説明

ワイヤーハーネスの取り付け構造

【課題】ワイヤーハーネスの余長を効果的に吸収できるとともに、省スペース化を図ることができるワイヤーハーネスの取り付け構造を提供する。
【解決手段】本構造は、近接位置Q1と離間位置Q2との間を相対的に移動可能な第1骨格(第1フレーム5)及び第2骨格(第1フレーム9)と、第1骨格と第2骨格との間に配索されるワイヤーハーネス16と、を備えるワイヤーハーネスの取り付け構造15であって、ワイヤーハーネスは、第1骨格に第1固定点P1で固定され、第2骨格に第2固定点P2で固定されており、ワイヤーハーネスの第1固定点と第2固定点との間にはスライド部材23が設けられ、スライド部材は、第1骨格又は第2骨格に設けられた案内部(案内孔32)にスライド自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスの取り付け構造に関し、さらに詳しくは、ワイヤーハーネスの余長を効果的に吸収できるとともに、省スペース化を図ることができるワイヤーハーネスの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用ワイヤーハーネスの取り付け構造としては、車体側と、車体側にスライド自在に支持されたスライドシートとの間にワイヤーハーネスを配索し、スライドシートに設けた収容部にワイヤーハーネスの巻回部分を収容してなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、ワイヤーハーネスの巻回部分が拡径又は縮径することによりワイヤーハーネスの余長を吸収することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−137339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両用シートでは、シートレールに対してシートクッションを昇降自在に支持する場合がある。この場合、上記特許文献1の技術を利用して、シートクッションとシートレールとの間に配索されるワイヤーハーネスの余長を吸収することが考えられる。しかしながら、上記シートクッション及びシートレールの間は、周辺部品との関連等によりスペースが極めて狭いものであるため、上記特許文献1の技術のようにワイヤーハーネスの巻回部分を拡径又は縮径させる際にワイヤーハーネスが他部品に干渉してしまう恐れがある。その結果、ワイヤーハーネスの余長を効果的に吸収することが困難となる。また、ワイヤーハーネスの余長部分のスペース等を考慮して設計を行う必要がある。
【0005】
なお、上述の問題は、上記シートクッション及びシートレール以外においても、近接位置と離間位置との間を相対的に移動可能な第1骨格及び第2骨格の間にワイヤーハーネスを配索してなる構造であれば発生する。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ワイヤーハーネスの余長を効果的に吸収できるとともに、省スペース化を図ることができるワイヤーハーネスの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、近接位置と離間位置との間を相対的に移動可能な第1骨格及び第2骨格と、該第1骨格と該第2骨格との間に配索されるワイヤーハーネスと、を備えるワイヤーハーネスの取り付け構造であって、前記ワイヤーハーネスは、前記第1骨格に第1固定点で固定され、前記第2骨格に第2固定点で固定されており、前記ワイヤーハーネスの前記第1固定点と前記第2固定点との間にはスライド部材が設けられ、該スライド部材は、前記第1骨格又は前記第2骨格に設けられた案内部にスライド自在に支持されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載において、前記スライド部材は、予め決められた所定のスライド方向に向かって付勢されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載において、前記第2骨格は、前記第1骨格の下方に配設され且つ前記案内部を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のワイヤーハーネスの取り付け構造によると、ワイヤーハーネスの第1固定点と第2固定点との間にはスライド部材が設けられ、スライド部材は、第1骨格又は第2骨格に設けられた案内部にスライド自在に支持されているので、第1及び第2骨格が相対的に近接又は離間するときに、スライド部材が案内部をスライドすることにより第1及び第2骨格の間でのワイヤーハーネスの余長が吸収される。これにより、ワイヤーハーネスの余長を効果的に吸収できるとともに、省スペース化を図ることができる。
