説明

ワーク整列装置

【課題】多量のワークを装入した場合であっても、ワークを整列させ得るのに有利なワーク整列装置を提供する。
【解決手段】本装置は、ワーク集団Wを収容すると共にホッパー室14を形成する内周壁面iをもつ壁部11,12を有する基体1と、ホッパー室14の中心線Pの回りで回転可能に配置されワーク受け面20を有する回転リング2と、下死点で回転リング2の下方に配置され矢印Y1方向への上昇に伴いワーク集団Wを持ち上げてワーク集団Wの外周側のワークW1を回転リング2の受け面20に載せる昇降部材3とをもつ。ゲート部6は、回転リング2のワーク受け面20に載せられたワークW1のうち、正姿勢のワークW1を通過させ、正姿勢でないワークW1を回転リング2のワーク受け面20から落下させて排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク整列装置として、円筒形状の収容空間を形成する壁部をもつ基体と、基体の収容空間の底部に回転可能に配置された回転ボウルと、壁部に設けられた上昇傾斜面をもつ上昇傾斜部と、壁部の内周壁面にこれの周方向に沿って形成された整列トラックとを有するものが知られている(特許文献1)。このものによれば、多数のワークからなるワーク集団を回転ボウルの上面に載せた状態で、回転ボウルをこれの中心線の回りで回転させ、回転ボウルに載せられているワークを整列させた状態で順に上昇傾斜面に沿って上昇させ、整列トラックに移動させることにしている。
【0003】
更に、部品搬送装置として、基体と、基体内に回転可能に配置され収容室を形成する回転容器と、回転容器を回転させる第1モータと、回転容器の収容室に回転可能に配置された回転板と、回転板を回転させる第2モータと、基体に架設されたワイヤとを有するものが知られている(特許文献2)。このものでは、多数の部品からなる部品集団を回転板の上面に載せた状態で、回転板を回転させる。遠心力で部品は回転板の外周側つまり回転容器の内周壁に寄せられる。寄せられた部品は、回転容器の内周壁に沿って上昇する。正姿勢でない部品はワイヤによりはねられる。正姿勢の部品はワイヤによりはねられないので、整列される。
【0004】
また部品整列供給装置として、円柱状の部品を受ける溝が形成されたドラムを平面回転可能とし、そのドラムの外側にフェンスを垂直に設け、フェンスとドラムとの間に円柱状部品誘導用の羽根を複数配設し、振動付加装置による整列供給のような騒音や締結部等の緩みを発生させずに、円柱状部品を外部に整列供給するものが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−201011号公報
【特許文献2】実開平7−24820号公報
【特許文献3】特開平8−26461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した技術によれば、部品を整列させ得るものの、回転ボウル、回転板、ドラムは、装入した部品(ワーク)の全体を載せて回転させる構造であるため、回転ボウル、回転板、ドラムを回転させる回転駆動源を大型化させなければならない。さらには、大量の部品(ワーク)が供給された場合には、重量負荷が増大し、回転ボウル、回転板、ドラムの回転が制約され、部品が外周側に移動できなくなり、整列されなくなる不具合がある。このため、部品を少量づつ回転ボウル、回転板、ドラムに装入させねばならない不具合がある。
【0007】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、多量のワークをホッパー室に装入した場合であっても、回転駆動源を過剰に大型化させることなく、ワークを整列させ得るワーク整列装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るワーク整列装置は、(i)多数のワークからなるワーク集団を収容すると共に縦方向に延びる中心線をもつホッパー室を形成する円筒形状の内周壁面をもつ壁部を有する基体と、(ii)基体の壁部の内周壁面の上端よりも下方に位置しつつ壁部の内周壁面の内周側に位置するようにホッパー室の中心線の回りで回転可能に配置され且つ上方に露出するワーク受け面を有する回転リングと、(iii)回転リングを中心線回りで回転させる回転駆動源と、(iv)基体のホッパー室の底部を形成すると共に中心線に沿って昇降可能に配置され、下死点で回転リングの下方に配置され、上昇に伴いワーク集団を持ち上げてワーク集団の外周側のワークを回転リングのワーク受け面に載せる昇降部材と、(v)昇降部材を昇降させる昇降駆動源と、(vi)回転リングのワーク受け面に載せられたワークのうち、正姿勢のワークを通過させ、正姿勢でないワークを回転リングのワーク受け面から落下させて排除するゲート部とを具備する。
【0009】
