ワーク整列搬送装置
【課題】ワークの姿勢変更ミスを低減可能なワーク整列搬送装置。
【解決手段】ワーク9を搬送台2に形成した搬送路3に沿って移動させつつ、搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、搬送路3が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路31と、第1搬送路31と並行し断面が略V字型の溝として形成され、かつ、溝の開口方向が第1搬送路31側に傾斜した向きから第1搬送路31の開口方向と略同一になるまで捻られて設けられた中間搬送路32と、第1搬送路31と並行し中間搬送路32と搬送方向に連続するように設けられた断面が略V字型の溝として形成され、かつ、開口方向が第1搬送路31の開口方向と略同一である第2搬送路33とを備えるとともに、第1搬送路31と第2搬送路33とが徐々に近接し合流する合流部34を備えるように構成した。
【解決手段】ワーク9を搬送台2に形成した搬送路3に沿って移動させつつ、搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、搬送路3が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路31と、第1搬送路31と並行し断面が略V字型の溝として形成され、かつ、溝の開口方向が第1搬送路31側に傾斜した向きから第1搬送路31の開口方向と略同一になるまで捻られて設けられた中間搬送路32と、第1搬送路31と並行し中間搬送路32と搬送方向に連続するように設けられた断面が略V字型の溝として形成され、かつ、開口方向が第1搬送路31の開口方向と略同一である第2搬送路33とを備えるとともに、第1搬送路31と第2搬送路33とが徐々に近接し合流する合流部34を備えるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給されるワークを所定の向きに揃えつつ搬送するためのワーク整列搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場における生産ラインの中に連続してワークを供給し、姿勢を揃えつつ搬送するための技術が数多く開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、ワークを一方向に搬送しつつ、所定の向きと異なるワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させることにより向きを揃えることのできるリニア型パーツフィーダとしてのワーク整列搬送装置が示されている。当該ワーク整列搬送装置では、振動を利用してワークを第1搬送路(第1トラック)に沿って一方向に搬送するとともに、搬送中のワークの姿勢を検知し、その姿勢が所定のものでないときにはその部品に対してエアを噴出させて、第1搬送路と並行して設けられた第2搬送路(第2トラック)にワークを横転させるようにして移動させることにより姿勢を変更することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようにエアを噴出することによってワークを横転させることで姿勢変更する場合には、ワークの個体差やエア噴出量の誤差等の様々な要因によって姿勢変更ミスが生じることがある。
【0006】
こうした姿勢変更ミスの形態には、第1搬送路から第2搬送路に移動したワークが跳ね返って第1搬送路に戻ってしまうもの(第1形態)、転がりすぎて目標角度以上に向きが変わってしまうもの(第2形態)、搬送路上で斜めになってしまうもの(第3形態)等がある。
【0007】
このような姿勢変更ミスが生じたワークは通常は検査段階で除外されるのが一般的であるものの、姿勢変更ミスが多く発生する場合には適切な姿勢に揃えたワークを連続して次工程に送ることができず、ライン全体の効率低下を引き起こすことになる。また、万が一検査段階で除外することができなかった場合には、不適切な姿勢のまま次工程に送り込まれ別の深刻な不具合を招来する可能性もある。
【0008】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的にはワークの姿勢変更ミスを低減して、安定して適切な姿勢としたワークを供給することのできるワーク整列搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本願における第1の発明のワーク整列搬送装置は、搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、前記搬送路が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、前記第1搬送路と前記第2搬送路とが搬送方向で徐々に近接し合流する合流部が形成されており、前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とする。
【0011】
ここで、上記の溝の開口方向とは、略V字型に形成された溝断面を形成する2辺のなす角の二等分線と同一の方向であり、溝の外方に向かう方向を正として示す方向をいうものとする。
【0012】
上記のように構成すると、エアを噴出させることによるワークの回転量を小さな角度分だけにとどめることができるために、少ないエア噴出量で簡単にワークを回転させて姿勢を変更することが可能となる。そのため、エネルギ消費を抑えるとともに、回転させすぎ、跳ね返りなどの姿勢変更ミスを抑制することができる。
【0013】
さらに、本願における第2の発明のワーク整列搬送装置は、搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、前記搬送路が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、前記第1搬送路および前記第2搬送路をなす各溝が、搬送方向に沿って開口方向が相対的に離間する向きにねじりを生じながら徐々に近接しつつ合流する合流部が形成されており、前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とする。
【0014】
このように構成すると、上記第1の発明におけるワーク整列搬送装置と同様の効果を得ることができるとともに、一度にワークの姿勢変換ができる角度をより大きくすることが可能となる。
【0015】
さらに、この第2の発明における構成を前提として、より具体的な構成として実現するためには、前記合流部において、前記第1搬送路と前記第2搬送路をなす各溝がねじりを生じながら搬送方向に沿って合流することで、断面が略V字型で開角が鈍角である一個の合流溝を形成するとともに、当該合流溝と搬送方向に連続して断面が略円弧状の位置調整溝が形成されており、さらに、当該位置調整溝の終端が第1搬送路に連続するように構成することが好適である。
【0016】
また、上記のいずれの構成を前提とする場合であっても、さらにワークを回転させやすくして上記の効果を高めるためには、回転に伴うワーク重心の上下方向の移動を少なくすることが効果的であるため、前記第1搬送路と前記中間搬送路との境界部のうち少なくとも前記付勢手段の近傍をR形状とするように構成することが好適である。
【0017】
また、より安定的にワークの移動を行わせることを可能とするためには、前記ワークが前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動する際に、前記境界部に形成されたR形状に沿って移動しつつ回転するように前記付勢手段による付勢力を設定するように構成することが好適である。
【0018】
また、自動的にワークの姿勢を検知して所定の姿勢に変更することが可能とするためには、前記付勢手段が、第1搬送路に設けられたエア噴出孔と、当該エア噴出孔に対してエアを供給するエア供給部と、前記ワークの姿勢を検知するワーク姿勢検知手段と、当該ワーク姿勢検知手段からの信号に基づいて前記ワークの姿勢が所定のものであるか否かを判別するワーク姿勢判別部とを備えており、当該ワーク姿勢判別部からの信号に基づいて前記エア供給部より前記エア噴出孔にエアを供給させて、前記エア噴出孔より噴出させるように構成することが好適である。
【0019】
さらに、エア噴出孔に対するワークの位置関係を把握しつつ適切にエアを噴出させることで姿勢変更ミスをさらに抑制することを可能とするためには、前記ワーク姿勢検知手段が投光部と受光部を備える光電センサであり、前記投光部より発せられる光が前記エア噴出孔を通過して前記受光部に達するような位置関係に前記投光部及び前記受光部を設けるように構成することが好適である。
【0020】
また、多角形状のワークの整列を適切に行わせることを可能とするためには、前記中間搬送路、前記第2搬送路、前記合流部、前記付勢手段および前記ワーク姿勢検知手段を搬送方向に沿って複数箇所に設けるように構成することが好適である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した本発明によれば、ワークの姿勢変更ミスを低減して適切な姿勢としたワークを連続して安定的に供給することのできるワーク整列搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るワーク整列搬送装置の側面図。
【図2】同ワーク整列搬送装置の搬送台周辺を示す斜視図。
【図3】図2におけるM部を拡大して示す拡大斜視図。
【図4】図3における要部をさらに拡大して示す要部拡大斜視図。
【図5】同ワーク整列搬送装置により搬送するワークの一例を示す三面図。
【図6】同ワーク整列搬送装置におけるエア噴出制御のシステム構成を示す模式図。
【図7】同ワーク整列搬送装置におけるワークの移動形態を示す模式図。
【図8】同ワーク整列搬送装置におけるワークの移動形態を示す模式図。
【図9】同ワーク整列搬送装置におけるワークの移動形態を示す模式図。
【図10】同ワーク整列搬送装置における第1搬送路と中間搬送路の形状を示す断面拡大図。
【図11】従来のワーク整列搬送装置における第1搬送路と第2搬送路の形状を比較例として示す断面拡大図。
【図12】第1実施形態に係るワーク整列搬送装置の合流部を示す斜視図。
【図13】本発明の第2実施形態に係るワーク整列搬送装置の合流部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態のワーク整列搬送装置1は、搬送路3が形成された搬送台2を振動可能に構成してあり、この搬送台2の上に載置したワーク9〜9を搬送台2の振動によって図中のW方向に搬送することを可能としている。
【0025】
ここで、ワーク9の搬送方向をW方向として定義するとともに、図中に記載した座標軸のように、ワーク9の搬送方向と略同一となる水平方向をX方向、鉛直上方向をZ方向、X方向およびZ方向に直交する紙面の奥行き方向をY方向として定義する。
【0026】
以下、上記のように定義した各方向を用いつつ、本実施形態のワーク整列搬送装置1の具体的な構成を説明する。
【0027】
搬送台2は概ねX方向に延在するブロックの形態として構成されており、同様にX方向に延在する形態として構成された可動台4の上面に固定されている。そして、可動台4はX方向に所定の間隔をおいて配置された一対の板バネ71、71を介してベース7に対して弾性的に支持されるようになっている。
【0028】
板バネ71、71は各々鉛直方向に対してやや傾きをもたせつつ平行に配され、各板バネ71、71の上端は取付部材72a、72bによって可動台4の下面に固定されるとともに、下端は取付部材72c、72dによってベース7の上面に固定されている。また、ベース7の上面には取付台75aを介して加振手段としての電磁石75が取り付けられているとともに、当該電磁石75と対向するようにして磁性ブロック76が可動台4の下面に取り付けられている。
【0029】
上記のように構成することによって、電磁石75に周期的に大きさが変動する電流を流すことで、磁性ブロック76に対して周期的な磁力を発生させ、板バネ71、71の法線方向に搬送台2を振動させることができる。この振動によって搬送台2に載置されたワーク9に対して搬送方向(図中のW方向)の推力が与えられて搬送が行われるようになっている。
【0030】
さらに、ワーク9は搬送台2に形成された搬送路3に沿って移動するように構成している。加えて、本実施形態のワーク整列搬送装置1では、搬送路3に沿って図中のA〜Gの各機能を有するように構成している。
【0031】
ここで、本実施形態のワーク整列搬送装置1によって整列搬送を行うワーク9の一例を図5に示す。この例におけるワーク9は概ね直方体の形状をしており、長手方向の両端面がほぼ正方形として形成されるとともに、その長手方向に対して側面となる他の四面が各々長方形として形成されている。また、長方形の四面のうち一面に切り欠き部9aが形成されている。
【0032】
本実施形態のワーク整列搬送装置1では、上記のような形状を有するワーク9を長手方向に移動させるとともに、切り欠き部9aを特定の方向に揃えることができるようになっている。
【0033】
図1に戻って、A部は図中左方向に設けられるワーク供給部(図示せず)より供給されるワーク9を受け入れる導入部である。ワーク9の長手方向を搬送方向に揃え、搬送路3に沿ってワーク9を搬送方向に移動させていく。
【0034】
B〜D部は、ワーク9の姿勢が所定の向きになっていない場合に姿勢変更を行う第1〜第3姿勢変更部である。本実施形態のワーク整列搬送装置1では、ワーク9の切り欠き部9a(図5参照)が概ね上方向になる向きを基準姿勢としており、この向きとなっていない場合にワーク9を搬送方向と平行な軸回りに回転させて、ワーク9を基準姿勢にするようにしている。第1〜第3姿勢変更部(B〜D部)では、各々ワーク9を搬送方向と平行な軸回りに90°回転させることが可能にされているため、これらを通過することによって、ワーク9は導入部(A部)より導入された姿勢に応じて無回転(0°)あるいは、90°、180°、270°のいずれかの回転を選択的に実行されて、同じ向きに揃うよう姿勢変更される。
【0035】
また、これらの姿勢変更部の搬送方向下流側にはE、F部として第1、第2検査部が設けられている。これらにより、姿勢変更ミスが生じたワーク9は搬送路3より排除し、次工程に流入されないようにしている。
