ワイヤレス圧力検出に特徴を有する医療流体注入器
【課題】注入器不良の危険性を招くことなく、信頼性をもって、シリンジに作用する圧力を監視し制御する。
【解決手段】本発明は医療流体注入器に関する。例示的注入器はシリンジのプランジャーと連結する駆動ラムを含む。駆動ラムは駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用される圧力を測定するように形成されたRF対応圧力センサを備えている。さらに、注入器は駆動ラムの圧力センサとRF通信するRF回路を含む。ある実施形態では、注入器はRF回路と電気的通信するコントローラを含む。コントローラは駆動ラムの移動を調整し、駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力(すなわち、圧力センサにより測定される圧力)を変更するように形成されている。
【解決手段】本発明は医療流体注入器に関する。例示的注入器はシリンジのプランジャーと連結する駆動ラムを含む。駆動ラムは駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用される圧力を測定するように形成されたRF対応圧力センサを備えている。さらに、注入器は駆動ラムの圧力センサとRF通信するRF回路を含む。ある実施形態では、注入器はRF回路と電気的通信するコントローラを含む。コントローラは駆動ラムの移動を調整し、駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力(すなわち、圧力センサにより測定される圧力)を変更するように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療流体注入器に関し、さらに詳しくはこの注入器と関連するシリンジに作用する圧力を監視し制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬流体注入器は、画像形成手順用に造影剤を患者に注入するのによく使用される。このような注入器は、典型的には該注入器の駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する力を制御することにより、所望の流量で造影剤を注入するように設計されている。シリンジ、チューブの損傷、及び/又はカテーテル変位を防止するために、注入器はシリンジに作用する圧力を監視し、それに従って圧力を制限するように形成されてもよい。
【0003】
現在の技術はこのような圧力を監視するのに幾つかの方法を使用している。あるものは、ラムの前端に圧力センサを必要とし、該圧力センサはワイヤを介して注入器センサ信号調整増幅回路に接続されている。圧力センサは望ましい圧力測定値を生じるかもしれないが、注入器ラムは注入中に移動するが注入器の残りは固定したままであるので、機械的難題を生じる傾向がある。圧力センサを注入器電子機器に接続するのに配線が必要である。ラムを完全ストローク移動させるのに、過剰な長さの配線を含める必要がある。配線が注入器内側の内部要素と衝突することにより、注入器不良の危険性が増加する。また、ラムの移動によりラムと注入器の間の配線接続に摩耗や圧力がかかるため、注入器の信頼性が減少する。
【0004】
圧力センサを使用する代案は、シリンジ圧力をモータ電流から引き出すことである。モータ電流は、電子ハードウェアとソフトウェアを介してシリンジ圧力に相関させてもよい。このアプローチは、注入器の一部であるモータがラムに対して静止したままであるため、圧力センサアプローチで必要とされる配線を排除する。モータ電流を測定することによるシリンジ圧力の駆動の欠点は、モータ電流がシリンジ圧力を真に反映しないし、モータ電流が圧力のほかに他の要因(例えば、摩耗、モータ効率変動)の影響を受けるので不正確であることである。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、医療流体注入器に関し、注入器により関連シリンジ(例えばプランジャー)に作用する圧力を検出するワイヤレス圧力検出に特徴を有する。本発明のある例示的態様を以下に説明する。これらの態様は、読者に本発明が採用し得るある形態の概要を提供するためのものであり、これらの態様は本発明の範囲を制限するものではないと理解すべきである。実際には、本発明は、以下に説明しない様々な態様を包含する。
【0006】
本発明の一つの特徴は、医療流体注入器に向けられている。この注入器は該注入器のプランジャーと連結(interface)する駆動ラムを有していてもよい。駆動ラムは、該駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力を測定するように形成されているRF対応圧力センサ(RF enabled pressure sensor)を有していてもよい。さらに、注入器は、駆動ラムの圧力センサとRF通信するRF回路を有していてもよい。ある実施形態では、注入器はRF回路と電気的に通信するコントローラを有していてもよい。コントローラは、駆動ラムの移動を調整し、駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力(すなわち、圧力センサにより測定される圧力)を変更するように形成されてもよい。
【0007】
本発明の他の態様は、医療流体注入器の操作の方法に向けられている。この方法では、シリンジのプランジャーは注入器の駆動ラムに係合する。この駆動ラムはRF対応圧力センサを有する。駆動ラムは圧力をシリンジプランジャーに作用させるために使用する。圧力センサはシリンジプランジャーに作用する圧力値を測定するのに使用する。この圧力値はRF受信機を含む注入器のRF回路に送信する。
【0008】
本発明の前述の態様に関して述べた特徴を種々改良してもよい。さらなる特徴は本発明の前述した態様に含めてもよい。これらの改良及び付加的特徴は個別でもよいし、任意に組み合わせてもよい。例えば、本発明の例示的実施形態に関して以下に説明する種々の特徴は、単独で又は任意に組み合わせて、本発明の任意の態様に組み入れてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面は、ここに組み入れられて本明細書の一部を構成し、本発明の例示的実施例を示すが、前述の本発明の局面の一般的説明、以下に説明する種々の例示的実施形態の詳細な説明とともに、本発明の種々の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
図1Aを参照すると、容器のライフサイクル18aの例示的実施形態は、医療流体容器例えば造影剤を収容するのに適したシリンジ20に関する。シリンジ20は、該シリンジ20が使用される設備42から離れた供給者の施設24で製造される。供給者施設24内では、シリンジ20はまず充填部28で造影剤が充填され、その後、ラベリング部32で各シリンジ20にラベル30が貼り付けられる。次に包装部でシリンジ20は個別に又は適当な発送箱34にバッチで包装され、当該発送箱34は発送/受入部38に一時的に待ち行列に入れられ、又は保管される。
【0011】
シリンジ20の注文は、例えば医療施設42内の購入事務所25、医療施設42の一部であり又は独立している診療所27のような種々の場所から受け取ることができる。さらに、注文は特定患者と関連していてもよいし、関連していなくてもよい。
【0012】
注文に基づいて、発送箱34は流通機構40に入り、種々の施設42例えば病院、画像サービスプロバイダ及び/又は他の医療施設に引き渡される。図1Aの実施例では、施設42は、病院であり、予充填シリンジ20の箱34を受け入れる発送/受入領域44を有する。ちなみに、ここで「予充填(prefilled)」とは、少なくとも医療流体を容器に配置してユーザに販売し及び/又は引き渡すよう設計された容器のことをいう。多くの場合、箱34は室46に一時的に保管さる。室46は、病院42内の薬局と関連していてもよいし、していなくてもよい。望まれるなら、箱34は準備室48に移送され、そこでシリンジ20を開封し、加温オーブン36に設置し、造影剤の温度を約体温(例えば約97°Fと約100°Fの間)まで上昇させてもよい。適当な時間で、1又は複数のシリンジ20は加温オーブン36から取り除かれ、イメージングスーツ(imaging suite)26aに運ばれ、自動液体注入器50に装着される。注入器50は造影剤を検査対象すなわち患者52に注入するように動作する。使用後、使用済みシリンジ20は自動再充填のために処理され、公知の方法で(例えば廃棄領域112)廃棄される。このため、「予充填シリンジ」の用語は準備室48及びイメージングスーツ26aから離れた位置で医療流体(例えば、造影剤)が充填されたシリンジ20を意味する。
【0013】
動物に注入される如何なる物質についても、予充填シリンジの充填、流通、準備及び使用において従うのが好ましい無規制の一般的方法はもちろん、非常に多くの規制方法がある。さらに、規制及び一般的方法は使用される造影剤のタイプに依存して異なっていてもよい。したがって、例えば充填から廃棄までの実質的に全てのステップで、ライフサイクルの間のシリンジ20の取扱いに関する相当な量のデータを生成し提供することが一般に望ましい。さらに、データはある場所例えば各充填及びラベリング部28,32から他の場所例えば各準備及びイメージングルーム48,26aに移動可能であることが一般的に好ましい。今日、そのようなデータは、シリンジ20及び/又は箱34に配置されたタイプ及び/又は手書きの情報とそれに関する手書きの記録を利用して記録され移送することが知られている。しかしながら、シリンジ20のライフサイクル中、データは、通常は統合されていないコンピュータシステムで使用され、ときには互換性のないデータベースで使用されることが望ましい。
【0014】
容器ライフサイクル18aの全ての段階の任意の部分で利用することができる共通データ獲得保管システムを各シリンジ20に提供するために、無線周波数認識装置(「RFID」)のタグ及びリーダのシステムが使用される。
【0015】
RFIDベースのシステムの目的は、タグとして公知のトランスポンダにデータを移送し、該データを適当な時間と場所において機械読み取り手段により引き出し、特定の適用要求を満足させることである。したがって、タグ又はトランスポンダは典型的にはRF駆動回路と関連アンテナを含んでいる。RF駆動回路は、データを記憶し必要な復調及び妥当な場合には変調機能を実行することができるプログラマブルプロセッサと関連メモリを有する集積回路チップをよく利用している。タグ内のデータはシリンジの寿命の間有用な予充填シリンジに関する任意の様式の情報を提供してもよい。RFIDシステムは、データをコンピュータ又は情報管理システムに授受する手段はもちろん、タグからデータを読み取り、ある場合にはタグにデータを書き込む手段を含むことが好ましい。このように、RFIDシステムはタグシステムは、様々な時間に様々な場所でタグにデータを書き込み、タグからデータを読み取る汎用性を有していることが好ましい。
【0016】
無線通信は、タグとリーダの間でデータを移送するのによく使用されている。このような通信は電磁波例えば高周波をタグとリーダの両方に存在するアンテナ構造により伝搬することに基づいている。RFIDタグととともに、共通アンテナ又は個別アンテナのいずれかを使用して、タグからデータを読み取り、タグにデータを書き込むことが知られている。閉ループ、開ループ、ストリップライン、ダイポール及び/又は他のアンテナを使用してもよい。さらに、RFIDタグは、受動的すなわち独立電源がなくてもよいし、能動的すなわちバッテリーのような電源を備えていてもよい。ここに記載の分野では、特定のアンテナ形態の選択と、能動的又は受動的RFIDタグを使用するか否かは、アプリケーション依存であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0017】
供給者施設24で実施されるシリンジ製造方法の例示的な実施形態が、図6に示されている。まず、502では、充填部28でシリンジ20に造影剤22を充填する。その後、504では、ラベリング部32で人間が読み取り可能な及び/又は機械が読み取り可能な印(indicia)を含むラベル30をシリンジ20に貼り付ける。ラベリング行程の一部として、RFIDタグ60をシリンジ20に取り付ける。RFIDタグ60はTFIDチップと関連アンテナ例えば図5Aに示すようなRFIDチップ212とアンテナ210を公知の方法で組み込む。RFIDタグ60はラベル30の一部であってもよいし、ラベル30と別個であってもよい。図2A−2Dに示すように、RFIDタグはシリンジ20上の任意の適当な位置に取り付けることができる。例えば、図2Aに示すように、RFIDタグ60はシリンジフランジ56の後面55に取り付けることができるし、図2Bに示すように、RFIDタグ60はシリンジの外周円筒面57に取り付けることもできる。図2Cに示す他の実施形態では、シリンジ20を注入器のパワーヘッドに装着する前に、RFIDタグ60をシリンジ20から剥がし、注入器に取り付けることができる。シリンジ20を注入器パワーヘッドから取り外すと、RFIDタグはシリンジ20に再度取り付けられる。図2Dに示すさらに他の実施形態では、RFIDタグ60は、プランジャー59の後面58に取り付けることができる。プランジャー59は成型材料63により覆われたコア61を有していてもよい。RFIDタグは、種々の位置65a,65b,65c等で、プランジャー構造に取り付け、又は一体化することができる。図2Dに示すように、RFIDタグは、シリンジ20の先端から延びる排出延長部(例えばノズル)に60´で示すように取り付けてもよい。又は、60"で示すようにRFIDタグはシリンジ20の前壁(例えば傾斜前壁)に取り付けることができる。
【0018】
図1Aの供給者設備24内には、リード/ライト(「R/W」)装置62がラベリングコンピュータ64に接続され、506(図6)で、RFIDタグ60に造影剤又は他の薬剤、関連の予充填シリンジ又は他の容器20に関するデータを書き込むように動作可能である。RFIDタグ60に書き込むことができるデータは、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−特殊容器識別番号
−暗証番号を提供することができるR/W装置にRFIDタグへのアクセスを制限する暗証番号
−容器に充填された薬剤の容量
−容器内の全有効容量及び/又は有効容量の物理的寸法
−容器内の薬剤の識別又はタイプ
−薬剤の濃度
−薬剤の化学式
−製造データ
−工場、製造ライン、充填部機械の識別及び/又は容器と関連するバッチ番号
−容器が充填された日と時間
−薬剤の有効期限及び/又は日時、及び/又は貯蔵期間
−NDCコード
−1又は1以上のベンダー特定在庫コード、例えばSKUコード
−容器が充填された国の識別
−容器及び/又は容器包装の識別
−供給者の製品プロモーション及び/又はクーポン、及び/又はインターネットリンク
−容器の使用が意図されている自動注入器の最新の推奨ソフトウェア
【0019】
その後、508で、シリンジ20は発送箱34に積み込まれ、510で、箱34は発送/受入部38に在庫として保管される。受け取った注文に基づいて、512で示すように、箱34はさらに顧客に発送するためにケース又はバッチ67にまとめられ、パレットに載せられる。個々の発送箱34又は該箱の統一されたケース又はバッチ67にラベル66を選択的に貼り付けることができる。ラベル66は人間が読み取れる、又は機械が読み取れる印を含めることができ、及び/又はRFIDタグとすることができる。このような印又はRFGIDタグデータは、供給者の識別、製品、製品有効期限及び包装を含むが、これらに限定されない。包装コードは包装が単一シリンジか、1箱のシリンジか、1ケースのシリンジかを識別する。発送用に1つの箱34又はバッチの箱34を準備する際に、箱34内のシリンジ20上のRFIDタグ60からデータを読み取り、又は該RFIDタグ60にデータを書き込むのに、発送コンピュータ70に接続されたR/W装置68を使用してもよい。さらに、適用可能であれば、R/W装置68は、ラベル66と関連するRFIDタグからデータを読み取り、また該RFIDタグにデータを書き込むのに使用してもよい。このように発送コンピュータ70は、パラメータ例えばシリンジのタイプ、造影剤のタイプ、造影剤濃度などを識別することができ、またこれらのパラメータが特定の注文の仕様と一致することを確認することができる。R/W装置68は、シリンジ20上のRFIDタグ60、及び/又はラベル66上のRFIDタグに、次のものを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
−顧客の識別
−仕入送り状及び追跡番号
−購入及び/又は発送日
−顧客特定市場データ
−顧客により所有される自動注入器の顧客特定最新ソフトウェア
【0020】
次に、箱34は流通機構40に入り、病院42のような撮像施設の受入部44に受け入られる。シリンジ保管準備工程の例は図7に示されている。箱34を受け入れると、発送受入コンピュータ74に接続されたR/W装置72は、602で、シリンジRFIDタグ60及び/又は発送箱RFIDタグ66を読み取る。図3Aに示すように発送/受入コンピュータ74は読取りデータを在庫データベース76に記憶する。発送/受入コンピュータ74は、通信リンク例えばイーサネット(登録商標)LAN等を介して、病院管理コンピュータ78及びその他のコンピュータに接続され、1又は1以上のバージョンの在庫データベース76は如何なるコンピュータにおいても維持される。このように、受入コンピュータ76,又は他のコンピュータは、引き渡されたシリンジが病院購入注文と一致するか否かを確認することができ、また適用可能であれば、請求書の支払いを自動的に許可することができる。さらに、発送/受入コンピュータ74を介して、箱34内のシリンジRFIDタグ60は、604で以下のものを含がこれに限定されないデータを更新することができる。
−容器が受入られた時間と日
−病院SKUコード
−医者関連情報
−患者関連情報
−保管室又は他の保管領域の識別
−薬剤が使用される特定準備室及び/又はイメージングスーツの識別
−使用される特別自動注入器の識別
【0021】
その後、606で、箱は室46に引き渡される。図3Aと1Aに示すように、室46内では、コンピュータ79に接続されたR/W装置77は、シリンジRFIDタグ60を読み取り、コンピュータ79内のデータベースを更新するのに使用することができる。さらに、又は代案として、図3Aに示すように、コンピュータ79は、通信リンク80を介して、管理コンピュータ78内の在庫データベース76を更新するのに使用することができ、これにより発送/受入領域44から室46へのシリンジの引渡しを確認することができる。
【0022】
通信リンク80は、標準PCベース通信プロトコル、例えばBLUETOOTH、IrDA、ZigBee、802.11b/g、その他の同等な有線又は無線接続を使用するイーサネット(登録商標)、USB、RS―232、RS―422又は他のインターフェースにより実行してもよい。
【0023】
その後、発送箱34を室46から準備室48に移動する指示が与えられる。R/W装置77は、606でRFIDタグ60を読み取り、所望のシリンジを収容する箱34を見つけるのに使用される。さらに、RFIDタグを読み取ることにより最も古い在庫を認識することができる。(造影剤は貯蔵寿命(shelf life)を有しているので、先入れ先出し在庫手順に従うのが適しているかもしれない。)その後、608で、認識された発送箱34は準備室48に引き渡される。
【0024】
準備室48では、シリンジ20は箱34から取り出され、加温器36に設置され、造影剤を約体温までもってゆく。図1A、3A及び4に示すように、R/W装置81はユーザインターフェース86を有する加温器コントローラ82に接続されている。加温器コントローラ82は、イメージング情報システム87に電気的に接続され、該イメージング情報システム87は通信リンク80に接続され、そしてこれにより病院42の他のコンピュータに接続されている。加温器36にシリンジを設置すると、R/W装置81は610でそれぞれのRFIDタグ60を読み取り、図3Aに示すように、シリンジ20に関するデータをイメージング情報システム87のワークインプロセス(work-in-process)データベース84に伝送する。さらに、又は代案として、イメージング情報システム87は通信リンク80を介して、在庫データベース76を更新するのに使用することができ、これにより他のコンピュータは加温器36においてシリンジRFIDタグ60に書き込み、またシリンジRFIDタグ60から読み取った情報を追跡することができる。R/W装置81は各シリンジ20が加温器36に設置された時間と日を各RFIDタグ60に書き込んでもよい。さらに、技術者がユーザインターフェース86を介して特定の造影剤を要求すると、加温器コントローラ82は、ユーザインターフェース86を介して、加温器36の内側の特定のシリンジ例えば長時間加温器に有ったシリンジを技術者に認識させることができる。(造影剤が制限された貯蔵寿命を有するだけでなく、加温器36で過ごした時間も限定すべきである。したがって、加温器36の中の在庫は先入れ先出しベースで取り扱ってもよい。)612で加温器からシリンジ20を取り出すと、R/W装置81は各RFIDタグ60に時間と日を書き込み、取り出されるシリンジを識別するデータを読み取る。ワークインプロセスデータベース84と他のデータベースは、適切に更新される。加温器コントローラ82は、正しいシリンジが取り出されたことを、ユーザインターフェース86を介して技術者に確認する。
【0025】
図1A,3A,4及び5Aを参照すると、1又はそれ以上のシリンジ20a、20bはイメージングスーツ26aに運ばれ、それぞれ、公知の方法で自動流体注入器50のパワーヘッド90に取り付け可能であるマウント又はフェースプレート88a、88bの一方又は両方に装着される。例示的な注入器は、米国特許出願第10/964003号に示され記載されており、その全体は参照することでここに組み入れる。ここで説明するパワーヘッド90は2重ヘッド注入器であるが、本発明の実施形態は単ヘッド注入器も明示的に企図している。適切な単ヘッド注入器は米国特許第5300031号に示され、その全体は参照することでここに組み入れる。
【0026】
注入器が複数のシリンジを受け入れる図示された適用では、約200mlの容量を有するユーザ充填シリンジがフェースプレート88aの圧力ジャケット250に装着可能である。さらに、約90ml又はそれ以上の容量を有する予充填シリンジがフェースプレート88bに装着されてもよい。注入器パワーヘッド90は手動操作ノブ95a、95bを有し、これらは注入器制御回路を介して動作可能であり、各プランジャードライブ95a、95b内のモータを制御する。プランジャードライブ95a、95bは各シリンジ20a、20b内のプランジャーを公知の方法で移動するように動作可能である。パワーヘッド90及び注入器コントローラ93の例示的動作は、米国特許出願第10/964002号に示され記載されており、その全体は参照することでここに組み入れる。さらなる例示的動作は米国特許第5662612号,第5681286号、第6780170号に記載されており、それらの全体は参照することでここに組み入れる。図3Aに示すように、注入器コントローラ93は通信リンク80を介して病院情報システム78に電気的に接続され、及び/又は通信リンク80に関して前述したような技術を使用する通信リンクによりイメージング情報システム87に電気的に接続されてもよい。
【0027】
注入器パワーヘッド90は、ユーザインターフェース94、例えば、注入器50の現在状態及び動作パラメータを表示するタッチスクリーンを有している。パワーヘッド90は車輪付スタンド100によく装着され、これによりパワーヘッド90を検査対象52の近傍に容易に位置決めすることができる。注入器50は、遠隔配置されたコンソール96を有し、リモートユーザインターフェース97、例えば、タッチスクリーン、電源98、その他のスイッチ及び部品(不図示)を備えている。コンソール96は、プログラムを入力し、遠隔地から公知の方法で注入器50の動作を制御するために、オペレータにより使用されてもよい。注入器コントローラ93の部品はパワーヘッド90に組み込んでもよいし、電源98又はコンソール96のような注入器の他の要素に組み込んでもよいし、これらの要素の間に分配してもよい。
【0028】
フェースプレート88bは、印刷回路(PC)基板102に装着されたヒータ106を支持する外方に延びるクレードル99を有している。ヒータ106は、ケーブル又はコネクタを介して注入器コントローラに電気的に接続され、シリンジ20bを加熱するのに公知の方法で動作可能である。PC基板102はさらにR/W装置104bと関連のアンテナ装置229bを支持している。R/W装置104bはまた注入器コントローラ93とコンソール96に電気的に接続されている。さらに、R/W装置104bは、注入器コントローラ93により起動して、各シリンジ20bのRFIDタグ60からデータを読み取ってもよい。データは、シリンジ20bが各フェースプレート88の近傍にあるときに、任意の特定の時間に、RFIDタグ60bに書き込み、及び/又はRFIDタグ60bから読み取ってもよい。このように、本システムは、シリンジ20a、20bが各フェースプレート88a、88bに装着されたときを決定する能力を有する。データは符号化され、該データとデータ転送は21CFR11,JCAHO,及びHIPAAの要求に従ってもよい。
