説明

ワークピースのハードフィニッシュを行うためのハードフィニッシュ加工機

【課題】ハードフィニッシュ加工機における冷却潤滑剤の供給条件を自動的に調節する。
【解決手段】ハードフィニッシュ加工機は、ワークピースとハードフィニッシュ工具との間の加工領域に冷却潤滑剤を供給するための冷却潤滑剤供給手段9を備え、最適化された冷却潤滑剤供給条件であらゆる可能な工具と方法とを組み合わせて作動するために、冷却潤滑剤供給手段9は、少なくとも1つのノズル要素10を備え、ノズル要素10はノズルチャンバ11を備え、ノズルチャンバ11は、冷却潤滑剤用の流路出口開口部14を規定する2つの対向する壁要素12,13により限定され、壁要素12,13の少なくとも一方は、流路出口開口部14を変化させるように移動可能に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースのハードフィニッシュを行うためのハードフィニッシュ加工機に関し、該ハードフィニッシュ加工機は、ツールスピンドル上に配置された少なくとも2つの異なるハードフィニッシュ工具を備え、前記ツールスピンドルは、その回転軸の方向に移動可能にツールキャリア上に配置され、該ツールキャリアは、マシンベッドに対して相対的に並進移動可能であり、前記ハードフィニッシュ加工機は、前記ワークピースと前記ハードフィニッシュ工具との間の加工領域に冷却潤滑剤を供給するための冷却潤滑剤供給手段を更に備える。
【背景技術】
【0002】
最新技術において広く知られている上記のようなハードフィニッシュ加工機は、例えば、歯車研削盤として歯車の製造に用いられている。しばしば、金属材料の研削は、歯車が最初に粗加工されてその後に仕上げ加工されるように、分割して行われるべきである。粗加工には、研削ウォームが使用されて連続創成研削方法が採用され、仕上げ加工は、輪郭研削方法を使用する輪郭研削ホイールを用いて行われ得る。
【0003】
研削プロセスを適切に実行して、とりわけ歯面の熱的過負荷を防止するために、研削工具とワークピースとの間の接触領域の確実な供給が確保されなければならず、これは冷却潤滑剤供給手段を用意することにより行われる。
【0004】
上述の2つの方法では、ワークピースの熱損傷を確実に防止する観点から、冷却潤滑剤の供給に関して顕著に異なる要求が存在する。
【0005】
前記連続創成研削方法を使用する場合は、通常、切削速度と加工時間との関連で、約60m/s以上の切削速度、すなわち研削ウォームの周速度が使用される。ワークピースの周縁部の熱損傷を確実に防止するために、研削ウォームの周速度と、冷却潤滑剤の流れの出口速度との差はできる限り小さくなるように目指され、すなわち、冷却潤滑剤ノズルからの冷却潤滑剤の出口速度は比較的高いことが要求される。この高い速度は、前記ノズルの断面積を小さくすることと供給圧を高くすることとにより作り出される。そのような状況下において、比較的低量の流量が与えられるが、それによって、研削プロセス、又はワークピースの品質に悪影響は及ばない。
【0006】
対照的に、前記輪郭研削方法を使用する場合は、通常、25m/sと35m/sとの間の低い切削速度が用いられる。この方法は、冷却潤滑剤の流れが切削ホイールの輪郭全体に確実に及ぶことを要求する。そのため、それぞれの輪郭の幅および高さに依存するが、前記ノズルの断面積は比較的大きいことが要求され、その結果、出口速度と圧力は低いが流量は比較的多い冷却潤滑剤の流れが生じる。
【0007】
歯車のハードフィニッシュを行う方法の上述した特定の利用の他にも、冷却潤滑剤の供給に対する要求が顕著に異なりいくつかの工具が順々に使用される他の一般的な例があり得る。
【0008】
いくつかの工具の場合における通常の加工方法によれば、それらの工具は、スピンドルモータとカウンタベアリングとの間に固定されたマンドレル上にフラッシングして配置される。スピンドルモータとカウンタベアリングとマンドレルと工具とで構成されるユニット全体は、(普通はY軸として名付けられる)工具の軸方向に移動可能なスライド部材(ツールキャリア)上に配置され、これにより、工具は、加工のために必要なワークピースに対する相対的な軸方向の位置に連れて行かれ得る。
【0009】
前記創成研削プロセスに使用されるウォーム形工具は、通常、前記工具と前記ワークピースとの接触から生じる純粋な接触幅よりも顕著に広い。このことは、特定の方法において歯車を切削するために異なる移動方法を使用することを目的としてなされている。すなわち、最初に、それぞれ切削ウォームの新鮮な領域を接触させるために、粗加工と仕上げ加工との間、及び、一つ一つのワークピースの加工の間に、前記工具の軸(Y軸)方向の不連続の移動が行われる。ワークピースの切削プロセス中に前記工具の軸(Y軸)方向に連続的に移動(「斜め切削」ともいう。)すると、歯面のトポロジー及び/又は表面構造に特定の影響が生じ得る。
