説明

ワーク搬送システム

【課題】複数機種のワークWを混流する組立ライン1と、組立後のワークWの検査を行う複数の検査スタンド21,22,23と、検査後のワークWを受け取る受取ステーション3と、の間でワークWの搬送を行う、複数の無人搬送車41,42を備えたワーク搬送システムにおいて、ワークWの搬送効率を低下させることなく、無人搬送車41,42の走行ルートのレイアウトを簡略化、及びそれに伴う無人搬送車41,42の運行制御の簡略化を図る。
【解決手段】複数の無人搬送車4は、第1の無人搬送車41と第2の無人搬送車42との対を含む。第1の無人搬送車41は、組立ライン1においてワークWを載せると共に、ワークWの機種に応じた検査スタンド21,22,23にワークWを降ろし、第2の無人搬送車42は、いずれかの検査スタンド21,22,23において検査後のワークWを載せると共に、そのワークWを受取ステーション3に降ろす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数機種のワークを混流する組立ラインと、その組立後にワークの検査を行う複数の検査スタンドと、その検査後のワークを受け取る受取ステーションと、の間で上記ワークの搬送を行う、複数の無人搬送車を備えたワーク搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
組立工場における部品やワークの搬送を無人搬送車によって行うシステムが知られている。例えば特許文献1には、無人搬送車が部品供給ステーションから組立ラインへ部品が搭載された台車を搬送すると共に、その無人搬送車が組立ラインから空台車を回収するシステムが開示されている。
【0003】
また、組立ラインと、その組立後のワークを検査する検査スタンドと、検査後のワークを受け取って次工程に出荷するための出荷ステーションとの間のワークの搬送を、無人搬送車によって行う場合は、例えば各無人搬送車が組立ラインにおいてワークを載せて、そのワークを検査スタンドで降ろすと共に、そのワークの降ろし後に検査スタンドにおいて検査後のワークを載せ、その検査後のワークを出荷ステーションに降ろす構成とすることが考えられる。
【特許文献1】特開平10−101222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、例えば自動車のトランスミッション組立ライン等では、ユーザの好みの多様化などに対応して複数機種のワークを同一ラインで組み立てる、所謂、混流生産が求められている。このような混流生産では、通常、複数機種のワークが、例えば納期順等に基づく生産計画に従って、その機種毎には纏まりのない不規則な順序で流れて来る。
【0005】
また、こうした混流生産に対応するためには検査スタンドにおいても複数機種それぞれに対応してワークを検査しなければならないが、機種によって検査時間が異なることから、検査工程の効率化が図る上で機種に対応した複数の検査スタンドを設けることが好ましい。
【0006】
ところが、組立ラインからは不規則な機種順でワークが流れてくるのに対し、そのワークを機種に対応した検査ステーションに搬送しなければならないという制約のもとで、上述したように複数の無人搬送車それぞれが、組立ラインから所定の検査スタンドにワークを搬送し、その搬送後、いずれかの検査ステーションから出荷ステーションにワークを搬送するように構成するには、複数の検査ステーション間で各無人搬送車がスムースに走行するように迂回ルートを設ける必要がある。その結果、無人搬送車の走行ルートのレイアウトが複雑になってスペースが必要になると共に、走行ルートに分岐や合流が生じるため、各無人搬送車の運行制御が複雑化するという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数機種のワークを混流する組立ラインと、その組立後にワークの検査を行う複数の検査スタンドと、その検査後のワークを受け取る受取ステーションと、の間でワークの搬送を行う、複数の無人搬送車を備えたワーク搬送システムにおいて、ワークの搬送効率を低下させることなく、無人搬送車の走行ルートのレイアウトを簡略化、及びそれに伴う無人搬送車の運行制御の簡略化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシステムは、複数機種のワークを混流する組立ラインと、その組立後にワークの検査を行う複数の検査スタンドと、その検査後のワークを受け取る受取ステーションと、の間で上記ワークの搬送を行う、複数の無人搬送車を備えたワーク搬送システムである。
