説明

ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ

ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ(114)は、電源(132)、コントローラ(130)、低出力無線周波数通信モジュール(122)およびワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュール(120)を含む。コントローラ(130)は、電源(132)に接続する。低出力無線周波数通信モジュール(122)は、また、コントローラ(130)に接続する。ワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュール(120)は、コントローラ(130)に接続する。コントローラ(130)は、低出力無線周波数通信モジュール(122)から受け取る情報に基づいて、ワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュール(120)を通して通信するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールは、周知である。このようなツールは、プロセス制御および計測工業において、オペレータが所与のプロセス施設中のフィールド装置とタイミングよく通信する、および/またはそれに応答信号電波を発信させるのに非常に有用である。この種のプロセス施設の例は、石油、医薬、化学、パルプ、および他の流体処理施設を含む。このような施設では、プロセス制御および計測ネットワークは、このような装置が正しく機能しているおよび/または校正されていることを保証するために定期的にメンテナンスを要する、何十又は何百もの様々のフィールド装置を含むことができる。さらに、プロセス制御および測定施設における一つ以上のエラーが検出されるときに、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールを使用すると、技術者は迅速に現場でこの種のエラーを診断することができる。
【0002】
少なくともいくつかのプロセス施設は、非常に揮発性の、または更には爆発性の環境を伴いうるので、フィールドデバイスおよび、この種のフィールドデバイスとともに用いられるハンドヘルドフィールドメンテナンスツールが固有の安全条件に適合することは、多くの場合有益であるか、または更には必要である。これらの条件は、適合した電気装置が故障条件の下でさえ点火源を生成しないことを確実にするのを助ける。固有の安全条件の1つの例は、1998年10月にFactory Mutual Researchによって公表されたAPPROVAL STANDARD INTRINSICALLY SAFE APPARATUS AND ASSOCIATED APPARATUS FOR USE IN CLASS I, II and III, DIVISION NUMBER 1 HAZARDOUS (CLASSIFIED) LOCATIONS, CLASS NUMBER 3610中で記載される。固有の安全条件に適合するハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの例は、エデンプレイリー、ミネソタ、のFisher−Rosemount Systems, Inc.から入手可能である、商品名Model 475 Field Communicatorとして販売されるものを含む。
【0003】
フィールドデバイスへの固有の環境上の配慮から、通信信号は伝統的に慎重に制御されてきた。工業プロセス通信プロトコルの例は、Highway Addressable Remote Transducer (HART(登録商標))プロトコルおよびFOUNDATION(商標) Fieldbusプロトコルを含む。物理的な結線が各々のフィールドデバイスに施されるという点で、これらのプロトコルの両方とも有線のプロトコルと考えられる。
【0004】
近年では、いくつかのフィールドデバイスは、ワイヤレスで通信するように設計されてきた。これらのフィールドデバイスは、したがって、いかなる通信または電源配線をも必要とせず、このことにより、装置との相互作用と同様に、現場での配線が簡素化される。しかしながら、フィールドデバイスの配線端末と物理的に接続するように設計される端末を有するハンドヘルドフィールドメンテナンスツールは、これらの新規のワイヤレスフィールドデバイスと単純には通信することができない。
【発明の概要】
【0005】
ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタは、電源、コントローラ、低出力無線周波数通信モジュールおよびワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールを含む。コントローラは、電源に接続する。低出力無線周波数通信モジュールは、同様にコントローラに接続する。ワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールは、コントローラに接続する。コントローラは、低出力無線周波数通信モジュールから受け取る情報に基づいてワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールを通して通信するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1A】従来技術に従ってフィールドデバイスに接続するハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの線図である。
【図1B】従来技術に従ってフィールドデバイスに接続するハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの線図である。
【図2】本発明の実施形態に従う、ワイヤレスフィールドデバイスと相互作用をするハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの線図である。
【図3】本発明の実施形態に従うワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタの線図である。
【図4】本発明の実施形態に従う、ワイヤレスフィールドデバイスと関連して「校正前/校正後」データを決定するおよび/または記録する方法のフロー図である。
