説明

ワイヤ駆動式搬送装置及びワイヤ駆動式搬送装置の制御方法

【課題】低コスト化が可能なワイヤ駆動式搬送装置及びワイヤ駆動式搬送装置の制御方法を提供する。
【解決手段】ステージ3と、駆動装置4と、張力付与装置5と、制御装置7と、を備えている。駆動装置4は、前記ステージ3に接続された第1ワイヤ12、前記第1ワイヤ12をその回転により巻き取り及び送り出すことで前記ステージ3を移動させる第1モータ11、及び、前記第1モータ11の回転を検出する第1ロータリエンコーダ13を具備する。張力付与装置5は、前記第1ワイヤ12に一定の張力を付与する。制御装置7は、前記第1ロータリエンコーダ13により検出した前記第1モータ11の回転から前記第1ワイヤ12の伸縮量、及び、前記伸縮量から前記ステージ3の位置を補正する補正量を算出する算出部32を有し、前記補正量に基づいて前記モータを駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ワイヤによりステージを駆動させるワイヤ駆動式搬送装置及びワイヤ駆動式搬送装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ駆動式搬送装置として、モータによりワイヤを送る又は巻き取ることで、ワイヤに接続されたステージを移動させる技術が知られている。このようなワイヤ駆動式搬送装置は、ステージを挟んで当該モータと相対する位置に、ステージの移動により発生するワイヤのたわみを除去する除去手段が用いられている。この除去手段は、ワイヤに一定の張力を与えられればよく、このため、張力を一定に保つモータ又は錘により構成されている。
【0003】
また、ワイヤ駆動式搬送装置は、ステージの位置決めを行うために、リニアスケールが用いられている。リニアスケールは、直接ステージの位置を検出するため、ワイヤの伸縮によるステージ位置の誤差を考慮する必要がなく、高精度にステージの位置を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−017292号公報
【特許文献2】特開2007−127138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したワイヤ駆動式搬送装置では、ステージの形状及び移動量に比例して、リニアスケールの大型化となり、製造コストの増加となるため、低コストのワイヤ駆動式搬送装置が求められている。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、低コスト化が可能なワイヤ駆動式搬送装置及びワイヤ駆動式搬送装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のワイヤ駆動式搬送装置は、ステージと、駆動装置と、張力付与装置と、制御装置と、を備えている。駆動装置は、前記ステージに接続された第1ワイヤ、前記第1ワイヤをその回転により巻き取り及び送り出すことで前記ステージを移動させる第1モータ、及び、前記第1モータの回転を検出する第1ロータリエンコーダを具備する。張力付与装置は、前記第1ワイヤに一定の張力を付与する。
【0008】
制御装置は、前記第1ロータリエンコーダにより検出した前記第1モータの回転から前記第1ワイヤの伸縮量、及び、前記伸縮量から前記ステージの位置を補正する補正量を算出する算出部を有し、前記補正量に基づいて前記モータを駆動させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同ワイヤ駆動式搬送装置の構成を模式的に示すブロック図。
【図3】同ワイヤ駆動式搬送装置の要部構成を模式的に示すブロック図。
【図4】同ワイヤ駆動式搬送装置の要部構成を模式的に示すブロック図。
【図5】第2の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置の構成を模式的に示す説明図。
【図6】第3の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置の構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1を、図1乃至図4を用いて説明する。
図1は第1の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1の構成を模式的に示す説明図、図2はワイヤ駆動式搬送装置1の構成を模式的に示すブロック図、図3はワイヤ駆動式搬送装置1の構成、特に、制御装置7の構成を示すブロック図、図4はワイヤ駆動式搬送装置1の構成、特に、制御装置7の構成を示すブロック図である。なお、図2乃至図4中、矢印の向きは、電気信号の流れ方向を示す。
【0011】
図1に示すように、ワイヤ駆動式搬送装置1は、ステージ3と、駆動装置4と、張力付与装置5と、外部入力装置6と、制御装置7と、を備えている。ワイヤ駆動式搬送装置1は、ステージ3を駆動装置4により駆動させることで、ステージ3上に配置された物品100を、処理位置等の所定の位置へと搬送する。