【0009】
そして、上記複数の無人搬送車は、それぞれ上記組立ライン、複数の検査スタンド及び受取ステーションを巡る誘導路に沿って走行する、第1の無人搬送車と第2の無人搬送車との対を含み、上記第1の無人搬送車は、上記組立ラインにおいて組立後のワークを載せると共に、上記複数の検査スタンドの内、そのワークの機種に応じた検査スタンドに上記ワークを降ろし、上記第2の無人搬送車は、上記いずれかの検査スタンドにおいて検査後のワークを載せると共に、そのワークを上記受取ステーションに降ろす。
【0010】
この構成によると、ワークを搬送する無人搬送車を、それぞれ機能が専用化された第1の無人搬送車と第2の無人搬送車との対にすることで、組立ラインからは、不規則な機種順でワークが流れてくるのに対して、そのワークを機種に対応した検査ステーションに搬送しなければならないという制約のもとでも、組立ラインから複数の検査スタンドへのワーク搬送及び、検査スタンドから受取ステーションへのワーク搬送がそれぞれ効率的にかつ迅速に行い得る。
【0011】
また、無人搬送車を誘導する誘導路は、組立ライン、複数の検査スタンド及び受取ステーションを巡るように設定されて第1及び第2の無人搬送車の走行ルートは互いに同じになる一方で、第1の無人搬送車と第2の無人搬送車との機能をそれぞれ専用化することによって、迂回ルートを設けなくても複数の検査スタンドに対応することが可能になり、走行ルートのレイアウトの簡略化が図られると共に、それに伴い各無人搬送車の運行制御が簡略化する。
【0012】
上記第1及び第2の無人搬送車はそれぞれ、複数のワークを積載する、としてもよい。こうすることで、搬送効率の向上が図られる。
【0013】
上記受取ステーションは、上記複数の検査スタンドそれぞれに対応した複数の受取レーンを備え、上記第2の無人搬送車は、上記受取ステーションにおいて、上記複数の受取レーンの内、上記ワークを載せた検査スタンドに対応する受取レーンに当該ワークを降ろす、としてもよい。
【0014】
混流生産において在庫を最小にするには、必要なタイミングで必要機種のワークを供給する同期化生産とすることが望ましい。それには、混流ラインで組み立てられたワークを検査工程を経て次工程に出荷する際に、生産計画に従った所定の機種順で、ワークが出荷されるようにしなければならない。
【0015】
しかしながら、ワークの検査時間が機種毎に異なることに起因して、検査工程を経た後に機種の順番がずれる場合があり、従来はプール等を設けて機種の順番を所定の順番にそろえていた。
【0016】
これに対し上記の構成では、受取ステーションに、複数の検査スタンドに対応する複数の受取レーンが設けられている。複数の検査スタンドは機種に対応していることから、このことは、受取ステーションに、複数の機種に対応する複数の受取レーンが設けられていることと等価である。従って、プール等を設けなくても、所定の機種順でのワークの出荷が可能になり、スペース効率の点で有利になる。
【0017】
上記第1又は第2の無人搬送車はさらに、上記受取ステーションにおいて空パレットを載せ、上記組立ラインにその空パレットを降ろす、としてもよい。
【0018】
こうすることで、無人搬送車が受取ステーションから組立ラインに戻る際を利用して、受取ステーションから組立ラインに空パレットを搬送することができ、効率が向上する。
【0019】
上記第1及び第2の無人搬送車はそれぞれ、上記ワークの積み降ろしを行うコンベアを有する、としてもよい。
【0020】