【0029】
イメージングスーツ26a内のシリンジ20bを利用するプロセッサ一例が、図8に示されている。この例は、フェースプレート88bに装着されたシリンジ20bに関して主として記載されているが、この記載はフェースプレート88aに装着されたシリンジ20aにも同様に適用可能である。この記載はさらに、造影剤が両シリンジ20a、20bから連続的に又は同時に分配される注入工程にも適用可能である。2つのシリンジ内の混合造影剤及び/又は造影剤と塩水の所望の濃度を達成するために、制御され選択された流量で両シリンジからの同時分配を行ってもよい。
【0030】
図8の工程を参照すると、まず、702で、R/W装置104bを起動して、造影剤又は他の薬剤及びその関連の予充填シリンジ又はその他の容器20bに関するRFIDタグ60bに記憶されたデータを読み取る。704で示すように、情報は以下のものを含むが、これらに限るものではない。
−容器識別及び/又は製造番号。これは、以前に使用された容器のデータベースと照合され、必要に応じて容器の潜在的再使用を阻止する。
−容器安全コード。これは、使用する注入器の安全コードと合致していてもよい。
−技術者が注入器を設定するのを支援するための容器容量及び容器引き渡しに関する情報。
−より正確なリアルタイム容量分配制御を行うための容器容量及び/又は寸法情報。
−選択されたプロトコルに対して正確か否かを確認するための薬剤タイプ及び濃度データ。
−容器及び/又は薬剤を呼び戻しデータ(recall data)と照合するのに使用することができるID、バッチ及びロット番号
−貯蔵寿命データ及び充填日。これは、推奨貯蔵寿命を超えたか否か決定するために、現在日と比較される。
【0031】
R/W装置104bはまた、現在日時をRFID装置80bに書き込み、制限されたシリンジ20bの大気開放時間の追跡ができるようにする。造影剤注入工程の間、シリンジプランジャーの変位は、RFIDタグ60bから読み取られた利用可能なシリンジ容量及び/又は寸法に関するデータに従って、正確に制御される。さらに、プランジャーの送り量が追跡され、シリンジに在留する造影剤を連続的に決定することができる。
【0032】
フェースプレート88a、88bは注入器コントローラ93との双方向通信リンクを有し、シリンジ20a、20bと注入器コントローラ93との間の上記情報のいずれかを伝送するのに使用することができる。このように、注入器コントローラ93は、シリンジ及び薬剤情報を有し、これらは手順の設定を促進する結果、時間が節約され、過誤が減少する。さらに、注入器コントローラ93は、シリンジ情報には直接関係がない他の情報をフェースプレート88a、88bから読み取り、又はフェースプレート88a、88bに書き込んでもよい。この例として以下のものを含むが、これらに限定されない。
−フェースプレート電子回路の許可又は不許可
−造影剤加温用のフェースプレートの加熱
【0033】
図8のステップ706では、造影剤はある手順と関連して使用される。図4に示すように、造影剤の注入前、注入中及び注入後、技術者は仮線で示すようにCTスキャナ103bに患者105を走査させるのに有効であるCTスキャナコントローラ101を操作する。注入器コントローラ93は、CTスキャナコントローラ101用の公知のインターフェースであるCAN通信バス111への1又は複数のインターフェースを有していてもよい。プロトコルはスキャナ製造者により規定される。データと、注入器とスキャナ間のデータ移動は、21CFR11、JCAHO及びHIPAAの要求に従う。
【0034】
図8に戻ると、706に示すように、注入器コントローラ93とCTスキャナコントローラ101の間のデータ転送は、双方向であり、造影剤又はその他の薬剤及びその関連の予充填シリンジ又は他の容器20bに関するものでもよい。そのようなデータは、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−薬剤ブランド名、濃度、ロット番号
−薬剤失効データ、容量
−注入容量、流量(達成、目標)
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−容器の使用又は不使用状態
−CTスキャナ設定及び手順情報
−CTスキャナID及び/又は製造番号
−CY画像
−病院情報システムデータ
−注入器機能制御
−CTスキャナ機能制御
【0035】
注入器コントローラ93が所望の容量の造影剤が供給されたことを決定すると、注入工程は停止する。注入工程の終わりに、図8に708で示すように、注入器コントローラ93は注入された造影剤の実際容量を決定するように動作可能であり、注入器コントローラは、以下のものを含むがこれらに限定されないデータと情報を、RFIDタグ60bに書き込み、及び/又は画像情報システム87を更新する。
−注入工程が終了した日時
−注入された容量、流量(達成、目標)
−容器に残留した薬剤の容量
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−シリンジの使用又は不使用状態
−CTスキャナ情報
【0036】
図4に示すように、注入器コントローラ93は、通信リンク107をハードコピープリンタ109に提供するインターフェースを有している。プリンタ109は、熱、インクジェット、レーザをベースにしたプリンタであってもよいが、これらに限定されるものではない。プリンタ109は、ユーザ、CTスキャナコントローラ101、病院情報システム78、又は注入器コントローラ93の要求により、特定の時間に、種々のサイズと色のページ及び/又はラベルを印刷するのに使用してもよい。ラベルは、患者記録、請求書、又は他の書式の一部を形成してもよい。データ出力及びデータ転送は、21CFR11、JCAHO、及びHIPAAの要求に従ってもよい。
【0037】
図8に戻ると、710で示すように、ラベル又はページは、造影剤又は他の薬剤、関連する予充填シリンジ又は他の容器20b、及びその使用に関する情報を提供するように、印刷されてもよい。このような情報は以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−薬剤ブランド名、濃度ロット番号
−薬剤失効日、容量
−注入容量、圧力、流量(達成、目標)
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−シリンジの使用又は不使用状態
−グラフ又はチャート、例えば圧力、流量等
−CTスキャナ情報
−CTスキャン情報
−技術イニシャル(tech initial)、図面等のための空欄又はブランク
【0038】
このように上記情報のいずれかは、注入器コントローラ93と病院情報システム78の間で交換することができる。この可能性に対する潜在的使用は以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−患者記録中の注入造影剤の容量及び他の手順情報を含む電子機器
−供給者の電子再注文
−自動請求書作成
−自動スケジューリング
【0039】
注入工程後、注入器コントローラ93は、RFIDタグ60bに書き込んで、シリンジ20bの再使用を防止するのを支援するシリンジ使用フラグを設定する。次にシリンジ20bはフェースプレート88bから取り外される。手順が失敗し、シリンジが使用されなければ、加温器36に戻すことができる。このプロセスでは、情報は前述したように、RFIDタグ60bから読み取られ、及びRFIDタグ60bに書き込まれる。さらに、画像情報システム87は、シリンジの大気開放時間を追跡して、ある大気開放時間を超えると技術者に警告することができる。
【0040】
フェースプレート88bから取り外されたシリンジ20bが空であれば、シリンジは典型的には廃棄領域112に輸送される(図1A,3A,4)。そして、廃棄前に、他のコンピュータ75の一つに接続された他のR/W装置114はRFIDタグ60bを読み取る。在庫データベース76はこのように破壊されるシリンジ20の識別を追跡することができる。さらに、シリンジ廃棄情報は、図3Aに示すように通信リンク118を介して、例えばインターネット83、電話回線、又は他の互換性のある優先又は無線接続を介して、供給者コンピュータ116に通信することができる。
【0041】
他の実施形態では、空のシリンジは、破壊される代わりに、さらなる処理のために、例えば廃棄又は再充填のために、供給者24に戻される。後者の実施例では、シリンジ20は病院発送/受入領域44を通過し、RFIDタグは病院を離れるシリンジを識別するために再度読み取られる。これに伴い在庫データベース76が更新される。供給者発送/受入領域38に入ると、RFIDタグ60bは再び供給者在庫データベース120を更新するために読み取られ、供給者施設内のシリンジを追跡する。シリンジ20のRFIDタグ60bは、シリンジが供給者によって破壊され、再調製され、再充填されるか否かに基づいて、更新され、又は置換される。
【0042】
ここに示され記載されたシステムでは、注入器コントローラはCT手順を通しての情報収集と転送を容易にする。RFID許可シリンジは、薬剤情報の自動転送はもちろん、より迅速で正確なデータ記録を行う。プリンタは患者又は病院記録に組み入れられる選択情報のハードコピーができる。CTインターフェースはCANを介して、CTスキャナシステム又は注入器のいずれか一点での情報の流れと収集を促進する。病院情報システムインターフェースは、この情報の流れを一段と向上し、ユーザ介入が最小のオール電子化システムを潜在的に構築する。これは過誤の減少及びCTスキャニングスーツの効率化を提供する。
【0043】
他の例示的実施形態では、時折、フィールドエンジニアは、例えばルーチンメンテナンスのため又は不良動作を診断するために、自動注入器にサービスコールを行う。このようなサービスコールの間、フィールドエンジニアは、電気ジャンパを注入器コントローラに設置することなく、「サービス」モードで注入器を操作することができる。この代わり、図5Bを参照すると、サービスモード機能はインテリジェント識別(「ID」)カード122を使用してフィールドエンジニアにより開始される。このようなIDカード122は、RFIDチップ及び関連アンテナを公知の方法で組み込んだRFIDタグ124を有する。
【0044】
注入器メンテナンス用のIDカード122を使用する例示的方法は図9に示されている。802で示すように、RFIDタグ134は、以下のデータを含むがこれらに限定されないデータを備えた供給者施設24で装着される。
−フィールドエンジニアの識別
−最新の更新及びソフトウェア情報
−特定ソフトウェア改正
【0045】
自動注入器のサービスを開始するために、フィールドエンジニアはIDカード122を空のフェースプレート88bの上に置く。これによりR/W装置104bはRFIDタグ124に対して読み書きすることができる。図9の804で示すように、RFIDタグ124から適正な識別及び安全コードを読み取ると、フィールドエンジニア識別及びサービス日時が注入器コントローラ93に記憶される。その後、注入器ユーザインターフェース94,97(図5A参照)は有効となり、注入器50をサービスモードに切り替え、これにより、いくつかの通常の注入サイクルで使用されている幾つかの運転上の検査と特徴(operational checks and features)を不能にするが、注入器50をサービス目的で運転するのを禁止する。R/W装置104は周期的にRFIDタグ124から識別及び安全コードを読み取るのを継続する。RFIDタグ124を首尾良く読み取るのに失敗すると、例えば、IDカード122がフェースプレート88bから取り外されているので、注入器コントローラ93は自動的に注入器50をサービスモードから切り替える。これにより、以前に不能にした運転上の検査と特徴は、再度可能となり、注入器は通常注入サイクルで運転する用意ができる。さらに、804で、注入器コントローラ93は、注入器部品とソフトウェアに対する工場最新情報(factory updates)に関する情報とデータをRFIDタグ124から読み取るように動作である。
【0046】
注入器50をサービスする工程では、806で示すように、フィールドエンジニアはRFIDタグ124から注入器コントローラ93にソフトウェアアップグレードのアップロードを開始する。さらに、機械的要素が修理され、機械的アップグレードが設置され、それらの動作が確認される。サービス動作の最終工程として、808に示すように、注入器コントローラ93はIDカード122のRFIDタグ124に、次のものを含むがこれらに限定されないデータを書き込む。
−インストールした最新スフとウェア改訂版
−機械及びスフとウェア最新版がインストールされたことの確認
−サービスの日及び注入器の製造番号
−最新のサービスからの注入器動作に関するプロトコル、統計、又は詳細
【0047】
フィールドエンジニアが供給者施設24に戻ると、RFIDタグ124が読み取られる。サービス情報が修理された特定の注入器と関連する履歴ファイルに記憶される。
【0048】
容器20上のRFIDタグ60と自動注入器コントローラ93の間でのRF通信システムの使用は、RF通信システムのさらなる例示的実施形態を提供する。公知のRFIDシステムは、電磁(EM)場を使用して、同調アンテナを含むR/W装置と1又はそれ以上のRFIDタグ又はトランスポンダとの間で通信する。一つの例示的実施形態では、R/W装置はEM場を使用して特定の周波数でデータを送信する。この受動的RFIDタグを用いて、EM場はタグを給電し、該タグはこの受信データを処理することができる。データの受信に続いて、RFIDタグはR/W装置により受信され処理されたデータを送信してもよい。
【0049】
RFIDは金属又は反磁性材料例えばシリンジ内の造影剤のような容器内の水、塩水、医療流体の周りで実施することは困難である。これらの材料はRFエネルギーを吸収及び/又は反射するので、特にRF周波数に対する低出力同調での、首尾よい読書きRFID動作を困難にさせる。さらに、RFIDタグアンテナの面とR/W装置アンテナの面との間の角度は重要(critical)である。最適性能のためには、RFIDタグアンテナの面はR/W装置アンテナの面に実質的に平行であるべきである。図10に示すように、単面アンテナについては、RFIDタグアンテナ面202とR/W装置アンテナ面204の間の鋭角200が増加するにつれ、2つの面200,204のアンテナを結合する信号強度は減少する。換言すれば、角度200が増加するにつれ、R/W装置アンテナからRFIDタグアンテナへ伝送可能なRF信号強度は減少する。同様に、RFIDタグアンテナからR/W装置アンテナに戻る伝送可能な信号強度は減少する。さらに、信号強度は実質的に、R/W装置アンテナの出力信号強度から金属又は反金属材料からの減衰を差し引いて角度200のコサインで除したものに等しい。
【0050】
図5Aに戻ってこれを参照すると、シリンジ20bの方位は、RFIDタグアンテナ210をR/W装置104bに比較的近接して設置している。したがって、それらの間のRF信号を結合し、RFIDタグ60bからデータを読み取り及び/又はRFIDタグ60bにデータを書き込むことを促進する。しかしながら、図11に示すようにシリン20bを方位することで、シリンジ20b内の造影剤はRFIDタグアンテナ210とR/W装置104bの間にある。造影剤は、R/W装置104bのアンテナからのRF場強度を減衰し、RFIDタグアンテナ210とのRF結合と干渉する。
【0051】
本発明の一つの例示的実施形態では、図12を参照すると、アンテナ210とRFドライバ212を備えたラベル30bを有するシリンジ20bは、フェースプレート88b上に配置され、そこに装着される用意ができている。第1PC基板102と第2PC基板103が非平行となるようにフェースプレート88bに装着されている。PC基板102,103は、V形状の側面を形成し、これによりそれらの間の180度以下の角度を形成している。PC基板102は、第1アンテナループ220とその関連同調回路226を支持し、PC基板103は第2アンテナループ222とその関連同調回路228を支持している。第1と第2のアンテナループ220,222及び関連同調回路226,228は、切換回路241bを介してR/WRF駆動回路224bに接続され、まとめて電磁R/W装置104bを形成している。代案の実施形態では、R/WRF駆動回路224bと切換回路241bは、下方に位置して電気的にPC基板102に接続されている別個のPC基板102b(想像線で示す)に装着してもよい。他の実施形態では、R/WRF駆動回路224b及び/又は切換回路241bはパワーヘッド90に注入器コントローラ93と関連して装着してもよい。
【0052】
さらに、図13A−13Dに示すように、アンテナループ220,222、各同調回路226,228、及び切換回路241bを有するアンテナシステム229bは、異なる電気的形態で接続可能であり、R/W装置104bとRFIDタグ60bの間の最適RF結合を達成することができる。
【0053】
図13Aを参照すると、R/WRF駆動回路224bからの電力は同調回路226の入力230に印加され、該同調回路226はPC基板102上の第1アンテナループ220の信号リード231に接続されている。さらに、同調回路228の入力234は、PC基板103上の第2アンテナループ222の信号リード236に接続されているが、開又はフロートのままになっている。第1アンテナループのグランドリード232は第2アンテナループのグランドリード236とともにグランドに接続されている。この形態では、PC基板102上の給電された第1アンテナループ220は、RFIDタグ60bのプロトコルにより指示された周波数、例えば約13.56メガヘルツに同調され、これによりRF信号を周辺領域に伝搬することができる。第1アンテナループ220からのRF信号はPC基板103上の第2アンテナループ222と結合されている。なぜなら、第2アンテナループ222もまた約13.56メガヘルツで共振するように同調されるからである。
【0054】
V形状配置のPC基板102,103とそれぞれのアンテナループ220,222の領域は、R/W装置104b用の全アンテナ領域を拡張又は増加する。このように、図13Aのアンテナ形態とともに、図12に示すように、有効アンテナ領域は、図5Aに示す単一PC基板102で可能な領域よりも実質的に大きな領域のシリンジ20bの周りに周方向に延びている。さらに、RF駆動回路224bにより提供されるアンテナ電力は、アンテナループ220,222の結合領域により表される大領域を越えて拡張している。シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されると、シリンジ20bをある方位にすることで、図13Aに示す大アンテナ領域は、RFIDタグ60bのアンテナとのRF結合を向上する。
【0055】
図13Bに示すように、PC基板103上のアンテナループ222は、同調回路226入力230を遮断し又は開成してアンテナループ222の同調回路入力234をR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続することにより、主ループを形成することができる。第1アンテナループのグランドリード232と第2アンテナループのグランドリード236はグランドへの接続を継続する。再度、両アンテナループ220,222は、RFIDタグ周波数すなわち約13.56メガヘルツで共振するように同調される。図13Bのアンテナ形態は、シリンジ20bの方位及びRFIDタグに応じて、RFIDタグ60bアンテナ210との良好なRF結合を提供する。
【0056】
アンテナループ220.222の他の形態は、図13Cに示され、ここで第1アンテナループ220の同調回路入力230はR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続されている。第1アンテナループグランドリード232はグランドに接続されている。同調回路入力234とアンテナループ222のグランドリード236はグランドに接続され、これにより第2アンテナループ222がRFIDタグ周波数で共振するのが防止される。RFIDタグ周波数はこの分野では13.56MHzである。これはアンテナシステム229bの領域を第1アンテナループ220の領域に有効に減少する。R/WRF駆動回路224bからの全電力は、第1アンテナループ220の領域を横切って印加され、RFIDタグ周波数すなわち約13.56メガヘルツで共振するように同調される。シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されると、シリンジ20bとRFIDタグアンテナ210の方位に基づいて、図13Cの回路の小アンテナ領域は、RFIDタグ60bのアンテナ210とのRF結合を向上する。
【0057】
図13Dに戻ると、図13Cの代案として、PC基板103上の第2アンテナループ222の同調回路入力234はR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続され、第1アンテナループ220の同調回路入力230はアンテナループグランドリード232と236とともにグランドに接続されている。このため、第1アンテナループ220は13.56MHzのRFIDタグ周波数で共振しない。第2アンテナループ222だけがその周波数で共振するように同調される。シリンジ20bをある方位にすることで、このアンテナ形態はRFIDタグ60bのアンテナ210との最良のRF結合を提供する。
【0058】
ある利用分野では、ユーザは、ラベル30bが常に同じ方位になるようにシリンジ20bをフェースプレート88bに装着するように指示されてもよい。あるいは、他の利用分野では、RFIDタグ60bは、シリンジから取外し可能であってもよいし、注入器50の固定位置に装着可能であってもよい。これらの利用分野では、R/WアンテナはRFIDタグとの最適RF結合を有するように設計し固定位置に設置することができる。しかしながら、さらなる利用分野では、ユーザは、RFIDタグ60bがシリンジ20bのどこに配置され、RFIDタグ60bがどの方位され、シリンジ20bがいつフェースプレート88bに装着されたかについて制限しないかもしれない。これらの理凹分野では、RFIDタグ60bはシリンジ20bのバレルの周り又はフェースプレート88b内の如何なる周方向位置にあってもよい。さらに、そのような利用分野では、図13A−13Dのどのアンテナ形態がR/W装置104bに対して未知の方位を有するRFIDタグとの最良のRF結合を提供するかを正確に予測することは困難である。これは、部分的には、複雑でいくらか予測不可能なEM場に起因する。EM場は該場を反射及び/又は吸収する材料の周りに形成される。したがって、本発明の他の例示的実施形態では、図13A−13Bの全てのアンテナ形態を利用してもよい。
【0059】
図14を参照すると、PC基板102上のスイッチ238,240は切換回路241bからなり、これは各同調回路230,234をR/WRF駆動回路224bからの電力出力すなわちターミナル242、グランドターミナル244、又は接点246で示すオープン状態のいずれかに選択的に接続するのに使用される。各アンテナループ220,222のグランドリード232,236は、グランド244に常に接続されている。スイッチ238,240の接点は、図13A−13Dのアンテナ形態に相当するスイッチ状態を示す図13A―13Dに対する標記を有している。
【0060】
使用時、図12と15を参照すると、シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されたことを注入器コントローラ93が検出することで(例えばフェースプレート88bの装着アームの移動により、装着アームの磁石が注入器の磁気センサと直面する関係に移動する)自動的に通信サイクルを開始するか、オペレータが注入器コントローラ93に入力することでマニュアルで通信サイクルを開始する。いずれにせよ、注入器コントローラは、900で、スイッチ238,240を作動させて、アンテナループ220,222を4つの回路形態の一つ例えば図13Aに示す回路形態に接続する。その後、注入器コントローラ93は902でR/WRF駆動回路224bとRFIDタグ60bのRF駆動回路212との間で通信プロトコルを開始する。通信プロトコルの開始は公知の方法であり、これによりR/WRF駆動回路224は、タグアンテナ210との信頼性のあるRF結合を確立してRFIDタグ60bとのRF通信を確立するために、R/Wアンテナシステム229bに電磁信号を放射させる。RF通信を確立すると、R/W装置104bはRFIDタグ60bからデータを読み取り、RFIDタグ60bにデータを書き込むことができる。