【0036】
さらに、第1、第2検査部(E、F部)の後には、G部として導出部が設けられている。ここでは、基準姿勢であることを確認されたワーク9を次工程に適した傾きに微修正しつつ導出するようにしている。
【0037】
上記のような機能を備えるために、具体的には搬送台2の周辺を図2のように構成している。
【0038】
搬送路3は断面を略V字型とされ、搬送台2の長手方向(X方向)に連続するように形成されている。ワーク9(図1参照)は、搬送路3に沿って図中のA〜G部を通過する。
【0039】
第1〜第3姿勢変更部(B〜D部)および第1、第2検査部(E、F部)には、それぞれ搬送路3を通過するワーク9(図1参照)の姿勢を検知するためのワーク姿勢検知手段としての光電センサ62〜62が設けられている。これらの光電センサ62は透過型タイプのものを使用しており、投光部62aと受光部62bを備えているとともに、搬送台2上に設けたブラケット63によって各々取り付けてある。
【0040】
また、基準姿勢と異なるワ−ク9(図1参照)の姿勢を変更するための付勢手段6を設けており、その一部として動力源としての圧縮エアを導入するためのエア配管接続部61〜61を設けている。図中ではこれらに接続するエア配管は省略してある。
【0041】
搬送台2の側方には、搬送路3と並行する溝部を形成された除外品受部51が設けられており、第1、第2検査部(E、F部)によって姿勢変更ミス品として検出されて搬送路3より排除されたワーク9(図1参照)を受け取り、搬送前のワーク9が収容されているボウル(図示せず)に戻すことが可能に構成している。
【0042】
導出部(G部)には、搬送路3を覆うためのカバー部材52、53が設けられており、これらと搬送路3の内部で形成される空間内でワーク9を支持しつつ、ワーク9の傾きを次工程に適したものに修正しながら動作を安定させ送り出すようにしている。
【0043】
同図におけるM部を拡大して図3に示す。
【0044】
搬送台2に形成する搬送路3は、ワーク搬送方向に連続して形成される第1搬送路31と、この第1搬送路31に隣接位置において並行して設けられた中間搬送路32と、この中間搬送路32に対して搬送方向に連続するようにして設けられた第2搬送路33より構成される。
【0045】
さらには、第1搬送路31と第2搬送路33とが搬送方向に進むにつれて徐々に近接し、1個の第1搬送路31に合流する合流部34が形成されている。
【0046】
これらの溝の形状について、図3よりもさらに拡大して示した図4を用いて説明する。
【0047】
第1搬送路31、中間搬送路32および第2搬送路33は、各々断面が略V字型になるように形成されており、内壁となる二面によってワーク9の二面を支持することができるようになっている。
【0048】
ワ−ク9が通過する経路には、第1搬送路31としての経路R1と、これと並行して搬送方向の途中より設けられた中間搬送路32としての搬送方向始端側の経路R2と終端側の経路R3、および第2搬送路33としての経路R4がある。中間搬送路32のうち経路R2の部分は直線状に形成されているが、経路R3の部分は終端側に進むにつれて図中の時計回り方向に捻られるようにして形成されている。このように捻れた経路R3を中間搬送路32の一部に設けることにより、開口方向の異なる中間搬送路32のうちの経路R2と、第2搬送路(経路R4)との間を滑らかに連続させることができるようになっている。そのため、経路R2〜R4は滑らかに連続するように形成されている。また、経路R1と経路R4とは、上述したように合流部34(図3参照)で徐々に近接していき、やがて一本の経路R1になる。
【0049】
さらに、第1搬送路31の内壁となる二面のうちの片側には、付勢手段6の一部を構成するエア噴出孔64が設けられており、ここから中間搬送路32の方向にエアを噴出させることができるようになっている。
【0050】
上記の経路R1〜R4のうち主となるものは第1搬送路31として搬送方向に連続する経路R1である。経路R1を搬送方向(図中のW方向)に移動するワーク9の姿勢が基準姿勢と異なる場合には、そのワーク9に対してエアを用いた付勢手段6により付勢力を与えて、経路R2に移動させつつ回転させるようにして姿勢を変更させるようになっている。具体的には、この付勢手段6はエア噴出孔64よりワーク9に対して、エアを噴出することで付勢力を与えることができるようになっており、その付勢力はエア圧力およびエアの噴出量によって制御される。こうした付勢力の働きによって、経路R1に代わり経路R2を移動することになったワーク9は、経路R2と連続する経路R3、R4を経て、当初よりも姿勢変更された状態で経路R1に復帰することになる。
【0051】
上記の付勢手段6は、図6に示すようなシステムによって動作される。
【0052】
エア噴出孔64は上述したように第1搬送路31の内壁の2面のうち片側に形成されている。このエア噴出孔64はワーク9の上部に対応する位置に設けられており、ここからエアを噴出させた際に効率よくワーク9に回転力を働かせつつ中間搬送路32に移動させることができるようになっている。また、図で示すようにワーク9が基準姿勢である場合、すなわち上側の面に切り欠き部9aがある場合にはこの切り欠き部9aとエア噴出孔64とが同じ位置になるように設定している。
【0053】
当該エア噴出孔64に対しては、エア配管接続部61より導入されるエアをエア導通孔63を介して供給して噴出させることができるように構成している。
【0054】
さらに、このエア噴出孔64は貫通孔として搬送台2の外部にまで開放されている。そして、このエア噴出孔64を通じて投光および受光が可能な位置に、上述したワーク姿勢検知手段62としての光電センサの投光部62aと受光部62bとを設置している。ワーク姿勢検知手段(光電センサ)62からの信号は、ワーク姿勢判別部71に出力され、ここでエア噴出孔64の位置にワーク9が到達したかどうか、および、そのワーク9が基準姿勢であるか否かを判別することが可能となる。そして、ワーク9がエア噴出孔64の位置に到達し、かつ、ワーク姿勢が基準姿勢にない場合には、ワーク9の姿勢変更を行わせるべく姿勢変更命令をパルス信号の形態でエア供給部72に対して出力する。
【0055】
エア供給部72は電磁バルブとして構成しており、図示しない外部より圧縮エアの供給を受け、その圧縮エアをエア配管を通じてエア配管接続部61に供給または供給の停止を行うことが可能となっている。そして上記の姿勢変更命令としてのパルス信号をワーク姿勢判別部71より入力された際には、短時間エア供給源からの圧縮エアをエア噴出孔64に対して供給し噴出させることができるようにしている。
【0056】
このように構成することで、一組の光電センサ62を用いるのみでワーク9の姿勢に加えて、エア噴出孔64に対する位置関係を同時に把握することができるために、ワーク9の姿勢変更を行うためのエアの噴出をワーク9の位置に合わせてタイミング良く行わせることが可能となり、より姿勢変更の成功率を向上することができる。
【0057】
ここで、上述した各搬送路の位置関係を、これらの間を移動するワーク9の動きと併せて、図7〜図9を用いて詳細に説明する。
【0058】
図7(a)は、第1搬送路31を移動するワーク9が切り欠き部9aを上側に向けた基準姿勢でエア噴出孔64の位置を通過する際を示すもので、当該位置における断面図として記載するものである。このようなエア噴出孔64に対応する位置では、第1搬送路31と隣接位置において並行して中間搬送路32の搬送方向の始端側である経路R2の部分が形成されている。
【0059】
第1搬送路31は断面が略V字型とされているとともに、開口方向が図中上方向からやや右斜め上を向くように形成されている。こうすることで、内側の2つの壁面によってワーク9の4つの側面のうち2面を支持することができるようになっている。
【0060】
同様に中間搬送路32(R2)も断面が略V字型となるように形成され、ほぼ第1搬送路31と左右対称になるように設けられている。すなわち、中間搬送路32(R2)の開口方向は第1搬送路31の開口方向とは異なり、上方向よりやや左斜め上を向くように形成されている。換言すれば、この開口方向は第1搬送路31の開口方向に対して、第1搬送路31の側に傾斜しているものということができる。
【0061】
また、第1搬送路31と中間搬送路32(R2)とは各々の上にワーク9を載置させた状態では、ワーク9の一部が互いにはみ出してオーバーラップした状態となるように位置関係を設定している。このようにすることで、ワーク9を搬送路間を移動させつつ回転運動を生じさせて姿勢変更を行うことが可能となっている。
【0062】
ただし、図7(a)に示したワーク9は基準姿勢にあるために、エア噴出による姿勢変更は行われることがない。
【0063】
これに対して、図7(b)に示すようにエア噴出孔64の位置に到達したワーク9が基準姿勢にない場合には、投光部62aから受光部62bに与えられる光が長時間遮られることになる。これにより上述したワーク姿勢判別部71(図6参照)より姿勢変更命令が出力され、それに応じてエア噴出孔64よりエアが噴出し、ワーク9は中間搬送路32(R2)に向けて移動しつつ向きを変えるための回転運動を行い図8(c)に示した状態となる。
【0064】
この後、ワーク9は搬送方向に進行して、中間搬送路32(R2)より上述した終端側に向けて第1搬送路31と同一の開口方向となるまでの捻りを伴う経路R3を経て第2搬送路33に移動した図8(d)の状態となる。なお、中間搬送路32(R2)および第2搬送路を搬送されるワーク9は、隣接する第1搬送路31を搬送されるワーク9との間で搬送方向より見てオーバーラップする部分があるために、前後のワーク9と搬送方向の位置関係が変わることがなく整列した状態のまま搬送されていく。
【0065】
第2搬送路33は、第1搬送路31と同一の開口方向になる向きに形成されているため、第2搬送路33上のワーク9は当初第1搬送路31上にあるワーク9と同一の傾きを有することになる。
【0066】
そして、ワーク9が搬送方向に進行することで上述した合流部34に対応する位置に到達する。この合流部34では、図9(e)のようにして、第1搬送路31の内壁のうち第2搬送路33に近い側の壁が徐々に第2搬送路33に近接していき、やがて図9(f)のようにして第1搬送路31と第2搬送路33の差はなくなり、1つの第1搬送路31となる。
【0067】
こうすることで、第1搬送路31より第2搬送路33に移動したワーク9は搬送方向に平行な軸(X軸)まわりに90°の姿勢変更を行われた上で、第1搬送路31に復帰することになる。
【0068】
ここで、エア噴出によってワーク第1搬送路31よりワーク9の移動が行われる付近の溝断面をさらに拡大して図10に示す。
【0069】
第1搬送路31と中間搬送路32における経路R2部とは、上述したように両者の間の境界を挟んでほぼ左右対象となる角度に形成されている。そして両者の間の境界部を形成する壁面のなす角αは90°より大きく、具体的には120°〜140°の範囲に設定している。こうすることで、第1搬送路31から中間搬送路32に至るワーク9の回転量を少なくして、小さな付勢力で容易にワーク9の移動を行うことができるようにしている。
【0070】
さらに、両者の境界部PをR形状としているために、そのR形状に沿って接触点がT1〜T5のように連続して変化するようワーク9が滑りながら移動しつつ回転運動を行うことで、姿勢変更に伴うワーク9の重心の上下方向への移動が少なく、より滑らかに移動を行うことができるようになっている。なお、このようなR形状を設ける部分はワーク9に移動を行わせる付勢手段6(図4参照)、より具体的にはエア噴出孔64(図4参照)の近傍のみで足りる。
【0071】
また、エア噴出孔64(図4参照)から噴出するエアの圧力すなわち付勢手段6による付勢力を、ワーク9が上記のR形状に沿って転がることができるものに設定することによって、ワーク9が飛び跳ねたり、転がり過ぎたりすることによる姿勢変更ミスを防止することができる。
【0072】
図11(a)、(b)に比較例として、従来用いられていた搬送路としての溝断面形状を示す。ここで示したように、断面が正方形の形態であるワーク9は、一回のエア噴出によって横転するようにして一度に90°向きが変更される。
【0073】
図11(a)の場合においても、主となる第1搬送路831と並行して第2搬送路832が設けられており、これらの境界を形成する壁面の角度βは90°に設定される。そこで、エア噴出により回転力を与えられたワーク9は、境界P1を中心に90°回転しつつその境界を乗り越えるようにして第1搬送路831より第2搬送路832に移動する。
【0074】
このように姿勢変更のための回転運動と境界を乗り越えるための上下移動とが必要になるために、ワーク9は移動距離が長くなるとともに重心の上下方向の移動が大きく必要になる。そのためワーク9を動作させるために大きなエネルギを与えることが必要となり、大きなエア噴出量が要求されてエネルギ消費が大きくなる。また、境界部P1がエッジ状に形成されているためにワーク9との間の摺動抵抗が大きく、さらには、搬送路の僅かな傷やワーク9の表面粗度などの個体差によって大きくワーク9の挙動が異なることになり、姿勢変更ミスを生じやすいものといえる。さらに、大きなエア噴出量を要するために細かなエア噴出量の調整が困難となり、上記の個体差要因とも相俟ってワーク9の運動の制御がより困難になることにつながる。
【0075】
また、図11(b)に示したように、第1搬送路931と第2搬送路932との間の境界部P2を支点として回転運動のみでワーク9の移動を行う場合もある。このような場合であっても、エッジとして形成された境界部P2を中心とする回転移動に伴うワーク9の上下方向の重心移動はやはり大きいものとなる。そのため、ワーク9の移動に要するエア噴出量は大きなものが必要となり、エネルギ消費が大きいとともに、細かなエアの調整を行うことができず姿勢変更ミスを生じやすくなる。また、第1搬送路931および第2搬送路932は、境界部を形成する側の壁面の高さを小さくすることが必要となるため、ワーク9の安定性が減り僅かな外乱等によって意図せぬ移動を行うことにつながる。
【0076】