特に、各無人搬送車が複数のワークを積載する構成でかつ、そのワークの積み降ろしをコンベアによって行う構成では、全てのワークを降ろさない限りワークを載せることができない。しかしながら、本発明では、無人搬送車が、機能が専用化された第1及び第2の無人搬送車の対にすることで、上述したワークの積み降ろしの制約があったとしても、組立ラインから複数の検査スタンドへのワーク搬送及び、複数の検査スタンドから受取ステーションへのワーク搬送がそれぞれ効率的にかつ迅速に行い得る。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明のワーク搬送システムによると、複数の無人搬送車を、それぞれ機能を専用化した第1の無人搬送車と第2の無人搬送車との対にすることで、搬送効率を低下させることなく迂回ルートを不要にして無人搬送車の走行ルートのレイアウトが簡略化すると共に、無人搬送車の運行制御も簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明のワーク搬送システムが適用された組立工場内のレイアウトを示し、同図において符号1は組立ライン、符号2は検査スタンド、符号3は出荷ステーション(受取ステーション)である。そして、組立ライン1、検査スタンド2、出荷ステーション3の間を、複数の無人搬送車(Auto-Guide Vehicle:以下、AGVという)4がワークW及び空パレットPを搬送する。
【0024】
組立ライン1は、本実施形態においては自動車のトランスミッションを組み立てる組立ライン1である。組立ライン1は、図例ではその左側において上下に延びており、その下側から上側に向かってワークWが流れている(同図の矢印参照)。この組立ライン1は機種Fと、機種Gとの2機種が組み立てられる混流ラインとされている。この混流ラインでは、生産計画に従った所定の順序で機種F及び機種Gのトランスミッションが組み立てられている。そして、上記組立ライン1の終端(図の上端)には、パレット(図示省略)に載せられた組立後のワークWをAGV4に載せるためのワーク載せステーション11と、後述するように出荷ステーション3から搬送されてきた空パレットPがAGV4から降ろされる空パレット降ろしステーション12とがそれぞれ設けられている。これらのステーション11,12はそれぞれコンベアからなる。
【0025】
また、組立ライン1は、図2に示すように、組立ライン制御盤13を備えており、この組立ライン制御盤13は、生産計画に基づく生産機種情報を受けて、AGV4との間で無線通信を行うことによって、組立ライン1におけるワークWの載せ及び空パレットPの降ろしの管理を行う。
【0026】
検査スタンド2は、第1〜第3の3つの検査スタンド21,22,23を含み、後述するAGV4の進行方向(同図の破線の矢印参照)に対して、第1、第2、第3検査スタンド21,22,23の順に並んで配置されている。ここで、第1検査スタンド21は、機種F及び機種G用の検査スタンドであり、第2検査スタンド22は、機種G用の検査スタンドであり、第3検査スタンド23は、機種F用の検査スタンドである。
【0027】
各検査スタンド21,22,23は、ワークWをAGV4から降ろすワーク降ろしステーション24と、検査後のワークWをAGV4に載せるワーク載せステーション25とを備えており、AGV4の進行方向に対してワーク載せステーション25、ワーク降ろしステーション24の順に配置されている。尚、これらのステーション24,25はそれぞれコンベアからなり、各検査スタンド21,22,23におけるワークWの搬送方向は、図1に矢印で示す方向に設定されている。
【0028】
検査スタンド2はまた、図2に示すように、検査スタンド制御盤26を備えており、この検査スタンド制御盤26は、AGV4との間で無線通信を行うことによって、各検査スタンド21,22,23におけるワークWの積み降ろしの管理を行う。
【0029】
出荷ステーション3は、3つの出荷レーン31,32,33と、1つの空パレット用レーン34との合計4つのレーンを備えており、3つの出荷レーンはそれぞれ、第1、第2、第3検査スタンドに対応した第1、第2、第3出荷レーン31,32,33とされている。つまり、第1検査スタンド21において検査されたワークWは第1出荷レーン31に降ろされ、第2検査スタンド22において検査されたワークWは第2出荷レーン32に降ろされ、第3検査スタンド23において検査されたワークWは第3出荷レーン33に降ろされる。
【0030】
出荷ステーション3は、図2に示すように、出荷ステーション制御盤35を備えており、この出荷ステーション制御盤35は、AGV4との間で無線通信を行うことによって、出荷ステーション3におけるワークWの降ろし及び空パレットPの載せの管理を行う。
【0031】