【0010】
ここで使用される冷却潤滑剤ノズルは、固定式要素として構成されることができ、すなわち、それらは、直径を変更しないドレッシング不能のCBN研削工具に特に推奨される特定の不変のワークピースの直径に最適化される。可変の直径を備えた工具の場合、すなわち、ドレッシング可能な工具にとって、冷却潤滑剤ノズルは、ツールスピンドルの回転軸に垂直な面内で移動可能に配置されるように搭載され得る。実際の工具の直径に対するノズル位置の調節は、回転または並進の移動により行われ得る。
【0011】
予め知られた利用において、ワークピースは、1つの工具のみで(例えば、粗加工と仕上げ加工とが同じ工具の異なる幅領域で行われるものであるドレッシング可能な研削ウォームで)機械加工されるか、又は、同じタイプ及び同じ大きさからなる2つの工具が使用される(例えば、CBN粗加工のホイールと仕上げ加工のホイールとでドレッシング可能でない輪郭研削を行う)。それらの場合において、1つのノズルを使用することは、問題なく、使用される工具および方法にそれぞれ最適化された特性をもって可能である。
【0012】
通常、1つのクランプにおける同じワークピースのいくつかの歯車の機械加工(例えばギアボックスシャフト)に、又は、粗加工のためと仕上げ加工のためとで異なる方法を備えた歯車の機械加工(例えば、上述したようにドレッシング可能な創成研削により粗加工し、ドレッシング可能でない輪郭研削により仕上げ加工すること)には、それぞれ異なる種類のいくつかの工具及び加工方法の組み合わせが使用される。
【0013】
それらの場合において、冷却潤滑剤の供給の次の異なる例が知られている。
【0014】
異なる工具に(上述したように直径の変更の場合に追従する構成を備えるか又は備えない)同じノズルを使用することは公知である。この場合、冷却潤滑剤供給の条件が、使用される工具毎に最適化されることができないという欠点がある。したがって、少なくとも1つの工具による機械加工は、低減された供給速度でしか行うことができず、これにより、加工時間が長くなり、ひいては効率損失が生じる。
【0015】
さらに、いくつかのノズルが、Y軸のスライド部材上に配置されて、各工具に対する相対的な位置を変化させずにスライド部材と共に動く構成が知られている。この場合、次の欠点が存在する。ウォーム形工具を用いる創成研削方法の場合に上述の移動プロセスを使用できるようにするために、Y軸のスライド部材と共に動く前記ノズルは、工具全体の幅と同じ広さでなければならず、すなわち、工具とワークピースとの間の有効な接触幅により必要な幅よりも著しく広くなければならない。ノズル開口部の出口高さが一定であると仮定すると、創成研削に理想的な条件に抵触するくらいにノズルが拡がるとき、ノズルの断面積が増大する。また、この場合、冷却潤滑剤の供給の最適でない条件による低減された供給速度でしか加工を行うことができず、これにより、加工時間が長くなり、効率が悪化する。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上述の欠点が回避され、冷却潤滑剤の最適な供給条件下において、工具と方法のあらゆる可能な組み合わせの使用が行われ得るように、冷却潤滑剤の供給に関する上述したようなハードフィニッシュ加工機を更に改良することである。各種の工具及び各加工方法にとって最適であると判明した冷却潤滑剤の供給のための各条件を調節することが可能になるべきである。さらに、使用される工具及び使用される加工方法のためにそれぞれ冷却潤滑剤の供給条件を自動的に調節することが、オペレータの介入のない、すなわち、機械制御により管理された加工サイクルの中で可能になるべきである。
【発明の概要】
【0017】
本発明の前記目的の解決策は、前記冷却潤滑剤供給手段は、少なくとも1つのノズル要素を備え、該ノズル要素はノズルチャンバを備え、該ノズルチャンバは、冷却潤滑剤用の流路出口開口部を規定する2つの対向する壁要素により限定され、前記壁要素の少なくとも一方は、前記流路出口開口部を変化させるように移動可能に配置されていることを特徴とする。
【0018】
したがって、一方の壁要素は、前記ノズル要素における回転軸を中心として旋回可能に配置され、該回転軸は前記ツールスピンドルの回転軸に平行であってもよい。