上記のように比較例として示した図11(a)、(b)の場合に比べて、本実施形態では、図10に示したように移動に必要なワーク9の上下方向の重心移動が少なく、少ないエネルギで移動させることができる。また、境界部PをR形状としておりそのRに沿った滑り運動を行わせつつ姿勢変更を行うことができるために、境界部Pに対するワーク9の引っ掛かりが生じず安定して移動させることができる。また、各搬送路の内壁はワーク9に対して十分な幅(壁面の高さ)を有するように構成できるために、搬送中のワーク9の挙動を安定させることができる。
【0077】
上記のようにして、図1のように構成した本実施形態のワーク整列搬送装置1では、ワーク9を以下のようにして整列させつつ搬送していく。
【0078】
搬送台2は加振手段としての電磁石75によって図中の左下から右上方向に振動を付与されることにより、搬送台2上に載置されるワーク9に対して図中のW方向に搬送力を付与し移動させていく。搬送台2には断面が略V字状の溝としての搬送路3が形成されており、この搬送路3に沿ってワーク9は移動していく。
【0079】
ワーク9は図中左側の導入部(A部)より送り込まれ、搬送方向に対してワーク9を長手方向にする向きにしつつ搬送路3内で支持させる。ワーク9は略直方体状に形成されるとともに側面の四面のうち一面のみに特徴を有するために、この面が上方を向いた向きを基準姿勢として姿勢を判別する。そして、第1姿勢変更部(B部)では基準姿勢と異なる姿勢のワーク9に対してエアを噴出させて付勢力を働かせることにより、図4に示すようにワーク9を第1搬送路31より中間搬送路32の経路R2に移動させる。そして、ワーク9は搬送方向に進行しつつ経路R3を通じて第2搬送路33に移動して合流部34を通じて第1搬送路31に戻る。この時、当初の状態と比べて搬送方向に対して平行な軸回りに90°の回転がなされた状態となっている。
【0080】
上記の第1姿勢変更部(B部)と同様に、図1に示す第2姿勢変更部(C部)、第3姿勢変更部(D部)は構成されており、これらを通過することによりワーク9は最大で約270°の回転を行うことができるようになっている。このようにすることで、直方体状の形態を示すワーク9においては、当初どの側面が上方にあったとしても最終的に基準姿勢に変更することができる。
【0081】
上記のように姿勢変更を行った後、第1、第2検査部(E、F部)により姿勢変更ミスのあるワーク9をラインより除外した後に、導出部(G部)を通じて次工程に向けて送り出すことができるようになっている。
【0082】
以上のように、本実施形態に係るワーク整列搬送装置1は、搬送路3を形成された搬送台2に振動を付与することで、前記搬送台2上に載置したワーク9を前記搬送路3に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段6により前記ワーク9を搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置1であって、前記搬送路3が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路31と、当該第1搬送路31と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路31側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路32と、当該中間搬送路32と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路33とを備えているとともに、前記第1搬送路31と前記第2搬送路33とが搬送方向で徐々に近接し合流する合流部34が形成されており、前記付勢手段6によって前記第1搬送路31より前記中間搬送路32に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワーク9を、前記中間搬送路32に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路33に移動させ、前記合流部34を経て前記第1搬送路31に復帰させるように構成したものである。
【0083】
このように構成しているため、エアを用いる付勢手段6によって生じさせるワーク9の回転量を小さくすることができるため、少ないエア噴出量で簡単にワーク9を回転させて姿勢を変更することが可能となる。そのため、エネルギ消費を抑えるとともに、ワーク9の回転させすぎや、跳ね返りなどの姿勢変更ミスを抑制することができる。
【0084】
また、前記第1搬送路31と前記中間搬送路32との境界部のうち少なくとも付勢手段6の近傍をR形状とするように構成しているため、回転に伴うワーク9の上下方向の重心移動を少なくすることができ、よりワーク9を回転させやすくして、上記の効果を高めることができる。
【0085】
さらに、前記ワーク9が前記第1搬送路31より前記中間搬送路32に移動する際に、前記境界部34に形成されたR形状に沿って移動しつつ回転するように前記付勢手段による付勢力を設定しているために、より安定的にワーク9の移動を行わせることが可能となっている。
【0086】
また、前記付勢手段6が、第1搬送路31に設けられたエア噴出孔64と、当該エア噴出孔64に対してエアを供給するエア供給部72と、前記ワーク9の姿勢を検知するワーク姿勢検知手段62と、当該ワーク姿勢検知手段62からの信号に基づいて前記ワークの姿勢が所定のものであるか否かを判別するワーク姿勢判別部71とを備えており、当該ワーク姿勢判別部71からの信号に基づいて前記エア供給部72より前記エア噴出孔64にエアを供給させて、前記エア噴出孔64よりエアを噴出させるように構成したため、自動的にワーク9の姿勢を検知して正規の姿勢に変更することが可能となっている。
【0087】
さらに、前記ワーク姿勢検知手段62が投光部62aと受光部62bを備える光電センサであり、前記投光部62aより発せられる光が前記エア噴出孔64を通過して前記受光部62bに達するような位置関係に前記投光部62a及び前記受光部62bを設けるように構成しているため、ワーク姿勢検知手段62からの信号によってワーク9の姿勢を判別することができるとともに、エア噴出孔64に対するワーク9の位置も正確に把握できるために精度良くエアを噴出させることができ、姿勢変更ミスをさらに抑制することが可能となっている。
【0088】
また、前記中間搬送路32、前記第2搬送路33、前記合流部34、前記付勢手段6および前記ワーク姿勢検知手段62を搬送方向に沿って複数箇所に設けるように構成しているため、所定角度の回転を複数回行わせることで、多角形状のワーク9の姿勢変更を行い特定の方向に整列させることが可能となっている。
【0089】
<第2実施形態>
図12は、第1実施形態のワーク整列搬送装置1の合流部J1(34)近傍の斜視図を示すものであり、図13は、本発明の第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101の合流部J2(134)近傍の斜視図を示すものである。
【0090】
第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101は、第1実施形態のワーク整列搬送装置1と合流部J1(J2)の形態が異なるのみで、これ以外の部分は同一に構成してある。そのため、第1実施形態の場合と同一の箇所については同一の符号を用いて、合流部J2以外の部分については説明を省略する。なお、図12及び図13に示すように、第1実施形態の場合の合流部J1と、第2実施形態の場合の合流部J2の搬送方向の長さが異なるように設定しているが、これは本願発明が意図するところでは無く、両者を同一の長さに設定することも可能である。
【0091】
第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101の合流部J2の形態を説明するに先駆けて、これと対比するために第1実施形態に係るワーク整列搬送装置1の合流部J2について、図12を用いていま一度説明を行っておく。
【0092】
図12は、図中の矢印で示すように、図の右上側を搬送方向上流側として、左下側に
向かってワーク9を搬送する向きで記載したものである。
【0093】
なお、この図では、説明を簡単にするために、搬送方向上流側より搬送されてきたワーク191aの向きを基準として、同じ向きで搬送されてきたワーク9を姿勢変換したものと仮定して示したものであり、各部における姿勢変換量を分かりやすくしている。そのため図中において、合流部J2を通過した各ワーク9の姿勢は却ってバラバラの状態となっているが、実際の使用時にはワーク9の姿勢を検知しつつ姿勢変換を行うので、原則として合流部J2を通過した各ワーク9の姿勢は上流側よりも近いものになる。この点は、後述する図13においても同様である。
【0094】
図12について搬送方向上流側から下流側に向かって順に説明すると、図中右上側の領域では、第1搬送路31としての経路R1と、第2搬送路33としての経路R4が隣接しつつ並行して形成されている。
【0095】
また、第1搬送路31と第2搬送路33は各々断面が略V字型の溝として形成されており、これら第1搬送路31と第2搬送路33全体がなす搬送面のうち外側の二面を面K1,L1とすると、これらの面K1,L1が交わる箇所に、あたかも断面が矩形状をなす突部S1が搬送方向に沿って延在しつつ一体化して構成されているものといえる。
【0096】
こうした第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)とは、搬送方向下流側の合流部J1(34)において徐々に近接して合流する。これを具体的に説明すると、上記突部S1における第1搬送路31(R1)側の面S11が、搬送方向下流側に行くに従って、スロープ状に第2搬送路33(R4)側の面L1へと近接していき、やがて突部S1が存在しなくなり、面K1と面L1とが直接交わって断面が略V字状の溝を形成することになる。
【0097】
すわなち、搬送方向に見て、突部S1が存在しなくなることで、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)とは合流して、再び一個の第1搬送路31(R1)を構成するようになっている。
【0098】
こうした合流部J1を通過することで、ワーク9は次のように移動することになる。例えば、第2搬送路33へと移動すること無く第1搬送路31上を搬送されてきたワーク91aは、そのままの姿勢を保ったまま図中のワーク91bのように進行する。さらに、そ姿勢を保ちつつ、合流部J1における突部S1がなすスロープに沿って第2搬送路33側へと僅かに移動しながら、下流側の第1搬送路31へと進んでいくことになる。他方、第1搬送路31より第2搬送路33へと姿勢変更されつつ移動してきたワーク92aは、そのままの姿勢を保ったまま図中のワーク92bのように進行する。さらに、合流部J1において搬送方向に進行する中で突部S1が存在しなくなることで、その分、第1搬送路31寄りに位置を変え、図中で示すワーク92cのように移動することになる。
【0099】
このように、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)をそれぞれ進行してきたワーク9は、合流部J1において姿勢が変わることがないため、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)をそれぞれ通過するワーク9は、相対的に90°の姿勢変換をすることになる。
【0100】
次に、図13を用いて、第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101の合流部J2の構成について説明を行う。図13も、図12と同様、図中の矢印で示すように、図の右上側を搬送方向上流側として、左下側に向かってワーク9を搬送する向きで記載したものである。
【0101】
この場合においても、図中右上側の領域では、第1搬送路31としての経路R1と、第2搬送路33としての経路R4が隣接しつつ並行して形成されることになる。
【0102】
こうした第1搬送路31と第2搬送路33全体がなす搬送面のうち外側の二面を面K2,L2とすると、これらの面K2,L2が交わる箇所に、あたかも断面が矩形状の突部S2が搬送方向に沿って延在しつつ一体化したかのような形状となっている。
【0103】
こうした第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)とは、搬送方向下流側に進んでそれぞれ経路R21とR22に滑らかに接続されている。この経路R21,R22は、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)と同じく、断面が略V字型の溝として形成されており、それぞれ面K2,L2を第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)と連続するようになっているが、搬送方向に進むにつれて開口方向が互いに離間する方向に各々ねじられた形状となっている。
【0104】
そのため、面K2と面L2がなす角は、搬送方向上流側では約90°であるのに対して、経路R21,R22の下流側では鈍角となって約110〜140°まで大きく開くように設定している。これに付随して、突部S2の頂点部分の角度は、約90°の状態より、搬送方向下流側に行くに従って変化して、より角度の小さな鋭角になっていく。
【0105】
さらに、このような経路R21,R22は互いに徐々に近接して、経路R23として一個の断面略V字状の合流溝135になる。これを具体的に説明すると、上記突部S2は搬送方向下流側に行くに従って、経路R21側の面S21も、経路R22側の面S22も同様に小さくなっていき、やがて突部S2が存在することなく、面K2と面L2とが直接交わって、断面が略V字状の合流溝135(経路R23)を形成する。この際、上述したねじりが加えられていることから、開角が約110〜140°程度まで大きく開放されたものとなる。
【0106】
そして、経路R23を構成する合流溝135は、円弧状の断面を有する位置調整溝136として形成された経路R24に滑らかに繋がっている。そのため、この領域において、面K2と面L2とは、一個の曲面に滑らかに連続していることになる。
【0107】
さらに、経路R24を構成する位置調整溝136は、その終端において、経路R25を通じて再び下流側の第1搬送路31に対して滑らかに連続するようになっている。