工場の床面には、図1に示すように、AGV4を誘導するための誘導路5が配設されており、この誘導路5は、組立ライン1のワーク載せステーション11から、第1〜第3検査スタンド21,22,23のワーク載せステーション25及びワーク降ろしステーション24、出荷ステーション3、並びに組立ライン1の空パレット降ろしステーション12を経て再びワーク載せステーション11に戻るループ状に配設されている。AGV4は、この誘導路5に沿って、図1における時計回りに走行する。
【0032】
AGV4は、第1のAGV41と、第2のAGV42との2種類を含み、その2種類のAGV41,42が、第1のAGV41が前、第2のAGV42が後の順番で、対となって1セットを構成する。図1のシステムでは、AGV4のセットが4セット存在しており、合計8台のAGV41,42を備えている。
【0033】
第1のAGV41は、組立ライン1のワーク載せステーション11においてパレットに載置されたワークWを載せ、それを機種に対応する検査スタンド21,22,23に搬送し、それのワーク降ろしステーション24でワークWを降ろす作業を実行する。
【0034】
これに対し第2のAGV42は、検査スタンド21,22,23のワーク載せステーション25でワークWを載せ、それを出荷ステーション3に搬送し、ワークWを載せた検査スタンド21,22,23に対応する出荷レーン31,32,33にワークWを降ろす作業を実行する。第2のAGV42はさらに、出荷ステーション3から空パレットPを載せ、それを組立ライン1の空パレット降ろしステーション12に搬送し、そこに空パレットPを降ろす作業を行う。
【0035】
このように第1及び第2のAGV41,42は機能が互いに異なるものの、その構成は互いに同じである。各AGV41,42は、その詳細な図示は省略するが、車体43と、駆動部と、誘導路5を追跡するためのセンサと、AGV制御盤と、を少なくとも備え(図2,3参照)、センサにより誘導路5を検出しながら駆動部を駆動することによって、上記誘導路5に沿って移動する。AGV41,42はまた、組立ライン制御盤13、検査スタンド制御盤26、及び出荷ステーション制御盤35のそれぞれとの間で無線通信を行いながらワークW及び空パレットPの載せ・降ろしを実行する。
【0036】
各AGV4には、図3に示すように、2つのワークW(及び空パレットP)が積載可能であると共に、AGV4に対するワークWの積み降ろしは、AGV4のワーク載置面に設けられたローラコンベア44によって行われる。ここで、組立ライン1のワーク載せステーション11、及び各検査スタンド2のワーク降ろしステーション24においては、AGV4(第1のAGV41)の進行方向を向いて左から右方向にワークWの載せ、及びワークWの降ろしが行われ(図3の実線の矢印参照)、各検査スタンド2のワーク載せステーション25、及び出荷ステーション3の出荷レーン31,32,33においては、AGV4(第2のAGV42)の進行方向を向いて右から左にワークWの載せ、及びワークWの降ろしが行われる(図3の破線の矢印参照)。このように、各AGV4は、複数のワークWを載せた順番に降ろす、いわゆる先入れ先出しに構成されている。尚、出荷ステーション3の空パレット用レーン34においては、AGV4(第2のAGV42)の進行方向を向いて左から右に空パレットPが載せられ、組立ライン1の空パレット降ろしステーション12においては、AGV4の進行方向を向いて右から左に空パレットPが降ろされる。
【0037】
尚、以下の説明において、AGV4に積載されている2つのワークWの内、先に載せられて先に降ろされるワークWを先載せワークWと呼び、後に載せられて後に降ろされるワークWを後載せワークWと呼ぶ場合がある。
【0038】
次に、図2を参照しながら、組立ライン制御盤13、検査スタンド制御盤26、及び出荷ステーション制御盤35のそれぞれと第1及び第2のAGV41,42との間で行われる無線通信について説明する。
【0039】
組立ライン制御盤13から第1のAGV41に対しては、第1のAGV41に積載するワークWの機種情報が送信され、第1のAGV41から組立ライン制御盤13には、2つのワークWの載せが完了した後に、ワーク載せ完了信号が送信される。
【0040】
また、空パレットPが積載された第2のAGV42から組立ライン制御盤13に対しては、その2つの空パレットPの降ろしが完了した後に、空パレット降ろし完了信号が送信され、組立ライン制御盤13から第2のAGV42に対しては、空パレット受け完了信号が送信される。