【図5】本発明の実施形態に従う、ワイヤレスプロセス通信ループおよび/または装置の、ループテストおよび/または部分テストを行う方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1Aおよび1Bは、従来技術に従ってフィールドデバイスに接続するハンドヘルドフィールドメンテナンスツール22の線図である。図1Aに示すように、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール22は、フィールドデバイス20の端末24に更に接続する試験導線30、32にそれぞれ接続する、一対の端末25、27を含む。端末24は、この種のハンドヘルドフィールドメンテナンスツールが装置20に接続し、かつ装置20と相互作用をするための、専用端末でありうる。
【0008】
図1Bは、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール22が、フィールドデバイス23が接続されるプロセス制御ループ34に直接接続される、代替の配列を示す。どちらの場合でも、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールおよびフィールドデバイスの間の配線接続によって、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールは、目的とするフィールドデバイス20、23と相互作用をすることができる。
【0009】
図2は、本発明の実施形態に従う、ワイヤレスフィールドデバイスと相互作用をするハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの線図である。システム100は、ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ114を経てワイヤレスでワイヤレスフィールドデバイス104と通信しているハンドヘルドフィールドメンテナンスツール102を含む。ワイヤレスフィールドデバイス104は、それに対して接続される圧力マニホールド106および電子機器筐体108を有する、工業プロセス流体圧力送信器として表される。電子機器筐体108は、エネルギー源(この例では、太陽電池110として示される)に更に接続して、かつアンテナ112でワイヤレスで通信しているワイヤレス通信モジュールを含む。ワイヤレスフィールドデバイス104は、図示する目的のためだけに示される。実際は、ワイヤレスフィールドデバイス104は、任意の工業装置、例えばプロセス流体温度送信器、プロセス流体レベル送信器、プロセス流体流量送信器、弁制御器、または工業プロセスの測定および/または制御において有用である任意の他の装置でありうる。
【0010】
ワイヤレスフィールドデバイス104は、ワイヤレスプロセス通信プロトコルに従って通信する。この種のプロトコルの1つの例は、新しいWirelessHART標準である。この標準は、2.4GHzの周波数でワイヤレス通信を使用するが、そうでなければ、Wired HART(登録商標)通信において使用されるのと同じコマンドストラクチャーを使用する。ワイヤレスHART(登録商標)プロトコルに関するより具体的な情報は、HART Communication Foundationによって公表されたWireless HART(登録商標)Specificationで得ることができる。Wireless HART(登録商標) Specificationの関連する部分は、HCF_Spec 13, revision 7.0、HART Specification 65 − Wireless Physical Layer Specification、HART Specification 75 − TDMA Data Link Layer Specification (TDMAは、Time Division Multiple Accessを指す)、HART Specification 85 − Network Management Specification、HART Specification 155 − Wireless Command Specification、およびHART Specification 290 − Wireless Devices Specificationを含む。Wireless HART(登録商標)プロトコルはワイヤレスプロセス通信プロトコルの1つの例である一方、他の標準を本発明の実施形態に従って使用することができる。
【0011】
本発明の実施形態に従い、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール102は、たとえば定格Power Class 2のBluetooth Specification2.1のように、周知のBluetooth仕様に従うような、比較的短距離の無線周波数モジュールを含む。しかしながら、BluetoothおよびワイヤレスHART(登録商標)間にコマンド構文および信号の整合性がないため、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール102がBluetooth仕様に従って通信する能力では、ワイヤレスフィールドデバイス104とワイヤレスで相互作用することはできない。したがって、本発明の実施形態は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール102と双方向に通信し、かつワイヤレスフィールドデバイス104と双方向に通信するために、一般的にアダプタ114を用いる。以下に更に詳細を記載するごとく、アダプタ114は、ワイヤレスHART(登録商標)プロトコルのような少なくとも1つのワイヤレスプロセス通信プロトコルに従う通信と同様に、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール102の比較的低出力無線周波数通信に従う通信のための、ハードウェア、ソフトウェアまたはその両方での適応を含む。アダプタ114はハンドヘルドフィールドメンテナンスツール102およびワイヤレスフィールドデバイス104の両方とワイヤレスで通信するので、そのどちらの装置にも物理的な接続を必要としないことを当業者は認めるであろう。したがって、アダプタ114は、単に技術者がフィールドメンテナンス中に携帯するモジュールであると考えられる。