【0108】
上記のようにして、経路R21〜R25は、第1搬送路31、第2搬送路33を合流させ、さらに下流側の第1搬送路31へと接続する合流部J2を構成している。
【0109】
こうした合流部J2を通過することで、ワーク9は次のように移動することになる。例えば、第2搬送路33へと移動すること無く第1搬送路31上を搬送されてきたワーク191aは、経路R21のねじりに沿って、ワーク191bのように、搬送方向より見て反時計回りにわずかに回転されつつ搬送される。そして、経路R23を構成する合流溝135に到達した際には、搬送方向より見て30°程度反時計回りに姿勢を変更されていることになる。
【0110】
合流溝135に到達したワーク191cは、側面間で形成されるエッジ部分が面K2と面L2のなす交点部分に引っかかった状態となって、当該部分に規制されつつ移動を行う。具体的には、ワーク191cは側面のひとつが面K2に当接するものの、上記エッジ部分が引っかかることで隣接する面L2側にはほとんど当接せず、専ら面K2側にのみ支持された状態で、次の経路24を構成する位置調整溝136へと搬送されていく。
【0111】
この位置調整溝136においては、面K2と面L2とが繋がって一個の滑らかな曲面となっているため、上記交点部分が存在せず、かかる交点部分によるエッジ部分の規制を解かれて、ワーク191cは安定した位置に自動的に調整されつつ移動することになる。この際、ワーク191cは、搬送方向より見てさらに反時計回りに回転しつつ、位置調整溝136の底部に位置するようになる。そして、このワーク191cは、経路R25を通じて、再び当初の傾きになるよう向きを規制されながら、下流側の第1搬送路31におけるワーク191dの位置にまで移動することになる。
【0112】
他方、第1搬送路31より第2搬送路33へと移動されてきたワーク192aは、経路R22のねじりに沿って、搬送方向より見て時計回りにわずかに回転されつつ搬送される。そして、経路R23に到達した際には、搬送方向より見て30°程度時計回りに姿勢を変更されていることになる。
【0113】
経路R23を構成する合流溝135に到達したワーク192aは、ワーク191bと同様、側面間で形成されるエッジ部分が面K2と面L2のなす交点部分に引っかかった状態となって規制され、専ら面L2側にのみ支持されつつ、次の経路24である位置調整溝136へと移動する。位置調整溝136においては、図中で示すワーク192bのように、搬送方向より見てさらに時計回りに回転しつつ、位置調整溝136の底部に位置するようになる。そして、このワーク192bは、経路R25を通じて、再び当初の所定の傾きになるよう向きを規制されながら、下流側の第1搬送路31におけるワーク192cの位置にまで移動することになる。
【0114】
このように、第1搬送路31より第2搬送路33を経由することなく移動してくるワーク191a(191b,191c.191d)も、第1搬送路31より第2搬送路33を経由して移動してくるワーク192a(192b、192c)も、一旦経路R24としての断面が円弧状の位置調整溝136を通過することになる。この際、経路R21〜R23から経路R24に至る過程で、僅かずつ搬送方向から見てねじりを与えられることで、双方のワークは約90°の相対回転を行うことになる。上述のように、第1搬送路31より第2搬送路33へと移行されるものは既に約90°の相対回転を行っているため、合計で約180°の相対回転を行うことになる。
【0115】
すなわち、本実施形態に係るワーク整列搬送装置101においては、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)をそれぞれ進行してきたワーク9は、合流部J2において相対角度がさらに90°変更されることになるため、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)を通過するものの間で、合計180°の姿勢変換をさせることが可能となっている。
【0116】
また、いずれの経路を通過してきたワーク191a,192aであっても、位置調整溝136の底部で、同一の位置にまで移動してくるために、全てのワーク9を同じように所定の姿勢で下流側の第1搬送路31まで安定して搬送させることができるようになっている。
【0117】
以上のように、本実施形態に係るワーク整列搬送装置101は、搬送路3を形成された搬送台2に振動を付与することで、前記搬送台2上に載置したワーク9を前記搬送路3に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段6により前記ワーク9を搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置101であって、前記搬送路3が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路31と、当該第1搬送路31と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路31側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路32と、当該中間搬送路32と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路33とを備えているとともに、前記第1搬送路31および前記第2搬送路33をなす各溝が、搬送方向に沿って開口方向が相対的に離間する向きにねじりを生じながら徐々に近接しつつ合流する合流部134が形成されており、前記付勢手段6によって前記第1搬送路31より前記中間搬送路32に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワーク9を、前記中間搬送路32に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路33に移動させ、前記合流部134を経て前記第1搬送路31に復帰させるように構成したものである。
【0118】
このように構成しているため、一回の姿勢変更部を通過するのみで、大きく姿勢変更をすることができるようになっている。
【0119】
また、前記合流部134において、前記第1搬送路31と前記第2搬送路33をなす各溝がねじりを生じながら搬送方向に沿って合流することで、断面が略V字型で開角が鈍角である一個の合流溝135を形成するとともに、当該合流溝135と搬送方向に連続して断面が略円弧状の位置調整溝136が形成されており、さらに、当該位置調整溝136の終端が第1搬送路33に連続するように構成しているため、断面が矩形状のワーク9であれば90°のみならず、180°まで一度に姿勢変更するよう具体化した構成として実現することも可能となる。
【0120】
また、この実施形態においては、第1搬送路31および第2搬送路33をなす溝を、それぞれ開口方向が離間する方向にねじりを生じさせながら合流する構成としていたが、第1搬送路31と中間搬送路32が並列に存在する状態から、これらをなす溝を捻りながら直接的に合流させる構成とすることも可能である。この場合においても、ひねりを生じさせる過程において、上述した第1搬送路31と第2搬送路33との位置関係が部分的に生じるものであり、上述したものと同様の効果を得ることが可能である。
【0121】
さらには、上記第1実施形態における合流部J1を構成する部分と、第2実施形態における合流部J2を構成する部分とを、ユニット化しておき、本体部分に対して選択的に付け替えることが可能な構成にすることもでき、こうすることで一個の装置を用いて様々な種類や形状のワーク9に対応して、それぞれを適切に姿勢変換ができるようにすることも可能である。
【0122】
なお、各部の具体的な構成は、上述した第1および第2実施形態のみに限定されるものではない。
【0123】
例えば、上述した実施形態ではワーク姿勢検知手段62として透過型光電センサを用いていたが、これに代わって反射型光電センサを用いることもできる。こうすることでワーク9の各面を形状の相違だけで判別するだけではなく、表面粗度など反射率の相違によって各面を見分けることができる。また、これらの光電センサに代わって画像処理機器を用いることも可能である。
【0124】
また上述した実施形態では光電センサの投光部62aより発せられた光がエア噴出孔64を通過して受光部62bに達するように構成していたが、エア噴出孔64との位置関係を適正にすることができる限り、投光部62aからの光をエア噴出孔64とは別に設けた孔を通過させて受光部62bに到達させるように構成することでも本願発明の主要な効果を得ることが可能である。こうすれば、孔個数が増加するとともに孔位置の調整が必要となるために製作コストはやや増加することになるが、エアの漏れ量を減少させてランニングコストの低減を行うことが可能となる。
【0125】
さらに、上述の実施形態では断面が正方形で直方体状に構成されたワーク9の姿勢変更を行うことを前提としており、側面の4つの面の方向を変更するようにして姿勢変更していたが、さらに面の数が多い多角形状に形成されている場合には、その面の数に応じて姿勢変更部の設置数を増加させることによって、上記と同様に側面のうちの1つの面を基準とした姿勢変更を行わせることが可能である。
【0126】
また、上述の実施形態では第1搬送路31、中間搬送路32および第2搬送路33を断面が略V字型になるように構成したが、その趣旨は多角形状に構成されたワーク9の側面のうちの2面をV字型に配置された2つの壁面によって支持することにある。そのため、必ずしも断面がV字型になるように壁面が接続されているかは問わず、ハの字型に分割して構成されていても、さらには壁面の接続部が別の平面または曲面によって構成されていてもよい。
【0127】
また、上述の実施形態では、搬送台2に振動を生じさせる駆動源として電磁石75を用いていたが、振動周波数および加振力を制御することが可能なものであれば駆動源はこの形態に限らない。例えば、板バネ71、71の表面に圧電素子を貼り付け、その圧電素子に正弦波状の電圧を印加して周期的な伸びを生じさせることによって搬送台2に加振力を与えることも可能である。
【0128】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1…ワーク整列搬送装置
2…搬送台
3…搬送路
4…可動台
5…第2のカバー部材
6…付勢手段
7…ベース
9…ワーク
31…第1搬送路
32…中間搬送路
33…第2搬送路
34…合流部
62…ワーク姿勢検知手段(光電センサ)
64…エア噴出孔
71…ワーク姿勢判別部
72…エア供給部
P…境界部(R部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給されるワークを所定の向きに揃えつつ搬送するためのワーク整列搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場における生産ラインの中に連続してワークを供給し、姿勢を揃えつつ搬送するための技術が数多く開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、ワークを一方向に搬送しつつ、所定の向きと異なるワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させることにより向きを揃えることのできるリニア型パーツフィーダとしてのワーク整列搬送装置が示されている。当該ワーク整列搬送装置では、振動を利用してワークを第1搬送路(第1トラック)に沿って一方向に搬送するとともに、搬送中のワークの姿勢を検知し、その姿勢が所定のものでないときにはその部品に対してエアを噴出させて、第1搬送路と並行して設けられた第2搬送路(第2トラック)にワークを横転させるようにして移動させることにより姿勢を変更することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようにエアを噴出することによってワークを横転させることで姿勢変更する場合には、ワークの個体差やエア噴出量の誤差等の様々な要因によって姿勢変更ミスが生じることがある。
【0006】
こうした姿勢変更ミスの形態には、第1搬送路から第2搬送路に移動したワークが跳ね返って第1搬送路に戻ってしまうもの(第1形態)、転がりすぎて目標角度以上に向きが変わってしまうもの(第2形態)、搬送路上で斜めになってしまうもの(第3形態)等がある。
【0007】
このような姿勢変更ミスが生じたワークは通常は検査段階で除外されるのが一般的であるものの、姿勢変更ミスが多く発生する場合には適切な姿勢に揃えたワークを連続して次工程に送ることができず、ライン全体の効率低下を引き起こすことになる。また、万が一検査段階で除外することができなかった場合には、不適切な姿勢のまま次工程に送り込まれ別の深刻な不具合を招来する可能性もある。
【0008】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的にはワークの姿勢変更ミスを低減して、安定して適切な姿勢としたワークを供給することのできるワーク整列搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本願における第1の発明のワーク整列搬送装置は、搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、前記搬送路が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、前記第1搬送路と前記第2搬送路とが搬送方向で徐々に近接し合流する合流部が形成されており、前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とする。
【0011】
ここで、上記の溝の開口方向とは、略V字型に形成された溝断面を形成する2辺のなす角の二等分線と同一の方向であり、溝の外方に向かう方向を正として示す方向をいうものとする。
【0012】
上記のように構成すると、エアを噴出させることによるワークの回転量を小さな角度分だけにとどめることができるために、少ないエア噴出量で簡単にワークを回転させて姿勢を変更することが可能となる。そのため、エネルギ消費を抑えるとともに、回転させすぎ、跳ね返りなどの姿勢変更ミスを抑制することができる。