【0019】
あるいは、前記壁要素の一部は、前記ノズル要素において所定の方向に並進移動可能に配置され、該方向は、前記壁要素の平面部の平面内に位置してもよい。
【0020】
いずれの場合も、前記旋回可能な壁要素または前記壁要素の前記並進移動可能な部分を移動させることができるアクチュエータが設けられてもよい。該アクチュエータは、空気圧または水圧のアクチュエータ要素で構成してもよい。また、電気アクチュエータ要素で構成してもよい。
【0021】
別の解決策により、前記旋回可能な壁要素または前記壁要素の前記並進移動可能な部分は、(アクチュエータ要素を設けることなく、)アイドル位置に維持され、前記旋回可能な壁要素または前記壁要素の前記並進移動可能な部分は、流れる冷却潤滑剤により前記アイドル位置から移動され得るようにしてもよい。特有の実施形態により、前記旋回可能な壁要素または前記壁要素の前記並進移動可能な部分は、弾性要素によりアイドル位置に維持されてもよい。該弾性要素は、例えば、ばねであってもよい。前記旋回可能な壁要素または前記壁要素の前記並進移動可能な部分は、前記弾性要素によりストップ部材に向かって付勢されてもよい。そうすることによって、前記ノズル要素内の圧力と前記ノズル要素を通る流量とを選択することによってのみ前記流路出口開口部に影響を与えることができる。
【0022】
この概念の更なる発展として、前記弾性要素に代えて流れる冷却潤滑剤により前記壁要素を調節するために、(空気圧、水圧または電気の)アクチュエータが、前記壁要素をアイドル位置に保持するか又はアイドル位置に戻すように移動させるように係合されるようにしてもよい。最初に述べた実施形態とは対照的に、この実施形態では、前記アクチュエータは1つの方向にのみ作用しなければならない。すなわち、該アクチュエータは開くか又は閉じることのみ可能でなければならない。
【0023】
前記ノズル要素は、前記ツールスピンドルの前記回転軸に垂直な面内で移動可能に配置されてもよい。そうすることによって、ドレッシングにより生じる工具の直径の変化に前記ノズル要素を追従させることができ、これにより、前記ノズル要素を常に最適な位置に確保することができる。したがって、前記ノズル要素は、前記ツールスピンドルの前記回転軸に平行な回転軸を中心として旋回可能であってもよい。また、前記ノズル要素は、前記ツールスピンドルの回転軸に垂直な面内で並進移動可能であってもよい。
【0024】
前記ノズル要素は、前記ツールスピンドルの回転軸の方向において前記ツールキャリアに固定されて配置されてもよい。また、前記ノズル要素は、この方向において直線状のガイド部材上を前記ツールキャリアに対して相対的に移動可能に配置されてもよい。さらに、前記ノズル要素は、前記回転軸の方向において前記マシンベッドに固定されて配置されてもよい。最後に、前記ノズル要素は、上述の方向において直線状のガイド部材上を前記マシンベッドに対して相対的に移動可能に配置されてもよい。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ハードフィニッシュ工具は、とりわけ研削ホイール又は研削ウォームからなる歯車加工工具である。
【0026】
このように、冷却潤滑剤用の流路出口開口部に関して簡単な方法で調節可能に構成されたノズル要素が提案される。該ノズル要素は、前記ツールスピンドルの回転軸に垂直な面内で調節可能であることが好ましい。
【0027】
有益的に、上述の目的は、上記の提案された解決策により完全に解決される。したがって、大きく異なるハードフィニッシュ工具、特に研削工具を使用する場合でも冷却潤滑剤供給条件が最適化されることが可能になる。前記冷却潤滑剤供給手段の調節は、機械制御ユニットにより容易な方法で行うことができる。
【0028】
その結果として、加工されるワークピースに対して相対的に同じ位置でいくつかの工具が順々に使用される加工方法のための冷却潤滑剤の供給のために解決策が提案され、(特に、出口の断面積、出口速度、流量および圧力に関する)冷却潤滑剤の供給のための必要条件は、使用される工具および加工方法によって著しく異なる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】歯車研削盤として構成され、冷却潤滑剤供給手段により冷却潤滑剤が供給される研削工具としての研削ホイールと研削ウォームとを有するハードフィニッシュ加工機を示す斜視図である。
【図2】ノズル本体の旋回可能な壁要素を備えた第1の実施形態の冷却潤滑剤供給手段を、ツールスピンドルの回転軸(Y軸)の方向から見た図である。
