説明

ワイヤレス生体情報センシングシステム

【課題】ワイヤレス通信を用いた計測システムで、室内において運用する場合に、データ抜けが発生しづらい生体情報センシングシステムを提供する。
【解決手段】自律稼働型の複数の計測ユニットと、それと無線で連結した中央管理装置(統括ユニット)から成る。計測ユニットは、例えば単極誘導による計測で基準点からの頭皮の電位を測定する。測定信号は、計装アンプ、AD変換器を介してデジタルに変換し、MPUでデータ処理する。また、無線送受信部を介して時間基準信号を受信する。この時間基準に従って生体信号を計測し、統括ユニットに伝送する。この伝送では、周波数分割多重またはコード分割多重を用いることによって、同時に送信する場合でも、互いに干渉しないようにする。統括ユニットは、その信号の受信と、時間基準信号の送信を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の携帯型計測器をワイヤレス通信を介して統括ユニットで制御するものであって、ハードウエアを更改することなく、複数の計測ユニット間の同時性を保ったまま、計測ユニット数あるいはそれを使用する被測定対象数をスケーラブルに変更することが容易な、ワイヤレス生体情報センシングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
体温、血流、心音あるいは心電などの波形の生体情報を実時間で記録する携帯型計測器は、既によく知られている。このような携帯型計測器では、(1)測定した一連のデータを携帯型計測器内に記憶し、外部からの出力要請によって、有線あるいは無線リンクを通じて管理装置に送出するものや、(2)測定したひとつ又は少数のデータを携帯型計測器内に一時的に記憶し、その少数のデータごとに順次無線リンクを通じて管理装置に送出するもの、などがある。
【0003】
上記の(2)に相当する開示としては、例えば、特許文献1から3がある。
特許文献1(特表2003−533262号公報)に記載されたワイヤレス脳波計測システムは、図14に示すように、主に、シリアルデータ通信ヘルメットと合成ユニットから構成される。前記ヘルメットは、電極、アンテナ、データバスおよび電源ケーブルおよび個別電極に接続する入出力回路(I/O)および電源ケーブルから成る。電極は頭皮接触部と信号増幅器から成り、接触部位の電位を高入力インピーダンス増幅器によりアナログの電気信号を出力する。増幅器は同相雑音が除去可能な作動型増幅器であり、電源雑音等広く計測環境に浮遊する電磁雑音を除去できるようになっている。これらアナログ信号は電極毎に合成ユニットに接続され、アナログデジタル変換器を経てデジタル信号処理回路(DSP)により波形解析処理されたのち、診断される。診断された結果は、合成ユニット内のメモリに蓄積できるほか送受信ユニットによりシリアル通信ヘルメットに装着されたアンテナを介してホストコンピュータとの情報交換をすることが可能となっている。
【0004】
多チャンネルのアナログ信号は、時分割多重処理によりDSPで処理される。時分割するためのマルチプレクサーはシリアル通信ヘルメットに配置することも可能であるが、DSPに集積化されていないものは制御信号のスキュー等により動作が不安定となるため、DSP側に配置されている。
【0005】
特許文献1に示されている脳波等の生体情報計測においては、計測目的に応じてチャンネル数や帯域を最適化することが望ましい。しかし、これには、チャンネル数を変更する毎に処理回路を更新しなければならなかった。これは、被験者毎に複数の電極の情報を集約し、被験者に装着した合成ユニットによりデータをデジタル化して、意味付けなどの処理を行うためである。さらに、チャンネル数の増大とともにマルチプレクサーの規模およびDSPの処理スピードを飛躍的に増大させる必要があり、その結果として、大容量のバッテリパックや高速のDSPを冷却するためのファンなどの付加装置が必要であった。これは、別の観点では、現実的な計測環境下では被験者が装着できる装備に上限があり、用いる計測器数の規模が制約されることを意味する。
【0006】
また、特許文献2(特開2005−160983号公報)に記載されたワイヤレス生体情報センサーでは、センサーの出力をデジタル化して一時保存(memory)したり他のデバイスへ無線伝送したりする送信手段を備えるのみならず、他のセンサーユニットからのデジタル化されたセンサー情報を受信・転送する機能(送受信モジュール)を有している。
【0007】
なお、文献2に示されているワイヤレス生体情報センサーは、自律的動作を特徴としている。このため、特許文献1に開示されたワイヤレス脳波計測システムが抱える拡張性の問題を解決している。しかし、外部からの制御信号にあわせてセンシングする同期制御機能を持たない。このため、複数のセンサーユニットをもちいて計測し、その計測値の相関を求めたり、あるいは同期駆動して、完全に同時に計測したりすることなどができない。
【0008】
また、特許文献3(米国特許第6441747号明細書)には、医療用モニタリング用のプログラム可能なワイヤレスシステムが開示されている。これは、ベースユニットと、それぞれワイヤレスの遠隔プログラム可能な生体センサー送受信器の複数とを備えるものである。このベースユニットは、登録、配置、データ収集、送信命令の発行などをワイヤレス技術を用いて行なうことで、上記送受信器を統括する。ワイヤレスの上記送受信器からの生体情報は、復調され標準的なインターフェースを通じて表示用モニターに供給される。
【0009】