【0013】
さらに、本願における第2の発明のワーク整列搬送装置は、搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、前記搬送路が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、前記第1搬送路および前記第2搬送路をなす各溝が、搬送方向に沿って開口方向が相対的に離間する向きにねじりを生じながら徐々に近接しつつ合流する合流部が形成されており、前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とする。
【0014】
このように構成すると、上記第1の発明におけるワーク整列搬送装置と同様の効果を得ることができるとともに、一度にワークの姿勢変換ができる角度をより大きくすることが可能となる。
【0015】
さらに、この第2の発明における構成を前提として、より具体的な構成として実現するためには、前記合流部において、前記第1搬送路と前記第2搬送路をなす各溝がねじりを生じながら搬送方向に沿って合流することで、断面が略V字型で開角が鈍角である一個の合流溝を形成するとともに、当該合流溝と搬送方向に連続して断面が略円弧状の位置調整溝が形成されており、さらに、当該位置調整溝の終端が第1搬送路に連続するように構成することが好適である。
【0016】
また、上記のいずれの構成を前提とする場合であっても、さらにワークを回転させやすくして上記の効果を高めるためには、回転に伴うワーク重心の上下方向の移動を少なくすることが効果的であるため、前記第1搬送路と前記中間搬送路との境界部のうち少なくとも前記付勢手段の近傍をR形状とするように構成することが好適である。
【0017】
また、より安定的にワークの移動を行わせることを可能とするためには、前記ワークが前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動する際に、前記境界部に形成されたR形状に沿って移動しつつ回転するように前記付勢手段による付勢力を設定するように構成することが好適である。
【0018】
また、自動的にワークの姿勢を検知して所定の姿勢に変更することが可能とするためには、前記付勢手段が、第1搬送路に設けられたエア噴出孔と、当該エア噴出孔に対してエアを供給するエア供給部と、前記ワークの姿勢を検知するワーク姿勢検知手段と、当該ワーク姿勢検知手段からの信号に基づいて前記ワークの姿勢が所定のものであるか否かを判別するワーク姿勢判別部とを備えており、当該ワーク姿勢判別部からの信号に基づいて前記エア供給部より前記エア噴出孔にエアを供給させて、前記エア噴出孔より噴出させるように構成することが好適である。
【0019】
さらに、エア噴出孔に対するワークの位置関係を把握しつつ適切にエアを噴出させることで姿勢変更ミスをさらに抑制することを可能とするためには、前記ワーク姿勢検知手段が投光部と受光部を備える光電センサであり、前記投光部より発せられる光が前記エア噴出孔を通過して前記受光部に達するような位置関係に前記投光部及び前記受光部を設けるように構成することが好適である。
【0020】
また、多角形状のワークの整列を適切に行わせることを可能とするためには、前記中間搬送路、前記第2搬送路、前記合流部、前記付勢手段および前記ワーク姿勢検知手段を搬送方向に沿って複数箇所に設けるように構成することが好適である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した本発明によれば、ワークの姿勢変更ミスを低減して適切な姿勢としたワークを連続して安定的に供給することのできるワーク整列搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るワーク整列搬送装置の側面図。
【図2】同ワーク整列搬送装置の搬送台周辺を示す斜視図。
【図3】図2におけるM部を拡大して示す拡大斜視図。
【図4】図3における要部をさらに拡大して示す要部拡大斜視図。
【図5】同ワーク整列搬送装置により搬送するワークの一例を示す三面図。
【図6】同ワーク整列搬送装置におけるエア噴出制御のシステム構成を示す模式図。
【図7】同ワーク整列搬送装置におけるワークの移動形態を示す模式図。
【図8】同ワーク整列搬送装置におけるワークの移動形態を示す模式図。
【図9】同ワーク整列搬送装置におけるワークの移動形態を示す模式図。
【図10】同ワーク整列搬送装置における第1搬送路と中間搬送路の形状を示す断面拡大図。
【図11】従来のワーク整列搬送装置における第1搬送路と第2搬送路の形状を比較例として示す断面拡大図。
【図12】第1実施形態に係るワーク整列搬送装置の合流部を示す斜視図。
【図13】本発明の第2実施形態に係るワーク整列搬送装置の合流部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態のワーク整列搬送装置1は、搬送路3が形成された搬送台2を振動可能に構成してあり、この搬送台2の上に載置したワーク9〜9を搬送台2の振動によって図中のW方向に搬送することを可能としている。
【0025】
ここで、ワーク9の搬送方向をW方向として定義するとともに、図中に記載した座標軸のように、ワーク9の搬送方向と略同一となる水平方向をX方向、鉛直上方向をZ方向、X方向およびZ方向に直交する紙面の奥行き方向をY方向として定義する。
【0026】
以下、上記のように定義した各方向を用いつつ、本実施形態のワーク整列搬送装置1の具体的な構成を説明する。
【0027】
搬送台2は概ねX方向に延在するブロックの形態として構成されており、同様にX方向に延在する形態として構成された可動台4の上面に固定されている。そして、可動台4はX方向に所定の間隔をおいて配置された一対の板バネ71、71を介してベース7に対して弾性的に支持されるようになっている。
【0028】
板バネ71、71は各々鉛直方向に対してやや傾きをもたせつつ平行に配され、各板バネ71、71の上端は取付部材72a、72bによって可動台4の下面に固定されるとともに、下端は取付部材72c、72dによってベース7の上面に固定されている。また、ベース7の上面には取付台75aを介して加振手段としての電磁石75が取り付けられているとともに、当該電磁石75と対向するようにして磁性ブロック76が可動台4の下面に取り付けられている。
【0029】
上記のように構成することによって、電磁石75に周期的に大きさが変動する電流を流すことで、磁性ブロック76に対して周期的な磁力を発生させ、板バネ71、71の法線方向に搬送台2を振動させることができる。この振動によって搬送台2に載置されたワーク9に対して搬送方向(図中のW方向)の推力が与えられて搬送が行われるようになっている。
【0030】
さらに、ワーク9は搬送台2に形成された搬送路3に沿って移動するように構成している。加えて、本実施形態のワーク整列搬送装置1では、搬送路3に沿って図中のA〜Gの各機能を有するように構成している。
【0031】
ここで、本実施形態のワーク整列搬送装置1によって整列搬送を行うワーク9の一例を図5に示す。この例におけるワーク9は概ね直方体の形状をしており、長手方向の両端面がほぼ正方形として形成されるとともに、その長手方向に対して側面となる他の四面が各々長方形として形成されている。また、長方形の四面のうち一面に切り欠き部9aが形成されている。
【0032】
本実施形態のワーク整列搬送装置1では、上記のような形状を有するワーク9を長手方向に移動させるとともに、切り欠き部9aを特定の方向に揃えることができるようになっている。
【0033】
図1に戻って、A部は図中左方向に設けられるワーク供給部(図示せず)より供給されるワーク9を受け入れる導入部である。ワーク9の長手方向を搬送方向に揃え、搬送路3に沿ってワーク9を搬送方向に移動させていく。
【0034】
B〜D部は、ワーク9の姿勢が所定の向きになっていない場合に姿勢変更を行う第1〜第3姿勢変更部である。本実施形態のワーク整列搬送装置1では、ワーク9の切り欠き部9a(図5参照)が概ね上方向になる向きを基準姿勢としており、この向きとなっていない場合にワーク9を搬送方向と平行な軸回りに回転させて、ワーク9を基準姿勢にするようにしている。第1〜第3姿勢変更部(B〜D部)では、各々ワーク9を搬送方向と平行な軸回りに90°回転させることが可能にされているため、これらを通過することによって、ワーク9は導入部(A部)より導入された姿勢に応じて無回転(0°)あるいは、90°、180°、270°のいずれかの回転を選択的に実行されて、同じ向きに揃うよう姿勢変更される。
【0035】
また、これらの姿勢変更部の搬送方向下流側にはE、F部として第1、第2検査部が設けられている。これらにより、姿勢変更ミスが生じたワーク9は搬送路3より排除し、次工程に流入されないようにしている。
【0036】
さらに、第1、第2検査部(E、F部)の後には、G部として導出部が設けられている。ここでは、基準姿勢であることを確認されたワーク9を次工程に適した傾きに微修正しつつ導出するようにしている。
【0037】
上記のような機能を備えるために、具体的には搬送台2の周辺を図2のように構成している。
【0038】
搬送路3は断面を略V字型とされ、搬送台2の長手方向(X方向)に連続するように形成されている。ワーク9(図1参照)は、搬送路3に沿って図中のA〜G部を通過する。
【0039】
第1〜第3姿勢変更部(B〜D部)および第1、第2検査部(E、F部)には、それぞれ搬送路3を通過するワーク9(図1参照)の姿勢を検知するためのワーク姿勢検知手段としての光電センサ62〜62が設けられている。これらの光電センサ62は透過型タイプのものを使用しており、投光部62aと受光部62bを備えているとともに、搬送台2上に設けたブラケット63によって各々取り付けてある。
【0040】
また、基準姿勢と異なるワ−ク9(図1参照)の姿勢を変更するための付勢手段6を設けており、その一部として動力源としての圧縮エアを導入するためのエア配管接続部61〜61を設けている。図中ではこれらに接続するエア配管は省略してある。
【0041】
搬送台2の側方には、搬送路3と並行する溝部を形成された除外品受部51が設けられており、第1、第2検査部(E、F部)によって姿勢変更ミス品として検出されて搬送路3より排除されたワーク9(図1参照)を受け取り、搬送前のワーク9が収容されているボウル(図示せず)に戻すことが可能に構成している。
【0042】
導出部(G部)には、搬送路3を覆うためのカバー部材52、53が設けられており、これらと搬送路3の内部で形成される空間内でワーク9を支持しつつ、ワーク9の傾きを次工程に適したものに修正しながら動作を安定させ送り出すようにしている。
【0043】
同図におけるM部を拡大して図3に示す。
【0044】
搬送台2に形成する搬送路3は、ワーク搬送方向に連続して形成される第1搬送路31と、この第1搬送路31に隣接位置において並行して設けられた中間搬送路32と、この中間搬送路32に対して搬送方向に連続するようにして設けられた第2搬送路33より構成される。
【0045】
さらには、第1搬送路31と第2搬送路33とが搬送方向に進むにつれて徐々に近接し、1個の第1搬送路31に合流する合流部34が形成されている。
【0046】
これらの溝の形状について、図3よりもさらに拡大して示した図4を用いて説明する。
【0047】
第1搬送路31、中間搬送路32および第2搬送路33は、各々断面が略V字型になるように形成されており、内壁となる二面によってワーク9の二面を支持することができるようになっている。
【0048】
ワ−ク9が通過する経路には、第1搬送路31としての経路R1と、これと並行して搬送方向の途中より設けられた中間搬送路32としての搬送方向始端側の経路R2と終端側の経路R3、および第2搬送路33としての経路R4がある。中間搬送路32のうち経路R2の部分は直線状に形成されているが、経路R3の部分は終端側に進むにつれて図中の時計回り方向に捻られるようにして形成されている。このように捻れた経路R3を中間搬送路32の一部に設けることにより、開口方向の異なる中間搬送路32のうちの経路R2と、第2搬送路(経路R4)との間を滑らかに連続させることができるようになっている。そのため、経路R2〜R4は滑らかに連続するように形成されている。また、経路R1と経路R4とは、上述したように合流部34(図3参照)で徐々に近接していき、やがて一本の経路R1になる。
【0049】
さらに、第1搬送路31の内壁となる二面のうちの片側には、付勢手段6の一部を構成するエア噴出孔64が設けられており、ここから中間搬送路32の方向にエアを噴出させることができるようになっている。
【0050】
上記の経路R1〜R4のうち主となるものは第1搬送路31として搬送方向に連続する経路R1である。経路R1を搬送方向(図中のW方向)に移動するワーク9の姿勢が基準姿勢と異なる場合には、そのワーク9に対してエアを用いた付勢手段6により付勢力を与えて、経路R2に移動させつつ回転させるようにして姿勢を変更させるようになっている。具体的には、この付勢手段6はエア噴出孔64よりワーク9に対して、エアを噴出することで付勢力を与えることができるようになっており、その付勢力はエア圧力およびエアの噴出量によって制御される。こうした付勢力の働きによって、経路R1に代わり経路R2を移動することになったワーク9は、経路R2と連続する経路R3、R4を経て、当初よりも姿勢変更された状態で経路R1に復帰することになる。
【0051】
上記の付勢手段6は、図6に示すようなシステムによって動作される。
【0052】
エア噴出孔64は上述したように第1搬送路31の内壁の2面のうち片側に形成されている。このエア噴出孔64はワーク9の上部に対応する位置に設けられており、ここからエアを噴出させた際に効率よくワーク9に回転力を働かせつつ中間搬送路32に移動させることができるようになっている。また、図で示すようにワーク9が基準姿勢である場合、すなわち上側の面に切り欠き部9aがある場合にはこの切り欠き部9aとエア噴出孔64とが同じ位置になるように設定している。
【0053】
当該エア噴出孔64に対しては、エア配管接続部61より導入されるエアをエア導通孔63を介して供給して噴出させることができるように構成している。