【0061】
もし904で注入器コントローラ93が、通信プロトコルすなわちRF通信リンクが確立したことを決定すると、注入器コントローラ93は、906で、R/Wドライブ104bに、RFIDタグ60bからデータの読み取り及び/又はRFIDタグ60bへのデータの書き込みを進めるように指令する。しかしながら、904で、注入器コントローラ93が通信プロトコルに失敗し、R/W装置104bとRFIDタグ60bの間の首尾良いRF通信が形成されなかったことを決定すると、注入器コントローラ93は908で全てのアンテナループ形態が試行されたか否かを決定する。そうでなければ、注入器コントローラ93は910でスイッチ238,240を作動させ、アンテナループ220,222を図13A−13Bに示す4つの回路形態の他の1つに接続する。その後、注入器コントローラ93はステップ902−908を自動的に繰り返し、アンテナループ220−222を異なる回路形態に再接続し、首尾良いRF通信プロトコル又はリンクの確立を試行する。908で、注入器コントローラ93が全てのアンテナループ形態を不成功に試行した場合、912でプロトコル失敗フラグ又はエラーメッセージを設定する。
【0062】
図11−14は、アンテナシステム229bの異なる実施形態を示す。これは、開放フェースプレート88bに装着されたシリンジ20bに適用されたデータタグ60bを読み取るのに、電磁R/W装置104bを利用してもよい。さらなる実施形態では、図5Aを参照すると、シリンジ20aは、多くの場合ユーザ充填廃棄可能シリンジであるが、フェースプレート88aの半透明又は透明圧力ジャケット250内に装着される。シリンジ20aはキャップ252により圧力ジャケット250に公知の方法で固定されている。データタグ60aはシリンジ20aに適用されたラベル30aに一体化され、データタグ60aの構造と動作は前述したデータタグ60bと実質的に同一である。フェースプレート88aの圧力ジャケット250を利用するとき、データタグ60aは圧力ジャケット250の内側の方位に拘わらず読み取り可能であることが望ましい。
【0063】
図5Aと16を参照すると、RFID通信システムのさらなる例示的実施形態において、データタグ60aの読取性を向上するために、圧力ジャケット250は、シリンジ20aの周囲に配置されたアンテナループ254,256,258のアレイを含むアンテナシステム229aを備えていてもよい。アンテナループの等配置が示されているが、他の間隔を使用してもよい。圧力ジャケット250はそれぞれ内外の円筒スリーブ260,262を有する。図示されているように、アンテナループ254,256,258は、内外のスリーブ260,262の間に成型されてもよい。図17を参照すると、アンテナループ254,256,258はそれぞれの同調回路264、266,268を有し、それらは内外の円筒スリーブ260,262の間に成型されている。同調回路入力リード270,272,274とグランドリード276は、フェースプレート88aからパワーヘッド90に配置された切換回路241aに延びるケーブル278に結束してもよい。切換回路241aは適宜の方法で、例えば図14の切換回路241bに対して述べたような方法で作動させてもよい。切換回路241aはR/W駆動回路224aにより制御されてもよく、該R/W駆動回路224aはパワーヘッド90に配置されてもよい。データタグ60aとデータを交換するために、R/W駆動回路224aは、アンテナループ254,256,258を利用して、図15に関して説明したのと同じ方法で、通信サイクルを実行してもよい。これにより、データタグ60aとの通信を開始するのに、R/WRF駆動回路224aはアンテナループ254,256,258を異なる回路形態で接続し、データタグ60aとの最も信頼性のある通信を提供する回路形態を見つけるようにしてもよい。2つ以上のアンテナループを使用することにより、データタグ60aとの通信サイクルを開始するのに低電力が要求されるようにしてもよい。追加の例示的実施形態では、アンテナシステム229aは3つのアンテナループを含むように示されているが、他の実施形態は、アンテナループの他の適宜の量及び/又は配置を含んでいてもよい。さらに、アンテナシステム229aは圧力ジャケット250の要素として示されているが、他の実施形態は圧力ジャケットと関連しない複数のアンテナループを有するアンテナシステムを含んでいてもよい。
【0064】
種々の実施形態において、アンテナシステム229a,229bは、1又は複数のアンテナループを含むのが有利である。これらのアンテナループは、個別に給電され、互いに連結されて、いくつかの同調アンテナ及びEM場の形態を提供することができる。ある環境では、アンテナシステム229a、229bは、データタグからデータを読み取り、該データタグにデータを書き込むのに有効な低電力システムを提供することを特徴としてもよい。データタグは造影剤シリンジの任意の位置に配置されてもよい。さらに、造影剤シリンジは、関連する自動注入器50のフェースプレートに対して任意の方位で垂直に配置してもよい。これにより、アンテナシステム229a,229bは、金属又は反磁性材料、例えば、水、塩水、造影剤、又は他の流体の周り、及び/又は比較的低電力のRF信号の使用を命じる調整環境で、RF通信システムの使用に関する種々の課題に積極的に取り組んでもよい。
【0065】
図1Aに関して記載した例示的実施形態は、一般に造影剤のような薬剤が充填されたシリンジのような容器のライフサイクルに関する。しかしながら、図1Bを参照すると、容器ライフサイクル18bは、放射性薬剤を保管するのに使用される他のタイプの容器20cに関するものでもよい。図1Bの容器ライフサイクル18bの多くは、図1Aの容器ライフサイクル18aに類似している。容器20cは、シリンジとして概略的に示されているが、容器20cは、放射性薬剤とともに使用するのに適したバイアル又は他の容器であってもよい。供給者施設24内では、容器20cが吸引又は充填部28で放射性薬剤で満たされた後、品質制御部31で放射性薬剤の品質制御チェックが行われてもよい。その後、容器20cは、ピッグ33に設置又は装填される。ピッグは、取扱者が放射性薬剤からの放射線に曝されるのを保護する鉛及び/又は他の放射線遮蔽剤を含む。
【0066】
図1Aの容器20に対して説明したのと類似する方法で、図1Bに示すように、装填ピッグ33は、単品で又は適当な発送箱34によるバッチのいずれかで包装され、顧客又はユーザに発送される。多くの場合、箱34は病院42内の原子力薬剤部29に保管される。該原子力薬剤部は、一般に放射性薬局48と治療室26bを含む。要求により、放射性薬剤容器がピッグから取り出され、較正ツール49に設置し、放射性薬剤の活性レベルを使用前の所望のレベルに較正してもよい。次に、放射性薬剤容器はピッグに戻され、適当な時間に、ピッグは治療室26bに運ばれてもよい。放射性薬剤容器は再度ピッグから取り出され、放射性薬剤は、マニュアルで、又はここに図示され記載されたような自動注入器を使用して、患者52に注入される。種々の実施形態では、異なるマニュアル又は自動注入器は、本発明の種々の原理を利用してもよく、これによりこの開示の範囲内に含まれる。
【0067】
使用後、放射性薬剤容器はピッグに設置され、供給者施設24に戻される。そして、後処理部512で、放射容器は廃棄されてもよく、またピッグは再使用のために洗浄されてもよい。
【0068】
供給者施設24で実施される放射性薬剤容器吸引及び包装工程の例示的実施例は、図6に示されている。放射性薬剤容器20cは502で吸引部28において放射性薬剤を充填される。その後、504で、ラベル30及び/又はRFIDタグ60が、ラベリング部32において放射性薬剤容器20cに貼り付けられる。RFIDタグ60はラベルと一体にすることができ、又はラベルから分離することもできる。RFIDタグ60はRFIDチップと関連アンテナを公知の方法で組み込んでいる。
【0069】
図18に示すように、RFIDタグ60は放射性薬剤容器の任意の位置に貼り付けることができる。例えば、RFIDタグ60は放射性薬剤シリンジ20d又は放射性薬剤バイアル20eに貼り付けられるラベル30の一部とすることができる。放射性薬剤シリンジ20dの実施例では、RFIDタグは、図2A−2Dに関して前述したように異なる位置で、シリンジ構造に取り付けることができるし、又は一体化することもできる。さらなる実施形態では、シリンジラベル30は、取り外し可能であり、シリンジ20dが自動注入器に装着される直前に、RFIDタグを含むラベル30の一部を剥がして注入器又は関連リーダに取り付けることができる。放射性薬剤シリンジ20dを注入器から取り外すと、RFIDタグ30は放射性薬剤容器20dに再度貼り付けられる。同一又は異なるラベル30を、さらに又はその代わりに、放射性薬剤シリンジピッグ33a又は放射性薬剤バイアルピッグ33bに貼り付けることができる。さらに、RFIDタグ60を備えたラベル30は、箱34例えば複数のピッグを輸送するように設計されたかばん(satchel)に貼り付けることができる。
【0070】
図1Bの供給者施設24内では、読取り/書込み(「R/W」)装置62はラベルコンピュータ64に接続され、506(図6)で、特定の放射性薬剤容器20cに対して、RFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むように動作する。図3Bに示すように、吸引部(draw-up station)28は、R/W装置43と電気的に通信する吸引部コンピュータ41を含んでもよい。そして、適用分野に応じて、R/W装置43,62のいずれか又は両方は、RFIDタグ60にデータを書き込むのに使用することができる。そのデータはステップ506に関して前述したデータを含むが、これらに限るものではない。放射性薬剤については、データは、投与量、及び処方ラベルに現在印刷され及び/又はバーコードに符号化されている処方情報、測定放射能レベル例えばTc−99及びMo−99、測定時の時刻、使用した放射能要素の識別例えばTc−99及びMo−99、これらの出所、その他の適宜データの全てを含んでいてもよい。
【0071】
図6に戻ると、507と509に想像線で示す放射性薬剤容器20cに特有の行程が実行される。まず、507では、例えば放射性薬剤の純度、ラベルの情報の正確性、投与量情報等を決定するために、品質制御チェックが(例えば、寝室コントローラ部31で)実行されてもよい。図3Bに示すように、品質制御部31は、品質制御コンピュータ45と関連のR/W装置47を含んでいてもよい。これらは、実行された品質制御チェック及び/又は他のシステム仕様に依存して、RFIDタグ60からデータを読み取り及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むのに使用してもよい。
【0072】
容器20cは、次に、509で、取扱い、保管、輸送のためにピッグ33に挿入されてもよい。ラベル65をオプションとしてピッグ33に貼り付けることができる。ラベル65は、人間が読み取り可能な印、機械で読み取り可能な印及び/又はラベル30に関して説明したRFIDタグを含むことができる。容器20cをピッグに挿入する行程の一部として、RFIDタグ65からデータを読み取り及び/又はRFIDタグ65にデータを書き込むのにR/W装置62又は他のR/W装置のいずれかを使用することができる。RFIDタグ65に書き込むことができるデータは、容器20cのRFIDタグ60に書き込まれたデータを含んでいてもよいし、また次のものを含むがこれらに限るものではない。
−ピッグ用の独特な識別番号
−工場、生産ラインの識別、及び/又はピッグと関連するバッチ番号
−容器がピッグに挿入された日と時刻
−注文、放射性薬剤、その容器20c及び関連ピッグ33と関連するその他のデータ
【0073】
図6の508では(図1Aに関して前述したのと同様の方法で)、1又は複数のピッグ33が発送箱34に装填される(図1B参照)。510で、箱34は発送/受入部38に在庫として保管されてもよい。受けた注文に基づいて、512で示すように、箱24は顧客への発送のために、さらに組み合わせられ、ケース又はバッチ67にパレット化される。そして、ラベル66が個々の発送箱34、又は単一のケース、バッチの箱にオプションとして貼り付けることができる。
【0074】
図1Bと7を参照すると、箱34は流通機構40に入り、病院42のような診療施設の受入部44に受け入れられる。保管及び準備工程は、前述したものと類似の工程ステップ602と604で実行されてもよい。またステップ606では、箱は病院放射性薬局46(又は医療施設の原子力薬剤部又は他の適宜場所)に引き渡されてもよい。そして、
放射性薬局48内で、コンピュータ79に接続されたR/W装置77は、RFIDタグ65からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ65にデータを書き込むのに使用することができる。図3Bに示すように、コンピュータ79は、通信リンク80を介して、病院の管理コンピュータ78内の薬剤追跡データベース76を更新するのに使用することもできる。
【0075】
放射性薬剤容器に独特な工程は、図7の607と609に示されている。特に、607では、放射性薬局48内で、較正ツール49がよく使用され、容器内の放射性薬剤の投与量の放射能レベルをチェック又は有効にする。このチェック/有効は適宜の工程及び/又は較正ツールを使用して実行することができる。図3Bに示すように、較正ツール49はR/W装置89に接続された較正コンピュータ85を有していてもよい。R/W装置89は、チェック/有効工程中に、容器RFIDタグ30及び/又はピッグRFIDタグ65からデータを読み取り、容器RFIDタグ30及び/又はピッグRFIDタグ65にチェック/有効データを書き込むのに使用することができる。このチェック/有効データは次のものを含むが、これらに限定されない。
−チェック/有効時刻及び日
−放射性薬剤の減衰率及び半減期
−注入時の処方活性レベル(放射のキューリーレベル)
−他の時点例えば吸引時での活性レベル
−測定放射能レベル
−治療時の所望の放射線活動レベル
−注入された放射能要素の識別
−較正ツールとオペレータ等の識別
【0076】
引き続き図7を参照すると、適当な時点において、609で、ピッグ33は使用するために治療室に引き渡される。放射性薬剤はマニュアル又は自動注入器を使用して投与することができる。多くの場合、全てのケースではないが、放射性薬剤を収容するシリンジ20d又はバイアル20eは、マニュアル投与のために各ピッグ33から取り出される。しかし、他の適用分野では、前に図示し図8に関して説明した自動注入器及び方法を使用してもよい。放射性薬剤については、望まれるなら、注入器コントローラ93(図3B参照)と関連するR/W装置104は、RFIDタグ60に現在時刻と日を書き込み、ピッグ外時間(例えばシリンジ又はバイアルがピッグに収容されていない時間の経過)の追跡を許容してもよい。放射性薬剤注入行程の間、放射性薬剤容器のプランジャーの変位を精密に制御し、プランジャー送りを追跡してもよい(例えば、シリンジ及び/又はピッグと関連するタグに記録し書き込む)。
【0077】
ここに記載したラベリングシステムは較正ツール49の必要性を排除する潜在性を有していることに注意すべきである。例えば、図3BのR/W装置104は、品質制御部31(図1B)によりRFIDタグに書き込まれた放射性レベルと測定日時を読み取ることができる。注入器コントローラ93は、測定放射能レベルと予定治療日時との間の経過時間を計算することができる。注入器コントローラ93はさらに経過時間中の放射能レベルの減衰を計算することができる。そして、処方された放射性薬剤投与量でプログラムを組むことで、注入器コントローラは注入すべき正確な単位容量を計算することができる。このため、較正ツール49は必要とされない。放射性薬剤がマニュアルで注入される場合、コンピュータ79及び関連のR/W装置77は、臨床医又はその他の適切な個人により同様の方法で使用され、較正ツールを使用することなく計算された現在単位容量を表示することができる。
【0078】
注入行程の後、図1B、5A及び19を参照すると、放射性薬剤容器20cはフェースプレート88bから取り外されて、図19の802で示すように各ピッグ33に戻されてもよい。次に、ピッグ33は同一又は異なる箱に収容され、804で発送部44に戻され、806で供給者施設24に戻される。807で示すように、放射性薬剤容器と関連するラベルは、廃棄直前に読み取られ、実質的に全ての放射能が減衰する前に容器がどれくらい長く放射能遮蔽廃棄及び/又は保管容器に収容されなければならないかを決定するのを支援する。例えば、放射性薬剤の初期放射能は容器の充填時にタグに書き込む。この初期充填時に続いて、放射性薬剤の放射能が減衰する。減衰率は一般に知られているので、この減衰率と初期充填時からの経過時間を使用し、使用済み容器がもはや著しい放射能を有していないことを十分に保証するのにどのくらいの保管時間が必要かを決定する。この保管時間の計算は人為的及び/又は電気的に行われる(例えば、廃棄直前にタグを読み取るのに利用されるリーダと相互接続された適切なコンピュータを使用する)。
【0079】
供給者施設24(図1B)内の後処理部51では、808で、使用済み放射性薬剤容器は廃棄に適した処理を受け、810で関連ピッグは再使用のために洗浄される。後処理中、前述の任意のコンピュータは、容器20c、ピッグ33,箱34のRFIDタグからデータを読み取り、及び/又はRFIDタグにデータを書き込むのに使用することができる。このような活動は、特定の供給者、顧客、医者、及び/又は病院の要求を満たすのに依存した適用分野である。図3Bに示すように、後処理コンピュータ53は、放射性薬剤容器又はピッグの一方又は両方のRFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むR/W装置55に接続してもよい。事後処理コンピュータ53は、供給者施設内の放射性薬剤容器及びピッグを追跡する供給者在庫データベース120を(通信リンク57を介して)更新することができる。照射性薬剤ピッグ33のRFIDタグ60は更新されてもよいし、交換されてもよい。さらに、望まれるなら、放射性薬剤容器とピッグに関するデータは、通信リンク118、例えば、インターネット接続、電話接続、またはその他の適切なリンクを介して、供給者コンピュータ116から病院42内のコンピュータ79に、通信することができる。
【0080】
ここで意図されている方法では、RFタグ60は放射性薬剤容器20cに貼り付けてもよい。放射性薬剤容器20cはその後、鉛ライニングされたピッグ33に設置される。このような状況では、ピッグはRFタグ60の有用性を制限し、容器20cがピッグ33から取り出されない限り、その使用を妨げる。したがって、放射性薬剤容器20cがピッグ33に保管されるときに放射性薬剤容器20c上のRFタグからデータを読み取り、RFタグにデータを書き込むことができることが大いに望ましい。これは、図20−22に示すピッグ装着アンテナシステムの例示的実施形態により達成される。
【0081】
図20を参照すると、第1実施形態では、放射性薬剤ピッグ33bは細長いベース322と細長いキャップ324を有する。ベース322とキャップ324は、広範な形状とサイズで形成することができるが、ほぼ円筒形状が図示されている。キャップ324はねじ相互接続325により公知の方法でベース322に接合される。キャップ324内のキャップ遮蔽要素326とベース322内のベース遮蔽要素328は、シリンジ20c内の放射性薬剤から放射される放射能を遮断するのに使用される。遮蔽要素326,328は、放射能を遮断するのに有効な任意の材料、例えば鉛、タングステン、充填ポリマー合成材料等から形成することができる。キャップ遮蔽要素326は、キャップ324がベース322に装着されたときにベース遮蔽要素328を覆う突起329を形成している。シールド326,328のオーバーラップにより、ベース322から分離可能であるキャップ324により生じるシールドの不連続により、放射能の遮断が促進される。
【0082】
キャップ324はさらに外殻部332と内殻部334からなるキャップシェル330を有する。同様に、ベース322は、外殻部338と内殻部340からなるベースシェル336を有する。ベースシェルとキャップシェル328,330は、プラスチック材料例えばポリカーボネート樹脂等から形成されている。
【0083】
ラベル30が放射性薬剤シリンジ22cに公知の手段、例えば接着剤、テープ、弾性バンド等で貼り付けられている。実際には、ラベル30は任意の方法で放射性薬剤シリンジ20cに(容易に取り外せないように)取り付けてもよい。ラベル30は人間が読み取り可能及び/又は機械が読み取り可能な形態の印346を含む。ラベル30はさらに、RFID集積回路チップ212と少なくとも1つの無線周波数アンテナ210とからなるRFIDタグ60を有している。放射線薬剤シリンジ20cは、多くの場合、それが使用される医療施設から独立した施設で製造される。したがって、放射性薬剤シリンジ20cに関するデータは、多くの場合、その製造地点で収集される。さらに、追加のデータは、多くの場合、放射性薬剤シリンジ20cを含む放射性薬剤ピッグ33bを取り扱う流通機構の異なる地点で収集される。データはまた照射性薬剤シリンジ20cが使用された時及びその後、廃棄時、認可された再使用のための洗浄時に収集される。このように、放射性薬剤シリンジ20cと関連の放射性薬剤ピッグ33bのライフサイクルにわたって、シリンジ20cのライフサイクルの異なる時点でRFIDタグ60に書き込むことができるデータは、予め記載されていることになる。このようなデータは放射性薬剤の減衰率(例えば、薬剤の半減期)、注入時の処方活性レベル(放射能のキューリーレベル)、他の時点でのキューリーレベル(充填時)、及び/又は放射性薬剤が注入されることを準備技術者又は放射性薬剤師が仮定した時間を含むが、これらに限定するものではない活性レベルは、多くの放射性薬剤の半減期による時間の関数であり、活性レベルは特定注入時間に対して設計されている。
【0084】
RFIDタグ60に記憶されたデータから最大の利益を得るために、放射性薬剤シリンジ20cが放射性薬剤ピッグ33bに収容されるときに、タグを読み取ることができることが必要である。図20の実施形態では、少なくとも1つの無線周波数内部アンテナ358がベース内部殻340の内面にわたって設けられ、少なくとも1つの無線周波数外部アンテナ364はベース外部殻338の外面にわたって設けられている。孔360が、ベース内殻340、ベースシールド328、ベース外殻338を貫通して延びている。少なくとも1つの接続リード362、例えば胴線リードは、孔360を貫通して延び、内部アンテナ358に接続された一端と、外部アンテナ364に接続された他端とを有している。
【0085】
内部アンテナ358はRFIDチップ212に接続されたRFIDアンテナ210と結合するように設計されている。外部アンテナ364は、RFIDアンテナ210がR/W装置366と結合するのと同じ方法で、リード/ライト(「R/W」)装置366と電磁的に結合するように設計されている。R/W装置366は公知の方法でコンピュータ368に接続されている。R/W装置366は、それぞれ内部、外部アンテナ358,364を介してRFIDアンテナ210と電磁的に結合している。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクル中に取り扱われたときはいつでも、R/W装置366は、アンテナ210,358,362,364からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20c上のRFIDタグ60のRFIDチップ212から情報を読み取り、及び/又は、RFIDチップ212に情報を書き込むのに使用することができる。アンテナはRFIDアンテナとして使用するのに十分な長さのリードからなっているだけでよいことに注意すべきであり、その場合、コイルアンテナ部364がなくてもよい。
【0086】
RFIDタグ60を利用する放射性薬剤ピッグ33b及び放射性薬剤シリンジ20cの他の例示的実施形態が、図21に示されている。この実施形態では、内部及び外部アンテナ358,364は、それぞれキャップ324の頂部の内面、外面370,372に配置されている。アンテナ358、364は、キャップ324の頂部の孔374を介して延びる少なくとも1つのリード362により、電気的に接続されている。R/W装置366は、それぞれ内部、外部アンテナ358,364を介して、RFIDアンテナ210と電磁的に結合することができる。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクルで取り扱われるときはいつでも、R/W装置366はアンテナ210,358,364からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20c上のRFIDタグ60のRFIDチップから情報を読み取り、該RFIDチップに情報を書き込むのに使用することができる。