特許文献3に開示されたワイヤレスシステムは、ベースユニットから広域時間信号(global time signal)が送信されると、それぞれの生体センサー送受信器が、一斉に取得した信号をベースユニットへ転送する、というものである。データの収集は、ベースユニットから収集命令がセンサーへ伝達されることで開始される。また、収集したデータの伝送は、ベースユニットからの指令で始まる。また、複数のセンサーを単一の周波数チャネルで活用するために、時分割多重を行なうが、上記の広域時間信号をワイヤレスシステムにおける時間基準としている。
【0010】
本発明は、計測システムに、統括ユニットと複数の計測ユニットとを含む点では、上記特許文献3と同様である。しかし、次の点においては明らかに異なるものである。つまり、本発明では、上記統括ユニットは、時間基準を配信し、複数の計測ユニットからの送信信号を受信し、生体信号を復調して、記憶、伝送、あるいは表示するものである。また、それぞれの計測ユニットは、センサー部と送受信部とを備え、上記時間基準を受信し、配信された時間基準に位相同期可能な信号発生器の出力に従って生体信号計測を行い、上記統括ユニットに計測データをワイヤレス送信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2003−533262号公報
【特許文献2】特開2005−160983号公報
【特許文献3】米国特許第6441747号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
自由に動き回る複数の験体の生体情報を実時間で同時に記録する計測システムでは、上記の様に験体につけた携帯型計測器と、それぞれの携帯型計測器からの計測データを受け取り統合する基地局とを、ワイヤレス通信で連結することが望ましい。一般にワイヤレス通信では、光または電波が用いられるが、光の場合は、通信路が何らかのもので遮断されと通信できなくなるが、電波の場合は、遮断されることが少ないので、このような計測システムでは、電波のワイヤレス通信が用いられる場合が多い。
【0013】
しかし、室内で電波伝送する場合は、例えばデジタル装置などの他の電気機器からの妨害電波、また、室内の机や照明器具あるいは壁などの電波の反射体からの反射によるマルチパスフェージングなどの問題が生じることはよく知られている。このような問題が無視できない場合には、例えば特許文献3に記載された発明では、ベースユニットと生体センサー送受信器との通信が遮断され、各種の指令や計測データの伝送が中断され、データ抜けが発生することは容易に予想できる。
【0014】
このため、自由に動き回る複数の被験者の生体情報を実時間で同時に記録することができ電波によるワイヤレス通信を用いた計測システムでありながら、室内において運用する場合に、データ抜けが発生しづらい計測システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、概観すると、自律稼働型の複数の計測ユニットと、送受信部を備えてこれらの計測ユニットと無線交信によりセンサー情報を取得する単数または複数の中央管理装置(統括ユニット)から成る。計測ユニットは、例えば単極誘導による計測では、共通のグランド線を基準に頭皮の電位を測定する。この計測ユニットでは、測定電位値は、同相雑音重畳を防止する高インピーダンスの増幅器(通常は計装アンプ)を経てアナログ―デジタル変換器(ADC)を介してデジタル情報に変換されたのち、前記計測ユニットに搭載の超小型プロセッサー(MPU)によりデータ処理される。上記計測ユニットは、備えられた無線送受信部を介して時間基準となる信号を受信し、この時間基準に従って生体信号を計測する。このデータ処理は、その計測値をデジタル化して統括ユニットに伝送する処理である。この伝送では、周波数分割多重(FDM)または符号分割多重(CDM)を用いることによって、同時に送信する場合でも、互いに干渉しないようにする。
【0016】
より明確に示すと、本発明は、ワイヤレス生体情報センシングシステムであって、時間基準を配信する統括ユニットと、上記時間基準を受信する複数の計測ユニットと、を備えるものである。上記統括ユニットは、複数の上記計測ユニットからの送信信号を受信し、生体信号を復調して、記憶、伝送、あるいは表示するものである。また、上記計測ユニットは、センサー部と送受信部とを備え、配信された時間基準に位相同期可能な信号発生器の出力に従って生体信号計測を行い、上記統括ユニットに計測データをワイヤレス送信するものである。上記計測ユニットは同時に計測することを行なう。つまり、少なくとも2つの計測ユニットのそれぞれのセンサー部が同時に計測過程にある期間があることを特徴とする。
【0017】
また、上記時間基準信号には、水晶発振器で発生した周期信号から生成した信号を用いることができる。なお、この水晶発振器は、標準時刻を生成する原子時計により校正を受けることができる。あるいは、原子時計に同期した水晶発振器でもよい。この原子時計とは、例えば、1967年に定められたSI単位系の秒の定義(1967年第13回国際度量衡総会による決議)に基づき、Cs133のマイクロ波吸収線9,192,631,770Hzを用い、これに水晶発振器の振動を引き込むことにより基準信号をつくりだすものである。このように原子時計により校正された水晶発振器を用いることにより、個別の時計の精度を装置毎に補償することなく正確な時間管理が可能となる。
【0018】
上記ワイヤレス送信は、電磁波の送信であって、上記基準信号は、上記電磁波に重畳して伝送することができる。電磁波としては、電波や光を用いることができ、これらを変調することで信号を重畳することができる。
【0019】
上記統括ユニットは、上記基準信号で決められる周期毎に受信した計測データをグループ化するデータ処理部と、上記基準信号を基にしたタイムスタンプを付して上記でグループ化された計測データを記憶する記憶部と、を備えるようにしてもよい。