【0054】
さらに、このエア噴出孔64は貫通孔として搬送台2の外部にまで開放されている。そして、このエア噴出孔64を通じて投光および受光が可能な位置に、上述したワーク姿勢検知手段62としての光電センサの投光部62aと受光部62bとを設置している。ワーク姿勢検知手段(光電センサ)62からの信号は、ワーク姿勢判別部71に出力され、ここでエア噴出孔64の位置にワーク9が到達したかどうか、および、そのワーク9が基準姿勢であるか否かを判別することが可能となる。そして、ワーク9がエア噴出孔64の位置に到達し、かつ、ワーク姿勢が基準姿勢にない場合には、ワーク9の姿勢変更を行わせるべく姿勢変更命令をパルス信号の形態でエア供給部72に対して出力する。
【0055】
エア供給部72は電磁バルブとして構成しており、図示しない外部より圧縮エアの供給を受け、その圧縮エアをエア配管を通じてエア配管接続部61に供給または供給の停止を行うことが可能となっている。そして上記の姿勢変更命令としてのパルス信号をワーク姿勢判別部71より入力された際には、短時間エア供給源からの圧縮エアをエア噴出孔64に対して供給し噴出させることができるようにしている。
【0056】
このように構成することで、一組の光電センサ62を用いるのみでワーク9の姿勢に加えて、エア噴出孔64に対する位置関係を同時に把握することができるために、ワーク9の姿勢変更を行うためのエアの噴出をワーク9の位置に合わせてタイミング良く行わせることが可能となり、より姿勢変更の成功率を向上することができる。
【0057】
ここで、上述した各搬送路の位置関係を、これらの間を移動するワーク9の動きと併せて、図7〜図9を用いて詳細に説明する。
【0058】
図7(a)は、第1搬送路31を移動するワーク9が切り欠き部9aを上側に向けた基準姿勢でエア噴出孔64の位置を通過する際を示すもので、当該位置における断面図として記載するものである。このようなエア噴出孔64に対応する位置では、第1搬送路31と隣接位置において並行して中間搬送路32の搬送方向の始端側である経路R2の部分が形成されている。
【0059】
第1搬送路31は断面が略V字型とされているとともに、開口方向が図中上方向からやや右斜め上を向くように形成されている。こうすることで、内側の2つの壁面によってワーク9の4つの側面のうち2面を支持することができるようになっている。
【0060】
同様に中間搬送路32(R2)も断面が略V字型となるように形成され、ほぼ第1搬送路31と左右対称になるように設けられている。すなわち、中間搬送路32(R2)の開口方向は第1搬送路31の開口方向とは異なり、上方向よりやや左斜め上を向くように形成されている。換言すれば、この開口方向は第1搬送路31の開口方向に対して、第1搬送路31の側に傾斜しているものということができる。
【0061】
また、第1搬送路31と中間搬送路32(R2)とは各々の上にワーク9を載置させた状態では、ワーク9の一部が互いにはみ出してオーバーラップした状態となるように位置関係を設定している。このようにすることで、ワーク9を搬送路間を移動させつつ回転運動を生じさせて姿勢変更を行うことが可能となっている。
【0062】
ただし、図7(a)に示したワーク9は基準姿勢にあるために、エア噴出による姿勢変更は行われることがない。
【0063】
これに対して、図7(b)に示すようにエア噴出孔64の位置に到達したワーク9が基準姿勢にない場合には、投光部62aから受光部62bに与えられる光が長時間遮られることになる。これにより上述したワーク姿勢判別部71(図6参照)より姿勢変更命令が出力され、それに応じてエア噴出孔64よりエアが噴出し、ワーク9は中間搬送路32(R2)に向けて移動しつつ向きを変えるための回転運動を行い図8(c)に示した状態となる。
【0064】
この後、ワーク9は搬送方向に進行して、中間搬送路32(R2)より上述した終端側に向けて第1搬送路31と同一の開口方向となるまでの捻りを伴う経路R3を経て第2搬送路33に移動した図8(d)の状態となる。なお、中間搬送路32(R2)および第2搬送路を搬送されるワーク9は、隣接する第1搬送路31を搬送されるワーク9との間で搬送方向より見てオーバーラップする部分があるために、前後のワーク9と搬送方向の位置関係が変わることがなく整列した状態のまま搬送されていく。
【0065】
第2搬送路33は、第1搬送路31と同一の開口方向になる向きに形成されているため、第2搬送路33上のワーク9は当初第1搬送路31上にあるワーク9と同一の傾きを有することになる。
【0066】
そして、ワーク9が搬送方向に進行することで上述した合流部34に対応する位置に到達する。この合流部34では、図9(e)のようにして、第1搬送路31の内壁のうち第2搬送路33に近い側の壁が徐々に第2搬送路33に近接していき、やがて図9(f)のようにして第1搬送路31と第2搬送路33の差はなくなり、1つの第1搬送路31となる。
【0067】
こうすることで、第1搬送路31より第2搬送路33に移動したワーク9は搬送方向に平行な軸(X軸)まわりに90°の姿勢変更を行われた上で、第1搬送路31に復帰することになる。
【0068】
ここで、エア噴出によってワーク第1搬送路31よりワーク9の移動が行われる付近の溝断面をさらに拡大して図10に示す。
【0069】
第1搬送路31と中間搬送路32における経路R2部とは、上述したように両者の間の境界を挟んでほぼ左右対象となる角度に形成されている。そして両者の間の境界部を形成する壁面のなす角αは90°より大きく、具体的には120°〜140°の範囲に設定している。こうすることで、第1搬送路31から中間搬送路32に至るワーク9の回転量を少なくして、小さな付勢力で容易にワーク9の移動を行うことができるようにしている。
【0070】
さらに、両者の境界部PをR形状としているために、そのR形状に沿って接触点がT1〜T5のように連続して変化するようワーク9が滑りながら移動しつつ回転運動を行うことで、姿勢変更に伴うワーク9の重心の上下方向への移動が少なく、より滑らかに移動を行うことができるようになっている。なお、このようなR形状を設ける部分はワーク9に移動を行わせる付勢手段6(図4参照)、より具体的にはエア噴出孔64(図4参照)の近傍のみで足りる。
【0071】
また、エア噴出孔64(図4参照)から噴出するエアの圧力すなわち付勢手段6による付勢力を、ワーク9が上記のR形状に沿って転がることができるものに設定することによって、ワーク9が飛び跳ねたり、転がり過ぎたりすることによる姿勢変更ミスを防止することができる。
【0072】
図11(a)、(b)に比較例として、従来用いられていた搬送路としての溝断面形状を示す。ここで示したように、断面が正方形の形態であるワーク9は、一回のエア噴出によって横転するようにして一度に90°向きが変更される。
【0073】
図11(a)の場合においても、主となる第1搬送路831と並行して第2搬送路832が設けられており、これらの境界を形成する壁面の角度βは90°に設定される。そこで、エア噴出により回転力を与えられたワーク9は、境界P1を中心に90°回転しつつその境界を乗り越えるようにして第1搬送路831より第2搬送路832に移動する。
【0074】
このように姿勢変更のための回転運動と境界を乗り越えるための上下移動とが必要になるために、ワーク9は移動距離が長くなるとともに重心の上下方向の移動が大きく必要になる。そのためワーク9を動作させるために大きなエネルギを与えることが必要となり、大きなエア噴出量が要求されてエネルギ消費が大きくなる。また、境界部P1がエッジ状に形成されているためにワーク9との間の摺動抵抗が大きく、さらには、搬送路の僅かな傷やワーク9の表面粗度などの個体差によって大きくワーク9の挙動が異なることになり、姿勢変更ミスを生じやすいものといえる。さらに、大きなエア噴出量を要するために細かなエア噴出量の調整が困難となり、上記の個体差要因とも相俟ってワーク9の運動の制御がより困難になることにつながる。
【0075】
また、図11(b)に示したように、第1搬送路931と第2搬送路932との間の境界部P2を支点として回転運動のみでワーク9の移動を行う場合もある。このような場合であっても、エッジとして形成された境界部P2を中心とする回転移動に伴うワーク9の上下方向の重心移動はやはり大きいものとなる。そのため、ワーク9の移動に要するエア噴出量は大きなものが必要となり、エネルギ消費が大きいとともに、細かなエアの調整を行うことができず姿勢変更ミスを生じやすくなる。また、第1搬送路931および第2搬送路932は、境界部を形成する側の壁面の高さを小さくすることが必要となるため、ワーク9の安定性が減り僅かな外乱等によって意図せぬ移動を行うことにつながる。
【0076】
上記のように比較例として示した図11(a)、(b)の場合に比べて、本実施形態では、図10に示したように移動に必要なワーク9の上下方向の重心移動が少なく、少ないエネルギで移動させることができる。また、境界部PをR形状としておりそのRに沿った滑り運動を行わせつつ姿勢変更を行うことができるために、境界部Pに対するワーク9の引っ掛かりが生じず安定して移動させることができる。また、各搬送路の内壁はワーク9に対して十分な幅(壁面の高さ)を有するように構成できるために、搬送中のワーク9の挙動を安定させることができる。
【0077】
上記のようにして、図1のように構成した本実施形態のワーク整列搬送装置1では、ワーク9を以下のようにして整列させつつ搬送していく。
【0078】
搬送台2は加振手段としての電磁石75によって図中の左下から右上方向に振動を付与されることにより、搬送台2上に載置されるワーク9に対して図中のW方向に搬送力を付与し移動させていく。搬送台2には断面が略V字状の溝としての搬送路3が形成されており、この搬送路3に沿ってワーク9は移動していく。
【0079】
ワーク9は図中左側の導入部(A部)より送り込まれ、搬送方向に対してワーク9を長手方向にする向きにしつつ搬送路3内で支持させる。ワーク9は略直方体状に形成されるとともに側面の四面のうち一面のみに特徴を有するために、この面が上方を向いた向きを基準姿勢として姿勢を判別する。そして、第1姿勢変更部(B部)では基準姿勢と異なる姿勢のワーク9に対してエアを噴出させて付勢力を働かせることにより、図4に示すようにワーク9を第1搬送路31より中間搬送路32の経路R2に移動させる。そして、ワーク9は搬送方向に進行しつつ経路R3を通じて第2搬送路33に移動して合流部34を通じて第1搬送路31に戻る。この時、当初の状態と比べて搬送方向に対して平行な軸回りに90°の回転がなされた状態となっている。
【0080】
上記の第1姿勢変更部(B部)と同様に、図1に示す第2姿勢変更部(C部)、第3姿勢変更部(D部)は構成されており、これらを通過することによりワーク9は最大で約270°の回転を行うことができるようになっている。このようにすることで、直方体状の形態を示すワーク9においては、当初どの側面が上方にあったとしても最終的に基準姿勢に変更することができる。
【0081】
上記のように姿勢変更を行った後、第1、第2検査部(E、F部)により姿勢変更ミスのあるワーク9をラインより除外した後に、導出部(G部)を通じて次工程に向けて送り出すことができるようになっている。
【0082】
以上のように、本実施形態に係るワーク整列搬送装置1は、搬送路3を形成された搬送台2に振動を付与することで、前記搬送台2上に載置したワーク9を前記搬送路3に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段6により前記ワーク9を搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置1であって、前記搬送路3が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路31と、当該第1搬送路31と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路31側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路32と、当該中間搬送路32と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路33とを備えているとともに、前記第1搬送路31と前記第2搬送路33とが搬送方向で徐々に近接し合流する合流部34が形成されており、前記付勢手段6によって前記第1搬送路31より前記中間搬送路32に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワーク9を、前記中間搬送路32に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路33に移動させ、前記合流部34を経て前記第1搬送路31に復帰させるように構成したものである。
【0083】
このように構成しているため、エアを用いる付勢手段6によって生じさせるワーク9の回転量を小さくすることができるため、少ないエア噴出量で簡単にワーク9を回転させて姿勢を変更することが可能となる。そのため、エネルギ消費を抑えるとともに、ワーク9の回転させすぎや、跳ね返りなどの姿勢変更ミスを抑制することができる。
【0084】
また、前記第1搬送路31と前記中間搬送路32との境界部のうち少なくとも付勢手段6の近傍をR形状とするように構成しているため、回転に伴うワーク9の上下方向の重心移動を少なくすることができ、よりワーク9を回転させやすくして、上記の効果を高めることができる。
【0085】
さらに、前記ワーク9が前記第1搬送路31より前記中間搬送路32に移動する際に、前記境界部34に形成されたR形状に沿って移動しつつ回転するように前記付勢手段による付勢力を設定しているために、より安定的にワーク9の移動を行わせることが可能となっている。
【0086】
また、前記付勢手段6が、第1搬送路31に設けられたエア噴出孔64と、当該エア噴出孔64に対してエアを供給するエア供給部72と、前記ワーク9の姿勢を検知するワーク姿勢検知手段62と、当該ワーク姿勢検知手段62からの信号に基づいて前記ワークの姿勢が所定のものであるか否かを判別するワーク姿勢判別部71とを備えており、当該ワーク姿勢判別部71からの信号に基づいて前記エア供給部72より前記エア噴出孔64にエアを供給させて、前記エア噴出孔64よりエアを噴出させるように構成したため、自動的にワーク9の姿勢を検知して正規の姿勢に変更することが可能となっている。