【0087】
キャップ324の頂部にアンテナ358,362を設置することは幾つかの利点がある。まず、キャップ324の頂部は、多くの場合、ベースシェル336よりも少ない放射性露出を受ける。さらに、キャップ外面372は、多くの場合、放射性薬剤ピッグ33bの取扱中に、ベース外殻338よりも物理的接触が少ない。したがって、キャップ外面372の外部アンテナ362は物理的損傷を受けることが少ない。
【0088】
RFIDタグ60を利用する放射性薬剤ピッグ33bと放射性薬剤シリンジ20cのさらなる例示的実施形態が図22と22Aに示されている。この実施形態では、RFIDタグ60は、図20に関して前に説明した方法で放射性薬剤シリンジ20cに取り付けられているラベル30cの第1部分上にRFIDチップ212を有している。ラベル30dの第2部分は、放射性薬剤ピッグ33bの外側に配置され、その上に少なくとも1つのRFIDアンテナ210を有している。第1ラベル部30cのRFIDチップ212は、少なテザー(tether)378と一体の少なくとも1つの電気的に導体のリード376により、アンテナ210に電気的に接続されている。導体リード376とテザー378は、所望の電気的及び機械的特性を提供する任意の材料、例えば絶縁又は非絶縁銅線、基板上に積層された銅トレース等から形成されてもよい。ねじ継手325は導体リード376とテザー378のための隙間を提供するように設計され、これによりキャップ324は、導体リード376とテザー378を損傷することなく、ベース322に取り付け、ベース322から取り外すことができる。R/W装置366はRFIDアンテナ210と電磁的に結合することができ、RFIDアンテナ210は導体リード376を介してRFIDチップ212にデータを通信し、RFIDチップ212からデータを通信する。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクルで取り扱われるときはいつでも、R/W装置366は、アンテナ210と導体リード376からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20cのRFIDタグ60のRFIDチップから情報を読み取り、RFIDチップに情報を書き込むのに使用することができる。
【0089】
使用時、放射性薬剤の注文を受けると、RFIDチップ212と関連アンテナ210を有するラベル30を放射性薬剤シリンジ20cに貼り付け、該放射性薬剤シリンジ20cを放射性薬剤ピッグ33bに設置することができる。このとき、シリンジとピッグの識別を含むが、これらに限るものではないデータは、図1Aと1Bに関して前述した方法でRFIDタグ60に書き込まれる。放射性薬剤シリンジ20cとピッグ33bは、シリンジ20cが所望の放射性薬剤で満たされる場所に輸送される。この場所は、放射性薬剤供給者、又は放射性薬剤シリンジ20cのユーザの位置であってもよい。いずれにせよ、放射性薬剤が満たされる場所に拘わらず、前述したように、充填工程、充填される放射性薬剤、放射性薬剤がどのように使用されるかに関するデータがRFIDタグ60に入力される。充填された後、放射性薬剤で充填されたシリンジ20cを保持するピッグ33bは、使用のために引き渡される前に、準備及び/又はイメージング室に数回にわたり移送され保管される。使用中、シリンジ20cはピッグ33bから取り出され、放射性薬剤は検査対象すなわち患者に注入される。使用後、空シリンジ20cはピッグ33bに戻され、放射性薬剤シリンジ20cの適切な廃棄、放射性薬剤ピッグ33bの再使用のための再調整のために、薬剤供給者又は他の場所に戻される。
【0090】
放射性薬剤ピッグ33b及び/又は放射性薬剤シリンジ20cがそれらの各ライフサイクルにわたって取り扱われるときはいつでも、前述した方法で、R/W装置366はRFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むのに使用することができ、これにより放射性薬剤ピッグ33bと放射性薬剤シリンジ20cの各ライフサイクルにわたる完全な年代順の履歴を提供することができる。図1A,3A,1B,3Bに示すシステムは、シリンジ20のライフサイクルで巻き込まれる全ての実体(entity)間で如何なる情報も移動することができる利点を有する。その実体は通信リンク80と通信することができる任意の実体である。したがって、インターネット83のウェブサイトから入手可能なデータはシリンジ20のライフサイクル中に利用することができる。このようなインターネット通信の可能性は、自動注入器50の遠隔サービス、注入プロトコルのダウンロード、遠く離れたところにいる医師媒体供給者又はその他の関係者との通信を許容する。
【0091】
本発明の種々の原理を種々の例示的実施形態により説明し、またそのような実施形態を詳細に説明したが、そのような詳細なものに添付請求の範囲を制限し又は限定することを意図するものではない。さらなる利点及び修正は当業者に明らかである。例えば、図20−22の実施形態では、RFIDチップ212はピッグの内側に配置してもよい。いくつかの実施形態では、チップ212は関連アンテナとともにピッグの外側に配置してもよいし、またチップは、放射性薬剤シリンジ20cとRFID情報が関連付けされたままとなるように、ひもその他のアタッチメントによりシリンジ20cに物理的に取り付けてもよい。代案として、ピッグ33bはRFIDタグとアンテナをシリンジに機械的に取り付けることなく運んでもよいが、その中のデータがピッグにあるシリンジに関係することを単に知るだけでもよい。
【0092】
さらに、ここに示され記載された例示的実施形態では、アンテナシステム229a、229bは1つ、2つ、3つのアンテナループを使用している。しかし、代案の実施形態では、任意の数のアンテナループを使用してもよい。アンテナループはオーバーラップしても、しなくてもよい。しかし、アンテナループはRFIDプロトコルで使用される所定の周波数で共振するように、個々に同調されることが好ましい。さらに、前述の実施形態では、切換回路241bはRF駆動回路224bと同一のPC基板102に配置されている。しかし、代案の実施形態では、切換回路は第2PC基板103に配置されてもよいし、
2つのPC基板102,103の間に分割されてもよいし、また例えば図17に示すように自動注入器とともにどこかに配置されてもよい。
【0093】
さらに、前述した実施形態では、R/Wアンテナシステム229a、229bは放射薬剤注入器アセンブリに貼り付けられている。しかし、代案の実施形態では、多重非平行アンテナを利用するR/Wアンテナシステム229a、229bは、薬液容器を支持する如何なる装置に適用されてもよい。そのような装置は、加温オーブン又は加温ボックス、容器充填部、ピッグ又は他の原子力薬剤容器、投与量キャリブレーション部、ハンドヘルド給電薬液ディスペンサ、シリンジ廃棄部、又は他の装置を含むがこれらに限定されるものではない。
【0094】
医療流体(例えば、造影剤、放射性薬剤、塩水等)を注入するとき、注入器は圧力レベルを変更する特定の注入工程に従う必要があり、あるいは確立された最大圧力レベルを有していてもよい。例えば、ある注入手順の注入圧力は、シリンジのタイプ、注入器とともに使用されるチューブ及び/又はカテーテルにより決定(dictate)指令されてもよい。ワイヤレス圧力検出アプローチは、圧力センサの望ましい検出能力を提供する一方、圧力検出回路に配線する必要性を排除する。このワイヤレスアプローチは、情報を処理し保管する非揮発性メモリを有するマイクロプロセッサはもちろん、アナログ圧力信号を濾波し、増幅し、デジタルに変換する信号処理器を有していてもよい。マイクロプロセッサは、RFワイヤレス技術を介して通信メッセージを自動注入器に送信し自動注入器から受信する回路に連結してもよい。マイクロチップ回路は、駆動ラムの圧力センサの近傍(又は直近)に配置し、長い配線により入り込む電気的ノイズの危険性を減少する。ある実施形態では、マイクロチップ回路及び/又はRFアンテナ402は、シリンジプランジャーと連結する端部(例えば、モータの駆動ねじにベアリングと連結する端部)と反対側のラム端部の近傍に配置してもよい。このマイクロチップ回路及び/又はRFアンテナ402の位置は、圧力センサ400と受信/送信回路420の間のRF通信を促進する。なぜなら、2つのRFアンテナは、常に、互いに(例えば、お互いの1インチ等)近接し、パワーヘッドのハウジングの境界内にあるからである。ある実施形態では、マイクロチップ回路は及び/又はRFアンテナ402は、駆動ラムの第1と第2の位置の間に配置してもよい。少なくともある実施形態で重要なことは、圧力の検出及び測定を可能にするために、マイクロチップ回路及び/又はRFアンテナ402は実質的に注入器モータからシリンジプランジャーに伝達される力と実質的に一列に並んでいる(in-line)ことである。
【0095】
いま図23と24Aを参照すると、例示的な注入器50は、米国特許出願第2006/0219022A1号に記載されているセンサのようなRFベースの圧力センサ400を使用してシリンジの圧力をワイヤレスで監視するように構成されている。前記特許出願の開示全体は参照することでここに組み入れる。圧力センサ400は、シリンジ20bのプランジャー21bと連結するように設計されている注入器50の駆動ラム95bの端部に設置されてもよい。代案として、圧力センサ400は駆動ラム95bに埋設されてもよいし、又は図24Bに示すように部分的に埋設されてもよい。圧力センサ400の他の位置も許容できる。圧力センサ400は受信器/送信器回路420とワイヤレスで通信し、圧力センサ400により取得された圧力値を伝送する。これらの圧力値は、コントローラ428に送信される信号に定型化(formulate)するために、受信器/送信器回路420のマイクロプロセッサ426により処理(manipulate)される。当該信号は駆動ラム95bに対する調整量を決めることができ、そして駆動ラム95bによりシリンジ作用する圧力を調整することができる。
【0096】
ラムの内側又は先端のマイクロチップ回路と注入器の内側の回路との間の距離が短い(例えば、全ラム行程で約6インチのオーダーである)ので、ラムと注入器の間でRF信号を送信する電力は低い。低RF電力は、電子回路に低電力を要求し、隣接する電子機器と干渉しないように低放射電磁場を要求する。
【0097】
マイクロチップ402は、図25と26に示すように、前述したように駆動ラム95bの内側に埋設されてもよい。マイクロプロセッサ426は、受信機/送信機回路420(図27参照)の一部であるが、注入器50から送信される独自の暗証番号(security code)を介して圧力センサ400からのRF通信を認識するようにプログラムされてもよい。この独自の暗証コードは、センサ400から注入器50に送信される未認識の圧力情報源の可能性を減少(有効に排除)する。
【0098】
受信機/送信機回路420は、圧力検出回路404と通信するように自動注入器50の内側に位置していてもよいし、別個のモジュールの注入器50の外側に位置していてもよい。自動注入器50は造影剤をシリンジ20bの外側から注入するので、駆動ラム95bの圧力回路400は、圧力更新値を注入器50の受信機/送信機回路420に送信してもよい。
【0099】
圧力センサ400は、図24Bに最も良く示すように、圧力を記録するために、RFアンテナ402と、圧力検出回路を含む圧力マイクロチップ404と、機械的圧力を電気信号に変換する変換器406のようなセンサ要素と、センサ要素406の部品が突出する貫通孔408とを含んでいてもよい。変換器404は小さなバッテリー(不図示)から給電されてもよい。バッテリーは化学エネルギー貯蔵器及び/又は高付加価値コンデンサ(high value capacitor)を含む。コンデンサ及び/又はバッテリーは、ラムが「ホーム」位置にあるときに再充電されてもよい。代案の実施形態では、マイクロチップ404は受信機/送信機回路420のRF送信から引き出されるエネルギーから給電されてもよい。マイクロチップ404は、圧力データの貯蔵とRF変換のために、センサ410と別個の回路412に接続された回路を含んでいてもよい。
【0100】
いま図27を参照すると、駆動ラム95bはシリンジ20bのプランジャー21b(図24A又は24B)と係合し、それらの間に圧力を生成する。変換器のようなセンサ要素406は、機械的圧力を電気信号に変換する。この電気信号は、マイクロチップ404上のセンサ回路410により処理され、アナログ信号を増幅しデジタル信号に変換する。デジタル信号は、マイクロチップ404上のRF回路412により処理され、該RF回路は圧力を表すデジタル値を記憶してもよい。
【0101】
受信機/送信機回路420は、RF信号450を圧力センサ400に送信し、該RF信号はRFアンテナ402に受信される。圧力センサは、センサ要素406により測定された圧力を表すデジタル値を含むRF信号452を戻してもよい。RF送信452は、RFアンテナ422により受信され、受信機/送信機回路420のRF回路424を介して、マイクロプロセッサ426と適合する形態に処理される。マイクロプロセッサ426は、次に圧力データを評価し、該圧力を出力処理し、コントローラ428に送信し、駆動ラム95bがシリンジ20bのプランジャー21bに作用する圧力を調整する。前述したように、これは指定された注入プロトコルに従い、シリンジ、チューブ又はカテーテルの故障を防止する。したがって、ワイヤレス圧力検出回路は、ラムと注入器の間に配線や接続を必要とすることなく、望ましいシリンジ圧力の監視を達成するのに利用してもよい。
【0102】
前述の実施形態のシステムは、薬液のコンテナに関する。詳細に記載した2つの実施例は、造影剤とそれぞれのシリンジ、放射性薬剤とそれぞれの容器に関する。代案の実施形態では、図1cを参照すると、容器は薬液で満たされたIVバッグ130であってもよい。IVバッグ130からのチューブ132は、注入ポンプ134と連結されてもよい。これにより、IVバッグ130からの薬液の流れはポンプ134の使用を介して調整されてもよい。チューブ132の一端は一般にIVバッグ130と結合しているが、チューブ132の他端は患者に公知の方法で接続されてもよい。IVバッグ130は、前述したように、データタグ60例えばRFIDタグを備えたラベル30を有していてもよい。さらに、注入ポンプ134は、IVバッグ130のデータタグ60からデータを読み取り、及び/又はデータタグ60にデータを書き込むことができる電磁装置と電気的に連通してもよい。例えば、電磁装置は、注入ポンプ134に取り付け、及び/又は注入ポンプ134内に配置してもよい。図3cに示すように、注入ポンプ134は、図1Aと1Bに示す注入器コントローラ93に関して説明したものと類似の方法で通信リンク80に接続されたコントローラ138を有してもよい。このように、図1cと3cのシステムは、追跡及び記録される(例えばIVバッグ130のライフサイクルにわたって)IVバッグ130、その中の薬液、及び/又は注入ポンプ134に関する活動を許容してもよい。
【0103】
シリンジを自動注入器に装着する多くの公知の構造があり、ここに示され記載されたフェースプレートは2つのそのような構造にすぎない。他の装着構造はパワーヘッドからの取り外しを許容しなくてもよい。ここに請求された発明は、シリンジをそこに装着する任意のタイプの構造を有するパワーヘッドに適用することもできる。ここに示され記載された実施形態では、ヒータ106がPC基板102,103上に装着されている。しかし、代案の実施形態では、ヒータ106は使用されなくてもよく、したがって、PC基板102,103から除去されてもよい。
【0104】
本発明及びその種々の実施形態の要素を導入するとき、「1つの」、「その」、及び「前記」は1又は複数の要素があることを意図している。「からなる」、「含む」、「有する」は挙げられた要素以外に追加の要素があることを意図している。さらに、「頂部」と「底部」、「前」と「後」、「上方」と「下方」、これらの変形、及び方向の他の用語は、便宜的に使用され、要素の特定の方向を要求するものではない。
【0105】
したがって、本発明は、その最も広い局面では、ここに示され記載された詳細に限定されるものではない。したがって、本発明の精神及び特許請求の範囲から逸脱することなくここに記載された詳細を修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1A】造影剤を充填したシリンジをそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図1B】放射性薬剤を充填した容器をそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図1C】薬液を充填したIVバッグをそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図2A】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2B】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2C】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2D】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図3A】図1Aに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図3B】図1Bに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図3C】図1Cに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図4】イメージングスーツでの造影剤の容器の使用と廃棄と関連する行動と動作を示す概略図。
【図5A】図1Aのシステムで使用される注入器の一つの実施例の斜視図。
【図5B】図1Aのシステムで使用される注入器とフィールドエンジニア認識カードの実施例の斜視図。
【図6】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を製造し流通する例示的方法のフローチャート。
【図7】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を保管し使用の準備をする例示的方向のフローチャート。
【図8】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を使用する例示的方法のフローチャート。
【図9】図1Aに示す造影剤が充填されたシリンジのフィールドメンテナンス工程の例示的方法のフローチャート。
【図10】送信アンテナを該送信アンテナに対して角度をもった受信アンテナと連結するRF信号強度の変化を示す概略図。
【図11】自動注入器に装着されたシリンジにRFデータタグを有する造影剤自動注入器の斜視図。
【図12】本発明の原理によるリード/ライト装置用の多重非平行アンテナループを有する造影剤自動注入器のフェースプレートの上に配置されたシリンジを示す例示的実施例の斜視図。
【図13A】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13B】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13C】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13D】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図14】図13A−13Dの4つの異なる回路形態のアンテナループを接続するスイッチを備えた図11の多重非平行アンテナループの概略図。
【図15】図12の多重非平行アンテナループを利用した通信サイクルを示すフローチャートの概略図。
【図16】図12に示すものと類似する造影剤自動注入器用の多重ループ非平行アンテナを備えた図11に示す造影剤自動注入器用の圧力ジャケットの断面図
【図17】図16の多重ループ非平行アンテナシステムを利用する電磁無線周波数R/W装置の概略図。
【図18】図1に示すシステムの放射性薬剤容器とそれぞれのピッグに追跡装置を適用する異なる方法を示す。
【図19】放射性薬剤容器と関連するピッグを後処理する例示的方法のフローチャート。
【図20】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムの例示的実施例の斜視図。
【図21】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムの他の例示的実施例の斜視図。
【図22】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムのさらに他の例示的実施例の斜視図。
【図22A】図22に示す放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグのさらなる実施例におけるアンテナリード線の経路を示す分解図。
【図23】ワイヤレス圧力検出の特徴を含む注入器の斜視図。
【図24A】図23の注入器の圧力センサを駆動ラムの表面に配置した24−24線に沿う詳細部を示す。
【図24B】図23の注入器の圧力センサを駆動ラムに埋設した24−24線に沿う詳細部を示す。
【図25】25−25に沿う図24Aの注入器の詳細部を示す。
【図26】図25のセンサのさらなる詳細を示す。
【図27】注入器駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力を制御する例示的方法を示すブロック図。
【符号の説明】
【0107】
20b シリンジ
21b プランジャー
95b 駆動ラム
50 注入器
400 圧力センサ
402 RFアンテナ
404 圧力検出回路
406 センサ要素
420 受信器/送信器回路
426 マイクロプロセッサ
428 コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療流体注入器に関し、さらに詳しくはこの注入器と関連するシリンジに作用する圧力を監視し制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬流体注入器は、画像形成手順用に造影剤を患者に注入するのによく使用される。このような注入器は、典型的には該注入器の駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する力を制御することにより、所望の流量で造影剤を注入するように設計されている。シリンジ、チューブの損傷、及び/又はカテーテル変位を防止するために、注入器はシリンジに作用する圧力を監視し、それに従って圧力を制限するように形成されてもよい。
【0003】
現在の技術はこのような圧力を監視するのに幾つかの方法を使用している。あるものは、ラムの前端に圧力センサを必要とし、該圧力センサはワイヤを介して注入器センサ信号調整増幅回路に接続されている。圧力センサは望ましい圧力測定値を生じるかもしれないが、注入器ラムは注入中に移動するが注入器の残りは固定したままであるので、機械的難題を生じる傾向がある。圧力センサを注入器電子機器に接続するのに配線が必要である。ラムを完全ストローク移動させるのに、過剰な長さの配線を含める必要がある。配線が注入器内側の内部要素と衝突することにより、注入器不良の危険性が増加する。また、ラムの移動によりラムと注入器の間の配線接続に摩耗や圧力がかかるため、注入器の信頼性が減少する。
【0004】
圧力センサを使用する代案は、シリンジ圧力をモータ電流から引き出すことである。モータ電流は、電子ハードウェアとソフトウェアを介してシリンジ圧力に相関させてもよい。このアプローチは、注入器の一部であるモータがラムに対して静止したままであるため、圧力センサアプローチで必要とされる配線を排除する。モータ電流を測定することによるシリンジ圧力の駆動の欠点は、モータ電流がシリンジ圧力を真に反映しないし、モータ電流が圧力のほかに他の要因(例えば、摩耗、モータ効率変動)の影響を受けるので不正確であることである。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、医療流体注入器に関し、注入器により関連シリンジ(例えばプランジャー)に作用する圧力を検出するワイヤレス圧力検出に特徴を有する。本発明のある例示的態様を以下に説明する。これらの態様は、読者に本発明が採用し得るある形態の概要を提供するためのものであり、これらの態様は本発明の範囲を制限するものではないと理解すべきである。実際には、本発明は、以下に説明しない様々な態様を包含する。
【0006】