【0020】
上記統括ユニットは、上記計測ユニットのそれぞれを識別する情報を記載した電気的に書換え可能なテーブルを有し、計測ユニットのデータを該情報に従ってグループ化するファイリングシステムを備えるようにしてもよい。
【0021】
上記計測ユニットは、配信された時間基準に上記計測ユニットの内部時間基準を同期させる位相同期ループ回路を用いることで実現することができる。
【0022】
また、上記位相同期ループ回路は、基準信号が遮断される場合に、遮断される直前の発振周波数を維持する電圧維持回路を備えるようにすることで、上記時間基準に沿った信号を提供することができる。
【0023】
上記計測ユニットのそれぞれは、センサー部において、上記内部時間基準によって決められる周期毎に、検出したアナログの生体信号をデジタルデータに変換するアナログデジタル(AD)変換手段を備えるものである。
【0024】
複数の計測ユニットの上記のアナログデジタル変換手段のそれぞれは、上記周期を細分化したタイムスレッド内で、アナログの生体信号をデジタルデータに変換するものである。これによって、上記周期内で、計測とAD変換を完了する。
【0025】
上記計測ユニットのそれぞれは、上記センサー部において、上記内部時間基準によって決められる周期毎に、同一時刻に検出したアナログの生体信号をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換手段を備える。これは、複数の計測ユニットで同時測定を行うものである。
【0026】
また、複数の検査対象に、上記複数の計測ユニットを用いることにより、ひとつの統括ユニットを用いる場合であっても、異なる検査項目または被験者を一括して測定することができ、システムを大幅に簡易化することができる。
【0027】
複数の検査対象にそれぞれ単数あるいは複数の計測ユニットを装着することが可能であるが、これらの計測ユニットに、ひとつの上記統括ユニットから時間基準を配信することができる。また、その上記統括ユニットでこれらの計測ユニットからの計測データを受信することができる。
【0028】
さらに、上記時間基準信号に従って動作する刺激発生手段を備えるワイヤレス生体情報センシングシステムであって、該刺激発生手段からの刺激を上記の検査対象に与え、その刺激によって惹起される生体信号を計測するものである。このシステムによって、例えば、何らかの映像が被験者に与える影響を、生体信号の差異でデータ化することができる。
【0029】
上記のように刺激発生手段からの刺激を上記の検査対象に与えるために、その刺激発生手段は、上記計測ユニットに上記刺激の開始時点に関する予め決められた刺激開始時点信号を提供する手段を備える。これは、信号伝達手段であればよい。例えば、光、電波、磁波、音、などの信号伝達手段である。また、このような信号を受信するために、上記計測ユニットは、上記刺激開始時点信号を入力する入力手段を備えるものである。例えば、光ダイオード、アンテナ、コイル、マイクロフォンなどとその信号処理手段である。この入力手段から入力した前記刺激開始時点データを上記計測データとともに上記統括ユニットに送信する。この刺激開始時点信号は、上記の刺激と同期したものでも、あるいはそれを予告するものでもよい。
【0030】
また、装置を簡単な構成にするために、上記刺激開始時点信号は、上記刺激発生手段が被験者に提示する上記刺激と同じ提示手段で前記計測ユニットに提供してもよい。例えば、動画で刺激を与える場合は、被験者に気付かないような画面の照度変化による信号を刺激の3秒前に提示する。また、音で刺激を与える場合は、例えば、刺激音の直前に非可聴音で上記の信号を提示するものである。
【発明の効果】
【0031】
例えば一つの事象に対する複数の被験者の反応を、それぞれの脳電図、筋電図、心電図などの波形の生体情報として同時に計測する場合に、被験者が動き回ってノイズやフェージングにさらされる場合でも、データ抜けが発生しづらい計測システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のワイヤレス生体情報センシングシステムを示すブロック図である。複数の計測ユニットと統括ユニットとを備え、上記統括ユニットは、複数の上記計測ユニットへ時間基準を送信するとともに、上記計測ユニットから送信される信号を受信し復調して、記憶、伝送、あるいは表示する。また、上記計測ユニットは、センサー部と送受信部とを備え、配信された時間基準基づいたタイミングで生体信号計測を行い、上記統括ユニットに計測データをワイヤレス送信する。
【図2】本発明のワイヤレス生体情報センシングシステムの(a)統括ユニットのブロック図と、(b)計測ユニットのブロック図である。統括ユニットでは、局部発振器からのラジオ波帯域の搬送波信号を時間基準発生器からの信号で変調して、アンテナで時間基準信号電波として送信する。この電波を計測ユニットで受信し時間基準信号を復調する。この時間基準信号を用いて他のブロックを制御する。センサー電極で検出した信号をアナログデジタル変換し、生成したデジタル信号で搬送波を変調して送信する。計測ユニットから送信された電波信号は、統括ユニットで受信され、検波され、必要に応じて復号された後、データ処理を経て表示、記憶、あるいは伝送される。
【図3】送受信アンテナを備える計測ユニットの例を示す。受信アンテナで受信した無線信号は、同期発振回路と検波回路とに分岐される。検波回路では、クロック成分とそれぞれの計測ユニットに固有の周波数スロット成分に分離される。識別回路に、プログラマブルに濾波周波数を変更可能なフィルタを用いることで、周波数分割多重で伝送された信号から望みの周波数帯を選択する。同期発振(PLL)回路では、受信信号の搬送波に同期した発信信号を生成する。