また、前記スライド部材が、予め決められた所定のスライド方向に向かって付勢されている場合は、第1及び第2骨格が相対的に近接又は離間するときに、付勢力によりスライド部材が所定のスライド方向に向かって自動的にスライドされる。よって、ワイヤーハーネスの余長を更に確実に吸収できる。
さらに、前記第2骨格が、前記第1骨格の下方に配設され且つ前記案内部を有する場合は、スライド部材と第2固定点との間のワイヤーハーネスの余長部分は第2骨格より下側に存在するとともに、スライド部材のスライドによりスライド部材と第1固定点との間のワイヤーハーネスは常に張り延ばされる。よって、第1及び第2骨格の間でワイヤーハーネスを挟み込んでしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】実施例に係るワイヤーハーネスの取り付け構造を備える車両シートの側面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】上記ワイヤーハーネスの取り付け構造の作用説明図であり、(a)は第1及び第2フレームの近接状態を示し、(b)は第1及び第2フレームの離間状態を示す。
【図5】上記ワイヤーハーネスの取り付け構造の作用説明図である。
【図6】その他の形態のワイヤーハーネスの取り付け構造を説明するための説明図であり、(a)は第1及び第2フレームの近接状態を示し、(b)は第1及び第2フレームの離間状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
1.ワイヤーハーネスの取り付け構造
本実施形態1.に係るワイヤーハーネスの取り付け構造は、近接位置(Q1)と離間位置(Q2)との間を相対的に移動可能な第1骨格(5)及び第2骨格(9)と、第1骨格(5)と第2骨格(9)との間に配索されるワイヤーハーネス(16)と、を備えるワイヤーハーネスの取り付け構造(15)であって、ワイヤーハーネス(16)は、第1骨格(5)に第1固定点(P1)で固定され、第2骨格(9)に第2固定点(P2)で固定されており、ワイヤーハーネス(16)の第1固定点(P1)と第2固定点(P2)との間にはスライド部材(23)が設けられ、スライド部材(23)は、第1骨格(5)又は第2骨格(9)に設けられた案内部(32)にスライド自在に支持されていることを特徴とする(例えば、図4及び図6等参照)。
【0012】
上記スライド部材(23)は、例えば、第1及び第2骨格(5、9)の近接離間方向と交差する方向にスライド自在に支持されていることができる。これにより、第1及び第2骨格(5,9)の間のスペースが極めて狭い場合であっても、ワイヤーハーネス(16)の余長を効果的に吸収できる。
【0013】
本実施形態1.に係るワイヤーハーネスの取り付け構造(15)としては、例えば、上記スライド部材(23)は、予め決められた所定のスライド方向(S1)に向かって付勢されている形態(例えば、図3等参照)を挙げることができる。上記所定のスライド方向(S1)は、例えば、第1及び第2骨格(5、9)が近接するときに、スライド部材(23)と第1固定点(P1)との間又はスライド部材(23)と第2固定点(P2)との間のワイヤーハーネス(16)の余長を吸収する方向であることができる(例えば、図4及び図6等参照)。これにより、第1及び第2骨格(5、9)が近接するときに付勢力によりスライド部材(23)が所定のスライド方向(S1)に向かって自動的にスライドされる。
【0014】
本実施形態1.に係るワイヤーハーネスの取り付け構造(15)としては、例えば、上記第2骨格(9)は、第1骨格(5)の下方に配設され且つ案内部(32)を有する形態(例えば、図4及び図6等参照)を挙げることができる。この場合、例えば、上記第1骨格(5)は、シートクッション(2)を構成する第1フレーム(5)であり、上記第2骨格(9)は、シートクッションに対向して配設されるシートレール(8)を構成する第2フレーム(9)であることができる。これにより、両者間のスペースが極めて狭いシートクッション(2)及びシートレール(9)であっても、ワイヤーハーネス(16)の余長を効果的に吸収できる。