本発明の一つの特徴は、医療流体注入器に向けられている。この注入器は該注入器のプランジャーと連結(interface)する駆動ラムを有していてもよい。駆動ラムは、該駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力を測定するように形成されているRF対応圧力センサ(RF enabled pressure sensor)を有していてもよい。さらに、注入器は、駆動ラムの圧力センサとRF通信するRF回路を有していてもよい。ある実施形態では、注入器はRF回路と電気的に通信するコントローラを有していてもよい。コントローラは、駆動ラムの移動を調整し、駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力(すなわち、圧力センサにより測定される圧力)を変更するように形成されてもよい。
【0007】
本発明の他の態様は、医療流体注入器の操作の方法に向けられている。この方法では、シリンジのプランジャーは注入器の駆動ラムに係合する。この駆動ラムはRF対応圧力センサを有する。駆動ラムは圧力をシリンジプランジャーに作用させるために使用する。圧力センサはシリンジプランジャーに作用する圧力値を測定するのに使用する。この圧力値はRF受信機を含む注入器のRF回路に送信する。
【0008】
本発明の前述の態様に関して述べた特徴を種々改良してもよい。さらなる特徴は本発明の前述した態様に含めてもよい。これらの改良及び付加的特徴は個別でもよいし、任意に組み合わせてもよい。例えば、本発明の例示的実施形態に関して以下に説明する種々の特徴は、単独で又は任意に組み合わせて、本発明の任意の態様に組み入れてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付図面は、ここに組み入れられて本明細書の一部を構成し、本発明の例示的実施例を示すが、前述の本発明の局面の一般的説明、以下に説明する種々の例示的実施形態の詳細な説明とともに、本発明の種々の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
図1Aを参照すると、容器のライフサイクル18aの例示的実施形態は、医療流体容器例えば造影剤を収容するのに適したシリンジ20に関する。シリンジ20は、該シリンジ20が使用される設備42から離れた供給者の施設24で製造される。供給者施設24内では、シリンジ20はまず充填部28で造影剤が充填され、その後、ラベリング部32で各シリンジ20にラベル30が貼り付けられる。次に包装部でシリンジ20は個別に又は適当な発送箱34にバッチで包装され、当該発送箱34は発送/受入部38に一時的に待ち行列に入れられ、又は保管される。
【0011】
シリンジ20の注文は、例えば医療施設42内の購入事務所25、医療施設42の一部であり又は独立している診療所27のような種々の場所から受け取ることができる。さらに、注文は特定患者と関連していてもよいし、関連していなくてもよい。
【0012】
注文に基づいて、発送箱34は流通機構40に入り、種々の施設42例えば病院、画像サービスプロバイダ及び/又は他の医療施設に引き渡される。図1Aの実施例では、施設42は、病院であり、予充填シリンジ20の箱34を受け入れる発送/受入領域44を有する。ちなみに、ここで「予充填(prefilled)」とは、少なくとも医療流体を容器に配置してユーザに販売し及び/又は引き渡すよう設計された容器のことをいう。多くの場合、箱34は室46に一時的に保管さる。室46は、病院42内の薬局と関連していてもよいし、していなくてもよい。望まれるなら、箱34は準備室48に移送され、そこでシリンジ20を開封し、加温オーブン36に設置し、造影剤の温度を約体温(例えば約97°Fと約100°Fの間)まで上昇させてもよい。適当な時間で、1又は複数のシリンジ20は加温オーブン36から取り除かれ、イメージングスーツ(imaging suite)26aに運ばれ、自動液体注入器50に装着される。注入器50は造影剤を検査対象すなわち患者52に注入するように動作する。使用後、使用済みシリンジ20は自動再充填のために処理され、公知の方法で(例えば廃棄領域112)廃棄される。このため、「予充填シリンジ」の用語は準備室48及びイメージングスーツ26aから離れた位置で医療流体(例えば、造影剤)が充填されたシリンジ20を意味する。
【0013】
動物に注入される如何なる物質についても、予充填シリンジの充填、流通、準備及び使用において従うのが好ましい無規制の一般的方法はもちろん、非常に多くの規制方法がある。さらに、規制及び一般的方法は使用される造影剤のタイプに依存して異なっていてもよい。したがって、例えば充填から廃棄までの実質的に全てのステップで、ライフサイクルの間のシリンジ20の取扱いに関する相当な量のデータを生成し提供することが一般に望ましい。さらに、データはある場所例えば各充填及びラベリング部28,32から他の場所例えば各準備及びイメージングルーム48,26aに移動可能であることが一般的に好ましい。今日、そのようなデータは、シリンジ20及び/又は箱34に配置されたタイプ及び/又は手書きの情報とそれに関する手書きの記録を利用して記録され移送することが知られている。しかしながら、シリンジ20のライフサイクル中、データは、通常は統合されていないコンピュータシステムで使用され、ときには互換性のないデータベースで使用されることが望ましい。
【0014】
容器ライフサイクル18aの全ての段階の任意の部分で利用することができる共通データ獲得保管システムを各シリンジ20に提供するために、無線周波数認識装置(「RFID」)のタグ及びリーダのシステムが使用される。
【0015】
RFIDベースのシステムの目的は、タグとして公知のトランスポンダにデータを移送し、該データを適当な時間と場所において機械読み取り手段により引き出し、特定の適用要求を満足させることである。したがって、タグ又はトランスポンダは典型的にはRF駆動回路と関連アンテナを含んでいる。RF駆動回路は、データを記憶し必要な復調及び妥当な場合には変調機能を実行することができるプログラマブルプロセッサと関連メモリを有する集積回路チップをよく利用している。タグ内のデータはシリンジの寿命の間有用な予充填シリンジに関する任意の様式の情報を提供してもよい。RFIDシステムは、データをコンピュータ又は情報管理システムに授受する手段はもちろん、タグからデータを読み取り、ある場合にはタグにデータを書き込む手段を含むことが好ましい。このように、RFIDシステムはタグシステムは、様々な時間に様々な場所でタグにデータを書き込み、タグからデータを読み取る汎用性を有していることが好ましい。
【0016】
無線通信は、タグとリーダの間でデータを移送するのによく使用されている。このような通信は電磁波例えば高周波をタグとリーダの両方に存在するアンテナ構造により伝搬することに基づいている。RFIDタグととともに、共通アンテナ又は個別アンテナのいずれかを使用して、タグからデータを読み取り、タグにデータを書き込むことが知られている。閉ループ、開ループ、ストリップライン、ダイポール及び/又は他のアンテナを使用してもよい。さらに、RFIDタグは、受動的すなわち独立電源がなくてもよいし、能動的すなわちバッテリーのような電源を備えていてもよい。ここに記載の分野では、特定のアンテナ形態の選択と、能動的又は受動的RFIDタグを使用するか否かは、アプリケーション依存であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0017】
供給者施設24で実施されるシリンジ製造方法の例示的な実施形態が、図6に示されている。まず、502では、充填部28でシリンジ20に造影剤22を充填する。その後、504では、ラベリング部32で人間が読み取り可能な及び/又は機械が読み取り可能な印(indicia)を含むラベル30をシリンジ20に貼り付ける。ラベリング行程の一部として、RFIDタグ60をシリンジ20に取り付ける。RFIDタグ60はTFIDチップと関連アンテナ例えば図5Aに示すようなRFIDチップ212とアンテナ210を公知の方法で組み込む。RFIDタグ60はラベル30の一部であってもよいし、ラベル30と別個であってもよい。図2A−2Dに示すように、RFIDタグはシリンジ20上の任意の適当な位置に取り付けることができる。例えば、図2Aに示すように、RFIDタグ60はシリンジフランジ56の後面55に取り付けることができるし、図2Bに示すように、RFIDタグ60はシリンジの外周円筒面57に取り付けることもできる。図2Cに示す他の実施形態では、シリンジ20を注入器のパワーヘッドに装着する前に、RFIDタグ60をシリンジ20から剥がし、注入器に取り付けることができる。シリンジ20を注入器パワーヘッドから取り外すと、RFIDタグはシリンジ20に再度取り付けられる。図2Dに示すさらに他の実施形態では、RFIDタグ60は、プランジャー59の後面58に取り付けることができる。プランジャー59は成型材料63により覆われたコア61を有していてもよい。RFIDタグは、種々の位置65a,65b,65c等で、プランジャー構造に取り付け、又は一体化することができる。図2Dに示すように、RFIDタグは、シリンジ20の先端から延びる排出延長部(例えばノズル)に60´で示すように取り付けてもよい。又は、60"で示すようにRFIDタグはシリンジ20の前壁(例えば傾斜前壁)に取り付けることができる。
【0018】
図1Aの供給者設備24内には、リード/ライト(「R/W」)装置62がラベリングコンピュータ64に接続され、506(図6)で、RFIDタグ60に造影剤又は他の薬剤、関連の予充填シリンジ又は他の容器20に関するデータを書き込むように動作可能である。RFIDタグ60に書き込むことができるデータは、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−特殊容器識別番号
−暗証番号を提供することができるR/W装置にRFIDタグへのアクセスを制限する暗証番号
−容器に充填された薬剤の容量
−容器内の全有効容量及び/又は有効容量の物理的寸法
−容器内の薬剤の識別又はタイプ
−薬剤の濃度
−薬剤の化学式
−製造データ
−工場、製造ライン、充填部機械の識別及び/又は容器と関連するバッチ番号
−容器が充填された日と時間
−薬剤の有効期限及び/又は日時、及び/又は貯蔵期間
−NDCコード
−1又は1以上のベンダー特定在庫コード、例えばSKUコード
−容器が充填された国の識別
−容器及び/又は容器包装の識別
−供給者の製品プロモーション及び/又はクーポン、及び/又はインターネットリンク
−容器の使用が意図されている自動注入器の最新の推奨ソフトウェア
【0019】
その後、508で、シリンジ20は発送箱34に積み込まれ、510で、箱34は発送/受入部38に在庫として保管される。受け取った注文に基づいて、512で示すように、箱34はさらに顧客に発送するためにケース又はバッチ67にまとめられ、パレットに載せられる。個々の発送箱34又は該箱の統一されたケース又はバッチ67にラベル66を選択的に貼り付けることができる。ラベル66は人間が読み取れる、又は機械が読み取れる印を含めることができ、及び/又はRFIDタグとすることができる。このような印又はRFGIDタグデータは、供給者の識別、製品、製品有効期限及び包装を含むが、これらに限定されない。包装コードは包装が単一シリンジか、1箱のシリンジか、1ケースのシリンジかを識別する。発送用に1つの箱34又はバッチの箱34を準備する際に、箱34内のシリンジ20上のRFIDタグ60からデータを読み取り、又は該RFIDタグ60にデータを書き込むのに、発送コンピュータ70に接続されたR/W装置68を使用してもよい。さらに、適用可能であれば、R/W装置68は、ラベル66と関連するRFIDタグからデータを読み取り、また該RFIDタグにデータを書き込むのに使用してもよい。このように発送コンピュータ70は、パラメータ例えばシリンジのタイプ、造影剤のタイプ、造影剤濃度などを識別することができ、またこれらのパラメータが特定の注文の仕様と一致することを確認することができる。R/W装置68は、シリンジ20上のRFIDタグ60、及び/又はラベル66上のRFIDタグに、次のものを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
−顧客の識別
−仕入送り状及び追跡番号
−購入及び/又は発送日
−顧客特定市場データ
−顧客により所有される自動注入器の顧客特定最新ソフトウェア
【0020】
次に、箱34は流通機構40に入り、病院42のような撮像施設の受入部44に受け入られる。シリンジ保管準備工程の例は図7に示されている。箱34を受け入れると、発送受入コンピュータ74に接続されたR/W装置72は、602で、シリンジRFIDタグ60及び/又は発送箱RFIDタグ66を読み取る。図3Aに示すように発送/受入コンピュータ74は読取りデータを在庫データベース76に記憶する。発送/受入コンピュータ74は、通信リンク例えばイーサネット(登録商標)LAN等を介して、病院管理コンピュータ78及びその他のコンピュータに接続され、1又は1以上のバージョンの在庫データベース76は如何なるコンピュータにおいても維持される。このように、受入コンピュータ76,又は他のコンピュータは、引き渡されたシリンジが病院購入注文と一致するか否かを確認することができ、また適用可能であれば、請求書の支払いを自動的に許可することができる。さらに、発送/受入コンピュータ74を介して、箱34内のシリンジRFIDタグ60は、604で以下のものを含がこれに限定されないデータを更新することができる。
−容器が受入られた時間と日
−病院SKUコード
−医者関連情報
−患者関連情報
−保管室又は他の保管領域の識別
−薬剤が使用される特定準備室及び/又はイメージングスーツの識別
−使用される特別自動注入器の識別
【0021】
その後、606で、箱は室46に引き渡される。図3Aと1Aに示すように、室46内では、コンピュータ79に接続されたR/W装置77は、シリンジRFIDタグ60を読み取り、コンピュータ79内のデータベースを更新するのに使用することができる。さらに、又は代案として、図3Aに示すように、コンピュータ79は、通信リンク80を介して、管理コンピュータ78内の在庫データベース76を更新するのに使用することができ、これにより発送/受入領域44から室46へのシリンジの引渡しを確認することができる。
【0022】
通信リンク80は、標準PCベース通信プロトコル、例えばBLUETOOTH、IrDA、ZigBee、802.11b/g、その他の同等な有線又は無線接続を使用するイーサネット(登録商標)、USB、RS―232、RS―422又は他のインターフェースにより実行してもよい。
【0023】
その後、発送箱34を室46から準備室48に移動する指示が与えられる。R/W装置77は、606でRFIDタグ60を読み取り、所望のシリンジを収容する箱34を見つけるのに使用される。さらに、RFIDタグを読み取ることにより最も古い在庫を認識することができる。(造影剤は貯蔵寿命(shelf life)を有しているので、先入れ先出し在庫手順に従うのが適しているかもしれない。)その後、608で、認識された発送箱34は準備室48に引き渡される。
【0024】
準備室48では、シリンジ20は箱34から取り出され、加温器36に設置され、造影剤を約体温までもってゆく。図1A、3A及び4に示すように、R/W装置81はユーザインターフェース86を有する加温器コントローラ82に接続されている。加温器コントローラ82は、イメージング情報システム87に電気的に接続され、該イメージング情報システム87は通信リンク80に接続され、そしてこれにより病院42の他のコンピュータに接続されている。加温器36にシリンジを設置すると、R/W装置81は610でそれぞれのRFIDタグ60を読み取り、図3Aに示すように、シリンジ20に関するデータをイメージング情報システム87のワークインプロセス(work-in-process)データベース84に伝送する。さらに、又は代案として、イメージング情報システム87は通信リンク80を介して、在庫データベース76を更新するのに使用することができ、これにより他のコンピュータは加温器36においてシリンジRFIDタグ60に書き込み、またシリンジRFIDタグ60から読み取った情報を追跡することができる。R/W装置81は各シリンジ20が加温器36に設置された時間と日を各RFIDタグ60に書き込んでもよい。さらに、技術者がユーザインターフェース86を介して特定の造影剤を要求すると、加温器コントローラ82は、ユーザインターフェース86を介して、加温器36の内側の特定のシリンジ例えば長時間加温器に有ったシリンジを技術者に認識させることができる。(造影剤が制限された貯蔵寿命を有するだけでなく、加温器36で過ごした時間も限定すべきである。したがって、加温器36の中の在庫は先入れ先出しベースで取り扱ってもよい。)612で加温器からシリンジ20を取り出すと、R/W装置81は各RFIDタグ60に時間と日を書き込み、取り出されるシリンジを識別するデータを読み取る。ワークインプロセスデータベース84と他のデータベースは、適切に更新される。加温器コントローラ82は、正しいシリンジが取り出されたことを、ユーザインターフェース86を介して技術者に確認する。
【0025】
図1A,3A,4及び5Aを参照すると、1又はそれ以上のシリンジ20a、20bはイメージングスーツ26aに運ばれ、それぞれ、公知の方法で自動流体注入器50のパワーヘッド90に取り付け可能であるマウント又はフェースプレート88a、88bの一方又は両方に装着される。例示的な注入器は、米国特許出願第10/964003号に示され記載されており、その全体は参照することでここに組み入れる。ここで説明するパワーヘッド90は2重ヘッド注入器であるが、本発明の実施形態は単ヘッド注入器も明示的に企図している。適切な単ヘッド注入器は米国特許第5300031号に示され、その全体は参照することでここに組み入れる。
【0026】
注入器が複数のシリンジを受け入れる図示された適用では、約200mlの容量を有するユーザ充填シリンジがフェースプレート88aの圧力ジャケット250に装着可能である。さらに、約90ml又はそれ以上の容量を有する予充填シリンジがフェースプレート88bに装着されてもよい。注入器パワーヘッド90は手動操作ノブ95a、95bを有し、これらは注入器制御回路を介して動作可能であり、各プランジャードライブ95a、95b内のモータを制御する。プランジャードライブ95a、95bは各シリンジ20a、20b内のプランジャーを公知の方法で移動するように動作可能である。パワーヘッド90及び注入器コントローラ93の例示的動作は、米国特許出願第10/964002号に示され記載されており、その全体は参照することでここに組み入れる。さらなる例示的動作は米国特許第5662612号,第5681286号、第6780170号に記載されており、それらの全体は参照することでここに組み入れる。図3Aに示すように、注入器コントローラ93は通信リンク80を介して病院情報システム78に電気的に接続され、及び/又は通信リンク80に関して前述したような技術を使用する通信リンクによりイメージング情報システム87に電気的に接続されてもよい。
【0027】
注入器パワーヘッド90は、ユーザインターフェース94、例えば、注入器50の現在状態及び動作パラメータを表示するタッチスクリーンを有している。パワーヘッド90は車輪付スタンド100によく装着され、これによりパワーヘッド90を検査対象52の近傍に容易に位置決めすることができる。注入器50は、遠隔配置されたコンソール96を有し、リモートユーザインターフェース97、例えば、タッチスクリーン、電源98、その他のスイッチ及び部品(不図示)を備えている。コンソール96は、プログラムを入力し、遠隔地から公知の方法で注入器50の動作を制御するために、オペレータにより使用されてもよい。注入器コントローラ93の部品はパワーヘッド90に組み込んでもよいし、電源98又はコンソール96のような注入器の他の要素に組み込んでもよいし、これらの要素の間に分配してもよい。
【0028】
フェースプレート88bは、印刷回路(PC)基板102に装着されたヒータ106を支持する外方に延びるクレードル99を有している。ヒータ106は、ケーブル又はコネクタを介して注入器コントローラに電気的に接続され、シリンジ20bを加熱するのに公知の方法で動作可能である。PC基板102はさらにR/W装置104bと関連のアンテナ装置229bを支持している。R/W装置104bはまた注入器コントローラ93とコンソール96に電気的に接続されている。さらに、R/W装置104bは、注入器コントローラ93により起動して、各シリンジ20bのRFIDタグ60からデータを読み取ってもよい。データは、シリンジ20bが各フェースプレート88の近傍にあるときに、任意の特定の時間に、RFIDタグ60bに書き込み、及び/又はRFIDタグ60bから読み取ってもよい。このように、本システムは、シリンジ20a、20bが各フェースプレート88a、88bに装着されたときを決定する能力を有する。データは符号化され、該データとデータ転送は21CFR11,JCAHO,及びHIPAAの要求に従ってもよい。
【0029】
イメージングスーツ26a内のシリンジ20bを利用するプロセッサ一例が、図8に示されている。この例は、フェースプレート88bに装着されたシリンジ20bに関して主として記載されているが、この記載はフェースプレート88aに装着されたシリンジ20aにも同様に適用可能である。この記載はさらに、造影剤が両シリンジ20a、20bから連続的に又は同時に分配される注入工程にも適用可能である。2つのシリンジ内の混合造影剤及び/又は造影剤と塩水の所望の濃度を達成するために、制御され選択された流量で両シリンジからの同時分配を行ってもよい。
【0030】
図8の工程を参照すると、まず、702で、R/W装置104bを起動して、造影剤又は他の薬剤及びその関連の予充填シリンジ又はその他の容器20bに関するRFIDタグ60bに記憶されたデータを読み取る。704で示すように、情報は以下のものを含むが、これらに限るものではない。
−容器識別及び/又は製造番号。これは、以前に使用された容器のデータベースと照合され、必要に応じて容器の潜在的再使用を阻止する。
−容器安全コード。これは、使用する注入器の安全コードと合致していてもよい。
−技術者が注入器を設定するのを支援するための容器容量及び容器引き渡しに関する情報。
−より正確なリアルタイム容量分配制御を行うための容器容量及び/又は寸法情報。
−選択されたプロトコルに対して正確か否かを確認するための薬剤タイプ及び濃度データ。
−容器及び/又は薬剤を呼び戻しデータ(recall data)と照合するのに使用することができるID、バッチ及びロット番号
−貯蔵寿命データ及び充填日。これは、推奨貯蔵寿命を超えたか否か決定するために、現在日と比較される。
【0031】
R/W装置104bはまた、現在日時をRFID装置80bに書き込み、制限されたシリンジ20bの大気開放時間の追跡ができるようにする。造影剤注入工程の間、シリンジプランジャーの変位は、RFIDタグ60bから読み取られた利用可能なシリンジ容量及び/又は寸法に関するデータに従って、正確に制御される。さらに、プランジャーの送り量が追跡され、シリンジに在留する造影剤を連続的に決定することができる。
【0032】
フェースプレート88a、88bは注入器コントローラ93との双方向通信リンクを有し、シリンジ20a、20bと注入器コントローラ93との間の上記情報のいずれかを伝送するのに使用することができる。このように、注入器コントローラ93は、シリンジ及び薬剤情報を有し、これらは手順の設定を促進する結果、時間が節約され、過誤が減少する。さらに、注入器コントローラ93は、シリンジ情報には直接関係がない他の情報をフェースプレート88a、88bから読み取り、又はフェースプレート88a、88bに書き込んでもよい。この例として以下のものを含むが、これらに限定されない。
−フェースプレート電子回路の許可又は不許可
−造影剤加温用のフェースプレートの加熱
【0033】
図8のステップ706では、造影剤はある手順と関連して使用される。図4に示すように、造影剤の注入前、注入中及び注入後、技術者は仮線で示すようにCTスキャナ103bに患者105を走査させるのに有効であるCTスキャナコントローラ101を操作する。注入器コントローラ93は、CTスキャナコントローラ101用の公知のインターフェースであるCAN通信バス111への1又は複数のインターフェースを有していてもよい。プロトコルはスキャナ製造者により規定される。データと、注入器とスキャナ間のデータ移動は、21CFR11、JCAHO及びHIPAAの要求に従う。
【0034】
図8に戻ると、706に示すように、注入器コントローラ93とCTスキャナコントローラ101の間のデータ転送は、双方向であり、造影剤又はその他の薬剤及びその関連の予充填シリンジ又は他の容器20bに関するものでもよい。そのようなデータは、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−薬剤ブランド名、濃度、ロット番号
−薬剤失効データ、容量
−注入容量、流量(達成、目標)
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−容器の使用又は不使用状態
−CTスキャナ設定及び手順情報