加えて、直接的なワイヤレスHART(登録商標)通信能力を有するハンドヘルドフィールドメンテナンスツールを提供することがアダプタ114の必要性を取り除くので、このことは、技術者によって現在使われている、Bluetoothプロトコルに従って通信する能力を有するだけの、従来のハンドヘルドフィールドメンテナンスツールに、ワイヤレスHART(登録商標)フィールドデバイスと通信する能力を与えない。さらに、Bluetooth仕様が比較的標準化された通信を提供するので、単一のハンドヘルドフィールドメンテナンスツールを経て現在存在するかまたは後で開発されうる、種々の異なるワイヤレスプロセス通信プロトコルに従って通信するために、多数のアダプタ114を用いることができると考えられる。このため、適切なアダプタ114と併用して使われる場合に、ワイヤレスプロセス通信アダプタの提供によって、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール102を基本的に汎用ワイヤレスコンフィグレータとして、ある程度は使うことができる。本発明の実施形態に従って使うことができる他の適切なワイヤレスプロセス通信プロトコルの例は、Instrument Society of Automationによって維持されるISA−SP100.11aプロトコル、または他の任意の適切なワイヤレスプロセス通信プロトコルを含む。最後に、Bluetooth仕様に加えて、アダプタ114は、たとえばWLANプロトコルのIEEE 802.11系統に従う周知のWi−Fiプロトコルおよび/またはRFID信号プロトコルのような、任意の適切な追加的な、または代替の無線周波数通信プロトコルを同様に含むことができると考えられる。
【0012】
図3は本発明の実施形態に従うワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタの線図である。アダプタ114は望ましくは充電式電池を使用している電源内蔵式である。加えて、アダプタ114の物理的特性が、ポケット内に収まるかまたはベルトに留められるような装置であることが望ましい。さらに、潜在的に爆発性の環境中で安全を確保する助けとなるために、アダプタ114が、上記の一覧のような固有安全仕様に適合することが望ましい。
【0013】
ワイヤレスプロセス通信アダプタ114は、少なくとも一つのワイヤレスプロセス通信モジュール120を含む。ワイヤレスプロセス通信モジュール120の適切な例は、例えば上記に記載のワイヤレスHART(登録商標)プロトコルのような、周知のワイヤレス通信プロトコルに従って、適切な信号を発生するおよび/または受信するモジュールを含む。他の適切なワイヤレスプロセス通信標準は、ISA 100.11aに記載される。この技術は、IEEE 802.15.4−2006に従う無線回路を用いる2.4GHzの周波数でのワイヤレス通信を提案する。本発明の実施形態は、単一のワイヤレスプロセス通信モジュールを含むアダプタ114に関して記載されるが、本発明の実施形態が、複数の異なったワイヤレスプロセス通信プロトコルに従って通信を可能にする、複数のワイヤレスプロセス通信モジュールを含むワイヤレスアダプタで実施できることが明白に考えられる。
【0014】
アダプタ114は同時に、少なくとも一つの比較的低出力の無線周波数通信プロトコルモジュール122を含む。加えて、多数の異なった低出力無線周波数モジュール122を用いることができることが明白に考えられる。この種の各々のモジュールは、周知の低出力無線周波数通信プロトコルに従って通信する。この種のプロトコルの適切な例は、周知のBluetooth仕様124、IEEE 802.11 126に従う通信、および/または周知の無線自動識別(RFID)技術128で使われる通信信号プロトコルを含む。モジュール120および122の各々は、望ましくはマイクロプロセッサであるコントローラ130に接続される。ハードウェア、ソフトウェアまたはその両方での適切な適応を通して、コントローラ130は、モジュール120および122の両方を使用して、双方向に通信するように構成される。このようにして、モジュール122を経て受け取られる信号は処理され、かつこの種の信号に基づく情報をモジュール120を経て送信することができる。反対に、ワイヤレスプロセス通信モジュール120を経て受け取る信号は処理され、かつそれに基づく情報をワイヤレス通信プロトコルモジュール122を経て送信することができる。更に、多数の低出力無線周波数表示プロトコルモジュール122が使用される本発明の実施形態において、コントローラ130を、第1のプロトコルで1つの通信アダプタ122から受け取る信号を、第2のプロトコルに従って第2のモジュール122を通した通信に変換するか、もしくは適応させるように構成することができると明白に考えられる。たとえば、アダプタ114が、Bluetoothに従って通信するためのワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュール、およびWi−Fiに従って通信するためのモジュールを含む実施形態において、コントローラ130は、BluetoothおよびWi−Fi装置間の通信を変換するか、またはそうでなければブリッジするのに適している。
【0015】
「全てに」と表示される矢印134によって示されるように、アダプタ114は、アダプタ114の他の全ての構成要素に接続しているパワーモジュール132を含む。電源モジュール132は、望ましくは充電式電池であるが、アダプタ114を作動するために適切な電力を蓄積するか、発生するかまたは、調節することが可能である任意の適切な電源でありうる。
【0016】