【0087】
さらに、前記ワーク姿勢検知手段62が投光部62aと受光部62bを備える光電センサであり、前記投光部62aより発せられる光が前記エア噴出孔64を通過して前記受光部62bに達するような位置関係に前記投光部62a及び前記受光部62bを設けるように構成しているため、ワーク姿勢検知手段62からの信号によってワーク9の姿勢を判別することができるとともに、エア噴出孔64に対するワーク9の位置も正確に把握できるために精度良くエアを噴出させることができ、姿勢変更ミスをさらに抑制することが可能となっている。
【0088】
また、前記中間搬送路32、前記第2搬送路33、前記合流部34、前記付勢手段6および前記ワーク姿勢検知手段62を搬送方向に沿って複数箇所に設けるように構成しているため、所定角度の回転を複数回行わせることで、多角形状のワーク9の姿勢変更を行い特定の方向に整列させることが可能となっている。
【0089】
<第2実施形態>
図12は、第1実施形態のワーク整列搬送装置1の合流部J1(34)近傍の斜視図を示すものであり、図13は、本発明の第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101の合流部J2(134)近傍の斜視図を示すものである。
【0090】
第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101は、第1実施形態のワーク整列搬送装置1と合流部J1(J2)の形態が異なるのみで、これ以外の部分は同一に構成してある。そのため、第1実施形態の場合と同一の箇所については同一の符号を用いて、合流部J2以外の部分については説明を省略する。なお、図12及び図13に示すように、第1実施形態の場合の合流部J1と、第2実施形態の場合の合流部J2の搬送方向の長さが異なるように設定しているが、これは本願発明が意図するところでは無く、両者を同一の長さに設定することも可能である。
【0091】
第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101の合流部J2の形態を説明するに先駆けて、これと対比するために第1実施形態に係るワーク整列搬送装置1の合流部J2について、図12を用いていま一度説明を行っておく。
【0092】
図12は、図中の矢印で示すように、図の右上側を搬送方向上流側として、左下側に
向かってワーク9を搬送する向きで記載したものである。
【0093】
なお、この図では、説明を簡単にするために、搬送方向上流側より搬送されてきたワーク191aの向きを基準として、同じ向きで搬送されてきたワーク9を姿勢変換したものと仮定して示したものであり、各部における姿勢変換量を分かりやすくしている。そのため図中において、合流部J2を通過した各ワーク9の姿勢は却ってバラバラの状態となっているが、実際の使用時にはワーク9の姿勢を検知しつつ姿勢変換を行うので、原則として合流部J2を通過した各ワーク9の姿勢は上流側よりも近いものになる。この点は、後述する図13においても同様である。
【0094】
図12について搬送方向上流側から下流側に向かって順に説明すると、図中右上側の領域では、第1搬送路31としての経路R1と、第2搬送路33としての経路R4が隣接しつつ並行して形成されている。
【0095】
また、第1搬送路31と第2搬送路33は各々断面が略V字型の溝として形成されており、これら第1搬送路31と第2搬送路33全体がなす搬送面のうち外側の二面を面K1,L1とすると、これらの面K1,L1が交わる箇所に、あたかも断面が矩形状をなす突部S1が搬送方向に沿って延在しつつ一体化して構成されているものといえる。
【0096】
こうした第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)とは、搬送方向下流側の合流部J1(34)において徐々に近接して合流する。これを具体的に説明すると、上記突部S1における第1搬送路31(R1)側の面S11が、搬送方向下流側に行くに従って、スロープ状に第2搬送路33(R4)側の面L1へと近接していき、やがて突部S1が存在しなくなり、面K1と面L1とが直接交わって断面が略V字状の溝を形成することになる。
【0097】
すわなち、搬送方向に見て、突部S1が存在しなくなることで、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)とは合流して、再び一個の第1搬送路31(R1)を構成するようになっている。
【0098】
こうした合流部J1を通過することで、ワーク9は次のように移動することになる。例えば、第2搬送路33へと移動すること無く第1搬送路31上を搬送されてきたワーク91aは、そのままの姿勢を保ったまま図中のワーク91bのように進行する。さらに、そ姿勢を保ちつつ、合流部J1における突部S1がなすスロープに沿って第2搬送路33側へと僅かに移動しながら、下流側の第1搬送路31へと進んでいくことになる。他方、第1搬送路31より第2搬送路33へと姿勢変更されつつ移動してきたワーク92aは、そのままの姿勢を保ったまま図中のワーク92bのように進行する。さらに、合流部J1において搬送方向に進行する中で突部S1が存在しなくなることで、その分、第1搬送路31寄りに位置を変え、図中で示すワーク92cのように移動することになる。
【0099】
このように、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)をそれぞれ進行してきたワーク9は、合流部J1において姿勢が変わることがないため、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)をそれぞれ通過するワーク9は、相対的に90°の姿勢変換をすることになる。
【0100】
次に、図13を用いて、第2実施形態に係るワーク整列搬送装置101の合流部J2の構成について説明を行う。図13も、図12と同様、図中の矢印で示すように、図の右上側を搬送方向上流側として、左下側に向かってワーク9を搬送する向きで記載したものである。
【0101】
この場合においても、図中右上側の領域では、第1搬送路31としての経路R1と、第2搬送路33としての経路R4が隣接しつつ並行して形成されることになる。
【0102】
こうした第1搬送路31と第2搬送路33全体がなす搬送面のうち外側の二面を面K2,L2とすると、これらの面K2,L2が交わる箇所に、あたかも断面が矩形状の突部S2が搬送方向に沿って延在しつつ一体化したかのような形状となっている。
【0103】
こうした第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)とは、搬送方向下流側に進んでそれぞれ経路R21とR22に滑らかに接続されている。この経路R21,R22は、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)と同じく、断面が略V字型の溝として形成されており、それぞれ面K2,L2を第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)と連続するようになっているが、搬送方向に進むにつれて開口方向が互いに離間する方向に各々ねじられた形状となっている。
【0104】
そのため、面K2と面L2がなす角は、搬送方向上流側では約90°であるのに対して、経路R21,R22の下流側では鈍角となって約110〜140°まで大きく開くように設定している。これに付随して、突部S2の頂点部分の角度は、約90°の状態より、搬送方向下流側に行くに従って変化して、より角度の小さな鋭角になっていく。
【0105】
さらに、このような経路R21,R22は互いに徐々に近接して、経路R23として一個の断面略V字状の合流溝135になる。これを具体的に説明すると、上記突部S2は搬送方向下流側に行くに従って、経路R21側の面S21も、経路R22側の面S22も同様に小さくなっていき、やがて突部S2が存在することなく、面K2と面L2とが直接交わって、断面が略V字状の合流溝135(経路R23)を形成する。この際、上述したねじりが加えられていることから、開角が約110〜140°程度まで大きく開放されたものとなる。
【0106】
そして、経路R23を構成する合流溝135は、円弧状の断面を有する位置調整溝136として形成された経路R24に滑らかに繋がっている。そのため、この領域において、面K2と面L2とは、一個の曲面に滑らかに連続していることになる。
【0107】
さらに、経路R24を構成する位置調整溝136は、その終端において、経路R25を通じて再び下流側の第1搬送路31に対して滑らかに連続するようになっている。
【0108】
上記のようにして、経路R21〜R25は、第1搬送路31、第2搬送路33を合流させ、さらに下流側の第1搬送路31へと接続する合流部J2を構成している。
【0109】
こうした合流部J2を通過することで、ワーク9は次のように移動することになる。例えば、第2搬送路33へと移動すること無く第1搬送路31上を搬送されてきたワーク191aは、経路R21のねじりに沿って、ワーク191bのように、搬送方向より見て反時計回りにわずかに回転されつつ搬送される。そして、経路R23を構成する合流溝135に到達した際には、搬送方向より見て30°程度反時計回りに姿勢を変更されていることになる。
【0110】
合流溝135に到達したワーク191cは、側面間で形成されるエッジ部分が面K2と面L2のなす交点部分に引っかかった状態となって、当該部分に規制されつつ移動を行う。具体的には、ワーク191cは側面のひとつが面K2に当接するものの、上記エッジ部分が引っかかることで隣接する面L2側にはほとんど当接せず、専ら面K2側にのみ支持された状態で、次の経路24を構成する位置調整溝136へと搬送されていく。
【0111】
この位置調整溝136においては、面K2と面L2とが繋がって一個の滑らかな曲面となっているため、上記交点部分が存在せず、かかる交点部分によるエッジ部分の規制を解かれて、ワーク191cは安定した位置に自動的に調整されつつ移動することになる。この際、ワーク191cは、搬送方向より見てさらに反時計回りに回転しつつ、位置調整溝136の底部に位置するようになる。そして、このワーク191cは、経路R25を通じて、再び当初の傾きになるよう向きを規制されながら、下流側の第1搬送路31におけるワーク191dの位置にまで移動することになる。
【0112】
他方、第1搬送路31より第2搬送路33へと移動されてきたワーク192aは、経路R22のねじりに沿って、搬送方向より見て時計回りにわずかに回転されつつ搬送される。そして、経路R23に到達した際には、搬送方向より見て30°程度時計回りに姿勢を変更されていることになる。
【0113】
経路R23を構成する合流溝135に到達したワーク192aは、ワーク191bと同様、側面間で形成されるエッジ部分が面K2と面L2のなす交点部分に引っかかった状態となって規制され、専ら面L2側にのみ支持されつつ、次の経路24である位置調整溝136へと移動する。位置調整溝136においては、図中で示すワーク192bのように、搬送方向より見てさらに時計回りに回転しつつ、位置調整溝136の底部に位置するようになる。そして、このワーク192bは、経路R25を通じて、再び当初の所定の傾きになるよう向きを規制されながら、下流側の第1搬送路31におけるワーク192cの位置にまで移動することになる。
【0114】
このように、第1搬送路31より第2搬送路33を経由することなく移動してくるワーク191a(191b,191c.191d)も、第1搬送路31より第2搬送路33を経由して移動してくるワーク192a(192b、192c)も、一旦経路R24としての断面が円弧状の位置調整溝136を通過することになる。この際、経路R21〜R23から経路R24に至る過程で、僅かずつ搬送方向から見てねじりを与えられることで、双方のワークは約90°の相対回転を行うことになる。上述のように、第1搬送路31より第2搬送路33へと移行されるものは既に約90°の相対回転を行っているため、合計で約180°の相対回転を行うことになる。
【0115】
すなわち、本実施形態に係るワーク整列搬送装置101においては、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)をそれぞれ進行してきたワーク9は、合流部J2において相対角度がさらに90°変更されることになるため、第1搬送路31(R1)と第2搬送路33(R4)を通過するものの間で、合計180°の姿勢変換をさせることが可能となっている。
【0116】
また、いずれの経路を通過してきたワーク191a,192aであっても、位置調整溝136の底部で、同一の位置にまで移動してくるために、全てのワーク9を同じように所定の姿勢で下流側の第1搬送路31まで安定して搬送させることができるようになっている。
【0117】
以上のように、本実施形態に係るワーク整列搬送装置101は、搬送路3を形成された搬送台2に振動を付与することで、前記搬送台2上に載置したワーク9を前記搬送路3に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段6により前記ワーク9を搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置101であって、前記搬送路3が、断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路31と、当該第1搬送路31と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路31側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路32と、当該中間搬送路32と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路31の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路33とを備えているとともに、前記第1搬送路31および前記第2搬送路33をなす各溝が、搬送方向に沿って開口方向が相対的に離間する向きにねじりを生じながら徐々に近接しつつ合流する合流部134が形成されており、前記付勢手段6によって前記第1搬送路31より前記中間搬送路32に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワーク9を、前記中間搬送路32に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路33に移動させ、前記合流部134を経て前記第1搬送路31に復帰させるように構成したものである。