−CTスキャナID及び/又は製造番号
−CY画像
−病院情報システムデータ
−注入器機能制御
−CTスキャナ機能制御
【0035】
注入器コントローラ93が所望の容量の造影剤が供給されたことを決定すると、注入工程は停止する。注入工程の終わりに、図8に708で示すように、注入器コントローラ93は注入された造影剤の実際容量を決定するように動作可能であり、注入器コントローラは、以下のものを含むがこれらに限定されないデータと情報を、RFIDタグ60bに書き込み、及び/又は画像情報システム87を更新する。
−注入工程が終了した日時
−注入された容量、流量(達成、目標)
−容器に残留した薬剤の容量
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−シリンジの使用又は不使用状態
−CTスキャナ情報
【0036】
図4に示すように、注入器コントローラ93は、通信リンク107をハードコピープリンタ109に提供するインターフェースを有している。プリンタ109は、熱、インクジェット、レーザをベースにしたプリンタであってもよいが、これらに限定されるものではない。プリンタ109は、ユーザ、CTスキャナコントローラ101、病院情報システム78、又は注入器コントローラ93の要求により、特定の時間に、種々のサイズと色のページ及び/又はラベルを印刷するのに使用してもよい。ラベルは、患者記録、請求書、又は他の書式の一部を形成してもよい。データ出力及びデータ転送は、21CFR11、JCAHO、及びHIPAAの要求に従ってもよい。
【0037】
図8に戻ると、710で示すように、ラベル又はページは、造影剤又は他の薬剤、関連する予充填シリンジ又は他の容器20b、及びその使用に関する情報を提供するように、印刷されてもよい。このような情報は以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−薬剤ブランド名、濃度ロット番号
−薬剤失効日、容量
−注入容量、圧力、流量(達成、目標)
−注入時間
−患者名、体重、年齢、ID番号、例えばSS番号、病院ID等
−注入器製造番号、ファームウェアバージョン
−手順番号及び/又は名称
−技術者名及び/又は識別番号
−病院名及び/又は識別番号
−シリンジの使用又は不使用状態
−グラフ又はチャート、例えば圧力、流量等
−CTスキャナ情報
−CTスキャン情報
−技術イニシャル(tech initial)、図面等のための空欄又はブランク
【0038】
このように上記情報のいずれかは、注入器コントローラ93と病院情報システム78の間で交換することができる。この可能性に対する潜在的使用は以下のものを含むが、これらに限定されるものではない。
−患者記録中の注入造影剤の容量及び他の手順情報を含む電子機器
−供給者の電子再注文
−自動請求書作成
−自動スケジューリング
【0039】
注入工程後、注入器コントローラ93は、RFIDタグ60bに書き込んで、シリンジ20bの再使用を防止するのを支援するシリンジ使用フラグを設定する。次にシリンジ20bはフェースプレート88bから取り外される。手順が失敗し、シリンジが使用されなければ、加温器36に戻すことができる。このプロセスでは、情報は前述したように、RFIDタグ60bから読み取られ、及びRFIDタグ60bに書き込まれる。さらに、画像情報システム87は、シリンジの大気開放時間を追跡して、ある大気開放時間を超えると技術者に警告することができる。
【0040】
フェースプレート88bから取り外されたシリンジ20bが空であれば、シリンジは典型的には廃棄領域112に輸送される(図1A,3A,4)。そして、廃棄前に、他のコンピュータ75の一つに接続された他のR/W装置114はRFIDタグ60bを読み取る。在庫データベース76はこのように破壊されるシリンジ20の識別を追跡することができる。さらに、シリンジ廃棄情報は、図3Aに示すように通信リンク118を介して、例えばインターネット83、電話回線、又は他の互換性のある優先又は無線接続を介して、供給者コンピュータ116に通信することができる。
【0041】
他の実施形態では、空のシリンジは、破壊される代わりに、さらなる処理のために、例えば廃棄又は再充填のために、供給者24に戻される。後者の実施例では、シリンジ20は病院発送/受入領域44を通過し、RFIDタグは病院を離れるシリンジを識別するために再度読み取られる。これに伴い在庫データベース76が更新される。供給者発送/受入領域38に入ると、RFIDタグ60bは再び供給者在庫データベース120を更新するために読み取られ、供給者施設内のシリンジを追跡する。シリンジ20のRFIDタグ60bは、シリンジが供給者によって破壊され、再調製され、再充填されるか否かに基づいて、更新され、又は置換される。
【0042】
ここに示され記載されたシステムでは、注入器コントローラはCT手順を通しての情報収集と転送を容易にする。RFID許可シリンジは、薬剤情報の自動転送はもちろん、より迅速で正確なデータ記録を行う。プリンタは患者又は病院記録に組み入れられる選択情報のハードコピーができる。CTインターフェースはCANを介して、CTスキャナシステム又は注入器のいずれか一点での情報の流れと収集を促進する。病院情報システムインターフェースは、この情報の流れを一段と向上し、ユーザ介入が最小のオール電子化システムを潜在的に構築する。これは過誤の減少及びCTスキャニングスーツの効率化を提供する。
【0043】
他の例示的実施形態では、時折、フィールドエンジニアは、例えばルーチンメンテナンスのため又は不良動作を診断するために、自動注入器にサービスコールを行う。このようなサービスコールの間、フィールドエンジニアは、電気ジャンパを注入器コントローラに設置することなく、「サービス」モードで注入器を操作することができる。この代わり、図5Bを参照すると、サービスモード機能はインテリジェント識別(「ID」)カード122を使用してフィールドエンジニアにより開始される。このようなIDカード122は、RFIDチップ及び関連アンテナを公知の方法で組み込んだRFIDタグ124を有する。
【0044】
注入器メンテナンス用のIDカード122を使用する例示的方法は図9に示されている。802で示すように、RFIDタグ134は、以下のデータを含むがこれらに限定されないデータを備えた供給者施設24で装着される。
−フィールドエンジニアの識別
−最新の更新及びソフトウェア情報
−特定ソフトウェア改正
【0045】
自動注入器のサービスを開始するために、フィールドエンジニアはIDカード122を空のフェースプレート88bの上に置く。これによりR/W装置104bはRFIDタグ124に対して読み書きすることができる。図9の804で示すように、RFIDタグ124から適正な識別及び安全コードを読み取ると、フィールドエンジニア識別及びサービス日時が注入器コントローラ93に記憶される。その後、注入器ユーザインターフェース94,97(図5A参照)は有効となり、注入器50をサービスモードに切り替え、これにより、いくつかの通常の注入サイクルで使用されている幾つかの運転上の検査と特徴(operational checks and features)を不能にするが、注入器50をサービス目的で運転するのを禁止する。R/W装置104は周期的にRFIDタグ124から識別及び安全コードを読み取るのを継続する。RFIDタグ124を首尾良く読み取るのに失敗すると、例えば、IDカード122がフェースプレート88bから取り外されているので、注入器コントローラ93は自動的に注入器50をサービスモードから切り替える。これにより、以前に不能にした運転上の検査と特徴は、再度可能となり、注入器は通常注入サイクルで運転する用意ができる。さらに、804で、注入器コントローラ93は、注入器部品とソフトウェアに対する工場最新情報(factory updates)に関する情報とデータをRFIDタグ124から読み取るように動作である。
【0046】
注入器50をサービスする工程では、806で示すように、フィールドエンジニアはRFIDタグ124から注入器コントローラ93にソフトウェアアップグレードのアップロードを開始する。さらに、機械的要素が修理され、機械的アップグレードが設置され、それらの動作が確認される。サービス動作の最終工程として、808に示すように、注入器コントローラ93はIDカード122のRFIDタグ124に、次のものを含むがこれらに限定されないデータを書き込む。
−インストールした最新スフとウェア改訂版
−機械及びスフとウェア最新版がインストールされたことの確認
−サービスの日及び注入器の製造番号
−最新のサービスからの注入器動作に関するプロトコル、統計、又は詳細
【0047】
フィールドエンジニアが供給者施設24に戻ると、RFIDタグ124が読み取られる。サービス情報が修理された特定の注入器と関連する履歴ファイルに記憶される。
【0048】
容器20上のRFIDタグ60と自動注入器コントローラ93の間でのRF通信システムの使用は、RF通信システムのさらなる例示的実施形態を提供する。公知のRFIDシステムは、電磁(EM)場を使用して、同調アンテナを含むR/W装置と1又はそれ以上のRFIDタグ又はトランスポンダとの間で通信する。一つの例示的実施形態では、R/W装置はEM場を使用して特定の周波数でデータを送信する。この受動的RFIDタグを用いて、EM場はタグを給電し、該タグはこの受信データを処理することができる。データの受信に続いて、RFIDタグはR/W装置により受信され処理されたデータを送信してもよい。
【0049】
RFIDは金属又は反磁性材料例えばシリンジ内の造影剤のような容器内の水、塩水、医療流体の周りで実施することは困難である。これらの材料はRFエネルギーを吸収及び/又は反射するので、特にRF周波数に対する低出力同調での、首尾よい読書きRFID動作を困難にさせる。さらに、RFIDタグアンテナの面とR/W装置アンテナの面との間の角度は重要(critical)である。最適性能のためには、RFIDタグアンテナの面はR/W装置アンテナの面に実質的に平行であるべきである。図10に示すように、単面アンテナについては、RFIDタグアンテナ面202とR/W装置アンテナ面204の間の鋭角200が増加するにつれ、2つの面200,204のアンテナを結合する信号強度は減少する。換言すれば、角度200が増加するにつれ、R/W装置アンテナからRFIDタグアンテナへ伝送可能なRF信号強度は減少する。同様に、RFIDタグアンテナからR/W装置アンテナに戻る伝送可能な信号強度は減少する。さらに、信号強度は実質的に、R/W装置アンテナの出力信号強度から金属又は反金属材料からの減衰を差し引いて角度200のコサインで除したものに等しい。
【0050】
図5Aに戻ってこれを参照すると、シリンジ20bの方位は、RFIDタグアンテナ210をR/W装置104bに比較的近接して設置している。したがって、それらの間のRF信号を結合し、RFIDタグ60bからデータを読み取り及び/又はRFIDタグ60bにデータを書き込むことを促進する。しかしながら、図11に示すようにシリン20bを方位することで、シリンジ20b内の造影剤はRFIDタグアンテナ210とR/W装置104bの間にある。造影剤は、R/W装置104bのアンテナからのRF場強度を減衰し、RFIDタグアンテナ210とのRF結合と干渉する。
【0051】
本発明の一つの例示的実施形態では、図12を参照すると、アンテナ210とRFドライバ212を備えたラベル30bを有するシリンジ20bは、フェースプレート88b上に配置され、そこに装着される用意ができている。第1PC基板102と第2PC基板103が非平行となるようにフェースプレート88bに装着されている。PC基板102,103は、V形状の側面を形成し、これによりそれらの間の180度以下の角度を形成している。PC基板102は、第1アンテナループ220とその関連同調回路226を支持し、PC基板103は第2アンテナループ222とその関連同調回路228を支持している。第1と第2のアンテナループ220,222及び関連同調回路226,228は、切換回路241bを介してR/WRF駆動回路224bに接続され、まとめて電磁R/W装置104bを形成している。代案の実施形態では、R/WRF駆動回路224bと切換回路241bは、下方に位置して電気的にPC基板102に接続されている別個のPC基板102b(想像線で示す)に装着してもよい。他の実施形態では、R/WRF駆動回路224b及び/又は切換回路241bはパワーヘッド90に注入器コントローラ93と関連して装着してもよい。
【0052】
さらに、図13A−13Dに示すように、アンテナループ220,222、各同調回路226,228、及び切換回路241bを有するアンテナシステム229bは、異なる電気的形態で接続可能であり、R/W装置104bとRFIDタグ60bの間の最適RF結合を達成することができる。
【0053】
図13Aを参照すると、R/WRF駆動回路224bからの電力は同調回路226の入力230に印加され、該同調回路226はPC基板102上の第1アンテナループ220の信号リード231に接続されている。さらに、同調回路228の入力234は、PC基板103上の第2アンテナループ222の信号リード236に接続されているが、開又はフロートのままになっている。第1アンテナループのグランドリード232は第2アンテナループのグランドリード236とともにグランドに接続されている。この形態では、PC基板102上の給電された第1アンテナループ220は、RFIDタグ60bのプロトコルにより指示された周波数、例えば約13.56メガヘルツに同調され、これによりRF信号を周辺領域に伝搬することができる。第1アンテナループ220からのRF信号はPC基板103上の第2アンテナループ222と結合されている。なぜなら、第2アンテナループ222もまた約13.56メガヘルツで共振するように同調されるからである。
【0054】
V形状配置のPC基板102,103とそれぞれのアンテナループ220,222の領域は、R/W装置104b用の全アンテナ領域を拡張又は増加する。このように、図13Aのアンテナ形態とともに、図12に示すように、有効アンテナ領域は、図5Aに示す単一PC基板102で可能な領域よりも実質的に大きな領域のシリンジ20bの周りに周方向に延びている。さらに、RF駆動回路224bにより提供されるアンテナ電力は、アンテナループ220,222の結合領域により表される大領域を越えて拡張している。シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されると、シリンジ20bをある方位にすることで、図13Aに示す大アンテナ領域は、RFIDタグ60bのアンテナとのRF結合を向上する。
【0055】
図13Bに示すように、PC基板103上のアンテナループ222は、同調回路226入力230を遮断し又は開成してアンテナループ222の同調回路入力234をR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続することにより、主ループを形成することができる。第1アンテナループのグランドリード232と第2アンテナループのグランドリード236はグランドへの接続を継続する。再度、両アンテナループ220,222は、RFIDタグ周波数すなわち約13.56メガヘルツで共振するように同調される。図13Bのアンテナ形態は、シリンジ20bの方位及びRFIDタグに応じて、RFIDタグ60bアンテナ210との良好なRF結合を提供する。
【0056】
アンテナループ220.222の他の形態は、図13Cに示され、ここで第1アンテナループ220の同調回路入力230はR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続されている。第1アンテナループグランドリード232はグランドに接続されている。同調回路入力234とアンテナループ222のグランドリード236はグランドに接続され、これにより第2アンテナループ222がRFIDタグ周波数で共振するのが防止される。RFIDタグ周波数はこの分野では13.56MHzである。これはアンテナシステム229bの領域を第1アンテナループ220の領域に有効に減少する。R/WRF駆動回路224bからの全電力は、第1アンテナループ220の領域を横切って印加され、RFIDタグ周波数すなわち約13.56メガヘルツで共振するように同調される。シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されると、シリンジ20bとRFIDタグアンテナ210の方位に基づいて、図13Cの回路の小アンテナ領域は、RFIDタグ60bのアンテナ210とのRF結合を向上する。
【0057】
図13Dに戻ると、図13Cの代案として、PC基板103上の第2アンテナループ222の同調回路入力234はR/WRF駆動回路224bの電力出力に接続され、第1アンテナループ220の同調回路入力230はアンテナループグランドリード232と236とともにグランドに接続されている。このため、第1アンテナループ220は13.56MHzのRFIDタグ周波数で共振しない。第2アンテナループ222だけがその周波数で共振するように同調される。シリンジ20bをある方位にすることで、このアンテナ形態はRFIDタグ60bのアンテナ210との最良のRF結合を提供する。
【0058】
ある利用分野では、ユーザは、ラベル30bが常に同じ方位になるようにシリンジ20bをフェースプレート88bに装着するように指示されてもよい。あるいは、他の利用分野では、RFIDタグ60bは、シリンジから取外し可能であってもよいし、注入器50の固定位置に装着可能であってもよい。これらの利用分野では、R/WアンテナはRFIDタグとの最適RF結合を有するように設計し固定位置に設置することができる。しかしながら、さらなる利用分野では、ユーザは、RFIDタグ60bがシリンジ20bのどこに配置され、RFIDタグ60bがどの方位され、シリンジ20bがいつフェースプレート88bに装着されたかについて制限しないかもしれない。これらの理凹分野では、RFIDタグ60bはシリンジ20bのバレルの周り又はフェースプレート88b内の如何なる周方向位置にあってもよい。さらに、そのような利用分野では、図13A−13Dのどのアンテナ形態がR/W装置104bに対して未知の方位を有するRFIDタグとの最良のRF結合を提供するかを正確に予測することは困難である。これは、部分的には、複雑でいくらか予測不可能なEM場に起因する。EM場は該場を反射及び/又は吸収する材料の周りに形成される。したがって、本発明の他の例示的実施形態では、図13A−13Bの全てのアンテナ形態を利用してもよい。
【0059】
図14を参照すると、PC基板102上のスイッチ238,240は切換回路241bからなり、これは各同調回路230,234をR/WRF駆動回路224bからの電力出力すなわちターミナル242、グランドターミナル244、又は接点246で示すオープン状態のいずれかに選択的に接続するのに使用される。各アンテナループ220,222のグランドリード232,236は、グランド244に常に接続されている。スイッチ238,240の接点は、図13A−13Dのアンテナ形態に相当するスイッチ状態を示す図13A―13Dに対する標記を有している。
【0060】
使用時、図12と15を参照すると、シリンジ20bがフェースプレート88bに装着されたことを注入器コントローラ93が検出することで(例えばフェースプレート88bの装着アームの移動により、装着アームの磁石が注入器の磁気センサと直面する関係に移動する)自動的に通信サイクルを開始するか、オペレータが注入器コントローラ93に入力することでマニュアルで通信サイクルを開始する。いずれにせよ、注入器コントローラは、900で、スイッチ238,240を作動させて、アンテナループ220,222を4つの回路形態の一つ例えば図13Aに示す回路形態に接続する。その後、注入器コントローラ93は902でR/WRF駆動回路224bとRFIDタグ60bのRF駆動回路212との間で通信プロトコルを開始する。通信プロトコルの開始は公知の方法であり、これによりR/WRF駆動回路224は、タグアンテナ210との信頼性のあるRF結合を確立してRFIDタグ60bとのRF通信を確立するために、R/Wアンテナシステム229bに電磁信号を放射させる。RF通信を確立すると、R/W装置104bはRFIDタグ60bからデータを読み取り、RFIDタグ60bにデータを書き込むことができる。
【0061】
もし904で注入器コントローラ93が、通信プロトコルすなわちRF通信リンクが確立したことを決定すると、注入器コントローラ93は、906で、R/Wドライブ104bに、RFIDタグ60bからデータの読み取り及び/又はRFIDタグ60bへのデータの書き込みを進めるように指令する。しかしながら、904で、注入器コントローラ93が通信プロトコルに失敗し、R/W装置104bとRFIDタグ60bの間の首尾良いRF通信が形成されなかったことを決定すると、注入器コントローラ93は908で全てのアンテナループ形態が試行されたか否かを決定する。そうでなければ、注入器コントローラ93は910でスイッチ238,240を作動させ、アンテナループ220,222を図13A−13Bに示す4つの回路形態の他の1つに接続する。その後、注入器コントローラ93はステップ902−908を自動的に繰り返し、アンテナループ220−222を異なる回路形態に再接続し、首尾良いRF通信プロトコル又はリンクの確立を試行する。908で、注入器コントローラ93が全てのアンテナループ形態を不成功に試行した場合、912でプロトコル失敗フラグ又はエラーメッセージを設定する。
【0062】
図11−14は、アンテナシステム229bの異なる実施形態を示す。これは、開放フェースプレート88bに装着されたシリンジ20bに適用されたデータタグ60bを読み取るのに、電磁R/W装置104bを利用してもよい。さらなる実施形態では、図5Aを参照すると、シリンジ20aは、多くの場合ユーザ充填廃棄可能シリンジであるが、フェースプレート88aの半透明又は透明圧力ジャケット250内に装着される。シリンジ20aはキャップ252により圧力ジャケット250に公知の方法で固定されている。データタグ60aはシリンジ20aに適用されたラベル30aに一体化され、データタグ60aの構造と動作は前述したデータタグ60bと実質的に同一である。フェースプレート88aの圧力ジャケット250を利用するとき、データタグ60aは圧力ジャケット250の内側の方位に拘わらず読み取り可能であることが望ましい。
【0063】
図5Aと16を参照すると、RFID通信システムのさらなる例示的実施形態において、データタグ60aの読取性を向上するために、圧力ジャケット250は、シリンジ20aの周囲に配置されたアンテナループ254,256,258のアレイを含むアンテナシステム229aを備えていてもよい。アンテナループの等配置が示されているが、他の間隔を使用してもよい。圧力ジャケット250はそれぞれ内外の円筒スリーブ260,262を有する。図示されているように、アンテナループ254,256,258は、内外のスリーブ260,262の間に成型されてもよい。図17を参照すると、アンテナループ254,256,258はそれぞれの同調回路264、266,268を有し、それらは内外の円筒スリーブ260,262の間に成型されている。同調回路入力リード270,272,274とグランドリード276は、フェースプレート88aからパワーヘッド90に配置された切換回路241aに延びるケーブル278に結束してもよい。切換回路241aは適宜の方法で、例えば図14の切換回路241bに対して述べたような方法で作動させてもよい。切換回路241aはR/W駆動回路224aにより制御されてもよく、該R/W駆動回路224aはパワーヘッド90に配置されてもよい。データタグ60aとデータを交換するために、R/W駆動回路224aは、アンテナループ254,256,258を利用して、図15に関して説明したのと同じ方法で、通信サイクルを実行してもよい。これにより、データタグ60aとの通信を開始するのに、R/WRF駆動回路224aはアンテナループ254,256,258を異なる回路形態で接続し、データタグ60aとの最も信頼性のある通信を提供する回路形態を見つけるようにしてもよい。2つ以上のアンテナループを使用することにより、データタグ60aとの通信サイクルを開始するのに低電力が要求されるようにしてもよい。追加の例示的実施形態では、アンテナシステム229aは3つのアンテナループを含むように示されているが、他の実施形態は、アンテナループの他の適宜の量及び/又は配置を含んでいてもよい。さらに、アンテナシステム229aは圧力ジャケット250の要素として示されているが、他の実施形態は圧力ジャケットと関連しない複数のアンテナループを有するアンテナシステムを含んでいてもよい。
【0064】