本発明の実施形態は、同様に、図3の局部透視図において図示される任意のまたは全ての特徴を含むことができる。特に、本発明の実施形態は、コントローラ130およびUSBポート136に接続する外部装置間の、ユニバーサルシリアルバス通信標準に従う通信を容易にするために、ユニバーサルシリアルバス(USB)モジュール135を使用するアダプタ114を含むことができる。加えて、適切な装置がUSBポート136に接続されるとき、パワーモジュール132が再充電されうるか、あるいはUSBモジュール134からエネルギーを受け取ることができるように、USBモジュール134は同様にパワーモジュール132に接続する。加えて、コントローラ130が一つ以上の有線プロセス通信プロトコルに従って通信できるために、アダプタ114は、有線の端末140、142に接続する一つ以上の有線のプロセス通信プロトコルモジュール138を含むことができる。この種のモジュールの適切な実施例は、本発明の譲受人に譲渡された、2007年10月16日に出願の同時係属米国特許出願番号11/974,917に記載される。更に、本発明の実施形態は、コントローラ130に接続するGPS受信機モジュール144を有するアダプタ114を含むことができる。GPS受信機モジュール144は、任意の周知のGPS技術に従うことができ、かつ周知の技術に従ってアダプタ114の位置情報を提供することができる。更に、GPS衛星は非常に正確な時間基準を与えるので、GPSモジュール114を、モジュール114の時間基準に設定するために、あるいは同期させるために用いることができる。最後に、GPSモジュール144は、衛星システムによって示される位置および既知の固定位置の差を送信するために、固定された地上の基準局のネットワークが使われる、周知のディファレンシャルGPS技術に従って作動することに適している。
【0017】
コントローラ130は、例えばBluetooth124またはUSB134のような選択された接続を経由して、ファームウェア/ソフトウェアをアップグレードすることを容易にするように望ましくは構成される。加えて、この種のファームウェア/ソフトウェアをアップグレードすることによって、他の、および標準が利用できるようになるにつれて、その後発達したSP100またはFoundation Fieldbusのようなプロセス通信ネットワークを、アダプタ114がより容易にサポートすることができると信じられている。
【0018】
本発明の実施形態は、Bluetooth対応ハンドヘルドコミュニケータおよびワイヤレスフィールドデバイス間の通信を容易にすることに関して記載されているが、当業者は、ワイヤレスプロセス通信プロトコルに従う通信のために、ワイヤレス通信プロトコル124、126、128に従う任意の装置からの通信が変換されるか、もしくは適応させられる、本発明の実施形態を実施することができると認めるであろう。このように、ラップトップPCまたは任意の適切なBluetooth対応ホストデバイスのようなコンピュータは、ワイヤレスフィールドデバイスへのワイヤレス通信を備えることができる。
【0019】
本発明の実施形態に従ってワイヤレスプロセス通信アダプタを提供することは、多くのフィールドメンテナンス業務を容易にする。この種の業務は、ワイヤレスフィールドデバイスの配置、較正、テストおよびトラブルシューティングを含む。
【0020】
目的とする測定および適用のために構成されるべき多くの変数を有するフィールドデバイスは、一般に、複雑でありえる。保守要員の通常の責任は、フィールドデバイス変数を検査し、適切な構成ツールを有するフィールドデバイスに必要な変更を加え、かつ検査前および検査終了後の装置構成および校正データを「校正前(as found)」および「校正後(as left)」として文書化することである。このデータは、測定値に関する情報、フィールドデバイスの状態、および装置構成を含むことができる。その後、この「校正前/校正後」データは、携帯型ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールに蓄積されることができ、または後で参照するために、装置データベースまたはアセットマネージメントソフトウェアパッケージに1つのまたは他の手段で転送されることができる。
【0021】
歴史的に、フィールドデバイスからデータを得ることは、装置を適切なフィールドメンテナンスツールに物理的に接続するか、または、最も過酷な場合においては、作業台で必要な詳細を検査するために、プロセスからフィールドデバイスを取り外すことを意味した。目的とするデータにアクセスするためにフィールドデバイス端子に物理的接続を行うことは、フィールドデバイスの位置および取付けによっては困難であることができるか、または安全性の理由で工場内で装置を開くことができないために、全く不可能であることができる。本発明の実施形態に従って、ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタは、ワイヤレスフィールドデバイスから、望ましくは本質的に安全であるハンドヘルドフィールドメンテナンスツールへの信号の転送を可能にする。更に、ワイヤレスフィールドデバイスのための「校正前/校正後」データを決定および/または記録するために、信号を、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールからワイヤレスフィールドデバイスまたはワイヤレスネットワークに転送することができる。ワイヤレスプロセス通信アダプタによって変換される信号は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールからワイヤレスフィールドデバイスへの要求であるか、またはワイヤレスフィールドデバイスからのデータでありうる。
【0022】
1つの実施例に従って、アダプタ114は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの有線の端末に、有線のプロセス通信モジュール138および端末140、142によって物理的に接続されることができる。したがって、この種の実施形態では、ワイヤレスフィールドデバイスのための「校正前/校正後」データを決定するおよび/または記録するために、アダプタ114は、端末140、142を経てハンドヘルドフィールドメンテナンスツールから信号を受け取って、かつワイヤレスフィールドデバイスにワイヤレスHART(登録商標)通信を発生させる。したがって、本実施例において、アダプタ114は、ワイヤレスHART(登録商標)能力があるフィールドデバイスまたはネットワークからのワイヤレスHART(登録商標)信号を、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールによって処理されることができる HART(登録商標)信号に変換あるいは適応する。
【0023】