【0041】
第1のAGV41から検査スタンド制御盤26に対しては、積載しているワークWの機種情報が送信され、検査スタンド制御盤26から第1のAGV41に対しては、ワークWを降ろす検査スタンド21,22,23の指示信号が送信される。具体的に検査スタンド制御盤26は、第1のAGV41に積載されているワークWの機種情報と各検査スタンド21,22,23のワークWの受け入れ可能状況とを勘案して、第1のAGV41に積載されている先載せワークW及び後載せワークWのそれぞれについて、それを降ろすべき検査スタンド21.22.23を指定する信号を第1のAGV41に送信する。
【0042】
また、第1のAGV41から指定された検査スタンド21,22,23にワークWを降ろした後は、第1のAGV41から検査スタンド制御盤26に対して、ワーク降ろし完了信号が送信され、検査スタンド制御盤26から第1のAGV41に対しては、ワーク受け完了信号が送信される。
【0043】
また、第2のAGV42は、第1のAGV41がワークWを降ろした検査スタンド21,22,23において検査後のワークWを載せるようにされており、検査スタンド制御盤26から第2のAGV42に対しては、ワークWを載せる検査スタンド21,22,23の指示が送信される。その指示に従って第2のAGV42が検査スタンド21,22,23から検査後のワークWを載せた後には、第2のAGV42から検査スタンド制御盤26に対して、ワーク載せ完了信号が送信される。
【0044】
出荷ステーション制御盤35から第1のAGV41に対しては、出荷ステーション3を通過する指示が送信され、第1のAGV41から出荷ステーション制御盤35に対しては、出荷ステーション3を通過後、通過完了信号が送信される。
【0045】
また、検査後のワークWを積載する第2のAGV42から出荷ステーション制御盤35に対しては、積載しているワークWを載せた検査スタンド21,22,23の情報が送信され、その情報に基づいて出荷ステーション制御盤35から第2のAGV42に対しては、ワークWを降ろす出荷レーン31,32,33の指示が送信される。また、検査後のワークWの降ろしが完了した後に、第2のAGV42から出荷ステーション制御盤35に対して、ワーク降ろし完了信号が送信され、出荷ステーション制御盤35から第2のAGV42に対して、ワーク受け完了信号が送信される。
【0046】
また、第2のAGV42が空パレット用レーン34から空パレットPを載せた後には、第2のAGV42から出荷ステーション制御盤35に対して、空パレット載せ完了信号が送信される。
【0047】
上記の構成のワーク搬送システムにおける具体的な動作について説明する。先ず、組立ライン1のワーク載せステーション11に停止した第1のAGV41に対して、それぞれワークWを載置した2つのパレットが載せられる。
【0048】
ワークWを積載した第1のAGV41は誘導路5に沿って移動し、検査スタンド2に到達する。そこで、検査スタンド制御盤26からの指示に従って、機種に対応した検査スタンド21,22,23のワーク降ろしステーション24にワークWが降ろされる。つまり、機種FのワークWは、第1又は第3の検査スタンド21,23に降ろされ、機種GのワークWは、第1又は第2の検査スタンド21,22に降ろされる。
【0049】
ここで、第1検査スタンド21は、第2及び第3検査スタンド22,23よりも優先される検査スタンドであり、可能な限り第1検査スタンド21でワークWが降ろされる。
【0050】
つまり、第1のAGV41に積載されている2つのワークWが同一機種の場合であって、第1検査スタンド21で先載せワークW及び後載せワークWの2つを降ろすことが可能な場合は、ワークWを2つとも降ろし、第1検査スタンド21で先載せワークWのみ降ろすことが可能な場合は、先載せワークWを降ろし、後載せワークWはその機種に対応する第2又は第3検査スタンド22,23に降ろす。また、第1検査スタンド21で先載せワークWを降ろすことが不可能な場合は、先載せワークW及び後載せワークWを共に、その機種に対応する第2又は第3検査スタンド22,23に降ろす。
【0051】