【図4】(b)は計測ユニットを示し、(a)はそれに接続する探査電極の4組と共通に用いる基準電極の組を頭部に装着した例を示す。探査電極は頭部の任意の場所に装着可能であるが、通常は脳波計測の国際標準で定められた部位に装着する。また、基準電極は4つのユニットとも耳たぶに集約している。
【図5】統括ユニットの一部として用いるもので、波長多重方式で計測データが伝送される場合の受信ユニットの例を示す。受信した電波は、プログラム可能なバンドパスフィルタ(PBPF)を搭載した検波回路で検波され、目的とする計測ユニットの信号を選択する。このPBPFはMPUからの信号でプログラマブルに変更可能である。
【図6】複数の受信ユニットと時間基準信号を送信する時間基準ユニットとをUSBバスで統合して構成した統括ユニットの例を示す。
【図7】図6に示す構成の統括ユニットを用いる場合の周波数管理表を示す図である。複数の受信ユニットが異なる周波数帯に配置され、それぞれの受信ユニットには、複数の計測ユニットが係属している。時間基準用に専用の周波数帯域を用いる。
【図8】時間軸上に表示した時間基準信号の埋め込み例を示す。中央制御装置から各ユニットへデジタル信号を送信する場合、同期ワードパターンを挿入し、この周期を時間基準とする。同一周波数帯を用いる各計測ユニットを個別に制御する場合符号分割多重により個別に制御する。
【図9】図6に示す統括ユニットに用いる受信ユニットの例を示すブロック図である。受信した電波を、プログラム可能なバンドパスフィルタ(PBPF)を搭載した検波回路で検波し、目的とする計測ユニットの信号を選択する。デジタル信号で変調した電波は、同期検波することでデータを復調する。
【図10】複数の計測ユニットをグルーピングして、それぞれ異なる被験者へ装着することで生体情報の計測を行なう場合のワイヤレス生体情報センシングシステムを示す模式図である。このシステムでは、統括ユニットが、計測ユニットと装着する被験者および装着場所とを装着後に登録する。
【図11】ひとつの統括ユニットに対し、異なる対象に複数の計測ユニットを用いる実施例を示す模式図である。
【図12】刺激開始のマーカーが埋め込まれたコンテンツを制御する視聴覚情報制御装置を用いるワイヤレス生体情報センシングシステムを示す模式図である。この視聴覚情報制御装置は、被験者や被験動物に、映像や音声の、単発で強烈な刺激や、繰返しおこる微小な刺激を提示する際のタイミングなどの提示条件を設定する。また、コンテンツを被験者に視覚、聴覚またはその両方の方法で表示する視聴覚情報表示装置を用いる。また、上記視聴覚情報表示装置近傍に設置され表示情報から刺激点を検出する刺激マーカー検出器を用いる。表示装置に提示された刺激時点の情報を検出する。
【図13】図12のワイヤレス生体情報センシングシステムで取得した脳波の例を示す図である。
【図14】特許文献1に記載されたワイヤレス脳波計測システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明においては、同じ機能あるいは類似の機能をもった装置に、特別な理由がない場合には、同じ符号を用いるものとする。
【実施例1】
【0034】
本発明は、図1に示す様に、自律稼働型の複数の計測ユニット200と、送受信部を備えてこれらの計測ユニットの複数と無線交信によりセンサー情報を取得し中央管理装置として機能する統括ユニット100から成る。上記統括ユニット100は、複数の上記計測ユニット200へ時間基準を送信するとともに、上記計測ユニットから送信される信号を受信し復調して、記憶、伝送、あるいは表示するものである。また、上記計測ユニットは、センサー部と送受信部とを備え、配信された時間基準に位相同期可能な信号発生器の出力に従ったタイミングで生体信号計測を行い、上記統括ユニットに計測データをワイヤレス送信するものである。本発明では、複数の計測ユニットのそれぞれのセンサー部を同時に動作させて、同一時点での計測を行なうものである。
【0035】
これを実現するために、上記統括ユニット100は、概略を図2(a)に示す様に、局部発振器102からのラジオ波帯域の搬送波信号を時間基準発生器101からの信号で変調して、アンテナ109で時間基準信号電波として送信する。変調器103は、アナログ変調やデジタル変調の任意の変調方式を用いることができる。サーキュレータ108は、受信と送信とで1つのアンテナを共用するためのものである。
【0036】
上記の時間基準信号電波を受信した計測ユニット200では、図2(b)に示す様に、必要に応じて検波などをして、その時間基準信号電波から時間基準信号を復調する。この復調された時間基準信号を他のブロックを制御する際に使用する周波数に変換する。
【0037】
また上記の時間基準信号電波を受信した計測ユニット200は、センサー電極で検出した信号を増幅し、必要に応じて信号処理を施して不用成分を除去した後、アナログデジタル(AD)変換器206で、生成したデジタル信号で発振器210からの搬送波を変調して、アンテナ209で送信する。
【0038】
このように計測ユニット200から送信された電波は、統括ユニット100で受信され、検波され、必要に応じて復号された後、データ処理を経て表示、記憶、あるいは伝送される。
【0039】
さらに高性能の計測ユニットにするには、例えば図3の構成とすればよい。
【0040】
