【0091】
図12は、中にモールドキャビティが形成されたワイヤで巻かれた工具ロールを使用する別のプロセスを示す。示されたプロセスは、一方の側から延在する突出部772と、反対側から延在する突出部772’とを有するフィルム770を形成する。両面フィルム770は、両方とも中に形成されたモールドキャビティを含む、対向する工具ロール710および710’によって形成される。突出部772および772’は、サイズ、形状、配向などの点で同じ特徴を有してもよいし、異なってもよい。
【0092】
図13および図14は、本発明と関連して提供してもよい工具ロールのさらに別の実施形態を示す。図13は、ワイヤ820および840をベースロールの表面の周りに螺旋パターンで巻付けることによって形成された工具ロールの一部の平面図である。工具ロールは、異なったワイヤ820および840を含んでもよいが、1つのワイヤのみを設けることができ、その場合、参照番号820および840は、ワイヤの交互の巻線またはコイルを示す。さらに、2つを超えるワイヤを、本発明による工具ロールの周りに巻くことができる。
【0093】
示された実施形態において、ワイヤ820は、その主側面821および825の両方を通って形成された複数の空隙890を含み(1つのそのような空隙のみが図13に示されているが)、空隙890は、また、ワイヤ820の外縁822の一部をとる。しかし、空隙890は、ワイヤ820の内縁824まで延在しない。空隙890に加えて、凹部830aおよび830bも、ワイヤ820の主側面821および825に形成される。凹部830aおよび830bは、空隙890内に開く。空隙890ならびに凹部830aおよび830bは、ともに、空隙だけでまたは凹部のみで達成することができない形状を備えた複合モールドキャビティを提供してもよい。
【0094】
ワイヤ820および840を使用して形成された工具ロールは、中に形成された複数の複合モールドキャビティを含む。さらに、必要であれば、各空隙890を1つの凹部のみまたは2つを超える凹部と関連して設けてもよい、すなわち、複合モールドキャビティは、2つの凹部と組合せて空隙によって形成された構造に限定されないことが理解されるであろう。
【0095】
図15は、図13および図14に示された複合モールドキャビティを使用して形成してもよい突出部872の斜視図である。突出部872は、物品870の表面874から突出するステム871を含む。ステム871は、主として、ワイヤ820に形成された空隙890によって形成される。1対の耳873および875が、ステム871から延在する。耳873および875は、主として、上述されたようなワイヤ820の凹部830aおよび830bによって形成される。
【0096】
いくつかの場合、突出部872は、図15に見られるそれらの形成されたままの形状で有用であろう。しかし、他の場合、突出部872の形状を、その最初に形成された形状から修正することが有利であろう。1つのそのような修正が図16に示されており、突出部872は、物品870の表面874から延在するように示されている。ステム871は、本質的に変わらないままであるが、耳873および875は、もはや、表面874によって規定された局所化平面に対して垂直に立たないように修正されている。むしろ、耳873および875は、表面874によって規定された局所化平面に対して水平に延在するように処理されている。この構成において、突出部872は、たとえば、耳873および875が、相補的な構造(たとえば、ループ構造)と係合してもよいフックとして役立つ機械的ファスナとして有用であろう。この変化を達成するために用いてもよいプロセスの例としては、たとえば、熱を加えること、または熱および機械的圧力を加えることが挙げられる。
【0097】
図17〜19は、ワイヤの空隙および凹部によって形成された複合モールドキャビティを含む工具ロールの別の実施形態を示す。図17に示された構造は、図13に関して上述されたように同じまたは異なったワイヤであってもよいワイヤ920および940を含む。ワイヤ920は、その2つの主側面921および925を通って形成された複数の空隙990を含む(1つのそのような空隙のみが図17の図に示されているが)。ワイヤ940aの1つの主側面の図が図19に示されており、形成された凹部が外縁942から内縁944(ベースロール(図示せず)の表面に対して巻かれた端縁まで延在することを示す。あるいは、凹部930aは、ワイヤ940aの外縁942から内縁944まで延在しないであろう。
【0098】
図13の構造からの1つの変更例は、ワイヤ940が、それらのそれぞれの主側面に形成された凹部930aおよび930bを含み、凹部930aおよび930bが、ワイヤ920の主側面に面する。これは、空隙890ならびに凹部830aおよび830bの両方がワイヤ820に形成され、ワイヤ840が略平坦な側面を有する(それらは、ここで説明されるようなブリード構造を含んでもよいが)、図13および図14に見られる構造と異なる。
【0099】
図17に見られるように凹部930aおよび930bが空隙990と交差し、凹部930aおよび930bが、ワイヤ920の空隙990、ならびにワイヤ940の凹部930aおよび930bによって規定された体積を含む複合モールドキャビティを形成することが好ましいであろう。さらに、1つの複合モールドキャビティのみが図17に示されているが、ワイヤ920および940を使用して製造された工具ロールが、ロールの表面にわたって分散された複数の複合モールドキャビティを含むことが理解されるであろう。
【0100】
図20は、図17および図18に示された複合モールドキャビティを使用して形成してもよい突出部972の斜視図である。突出部972は、物品970の表面974から突出するステム971を含む。ステム971は、主として、ワイヤ920に形成された空隙990によって形成される。1対のリブ973および975が、ステム971の両側に沿って延在し、ステム971の高さを過ぎて延在する。リブ973および975は、主として、上述されたようなワイヤ940aおよび940bの凹部930aおよび930b(それぞれ)によって形成される。
【0101】
いくつかの場合、突出部972は、図20に見られるそれらの形成されたままの形状で有用であろう。たとえば、リブ973および974は、突出部972の剛性または構造一体性を向上させることができる。しかし、他の場合、突出部972の形状を、その最初に形成された形状から修正することが有利であろう。1つのそのような修正が図21に示されており、突出部972のステム971は、本質的に変わらないままであるが、ステム971を過ぎて延在するリブ973および975の部分は、もはや、表面974によって規定された局所化平面に対して垂直に立たないように修正されている。むしろ、リブ973および975は、表面974によって規定された局所化平面に対して水平に延在するように処理されている。この構成において、突出部972は、たとえば、ステム971から延在するリブ973および975の部分が、相補的な構造(たとえば、ループ構造)と係合してもよいフックとして役立つ機械的ファスナとして有用であろう。この変化を達成するために用いてもよいプロセスの例としては、たとえば、熱を加えること、または熱および機械的圧力を加えることが挙げられる。
【0102】
図22は、物品1070の表面1074から延在するリッジ1071から形成された突出部を含む本発明の別の物品1070の斜視図である。リッジ1071の各々は、それから突出する複数の耳1073を含む。いくつかの場合、耳1073は、図22に見られるそれらの形成されたままの形状で有用であろう。しかし、他の場合、耳1073の形状を、たとえば図16および図21に関して示され説明されたように修正することが有利であろう。各突出部のリッジ1071は、好ましくは、方向1011における物品1070の長さと同延の長さ(方向1011における)を有してもよい。あるいは、各突出部のリッジ1071は、物品1070の長さより短い長さを有してもよい。方向1011における各リッジ1071の長さは、好ましくは、その幅(方向1011に直角に測定された)より大きく、たとえば、リッジ1071の長さが、ベース1071の幅の少なくとも2倍以上であることが好ましいであろう。さらに、細長いリッジ1071が、共通の方向、たとえば、図22の方向1011に沿って、互いに整列されることが好ましいであろう。
【0103】
図23は、工具ロール1010の一部の平面図であり、図24は、図23の線24−24に沿った工具ロール1010の拡大断面図である。工具ロール1010は、図22に示されたような物品を製造するために使用してもよい。工具ロール1010は、ベースロール1012の周りに螺旋状に巻かれたワイヤ1020および1040によって形成される。ワイヤ1020は、ワイヤ1040の外縁1042の高さより低い、ベースロール1012より高い高さを有する外縁1022を有し、溝がワイヤ1040の巻線の間に形成された工具ロール1010をもたらす。ワイヤ1040の巻線の間に形成された溝は、工具ロール1010が成形可能な材料によって接触されたときに物品1070のリッジ1071を形成することができるモールドキャビティを提供する。ワイヤ1020および1040は、略矩形プロファイルを有するように示されているが、代わりに、異なった形状を与えることができ、その場合、物品1070のリッジ1071も、図22に示された形状と異なった形状で形成される。
【0104】
ワイヤ1020に形成された凹部1030も、図23および図24に見られる。凹部1030は、成形可能な材料で満ち、図22に見られるようなリッジ1071上の耳1073を形成する。凹部1030は、ワイヤ1020にのみ示されているが、凹部を、ワイヤ1020、ワイヤ1040、またはワイヤ1020およびワイヤ1040の両方に設けてもよいことが理解されるであろう。図23および図24に見られないが、ワイヤ1020および1040の一方または両方が、好ましくは、ここで説明されるようなブリード構造を含むであろう。
【0105】
工具ロール1010の周りに巻付けられたワイヤ1020および1040によって形成された溝は、ロール1010の円周で連続していてもよいが、不連続であってもよい。図25は、工具ロール1110の周りにある長さを延在するが、連続螺旋溝に形成されていない溝1190を含む工具ロール1110を示す。細長い溝1190は、たとえば、たとえば図13および図14に関して上述されたような、中に形成された空隙を含むワイヤによって形成することができる。しかし、工具ロール1110に使用されるワイヤの空隙は、典型的には、ワイヤの長さにわたって、より長い距離を延在する。
【0106】
これらの細長い空隙は、上の工具ロールに示されたように均一なサイズおよび間隔にしてもよいし、不均一なサイズおよび不均一な間隔にしてもよい。工具ロール1110は、ベースロールの周りに巻付けられると、不均一なサイズおよび間隔の溝1190を形成する、不均一なサイズおよび間隔の空隙を備えたワイヤを示す。
【0107】
工具ロール1110などの工具ロールによって製造された物品は、図26に示されたような細長いリッジ1171を含む。リッジ1171は、好ましくは、図15、図20、および図22と関連して示されたような、その上に形成された突出部(図示せず)を含む。工具ロール1110の溝1190が、不均一なサイズおよび間隔であるので、物品1170上の細長いリッジ1171も、不均一なサイズおよび間隔である。
【0108】
本明細書に引用された特許、特許出願、および刊行物をすべて、各々、個別に引用により援用するように、それらの全体を引用により本明細書に援用する。本発明のさまざまな修正および変更は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者には明らかになるであろう。また、本発明は、本明細書に記載された例示的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明による中に形成されたキャビティを含む1つの工具ロールの平面図である。
【図1A】本発明による工具ロールを使用して形成された構造化表面の拡大斜視図である。
【図1B】突出部が上に形成され、突出部が形成後キャップされた1つの物品の顕微鏡写真である。
【図2】中に形成されたキャビティを示す、図1の工具ロールの表面の一部の拡大破断斜視図である。
【図3A】図1の工具ロールの表面の拡大平面図である。
【図3B】線3B−3Bに沿った図3Aの断面図である。
【図3C】線3C−3Cに沿った図3Aの断面図である。
【図4】本発明による中に形成されたキャビティを含む別の工具ロールの平面図である。
【図5】中に形成されたキャビティを示す、図4の工具ロールの表面の一部の拡大破断斜視図である。
【図5A】モールドキャビティが、互いに面するワイヤに形成された2つの凹部の複合体として形成された別の工具ロール表面の平面図である。
【図6A】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6B】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6C】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6D】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6E】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図7A】異なったモールドキャビティを備えた円周方向の領域を含む工具ロールの平面図である。
【図7B】異なったモールドキャビティを備えた長手方向の領域を含む工具ロールの平面図である。