また、第1のAGV41に積載されている2つのワークWの内、先載せワークWが機種F、後載せワークWが機種Gである場合であって、第1検査スタンド21で先載せワークW及び後載せワークWの2つを降ろすことが可能な場合には、ワークWを2つとも降ろし、第1検査スタンド21で先載せワークWである機種Fのみ降ろすことが可能な場合には、先載せワークWを降ろし、後載せワークW(機種G)は第2検査スタンド22で降ろす。
【0052】
さらに、第1のAGV41に積載されている2つのワークWの内、先載せワークWが機種G、後載せワークWが機種Fである場合であって、第1検査スタンド21で先載せワークW及び後載せワークWの2つを降ろすことが可能な場合には、ワークWを2つとも降ろし、第1検査スタンド21で先載せワークW(機種G)のみ降ろすことが可能な場合には、先載せワークWを降ろし、後載せワークW(機種F)は第3検査スタンド23で降ろし、第1検査スタンド21でワークWを降ろすことができない場合には、先載せワークW(機種G)を第2検査スタンド22で降ろし、後載せワークW(機種F)は第3検査スタンド23で降ろす。
【0053】
このように、第1のAGV41に積載されている2つのワークWが共に同じ検査スタンド21,22,23に降ろされる場合と、第1のAGV41に積載されている2つのワークWが異なる検査スタンド21,22,23に降ろされる場合とがある。
【0054】
また、上記第1のAGV41に追従して移動する第2のAGV42は、第1のAGV41がワークWを降ろした検査スタンドにおいて、検査後のワークWを載せる。このときに、第2のAGV42は、第1のAGV41が降ろしたワークWの数と同数のワークWを載せる。従って、第1のAGV41が1つのワークWを降ろした検査スタンド21,22,23においては、1つのワークWが第2のAGV42に載せられ、第1のAGV41が2つのワークWを降ろした検査スタンド21,22,23においては、2つのワークWが第2のAGV42に載せられる。
【0055】
第1のAGV41はその後、誘導路5に沿って移動し、出荷ステーション3を通過して組立ライン1のワーク載せステーション11に到達する。
【0056】
一方、第2のAGV42は、誘導路5に沿って移動し、出荷ステーション3において、出荷ステーション制御盤35からの指示に従って、ワークWを載せた検査スタンド21,22,23に対応する出荷レーン31,32,33にワークWを降ろす。
【0057】
また、第2のAGV42は、出荷ステーション3の空パレット用レーン34において2つの空パレットPを載せた後に、誘導路5に沿って移動し、組立ライン1の空パレット降ろしステーション12に到達する。そして、第2のAGV42から2つの空パレットPが空パレット降ろしステーション12に降ろされる。
【0058】
このように、組立ライン1と、複数の検査スタンド21,22,23と、出荷ステーション3との間でワークWの搬送を行うAGV41,42を、それぞれ機能が専用化された第1のAGV41と、第2のAGV42とからなる対とすることによって、AGV41,42の迂回ルートを設けなくても複数の検査スタンド21,22,23に対応して、ワークWの搬送を効率的に行うことが可能になる。
【0059】
つまり、図1に示すように、AGV41,42の誘導路5を閉ループに構成して、そのレイアウトが簡略化すると共に、走行ルートに分岐や合流がないため各AGV41,42の運行制御も簡略化される。
【0060】
また、組立ライン1からは、不規則な機種順でワークWが流れてくるのに対して、そのワークWを機種に対応した検査ステーション21,22,23に搬送するという制約のもとでも、組立ライン1から複数の検査スタンド21,22,23へのワーク搬送及び、検査スタンド21,22,23から出荷ステーション3へのワーク搬送がそれぞれ効率的にかつ迅速に行い得る。
【0061】
また、各AGV41,42が複数のワークWを積載することによって搬送効率が向上しているが、各AGV41,42は、ワークWの積み降ろしをローラコンベア44によって行う構成であり、全てのワークWを降ろさない限りワークWを載せることができない構成である。しかしながら、AGV41,42の機能を専用化してそれらを対にすることで、組立ライン1から複数の検査スタンド21,22,23へのワーク搬送及び、検査スタンド21,22,23から出荷ステーション3へのワーク搬送がそれぞれ効率的にかつ迅速に行い得る。
【0062】