【0012】
ステージ3は、例えば、所定の方向に沿って延設されたレール上に設けられ、駆動装置4で所定の方向に駆動されると、当該レールに沿って移動する。
【0013】
駆動装置4は、第1モータ11と、第1ワイヤ12と、第1ロータリエンコーダ13と、を備えている。駆動装置4は、ステージ3を所定の方向に駆動する。
【0014】
第1モータ11は、回転軸14と、巻取部15と、を備えている。第1モータ11は、その内部に、固定子及び回転子を備えている。第1モータ11は、信号線Sを介して制御装置7に接続されている。
【0015】
回転軸14は、回転子に接続され、回転子の回転に伴って回転する。巻取部15は、第1ワイヤ12に接続されている。巻取部15は、回転軸14が一方向に回転した場合に、第1ワイヤ12を送り出し、回転軸14が他方向に回転した場合に、第1ワイヤ12を巻き取る。
【0016】
第1ワイヤ12は、一方が巻取部15に、他方がステージ3に接続される。第1ワイヤ12は、巻取部15により送り出された場合に、ステージ3を押圧し、当該押圧方向にステージ3を移動させる。第1ワイヤ12は、巻取部15に巻き取られた場合に、ステージ3を引っ張り、当該引張方向にステージ3を移動させる。
【0017】
第1ロータリエンコーダ13は、回転軸14の回転から、第1ワイヤ12の送り量及び巻き取り量、即ち、第1ワイヤ12により移動したステージ3の移動量x1を読み取る。第1ロータリエンコーダ13は、信号線Sを介して制御装置7に接続され、読み取ったステージ3の移動量x1の情報を、制御装置7に送信する。
【0018】
張力付与装置5は、例えば、第2モータ(張力付与手段の一例に相当する)21と、第2ワイヤ22と、第2ロータリエンコーダ23と、を備えている。なお、張力付与装置5は、後述する制御装置7により算出された張力に基づいて、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22に張力を付与し、張力を一定に維持する。
【0019】
第2モータ21は、回転軸24と、巻取部25と、を備えている。第2モータ21は、その内部に、固定子及び回転子を備えている。第2モータ21は、信号線Sを介して制御装置7に接続されている。
【0020】
回転軸24は、回転子に接続され、回転子の回転に伴って回転する。巻取部25は、第2ワイヤ22に接続されている。巻取部25は、回転軸24が一方向に回転した場合に、第2ワイヤ22を送り出し、回転軸24が他方向に回転した場合に、第2ワイヤ22を巻き取る。
【0021】
第2ワイヤ22は、一方が巻取部25に、他方がステージ3に接続される。第2ワイヤ22は、第1ワイヤ12が巻取部15により巻き取られた場合又は送り出された場合に、巻取部25により巻き取られ若しくは送り出され、第1ワイヤ12に所定の張力を印可する。
【0022】
第2ロータリエンコーダ23は、回転軸24の回転から、第2ワイヤ22の送り量及び巻き取り量、即ち、ステージ3の移動量x2を読み取る。第2ロータリエンコーダ23は、信号線Sを介して制御装置7に接続され、読み取ったステージ3の移動量x2の情報を、制御装置7に送信する。
【0023】
外部入力装置6は、オペレータ等が、ステージ3の移動量やステージ3の目標位置等のステージ3の移動情報を任意に入力する入力手段である。外部入力装置6は、制御装置7に接続され、入力された情報を制御装置7に送信可能に形成されている。例えば、外部入力装置6は、入力された情報を、後述する制御装置7の第1制御部34に送信する。
【0024】
図1及び図2に示すように、制御装置7は、第1モータ11、第1ロータリエンコーダ13、第2モータ21、及び、第2ロータリエンコーダ23に接続されている。制御装置7は、記憶部31と、算出部32と、判断部33と、第1制御部34と、第2制御部35とを有している。
【0025】
制御装置7は、第1モータ11及び第2モータ21の駆動情報から第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量Δxを算出する。なお、この伸縮量Δxは、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22に付与される張力や温度変化等により発生する。
【0026】
また、制御装置7は、ステージ3の位置から第1モータ11及び第2モータ21の補正量xcmpを算出する。制御装置7は、これら算出した伸縮量Δx及び第1モータ11及び第2モータ21の補正量から、第1モータ11の制御にフィードバックさせる所謂フィードバック制御を行う。
【0027】
記憶部31には、第1ワイヤ12の送り出し量及び第1ワイヤ12の巻取り量に対する、第2ワイヤ22の送り出し量及び巻取り量に応じた張力が記憶されている。換言すると、記憶部31には、第2モータ21の駆動による第2ワイヤ22の所定の移動量に対して第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22に発生する所定の張力が記憶されている。
【0028】
算出部32は、第1ロータリエンコーダ13及び第2ロータリエンコーダ23により検出された移動量x1、x2から、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量Δxを算出する。算出部32は、算出した伸縮量Δxの情報を、第1制御部34に送信する。
【0029】
判断部33は、第1ロータリエンコーダ13及び第2ロータリエンコーダ23により検出された移動量x1、x2、及び、記憶部31に記憶された第1,第2ワイヤ12,22の巻き取り量及び送り出し量に応じた張力から、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22に発生している張力を推定する。判断部33は、推定した張力の情報を第2制御部35に送信する。
【0030】
第1制御部34は、外部入力装置6、第1ロータリエンコーダ13及び算出部32から送信された情報に基づいて、第1モータ11の制御を行い、外部入力装置6により入力されたステージ3の位置にステージ3を移動する。
【0031】
第2制御部35は、判断部33により推定された張力に基づいて、第2モータ21を駆動することで、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力を一定に維持する。
【0032】
次に、ワイヤ駆動式搬送装置1の制御方法について図1乃至図4を用いて説明する。
先ず、図3に示すように、ステージ3の移動情報であるステージ3の目標位置の指令された値(以下、「指令値」)xcmd1が外部入力装置6から入力されると、第1制御部34は、当該指令値xcmd1に基づいて第1モータ11を駆動し、ステージ3を移動させる。
【0033】
また、第1制御部34は、例えばローパスフィルタ34aを有し、P制御又はPD制御を行う。ローパスフィルタ34aは、積分器の機能を有している。なお、第1制御部34は、ローパスフィルタ34aを有さずに、PID制御を行う構成であってもよい。
【0034】
具体的に説明すると、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22は、張力付与装置5により一定に付与された張力により伸縮するため、第1制御部34は、先ず、算出部32で算出された伸縮量Δxから、ステージ3の位置を補正する補正量xcmpを算出する。
【0035】
ここで、補正量xcmpの算出を説明すると、算出部32は、先ず、第1ロータリエンコーダ13及び第2ロータリエンコーダ23により検出された移動量x1、x2、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力、及び、外気温等から、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量Δxを算出する。
【0036】
例えば、第1モータ21の位置応答値である第1ロータリエンコーダ13が読み取る移動量x1を基準とし、ステージ3(及び第1ワイヤ12)が所定の移動量x移動した(x1=x)とすると、第2ロータリエンコーダ23で読み取る移動量x2は、所定の移動量xに、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量Δxが加わるため、x2=x+Δxとなる。
【0037】
また、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22に加わる張力は、張力付与装置5により張力が一定に維持され、且つ、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22による伸縮量Δxを一定とする。
【0038】
また、xを第1ロータリエンコーダ13が読み取ったステージ3の移動量(移動後の位置)とし、lを第1ワイヤ12の長さl1及び第2ワイヤ22の長さl2の和とすると、ステージ3の位置の補正量xcmpは、
xcmp=(x/l)Δx
となる。当該補正量xcmpは、ローパスフィルタ34aによりノイズの軽減がなされる。
【0039】
次に、第1制御部34は、移動量x1(x1=x)、ノイズが軽減された補正量xcmp及び外部入力装置6の指令値xcmd1から、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量を考慮したステージ3の停止位置を制御する場合のステージ3の制御目標Tを算出する。
【0040】
ここで、補正量xcmp及び指令値xcmd1から求められる現在のステージ3の位置xに対する補正値をrとする。また、上述で説明したように、ステージ3が指令値xcmd1である所定の移動量x移動したとすると、補正値rは、
r=xcmp=(x/l)Δx
となる。
【0041】
これにより制御目標Tは、
T=x−r=(1−(1/l)Δx)x
から算出される。この算出された制御目標Tに基づいて、第1制御部34は、第1モータ11を駆動させてステージ3を移動させる。
【0042】
このように、第1制御部34は、当該制御目標Tに応じて第1モータ11を駆動させるとともに、継続して制御目標Tを求めて、当該制御目標Tに応じて第1モータ11を駆動させる。
【0043】
また、上述の第1制御部34によるステージ3の移動において、第2制御部35は、図4に示すように、第1モータ11の駆動による第1ワイヤ12の張力の変化に伴って、第2モータ21を駆動させて、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力を所定の張力で一定となるように比例制御を行う。
【0044】
具体的に説明すると、先ず、第2制御部35は、外部入力装置6等により予め指令された張力fcmd2に基づいて第2モータ21を駆動する。これにより第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22に張力が印加される。このとき、第2モータ21には、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力が巻取部25において回転軸24の回転方向の力に変換された力である外力fext2が印可される。
【0045】
この外力fext2により、第2モータ21の回転軸24の速度が変化することから、当該第2モータ21の速度応答値xres2が求められ、判断部33に送信される。また、第2モータ21の駆動情報に基づいて、記憶部31に記憶されている第2モータ21の駆動に応じた所定の張力が出力され、判断部33に送信される。
【0046】
判断部33は、速度応答値xres2及び記憶部から出力された所定の張力から、第2モータ21に加わる外力(外力応答値)fres2を算出し、推定する。
【0047】
第2制御部35は、外部入力装置6等により指令された張力fcmd2となるように、算出された外力fres2が第2モータ21に加わっているものとして第2モータ21を駆動する。このように、第2制御部35は、判断部33により算出された外力応答値fres2に基づいて、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力が指令張力fcmd2となるように制御を行う。
【0048】
これら第1制御部34及び第2制御部35による制御により、ステージ3を、目標の位置(指令値xcmd1)に移動させるとともに、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力を一定に保つ。
【0049】
このように構成されたワイヤ駆動式搬送装置1は、ステージ3を、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量Δxを考慮して第1モータ11を第1制御部34により駆動させてステージ3を移動させることで、ステージ3の位置を高精度に制御することが可能となる。
【0050】
また、ワイヤ駆動式搬送装置1は、駆動装置4によりステージ3の移動を行うとともに、張力付与装置5により第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力を一定とすることが可能となる。このため、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量Δxを高精度に算出できる。
【0051】
ワイヤ駆動式搬送装置1は、ステージ3の位置検出にステージ3自体を直接検出するリニアスケールを用いず、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の移動量x1、x2から求める構成であるため、ワイヤ駆動式搬送装置1の小型化及び製造コストの低減が可能となる。
【0052】
また、ワイヤ駆動式搬送装置1は、上述したように第1制御部34及び第2制御部35により、ステージ3の移動と第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力付与を独立して行うことが可能となる。
【0053】
上述したように、本実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1によれば、ステージ3の位置の検出及び移動を高精度に行うとともに、製造コストの低減とすることが可能となる。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1Aについて、図5を用いて説明する。図5は第2の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1Aの構成を模式的に示す説明図である。なお、第2の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1Aのうち、上述した第1の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
図5に示すように、ワイヤ駆動式搬送装置1Aは、ステージ3と、駆動装置4と、張力付与装置5Aと、外部入力装置6と、制御装置7Aと、を備えている。
【0056】
張力付与装置5Aは、第1ワイヤ12に所定の張力を付与可能に形成されている。張力付与装置5Aは、例えば、第2モータ21と、第2ワイヤ22と、第2ロータリエンコーダ23と、張力検出器26と、を備えている。
【0057】
張力検出器26は、第2ワイヤ22に設けられ、第2ワイヤ22の張力を検出する。張力検出器26は、例えば、ひずみゲージを用いたロードセル等が用いられる。張力検出器26は、制御装置7Aに信号線Sを解して接続され、検出した張力を制御装置7Aに送信する。
【0058】
制御装置7Aは、第1モータ11、第1ロータリエンコーダ13、第2モータ21、第2ロータリエンコーダ23及び張力検出器26に接続されている。制御装置7Aは、記憶部31と、算出部32と、第1制御部34と、第2制御部35とを有している。
【0059】
第2制御部35は、張力検出器26により検出した張力が外部入力装置6により指令された張力となるように、第2モータ21を駆動する。なお、制御装置7Aは、張力検出器26により検出された張力に応じて直接第2モータ21を駆動する構成であるため、上述した制御装置7の判断部33は有さなくてよい。
【0060】
このように構成されたワイヤ駆動式搬送装置1Aによれば、上述したワイヤ駆動式搬送装置1と同様の効果を得ることが可能となる。また、ワイヤ駆動式搬送装置1Aは、張力検出器26を用いることで、より高精度に第1ワイヤ12の張力を制御可能となり、結果、ステージ3の位置の検出及び移動をさらに高精度とすることができる。
【0061】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1Bについて、図6を用いて説明する。図6は第3の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1Bの構成を模式的に示す説明図である。なお、第3の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1Bのうち、上述した第1の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1及び第2の実施形態に係るワイヤ駆動式搬送装置1Aと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
ワイヤ駆動式搬送装置1Bは、ステージ3と、駆動装置4と、張力付与装置5Bと、外部入力装置6と、制御装置7Bと、を備えている。
【0063】
張力付与装置5Bは、第1ワイヤ12に所定の張力を付与可能に形成されている。張力付与装置5Bは、例えば、第2ワイヤ22と、錘(張力付与手段の一例に相当する)27と、リニアエンコーダ28と、を備えている。また、張力付与装置5Bは、錘27の重量を、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力に変換するために、第2ワイヤ22の中途部に錘27を重力方向に垂下させる滑車29を備えている。
【0064】
錘27は、第2ワイヤ22に接続されている。錘27は、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22に所定の張力を付与可能な重量に形成されている。
【0065】
リニアエンコーダ28は、第2ワイヤ22又は錘27に設けられ、当該第2ワイヤ22又は錘27の移動量を検出可能に形成されている。リニアエンコーダ28は、制御装置7Bに接続され、検出した移動量を送信可能に形成されている。
【0066】
制御装置7Bは、第1モータ11、第1ロータリエンコーダ13、及びリニアエンコーダ28に接続されている。制御装置7Bは、記憶部31と、算出部32と、第1制御部34と、を有している。なお、制御装置7Bは、上述した判断部33及び第2制御部35を有さない構成である。
【0067】
第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22が、錘27により一定に付与された張力により伸びるため、算出部32は、第1ロータリエンコーダ13及びリニアエンコーダ28から第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸び量Δxを算出する。また、第1制御部34は、算出部32で算出された伸び量Δxから、ステージ3の位置を補正する補正量を算出する。
【0068】
このように構成されたワイヤ駆動式搬送装置1Bによれば、上述したワイヤ駆動式搬送装置1と同様の効果を得ることが可能となる。また、ワイヤ駆動式搬送装置1Bは、張力付与装置5Bとして、錘27により第1ワイヤ12(及び第2ワイヤ22)に張力を付与する構成である。このため、張力付与装置5Bは、単純な構成でよく、ワイヤ駆動式搬送装置1Bの製造コストをさらに低減することが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態のワイヤ駆動式搬送装置1,1A,1Bに限定されるものではない。上述した実施形態のワイヤ駆動式搬送装置1,1A,1Bは、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸び量x1、x2、又は、リニアエンコーダ28により検出した第2ワイヤ22の移動量から、第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の伸縮量Δxを求めたがこれに限定されない。
【0070】
例えば、予め第1ワイヤ12及び第2ワイヤ22の張力に対する伸縮量を記憶部31に記憶させておき、張力付与装置5,5A,5Bで付与される張力に基づいて、伸縮量Δxを求めてもよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B…ワイヤ駆動式搬送装置、3…ステージ、4…駆動装置、5,5A,5B…張力付与装置、6…外部入力装置、7,7A,7B…制御装置、11…第1モータ、12…第1ワイヤ、13…第1ロータリエンコーダ、14…回転軸、15…巻取部、21…第2モータ、22…第2ワイヤ、23…第2ロータリエンコーダ、24…回転軸、25…巻取部、26…張力検出器、27…錘、28…リニアエンコーダ、29…滑車、31…記憶部、32…算出部、33…判断部、34…第1制御部、35…第2制御部、100…物品、S…信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージに接続された第1ワイヤ、前記第1ワイヤをその回転により巻き取り及び送り出すことで前記ステージを移動させる第1モータ、及び、前記第1モータの回転を検出する第1ロータリエンコーダを具備する駆動装置と、
前記第1ワイヤに一定の張力を付与する張力付与装置と、
前記第1ロータリエンコーダにより検出した前記第1モータの回転から前記第1ワイヤの伸縮量、及び、前記伸縮量から前記ステージの位置を補正する補正量を算出する算出部を有し、前記補正量に基づいて前記モータを駆動させる制御装置と、
を備えることを特徴とするワイヤ駆動式搬送装置。
【請求項2】
前記張力付与装置は、前記ステージに接続された第2ワイヤ、前記第2ワイヤをその回転により巻き取り及び送り出すことで、前記第1ワイヤに所定の張力を付与する第2モータ及び前記第2モータの回転を検出する第2ロータリエンコーダを具備し、
前記算出部は、前記第1ロータリエンコーダ及び前記第2ロータリエンコーダにより検出した前記第1モータ及び前記第2モータの回転から前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの伸縮量を算出するとともに、前記算出した伸縮量から前記補正量を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ駆動式搬送装置。
【請求項3】
前記張力付与装置は、前記ステージに接続された第2ワイヤ、前記第2ワイヤに接続され、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤに所定の張力を付与する錘、及び、前記第2ワイヤ又は前記錘の移動量を検出するリニアエンコーダを具備し、
前記算出部は、前記第1ロータリエンコーダにより検出した前記第1モータの回転、及び、前記リニアエンコーダにより検出した前記第2ワイヤ又は前記錘の移動量から前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤの伸縮量を算出するとともに、前記算出した伸縮量から前記補正量を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ駆動式搬送装置。
【請求項4】
ステージに接続された第1ワイヤを、前記第1ワイヤに一定の張力を付与した状態で第1モータにより巻き取り又は送り出すことで前記ステージを移動させることと、
前記第1モータの回転を検出する第1ロータリエンコーダにより、前記ステージの移動による前記第1モータの回転を検出することと、
前記検出した前記第1モータの回転から、前記第1ワイヤの移動量を検出することと、
前記第1ワイヤの移動量から前記第1ワイヤの伸縮量を算出することと、
前記伸縮量から、前記ステージの位置を補正する補正量を算出することと、
前記補正量に基づいて前記モータを駆動することと、を有することを特徴とするワイヤ駆動式搬送装置の制御方法。
【請求項5】
前記第1ワイヤは、前記ステージに接続された第2ワイヤ及び第2ワイヤに接続された張力付与手段により一定の張力が付与され、
前記伸縮量は、前記第1ワイヤの移動量及び前記第2ワイヤの移動量から前記伸縮量を求めることを特徴とする請求項4に記載のワイヤ駆動式搬送装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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