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールが、例えばBluetoothのような比較的低出力無線周波数通信プロトコルに従って通信する能力を有することができる他の実施形態において、アダプタ114は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールまたはワイヤレスフィールドデバイスのいずれかに物理的に接続する必要がない。本実施例において、アダプタ114は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールからのBluetooth信号を、その後ワイヤレスが使用可能なフィールドデバイスまたはプロセス通信ネットワークに送信される、たとえばワイヤレスHART(登録商標)のようなワイヤレスプロセス通信信号に変換する。アダプタ114は同様に、ワイヤレスが使用可能なフィールドデバイスまたはネットワークからのワイヤレスプロセス通信信号を、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールによって処理されることができるおよび/または蓄積されることができるBluetooth信号に変換する。望ましくは、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールおよびアダプタ114の両方は、上記で記載されるような固有安全仕様に適合するように構築される。
【0024】
図4は、本発明の実施形態に従って、ワイヤレスフィールドデバイスと関連して「校正前/校正後」データを決定するおよび/または記録する方法のフロー図である。方法200は、ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタがハンドヘルドフィールドメンテナンスツールに接続するブロック202から始まる。ブロック202において達成される接続は、物理的接続204か、またはBluetoothペアーリング206を経由するかのどちらかで実行されることができる。これらの技術の各々は、上記に記載されている。方法200は、技術者が校正前/校正後データのための要求を生成するためにハンドヘルドフィールドメンテナンス装置と相互作用をするブロック208で続く。次に、ブロック210で、校正前/校正後データを決定するおよび/または記録するために、ハンドヘルドフィールドメンテナンス装置は、ワイヤレスフィールドデバイスと通信するようにワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタと相互作用をする。加えて、測定に関連する任意の適切な追加情報、ワイヤレスフィールドデバイスの状態、装置構成、または他の任意の適切な情報を蓄積することができる。追加情報は、GPSセンサによって示されるワイヤレスフィールドデバイスの場所の表示と同様に、時刻および/または日付の刻印を含むことができる。方法200は、校正前/校正後データが蓄積されるブロック212で続く。図4に示すように、このデータの蓄積は、ブロック214で示されるようにハンドヘルドフィールドメンテナンスツール上にあることができるか、またはブロック216で示されるようにデバイスデータベースまたはアセットマネージメントソフトウェアパッケージを経由する。
【0025】
本発明の実施形態に従うワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタによって非常に容易になる他の通常のメンテナンス業務は、ループおよびプロセス通信部分の証明試験である。保守要員の通常の責任は、そこに取り付けられたフィールドデバイスが正しく配線されていること、配線が完全で正確であること、電源が利用可能であること、および警報が適切に取り付けられて要求どおり構成されていることを証明するために、制御ループまたは制御部分の「証明試験」を行うことである。この証明試験は、ハンドヘルドコミュニケータを用いて、または、例えば計器、記録計、またはプロセス通信ループの警報のような他のフィールドデバイスを試験するための種々のフィールドデバイスから、必要とする応答を強制的にひきだすのに必要なソフトウェアを有するラップトップPCのようなハンドヘルドフィールドメンテナンスツールを用いて、多くの場合実施される。
【0026】
歴史的に、携帯型フィールドメンテナンスツールで証明試験を行うことは、制御室からの物理的接続で、または工場または現場で、フィールドデバイスまたはプロセス通信ループにアクセスすることを必要とした。現場でこの種の試験を行うことによって、技術者がループの他の装置から目的とする応答(例えば計器表示または音声警報)を検査することができる。しかしながら、物理的接続を作ることは、ループのアクセスポイントの位置によっては、困難か、または時間がかかりうる。
【0027】
本発明の実施形態に従って、例えば装置が正しく取り付けられていること、配線が完全で正確であること、電源が利用可能であること、および警報が適切に取り付けられて要求どおり構成されていることを証明するための、制御ループまたは制御部分の「証明試験」を行うために、信号は、望ましくは本質的に安全であるハンドヘルドフィールドメンテナンスツールから、フィールドデバイスまたはプロセス通信ループのゲートウェイに転送することができる。
【0028】
1つの実施例において、アダプタ114は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの有線の端末に、物理的に接続する。たとえば、端末140、142は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールの端末に、物理的に接続することができる。その後、アダプタ114は、有線のプロセス通信モジュール138を使用して、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールからの有線のHART(登録商標)信号を、ワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュール120を経由してワイヤレスフィールドデバイスに送信することができる信号に基本的に変換する。アダプタ114は同様に、ワイヤレスが使用可能なフィールドデバイスまたはゲートウェイからのワイヤレスプロセス通信信号を、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールによって処理可能なプロセス有線信号に変換するか、もしくは適応させることができる。望ましくは、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールおよびアダプタ114の両方は、少なくとも一つの固有安全仕様に従って構築される。
【0029】
他の実施形態では、アダプタ114を、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールから間隔を置いて配置することができる。本実施例において、アダプタ114は、たとえばハンドヘルドフィールドメンテナンスツールからのBluetooth信号のような低出力無線周波数信号を受信し、かつ適切な配置および/またはソフトウェア命令を使用して、コントローラ130はこの種の信号を適切なワイヤレスプロセス通信信号に変換することができる。たとえば、Bluetooth信号を、ワイヤレスHART(登録商標)信号に変換することができる。これらのワイヤレスプロセス通信信号を、ワイヤレスが使用可能なフィールドデバイスまたはゲートウェイに送信することができる。アダプタ114は同様に、ワイヤレスプロセス通信信号をハンドヘルドフィールドメンテナンスツールで処理可能なBluetooth信号に変換するように構成される。
【0030】
他の実施形態では、アダプタ114は、ループ試験および/または部分試験を実行するために必要なソフトウェアを走らせているBluetoothが使用可能なコンピュータに物理的に接続されるか、またはそれから離れていてもよい。本実施例において、アダプタ114はコンピュータからのBluetooth信号を、例えばワイヤレスHART(登録商標)信号のようなワイヤレスプロセス通信信号に変換し、その後、ワイヤレスが使用可能なフィールドデバイスまたはゲートウェイに送信される。ワイヤレスが使用可能なフィールドデバイスまたはゲートウェイからのワイヤレスプロセス通信信号がアダプタ114によってコンピュータで処理可能なBluetooth信号に変換できるという点で、アダプタ114はまた、逆方向にも作動する。
【0031】
さらに別の実施形態では、アダプタ114を、コンピュータ上のUSBポートに、物理的に接続することができる。その後コンピュータは、ワイヤレスフィールドデバイス上でループ試験および/または部分試験を実行するための適切なソフトウェアを実行する。本実施形態において、アダプタ114は、USBモジュール134を経て受け取る通信を、ワイヤレスプロセス通信モジュール120を通して送信するための適切なワイヤレスプロセス通信信号に変換する。モジュール120から受け取るワイヤレスプロセス通信信号をモジュール134経由でコンピュータに渡すことができるという点で、アダプタ114はまた、逆方向にも作動する。加えて、アダプタ114がGPSモジュール144を含む実施形態で、ループ試験および/または部分試験を、アダプタ114の場所と関連する、追加的なデータによって増やすことができる。
【0032】
図5は、本発明の実施形態に従う、ワイヤレスプロセス通信ループおよび/または装置の、ループテストおよび/または部分テストを行う方法のフロー図である。方法250は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールまたは適切な計算装置がワイヤレスプロセス通信アダプタに接続するブロック252から始まる。この接続は、例えばプロセス有線接続(256)を使用するか、またはUSB接続(258)を使用するように、物理的に(254)実施することができる。加えて、または代替的に、接続は、ワイヤレス260であることができる。方法250は、ループ試験/部分試験が始められるブロック262で続く。その後、ブロック264では、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールまたはパーソナルコンピュータが、ワイヤレスプロセス通信アダプタを通して、ワイヤレスプロセス通信ループおよび/または一つ以上のワイヤレスフィールドデバイスと相互作用することを実行する。一旦ブロック264の相互作用が完了すると、試験結果はブロック266で記録される。適切なデータベース、アセットマネージメントシステムまたは他の適切なソフトウェアアプリケーションへの後の転送のために、試験結果は、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツール中で記録され、および/またはワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに蓄積される。
【0033】
望ましい実施態様を参照しながら本発明を記載したが、当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源、
電源に接続するコントローラ、
コントローラに接続する低出力無線周波数通信モジュール、
コントローラに接続するワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュール、
を含むワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタであって、
コントローラが、低出力無線周波数通信モジュールから受け取る情報に基づいて、ワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールを通して通信するように構成される、ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項2】
コントローラが、ワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールから受け取る情報に基づいて、低出力無線周波数通信モジュールを通して通信するように更に構成される、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項3】
低出力無線周波数通信モジュールが、Bluetooth仕様に従って通信する、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項4】
ワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールが、ワイヤレスHART仕様に従って通信する、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項5】
電源が充電式電池である、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項6】
電源およびコントローラに使用可能な状態で接続するUSB通信モジュールを更に含む、 請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項7】
複数の端末およびコントローラの間に使用可能な状態で配置される、有線のプロセス通信プロトコルモジュールを更に含む、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項8】
有線のプロセス通信プロトコルモジュールが、HARTプロセス通信プロトコルモジュールである、 請求項7に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項9】
アダプタの地理的位置の表示をコントローラに与えるために、コントローラに接続するGPS受信機を更に含む、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテンスアダプタ。
【請求項10】
コントローラが、更新可能であるファームウェアを有する、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項11】
コントローラに接続する追加の低出力無線周波数通信モジュールを更に含む、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項12】
コントローラが、複数の低出力無線周波数通信モジュール間の信号を変換するように更に構成される、請求項11に記載のワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ。
【請求項13】
追加のワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールを更に含み、複数のワイヤレスプロセス通信プロトコルモジュールが、異なるワイヤレスプロセス通信プロトコルに従って通信するように構成される、請求項1に記載のワイヤレスフィールドメンテンスアダプタ。
【請求項14】
ワイヤレスフィールドデバイスに関連して校正前/校正後情報を決定する方法であって、
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールをワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに接続することと、
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールで校正前/校正後データのための要求を発生させることと、
要求に基づいてワイヤレスプロセス通信信号を構築し、かつワイヤレスフィールドデバイスにこの種の信号を送信することと、
ワイヤレスプロセス通信情報として、ワイヤレスフィールドデバイスから校正前/校正後データを受け取ることと、
校正前/校正後データを蓄積することと、
を含む、方法。
【請求項15】
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールをワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに接続することが、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールをワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに、物理的に接続することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールをワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに接続することが、ワイヤレスハンドシェイクプロセスに従って、2つの装置を一緒にペアーリングすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールを用いてプロセス通信ループまたは部分の保証試験を行う方法であって、
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールをワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに接続することと、
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールで保証試験を開始することと、
ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタを有する少なくとも一つのワイヤレスプロセス装置と相互作用をすることと、
保証試験結果を記録することと、
を含む、方法。
【請求項18】
ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールをワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに接続することが、ハンドヘルドフィールドメンテナンスツールをワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタに、物理的に接続することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
物理的な接続が、ワイヤレスフィールドメンテナンスアダプタ中のプロセス有線通信モジュールを経由する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
物理的な接続が、ユニバーサルシリアルバス接続経由である、請求項18に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−516649(P2012−516649A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548124(P2011−548124)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021764
【国際公開番号】WO2010/088150
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(506266023)フィッシャー−ローズマウント・システムズ・インコーポレーテッド (37)
【氏名又は名称原語表記】Fisher−Rosemount Systems, Inc.
【Fターム(参考)】