種々の実施形態において、アンテナシステム229a,229bは、1又は複数のアンテナループを含むのが有利である。これらのアンテナループは、個別に給電され、互いに連結されて、いくつかの同調アンテナ及びEM場の形態を提供することができる。ある環境では、アンテナシステム229a、229bは、データタグからデータを読み取り、該データタグにデータを書き込むのに有効な低電力システムを提供することを特徴としてもよい。データタグは造影剤シリンジの任意の位置に配置されてもよい。さらに、造影剤シリンジは、関連する自動注入器50のフェースプレートに対して任意の方位で垂直に配置してもよい。これにより、アンテナシステム229a,229bは、金属又は反磁性材料、例えば、水、塩水、造影剤、又は他の流体の周り、及び/又は比較的低電力のRF信号の使用を命じる調整環境で、RF通信システムの使用に関する種々の課題に積極的に取り組んでもよい。
【0065】
図1Aに関して記載した例示的実施形態は、一般に造影剤のような薬剤が充填されたシリンジのような容器のライフサイクルに関する。しかしながら、図1Bを参照すると、容器ライフサイクル18bは、放射性薬剤を保管するのに使用される他のタイプの容器20cに関するものでもよい。図1Bの容器ライフサイクル18bの多くは、図1Aの容器ライフサイクル18aに類似している。容器20cは、シリンジとして概略的に示されているが、容器20cは、放射性薬剤とともに使用するのに適したバイアル又は他の容器であってもよい。供給者施設24内では、容器20cが吸引又は充填部28で放射性薬剤で満たされた後、品質制御部31で放射性薬剤の品質制御チェックが行われてもよい。その後、容器20cは、ピッグ33に設置又は装填される。ピッグは、取扱者が放射性薬剤からの放射線に曝されるのを保護する鉛及び/又は他の放射線遮蔽剤を含む。
【0066】
図1Aの容器20に対して説明したのと類似する方法で、図1Bに示すように、装填ピッグ33は、単品で又は適当な発送箱34によるバッチのいずれかで包装され、顧客又はユーザに発送される。多くの場合、箱34は病院42内の原子力薬剤部29に保管される。該原子力薬剤部は、一般に放射性薬局48と治療室26bを含む。要求により、放射性薬剤容器がピッグから取り出され、較正ツール49に設置し、放射性薬剤の活性レベルを使用前の所望のレベルに較正してもよい。次に、放射性薬剤容器はピッグに戻され、適当な時間に、ピッグは治療室26bに運ばれてもよい。放射性薬剤容器は再度ピッグから取り出され、放射性薬剤は、マニュアルで、又はここに図示され記載されたような自動注入器を使用して、患者52に注入される。種々の実施形態では、異なるマニュアル又は自動注入器は、本発明の種々の原理を利用してもよく、これによりこの開示の範囲内に含まれる。
【0067】
使用後、放射性薬剤容器はピッグに設置され、供給者施設24に戻される。そして、後処理部512で、放射容器は廃棄されてもよく、またピッグは再使用のために洗浄されてもよい。
【0068】
供給者施設24で実施される放射性薬剤容器吸引及び包装工程の例示的実施例は、図6に示されている。放射性薬剤容器20cは502で吸引部28において放射性薬剤を充填される。その後、504で、ラベル30及び/又はRFIDタグ60が、ラベリング部32において放射性薬剤容器20cに貼り付けられる。RFIDタグ60はラベルと一体にすることができ、又はラベルから分離することもできる。RFIDタグ60はRFIDチップと関連アンテナを公知の方法で組み込んでいる。
【0069】
図18に示すように、RFIDタグ60は放射性薬剤容器の任意の位置に貼り付けることができる。例えば、RFIDタグ60は放射性薬剤シリンジ20d又は放射性薬剤バイアル20eに貼り付けられるラベル30の一部とすることができる。放射性薬剤シリンジ20dの実施例では、RFIDタグは、図2A−2Dに関して前述したように異なる位置で、シリンジ構造に取り付けることができるし、又は一体化することもできる。さらなる実施形態では、シリンジラベル30は、取り外し可能であり、シリンジ20dが自動注入器に装着される直前に、RFIDタグを含むラベル30の一部を剥がして注入器又は関連リーダに取り付けることができる。放射性薬剤シリンジ20dを注入器から取り外すと、RFIDタグ30は放射性薬剤容器20dに再度貼り付けられる。同一又は異なるラベル30を、さらに又はその代わりに、放射性薬剤シリンジピッグ33a又は放射性薬剤バイアルピッグ33bに貼り付けることができる。さらに、RFIDタグ60を備えたラベル30は、箱34例えば複数のピッグを輸送するように設計されたかばん(satchel)に貼り付けることができる。
【0070】
図1Bの供給者施設24内では、読取り/書込み(「R/W」)装置62はラベルコンピュータ64に接続され、506(図6)で、特定の放射性薬剤容器20cに対して、RFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むように動作する。図3Bに示すように、吸引部(draw-up station)28は、R/W装置43と電気的に通信する吸引部コンピュータ41を含んでもよい。そして、適用分野に応じて、R/W装置43,62のいずれか又は両方は、RFIDタグ60にデータを書き込むのに使用することができる。そのデータはステップ506に関して前述したデータを含むが、これらに限るものではない。放射性薬剤については、データは、投与量、及び処方ラベルに現在印刷され及び/又はバーコードに符号化されている処方情報、測定放射能レベル例えばTc−99及びMo−99、測定時の時刻、使用した放射能要素の識別例えばTc−99及びMo−99、これらの出所、その他の適宜データの全てを含んでいてもよい。
【0071】
図6に戻ると、507と509に想像線で示す放射性薬剤容器20cに特有の行程が実行される。まず、507では、例えば放射性薬剤の純度、ラベルの情報の正確性、投与量情報等を決定するために、品質制御チェックが(例えば、寝室コントローラ部31で)実行されてもよい。図3Bに示すように、品質制御部31は、品質制御コンピュータ45と関連のR/W装置47を含んでいてもよい。これらは、実行された品質制御チェック及び/又は他のシステム仕様に依存して、RFIDタグ60からデータを読み取り及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むのに使用してもよい。
【0072】
容器20cは、次に、509で、取扱い、保管、輸送のためにピッグ33に挿入されてもよい。ラベル65をオプションとしてピッグ33に貼り付けることができる。ラベル65は、人間が読み取り可能な印、機械で読み取り可能な印及び/又はラベル30に関して説明したRFIDタグを含むことができる。容器20cをピッグに挿入する行程の一部として、RFIDタグ65からデータを読み取り及び/又はRFIDタグ65にデータを書き込むのにR/W装置62又は他のR/W装置のいずれかを使用することができる。RFIDタグ65に書き込むことができるデータは、容器20cのRFIDタグ60に書き込まれたデータを含んでいてもよいし、また次のものを含むがこれらに限るものではない。
−ピッグ用の独特な識別番号
−工場、生産ラインの識別、及び/又はピッグと関連するバッチ番号
−容器がピッグに挿入された日と時刻
−注文、放射性薬剤、その容器20c及び関連ピッグ33と関連するその他のデータ
【0073】
図6の508では(図1Aに関して前述したのと同様の方法で)、1又は複数のピッグ33が発送箱34に装填される(図1B参照)。510で、箱34は発送/受入部38に在庫として保管されてもよい。受けた注文に基づいて、512で示すように、箱24は顧客への発送のために、さらに組み合わせられ、ケース又はバッチ67にパレット化される。そして、ラベル66が個々の発送箱34、又は単一のケース、バッチの箱にオプションとして貼り付けることができる。
【0074】
図1Bと7を参照すると、箱34は流通機構40に入り、病院42のような診療施設の受入部44に受け入れられる。保管及び準備工程は、前述したものと類似の工程ステップ602と604で実行されてもよい。またステップ606では、箱は病院放射性薬局46(又は医療施設の原子力薬剤部又は他の適宜場所)に引き渡されてもよい。そして、
放射性薬局48内で、コンピュータ79に接続されたR/W装置77は、RFIDタグ65からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ65にデータを書き込むのに使用することができる。図3Bに示すように、コンピュータ79は、通信リンク80を介して、病院の管理コンピュータ78内の薬剤追跡データベース76を更新するのに使用することもできる。
【0075】
放射性薬剤容器に独特な工程は、図7の607と609に示されている。特に、607では、放射性薬局48内で、較正ツール49がよく使用され、容器内の放射性薬剤の投与量の放射能レベルをチェック又は有効にする。このチェック/有効は適宜の工程及び/又は較正ツールを使用して実行することができる。図3Bに示すように、較正ツール49はR/W装置89に接続された較正コンピュータ85を有していてもよい。R/W装置89は、チェック/有効工程中に、容器RFIDタグ30及び/又はピッグRFIDタグ65からデータを読み取り、容器RFIDタグ30及び/又はピッグRFIDタグ65にチェック/有効データを書き込むのに使用することができる。このチェック/有効データは次のものを含むが、これらに限定されない。
−チェック/有効時刻及び日
−放射性薬剤の減衰率及び半減期
−注入時の処方活性レベル(放射のキューリーレベル)
−他の時点例えば吸引時での活性レベル
−測定放射能レベル
−治療時の所望の放射線活動レベル
−注入された放射能要素の識別
−較正ツールとオペレータ等の識別
【0076】
引き続き図7を参照すると、適当な時点において、609で、ピッグ33は使用するために治療室に引き渡される。放射性薬剤はマニュアル又は自動注入器を使用して投与することができる。多くの場合、全てのケースではないが、放射性薬剤を収容するシリンジ20d又はバイアル20eは、マニュアル投与のために各ピッグ33から取り出される。しかし、他の適用分野では、前に図示し図8に関して説明した自動注入器及び方法を使用してもよい。放射性薬剤については、望まれるなら、注入器コントローラ93(図3B参照)と関連するR/W装置104は、RFIDタグ60に現在時刻と日を書き込み、ピッグ外時間(例えばシリンジ又はバイアルがピッグに収容されていない時間の経過)の追跡を許容してもよい。放射性薬剤注入行程の間、放射性薬剤容器のプランジャーの変位を精密に制御し、プランジャー送りを追跡してもよい(例えば、シリンジ及び/又はピッグと関連するタグに記録し書き込む)。
【0077】
ここに記載したラベリングシステムは較正ツール49の必要性を排除する潜在性を有していることに注意すべきである。例えば、図3BのR/W装置104は、品質制御部31(図1B)によりRFIDタグに書き込まれた放射性レベルと測定日時を読み取ることができる。注入器コントローラ93は、測定放射能レベルと予定治療日時との間の経過時間を計算することができる。注入器コントローラ93はさらに経過時間中の放射能レベルの減衰を計算することができる。そして、処方された放射性薬剤投与量でプログラムを組むことで、注入器コントローラは注入すべき正確な単位容量を計算することができる。このため、較正ツール49は必要とされない。放射性薬剤がマニュアルで注入される場合、コンピュータ79及び関連のR/W装置77は、臨床医又はその他の適切な個人により同様の方法で使用され、較正ツールを使用することなく計算された現在単位容量を表示することができる。
【0078】
注入行程の後、図1B、5A及び19を参照すると、放射性薬剤容器20cはフェースプレート88bから取り外されて、図19の802で示すように各ピッグ33に戻されてもよい。次に、ピッグ33は同一又は異なる箱に収容され、804で発送部44に戻され、806で供給者施設24に戻される。807で示すように、放射性薬剤容器と関連するラベルは、廃棄直前に読み取られ、実質的に全ての放射能が減衰する前に容器がどれくらい長く放射能遮蔽廃棄及び/又は保管容器に収容されなければならないかを決定するのを支援する。例えば、放射性薬剤の初期放射能は容器の充填時にタグに書き込む。この初期充填時に続いて、放射性薬剤の放射能が減衰する。減衰率は一般に知られているので、この減衰率と初期充填時からの経過時間を使用し、使用済み容器がもはや著しい放射能を有していないことを十分に保証するのにどのくらいの保管時間が必要かを決定する。この保管時間の計算は人為的及び/又は電気的に行われる(例えば、廃棄直前にタグを読み取るのに利用されるリーダと相互接続された適切なコンピュータを使用する)。
【0079】
供給者施設24(図1B)内の後処理部51では、808で、使用済み放射性薬剤容器は廃棄に適した処理を受け、810で関連ピッグは再使用のために洗浄される。後処理中、前述の任意のコンピュータは、容器20c、ピッグ33,箱34のRFIDタグからデータを読み取り、及び/又はRFIDタグにデータを書き込むのに使用することができる。このような活動は、特定の供給者、顧客、医者、及び/又は病院の要求を満たすのに依存した適用分野である。図3Bに示すように、後処理コンピュータ53は、放射性薬剤容器又はピッグの一方又は両方のRFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むR/W装置55に接続してもよい。事後処理コンピュータ53は、供給者施設内の放射性薬剤容器及びピッグを追跡する供給者在庫データベース120を(通信リンク57を介して)更新することができる。照射性薬剤ピッグ33のRFIDタグ60は更新されてもよいし、交換されてもよい。さらに、望まれるなら、放射性薬剤容器とピッグに関するデータは、通信リンク118、例えば、インターネット接続、電話接続、またはその他の適切なリンクを介して、供給者コンピュータ116から病院42内のコンピュータ79に、通信することができる。
【0080】
ここで意図されている方法では、RFタグ60は放射性薬剤容器20cに貼り付けてもよい。放射性薬剤容器20cはその後、鉛ライニングされたピッグ33に設置される。このような状況では、ピッグはRFタグ60の有用性を制限し、容器20cがピッグ33から取り出されない限り、その使用を妨げる。したがって、放射性薬剤容器20cがピッグ33に保管されるときに放射性薬剤容器20c上のRFタグからデータを読み取り、RFタグにデータを書き込むことができることが大いに望ましい。これは、図20−22に示すピッグ装着アンテナシステムの例示的実施形態により達成される。
【0081】
図20を参照すると、第1実施形態では、放射性薬剤ピッグ33bは細長いベース322と細長いキャップ324を有する。ベース322とキャップ324は、広範な形状とサイズで形成することができるが、ほぼ円筒形状が図示されている。キャップ324はねじ相互接続325により公知の方法でベース322に接合される。キャップ324内のキャップ遮蔽要素326とベース322内のベース遮蔽要素328は、シリンジ20c内の放射性薬剤から放射される放射能を遮断するのに使用される。遮蔽要素326,328は、放射能を遮断するのに有効な任意の材料、例えば鉛、タングステン、充填ポリマー合成材料等から形成することができる。キャップ遮蔽要素326は、キャップ324がベース322に装着されたときにベース遮蔽要素328を覆う突起329を形成している。シールド326,328のオーバーラップにより、ベース322から分離可能であるキャップ324により生じるシールドの不連続により、放射能の遮断が促進される。
【0082】
キャップ324はさらに外殻部332と内殻部334からなるキャップシェル330を有する。同様に、ベース322は、外殻部338と内殻部340からなるベースシェル336を有する。ベースシェルとキャップシェル328,330は、プラスチック材料例えばポリカーボネート樹脂等から形成されている。
【0083】
ラベル30が放射性薬剤シリンジ22cに公知の手段、例えば接着剤、テープ、弾性バンド等で貼り付けられている。実際には、ラベル30は任意の方法で放射性薬剤シリンジ20cに(容易に取り外せないように)取り付けてもよい。ラベル30は人間が読み取り可能及び/又は機械が読み取り可能な形態の印346を含む。ラベル30はさらに、RFID集積回路チップ212と少なくとも1つの無線周波数アンテナ210とからなるRFIDタグ60を有している。放射線薬剤シリンジ20cは、多くの場合、それが使用される医療施設から独立した施設で製造される。したがって、放射性薬剤シリンジ20cに関するデータは、多くの場合、その製造地点で収集される。さらに、追加のデータは、多くの場合、放射性薬剤シリンジ20cを含む放射性薬剤ピッグ33bを取り扱う流通機構の異なる地点で収集される。データはまた照射性薬剤シリンジ20cが使用された時及びその後、廃棄時、認可された再使用のための洗浄時に収集される。このように、放射性薬剤シリンジ20cと関連の放射性薬剤ピッグ33bのライフサイクルにわたって、シリンジ20cのライフサイクルの異なる時点でRFIDタグ60に書き込むことができるデータは、予め記載されていることになる。このようなデータは放射性薬剤の減衰率(例えば、薬剤の半減期)、注入時の処方活性レベル(放射能のキューリーレベル)、他の時点でのキューリーレベル(充填時)、及び/又は放射性薬剤が注入されることを準備技術者又は放射性薬剤師が仮定した時間を含むが、これらに限定するものではない活性レベルは、多くの放射性薬剤の半減期による時間の関数であり、活性レベルは特定注入時間に対して設計されている。
【0084】
RFIDタグ60に記憶されたデータから最大の利益を得るために、放射性薬剤シリンジ20cが放射性薬剤ピッグ33bに収容されるときに、タグを読み取ることができることが必要である。図20の実施形態では、少なくとも1つの無線周波数内部アンテナ358がベース内部殻340の内面にわたって設けられ、少なくとも1つの無線周波数外部アンテナ364はベース外部殻338の外面にわたって設けられている。孔360が、ベース内殻340、ベースシールド328、ベース外殻338を貫通して延びている。少なくとも1つの接続リード362、例えば胴線リードは、孔360を貫通して延び、内部アンテナ358に接続された一端と、外部アンテナ364に接続された他端とを有している。
【0085】
内部アンテナ358はRFIDチップ212に接続されたRFIDアンテナ210と結合するように設計されている。外部アンテナ364は、RFIDアンテナ210がR/W装置366と結合するのと同じ方法で、リード/ライト(「R/W」)装置366と電磁的に結合するように設計されている。R/W装置366は公知の方法でコンピュータ368に接続されている。R/W装置366は、それぞれ内部、外部アンテナ358,364を介してRFIDアンテナ210と電磁的に結合している。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクル中に取り扱われたときはいつでも、R/W装置366は、アンテナ210,358,362,364からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20c上のRFIDタグ60のRFIDチップ212から情報を読み取り、及び/又は、RFIDチップ212に情報を書き込むのに使用することができる。アンテナはRFIDアンテナとして使用するのに十分な長さのリードからなっているだけでよいことに注意すべきであり、その場合、コイルアンテナ部364がなくてもよい。
【0086】
RFIDタグ60を利用する放射性薬剤ピッグ33b及び放射性薬剤シリンジ20cの他の例示的実施形態が、図21に示されている。この実施形態では、内部及び外部アンテナ358,364は、それぞれキャップ324の頂部の内面、外面370,372に配置されている。アンテナ358、364は、キャップ324の頂部の孔374を介して延びる少なくとも1つのリード362により、電気的に接続されている。R/W装置366は、それぞれ内部、外部アンテナ358,364を介して、RFIDアンテナ210と電磁的に結合することができる。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクルで取り扱われるときはいつでも、R/W装置366はアンテナ210,358,364からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20c上のRFIDタグ60のRFIDチップから情報を読み取り、該RFIDチップに情報を書き込むのに使用することができる。
【0087】
キャップ324の頂部にアンテナ358,362を設置することは幾つかの利点がある。まず、キャップ324の頂部は、多くの場合、ベースシェル336よりも少ない放射性露出を受ける。さらに、キャップ外面372は、多くの場合、放射性薬剤ピッグ33bの取扱中に、ベース外殻338よりも物理的接触が少ない。したがって、キャップ外面372の外部アンテナ362は物理的損傷を受けることが少ない。
【0088】
RFIDタグ60を利用する放射性薬剤ピッグ33bと放射性薬剤シリンジ20cのさらなる例示的実施形態が図22と22Aに示されている。この実施形態では、RFIDタグ60は、図20に関して前に説明した方法で放射性薬剤シリンジ20cに取り付けられているラベル30cの第1部分上にRFIDチップ212を有している。ラベル30dの第2部分は、放射性薬剤ピッグ33bの外側に配置され、その上に少なくとも1つのRFIDアンテナ210を有している。第1ラベル部30cのRFIDチップ212は、少なテザー(tether)378と一体の少なくとも1つの電気的に導体のリード376により、アンテナ210に電気的に接続されている。導体リード376とテザー378は、所望の電気的及び機械的特性を提供する任意の材料、例えば絶縁又は非絶縁銅線、基板上に積層された銅トレース等から形成されてもよい。ねじ継手325は導体リード376とテザー378のための隙間を提供するように設計され、これによりキャップ324は、導体リード376とテザー378を損傷することなく、ベース322に取り付け、ベース322から取り外すことができる。R/W装置366はRFIDアンテナ210と電磁的に結合することができ、RFIDアンテナ210は導体リード376を介してRFIDチップ212にデータを通信し、RFIDチップ212からデータを通信する。したがって、放射性薬剤ピッグ33bがそのライフサイクルで取り扱われるときはいつでも、R/W装置366は、アンテナ210と導体リード376からなるRFIDアンテナシステムを介して、放射性薬剤シリンジ20cのRFIDタグ60のRFIDチップから情報を読み取り、RFIDチップに情報を書き込むのに使用することができる。
【0089】
使用時、放射性薬剤の注文を受けると、RFIDチップ212と関連アンテナ210を有するラベル30を放射性薬剤シリンジ20cに貼り付け、該放射性薬剤シリンジ20cを放射性薬剤ピッグ33bに設置することができる。このとき、シリンジとピッグの識別を含むが、これらに限るものではないデータは、図1Aと1Bに関して前述した方法でRFIDタグ60に書き込まれる。放射性薬剤シリンジ20cとピッグ33bは、シリンジ20cが所望の放射性薬剤で満たされる場所に輸送される。この場所は、放射性薬剤供給者、又は放射性薬剤シリンジ20cのユーザの位置であってもよい。いずれにせよ、放射性薬剤が満たされる場所に拘わらず、前述したように、充填工程、充填される放射性薬剤、放射性薬剤がどのように使用されるかに関するデータがRFIDタグ60に入力される。充填された後、放射性薬剤で充填されたシリンジ20cを保持するピッグ33bは、使用のために引き渡される前に、準備及び/又はイメージング室に数回にわたり移送され保管される。使用中、シリンジ20cはピッグ33bから取り出され、放射性薬剤は検査対象すなわち患者に注入される。使用後、空シリンジ20cはピッグ33bに戻され、放射性薬剤シリンジ20cの適切な廃棄、放射性薬剤ピッグ33bの再使用のための再調整のために、薬剤供給者又は他の場所に戻される。
【0090】
放射性薬剤ピッグ33b及び/又は放射性薬剤シリンジ20cがそれらの各ライフサイクルにわたって取り扱われるときはいつでも、前述した方法で、R/W装置366はRFIDタグ60からデータを読み取り、及び/又はRFIDタグ60にデータを書き込むのに使用することができ、これにより放射性薬剤ピッグ33bと放射性薬剤シリンジ20cの各ライフサイクルにわたる完全な年代順の履歴を提供することができる。図1A,3A,1B,3Bに示すシステムは、シリンジ20のライフサイクルで巻き込まれる全ての実体(entity)間で如何なる情報も移動することができる利点を有する。その実体は通信リンク80と通信することができる任意の実体である。したがって、インターネット83のウェブサイトから入手可能なデータはシリンジ20のライフサイクル中に利用することができる。このようなインターネット通信の可能性は、自動注入器50の遠隔サービス、注入プロトコルのダウンロード、遠く離れたところにいる医師媒体供給者又はその他の関係者との通信を許容する。
【0091】