【0015】
本実施形態1.に係るワイヤーハーネスの取り付け構造(15)としては、例えば、上記第1骨格(5)又は第2骨格(9)には案内具(30)が設けられ、案内具(30)は、本体(31)と、本体(31)に設けられた上記案内部(32)と、本体(31)に設けられ且つ第1骨格(5)又は第2骨格(9)に形成された取付孔(9b)に係合可能なクランプ部(33)と、を有する形態(例えば、図3等参照)を挙げることができる。これにより、第1骨格(5)又は第2骨格(9)を大幅に設計変更することなく、第1又は第2骨格(5、9)に対して案内具(30)を容易且つ確実に取り付けることができる。また、上記案内具(30)は、例えば、本体(31)に設けられ且つスライド部材(23)を所定のスライド方向(S1)に向かって付勢する付勢体(34)を更に有することができる。
【実施例】
【0016】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0017】
(1)シートクッションの構成
本実施例に係る車両シート1は、図1に示すように、シートクッション2と、このシートクッション2の後部に傾動自在に支持されるシートバック3と、を備えている。このシートクッション2は、左右の第1フレーム5(本発明に係る「第1骨格」として例示する。)と、これら各第2フレーム5に取り付けられるクッション材6と、を備えている。また、シートクッション2の下部にはシートレール8が配設されている。このシートレール8は、車両前後方向に延びる左右の第2フレーム9(本発明に係る「第2骨格」として例示する。)と、これら各第2フレーム9に取り付けられるアッパーレール10と、このアッパーレール10を車両前後方向にスライド自在に支持し且つ車体に設けられるアンダーレール11と、を備えている。
【0018】
上記第2フレーム9には、リンク機構13を介して第1フレーム5が昇降自在に支持されている。そして、リンク機構13を手動又は駆動源(例えば、駆動モータ等)で駆動することにより、第1フレーム5は、第2フレーム9に対する近接位置Q1(図4(a)参照)と離間位置Q2(図4(b)参照)との間を移動するようになっている。
【0019】
(2)ワイヤーハーネスの取り付け構造の構成
本実施例のワイヤーハーネスの取り付け構造15は、上記第1及び第2フレーム5、9の間にワイヤーハーネス16を配索してなされている。このワイヤーハーネス16は、クランプ具17bに第1固定点P1で固定され、クランプ具17aに第2固定点P2で固定されている。
【0020】
上記各クランプ具17a,17bは略同じ構成であり、以下にクランプ具17aについて説明する。このクランプ具17aは、図2及び図3に示すように、本体18と、この本体18の一端側に設けられワイヤーハーネス16の外周に宛がわれる長尺板状の当接体19と、この当接体19の両端側に設けられワイヤーハーネス16の外周に巻き付けられてワイヤーハーネス16を固定するベルト20と、本体18の他端側に設けられ第2フレーム9に形成された取付孔9aに係合可能なクランプ部21と、を有している。
【0021】
上記ワイヤーハーネス16の第1固定点P1と第2固定点P2との間にはスライド部材23が設けられている。このスライド部材23は、後述する案内具の案内孔に案内される本体24と、この本体24の一端側に設けられワイヤーハーネス16の外周に宛がわれる長尺板状の当接体25と、この当接体25の両端側に設けられワイヤーハーネス16の外周に巻き付けられてワイヤーハーネス16を固定するベルト26と、を備えている。
【0022】
上記第2フレーム9には案内具30が設けられている。この案内具30は、筒状の本体31と、この本体31の側壁に車両前後方向に延びて形成された案内孔32(本発明に係る「案内部」として例示する。)と、この本体31に設けられ且つ第2フレーム9に形成された取付孔9bに係合可能なクランプ部33と、を備えている。この案内孔32内には上記スライド部材23の本体24がスライド自在に支持されている。また、本体31内には、スライド部材23を所定のスライド方向S1に向かって付勢する付勢バネ34が内蔵されている。この所定のスライド方向S1は、第2フレーム9に対して第1フレーム5が近接するときに、スライド部材23と第1固定点P1との間のワイヤーハーネス16の余長を吸収する方向である(図4参照)。