【図3】ノズル本体の並進移動可能な壁要素を備えた第2の実施形態の冷却潤滑剤供給手段を、ツールスピンドルの回転軸(Y軸)の方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には、歯車研削盤であるハードフィニッシュ加工機1が示されており、該加工機は、マシンベッド(マシンベースフレーム)8を有する。とりわけ、ツールキャリア(スライド部材)7は、前記マシンベッド上に直線状に移動可能に配置され、ツールスピンドル5を支持している。ツールスピンドル5上において、少なくとも2つのハードフィニッシュ工具3,4が配置され、すなわち輪郭研削ホイール3及び研削ウォーム4が概略的に示され、ツールスピンドル5は、一部品のスピンドルとして構成されてもよいし、分離しても駆動可能な複数の別個のスピンドルで構成されてもよい。前記工具3,4で機械加工されるワークピース2は、ワークピーススピンドル11上に固定されており、図示された状態において、ワークピースの軸は垂直に方向付けられている。
【0031】
ツールスピンドル5は回転軸6を有する。ツールスピンドル5は、前記工具3,4を選択的にワークピース2に係合させるように、図示されたY方向におけるツールキャリア7上の前記回転軸の方向に移動可能である。そうする限りにおいて、前記歯車研削盤は、予め知られた構造に対応する。加工に当然必要な更なる機械の軸については、本発明に関係がないため更なる説明はしない。
【0032】
工具3,4とワークピース2との間の接触領域に冷却潤滑剤を供給するのに役立つ冷却潤滑剤供給手段9について説明する。
【0033】
本発明によれば、2つの実施形態に対応する図2及び図3の2つの図面に示されるようにノズル要素10が設けられ、該ノズル要素10は、少なくとも2つの対向する壁要素12,13により限定されたノズルチャンバ11を有する。該2つの壁要素12,13は、冷却潤滑剤用の流路出口開口部14を規定する。したがって、前記壁要素12,13の少なくとも一方が前記流路出口開口部14の変化に応じて移動可能に配置されることは重要である。
【0034】
図2において、前記壁要素13は、ノズル要素10に強固に結合されている。しかしながら、これに対向する壁要素12は、回転軸15を中心として旋回可能に前記ノズル要素に支持された平面パネルとして構成されており、前記回転軸15は前記Y軸に平行である。したがって、前記壁要素12は、前記流路出口開口部14の大きさがそれぞれ変化するように前記回転軸15を中心として旋回することができる。この旋回の方向は、両矢印Sで示されている。
【0035】
この実施形態において、前記旋回移動は、別個のアクチュエータ要素により生じるものでない。むしろ、弾性要素17が、ノズル要素10と前記旋回可能な壁要素12との間の前記回転軸15で機能している。この実施形態では、前記弾性要素は、ねじりばねで構成され、図示のように外力が作用していないときに前記壁要素12がアイドル位置Rに位置付けられるようにさせる。したがって、ストップ部材18が設けられ、該ストップ部材において壁要素12が静止することができ、前記アイドル位置Rにおいて、スリット形の流路出口開口部14の大きさが最小となる。
【0036】
このとき前記ノズルチャンバ11を通って冷却潤滑剤が流れると、冷却潤滑剤の流体圧力と流量とを選択することにより、壁要素12の内側に選択的な力が働く。前記圧力と前記流量とのそれぞれの選択に従って、壁要素12は、弾性要素17の力に逆らって前記アイドル位置Rから外側へ多かれ少なかれ旋回し、壁要素12は、最大で二点鎖線で示される位置に達する。これに伴い、流路出口開口部14のスリットの大きさは、最大限まで拡大される。
【0037】
図2に係る解決策の利点は、冷却潤滑剤の前記圧力と前記流量とを選択することによってのみ前記流路出口開口部14が変化されることができ、別個の調節要素が(あってもよいが、)不要であることである。
【0038】
ノズル要素10は、ドレッシングにより生じる研削工具の直径の変化に追従するために回転軸19を中心として全体的に旋回され得る。
【0039】
図3には別の解決策が示され、この解決策では、流路出口開口部14の変化が、冷却潤滑剤の圧力によって調節されず、アクチュエータにより積極的に調節される。
【0040】