まず、受信アンテナで受信した無線信号は、時間基準信号復調器201と検波回路221とに分岐される。検波回路221では、クロック成分とそれぞれの計測ユニットに固有の周波数スロット成分(以下、計測ユニットの固有成分)に分離される。上記計測ユニットの固有成分を抽出するための識別回路222では、プログラマブルに濾波周波数を変更可能なフィルタを用いることで、周波数分割多重で伝送された信号から望みの周波数帯を選択することができる。もし、当該計測ユニット宛てのメッセージである場合は、入出力(IO)回路223と内部バス220を通じて、制御部250に伝送される。制御部250は、演算装置(MPU)250とメモリ251とを備えるコンピュータで、例えば10MHzのシステムクロック252からのクロック信号に従って動作する。
【0041】
また、時間基準信号復調器201は、例えば同期発振(PLL)回路であるが、受信信号の搬送波に同期した発信信号を生成する。これは、PLL回路のローカルオシレータである電圧制御の発振器(VCO)229からの発振信号を上記識別回路へ出力したものである。ここで用いるVCOは、高Q発信回路から成る水晶発振器、原子時計により校正された水晶発振器、もしくは原子時計を参照する水晶発振器であることが望ましい。このVCOでは、制御電圧により発振周波数をある周波数帯の任意の位置に設定することができる。また、時間基準信号復調器201は、電圧制御の発振器(VCO)229からの信号と受信した電波とを混合器(Mixer)227で混合して低周波数側に周波数変換し、低周波濾波器(LPF)228によって、周波数に依存した振幅を付与する。低周波濾波器(LPF)228の出力を、増幅・整流器230で直流電圧に変換し、この直流電圧を用いて、先のVCO229の周波数が、受信した電波の搬送波と一致、あるいは、予め決められた差になるように、各計測ユニットごとに上記直流電圧を制御する。ここで、電圧発生器231の出力を増幅・整流器230に加えることによって、異なる周波数の電波にたいしても発振を同期させることができるようにする。また、電圧発生器231の出力を維持することによって、電波が途切れた場合でも、発振周波数を維持することができる。
【0042】
初期状態では、設定電圧Voに対応する発振周波数と受信信号とに周波数差がある場合でも、PLL回路によりその差は補償される。その結果、VCOは自動的に受信信号の搬送波に同期し、周波数とともに位相がロックされる。一旦、同期状態になると、このロック状態を維持したままVCO参照電圧V1を変更することが可能である。
【0043】
また、時間基準信号復調器201には、位相比較器、ループフィルタ、電圧制御発振器、分周器などを用いて構成しデジタル回路で用いる位相同期(PLL)回路を用いることもできる。
【0044】
このVCOからの信号をローカルな時間基準信号として用いて、サンプリングのタイミングを厳密に決めることができる。この際、サンプリングレートが上記時間基準信号より低い場合、規準信号を分周するか、分周器を用いたPLL回路によって、サンプリング様の所望のタイミング信号をつくることができる。
【0045】
また、増幅・整流器230の出力は、変調された電波の復調信号となり、低周波濾波器(LPF)233の出力は、直接検波の出力と成る。この直接検波出力は、AD変換器234でデジタル信号にし、IO回路223と内部バス220を通じて、制御部250に伝送する。また、この情報は、メモリ251に記憶され、電波受信が中断された場合には、電圧発生回路231に、内部バス220とIO回路223を通じて、その記憶情報を転送することで、中断される直前の発振周波数を維持するために必要な電圧を発生するものである。
【0046】
生体信号の検出には、探査電極260aを用いるが、さらに基準電極260bを用いて、演算増幅器237でそれらの差分を取ることで、同相雑音を相殺することができる。演算増幅器237の出力は、AD変換器236でデジタル信号にする。その際、VCO229の出力を分周器232で分周して、AD変換器236用のクロックとする、あるいは、AD変換器236がデジタル信号を出力するタイミング信号とする。AD変換器236から出力されるデジタル信号は、IO回路223と内部バス220を通じて、制御部250に伝送される。
【0047】
計測データは、上記のようにメモリに一時保存されるが、統括ユニットからの、あるいは、制御部250からの指示によって、送信される。
【0048】
図4に計測ユニットとそれに接続する探査電極の4組と共通に用いる基準電極の組を頭部に装着した例を示す。探査電極は頭部の任意の場所に装着可能であるが、通常は脳波計測の国際標準で定められた部位に装着される。基準電極は4つのユニットとも耳たぶに集約している。
【0049】
上器の図4に示す計測ユニットは、自律型のものであって、例えば、単極誘導による計測では、共通のグランド線を基準に頭皮の電位が定期的に測定される。この計測ユニットでは、測定した電位を、同相雑音重畳を防止する高インピーダンスの増幅器(通常は計装アンプ)を経てアナログ―デジタル変換器(ADC)を介してデジタル情報に変換する。このデジタル情報は、電極搭載の超小型のプロセッサー(MPU)により処理される。この処理とは、まず、タイミング信号を、統括ユニットからの同期信号を、計測ユニットに備えられた無線送受信部を介して受信し検波して得る。次に、そのタイミング信号毎にデジタル化されたセンサー情報を、送受信部を介してホストに伝送する、という処理である。タイミング信号を検出して、データを送信するまでの時間遅延を最小とするため、計測データはFIFOなどのバッファに一時蓄積してもよい。ADCは、内部クロックによりトリガーされるが、このクロックは外部のタイミング信号の周波数よりも十分大きく、外部のタイミングトリガーに応じてリアルタイムに常に最新の情報を提供することが可能である。このような自律計測ユニットと統括ユニットとは周波数分割多重または符号分割多重により無線でリンクしている。
【0050】