【図7C】ロゴの領域において異なったモールドキャビティを備えたロゴを含む工具ロールの平面図である。
【図8A】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図8B】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図8C】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図8D】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図9】本発明による工具ロールを製造する1つの方法を示す。
【図10】本発明による工具ロールを使用して高アスペクト形状フィルムを製造する1つの方法を示す。
【図11】図10の線11−11に沿った図10の装置の断面図である。
【図12】本発明による2つの工具ロールを使用して、両側に突出部を含む高アスペクト形状フィルムを製造する1つの方法を示す。
【図13】同じワイヤの空隙および凹部によって形成された複合モールドキャビティを含む、本発明による別のワイヤで巻かれた工具の平面図である。
【図14】中に形成された空隙および凹部を示す、図13からのワイヤ820の斜視図である。
【図15】図13の複合モールドキャビティによって形成された1つの突出部の斜視図である。
【図16】処理後の図15の突出部の側面図である。
【図17】異なったワイヤの空隙および凹部によって形成された複合モールドキャビティを含む、本発明による別のワイヤで巻かれた工具の平面図である。
【図18】ワイヤ920の空隙および隣接したワイヤ940aの凹部を示す、線18−18に沿った図17のワイヤ920の断面図である。
【図19】ワイヤ940aの主側面およびその中に形成された凹部を示す、線19−19に沿った図17の断面図である。
【図20】図17の複合モールドキャビティによって形成された1つの突出部の斜視図である。
【図21】処理後の図20の突出部の側面図である。
【図22】本発明による1つの物品の一部の斜視図である。
【図23】図22の物品を製造するために使用することができる1つの工具ロールの一部の平面図である。
【図24】図23の線24−24に沿った図23の工具ロールの断面図である。
【図25】不連続螺旋溝が外面に形成された工具ロールを示す。
【図26】図25の工具ロールを使用して製造された物品の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化表面を備えた物品を製造する分野に関する。より詳細には、本発明は、1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造するための工具、工具を製造する方法、および工具を使用して1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の構造化表面を備えた物品には、さまざまな用途がある。これらの物品は、たとえば、増加した表面積、機械的ファスナを提供するために使用される構造、光学特性などを示すフィルムとして提供することができる。これらのフィルムを、機械的ファスナとして使用するために製造する場合、構造化表面上に見出される突出部は、通常、フックと呼ばれる。フックは、湾曲形状に形成してもよいし、たとえばキノコの形状のヘッドを含むように変形される、実質的に直立したステムであってもよい。
【0003】
機械的ファスナは、2つのフックストリップを、各ストリップを物品の一方に接着し、次に、2つのストリップを相互に係合させることによって2つの物品をともに固定するために使用することができるように設計されることがある。そのような機械的ファスナは、米国特許第3,192,589号明細書(ピアソン(Pearson))に示されており、この特許では、そのファスナを「両性」と呼び、というのは、そのヘッド付スタッドが、相互に噛合ったときに雄および雌特徴の両方を有するからである。ピアソンのファスナは、一体的な、ヘッドのないスタッドが突出するベースを成形し、次に、スタッドの先端を熱軟化させることによって、製造することができる。
【0004】
米国特許第5,077,870号明細書(メルビー(Melbye)ら)は、溶融材料を、移動するモールド表面に形成されたキャビティに押込むことによって、機械的ファスナのフックストリップ部分を製造する1つの方法を開示している。次に、移動するモールド表面によって形成されたステムをキャップして、所望のファスナを形成する。キャビティは、ドリリングによってモールド表面に形成される。その結果、キャビティの形状は円筒形であり、深さ、直径、およびキャビティ間の間隔においていくらかの精度を得ることができるが、それは、いくらかの困難および増加したコストを伴って得られる。さらに、モールド表面の損傷は、典型的には、モールド全体を捨てることを必要とする。
【0005】
米国特許第5,792,411号明細書(モリス(Morris)ら)は、モールド表面をレーザ加工することによって製造された成形工具を開示している。次に、溶融材料を、移動するモールド表面のキャビティに押込み、ステムを形成する。次に、ステムをキャップして、所望のファスナを形成する。キャビティがレーザアブレーションによって形成されるので、キャビティ形状は、キャビティを形成するために使用されるレーザビーム内のエネルギー分布に基いている。さらに、モールドを構成するために使用される材料、レーザビームのパワー、ビーム内のエネルギー分布、ビームの焦点などの可変性によって、キャビティの深さの精密な制御を得ることが困難である。
【0006】
米国特許第4,775,310号明細書(フィッシャー(Fischer))および国際公開第97/46129号パンフレット(レーシー(Lacey)ら)は、フックアンドループ式機械的ファスナ用フックストリップを製造するために使用される工具を開示している。これらの工具は、水冷ジャケットを備えた中空ドラムによって形成される。一連のモールドディスクまたは交互のモールドディスクおよびスペーサプレートを、ドラムの長さに沿ってともに積層して、ロールの面上に所望のモールドキャビティを形成する。これらの設計の欠点としては、モールドキャビティが、同じ深さ、長さ、間隔などであることを確実にするために、十分な精度を有するモールドディスクを製造するコストが挙げられる。製造の困難さによってディスクに課されたサイズ制限は、工具を使用するプロセスの線速度を制限することがある。この設計の他の欠点としては、モールドキャビティの不均一な冷却、積重ねられたプレートによって製造された製品の不均一性などが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、工具ロール、および工具ロールを使用して、1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造する方法を提供する。工具ロールは、適切な粘度または成形性の材料と関連して使用されると、物品上に構造化表面を形成することができる外面を含む。工具は、ロール形態で製造されるので、有利に、連続製造プロセスで使用することができる。あるいは、本発明の工具ロールを使用して、別々の物品を処理してもよい。
【0008】
「構造化表面」とは、物品の表面が、平らなまたは他の滑らかな表面からそれることを意味する。たとえば、構造化表面は、機械的ファスナと関連して使用されるステムなどの、それから延在する突出部を含んでもよい。他の代替の構造化表面としては、連続溝または連続リッジ、細長い構造などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
本発明の工具ロールは、円筒形ベースロールから構成され、かつ1つ以上の連続ワイヤで螺旋パターンに巻付けられる。ワイヤは、本質的に、工具ロールを使用して処理される物品上に形成すべき構造化表面のネガティブである、工具ロール上の構造化表面を形成するために使用される。一実施形態において、ベースロールの周りに巻かれたワイヤの少なくとも1つが、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれると、工具ロールの外面上にモールドキャビティを形成する、中に形成された凹部を含んでもよい。
【0010】
本発明による工具ロールの利点は、特に小さい接線方向の断面積を有するモールドキャビティを設けることができることを含む。また、ワイヤの主側面に形成された凹部の特徴寸法は、両方の主側面を通ってパンチングされた空隙を含むワイヤのように、たとえばワイヤの厚さによって制限されないであろう。本発明による凹部によって形成されたモールドキャビティは、ワイヤの全側面にわたって延びてもよい深さで形成してもよい。結果として、突出部を、特に高いアスペクト比を有する工具ロールを使用して形成してもよい。
【0011】
そのような高アスペクト比モールドキャビティの充填を、ワイヤおよび/またはベースロール上のブリード構造によって向上させてもよい。これらのブリード構造は、成形の間モールドキャビティからの空気の逃げを助ける。
【0012】
本発明による工具ロールの別の利点は、モールドキャビティを工具ロールの外面上に設けてもよい密度である。凹部からモールドキャビティを形成することによって、ワイヤの構造一体性を、ワイヤの両方の主側面を通ってパンチングされた空隙によって形成されたモールドキャビティと比較して向上させることができる。その向上した構造一体性は、工具ロール上のモールドキャビティのより近い間隔を考慮することができる。モールドキャビティのより近い間隔は、工具ロールを使用して製造された物品上に形成してもよい特徴の増加した密度になる。
【0013】
本発明による工具ロールのさらに別の利点は、ワイヤの主側面の1つ以上の凹部を、ワイヤを通って形成された空隙と組合せて、空隙または凹部だけでは可能でない形状を有する複合モールドキャビティを形成してもよいことである。
【0014】
工具ロールの他の利点としては、工具ロールの外面が損傷または磨耗した場合、ベースロール上のワイヤ巻線を取替えることができることが挙げられるが、これに限定されない。工具ロールは、また、たとえば、積重ねられたプレート、またはモールド表面の直接ドリリングを用いて工具ロールを製造するコストと比較して比較的安価であろう。
【0015】
別の利点は、ベースロールの周りに巻付けられる1つまたは複数のワイヤの厚さを変えることによって、ロールの幅に沿ったモールドキャビティの間隔を制御することができることである。円周のモールドキャビティの間隔も、ベースロールの周りに巻付けられる1つまたは複数のワイヤの凹部の間の間隔を制御することによって、独立して制御することができる。さらなる利点は、1つまたは複数のワイヤのプロファイルまたは断面形状、およびワイヤに形成される凹部の1つまたは複数の形状を制御することによって、モールドキャビティの1つまたは複数の形状の変化も達成することができることである。
【0016】
本発明のさらに別の利点は、ベースロールの熱質量と比較して、ベースロールの周りに巻付けられる1つまたは複数のワイヤの、比較的小さい熱質量である。結果として、モールドキャビティの熱制御を向上させることができ、これは、工具ロールを使用して製造される製品の均一性の対応する向上をもたらすことができる。
【0017】
本発明と関連して使用されるように、「モールドキャビティ」は、成形プロセスの間に成形可能な材料が流れてもよい、そうでなければ滑らかなまたは平らな表面のいかなる不連続であってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、工具ロールは、以下で定義されるような高アスペクト比を有するモールドキャビティを含んでもよいが、モールドキャビティが高アスペクト比を有さなくてもよいことが理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を有する第1のワイヤとを備えた工具ロールを提供する。第1のワイヤの第1の主側面は、その中に形成された複数の凹部を含み、第1のワイヤは、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる。第1のワイヤの第1の主側面の複数の凹部は、複数のモールドキャビティを形成し、モールドキャビティの各々は、第1のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面においてモールド開口部を含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第1のワイヤとを含む工具ロールを提供する。第1のワイヤの第1の主側面は、その中に形成された複数の凹部を含み、第1のワイヤは、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる。第1のワイヤの第1の主側面の複数の凹部は、複数のモールドキャビティを形成し、モールドキャビティの各々は、第1のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面においてモールド開口部を含む。工具ロールは、また、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第2のワイヤを含む。第2のワイヤは、第2のワイヤの内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれ、第2のワイヤは、第1のワイヤの隣接した螺旋コイルの間に配置される。第2のワイヤの第1の主側面は、その中に形成されたブリード構造と、ブリード構造のない端縁ゾーンとを含む。
【0020】