この実施形態では、ノズルチャンバ11を限定するノズル要素10の上側壁要素13は、前記ノズル要素のベース本体に強固に結合されている。同様の強固な壁要素12は、ノズル要素10の底部領域にも設けられている。しかしながら、該下側限定壁は、平面状に形成された壁要素12上を該壁要素により構成される平面E内で図示された両矢印に係る移動方向Vにスライド移動可能な部分12’を有する。前記壁要素の該部分12’の位置に従って、流路出口開口部14の大きさは変化する。前記部分12’の位置は、図3において非常に概略的にのみ示されたアクチュエータ16により調節される。空気圧、水圧または電気のアクチュエータ手段を用いることができる。
【0041】
この実施形態においても、ノズル要素10は、ドレッシングにより生じる研削工具の直径の変化に追従するために回転軸19を中心として旋回可能である。
【0042】
上述の通り前記マシンベッドに前記ノズルが(完全に)固定されて配置されている限りにおいて、次のことに注意されたい。実際のマシンベッド上には、普通、マシンスタンドが(移動可能に)配置され、該マシンスタンド上に旋回部が(移動可能に)配置される。そして、例えば、スライド部材が、前記旋回部上の(前記Y軸に沿った)直線状のガイド部材上で移動可能に配置されている。
【0043】
前記マシンベッドに前記ノズルが固定されて配置されるということは、前記ノズルが研削プロセス中の目的とする使用中に移動しないということであると理解されなければならない。したがって、このことは、前記ノズルが通常の場合と同様に前記旋回部に固定される場合、すなわち、前記マシンベッドに直接固定されるのでなく、前記旋回部と前記マシンスタンドとを介して間接的に固定される場合にも本質的に当てはまり、この場合、前記ノズルは、(前記旋回部とマシンスタンドとにより実際のマシンベッドに対して相対的に移動(調節)可能であるが、)目的とする使用中においては、前記ベッドに対して相対的に固定されて配置される。
【符号の説明】
【0044】
1:ハードフィニッシュ加工機、2:ワークピース、3:ハードフィニッシュ工具(研削工具)、4:ハードフィニッシュ工具(研削ウォーム)、5:ツールスピンドル、6:回転軸、7:ツールキャリア、8:マシンベッド(マシンベースフレーム)、9:冷却潤滑剤供給手段、10:ノズル要素、11:ノズルチャンバ、12:壁要素、12’:壁要素の部分、13:壁要素、14:流路出口開口部、15:回転軸、16:アクチュエータ、17:弾性要素、18:ストップ部材、19:回転軸、20:ワークピーススピンドル、Y:ツールスピンドルの回転軸の方向、V:移動方向、S:回転方向、E:平面、R:アイドル位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(2)のハードフィニッシュを行うためのハードフィニッシュ加工機(1)であって、ツールスピンドル(5)上に配置された少なくとも2つの異なるハードフィニッシュ工具(3,4)を備え、前記ツールスピンドル(5)は、その回転軸(6)の方向(Y)に移動可能にツールキャリア(7)上に配置され、該ツールキャリア(7)は、マシンベッド(8)に対して相対的に並進移動可能であり、前記ハードフィニッシュ加工機は、前記ワークピース(2)と前記ハードフィニッシュ工具(3,4)との間の加工領域に冷却潤滑剤を供給するための冷却潤滑剤供給手段(9)をさらに備え、
該冷却潤滑剤供給手段(9)は、少なくとも1つのノズル要素(10)を備え、該ノズル要素(10)はノズルチャンバ(11)を備え、該ノズルチャンバ(11)は、冷却潤滑剤用の流路出口開口部(14)を規定する2つの対向する壁要素(12,13)により限定され、前記壁要素(12,13)の少なくとも一方は、前記流路出口開口部(14)を変化させるように移動可能に配置されていることを特徴とするハードフィニッシュ加工機。
【請求項2】
一方の壁要素(12)は、前記ノズル要素(10)における回転軸(15)を中心として旋回可能に配置され、該回転軸(15)は前記ツールスピンドル(5)の回転軸(6)に平行であることを特徴とする請求項1に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項3】
前記壁要素(12)の一部(12’)は、前記ノズル要素(10)において所定の方向(V)に並進移動可能に配置され、該方向(V)は、前記壁要素(12)の平面部の平面(E)内に位置することを特徴とする請求項1に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項4】
前記旋回可能な壁要素(12)または前記壁要素(12)の前記並進移動可能な部分(12’)を移動させることができるアクチュエータを有することを特徴とする請求項2または3に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項5】