上記の計測ユニットからの信号を受信する統括ユニットの受信部分(受信ユニット)の例を図5(a)に示す。図5(a)の受信ユニットでは、マスタークロックにより高速演算処理装置(CPU)が駆動され、これによりすべてのデータ及び信号のフローがバスを介して時間制御される。(1)まず、クロックを基準に、サンプリングを行うタイミングが定められ、これに対応したタイミング信号が送受信部を介して各計測ユニットへ一斉に無線配信される。(2)計測ユニットは、このタイミング信号を受けてセンサー情報を直ちに統括ユニットに送信する。(3)これを受信した統括ユニットでは、これらの信号は周波数分割多重または符号分割多重されているので、並列一括受信検波を行う。多重分離部(DEMUX)で分離された各々の計測ユニットのデータは、デュアルポートメモリ(DPM)等の一時メモリにバッファリングされる。(4)このDPMに蓄積されたデータについては、図5(b)に示す様に、あらかじめ登録されているセンサーチャネル情報を基にCPUがグループ分けを行なう。さらに、最初に発行したタイミング信号に対応した時刻情報を付与してデータ蓄積を行なう。このようにすることで、一回にサンプリングする全計測ユニットのデータを、整然と集計蓄積することができる。
【実施例2】
【0051】
また、ひとつの統括ユニットに複数用いる受信ユニットで、波長多重方式で計測データが伝送される場合に適用する例について、図6から8に示す。図6は、複数の受信ユニットと時間基準信号を送信するひとつの時間基準ユニットをUSBバスで統合した統括ユニットの例を示す。USB(ユニバーサルシリアルバス)の場合は、取り外しや取り付けが自由にできるので、コンピュータ(PC)で、各計測ユニットと受信ユニットが送受信に用いる周波数スロットを管理すれば、計測ユニットと受信ユニットとのセットをフレキシブルに設定することができる。
【0052】
図6のブロック図に示す構成の統括ユニットを用いる場合の周波数管理表を図7に示す。この場合は、それぞれの受信ユニットが異なる周波数帯に配置され、それぞれの受信ユニットには、複数の計測ユニットが係属している。また、時間基準は、専用の周波数帯域を持っている。
【0053】
この場合の時間基準信号の埋め込み例を、図8の時間軸上に示す。この例では、ワードパターンと時間基準信号とをインターリーブしている。また、統括ユニットからから各計測ユニットへデジタル信号を送信する場合、同期ワードパターンを挿入し、この周期を時間基準とすることもできる。同一周波数帯に属する複数の計測ユニットを個別に制御する場合(例えば個別に周波数スロットを設定する場合)、符号分割多重により多重化して伝送し、復調の際にターゲットとなるユニットを選定し個別に制御することが可能である。
【0054】
図9に上記受信ユニットの例を示す。受信した電波を、プログラム可能なバンドパスフィルタ(PBPF)を搭載した検波回路121で検波し、目的とする計測ユニットの信号を選択する。このPBPFはMPUからの信号でプログラマブルに変更可能である。受信する電波がPSK(Phase Shift Keying)変調波やASK(Amplitude Shift Keying)変調波、あるいは多値ASK変調である場合、同期検波で復調するには、受信した電波から搬送波成分をPLL回路により抽出し、識別回路122によって位相差や強度を検出することでデータを復調することができる。上記PLL回路は、検波回路121とVCO129のそれぞれの出力を混合器127で混合し、その出力を低周波濾波器128で直流に近い成分を抽出し、その低周波濾波器128の出力に電圧発生回路131からの電圧を演算増幅器130で加えて、その出力をVCO129に印加し、VCO129で生成した局部発振信号を上記の混合器127に入力する、というものである。識別回路122の出力は、IO回路123aを介して内部バスに伝送される。内部バス上の信号は、IO回路124を介してUSBに出力したり、メモリ151に記憶したり、MPU150でデジタル信号処理することができる。
【0055】
すべての計測ユニットは、統括ユニットに対して並列的に接続されるネットワークトポロジーを形成することができる。このため、ひとつの統括ユニットに対して、最大収容チャネルの範囲内で自由に計測ユニット数を増減させることができる。計測ユニット数の増大とともに統括ユニットの計算処理量は増大するが、被験者に搭載するユニット自体の処理能力は一定である。統括ユニットの演算処理性能は、通常、施設管理上での上限まで許容されるので、被験者用装着装置に課せられるような小型・省電力の要求条件が適用されない。このため、計測ユニット数の増大による被験者への負担増大はユニット装着箇所の増大以外にはない。このため、測定の目的に応じて自由に計測システムを設計できる。また、計測ユニットは各々バッテリーを搭載しているため、ユニット増大による連続測定可能時間の変化はない。
【実施例3】
【0056】
また、図10に示す様に、複数の計測ユニットをグルーピングして、異なる被験者へ装着することができる。このとき、統括ユニットが計測ユニットと装着する被験者および装着場所とを装着後に登録する。このため、装着する計測ユニットと被験者とを物理的に対応させる必要はない。従って、被験者の数の増減、装着数の増減に対してフレキシブルに対処することが可能である。
【0057】
このとき、計測ユニットの仕様は唯一のものであるから、計測ユニットを大量に製造保管しておくことにより、大規模な生体情報センシングシステムを低コストで提供することが可能である。さらに、個別の計測ユニットが故障する場合に対しては、全システムをシャットダウンすることなく、その故障した計測ユニットの交換で対応することができる。このため、交換用の計測ユニットを予め用意しておくことで、信頼性の高い計測システム構築することは容易である。
【0058】
当然のことながら、上記の様な統括ユニットを複数用いることによって、それぞれに係属する計測ユニットの総和の計測ユニットを用いて計測することが可能であり、被験者や計測点を大幅に増やすことは容易である。
【実施例4】
【0059】
また、複数の検査対象に、上記複数の計測ユニットを用いるが、これらに対してひとつの統括ユニットを用いる場合の構成例を図11に示す。この図11においては、被験者A、Bそれぞれに4個の計測ユニットを用いているが、これらの計8個を一つの統括ユニットで統括することができる。この様に、ひとつの統括ユニットで統括する利点は、異なる検査項目または被験者を一括して測定することができ、システムを大幅に簡易化することができる点である。
【実施例5】
【0060】
本発明のワイヤレス生体情報センシングシステムは、ワイヤレスの多人数脳波計測システムとしても用いることができる。この場合のワイヤレス生体情報センシングシステム300は、時間基準信号に従って動作する刺激発生手段310を備えるものである。その刺激発生手段からのインパルス様の刺激を複数の被験者に同時に与え、その刺激によって惹起される生体信号を計測ユニット200で計測して比較するものである。
【0061】
これは、例えば映像や音響などの感性に対する何らかの刺激が複数の被験者あるいは被験動物に与える影響の差異を、生体信号の差異でデータ化する際に用いるものである。このシステムによって、例えば、何らかの映像が被験者に与える影響を、生体信号の差異でデータ化することができる。
【0062】
このためには、図12に示す様に(1)刺激開始のマーカーが埋め込まれたコンテンツを制御する視聴覚情報制御装置312を用いる。この装置は、被験者や被験動物に、映像や音声の、単発で強烈な刺激や繰返し起こる微小な刺激を提示する際のタイミングなどの提示条件を設定することが主な役目である。また、(2)コンテンツを被験者に視覚、聴覚またはその両方の方法で表示する視聴覚情報表示装置311を用いる。この視聴覚情報表示装置としては、通常の画像表示装置や音源に留まらず、白色あるいは単色の照明や、超音波源や超低周波源、あるいは、視聴覚を妨害する擾乱源やノイズ源などを含む。視聴覚情報表示装置311と視聴覚情報制御装置312とが刺激発生手段310を構成する。また、(3)上記視聴覚情報表示装置近傍に設置され表示情報から刺激点を検出する刺激マーカー検出器330を用いる。これが刺激開始時点信号を入力する入力手段となる。これは、実際に刺激が被験者に表示される刺激は、回路遅延等により視聴覚情報制御装置からコンテンツに埋め込まれた刺激マーカーと時間的に異なるためであり、被験者の近くに設置することが望ましい場合もある。表示装置に提示される刺激点の情報を被験者と同じ空間で検出することにより、回路遅延や伝播遅延等の影響を除去することができる。刺激開始時点信号は、刺激と同期した信号でも、刺激の開示時点を予告する信号でもよい。
【0063】
図13に上記の多人数の脳波を同時計測するワイヤレス生体情報センシングシステム300で取得した4人分の脳波の例を示す。刺激開始点が正確であるため、P300(注意喚起に関する脳神経反応)等の事象関連電位を多人数に対して同時に取得することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
多人数の脳波および心電を一斉に計測する場合、心電計には脳波計と同じ基本構成のものを用いることができる。ただし、心電に対応する電位は脳波のそれよりも約100倍程度大きいため、脳波計で最適化された計測ユニットを使用することが困難な場合がある。このときは、ADCの分解能を増大すると同時に信号増幅器の利得を下げてダイナミックレンジに余裕を持たせることにより心電と脳波両方に対応する計測ユニットを構築することができる。なお、データ取得後に蓄積された時系列のデジタルデータに対して計算上フィルタリング演算処理することにより、心電と脳波の測定帯域の差を補償することができる。
【0065】
なお、本発明はこれに限らず、たとえば、12誘導心電計測(12ECG)など医療機関において循環器疾患の検査に導入されている検査にも容易に適用することが可能である。この場合は、一人の被験者に、四肢誘導用に4個、胸部誘導用に6個の計測ユニットを用いる。
【符号の説明】
【0066】
100 統括ユニット
101 時間基準発生器
102 局部発振器
103 変調器
104 記憶器
105 データ処理器
106 復号器
107 検波器
108 サーキュレータ
109 アンテナ
200 計測ユニット
201 時間基準信号復調器
202 制御器
203 センサー電極
204 検出器
205 増幅器
206 アナログデジタル(AD)変換器
207 変調器
208 サーキュレータ
209 アンテナ
210 発振器
220 内部バス
221 検波回路
222 識別回路
223 入出力(IO)回路
227 混合器(Mixer)
229 電圧制御の発振器(VCO)
230 増幅・整流器
231 電圧発生器
232 分周器
234 AD変換器
236 AD変換器
237 演算増幅器
250 制御部
251 メモリ
252 システムクロック
260a 探査電極
260b 基準電極
300 ワイヤレス生体情報センシングシステム
310 刺激発生手段
311 視聴覚情報表示装置
312 視聴覚情報制御装置
330 刺激マーカー検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間基準を配信する統括ユニットと、
上記時間基準を受信する複数の計測ユニットと、
を備え、
上記統括ユニットは、複数の上記計測ユニットからの送信信号を受信し、生体信号を復調して、記憶、伝送、あるいは表示するものであり、