別の態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第1のワイヤとを含む工具ロールを提供する。第1のワイヤは、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる。第1のワイヤは、また、第1のワイヤの第1の主側面に形成された複数の凹部と、第1のワイヤの第1および第2の主側面を通って形成された複数の空隙とを含み、空隙の各々は、それから延在する凹部を含む。凹部が延在する複数の空隙は、複数の複合モールドキャビティを形成し、複合モールドキャビティの各々は、第1のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面においてモールド開口部を有する。
【0021】
別の態様において、本発明は、円筒形ベースロールと、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第1のワイヤであって、第1のワイヤが、内縁がベースロールに近接するように、ベースロールの周りに螺旋コイルに巻かれる第1のワイヤとを含む工具ロールを提供する。第1のワイヤは、また、第1のワイヤの第1の主側面に形成された複数の凹部を含む。工具ロールは、内縁、外縁、ならびにそれらの間に配置された第1および第2の主側面を備えた第2のワイヤをさらに含み、第2のワイヤは、第2のワイヤが第1のワイヤの隣接した螺旋コイルの間に配置されるように、ベースロールの周りに巻かれる。第2のワイヤは、第2のワイヤの第1および第2の主側面を通って形成された複数の空隙を含む。第1のワイヤの複数の凹部および第2のワイヤの複数の空隙は、複数の複合モールドキャビティを形成し、複合モールドキャビティの各々は、複数の空隙のうちの少なくとも1つの空隙と、複数の凹部のうちの少なくとも1つの凹部と、第1および第2のワイヤの外縁に近接した工具ロールの外面におけるモールド開口部とを含む。
【0022】
別の態様において、本発明は、物品上に構造化表面を形成する方法であって、本発明による工具ロールを提供する工程と、成形可能な材料を工具ロールの外面に接触させて、工具ロールの外面を用いて構造化表面を形成する工程であって、成形可能な材料が、モールドキャビティまたは複合モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填する工程と、工具ロールの外面から構造化表面を取外す工程であって、構造化表面が、複数のモールドキャビティまたは複合モールドキャビティに対応する複数の突出部を含む工程とを含む方法を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、ベース表面と、ベース表面から突出する複数の細長いリッジと、複数の細長いリッジの各細長いリッジから突出する複数の耳とを含む物品を提供する。
【0024】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点を、本発明の例示的な実施形態と関連して、以下で説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、工具ロール、および工具ロールを使用して1つ以上の構造化表面を備えた物品を製造する方法を提供する。工具ロールは、適切な粘度または成形性の材料と関連して使用されると、物品上に構造化表面を形成することができる外面を含む。工具は、ロール形態で製造されるので、有利に、連続製造プロセスで使用して、たとえば、フィルム、シートなどを形成することができる。あるいは、本発明の工具ロールを使用して、別々の物品を処理してもよい。
【0026】
本発明の工具ロールは、適切な粘度または成形性の材料と関連して使用されると、フィルムの少なくとも1つの表面上に突出部または構造を形成することができる、外面の複数のキャビティを含んでもよい。あるいは、2つのそのようなロールを組合せて使用して、両方の主面が突出部または構造を示すフィルムを形成することができる。
【0027】
図1は、工具ロール10の外面内に開くモールドキャビティ30を含む本発明による工具ロール10の1つの例示的な実施形態を示す。図2は、図1の工具ロール10の表面の拡大部分破断図を示す。工具ロール10は、好ましくは、周りに1つ以上のワイヤが螺旋コイルの形状に巻付けられて、中にモールドキャビティ30が形成された表面を製造する円筒形ベースロール12を含む。
【0028】
ベースロール12の周りに巻付けられた1つまたは複数のワイヤは、クランプ、溶接、接着剤などを含むが、これらに限定されない、任意の適切な機構によって所定位置に保持してもよい。そのような技術は、たとえば、カーディングロールの製造において知られている。たとえば、米国特許第4,272,865号明細書(シュモルケ(Schmolke))を参照のこと。
【0029】
工具ロール10などの、本発明によって製造された工具ロールの1つの好ましい用途を、高アスペクト形状構造化表面の製造に用いてもよい。図1Aを参照すると、工具ロール10を使用して形成された1つの例示的な物品70が、上に突出部72が形成された構造化表面を含んで示されている。示された突出部は、物品70の表面74より高い高さh’と、表面74の平面に略平行な平面Iで測定された最小幅w’とを有する。表面74が、いくらかの湾曲を有する場合、平面Iは、好ましくは、突出部72の領域の表面74に接線方向に配向される。
【0030】
突出部72は、高アスペクト比を有してもよく、本発明による工具ロールは、高アスペクト比形状を備えた構造化表面の製造に特に有利であろう。「高アスペクト比」とは、表面74に近接した突出部72のベースにおける突出部高さと最小幅との比(h’:w’)が、たとえば、少なくとも約2:1以上、より好ましくは約3:1以上、さらに好ましくは、少なくとも約5:1以上であることを意味する。上で定義されたような高アスペクト比に加えて、またはその代わりに、物品の主面より高い突出部または構造の高さh’が、たとえば、約0.1ミリメートル以上、より好ましくは約0.2ミリメートル以上、さらに好ましくは約0.4ミリメートル以上であることが好ましいであろう。
【0031】
図1Bは、本発明の原理に従って製造された1つの例示的な物品の一部の拡大斜視顕微鏡写真である。シートまたはフィルム形態で提供してもよい物品は、本発明による工具での形成後キャップされた突出部を含む。そのような物品は、有利に、機械的ファスナ(たとえば、キノコタイプまたはフックタイプ機械的ファスナ)として使用してもよい。物品が機械的ファスナとして使用される場合、突出部は、通常、ステムと呼んでもよいが、その用語の使用は、本発明を用いて製造された物品の用途の範囲を限定するように意図されない。
【0032】
本発明の工具ロールおよび方法によって製造できる物品は、有利に、機械的ファスナとして使用されるが、物品にさまざまな他の用途があってもよいし、本発明による、工具ロール、および工具ロールを使用して構造化表面を備えた物品を製造する方法は、機械的ファスナの分野に限定されるべきではない。たとえば、本発明による物品の構造化表面上に形成された突出部は、たとえばフィルムの表面積を増加させることによって、接着剤または他のコーティング/材料を保持する点で利点をもたらすことができる。工具ロールによって形成された構造化表面は、また、フローチャネル、抗力低減構造、研磨バッキングなどとして、装飾のために有用であろう。
【0033】
巻付けられたワイヤの螺旋性質が図1に示されている。コイルは、好ましくは、円筒形工具ロール10の表面に垂直な基準線に対して螺旋角度α(アルファ)で配向される。巻付けられたワイヤの螺旋性質の結果として、それらは、ロール10の表面を横切って一方の端部から反対側の端部まで進む。螺旋角度α(アルファ)は、好ましくはかなり小さく、たとえば、約5度以下であるが、より大きい螺旋角度を用いることができる。より小さい螺旋角度は、典型的には、工具ロール10の長手方向の軸11に沿ってモールドキャビティ間のより小さい間隔をもたらす。あるいは、たとえば、2001年12月18日に出願された構造化表面物品用の螺旋コイルを備えた工具(TOOLING WITH HELICAL COILS FOR STRUCTURED SURFACE ARTICLES)という名称の同時係属中の米国特許出願第10/024,919号明細書に記載されているように、ワイヤを起伏螺旋パターンでロールの周りに巻付けてもよい。
【0034】
示された工具ロール10は、凹部26を含む連続ワイヤ20、およびスペーサワイヤ40が周りに巻かれた円筒形ベースロール12を使用して製造される。結果は、凹部26を備えたワイヤ20およびスペーサワイヤ40の交互の螺旋コイルが、工具ロール10の表面にわたって配置される。ワイヤ20の内縁24およびスペーサワイヤ40の内縁44は、ベースロール12の周りに巻付けられ、ワイヤ20および40の外縁22および42は、それぞれ、ベースロール12から外方に面して巻かれる。ワイヤ20およびスペーサワイヤ40の両方が、好ましくは、ロール10を横切る螺旋コイルの均一な進行と適合する矩形断面を有してもよい。
【0035】
ワイヤ20は、ワイヤ20の内縁24と外縁22との間に延在する2つの主側面を含む。ワイヤ20は、略平坦な主側面を含むが、本発明と関連して使用されるワイヤの主側面は、任意の適切な形態をとってもよい。ワイヤの内縁から外縁まで延在する主側面をともに形成するさまざまな表面を含むワイヤのいくつかの例を、図8A〜8Dに見ることができる。
【0036】
ワイヤ20の第1の主側面21に設けられた示された凹部26は、図2に見られるように、対向する側壁27a、27b、および28、ならびに底部29を含む。ここで使用されるように、「凹部」という用語は、中に凹部が形成された表面が凹部のない相補的な表面に対して配置されたときに、凹部がモールドキャビティを形成するような、表面の変化と定義する。たとえば、凹部は、表面に直交する構造の厚さが表面を横切って変わるように材料を移動および/または除去することによって表面に形成された空隙またはディボットであってもよい。本発明の凹部は、ワイヤの対向する主側面を通って延在しない。
【0037】
凹部がワイヤ20の第1の主側面21に形成されているように図1に示されているが、本発明は、凹部が第1の主側面21および第2の対向する主側面の両方に形成されたワイヤ20をさらに含んでもよい。
【0038】
凹部26の各々が、同じサイズであり、かつワイヤ20の長さに沿って均一な間隔であり、結果として生じるモールドキャビティ30の間隔の均一性をもたらすことが好ましいであろうが必要ではないであろう。完成した工具ロール10のモールドキャビティ30間の領域が、実質的に滑らかである、すなわち、ワイヤ20とワイヤ40との間の著しい不連続がないように、ワイヤ20のコイルの外縁22が、スペーサワイヤ40の外縁42と同一平面上にあることがさらに好ましいであろう。
【0039】
あるいは、ワイヤ20および40の外縁22および42は、それぞれ、ベースロール12の表面より高い異なった高さに配置してもよい。異なった高さを有するワイヤ20および40は、製造されている物品の表面に構造を与えることができる。その構造は、たとえば、モールドキャビティによって形成されたより高い突出部および/または物品自体を強化することができる細長いリッジの形態であってもよい。
【0040】
上述されたようにベースロール12の周りに巻かれたときに所望のモールドキャビティ30を設ける、中に形成された凹部を含むワイヤ20は、好ましくは、略矩形断面を有するワイヤまたはストリップを使用して製造してもよい。ワイヤ20は、凹部26を備えて製造してもよいし、実質的に均一なプロファイルを備えたワイヤを最初に製造し、次に、1つまたは複数の任意の適切な技術によって処理して、その中に凹部26を形成してもよい。1つまたは複数の適切な技術としては、ローレット切り、スタンピング、エンボス加工、彫刻、従来の機械加工、レーザ加工、放電加工、ウォータージェット加工、エッチング、フォトリソグラフィなどが挙げられるが、これらに限定されないであろう。ワイヤ20は、1つまたは複数の任意の適切な材料から製造してもよいが、いくつかの好ましい材料としては、鋼が挙げられ、より好ましくは、中炭素鋼から低炭素鋼が挙げられる。
【0041】
各々がモールド開口部31を含む、図1および2に示されたモールドキャビティ30は、それらの深さに沿って、工具ロール10の表面における開口部からモールドキャビティ底部29まで、実質的に均一な断面積を有してもよい。モールドキャビティ底部29は、モールドキャビティ26および円筒形ベースロール12の外面によって形成される。図3Aは、少しのモールドキャビティ30の拡大平面図であり、図3Bおよび図3Cは、それぞれ、線3B−3Bおよび線3C−3Cに沿ったモールドキャビティ30の断面図である。モールドキャビティ30は、それらの深さdに沿った略直線の接線方向の断面積を示してもよい。接線方向のとは、断面がロール10の接線に沿ってとられることを意味する。直線のとは、接線方向の断面におけるモールドキャビティ30の形状が、実質的に平らな側面によって形成されることを意味する。示されたキャビティ30は、また、実質的にロール10の半径に沿って配向されるが、以下で説明されるようにさまざまな配向が可能である。
【0042】
モールドキャビティ30の側面27a、27b、および28は、平行であってもよいし、側面27aおよび27bが、モールドキャビティ30の開口部において、モールドキャビティ30の底部におけるより離れているか、またはその逆であるように、ドラフト角度で形成してもよい。
【0043】