本発明の種々の原理を種々の例示的実施形態により説明し、またそのような実施形態を詳細に説明したが、そのような詳細なものに添付請求の範囲を制限し又は限定することを意図するものではない。さらなる利点及び修正は当業者に明らかである。例えば、図20−22の実施形態では、RFIDチップ212はピッグの内側に配置してもよい。いくつかの実施形態では、チップ212は関連アンテナとともにピッグの外側に配置してもよいし、またチップは、放射性薬剤シリンジ20cとRFID情報が関連付けされたままとなるように、ひもその他のアタッチメントによりシリンジ20cに物理的に取り付けてもよい。代案として、ピッグ33bはRFIDタグとアンテナをシリンジに機械的に取り付けることなく運んでもよいが、その中のデータがピッグにあるシリンジに関係することを単に知るだけでもよい。
【0092】
さらに、ここに示され記載された例示的実施形態では、アンテナシステム229a、229bは1つ、2つ、3つのアンテナループを使用している。しかし、代案の実施形態では、任意の数のアンテナループを使用してもよい。アンテナループはオーバーラップしても、しなくてもよい。しかし、アンテナループはRFIDプロトコルで使用される所定の周波数で共振するように、個々に同調されることが好ましい。さらに、前述の実施形態では、切換回路241bはRF駆動回路224bと同一のPC基板102に配置されている。しかし、代案の実施形態では、切換回路は第2PC基板103に配置されてもよいし、
2つのPC基板102,103の間に分割されてもよいし、また例えば図17に示すように自動注入器とともにどこかに配置されてもよい。
【0093】
さらに、前述した実施形態では、R/Wアンテナシステム229a、229bは放射薬剤注入器アセンブリに貼り付けられている。しかし、代案の実施形態では、多重非平行アンテナを利用するR/Wアンテナシステム229a、229bは、薬液容器を支持する如何なる装置に適用されてもよい。そのような装置は、加温オーブン又は加温ボックス、容器充填部、ピッグ又は他の原子力薬剤容器、投与量キャリブレーション部、ハンドヘルド給電薬液ディスペンサ、シリンジ廃棄部、又は他の装置を含むがこれらに限定されるものではない。
【0094】
医療流体(例えば、造影剤、放射性薬剤、塩水等)を注入するとき、注入器は圧力レベルを変更する特定の注入工程に従う必要があり、あるいは確立された最大圧力レベルを有していてもよい。例えば、ある注入手順の注入圧力は、シリンジのタイプ、注入器とともに使用されるチューブ及び/又はカテーテルにより決定(dictate)指令されてもよい。ワイヤレス圧力検出アプローチは、圧力センサの望ましい検出能力を提供する一方、圧力検出回路に配線する必要性を排除する。このワイヤレスアプローチは、情報を処理し保管する非揮発性メモリを有するマイクロプロセッサはもちろん、アナログ圧力信号を濾波し、増幅し、デジタルに変換する信号処理器を有していてもよい。マイクロプロセッサは、RFワイヤレス技術を介して通信メッセージを自動注入器に送信し自動注入器から受信する回路に連結してもよい。マイクロチップ回路は、駆動ラムの圧力センサの近傍(又は直近)に配置し、長い配線により入り込む電気的ノイズの危険性を減少する。ある実施形態では、マイクロチップ回路及び/又はRFアンテナ402は、シリンジプランジャーと連結する端部(例えば、モータの駆動ねじにベアリングと連結する端部)と反対側のラム端部の近傍に配置してもよい。このマイクロチップ回路及び/又はRFアンテナ402の位置は、圧力センサ400と受信/送信回路420の間のRF通信を促進する。なぜなら、2つのRFアンテナは、常に、互いに(例えば、お互いの1インチ等)近接し、パワーヘッドのハウジングの境界内にあるからである。ある実施形態では、マイクロチップ回路は及び/又はRFアンテナ402は、駆動ラムの第1と第2の位置の間に配置してもよい。少なくともある実施形態で重要なことは、圧力の検出及び測定を可能にするために、マイクロチップ回路及び/又はRFアンテナ402は実質的に注入器モータからシリンジプランジャーに伝達される力と実質的に一列に並んでいる(in-line)ことである。
【0095】
いま図23と24Aを参照すると、例示的な注入器50は、米国特許出願第2006/0219022A1号に記載されているセンサのようなRFベースの圧力センサ400を使用してシリンジの圧力をワイヤレスで監視するように構成されている。前記特許出願の開示全体は参照することでここに組み入れる。圧力センサ400は、シリンジ20bのプランジャー21bと連結するように設計されている注入器50の駆動ラム95bの端部に設置されてもよい。代案として、圧力センサ400は駆動ラム95bに埋設されてもよいし、又は図24Bに示すように部分的に埋設されてもよい。圧力センサ400の他の位置も許容できる。圧力センサ400は受信器/送信器回路420とワイヤレスで通信し、圧力センサ400により取得された圧力値を伝送する。これらの圧力値は、コントローラ428に送信される信号に定型化(formulate)するために、受信器/送信器回路420のマイクロプロセッサ426により処理(manipulate)される。当該信号は駆動ラム95bに対する調整量を決めることができ、そして駆動ラム95bによりシリンジ作用する圧力を調整することができる。
【0096】
ラムの内側又は先端のマイクロチップ回路と注入器の内側の回路との間の距離が短い(例えば、全ラム行程で約6インチのオーダーである)ので、ラムと注入器の間でRF信号を送信する電力は低い。低RF電力は、電子回路に低電力を要求し、隣接する電子機器と干渉しないように低放射電磁場を要求する。
【0097】
マイクロチップ402は、図25と26に示すように、前述したように駆動ラム95bの内側に埋設されてもよい。マイクロプロセッサ426は、受信機/送信機回路420(図27参照)の一部であるが、注入器50から送信される独自の暗証番号(security code)を介して圧力センサ400からのRF通信を認識するようにプログラムされてもよい。この独自の暗証コードは、センサ400から注入器50に送信される未認識の圧力情報源の可能性を減少(有効に排除)する。
【0098】
受信機/送信機回路420は、圧力検出回路404と通信するように自動注入器50の内側に位置していてもよいし、別個のモジュールの注入器50の外側に位置していてもよい。自動注入器50は造影剤をシリンジ20bの外側から注入するので、駆動ラム95bの圧力回路400は、圧力更新値を注入器50の受信機/送信機回路420に送信してもよい。
【0099】
圧力センサ400は、図24Bに最も良く示すように、圧力を記録するために、RFアンテナ402と、圧力検出回路を含む圧力マイクロチップ404と、機械的圧力を電気信号に変換する変換器406のようなセンサ要素と、センサ要素406の部品が突出する貫通孔408とを含んでいてもよい。変換器404は小さなバッテリー(不図示)から給電されてもよい。バッテリーは化学エネルギー貯蔵器及び/又は高付加価値コンデンサ(high value capacitor)を含む。コンデンサ及び/又はバッテリーは、ラムが「ホーム」位置にあるときに再充電されてもよい。代案の実施形態では、マイクロチップ404は受信機/送信機回路420のRF送信から引き出されるエネルギーから給電されてもよい。マイクロチップ404は、圧力データの貯蔵とRF変換のために、センサ410と別個の回路412に接続された回路を含んでいてもよい。
【0100】
いま図27を参照すると、駆動ラム95bはシリンジ20bのプランジャー21b(図24A又は24B)と係合し、それらの間に圧力を生成する。変換器のようなセンサ要素406は、機械的圧力を電気信号に変換する。この電気信号は、マイクロチップ404上のセンサ回路410により処理され、アナログ信号を増幅しデジタル信号に変換する。デジタル信号は、マイクロチップ404上のRF回路412により処理され、該RF回路は圧力を表すデジタル値を記憶してもよい。
【0101】
受信機/送信機回路420は、RF信号450を圧力センサ400に送信し、該RF信号はRFアンテナ402に受信される。圧力センサは、センサ要素406により測定された圧力を表すデジタル値を含むRF信号452を戻してもよい。RF送信452は、RFアンテナ422により受信され、受信機/送信機回路420のRF回路424を介して、マイクロプロセッサ426と適合する形態に処理される。マイクロプロセッサ426は、次に圧力データを評価し、該圧力を出力処理し、コントローラ428に送信し、駆動ラム95bがシリンジ20bのプランジャー21bに作用する圧力を調整する。前述したように、これは指定された注入プロトコルに従い、シリンジ、チューブ又はカテーテルの故障を防止する。したがって、ワイヤレス圧力検出回路は、ラムと注入器の間に配線や接続を必要とすることなく、望ましいシリンジ圧力の監視を達成するのに利用してもよい。
【0102】
前述の実施形態のシステムは、薬液のコンテナに関する。詳細に記載した2つの実施例は、造影剤とそれぞれのシリンジ、放射性薬剤とそれぞれの容器に関する。代案の実施形態では、図1cを参照すると、容器は薬液で満たされたIVバッグ130であってもよい。IVバッグ130からのチューブ132は、注入ポンプ134と連結されてもよい。これにより、IVバッグ130からの薬液の流れはポンプ134の使用を介して調整されてもよい。チューブ132の一端は一般にIVバッグ130と結合しているが、チューブ132の他端は患者に公知の方法で接続されてもよい。IVバッグ130は、前述したように、データタグ60例えばRFIDタグを備えたラベル30を有していてもよい。さらに、注入ポンプ134は、IVバッグ130のデータタグ60からデータを読み取り、及び/又はデータタグ60にデータを書き込むことができる電磁装置と電気的に連通してもよい。例えば、電磁装置は、注入ポンプ134に取り付け、及び/又は注入ポンプ134内に配置してもよい。図3cに示すように、注入ポンプ134は、図1Aと1Bに示す注入器コントローラ93に関して説明したものと類似の方法で通信リンク80に接続されたコントローラ138を有してもよい。このように、図1cと3cのシステムは、追跡及び記録される(例えばIVバッグ130のライフサイクルにわたって)IVバッグ130、その中の薬液、及び/又は注入ポンプ134に関する活動を許容してもよい。
【0103】
シリンジを自動注入器に装着する多くの公知の構造があり、ここに示され記載されたフェースプレートは2つのそのような構造にすぎない。他の装着構造はパワーヘッドからの取り外しを許容しなくてもよい。ここに請求された発明は、シリンジをそこに装着する任意のタイプの構造を有するパワーヘッドに適用することもできる。ここに示され記載された実施形態では、ヒータ106がPC基板102,103上に装着されている。しかし、代案の実施形態では、ヒータ106は使用されなくてもよく、したがって、PC基板102,103から除去されてもよい。
【0104】
本発明及びその種々の実施形態の要素を導入するとき、「1つの」、「その」、及び「前記」は1又は複数の要素があることを意図している。「からなる」、「含む」、「有する」は挙げられた要素以外に追加の要素があることを意図している。さらに、「頂部」と「底部」、「前」と「後」、「上方」と「下方」、これらの変形、及び方向の他の用語は、便宜的に使用され、要素の特定の方向を要求するものではない。
【0105】
したがって、本発明は、その最も広い局面では、ここに示され記載された詳細に限定されるものではない。したがって、本発明の精神及び特許請求の範囲から逸脱することなくここに記載された詳細を修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1A】造影剤を充填したシリンジをそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図1B】放射性薬剤を充填した容器をそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図1C】薬液を充填したIVバッグをそのライフサイクルの間追跡するシステムの概略図。
【図2A】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2B】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2C】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図2D】図1Aに示すシステムの造影剤を充填したシリンジに追跡装置を付与する異なる方法を示すシリンジの斜視図。
【図3A】図1Aに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図3B】図1Bに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図3C】図1Cに示すシステムと関連する要素の概略ブロック図。
【図4】イメージングスーツでの造影剤の容器の使用と廃棄と関連する行動と動作を示す概略図。
【図5A】図1Aのシステムで使用される注入器の一つの実施例の斜視図。
【図5B】図1Aのシステムで使用される注入器とフィールドエンジニア認識カードの実施例の斜視図。
【図6】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を製造し流通する例示的方法のフローチャート。
【図7】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を保管し使用の準備をする例示的方向のフローチャート。
【図8】図1Aと図1Bに示すシリンジ又は他の容器を使用する例示的方法のフローチャート。
【図9】図1Aに示す造影剤が充填されたシリンジのフィールドメンテナンス工程の例示的方法のフローチャート。
【図10】送信アンテナを該送信アンテナに対して角度をもった受信アンテナと連結するRF信号強度の変化を示す概略図。
【図11】自動注入器に装着されたシリンジにRFデータタグを有する造影剤自動注入器の斜視図。
【図12】本発明の原理によるリード/ライト装置用の多重非平行アンテナループを有する造影剤自動注入器のフェースプレートの上に配置されたシリンジを示す例示的実施例の斜視図。
【図13A】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13B】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13C】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図13D】図12の多重非平行アンテナループ用の4つの異なる回路形態の概略図。
【図14】図13A−13Dの4つの異なる回路形態のアンテナループを接続するスイッチを備えた図11の多重非平行アンテナループの概略図。
【図15】図12の多重非平行アンテナループを利用した通信サイクルを示すフローチャートの概略図。
【図16】図12に示すものと類似する造影剤自動注入器用の多重ループ非平行アンテナを備えた図11に示す造影剤自動注入器用の圧力ジャケットの断面図
【図17】図16の多重ループ非平行アンテナシステムを利用する電磁無線周波数R/W装置の概略図。
【図18】図1に示すシステムの放射性薬剤容器とそれぞれのピッグに追跡装置を適用する異なる方法を示す。
【図19】放射性薬剤容器と関連するピッグを後処理する例示的方法のフローチャート。
【図20】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムの例示的実施例の斜視図。
【図21】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムの他の例示的実施例の斜視図。
【図22】本発明の原理により放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグに適用可能なRFタグ及びアンテナシステムのさらに他の例示的実施例の斜視図。
【図22A】図22に示す放射性薬剤シリンジ及び関連の放射性薬剤ピッグのさらなる実施例におけるアンテナリード線の経路を示す分解図。
【図23】ワイヤレス圧力検出の特徴を含む注入器の斜視図。
【図24A】図23の注入器の圧力センサを駆動ラムの表面に配置した24−24線に沿う詳細部を示す。
【図24B】図23の注入器の圧力センサを駆動ラムに埋設した24−24線に沿う詳細部を示す。
【図25】25−25に沿う図24Aの注入器の詳細部を示す。
【図26】図25のセンサのさらなる詳細を示す。
【図27】注入器駆動ラムによりシリンジプランジャーに作用する圧力を制御する例示的方法を示すブロック図。
【符号の説明】
【0107】
20b シリンジ
21b プランジャー
95b 駆動ラム
50 注入器
400 圧力センサ
402 RFアンテナ
404 圧力検出回路
406 センサ要素
420 受信器/送信器回路
426 マイクロプロセッサ
428 コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジのプランジャーと連結する駆動ラムであって、該駆動ラムはRF対応圧力センサを有し、圧力センサは前記駆動ラムによりプランジャーに作用する圧力を測定する、駆動ラムと、
前記圧力センサとRF通信するRF回路と、
を備える医療流体注入器。
【請求項2】
さらに、前記RF回路と電気的通信するコントローラを備え、該コントローラは、前記駆動ラムの移動を調整して、前記駆動ラムにより前記プランジャーに作用する圧力を変化させる請求項1に記載の注入器。
【請求項3】
前記RF対応圧力センサは、前記プランジャーと連結する駆動ラムの端部に向かって配置されている請求項1に記載の注入器。
【請求項4】
前記圧力センサは、
アナログ歪みゲージを有するマイクロチップと、
A/Dコンバータと、
アンテナと、
プロセッサと、
RF回路と、
からなる請求項1に記載の注入器。
【請求項5】
前記圧力センサは、前記注入器のRF回路により発生するRF場から電力を引き出す請求項4に記載の注入器。
【請求項6】
前記圧力センサはバッテリー電力を使用する請求項4に記載の注入器。
【請求項7】
前記バッテリー電力は、前記駆動ラムが所定位置にあるときに再充填される請求項6に記載の注入器。
【請求項8】
前記圧力センサによるRF送信は暗証番号を受ける請求項4に記載の注入器。
【請求項9】
前記暗証番号は前記注入器のRF回路により使用される請求項8に記載の注入器。
【請求項10】
医療流体注入器を作動させる方法であって、
シリンジのプランジャーを前記注入器のRF対応圧力センサを有する駆動ラムと係合させ、
前記駆動ラムを使用して前記プランジャーに圧力を作用させ、
前記プランジャーに作用された圧力値を前記圧力センサを使用して測定し、
前記圧力値をRF受信機を有するRF回路に送信する、
注入器作動方法。
【請求項11】
さらに、前記RF回路により受信した圧力値を使用して前記駆動ラムの移動に対する調整量を発生する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記RF回路により受信した圧力値に基づいて前記駆動ラムの移動を調整して圧力を調整する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記RF回路により発生するRF場から電力を引き出して前記圧力センサを給電する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
さらに、電力貯蔵装置から電力を提供して前記圧力センサを給電する請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記電力貯蔵装置は化学エネルギー貯蔵装置からなる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電力貯蔵装置はコンデンサからなる請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記駆動ラムが所定位置にあるときに前記電力貯蔵装置を充填する請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記圧力値を送信する前に暗証番号を送信する請求項10に記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記圧力値を送信する前に暗証番号を受信する請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記暗証番号は前記RF回路により使用される請求項19に記載の方法。
【請求項1】
シリンジのプランジャーと連結する駆動ラムであって、該駆動ラムはRF対応圧力センサを有し、圧力センサは前記駆動ラムによりプランジャーに作用する圧力を測定する、駆動ラムと、
前記圧力センサとRF通信するRF回路と、
を備える医療流体注入器。
【請求項2】
さらに、前記RF回路と電気的通信するコントローラを備え、該コントローラは、前記駆動ラムの移動を調整して、前記駆動ラムにより前記プランジャーに作用する圧力を変化させる請求項1に記載の注入器。
【請求項3】
前記RF対応圧力センサは、前記プランジャーと連結する駆動ラムの端部に向かって配置されている請求項1に記載の注入器。
【請求項4】
前記圧力センサは、
アナログ歪みゲージを有するマイクロチップと、
A/Dコンバータと、
アンテナと、
プロセッサと、
RF回路と、
からなる請求項1に記載の注入器。
【請求項5】
前記圧力センサは、前記注入器のRF回路により発生するRF場から電力を引き出す請求項4に記載の注入器。
【請求項6】
前記圧力センサはバッテリー電力を使用する請求項4に記載の注入器。
【請求項7】
前記バッテリー電力は、前記駆動ラムが所定位置にあるときに再充填される請求項6に記載の注入器。
【請求項8】
前記圧力センサによるRF送信は暗証番号を受ける請求項4に記載の注入器。
【請求項9】
前記暗証番号は前記注入器のRF回路により使用される請求項8に記載の注入器。
【請求項10】
医療流体注入器を作動させる方法であって、
シリンジのプランジャーを前記注入器のRF対応圧力センサを有する駆動ラムと係合させ、
前記駆動ラムを使用して前記プランジャーに圧力を作用させ、
前記プランジャーに作用された圧力値を前記圧力センサを使用して測定し、
前記圧力値をRF受信機を有するRF回路に送信する、
注入器作動方法。
【請求項11】
さらに、前記RF回路により受信した圧力値を使用して前記駆動ラムの移動に対する調整量を発生する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記RF回路により受信した圧力値に基づいて前記駆動ラムの移動を調整して圧力を調整する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記RF回路により発生するRF場から電力を引き出して前記圧力センサを給電する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
さらに、電力貯蔵装置から電力を提供して前記圧力センサを給電する請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記電力貯蔵装置は化学エネルギー貯蔵装置からなる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電力貯蔵装置はコンデンサからなる請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記駆動ラムが所定位置にあるときに前記電力貯蔵装置を充填する請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記圧力値を送信する前に暗証番号を送信する請求項10に記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記圧力値を送信する前に暗証番号を受信する請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記暗証番号は前記RF回路により使用される請求項19に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図22A】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図22A】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2008−302194(P2008−302194A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−215612(P2007−215612)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215612(P2007−215612)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】
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