上記計測ユニットは、センサー部と送受信部とを備え、配信された時間基準に位相同期可能な信号発生器の出力に従って生体信号計測を行い、上記統括ユニットに計測データをワイヤレス送信するものであり、
少なくとも2つの計測ユニットのそれぞれのセンサー部が同時に計測過程にある期間があることを特徴とするワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項2】
上記時間基準信号は、水晶発振器、原子時計により校正された水晶発振器、もしくは原子時計を参照する水晶発振器で発生した周期信号から生成した信号であることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項3】
上記ワイヤレス送信は、電磁波の送信であって、
上記基準信号は、上記電磁波に重畳されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項4】
上記統括ユニットは、
上記基準信号で決められる周期毎に受信した計測データをグループ化するデータ処理部と、
上記基準信号を基にしたタイムスタンプを付して上記でグループ化された計測データを記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項5】
上記統括ユニットは、
上記計測ユニットのそれぞれを識別する情報を記載した電気的に書換え可能なテーブルを有し、計測ユニットのデータを該情報に従ってグループ化するファイリングシステムを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項6】
上記計測ユニットは、配信された時間基準に上記計測ユニットの内部時間基準を同期させる位相同期ループ回路を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項7】
上記位相同期ループ回路は、基準信号が遮断される場合に、遮断される直前の発振周波数を維持する電圧維持回路を備えるものであることを特徴とする請求項6に記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項8】
上記計測ユニットのそれぞれは、センサー部において、上記内部時間基準によって決められる周期毎に、検出したアナログの生体信号をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換手段を備えるものであることを特徴とする請求項6あるいは7のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項9】
複数の計測ユニットの上記のアナログデジタル変換手段のそれぞれは、上記周期を細分化したタイムスレッド内で、アナログの生体信号をデジタルデータに変換するものであることを特徴とする請求項8に記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項10】
上記計測ユニットのそれぞれは、上記センサー部において、上記内部時間基準によって決められる周期毎に、同一時刻に検出したアナログの生体信号をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換手段を備えるものであることを特徴とする請求項6あるいは7のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項11】
上記統括ユニットと上記複数の計測ユニットから成り、複数の検査対象に計測ユニットを用いることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項12】
上記統括ユニットは、複数の検査対象に装着した計測ユニットのそれぞれに時間基準を配信するものであることを特徴とする請求項11に記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項13】
さらに、上記時間基準信号に従って動作する刺激発生手段を備えるワイヤレス生体情報センシングシステムであって、
該刺激発生手段からの刺激を上記の検査対象に与え、
該刺激によって惹起される生体信号を計測することを特徴とする請求項1から12のいずれか1つに記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項14】
刺激発生手段は、上記計測ユニットに上記刺激の開始時点に関する予め決められた刺激開始時点信号を提供する手段を備え、
上記統括ユニットは、上記刺激開始時点信号を入力する入力手段を備え、該入力手段から入力した前記刺激開始時点データを上記計測データとともに記録することを特徴とする請求項13に記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。
【請求項15】
上記刺激開始時点信号は、上記刺激発生手段が被験者に提示する上記刺激と同じ提示手段で前記統括ユニットに提供されることを特徴とする請求項14に記載のワイヤレス生体情報センシングシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−259650(P2010−259650A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113547(P2009−113547)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人科学技術振興機構委託「戦略的創造研究推進事業」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】