ワイヤの主側面に形成された凹部の形状を制御することに加えて、本発明は、また、形成された突出部の幅(たとえば、図1Aの幅w’)を調整してもよいようにワイヤの主側面内への凹部の深さの制御をもたらす。ワイヤ20の主側面内へのモールドキャビティ30の深さwは、図3Aに見られる。
【0044】
しかし、モールドキャビティが不均一な形状を有する、たとえば、キャビティがフックまたは他の構造の形状で形成される場合、モールドキャビティの「底部」は、円筒形ベースロールの外面に最も近いモールドキャビティの部分と定義する。そのようなモールドキャビティの一例が、図6Cに示されており、モールドキャビティ230cが、円筒形ベースロール212の外面230cに最も近い底部229cを有する。さらに、モールドキャビティ230cの深さdcは、また、モールドキャビティ230cの底部229cによって規定される。モールドキャビティ230cは、その底部229cから区別できる端部231cを有し、というのは、モールドキャビティ230cは、ワイヤ220cの内縁224cからそれるからである。
【0045】
上述されたさまざまな例示的なモールドキャビティの底部は、ベースロールによって形成されるが、凹部が形成された表面内にモールドキャビティの底部が形成されるように、凹部がベースロールの表面より上で終わってもよいことが理解されるべきである。
【0046】
米国特許第6,190,594B1号明細書(ゴーマン(Gorman))および米国特許出願第10/024,919号明細書(2001年12月18日に出願された、構造化表面物品用の螺旋コイルを備えた工具(TOOLING WITH HELICAL COILS FOR STRUCTURED SURFACE ARTICLES))の教示に従って製造された工具ロールと比較して、本発明によって製造された工具ロールの1つの利点は、モールドキャビティを規定するようにワイヤの表面に形成された凹部を用いることによって、モールドキャビティ密度を実質的に増加させることができることである。増加したモールドキャビティ密度は、より小さいモールドキャビティを提供し、かつモールドキャビティをワイヤの長さに沿ってともにより近い間隔で配置することができるため、可能であろう。
【0047】
本発明によって製造された工具ロールは、1cm2あたり少なくとも50キャビティ以上の密度を含んでもよい。工具ロール10が、1cm2あたり少なくとも100キャビティ以上の密度を含むことが好ましいであろう。工具ロール10が、1cm2あたり少なくとも500キャビティ以上の密度を含むことがより好ましいであろう。
【0048】
工具の表面におけるモールドキャビティ開口部のサイズは、たとえばワイヤの厚さに対して比較的小さくてもよい。たとえば、モールドキャビティ開口部の接線方向の断面積は、0.1cm2以下、いくつかの場合0.02cm2以下であってもよい。
【0049】
好ましい円筒形ベースロール12は、厳しく制御された振れを有するように精密形成される。その精密な振れは、ワイヤ20の厳しく制御された高さ寸法hと組合されて、ロール10の外面から測定されるような深さdが実質的に均一なモールドキャビティ30を提供することができる。高さ寸法hを制御できる公差は、一般に、比較的小さく、ベースロール12の振れは、厳しく制御することができ、それにより、完成した工具ロール10の全体的な厳しい公差制御をもたらすことができる。
【0050】
モールドキャビティ30は、また、図1Aの物品70上の突出部72と関連して上述されたようなアスペクト比の点で特徴づけることができる。モールドキャビティ30のアスペクト比は、モールドキャビティの最小幅w(図3Aを参照のこと)と比較して深さdに基づいて定められ、最小幅wは、モールドキャビティの開口部においてベースロール12の表面に接線方向の平面で測定される。換言すれば、モールドキャビティ30のアスペクト比はd:wであり、工具ロール10が、高アスペクト比形状を備えた構造化表面を有する物品を製造するために使用されるべきである場合、比d:wが、たとえば、少なくとも約2:1以上、より好ましくは、少なくとも約3:1以上、さらに好ましくは、少なくとも約5:1以上であることが好ましいであろう。上で定義されたような高アスペクト比に加えて、またはその代わりに、モールドキャビティ深さdが、たとえば、約0.1ミリメートル以上、より好ましくは約0.2ミリメートル以上、さらに好ましくは約0.4ミリメートル以上であることが好ましいであろう。
【0051】
図3Bおよび図3Cは、本発明の別の任意の特徴、すなわち、ロール10上のめっきまたは他のコーティング50の任意の追加を示す。示されたコーティング50は、工具ロール10の全外面、すなわち、モールドキャビティ30間およびモールドキャビティ30の内面上の領域にわたって配置される。あるいは、コーティングは、ロール10の外面上のみに配置し、キャビティ30の内面にはないことができる。別の代替例において、コーティング50をキャビティ30内のみに配置し、ロール10の外面上に配置しないことができる。さらに別の代替例において、第1のコーティングをモールドキャビティ30内に配置することができ、第2のコーティングを工具ロール10の外面上に配置することができる。
【0052】
コーティング50は、均質な層として示されているが、コーティング50が、実際には、混合されるか連続層で付与された1つ以上の材料の組合せであってもよいことが理解されるべきである。コーティング50に使用される1つまたは複数の材料は、所望の物理特性によって変わってもよい。望ましいであろういくつかの物理特性としては、増加した耐摩耗性、制御された剥離特徴、制御された表面粗さ、隣接したワイヤ巻線の間の結合などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの好ましい材料は、金属めっき、より詳細には、無電解ニッケルめっき、クロムなどであろう。
【0053】
図4および図5は、工具ロール110の外面内に開くモールドキャビティ130を含む工具ロール110の別の例示的な実施形態を示す。工具ロール110は、好ましくは、周りに1つ以上のワイヤが螺旋コイルの形状に巻付けられて、中に複数のモールドキャビティ130が形成された表面を製造する円筒形ベースロール112を含む。
【0054】
図5に最もよく示されているように、工具ロール110の表面は、2つのワイヤ120および120’で巻くことができ、各ワイヤは、ともに巻かれると、モールドキャビティ130を形成する、中に形成された凹部を含む。工具ロール110とロール10との1つの差は、実質的に均一な断面を有するスペーサワイヤ40の代わりに、工具ロール110は、両方とも中に形成された凹部を含む2つのワイヤを含むことである。工具ロール110の設計の1つの利点は、より高密度のモールドキャビティ130、すなわち、モールドキャビティ130間の減少した間隔をもたらすことができることである。
【0055】
示された工具ロール110は、好ましくは、2つのワイヤ120および120’を使用して提供されるが、工具ロール110を、3つ以上のワイヤを使用して製造することができることが理解されるであろう。さらに別の代替例において、工具ロール110には、1つのワイヤを設けることができ、その場合、参照番号120および120’は、ワイヤの交互の巻線またはコイルを示す。
【0056】
別の工具ロール変更例が、図5A、すなわち、ベースロール(図示せず)の周りに巻かれると互いに面するワイヤ320および340の2つの主側面に形成された凹部326および346の複合体としてモールドキャビティ330が形成された1つの工具ロール表面の平面図に示されている。互いに面する凹部326および346は、対称的であるように示されているが、複合モールドキャビティ330を形成するために用いられる凹部が、対称的でも非対称的でもよいことが理解されるべきである。2つ以上の凹部によって形成された複合モールドキャビティを設けることによって、そうでなければ1つのワイヤのみの側面に形成された凹部によって達成することが困難な形状および/または寸法を有するキャビティを設けることが可能であろう。
【0057】
図6A〜6Fは、上述された実質的に均一な凹部と異なる、本発明と関連して使用されるワイヤの凹部のさまざまな形状を示す。本発明による工具ロールの1つの利点は、凹部を異なった形状および/または配向で形成して、また異なった形状および/または配向を有するモールドキャビティを設けることができることである。さらに、本発明で使用されるワイヤは、突出部の複雑なパターンを有する完成したフィルムを製造してもよいように、凹部の1つを超える形状を含んでもよい。所望の突出部を備えた完成したフィルムを製造するためのこれらのモールドキャビティのいくつかの使用が、樹脂選択およびプロセス条件によることが理解されるであろう。
【0058】
図6Aのモールドキャビティ230aは、キャビティ230aの開口部から底部229aまで増加する変化する断面積を有する。側壁227aおよび228aは、その方向に広がる。結果として、キャビティ230aは、キャビティ230aの開口部における接線方向の断面積より大きい、キャビティ230aの底部229aに近接した接線方向の断面積を有する。
【0059】
図6Bは、側壁227bおよび228bが、キャビティ230bの開口部とキャビティ230bの底部229bとの間のあるポイントにおいて最大に達する変化する幅を有するキャビティ230bを設けるモールドキャビティ230bを示す。示されたキャビティ230bにおいて、幅w”は、キャビティ230bの深さの中間点の近くで最大である。キャビティ230bが形成されたワイヤの厚さが、キャビティの深さにわたって一定である場合、モールドキャビティ230bは、その開口部より下のあるポイントにおけるキャビティ230bの接線方向の断面積より小さい、その開口部における接線方向の断面積を有すると説明することができる。
【0060】
図6Cは、本発明の工具ロールに設けることができるモールドキャビティの形状のさらに別の変更例を示す。示されたモールドキャビティ230cは、フックの形態の湾曲した形状を有する。その形状を備えたモールドキャビティを用いて、著しい付加的な処理をせずにフックストリップを直接形成してもよい。図6Dは、また本発明による工具ロールによって成形してもよい二端フック形状を含むモールドキャビティ230dを示す。
【0061】
図6Eは、本発明による工具ロールに供給されるモールドキャビティの配向の変更例を示す。モールドキャビティ230eは、工具ロール(図示せず)の半径rに対してある角度で配向された軸231eで形成される。
【0062】
図6Fは、側壁227fおよび228fが、キャビティ230fの開口部とキャビティ230fの底部229fとの間のあるポイントにおいてテーパする変化する幅を有するキャビティ230fを設けるモールドキャビティ230fを示す。換言すれば、キャビティ230fは、そのときその開口部より下のあるポイントにおけるキャビティ230fの接線方向の断面積より、その開口部において大きい、その開口部における接線方向の断面積を有すると説明することができ、キャビティ230fは、キャビティ230fがワイヤ220fの外縁222fから内縁224fに進むにつれて狭くなる。
【0063】
本発明は、また、モールドキャビティを形成するために使用される1つまたは複数のワイヤの表面に形成されたブリード構造を含んでもよい。ブリード構造は、流体(たとえば、空気)がモールドキャビティからより容易に逃げることを可能にし、それにより、キャビティの充填を向上させてもよい。ブリード構造は、モールドキャビティが、そうでなければ完全に充填するのが困難なことがあるより高いアスペクト比を有する場合、特に役立つであろう。
【0064】
端縁ゾーンが工具ロールの外面に近接して設けられるように、ブリード構造がワイヤの表面の一部のみを占めることが好ましいであろう。端縁ゾーンは、好ましくは、処理の間の成形可能な材料によるブリード構造の望まれない充填を防止するために、ブリード構造がない。
【0065】
さらに、ブリード構造は、モールドキャビティ230fを形成する凹部と同じ表面に形成されているように図6Fに示されているが、ブリード構造を、代わりに、モールドキャビティ230fを形成する凹部に面する表面上に配置することができることが理解されるべきである。図2に関して、ブリード構造を、凹部26に面するスペーサワイヤ40の表面上に配置することができる。図5に関して、ブリード構造を、ワイヤ120および120’の、モールドキャビティ130を形成する凹部が形成された側と反対側に形成することができる。別の代替例において、ブリード構造を、本発明の原理に従ってモールドキャビティを規定するために使用される表面の両方の上に設けることができる。
【0066】
ワイヤ220fの第1の主側面221fに形成された示されたブリード構造225fは、モールドキャビティ230fの側壁227fおよび228fと交差するチャネル226fを本質的に規定するローレットパターンである。チャネル226fが、著しい量の成形可能な材料がブリード構造225fに入ることができないであろうようなサイズであることが好ましいであろう。ブリード構造225fは、好ましくは、ワイヤ220fの内縁224fまで延在して、流体がモールドキャビティ230fを出るための経路を提供してもよい。
【0067】
さらに、ブリード構造225fが、ワイヤ220fの外縁222fに近接した端縁ゾーン223f内に延在しないことが好ましいであろう。ブリード構造225fのない端縁ゾーン223fを設けることによって、チャネル226fは、成形可能な材料で充填してもよい、工具ロールの外面上の開口部を備えたキャビティを形成しない。しかし、いくつかの場合、たとえば、このように形成された任意の開口部が、成形可能な材料で著しく充填するには小さすぎる場合、または任意のそのような充填が受入れられる場合、ブリード構造が、ワイヤ220fの外縁222fまで延在することを可能にすることが可能であろう。