まず、昇降駆動源により昇降部材を下方に配置してホッパー室の収容容積を増加させる。このようにホッパー室の収容容積を増加させた状態で、多数のワークからなるワーク集団をホッパー室に装入して収容する。この状態では、多数のワークからなるワーク集団は昇降部材に載せられている。ワーク集団を構成する多数のワークは、ホッパー室においてアトランダムに多方向に指向している。次に、昇降駆動源により昇降部材をホッパー室内において上昇させ、ワーク集団をホッパー室内において昇降部材で持ち上げる。持ち上げられたワーク集団のうち外周側のワークが回転リングのワーク受け面に載せられる。
【0010】
ここで、回転リングのワーク受け面は、基体の壁部の内周壁面の上端よりも下方に位置する。すなわち、回転リングのワーク受け面よりも、基体の壁部の内周壁面の上端は上方に位置している。このため、昇降部材によりワーク集団が持ち上げられたとしても、ワークは、壁部の内周壁面によりホッパー室の外方へ排出されない。その後、昇降部材がホッパー室内で下降する。このとき、回転リングのワーク受け面に載らなかったワークは、昇降部材と共にホッパー室において下降する。そして、ワーク受け面にワークを載せた回転リンクが回転駆動源によりホッパー室の中心線回りで正方向に回転する。すると、回転リングのワーク受け面に載せられたワークは、ゲート部に移送される。そして、回転リングのワーク受け面に載せられた正姿勢のワークは、ゲート部を通過し目標位置に移送される。正姿勢でないワークは、ゲート部を通過できず、ゲート部で排除されて回転リングのワーク受け面からホッパー室に落下する。これによりワークが整列される。
【0011】
上記したように昇降部材の上昇、回転リングのワーク受け面へのワークの載せ、昇降部材の下降、回転リングの回転によるワークのゲート部への移送、ゲート部によりワークの姿勢の選別による整列が繰り返される。これによりホッパー室に収容されているワークは、回転リングのワーク受け面に載せられ、更にゲート部により選別されて整列される。
【発明の効果】
【0012】
本発明装置によれば、多数のワークからなるワーク集団をホッパー室に装入して収容すれば、ホッパー室に収容されているワークは、昇降駆動源の駆動により昇降部材が上昇すると、回転リングのワーク受け面に載せられ、更にゲート部により正姿勢のワークのみが選別されて自動的に整列される。
【0013】
本発明装置によれば、昇降部材を下方に配置してホッパー室の収容容積を増加させた状態で、多数のワークからなるワーク集団をホッパー室に装入して収容することができる。このためホッパー室に一度に収容できるワークの数を増加でき、ワークをホッパー室に装入する装入回数を低減できる。
【0014】
更に本発明装置によれば、多量のワークをからなるワーク集団をホッパー室に一度に装入した場合であっても、全部のワークが回転リングには載るのではなく、ワーク集団のうち一部のワークのみが載るだけである。このため、全部のワークを回転リングに載せて回転させる必要が無く、回転リングに載せられているワークのみを回転させれば良く、回転リングを回転させる回転駆動源の小型化を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1に係り、昇降部材が下死点に存在するときにおける装置全体をホッパー室の中心線に沿って切断した断面図である。
【図2】昇降部材が下死点から上昇したときにおける装置全体をホッパー室の中心線に沿って切断した断面図である。
【図3】回転リングのワーク受け面にワークが載せられている状態を示す断面図である。
【図4】回転リングに嵌合されているタイミングベルトとギヤとが噛み合っている状態を示す斜視図である。
【図5】回転リングのワーク受け面の第1傾斜面に載せられているワークがゲート部を通過して通路に案内されていく過程を示す平面図である。
【図6】回転リングのワーク受け面の第1ワークに載せられているワークがゲート部を通過して通路に案内されていく過程を示す図である。
【図7】実施形態3に係り、回転リングのワーク受け面の第1傾斜面に正姿勢のワークが載せられている状態を示す図である。
【図8】実施形態3に係り、回転リングのワーク受け面の第1傾斜面に、正姿勢でないワークが載せられている状態を示す図である。
【図9】実施形態4に係り、回転リングのワーク受け面の第1傾斜面に、正姿勢のワークが載せられている状態を示す図である。
【図10】実施形態5に係り、回転リングのワーク受け面の第1傾斜面に、正姿勢のワークが載せられている状態を示す図である。