前記旋回可能な壁要素(12)または前記壁要素(12)の前記並進移動可能な部分(12’)はアイドル位置(R)に維持され、前記旋回可能な壁要素(12)または前記壁要素(12)の前記並進移動可能な部分(12’)は、流れる冷却潤滑剤により前記アイドル位置(R)から移動され得ることを特徴とする請求項2または3に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項6】
前記旋回可能な壁要素(12)または前記壁要素(12)の前記並進移動可能な部分(12’)は、弾性要素(17)によりアイドル位置(R)に維持されることを特徴とする請求項5に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項7】
前記旋回可能な壁要素(12)または前記壁要素(12)の前記並進移動可能な部分(12’)は、前記弾性要素(17)によりストップ部材(18)に向かって付勢されていることを特徴とする請求項6に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項8】
前記ノズル要素(10)は、前記ツールスピンドル(5)の前記回転軸(6)に垂直な面内で移動可能に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項9】
前記ノズル要素(10)は、前記ツールスピンドル(5)の前記回転軸(6)に平行な回転軸(19)を中心として旋回可能であることを特徴とする請求項8に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項10】
前記ノズル要素(10)は、前記ツールスピンドル(5)の回転軸(6)に垂直な面内で並進移動可能であることを特徴とする請求項8に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項11】
前記ノズル要素(10)は、前記ツールスピンドル(5)の回転軸(6)の方向(Y)において前記ツールキャリア(7)に固定されて配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項12】
前記ノズル要素(10)は、前記ツールスピンドル(5)の回転軸(6)の方向(Y)において直線状のガイド部材上を前記ツールキャリア(7)に対して相対的に移動可能に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項13】
前記ノズル要素(10)は、前記ツールスピンドル(5)の回転軸(6)の方向(Y)において前記マシンベッド(8)に固定されて配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項14】
前記ノズル要素(10)は、前記ツールスピンドル(5)の回転軸(6)の方向(Y)において直線状のガイド部材上を前記マシンベッド(8)に対して相対的に移動可能に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のハードフィニッシュ加工機。
【請求項15】
前記ハードフィニッシュ工具(3,4)は、とりわけ研削ホイール又は研削ウォームからなる歯車加工工具であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のハードフィニッシュ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−79126(P2011−79126A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−220896(P2010−220896)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508124671)カップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【氏名又は名称原語表記】Kapp GmbH
【住所又は居所原語表記】Callenberger Strasse 52, D−96450 Coburg, Germany
【出願人】(510261164)ナイルズ・ヴェルクツォイクマシネン・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】NILES Werkzeugmaschinen GmbH
【Fターム(参考)】