【0068】
ベースロールの周りに巻かれた1つまたは複数のワイヤ上に形成されたブリード構造に加えて(またはその代わりに)、周りに1つまたは複数のワイヤが巻かれた工具ロールの表面は、また、処理の間モールドキャビティからの空気または他の流体の除去を助けるためにブリード構造を含んでもよい。ベースロールの表面上のブリード構造は、単独で(ワイヤ上のブリード構造を伴わずに)使用してもよく、モールドキャビティは、ベースロール自体の外面によって形成された底部を含み、それにより、モールドキャビティをベースロール上のブリード構造と流体連通して配置する。
【0069】
図6Fのベースロール212fの外面214fは、ランダムに粗くされた表面の形態のブリード構造(たとえば、エッチング、サンドブラストなどによって形成された)を含むように示されている。表面214fのブリード構造は、ベースロール212fの全表面214fにわたって延在してもよいし、選択された領域のみに設けてもよい。
【0070】
外面214f上に形成されたブリード構造を含むベースロール212fによってもたらすことができる付加的な利点は、ワイヤ220fとベースロール212fとの間に発生される摩擦力を増加させることによって、ワイヤ220fを円筒形ベースロール212fの周りに所定位置に保持するのを助けることができることである。
【0071】
本発明と関連して使用されるブリード構造(ワイヤまたはベースロール上の)は、当該技術において知られている任意の適切な技術、たとえば、ローレット切り、スタンピング、エンボス加工、彫刻、従来の機械加工、レーザ加工、放電加工、ウォータージェット加工、エッチング、フォトリソグラフィなどを用いて形成してもよい。さらに、示されたブリード構造は、ローレットパターンおよび粗くされた表面であるが、2つの面する表面、たとえば、チャネル、空隙を作るスタンドオフ、粗くされた表面(エッチング、サンドブラストなどによって形成された)、およびそれらの組合せの間を流体が移動するための経路を設けることができる任意の適切な構造または表面処理によって、本発明によるブリード構造を形成してもよい。
【0072】
図7Aは、モールドキャビティが異なる領域314および316を含む、平面図の工具ロール310を示す。一例において、領域314には、モールドキャビティを設けてもよく、領域316は、実質的にモールドキャビティがなくてもよい。別の例において、異なった領域314および316のモールドキャビティが異なってもよい。工具ロール310上の領域314および316は、実質的に均一な幅を有するように示されており、好ましくは、また、ロール310の円周を延在する。
【0073】
本発明による工具ロールは、代わりに、均一な形状でない、および/またはロール310の円周を延在しない、モールドキャビティが異なる領域を含んでもよい。1つのそのような変更例が、図7Bに示されており、領域314’が、工具ロール310’の幅に沿って配向され、領域316’によって両側で囲まれる。したがって、領域314’は、ロール310’に沿って長手方向のストライプを形成する。
【0074】
図7Cは、また、モールドキャビティを有さないか、領域316”のモールドキャビティとある点で異なるモールドキャビティを有する領域314”を含む別の工具ロール310”を示す。領域314”は、たとえば示されているようなロゴなどの任意の形状をとることができる。工具ロール310”を製造する方法は、全表面にわたって均一に分配された均一な形状のモールドキャビティを含む工具ロールを製造することを含んでもよい。均一なモールドキャビティを備えた工具ロール310”を製造した後、工具ロール310”の表面の1つ以上の部分(たとえば、領域314”)をマスクし、他の1つまたは複数の部分(たとえば、領域316”)を処理して、領域314”内のモールドキャビティを領域316”内のモールドキャビティと区別することができる。工具ロール310”を処理する1つの方法は、たとえば、マスクされていない領域のモールドキャビティを部分的にまたは完全に充填することを含むことができる。充填に使用される材料としては、はんだ、プラスチック、ろうなどを挙げることができる。使用される材料は、モールドキャビティ内に永久的に配置することができるか、たとえば異なったロゴを備えた工具ロールの再使用を可能にするように除去可能であってもよい。
【0075】
図8A〜8Dは、本発明の工具ロールのモールドキャビティを形成するために使用されるワイヤのさらなる変更例を示す。断面は、ワイヤの長さに直角にとられ、図8Aにおいて、ワイヤ420aには、逆L字形断面が設けられ、スペーサワイヤ440aが、接するワイヤ420aの間に形成された空間内に嵌合する。
【0076】
図8Bにおいて、ワイヤ420bおよび440bが、噛合いプロファイルを有する。さらに、ワイヤ440bは、示された実施形態において湾曲した表面である平らでない表面442bを含む。ワイヤ420bが所望のモールドキャビティ(図示せず)を形成する凹部を含む場合、ワイヤ440bの外面442bに湾曲を加えることは、モールドキャビティによって形成される各突出部のベースの2つの側で対応するフィレットを製造してもよい。そのフィレットは、突出部の強度を向上させることができ、すなわち、撓みに対するその抵抗を増加させることができる。さらに、湾曲は、また、付加的な剛性をフィルムまたは物品に与えることができる、突出部間のリッジ構造を製造してもよい。
【0077】
図8Cのワイヤ420cおよび440cは、またテーパされた側面を含む噛合いプロファイルを備えたワイヤを示す。図8Dは、入れ子にされたプロファイルを有するワイヤ420dおよび440dを示す。
【0078】
図8A〜8Dに示されているような噛合いまたは入れ子プロファイルを含む1つまたは複数のワイヤを使用することは、完成した工具ロールが、製造および成形工具としての使用の間応力を受けるときに、ベースロール上の巻線の一体性を向上させることができる。ワイヤプロファイルの多くの他の変更例を、本発明の範囲内で想像してもよい。
【0079】
図9は、凹部526を含むワイヤ520およびスペーサワイヤ540でベースロール512を巻いて、モールドキャビティ530を含む工具ロール510を提供する1つのプロセスを示す。必要であれば、2つを超えるワイヤをともに巻いてもよいことが理解されるであろう。
【0080】
本発明による工具ロールを製造する方法において、完成した工具ロール510の振れを向上させるために、ワイヤ520および540を巻いた後、工具ロール510の外面を機械加工することが望ましいであろう。
【0081】
たとえば、ワイヤパンチングおよび/または巻かれたロールの機械加工から残っているいかなるばりも、重炭酸ナトリウム(重曹)または同様の材料でロールをブラストすることによって除去することも望ましいであろう。完成した工具ロール510は、また、モールドキャビティ530内に、および/またはモールドキャビティ530間の工具ロール510の外面上に、所望の表面仕上げをもたらすように処理してもよい。たとえば、工具ロール510の表面を、化学エッチング、サンドブラスト、めっき、コーティングするか、他の方法で修正することが望ましいであろう。
【0082】
図10は、本発明による工具ロール610を使用して、高アスペクト形状フィルムを形成することができる1つのプロセスを示す。たとえば押出またはキャスト成形によって、成形可能な材料660を工具ロール610の表面に付与して、工具ロール610のモールドキャビティのレプリカである突出部672を含むフィルム670を作ることができる。好ましい実施形態において、工具ロール610からの取外し時に、材料660の工具ロール610への接着は、材料660内の凝集より小さい。材料660の工具ロールへの接着が、工具ロール610を形成するために使用される1つまたは複数のワイヤの引張強度を超えないことがさらに好ましいであろう。
【0083】
実質的にいかなる成形可能な材料も、本発明と関連して使用してもよい。成形可能な材料が配向性熱可塑性樹脂であることが好ましいであろう。押出成形でき、かつ有用であるべき配向性熱可塑性樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、および可塑化ポリ塩化ビニルが挙げられる。1つの好ましい熱可塑性樹脂は、コネチカット州ダンバリーのユニオン・カーバイド(Union Carbide, Danbury, Connecticut)からSRD7−587として入手可能な、17.5%のポリエチレンを含有し、かつメルトフローインデックスが30の、ポリプロピレンとポリエチレンとの衝撃コポリマーである。熱可塑性樹脂は、また、ポリエチレンおよびポリプロピレンブレンドを含むブレンド、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマーなどのコポリマーを含んでもよいし、多数の層として、または交互のゾーン内で共押出してもよい。可塑剤、充填剤、顔料、染料、酸化防止剤、離型剤などの添加剤も、成形可能な材料に組入れてもよい。
【0084】
1つの好ましいプロセスにおいて、材料660を、工具ロール610およびバックアップロール680によって形成されたニップ内に押出すことによって供給する。バックアップロール680は、好ましくは、ある圧力を与えて、成形可能な材料660を、工具ロール610に設けられたモールドキャビティ630(図11を参照のこと)に押込むのを助ける。あるいは、バックアップロール680を、モールド材料を工具ロール610のモールドキャビティに押込むのを助けることができる、任意の連続的に移動する表面と取替えてもよい。
【0085】
工具ロール610の内部に真空を供給して、そうでなければモールドキャビティの完全な充填を妨げることがある空気の除去を助けてもよい。しかし、多くの場合、モールドキャビティ内の空気が、工具ロール610を製造するために使用されるワイヤの間に逃げるので、真空を供給しないであろう。換言すれば、このプロセスを真空がない状態で行ってもよい。
【0086】
工具ロール610およびバックアップロール680のいずれかまたは両方でいくらかの熱制御をもたらすことも、望ましいであろう。プロセス条件、成形可能な材料660の温度、成形可能な材料660の特性などによって、ロール610および680の一方または両方を加熱するか、ロール610および680の一方または両方を冷却するか、ロールの一方を加熱し他方のロールを冷却することが望ましいであろう。
【0087】
材料660を工具ロール610のモールドキャビティ内に押込み、十分に冷却して、1つまたは複数の所望の形状を維持できる突出部672を備えたフィルム670を形成した後、それをさらなる処理のために工具ロール610からストリップするか、フィルム670をロールに巻くことができる。たとえば、機械的ファスナストリップが望まれる場合、フィルム674を1つまたは複数のステーションに向けて、突出部を修正し、接着剤をコーティングし、たとえば、米国特許第5,845,375号明細書(ミラー(Miller)ら)、米国特許第5,077,870号明細書(メルビー(Melbye)ら)、国際公開第98/57565号パンフレット、国際公開第98/57564号パンフレット、国際公開第98/30381号パンフレット、および国際公開第98/14086号パンフレットに記載されているような他の処理を行ってもよい。
【0088】
所望の付加的な特性をフィルム670に与えるために、1つ以上の付加的な材料を、工具ロール610およびバックアップロール680によって形成されたニップ内に向けることが望ましいであろう。たとえば、織布または不織布ウェブをニップ内に向けてもよい。あるいは、たとえば、熱、接着剤、共押出などによって、フィルム670を1つ以上の付加的な層に積層してもよい。
【0089】
図11は、図10の線11−11に沿った図10の装置の断面図である。工具ロール610は、フィルム670上の突出部672を形成するために成形可能な材料で充填されたモールドキャビティ630を含む。バックアップロール680上に形成された2つの隆起構造682も、図11に示されている。示されたバックアップロール680上の隆起構造682の1つの利点は、各隆起構造が、フィルム670を分離できる弱い線またはゾーンを作ることができることである。しかし、隆起構造682は、任意であり、本発明と関連して設けなくてもよい。
【0090】
バックアップロール680に組入れてもよい別の任意の特徴は、ある構造をロール680の表面に加えて、その表面積を増加させることである。バックアップロール680上の増加した表面積は、フィルム670上の表面積を増加させることができ、それにより、フィルム670の裏面674上に提供されたいかなる接着剤の接着も向上させることができる。有用な構造の一例は、1インチあたり約400線(1センチメートルあたり160線)のスケールの線角柱(linear prisms)のマイクロエンボス加工パターンであることができる。
【0091】
図12は、中にモールドキャビティが形成されたワイヤで巻かれた工具ロールを使用する別のプロセスを示す。示されたプロセスは、一方の側から延在する突出部772と、反対側から延在する突出部772’とを有するフィルム770を形成する。両面フィルム770は、両方とも中に形成されたモールドキャビティを含む、対向する工具ロール710および710’によって形成される。突出部772および772’は、サイズ、形状、配向などの点で同じ特徴を有してもよいし、異なってもよい。
【0092】