また、出荷ステーション3に、複数の検査スタンド21,22,23に対応する複数の出荷レーン31,32,33を設けることによって、検査スタンド21,22,23における検査時間が機種毎に異なっても、生産機種情報に基づく所定の機種順でワークWを出荷することが可能になる。つまり、プール等を設けなくても最小在庫を実現することができる。
【0063】
また、第2のAGV42が、出荷ステーション3から組立ライン1に戻る際に、空パレットPを搬送することによって、搬送効率が向上する。尚、第1のAGV41が、出荷ステーション3から組立ライン1に戻る際に、空パレットPを搬送するようにしてもよい。
【0064】
尚、本発明のワーク搬送システムは、混流ラインと、機種に応じて設けられた複数の検査スタンドと、受取ステーションと、を含む生産ラインに、広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、ワークを効率良く且つ迅速に搬送することを実現しつつ、複数の無人搬送車の走行ルートを簡略化してその複数の無人搬送車の運行制御を簡略化することができるから、各種製品等を組み立てる混流ラインと、機種に応じて設けられた複数の検査スタンドと、受取ステーションとを含む生産ラインにおいてワークの搬送を行うワーク搬送システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係るワーク搬送システムが適用された工場内のレイアウトを示す図である。
【図2】ワーク搬送システムにおける、組立ライン、検査スタンド及び出荷ステーションと第1及び第2のAGVとの間に信号授受を説明する図である。
【図3】AGVの平面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 組立ライン
2 検査スタンド
21 第1検査スタンド
22 第2検査スタンド
23 第3検査スタンド
3 出荷ステーション(受取ステーション)
31 第1受取レーン
32 第2受取レーン
33 第3受取レーン
41 第1の無人搬送車
42 第2の無人搬送車
45 ローラコンベア(コンベア)
P 空パレット
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数機種のワークを混流する組立ラインと、その組立後にワークの検査を行う複数の検査スタンドと、その検査後のワークを受け取る受取ステーションと、の間で上記ワークの搬送を行う、複数の無人搬送車を備えたワーク搬送システムであって、
上記複数の無人搬送車は、それぞれ上記組立ライン、複数の検査スタンド及び受取ステーションを巡る誘導路に沿って走行する、第1の無人搬送車と第2の無人搬送車との対を含み、
上記第1の無人搬送車は、上記組立ラインにおいて組立後のワークを載せると共に、上記複数の検査スタンドの内、そのワークの機種に応じた検査スタンドに上記ワークを降ろし、
上記第2の無人搬送車は、上記いずれかの検査スタンドにおいて検査後のワークを載せると共に、そのワークを上記受取ステーションに降ろすワーク搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク搬送システムにおいて、
上記第1及び第2の無人搬送車はそれぞれ、複数のワークを積載するワーク搬送システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワーク搬送システムにおいて、
上記受取ステーションは、上記複数の検査スタンドそれぞれに対応した複数の受取レーンを備え、
上記第2の無人搬送車は、上記受取ステーションにおいて、上記複数の受取レーンの内、上記ワークを載せた検査スタンドに対応する受取レーンに当該ワークを降ろすワーク搬送システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のワーク搬送システムにおいて、
上記第1又は第2の無人搬送車はさらに、上記受取ステーションにおいて空パレットを載せ、上記組立ラインにその空パレットを降ろすワーク搬送システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のワーク搬送システムにおいて、
上記第1及び第2の無人搬送車はそれぞれ、上記ワークの積み降ろしを行うコンベアを有するワーク搬送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate