説明

ワイヤレス車両充電のために装備された車両用の駐車支援

【課題】車両の下方の駐車面上にある供給源共振器または充電パッドの上方で、車両に取り付けられた捕捉共振器または受け板を位置決めするためのワイヤレス電池充電器の車両駐車支援システムを提供すること。
【解決手段】システムは、供給源共振器に対して、車両が駐車されている間、車両の運転者により視認可能である場所に位置決めされる標的を含む。車両は、車両に取り付けられた複数の光源を装備し、光源は、車両が適切に位置決めされる場合に、光源からの光ビームが1つもしくは複数の所定の場所で標的に当たる、または、標的上の何らかの所定の場所で収束するように方向設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、ここにその開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2011年8月12日に出願した米国仮特許出願第61/522,770号の米国特許法第119条(e)のもとでの利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本開示は、一般には、電気車両のワイヤレス電池充電器に関し、より詳細には、車両の運転者が充電パッドに位置合わせして車両を駐車することを支援するためのシステムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]電気車両および電気ハイブリッド車両は、消費者に対する人気が増大しつつある。これらの車両内の電動機は、典型的には、車両内の電池パック内に配設された複数の蓄電池から電力供給される。車両が駐車されている間に電池が再充電される必要がある場合、プラグまたは導線付きの(leaded)充電結合装置が、典型的には車両の運転者により車両に接続される。しかしながら、一部の運転者は、自分たちの車両に、車両が駐車されるたびに「プラグイン」しなければならないことを嫌う。
【0004】
[0004]ワイヤレスまたはコネクタレスの電池充電器が提案されてきたことは、1996年3月12日にBruniらに発行された米国特許第5,498,948号、および2011年8月30日にOyobeらに発行された米国特許第8,008,888号を参照されたい。Troy、MichiganのDelphiにより市販されているワイヤレス電池充電器は、充電されている車両の下方の駐車面上に置かれる供給源共振器または充電パッドを含み、対応する捕捉共振器または受け板が、車両の下側に装着される。この1つの例での供給源共振器および捕捉共振器は、約500ミリメートルおよび500ミリメートルの平方(500mm×500mm)である。そのようなワイヤレス電池充電器は、供給源共振器および捕捉共振器が、水平方向に(すなわち、横方向および縦方向に)位置合わせされるように、車両が駐車される場合に最も効率的である。しかしながら、供給源共振器および捕捉共振器は車両の下側にあるので、車両の運転者が、供給源共振器および捕捉共振器が位置合わせされるように、車両を駐車すべき場所を判断することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]1つの実施形態によれば、車両の下方の駐車面上にある供給源共振器の上方で、車両に取り付けられた捕捉共振器を位置決めするための車両駐車支援システムが提供される。システムは、標的および複数の光源を含む。標的は、供給源共振器に対して、車両が駐車されている間、車両の運転者により視認可能な場所に位置決めされる。複数の光源は、車両が適切に位置決めされる場合に、光源からの光ビームが1つまたは複数の所定の場所で標的に当たるように、車両に取り付けられ、方向設定されるように構成される。
【0006】
[0006]別の実施形態では、ワイヤレス電池充電のために装備された車両が提供される。車両は、捕捉共振器および複数の光源を含む。捕捉共振器は、車両に取り付けられる。捕捉共振器は、車両の下方の駐車面上にある供給源共振器から、車両の電池を充電するためのエネルギーを受けるように構成される。複数の光源は、車両が適切に位置決めされる場合に、光源からの光ビームが1つまたは複数の所定の場所で標的に当たるように、車両に取り付けられ、方向設定されるように構成される。
【0007】
[0007]非限定的な例のみによって、および添付の図面を参照して与えられる、好適な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、さらなる特徴および利点がよりはっきりと明らかになろう。
【0008】
[0008]次に、本発明は、添付の図面を参照する例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】[0009]1つの実施形態による、車両を駐車するために使用されている車両駐車支援システムの側面図である。
【図2】[0010]1つの実施形態による、車両を駐車するために使用されている図1の車両駐車支援システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0011]図1は、これ以降はシステム10と称される、車両駐車支援システムの非限定的な例を例示する。システム10は、車両14内の電池12を充電するためのワイヤレス電池充電器の一部であり得る。電池12を充電するために、車両14は、車両14に取り付けられた捕捉共振器16で装備される。この非限定的な例での捕捉共振器16は、車両14の下側部24に位置し、車両14の下方の駐車面20上にある供給源共振器18から、電池12を充電するためのエネルギー22(すなわち電磁エネルギー)を受けるように構成される。駐車面は、車両の所有者により所有される車庫の内側にある場合があり、または、電気車両の再充電サービスを提供する公共の駐車場内にある場合がある。
【0011】
[0012]電池充電器は、これ以降は制御器26と称される、エネルギー22が供給源共振器18によりどの程度放出されるかを制御するための充電制御器を含み得る。制御器26は、当業者には明らかなはずであるような、超小型処理装置または他の制御回路網などの処理装置(図示せず)を含み得る。制御器26は、電池12の充電の状態を判定するために、車両14と通信可能な無線周波数(RF)送受信器をさらに含み得る。制御器26は、1つまたは複数の、ルーチン、しきい値および捕捉データを記憶するために、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)などの不揮発性メモリを含むメモリ(図示せず)をさらに含み得る。制御器26により受信されるRF信号が、電池12が充電を必要とすることを示すかどうかを判定するためのステップを遂行するために、1つまたは複数のルーチンが、処理装置により実行され得る。
【0012】
[0013]より近く捕捉共振器16が供給源共振器18と位置合わせされるほど、より効率的にエネルギー22が供給源共振器18から捕捉共振器16に伝達されることを理解されたい。さらに、捕捉共振器16および供給源共振器18は車両14の下側にあるので、捕捉共振器16が供給源共振器18と水平方向に(すなわち、横方向および縦方向に)位置合わせされる位置に、運転者28が車両14を操縦することが困難である場合があることを理解されたい。例としてであり、限定としてではないが、捕捉共振器16と供給源共振器18との間の垂直方向の間隔は、典型的には約15センチメートルから20センチメートル(15〜20cm)である。
【0013】
[0014]捕捉共振器16が供給源共振器18と位置合わせされるように、運転者28が車両14を駐車するのを支援するために、システム10は、供給源共振器18からある程度の既知の、固定の、または所定の距離に位置決めされる標的30を含む。後続の説明で明白になるように、標的30は、好ましくは、車両14を駐車する間、標的30が運転者28により視認可能であるように位置決めされる。例えば、標的30は、駐車空間の前の柱上に装着される場合があり、または、運転者の自宅での車庫の壁上に装着される場合がある。
【0014】
[0015]システム10は、車両14に取り付けられる、例えば前バンパに取り付けられる、または、車両14の前照灯組立体と一体化されるように構成される複数の光源32をさらに含む。光源32は、アフターマーケットの改造として車両14に付加される場合があり、または、車両14の、それが最初に製造されるときの特徴部である場合がある。1つの実施形態では、光源32は、レーザ、例えば、いくつかの供給業者から容易に入手可能である発光ダイオード(LED)タイプのレーザである。十分なレーザ光の明るさが、日中の使用に対して容易に利用可能であるので、レーザは好ましいと考えられる。しかしながら、他の光源が適する場合があることが認識される。光源32は、好ましくは、車両14が供給源共振器18に対して適切に位置決めされる場合に、光源32からの光ビーム34が1つまたは複数の所定の場所で標的30に当たるように、方向設定されるように構成される。
【0015】
[0016]図2は、捕捉共振器16および供給源共振器18が位置合わせされるように、運転者28が車両14を配置するのを支援するために、標的30および光ビーム34がどのように協働するかの非限定的な例をさらに例示する。1つの実施形態では、光源32は、各個が、標的30上に垂直線36を形成する光ビーム34を放出するように構成される。レーザは、レーザに適したレンズを設けることにより、または、マイクロエレクトロメカニカル(MEMS)ミラーを使用してレーザビームを可変に偏向させることにより、垂直線36を「引く」ために使用され得る。
【0016】
[0017]1つの実施形態では、光源32は、車両14が適切に位置決めされる場合に、光ビーム34が標的30上で収束するように方向設定され得る。図2に示すように、車両は、標的30から必要以上に離れているように例示され、その結果、光ビーム34の交差により形成される収束線38は、車両14と標的30との間にある。車両14が前方に移動するにつれて、標的30上の垂直線36は、相互により近くに移動することになり、ついには、それらは、収束線38が標的30の面にある場合に収束することを理解されたい。
【0017】
[0018]標的30は、捕捉共振器16および供給源共振器18を充分に位置合わせするために、垂直線36がどの程度相互に近くなければならないかを示すための限界標識40をさらに含み得る。すなわち、運転者28は、もっぱら収束線38が標的上に現れるように車両14を正確に配置する必要はなく、それは、位置合わせが十分に近いからである。限界標識40間の間隔の距離は、光ビーム34の幾何形状、ならびに、捕捉共振器16および供給源共振器18がどの程度の位置ずれを許容することができるかに基づいて、経験的または数学的に決定されることになる。収束線38が限界標識40間でどの程度良好に中央に配置されるかによって車両14が横方向(すなわち左/右)にどの程度良好に位置合わせされるかを示すために、限界標識はさらに有用であり得る。
【0018】
[0019]図2は2つの光源のみを示唆するが、車両を駐車するための他の位置合わせの支援を提供するために、追加的な光源が有用であり得ることが理解される。車両14の横に並ぶ第2の標的などの、他の標的の配置構成が可能であることもまた考えられる。加えて、捕捉共振器16および供給源共振器18の横方向(すなわち左/右)の位置合わせをさらに示すために、標的30に対する車両14の「直角度(squareness)」を示す他の位置合わせの支援が考えられる。例えば、標的が、車庫の壁上に配置され得る、および/または、様々な駐車設備の構成を収容するために持ち上げられ得る場合に、光源32が、光ビーム34の方向をカスタマイズするための調整の支援を含み得ることもまた考えられる。
【0019】
[0020]したがって、車両駐車支援システム(システム10)、およびシステム10とともに動作するように装備された車両14が提供される。光ビーム34が標的30上に投射されることは、捕捉共振器16および供給源共振器18が電池12の効率的な充電のために充分に位置合わせされるように、運転者28が車両14を駐車するための、簡単で理解するのが容易な手段を提供する。
【0020】
[0021]本発明は、その好適な実施形態に関して説明されたが、そのように限定されることは意図されず、むしろ、後続の特許請求の範囲に記載される範囲のみに限定されることが意図される。
【符号の説明】
【0021】
10 システム
12 電池
14 車両
16 捕捉共振器
18 供給源共振器
20 駐車面
22 エネルギー
24 下側部
26 制御器
28 運転者
30 標的
32 光源
34 光ビーム
36 垂直線
38 収束線
40 限界標識

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の下方の駐車面上にある供給源共振器の上方で、前記車両に取り付けられた捕捉共振器を位置決めするための車両駐車支援システムであって、
前記車両が駐車されている間前記車両の運転者により視認可能な場所に、前記供給源共振器に対して位置決めされる標的と、
複数の光源であって、前記車両が適切に位置決めされるとき、前記光源からの光ビームが1つまたは複数の所定の場所で前記標的に当たるように、前記車両に取り付けられ且つ方向設定されるように構成される複数の光源と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記車両が適切に位置決めされるとき、前記光ビームが前記標的上で収束する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光源の各々が、前記標的上に垂直線を形成する光ビームを放出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光源がレーザである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記捕捉共振器、前記供給源共振器、および、前記供給源共振器により放出されるエネルギーを制御するように構成される充電制御器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ワイヤレス電池充電のために装備された車両であって、
前記車両に取り付けられた捕捉共振器であって、前記車両の下方の駐車面上にある供給源共振器から、車両の電池を充電するためのエネルギーを受け取るように構成される捕捉共振器と、
複数の光源であって、前記車両が適切に位置決めされるとき、前記光源からの光ビームが1つまたは複数の所定の場所で標的に当たるように、前記車両に取り付けられ且つ方向設定されるように構成される複数の光源と
を備える車両。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−40556(P2013−40556A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−171710(P2012−171710)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(599023978)デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (281)
【Fターム(参考)】