図13および図14は、本発明と関連して提供してもよい工具ロールのさらに別の実施形態を示す。図13は、ワイヤ820および840をベースロールの表面の周りに螺旋パターンで巻付けることによって形成された工具ロールの一部の平面図である。工具ロールは、異なったワイヤ820および840を含んでもよいが、1つのワイヤのみを設けることができ、その場合、参照番号820および840は、ワイヤの交互の巻線またはコイルを示す。さらに、2つを超えるワイヤを、本発明による工具ロールの周りに巻くことができる。
【0093】
示された実施形態において、ワイヤ820は、その主側面821および825の両方を通って形成された複数の空隙890を含み(1つのそのような空隙のみが図13に示されているが)、空隙890は、また、ワイヤ820の外縁822の一部をとる。しかし、空隙890は、ワイヤ820の内縁824まで延在しない。空隙890に加えて、凹部830aおよび830bも、ワイヤ820の主側面821および825に形成される。凹部830aおよび830bは、空隙890内に開く。空隙890ならびに凹部830aおよび830bは、ともに、空隙だけでまたは凹部のみで達成することができない形状を備えた複合モールドキャビティを提供してもよい。
【0094】
ワイヤ820および840を使用して形成された工具ロールは、中に形成された複数の複合モールドキャビティを含む。さらに、必要であれば、各空隙890を1つの凹部のみまたは2つを超える凹部と関連して設けてもよい、すなわち、複合モールドキャビティは、2つの凹部と組合せて空隙によって形成された構造に限定されないことが理解されるであろう。
【0095】
図15は、図13および図14に示された複合モールドキャビティを使用して形成してもよい突出部872の斜視図である。突出部872は、物品870の表面874から突出するステム871を含む。ステム871は、主として、ワイヤ820に形成された空隙890によって形成される。1対の耳873および875が、ステム871から延在する。耳873および875は、主として、上述されたようなワイヤ820の凹部830aおよび830bによって形成される。
【0096】
いくつかの場合、突出部872は、図15に見られるそれらの形成されたままの形状で有用であろう。しかし、他の場合、突出部872の形状を、その最初に形成された形状から修正することが有利であろう。1つのそのような修正が図16に示されており、突出部872は、物品870の表面874から延在するように示されている。ステム871は、本質的に変わらないままであるが、耳873および875は、もはや、表面874によって規定された局所化平面に対して垂直に立たないように修正されている。むしろ、耳873および875は、表面874によって規定された局所化平面に対して水平に延在するように処理されている。この構成において、突出部872は、たとえば、耳873および875が、相補的な構造(たとえば、ループ構造)と係合してもよいフックとして役立つ機械的ファスナとして有用であろう。この変化を達成するために用いてもよいプロセスの例としては、たとえば、熱を加えること、または熱および機械的圧力を加えることが挙げられる。
【0097】
図17〜19は、ワイヤの空隙および凹部によって形成された複合モールドキャビティを含む工具ロールの別の実施形態を示す。図17に示された構造は、図13に関して上述されたように同じまたは異なったワイヤであってもよいワイヤ920および940を含む。ワイヤ920は、その2つの主側面921および925を通って形成された複数の空隙990を含む(1つのそのような空隙のみが図17の図に示されているが)。ワイヤ940aの1つの主側面の図が図19に示されており、形成された凹部が外縁942から内縁944(ベースロール(図示せず)の表面に対して巻かれた端縁まで延在することを示す。あるいは、凹部930aは、ワイヤ940aの外縁942から内縁944まで延在しないであろう。
【0098】
図13の構造からの1つの変更例は、ワイヤ940が、それらのそれぞれの主側面に形成された凹部930aおよび930bを含み、凹部930aおよび930bが、ワイヤ920の主側面に面する。これは、空隙890ならびに凹部830aおよび830bの両方がワイヤ820に形成され、ワイヤ840が略平坦な側面を有する(それらは、ここで説明されるようなブリード構造を含んでもよいが)、図13および図14に見られる構造と異なる。
【0099】
図17に見られるように凹部930aおよび930bが空隙990と交差し、凹部930aおよび930bが、ワイヤ920の空隙990、ならびにワイヤ940の凹部930aおよび930bによって規定された体積を含む複合モールドキャビティを形成することが好ましいであろう。さらに、1つの複合モールドキャビティのみが図17に示されているが、ワイヤ920および940を使用して製造された工具ロールが、ロールの表面にわたって分散された複数の複合モールドキャビティを含むことが理解されるであろう。
【0100】
図20は、図17および図18に示された複合モールドキャビティを使用して形成してもよい突出部972の斜視図である。突出部972は、物品970の表面974から突出するステム971を含む。ステム971は、主として、ワイヤ920に形成された空隙990によって形成される。1対のリブ973および975が、ステム971の両側に沿って延在し、ステム971の高さを過ぎて延在する。リブ973および975は、主として、上述されたようなワイヤ940aおよび940bの凹部930aおよび930b(それぞれ)によって形成される。
【0101】
いくつかの場合、突出部972は、図20に見られるそれらの形成されたままの形状で有用であろう。たとえば、リブ973および974は、突出部972の剛性または構造一体性を向上させることができる。しかし、他の場合、突出部972の形状を、その最初に形成された形状から修正することが有利であろう。1つのそのような修正が図21に示されており、突出部972のステム971は、本質的に変わらないままであるが、ステム971を過ぎて延在するリブ973および975の部分は、もはや、表面974によって規定された局所化平面に対して垂直に立たないように修正されている。むしろ、リブ973および975は、表面974によって規定された局所化平面に対して水平に延在するように処理されている。この構成において、突出部972は、たとえば、ステム971から延在するリブ973および975の部分が、相補的な構造(たとえば、ループ構造)と係合してもよいフックとして役立つ機械的ファスナとして有用であろう。この変化を達成するために用いてもよいプロセスの例としては、たとえば、熱を加えること、または熱および機械的圧力を加えることが挙げられる。
【0102】
図22は、物品1070の表面1074から延在するリッジ1071から形成された突出部を含む本発明の別の物品1070の斜視図である。リッジ1071の各々は、それから突出する複数の耳1073を含む。いくつかの場合、耳1073は、図22に見られるそれらの形成されたままの形状で有用であろう。しかし、他の場合、耳1073の形状を、たとえば図16および図21に関して示され説明されたように修正することが有利であろう。各突出部のリッジ1071は、好ましくは、方向1011における物品1070の長さと同延の長さ(方向1011における)を有してもよい。あるいは、各突出部のリッジ1071は、物品1070の長さより短い長さを有してもよい。方向1011における各リッジ1071の長さは、好ましくは、その幅(方向1011に直角に測定された)より大きく、たとえば、リッジ1071の長さが、ベース1071の幅の少なくとも2倍以上であることが好ましいであろう。さらに、細長いリッジ1071が、共通の方向、たとえば、図22の方向1011に沿って、互いに整列されることが好ましいであろう。
【0103】
図23は、工具ロール1010の一部の平面図であり、図24は、図23の線24−24に沿った工具ロール1010の拡大断面図である。工具ロール1010は、図22に示されたような物品を製造するために使用してもよい。工具ロール1010は、ベースロール1012の周りに螺旋状に巻かれたワイヤ1020および1040によって形成される。ワイヤ1020は、ワイヤ1040の外縁1042の高さより低い、ベースロール1012より高い高さを有する外縁1022を有し、溝がワイヤ1040の巻線の間に形成された工具ロール1010をもたらす。ワイヤ1040の巻線の間に形成された溝は、工具ロール1010が成形可能な材料によって接触されたときに物品1070のリッジ1071を形成することができるモールドキャビティを提供する。ワイヤ1020および1040は、略矩形プロファイルを有するように示されているが、代わりに、異なった形状を与えることができ、その場合、物品1070のリッジ1071も、図22に示された形状と異なった形状で形成される。
【0104】
ワイヤ1020に形成された凹部1030も、図23および図24に見られる。凹部1030は、成形可能な材料で満ち、図22に見られるようなリッジ1071上の耳1073を形成する。凹部1030は、ワイヤ1020にのみ示されているが、凹部を、ワイヤ1020、ワイヤ1040、またはワイヤ1020およびワイヤ1040の両方に設けてもよいことが理解されるであろう。図23および図24に見られないが、ワイヤ1020および1040の一方または両方が、好ましくは、ここで説明されるようなブリード構造を含むであろう。
【0105】
工具ロール1010の周りに巻付けられたワイヤ1020および1040によって形成された溝は、ロール1010の円周で連続していてもよいが、不連続であってもよい。図25は、工具ロール1110の周りにある長さを延在するが、連続螺旋溝に形成されていない溝1190を含む工具ロール1110を示す。細長い溝1190は、たとえば、たとえば図13および図14に関して上述されたような、中に形成された空隙を含むワイヤによって形成することができる。しかし、工具ロール1110に使用されるワイヤの空隙は、典型的には、ワイヤの長さにわたって、より長い距離を延在する。
【0106】
これらの細長い空隙は、上の工具ロールに示されたように均一なサイズおよび間隔にしてもよいし、不均一なサイズおよび不均一な間隔にしてもよい。工具ロール1110は、ベースロールの周りに巻付けられると、不均一なサイズおよび間隔の溝1190を形成する、不均一なサイズおよび間隔の空隙を備えたワイヤを示す。
【0107】
工具ロール1110などの工具ロールによって製造された物品は、図26に示されたような細長いリッジ1171を含む。リッジ1171は、好ましくは、図15、図20、および図22と関連して示されたような、その上に形成された突出部(図示せず)を含む。工具ロール1110の溝1190が、不均一なサイズおよび間隔であるので、物品1170上の細長いリッジ1171も、不均一なサイズおよび間隔である。
【0108】
本明細書に引用された特許、特許出願、および刊行物をすべて、各々、個別に引用により援用するように、それらの全体を引用により本明細書に援用する。本発明のさまざまな修正および変更は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者には明らかになるであろう。また、本発明は、本明細書に記載された例示的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明による中に形成されたキャビティを含む1つの工具ロールの平面図である。
【図1A】本発明による工具ロールを使用して形成された構造化表面の拡大斜視図である。
【図1B】突出部が上に形成され、突出部が形成後キャップされた1つの物品の顕微鏡写真である。
【図2】中に形成されたキャビティを示す、図1の工具ロールの表面の一部の拡大破断斜視図である。
【図3A】図1の工具ロールの表面の拡大平面図である。
【図3B】線3B−3Bに沿った図3Aの断面図である。
【図3C】線3C−3Cに沿った図3Aの断面図である。
【図4】本発明による中に形成されたキャビティを含む別の工具ロールの平面図である。
【図5】中に形成されたキャビティを示す、図4の工具ロールの表面の一部の拡大破断斜視図である。
【図5A】モールドキャビティが、互いに面するワイヤに形成された2つの凹部の複合体として形成された別の工具ロール表面の平面図である。
【図6A】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6B】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6C】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6D】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図6E】さまざまなモールドキャビティ形状を示す。
【図7A】異なったモールドキャビティを備えた円周方向の領域を含む工具ロールの平面図である。
【図7B】異なったモールドキャビティを備えた長手方向の領域を含む工具ロールの平面図である。
【図7C】ロゴの領域において異なったモールドキャビティを備えたロゴを含む工具ロールの平面図である。
【図8A】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図8B】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図8C】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図8D】本発明による工具ロールに用いるための異なったワイヤプロファイルを示す。
【図9】本発明による工具ロールを製造する1つの方法を示す。
【図10】本発明による工具ロールを使用して高アスペクト形状フィルムを製造する1つの方法を示す。