【0118】
このように構成しているため、一回の姿勢変更部を通過するのみで、大きく姿勢変更をすることができるようになっている。
【0119】
また、前記合流部134において、前記第1搬送路31と前記第2搬送路33をなす各溝がねじりを生じながら搬送方向に沿って合流することで、断面が略V字型で開角が鈍角である一個の合流溝135を形成するとともに、当該合流溝135と搬送方向に連続して断面が略円弧状の位置調整溝136が形成されており、さらに、当該位置調整溝136の終端が第1搬送路33に連続するように構成しているため、断面が矩形状のワーク9であれば90°のみならず、180°まで一度に姿勢変更するよう具体化した構成として実現することも可能となる。
【0120】
また、この実施形態においては、第1搬送路31および第2搬送路33をなす溝を、それぞれ開口方向が離間する方向にねじりを生じさせながら合流する構成としていたが、第1搬送路31と中間搬送路32が並列に存在する状態から、これらをなす溝を捻りながら直接的に合流させる構成とすることも可能である。この場合においても、ひねりを生じさせる過程において、上述した第1搬送路31と第2搬送路33との位置関係が部分的に生じるものであり、上述したものと同様の効果を得ることが可能である。
【0121】
さらには、上記第1実施形態における合流部J1を構成する部分と、第2実施形態における合流部J2を構成する部分とを、ユニット化しておき、本体部分に対して選択的に付け替えることが可能な構成にすることもでき、こうすることで一個の装置を用いて様々な種類や形状のワーク9に対応して、それぞれを適切に姿勢変換ができるようにすることも可能である。
【0122】
なお、各部の具体的な構成は、上述した第1および第2実施形態のみに限定されるものではない。
【0123】
例えば、上述した実施形態ではワーク姿勢検知手段62として透過型光電センサを用いていたが、これに代わって反射型光電センサを用いることもできる。こうすることでワーク9の各面を形状の相違だけで判別するだけではなく、表面粗度など反射率の相違によって各面を見分けることができる。また、これらの光電センサに代わって画像処理機器を用いることも可能である。
【0124】
また上述した実施形態では光電センサの投光部62aより発せられた光がエア噴出孔64を通過して受光部62bに達するように構成していたが、エア噴出孔64との位置関係を適正にすることができる限り、投光部62aからの光をエア噴出孔64とは別に設けた孔を通過させて受光部62bに到達させるように構成することでも本願発明の主要な効果を得ることが可能である。こうすれば、孔個数が増加するとともに孔位置の調整が必要となるために製作コストはやや増加することになるが、エアの漏れ量を減少させてランニングコストの低減を行うことが可能となる。
【0125】
さらに、上述の実施形態では断面が正方形で直方体状に構成されたワーク9の姿勢変更を行うことを前提としており、側面の4つの面の方向を変更するようにして姿勢変更していたが、さらに面の数が多い多角形状に形成されている場合には、その面の数に応じて姿勢変更部の設置数を増加させることによって、上記と同様に側面のうちの1つの面を基準とした姿勢変更を行わせることが可能である。
【0126】
また、上述の実施形態では第1搬送路31、中間搬送路32および第2搬送路33を断面が略V字型になるように構成したが、その趣旨は多角形状に構成されたワーク9の側面のうちの2面をV字型に配置された2つの壁面によって支持することにある。そのため、必ずしも断面がV字型になるように壁面が接続されているかは問わず、ハの字型に分割して構成されていても、さらには壁面の接続部が別の平面または曲面によって構成されていてもよい。
【0127】
また、上述の実施形態では、搬送台2に振動を生じさせる駆動源として電磁石75を用いていたが、振動周波数および加振力を制御することが可能なものであれば駆動源はこの形態に限らない。例えば、板バネ71、71の表面に圧電素子を貼り付け、その圧電素子に正弦波状の電圧を印加して周期的な伸びを生じさせることによって搬送台2に加振力を与えることも可能である。
【0128】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1…ワーク整列搬送装置
2…搬送台
3…搬送路
4…可動台
5…第2のカバー部材
6…付勢手段
7…ベース
9…ワーク
31…第1搬送路
32…中間搬送路
33…第2搬送路
34…合流部
62…ワーク姿勢検知手段(光電センサ)
64…エア噴出孔
71…ワーク姿勢判別部
72…エア供給部
P…境界部(R部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、
前記搬送路が、
断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、
当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、
当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、
前記第1搬送路と前記第2搬送路とが搬送方向で徐々に近接し合流する合流部が形成されており、
前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項2】
搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、
前記搬送路が、
断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、
当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、
当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、
前記第1搬送路および前記第2搬送路をなす各溝が、搬送方向に沿って開口方向が相対的に離間する向きにねじりを生じながら徐々に近接しつつ合流する合流部が形成されており、
前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項3】
前記合流部において、前記第1搬送路と前記第2搬送路をなす各溝がねじりを生じながら搬送方向に沿って合流することで、断面が略V字型で開角が鈍角である一個の合流溝を形成するとともに、当該合流溝と搬送方向に連続して断面が略円弧状の位置調整溝が形成されており、さらに、当該位置調整溝の終端が第1搬送路に連続するように構成したことを特徴とする請求項2に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送路と前記中間搬送路との境界部のうち少なくとも前記付勢手段の近傍をR形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワーク整列搬送装置。
【請求項5】
前記ワークが前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動する際に、
前記境界部に形成されたR形状に沿って移動しつつ回転するように前記付勢手段による付勢力を設定していることを特徴とする請求項4に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項6】
前記付勢手段が、
第1搬送路に設けられたエア噴出孔と、
当該エア噴出孔に対してエアを供給するエア供給部と、
前記ワークの姿勢を検知するワーク姿勢検知手段と、
当該ワーク姿勢検知手段からの信号に基づいて前記ワークの姿勢が所定のものであるか否かを判別するワーク姿勢判別部とを備えており、
当該ワーク姿勢判別部からの信号に基づいて前記エア供給部より前記エア噴出孔にエアを供給させて、前記エア噴出孔より噴出させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のワーク整列搬送装置。
【請求項7】
前記ワーク姿勢検知手段が投光部と受光部を備える光電センサであり、前記投光部より発せられる光が前記エア噴出孔を通過して前記受光部に達するような位置関係に前記投光部及び前記受光部を設けたことを特徴とする請求項6に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項8】
前記中間搬送路、前記第2搬送路、前記合流部、前記付勢手段および前記ワーク姿勢検知手段を搬送方向に沿って複数箇所に設けたことを特徴とする請求項6または7に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項1】
搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、
前記搬送路が、
断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、
当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、
当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、
前記第1搬送路と前記第2搬送路とが搬送方向で徐々に近接し合流する合流部が形成されており、
前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項2】
搬送路を形成された搬送台に振動を付与することで、前記搬送台上に載置したワークを前記搬送路に沿って移動させつつ、エアを用いた付勢手段により前記ワークを搬送方向と平行な軸回りに回転させて所定の姿勢にするワーク整列搬送装置であって、
前記搬送路が、
断面が略V字型の溝として形成された第1搬送路と、
当該第1搬送路と隣接位置において並行し断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の始端の開口方向が前記第1搬送路側に傾斜し、終端の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された中間搬送路と、
当該中間搬送路と搬送方向に連続する断面が略V字型の溝として形成されたもので、かつ、当該溝の開口方向が前記第1搬送路の開口方向と略同一になるように構成された第2搬送路とを備えているとともに、
前記第1搬送路および前記第2搬送路をなす各溝が、搬送方向に沿って開口方向が相対的に離間する向きにねじりを生じながら徐々に近接しつつ合流する合流部が形成されており、
前記付勢手段によって前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動させつつ搬送方向と平行な軸回りに回転させたワークを、前記中間搬送路に沿ってさらに回転させつつ前記第2搬送路に移動させ、前記合流部を経て前記第1搬送路に復帰させるように構成したことを特徴とするワーク整列搬送装置。
【請求項3】
前記合流部において、前記第1搬送路と前記第2搬送路をなす各溝がねじりを生じながら搬送方向に沿って合流することで、断面が略V字型で開角が鈍角である一個の合流溝を形成するとともに、当該合流溝と搬送方向に連続して断面が略円弧状の位置調整溝が形成されており、さらに、当該位置調整溝の終端が第1搬送路に連続するように構成したことを特徴とする請求項2に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項4】
前記第1搬送路と前記中間搬送路との境界部のうち少なくとも前記付勢手段の近傍をR形状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワーク整列搬送装置。
【請求項5】
前記ワークが前記第1搬送路より前記中間搬送路に移動する際に、
前記境界部に形成されたR形状に沿って移動しつつ回転するように前記付勢手段による付勢力を設定していることを特徴とする請求項4に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項6】
前記付勢手段が、
第1搬送路に設けられたエア噴出孔と、
当該エア噴出孔に対してエアを供給するエア供給部と、
前記ワークの姿勢を検知するワーク姿勢検知手段と、
当該ワーク姿勢検知手段からの信号に基づいて前記ワークの姿勢が所定のものであるか否かを判別するワーク姿勢判別部とを備えており、
当該ワーク姿勢判別部からの信号に基づいて前記エア供給部より前記エア噴出孔にエアを供給させて、前記エア噴出孔より噴出させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のワーク整列搬送装置。
【請求項7】
前記ワーク姿勢検知手段が投光部と受光部を備える光電センサであり、前記投光部より発せられる光が前記エア噴出孔を通過して前記受光部に達するような位置関係に前記投光部及び前記受光部を設けたことを特徴とする請求項6に記載のワーク整列搬送装置。
【請求項8】
前記中間搬送路、前記第2搬送路、前記合流部、前記付勢手段および前記ワーク姿勢検知手段を搬送方向に沿って複数箇所に設けたことを特徴とする請求項6または7に記載のワーク整列搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−67513(P2013−67513A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138964(P2012−138964)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
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