【0023】
(3)ワイヤーハーネスの取り付け構造の作用
次に、上記構成のワイヤーハーネスの取り付け構造15の作用について説明する。図4(a)に示すように、第1フレーム5が近接位置Q1に位置するときには、付勢バネ34の付勢力によりスライド部材23が案内孔32の一端側に位置している。そして、スライド部材23と第1固定点P1との間のワイヤーハーネス16は張り延ばされている。一方、スライド部材23と第2固定点P2との間のワイヤーハーネス16には余長部分が生じており、この余長部分は第2フレーム9より下方に垂れ下がっている。
【0024】
第1フレーム5を近接位置Q1から離間位置Q2に位置させると、図4(b)に示すように、付勢バネ34の付勢力に抗してスライド部材23が案内孔32の他端側に向かってスライドする(図5参照)。このスライド部材23のスライドにより、スライド部材23と第1固定点P1との間のワイヤーハーネス16は張り延ばされた状態が維持される。一方、スライド部材23と第2固定点P2との間のワイヤーハーネス16の余長部分は張り延ばされる。
【0025】
第1フレーム5を離間位置Q2から近接位置Q1に位置させると、図4(a)に示すように、付勢バネ34の付勢力によりスライド部材23が案内孔32の一端側に向かってスライドする。このスライド部材23のスライドにより、スライド部材23と第1固定点P1との間のワイヤーハーネス16は張り延ばされた状態が維持される。一方、スライド部材23と第2固定点P2との間のワイヤーハーネス16には余長部分が生じる。
【0026】
(4)実施例の効果
以上より、本実施例のワイヤーハーネスの取り付け構造15によると、ワイヤーハーネス16の第1固定点P1と第2固定点P2との間にはスライド部材23が設けられ、スライド部材23は、第2フレーム9に設けられた案内孔32にスライド自在に支持されているので、第1及び第2フレーム5、9が相対的に近接又は離間するときに、スライド部材23が案内孔32をスライドすることにより第1及び第2フレーム5、9の間でのワイヤーハーネス16の余長が吸収される。これにより、ワイヤーハーネス16の余長を効果的に吸収できるとともに、省スペース化を図ることができる。その結果、ワイヤーハーネス16の余長部分を考慮したり、ワイヤーハーネス16の固定点P1、P2の位置を考慮したりして設計する必要がない。また、ワイヤーハーネス16の省線化を図ることができる。さらに、省スペースでの使用により様々なワイヤーハーネス経路配索を実施することができる。
【0027】
また、本実施例では、スライド部材23を、予め決められた所定のスライド方向S1に向かって付勢するようにしたので、第1及び第2フレーム5、9が相対的に近接するときに、付勢力によりスライド部材23が所定のスライド方向S1に向かって自動的にスライドされ、スライド部材23と第1固定点P1との間のワイヤーハーネス16の余長が吸収される。よって、第1及び第2フレーム5、9の間でのワイヤーハーネス16の余長を更に確実に吸収できる。
【0028】
また、本実施例では、第2フレーム9を、第1フレーム5の下方に配設し且つ案内孔32を有して構成したので、スライド部材23と第2固定点P2との間のワイヤーハーネスの余長部分は第2フレーム9より下側に存在するとともに、スライド部材23のスライドによりスライド部材23と第1固定点P1との間のワイヤーハーネス16は常に張り延ばされる。よって、第1及び第2フレーム5、9の間でワイヤーハーネス16を挟み込んでしまうことを防止できる。
【0029】
さらに、本実施例では、第2フレーム9に案内具30を設け、この案内具30を、本体31と、本体31に形成された案内孔32と、本体31に設けられ且つ第2フレーム9に形成された取付孔9bに係合可能なクランプ部33と、を有して構成したので、第2フレーム9を大幅に設計変更することなく、第2フレーム9に対して案内具30を容易且つ確実に取り付けることができる。