【図11】図10の線11−11に沿った図10の装置の断面図である。
【図12】本発明による2つの工具ロールを使用して、両側に突出部を含む高アスペクト形状フィルムを製造する1つの方法を示す。
【図13】同じワイヤの空隙および凹部によって形成された複合モールドキャビティを含む、本発明による別のワイヤで巻かれた工具の平面図である。
【図14】中に形成された空隙および凹部を示す、図13からのワイヤ820の斜視図である。
【図15】図13の複合モールドキャビティによって形成された1つの突出部の斜視図である。
【図16】処理後の図15の突出部の側面図である。
【図17】異なったワイヤの空隙および凹部によって形成された複合モールドキャビティを含む、本発明による別のワイヤで巻かれた工具の平面図である。
【図18】ワイヤ920の空隙および隣接したワイヤ940aの凹部を示す、線18−18に沿った図17のワイヤ920の断面図である。
【図19】ワイヤ940aの主側面およびその中に形成された凹部を示す、線19−19に沿った図17の断面図である。
【図20】図17の複合モールドキャビティによって形成された1つの突出部の斜視図である。
【図21】処理後の図20の突出部の側面図である。
【図22】本発明による1つの物品の一部の斜視図である。
【図23】図22の物品を製造するために使用することができる1つの工具ロールの一部の平面図である。
【図24】図23の線24−24に沿った図23の工具ロールの断面図である。
【図25】不連続螺旋溝が外面に形成された工具ロールを示す。
【図26】図25の工具ロールを使用して製造された物品の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ロールであって、
円筒形ベースロールと、
内縁、外縁並びにそれらの間に配置される第1および第2の主側面を有する第1のワイヤとを具備し、該第1の主側面が、その中に形成される複数の凹部を有し、該第1のワイヤが、該内縁を該ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第1のワイヤの該第1の主側面の該複数の凹部が、複数のモールドキャビティを形成し、それらモールドキャビティの各々が、該第1のワイヤの該外縁に近接する工具ロールの外面に配置されるモールド開口部を有する、
工具ロール。
【請求項2】
前記工具ロールが、前記第1のワイヤの前記第1および第2の主側面を通って形成される複数の空隙をさらに具備し、それら空隙の各々が、それから延在する凹部を有し、該凹部を延在させた該複数の空隙が、複数の複合モールドキャビティを形成し、それら複合モールドキャビティの各々が、前記第1のワイヤの前記外縁に近接する前記工具ロールの外面に配置されるモールド開口部を有する、請求項1に記載の工具ロール。
【請求項3】
前記ベースロールの周りに巻かれた第2のワイヤをさらに具備し、該第2のワイヤが、前記第1のワイヤの隣り合う螺旋コイルの間に配置される、請求項1〜2のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項4】
前記第2のワイヤが外縁を有し、該第2のワイヤの該外縁が、前記第1のワイヤの前記外縁と同一平面上にある、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項5】
前記第2のワイヤが外縁を有し、前記ベースロールを基準とした前記第1のワイヤの前記外縁の高さが、該ベースロールを基準とした該第2のワイヤの該外縁の高さより低くなっており、それにより、螺旋溝が前記工具ロールの外面上に形成される、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項6】
前記螺旋溝が、前記工具ロールの前記外面の周りで該外面に沿って実質的に連続している、請求項5に記載の工具ロール。
【請求項7】
前記第2のワイヤが、該第2のワイヤの内縁と外縁との間に配置される第1および第2の主側面を有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該内縁を前記ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第2のワイヤの該第1および第2の主側面が、実質的に凹部を有さない、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項8】
前記第2のワイヤが、内縁と、外縁と、それらの間に配置される第1および第2の主側面とを有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該第1および第2の主側面を通って形成される複数の空隙を有し、
前記複数のモールドキャビティが、複数の複合モールドキャビティを含み、それら複数の複合モールドキャビティの各複合モールドキャビティが、前記複数の空隙のうちの少なくとも1つの空隙と、前記複数の凹部のうちの少なくとも1つの凹部とを有し、前記モールド開口部が、前記第1および第2のワイヤの前記外縁に近接する前記工具ロールの外面に配置される、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項9】
前記第2のワイヤが、該第2のワイヤの内縁と外縁との間に配置される第1および第2の主側面を有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該内縁を前記ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第2のワイヤの該第1の主側面が、その中に形成される複数の凹部を有する、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項10】
前記第2のワイヤの第1の主側面が、前記第1のワイヤの前記第1の主側面に面する、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項11】
前記第2のワイヤが、該第2のワイヤの内縁と外縁との間に配置される第1および第2の主側面を有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該内縁を前記ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第2のワイヤの該第1の主側面が、その中に形成されるブリード構造を有する、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項12】
前記第2のワイヤの前記第1の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項11に記載の工具ロール。
【請求項13】
前記ブリード構造が、前記第2のワイヤの前記第1の主側面に形成されるローレットパターンを有する、請求項11に記載の工具ロール。
【請求項14】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、前記モールド開口部から前記ベースロールに向かって実質的一定の接線方向断面積を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項15】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、前記モールド開口部から前記ベースロールに向かって移行するに従い減少する接線方向断面積を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項16】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、該モールドキャビティの前記モールド開口部における接線方向断面積よりも、該モールドキャビティの底部に近接する接線方向断面積の方が大きくなっている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項17】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、前記モールド開口部と該モールドキャビティの底部との間の任意部位における該モールドキャビティの接線方向断面積よりも、該モールド開口部における接線方向断面積の方が小さくなっている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項18】
前記複数の凹部のそれぞれの凹部が、前記第1のワイヤの前記第1の主側面に沿って該第1のワイヤの前記内縁から該第1のワイヤの前記外縁まで延在し、それら凹部によって形成される前記複数のモールドキャビティの各モールドキャビティが、前記円筒形ベースロールに近接する主ベース開口部を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項19】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面に形成されるブリード構造をさらに具備する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項20】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項19に記載の工具ロール。
【請求項21】
前記ブリード構造が、前記第1のワイヤの前記第1の主側面に形成されるローレットパターンを有する、請求項19〜20のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項22】
前記第1のワイヤの前記第2の主側面に形成されるブリード構造をさらに具備する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項23】
前記第1のワイヤの前記第2の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項22に記載の工具ロール。
【請求項24】
前記第1のワイヤの前記第2の主側面の前記ブリード構造が、該第1のワイヤの該第2の主側面に形成されるローレットパターンを有する、請求項22〜23のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項25】
前記ベースロールが、該ベースロールの外面に形成されるブリード構造を有し、前記第1のワイヤが該ブリード構造の上に配置される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項26】
前記ベースロールの前記外面に形成される前記ブリード構造が、ローレットパターンを有する、請求項25に記載の工具ロール。
【請求項27】
前記工具ロールの前記外面の少なくとも1つの領域が、実質的にモールドキャビティを有さない、請求項1〜26のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項28】
物品に構造化表面を形成する方法であって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の工具ロールを用意することと、
前記モールドキャビティの少なくともいくつかを、成形可能な材料で少なくとも部分的に充填するようにして、該成形可能な材料を前記工具ロールの前記外面に接触させて、該工具ロールの該外面を用いて前記構造化表面を形成することと、
前記工具ロールの前記外面から、前記複数のモールドキャビティに対応する複数の突出部を含む前記構造化表面を取外すことと、
を含む方法。
【請求項29】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面に形成されるブリード構造をさらに具備し、前記成形可能な材料で前記モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填するときに、該モールドキャビティの少なくともいくつかの中の少なくともいくらかの空気が、該ブリード構造を通るようにする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記工具ロールが、前記ベースロールの周りに巻かれる第2のワイヤを具備し、該第2のワイヤが、前記第1のワイヤの隣り合う螺旋コイルの間に配置され、前記工具ロールが、該第1のワイヤと該第2のワイヤとの間に形成されるブリード構造をさらに具備し、前記成形可能な材料で前記モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填するときに、該モールドキャビティの少なくともいくつかの中の少なくともいくらかの空気が、該ブリード構造を通るようにする、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記工具ロールが、前記第1のワイヤの前記外縁に近接する端縁ゾーンを有し、該端縁ゾーンが、前記ブリード構造を有さない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ベースロールが、該ベースロールの外面に形成されるブリード構造を有し、前記成形可能な材料で前記モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填するときに、該モールドキャビティの少なくともいくつかの中の少なくともいくらかの空気が、該ブリード構造を通るようにする、請求項28〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ベース表面と、
前記ベース表面から突出する複数の長形リッジと、
前記複数の長形リッジの各長形リッジから突出する複数の耳と、
を具備する物品。
【請求項35】
前記複数の長形リッジの各長形リッジが、該長形リッジの延長方向において前記物品と同じ広がりを有する、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記複数の長形リッジが、共通の方向に沿って整列配置される、請求項34〜35のいずれか一項に記載の物品。
【請求項1】
工具ロールであって、
円筒形ベースロールと、
内縁、外縁並びにそれらの間に配置される第1および第2の主側面を有する第1のワイヤとを具備し、該第1の主側面が、その中に形成される複数の凹部を有し、該第1のワイヤが、該内縁を該ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第1のワイヤの該第1の主側面の該複数の凹部が、複数のモールドキャビティを形成し、それらモールドキャビティの各々が、該第1のワイヤの該外縁に近接する工具ロールの外面に配置されるモールド開口部を有する、
工具ロール。
【請求項2】
前記工具ロールが、前記第1のワイヤの前記第1および第2の主側面を通って形成される複数の空隙をさらに具備し、それら空隙の各々が、それから延在する凹部を有し、該凹部を延在させた該複数の空隙が、複数の複合モールドキャビティを形成し、それら複合モールドキャビティの各々が、前記第1のワイヤの前記外縁に近接する前記工具ロールの外面に配置されるモールド開口部を有する、請求項1に記載の工具ロール。
【請求項3】
前記ベースロールの周りに巻かれた第2のワイヤをさらに具備し、該第2のワイヤが、前記第1のワイヤの隣り合う螺旋コイルの間に配置される、請求項1〜2のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項4】
前記第2のワイヤが外縁を有し、該第2のワイヤの該外縁が、前記第1のワイヤの前記外縁と同一平面上にある、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項5】
前記第2のワイヤが外縁を有し、前記ベースロールを基準とした前記第1のワイヤの前記外縁の高さが、該ベースロールを基準とした該第2のワイヤの該外縁の高さより低くなっており、それにより、螺旋溝が前記工具ロールの外面上に形成される、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項6】
前記螺旋溝が、前記工具ロールの前記外面の周りで該外面に沿って実質的に連続している、請求項5に記載の工具ロール。
【請求項7】
前記第2のワイヤが、該第2のワイヤの内縁と外縁との間に配置される第1および第2の主側面を有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該内縁を前記ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第2のワイヤの該第1および第2の主側面が、実質的に凹部を有さない、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項8】
前記第2のワイヤが、内縁と、外縁と、それらの間に配置される第1および第2の主側面とを有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該第1および第2の主側面を通って形成される複数の空隙を有し、
前記複数のモールドキャビティが、複数の複合モールドキャビティを含み、それら複数の複合モールドキャビティの各複合モールドキャビティが、前記複数の空隙のうちの少なくとも1つの空隙と、前記複数の凹部のうちの少なくとも1つの凹部とを有し、前記モールド開口部が、前記第1および第2のワイヤの前記外縁に近接する前記工具ロールの外面に配置される、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項9】
前記第2のワイヤが、該第2のワイヤの内縁と外縁との間に配置される第1および第2の主側面を有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該内縁を前記ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第2のワイヤの該第1の主側面が、その中に形成される複数の凹部を有する、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項10】
前記第2のワイヤの第1の主側面が、前記第1のワイヤの前記第1の主側面に面する、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項11】
前記第2のワイヤが、該第2のワイヤの内縁と外縁との間に配置される第1および第2の主側面を有し、該第2のワイヤが、該第2のワイヤの該内縁を前記ベースロールに近接させて、該ベースロールの周りに螺旋コイル状に巻かれ、該第2のワイヤの該第1の主側面が、その中に形成されるブリード構造を有する、請求項3に記載の工具ロール。
【請求項12】
前記第2のワイヤの前記第1の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項11に記載の工具ロール。
【請求項13】
前記ブリード構造が、前記第2のワイヤの前記第1の主側面に形成されるローレットパターンを有する、請求項11に記載の工具ロール。
【請求項14】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、前記モールド開口部から前記ベースロールに向かって実質的一定の接線方向断面積を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項15】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、前記モールド開口部から前記ベースロールに向かって移行するに従い減少する接線方向断面積を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項16】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、該モールドキャビティの前記モールド開口部における接線方向断面積よりも、該モールドキャビティの底部に近接する接線方向断面積の方が大きくなっている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項17】
前記複数のモールドキャビティのそれぞれのモールドキャビティは、前記モールド開口部と該モールドキャビティの底部との間の任意部位における該モールドキャビティの接線方向断面積よりも、該モールド開口部における接線方向断面積の方が小さくなっている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項18】
前記複数の凹部のそれぞれの凹部が、前記第1のワイヤの前記第1の主側面に沿って該第1のワイヤの前記内縁から該第1のワイヤの前記外縁まで延在し、それら凹部によって形成される前記複数のモールドキャビティの各モールドキャビティが、前記円筒形ベースロールに近接する主ベース開口部を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項19】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面に形成されるブリード構造をさらに具備する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項20】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項19に記載の工具ロール。
【請求項21】
前記ブリード構造が、前記第1のワイヤの前記第1の主側面に形成されるローレットパターンを有する、請求項19〜20のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項22】
前記第1のワイヤの前記第2の主側面に形成されるブリード構造をさらに具備する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項23】
前記第1のワイヤの前記第2の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項22に記載の工具ロール。
【請求項24】
前記第1のワイヤの前記第2の主側面の前記ブリード構造が、該第1のワイヤの該第2の主側面に形成されるローレットパターンを有する、請求項22〜23のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項25】
前記ベースロールが、該ベースロールの外面に形成されるブリード構造を有し、前記第1のワイヤが該ブリード構造の上に配置される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項26】
前記ベースロールの前記外面に形成される前記ブリード構造が、ローレットパターンを有する、請求項25に記載の工具ロール。
【請求項27】
前記工具ロールの前記外面の少なくとも1つの領域が、実質的にモールドキャビティを有さない、請求項1〜26のいずれか一項に記載の工具ロール。
【請求項28】
物品に構造化表面を形成する方法であって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の工具ロールを用意することと、
前記モールドキャビティの少なくともいくつかを、成形可能な材料で少なくとも部分的に充填するようにして、該成形可能な材料を前記工具ロールの前記外面に接触させて、該工具ロールの該外面を用いて前記構造化表面を形成することと、
前記工具ロールの前記外面から、前記複数のモールドキャビティに対応する複数の突出部を含む前記構造化表面を取外すことと、
を含む方法。
【請求項29】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面に形成されるブリード構造をさらに具備し、前記成形可能な材料で前記モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填するときに、該モールドキャビティの少なくともいくつかの中の少なくともいくらかの空気が、該ブリード構造を通るようにする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のワイヤの前記第1の主側面が、前記ブリード構造のない端縁ゾーンを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記工具ロールが、前記ベースロールの周りに巻かれる第2のワイヤを具備し、該第2のワイヤが、前記第1のワイヤの隣り合う螺旋コイルの間に配置され、前記工具ロールが、該第1のワイヤと該第2のワイヤとの間に形成されるブリード構造をさらに具備し、前記成形可能な材料で前記モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填するときに、該モールドキャビティの少なくともいくつかの中の少なくともいくらかの空気が、該ブリード構造を通るようにする、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記工具ロールが、前記第1のワイヤの前記外縁に近接する端縁ゾーンを有し、該端縁ゾーンが、前記ブリード構造を有さない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ベースロールが、該ベースロールの外面に形成されるブリード構造を有し、前記成形可能な材料で前記モールドキャビティの少なくともいくつかを少なくとも部分的に充填するときに、該モールドキャビティの少なくともいくつかの中の少なくともいくらかの空気が、該ブリード構造を通るようにする、請求項28〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ベース表面と、
前記ベース表面から突出する複数の長形リッジと、
前記複数の長形リッジの各長形リッジから突出する複数の耳と、
を具備する物品。
【請求項35】
前記複数の長形リッジの各長形リッジが、該長形リッジの延長方向において前記物品と同じ広がりを有する、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記複数の長形リッジが、共通の方向に沿って整列配置される、請求項34〜35のいずれか一項に記載の物品。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2007−502229(P2007−502229A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532369(P2006−532369)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/010139
【国際公開番号】WO2004/103685
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/010139
【国際公開番号】WO2004/103685
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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