【図11】実施形態6に係り、昇降面をもつ昇降部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましくは、ホッパー室の中心線に沿って切断する断面において、回転リングのワーク受け面は、壁部の内周壁面に近づくにつれて下降傾斜する第1傾斜面を有する。この場合、第1傾斜面の傾斜によりワークを壁部の内周壁面側に移動させることができ、ひいてはワークの姿勢を壁部の内周壁面と回転リングの第1傾斜面とで規制させ易い。従って、回転リングが回転するときにおいても、回転リングのワーク受け面に載せられているワークを回転リンクから落下させずに、ゲート部まで移送し易い。好ましくは、回転リングのワーク受け面は、ホッパー室の中心線に沿った断面において頂部を有する山形形状をなしており、壁部の内周壁面に対してホッパー室の径方向において頂部からホッパー室の径方向において近づくにつれて下降傾斜する第1傾斜面と、壁部の内周壁面に対して頂部から遠ざかるにつれて下降傾斜する第2傾斜面とを有する。この場合、第1傾斜面の傾斜によりワークを壁部の内周壁面側に移動させることができ、ひいてはワークの姿勢を壁部の内周壁面と回転リングの第1傾斜面とで規制させ易い。回転リングが回転するときにおいても、回転リングのワーク受け面に載せられているワークを回転リンクから落下させずに、ゲート部まで移送し易い。更に、第2傾斜面は第1傾斜面と逆方向に傾斜しているため、回転リングのワーク受け面からワークがホッパー室に落下するとき、その落下を緩やかにでき、ワークの落下による衝撃を緩和でき、ワークの損傷を抑制できる。
【0017】
好ましくは、回転リングの外周面に当接可能な複数の回転体が回転リングの周方向において分散して設けられ、且つ、回転体は、ホッパー室の中心線に沿って切断する断面において、ホッパー室の径方向において基体の壁部と回転リングとの間において設けられている。回転体により回転リングが回転するとき、回転リングの回転同軸性が確保され易い。この場合、正姿勢のワークが回転リングのワーク受け面から落下することが抑制される。好ましくは、壁部は、円筒形状の第1内周壁面をもつ第1壁部と、第1壁部よりも上側に第1壁部よりも拡径するように同軸的に形成された円筒形状の第2内周壁面をもつ第2壁部とを有しており、回転リングは、第1壁部の第1内周壁面の外周側に位置しつつ、第2壁部の第2内周壁面の内周側に位置するように配置されている。この場合、昇降部材がワーク集団を回転リングの高さ位置よりも上方に持ち上げれば、持ち上げられたワーク集団の外周側に存在するワークを外周側に寄せ、回転リングのワーク受け面に載せ易い。好ましくは、ホッパー室の中心線に沿って切断する断面において、昇降部材の上面は、径外方向に向かうにつれて連続的にまたは階段状に下降している。ホッパー室のワークの数が少なくなったときであっても、そのワークを昇降部材の上面に沿ってこれの径外方向に転動等で移動させて回転リングのワーク受け面に載せることができる。この場合、ホッパー室のワークを空にさせるのに有利である。
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図1〜図6を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係るワーク整列装置において、基体1は、ホッパー室14の底壁10と、底壁10から上方に向けて鉛直方向に沿って延設された縦形の円筒形状の第1壁部11と、第1壁部11に対して同軸的となるように鉛直方向に沿って延設された縦形の円筒形状の第2壁部12と、第1壁部11の上端に固定され第1壁部11の上部側と第2壁部12の下端部とを繋ぐ固定リング13とを有する。第2壁部12の内径D2は、第1壁部11の内径D1に対して同軸的であり、内径D1よりも大きくされている。これにより後述するように回転リング2が昇降部材3と衝突しないように回転リング2をホッパー室14に配置させることができる。
【0019】
図1に示すように、第1壁部11の円筒形状の第1内周壁面11iおよび第2壁部12の円筒形状の第2内周壁面12iは、多数のワークW1からなるワーク集団Wを収容する円筒形状をなすホッパー室14を形成する。ホッパー室14は、縦方向(鉛直線)に沿って延びる中心線Pをもつ。ホッパー室14は、第1壁部11の第1内周壁面11iで形成される下側の第1ホッパー室14fと、第1ホッパー室14fの上方に位置するように第2壁部12の第2内周壁面12iで形成される上側の第2ホッパー室14sとを有する。従って、第2壁部12で形成される第2ホッパー室14sの内径D2は、第1壁部11で形成される第1ホッパー室14fの内径D1よりも大きくされている。
【0020】
図1に示すように、回転リング2は、第2壁部12の第2内周壁面12iの下部の内周側に位置するように、且つ、第1壁部11の第1外周壁面12pの外周側に位置するように、配置されている。回転リング2は、基体1の第2壁部12の第2内周壁面12iの上端12uよりも下方に位置している。回転リング2は、第1ホッパー室14fの径方向(D1方向)において第2壁部12の第2内周壁面12iと第1壁部11の第1外周壁面12pとの間に介在している。すなわち、図2に示すように、回転リング2の内周側はリング状の微小隙間2xを介して第1壁部11の第1外周壁面11pで覆われている。このため後述する昇降部材3が矢印Y1方向に上昇するとき、昇降部材3が回転リング2に干渉や衝突したりすることが抑制されている。なお、回転リング2は、ホッパー室14の中心線Pの回りで回転可能とされている。