【0030】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、第2骨格としての第2フレーム9に案内部としての案内孔32を設ける形態を例示したが、これに限定されず、例えば、図6(a)(b)に示すように、第1骨格としての第1フレーム5に案内部としての案内孔32を設けるようにしてもよい。この場合、例えば、第1及び第2フレーム5、9が近接するときに、スライド部材23と第2固定点P2との間のワイヤーハーネス16の余長を吸収するようにスライド部材23を所定のスライド方向S2に付勢することができる。
【0031】
また、上記実施例では、スライド部材23を案内孔32でスライド自在に案内するようにしたが、これに限定されず、例えば、スライド部材23を案内溝や案内レールでスライド自在に案内するようにしてもよい。また、上記実施例では、スライド部材23を付勢バネ34で付勢するようにしたが、これに限定されず、例えば、スライド部材23を弾性ゴムや発泡体で付勢するようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施例では、スライド部材23を、第1及び第2フレーム5、9の近接離間方向と略直交する方向に沿ってスライドさせるようにしたが、これに限定されず、例えば、スライド部材23を、第1及び第2フレーム5、9の近接離間方向に対して傾斜する方向に沿ってスライドさせたり、第1及び第2フレーム5、9の近接離間方向にスライドさせたりしてもよい。
【0033】
また、上記実施例では、第2骨格として第2フレーム9を例示したが、これに限定されず、例えば、第2骨格としてアッパーレール10を採用してもよい。
【0034】
また、上記実施例では、互いに近接離間するシートクッション2とシートレール8との間に配索されるワイヤーハーネス16の余長を吸収する構造を例示したが、これに限定されず、例えば、互いに近接離間するシートクッションとシートバックとの間に配策されるワイヤーハーネスの余長を吸収する構造としたり、互いに近接離間するシートバックとヘッドレストとの間に配策されるワイヤーハーネスの余長を吸収する構造としたり、互いに近接離間する車体側とシートレールとの間に配策されるワイヤーハーネスの余長を吸収する構造としたりしてもよい。
【0035】
さらに、上記実施例では、車両シートに配策されるワイヤーハーネスの余長を吸収する構造を例示したが、これに限定されず、例えば、スライドドア、サンルーフ、サンバイザ等に配索されるワイヤーハーネスの余長を吸収する構造としてもよい。
【0036】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0037】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
ワイヤーハーネスの余長を吸収する技術として広く利用される。特に、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などで使用される車両用のワイヤーハーネスの余長吸収構造として好適に利用される。
【符号の説明】
【0039】
5;第1フレーム、9;第2フレーム、15;ワイヤーハーネスの取り付け構造、16;ワイヤーハーネス、23;スライド部材、32;案内孔、Q1;近接位置、Q2;離間位置、P1;第1固定点、P2;第2固定点、S1,S2;所定のスライド方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接位置と離間位置との間を相対的に移動可能な第1骨格及び第2骨格と、該第1骨格と該第2骨格との間に配索されるワイヤーハーネスと、を備えるワイヤーハーネスの取り付け構造であって、
前記ワイヤーハーネスは、前記第1骨格に第1固定点で固定され、前記第2骨格に第2固定点で固定されており、
前記ワイヤーハーネスの前記第1固定点と前記第2固定点との間にはスライド部材が設けられ、該スライド部材は、前記第1骨格又は前記第2骨格に設けられた案内部にスライド自在に支持されていることを特徴とするワイヤーハーネスの取り付け構造。
【請求項2】
前記スライド部材は、予め決められた所定のスライド方向に向かって付勢されている請求項1記載のワイヤーハーネスの取り付け構造。
【請求項3】
前記第2骨格は、前記第1骨格の下方に配設され且つ前記案内部を有する請求項1又は2に記載のワイヤーハーネスの取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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