【0021】
図1はホッパー室14の中心線Pに沿った断面を示す。図1に示すように、回転リング2は、上方に露出するワーク受け面20を有する。回転リング2のワーク受け面20は、その断面で、上向きの頂部23を有する山形形状をなしている。図1に示すように、ワーク受け面20は、ホッパー室14の径方向において頂部23から第2壁部12の第2内周壁面12iに近づくにつれて仮想水平線HAに対して角度θ1で下降傾斜する直状の第1傾斜面21と、ホッパー室14の径方向において第2壁部12の第2内周壁面12iに対して頂部23から遠ざかるように形成され仮想水平線HAに対して角度θ2(角度θ1=θ2)で下降傾斜する直状の第2傾斜面22とを有する。回転リング2において、第1外周面21は外周側に1周するようにリング状に形成されており、第2外周面22は内周側に1周するようにリング状に形成されている。更に、図3に示すように、回転リング2の外周部には、径内方向に凹む凹部29aおよび凹部29cが中心線Pの回りをそれぞれ1周するようにリング状に形成されている。回転リング2の凹部29aの外周面には、外歯状の歯部24aをもつエンドレス状のタイミングベルト24が嵌着されて取り付けられている。
【0022】
更に図1に示すように、回転リング2を中心線Pの回りで回転させる回転駆動源として機能する回転モータ25が基体1に設けられている。回転モータ25の縦向きのモータ軸26は駆動ギヤ27をもつ。駆動ギヤ27の外歯状の歯部27a、タイミングベルト24の外歯状の歯部24aに噛み合う。ここで、回転モータ25が正方向に回転駆動すると、モータ軸26の軸線P3の回りで駆動ギヤ27が回転し、タイミングベルト24がホッパー室14の中心線P回りで回転し、回転リング2が第2ホッパー室14sの中心線P回りで正方向(モータとは逆回転方向)に回転する。なお、モータ25および回転リング2は逆回転も可能である。ここで、外径が大きな回転リング2の外周面に外歯を切削加工等で形成すると、コスト高となるが、タイミングベルト24を回転リング2の外周面に嵌着させれば、コスト低減を図り得る。歯部24aが損傷しても、タイミングベルト24を交換すれば良い。更に、タイミングベルト24は芯帯を埋設した高分子材料で形成されているため、噛合音の低減にも有利である。但し、場合によっては、回転リング2の外周部に切削加工や転造加工等で外歯を形成することにしても良い。
【0023】
図3および図4に示すように、回転リング2の外周面に当接可能なローラ外周面28aをもつ複数の回転体28が、回転リング2の外周部の周方向において間隔を隔てて分散して空転可能に設けられている。回転体28は、固定リング13に軸部13c(図3参照)により回転可能に固定リング13に支持されている。ホッパー室14の中心線Pに沿って切断する断面(図3)において、ホッパー室14の径方向(D1方向)において、回転体28は、基体1の直円筒形状をなす第2壁部12の第2内周壁面12iと回転リング2の外周部との間において設けられている。回転リング2が中心線P回りで回転するとき、回転リング2の外周部との摩擦で複数の回転体28がこれの軸線P6まわりで空転し、軸受け機能を果たす。この場合、回転リング2の円滑回転性が確保され、更に、回転リング2の回転同軸性が確保され、回転リング2の回転が円滑となる。
【0024】
ここで、図3に示すように、回転体28は回転リング2の外周部の凹部29cに位置し、タイミングベルト24は回転リング2の外周部の凹部29aに位置する。このため、回転体28およびタイミングベルト24を径方向D1においてできるだけホッパー室14の中心線Pに近づけることができ、装置の第2壁部12の径サイズの小型化に貢献できる。換言すると、図3に示すように、第1壁部11の第1外周壁面11pと第2壁部12の第2内周壁面12iとの間に位置する回転リング2の下側のスペース2mを有効利用し、上記したようにタイミングベルト24が回転体28の上側で回転リング2の底側に設けられている。このように回転リング2の外周部には、これの内周側に凹む凹部29a,29cが中心線Pの回りでリング状に形成されているため、第2壁部12の高さ方向(H方向)において、第2壁部12の全高にわたりその内径を同径にでき、第2壁部12の外径サイズの小型化に有利である。なお、上記したように回転リング2の回転が回転体28により円滑になると、正姿勢のワークW1が回転リング2のワーク受け面20に載せられているとき、正姿勢のワークW1が受け面20から第1ホッパー室14fに不用意に落下することが抑制される。
【0025】
図1に示すように、昇降部材3は、基体1の第1ホッパー室14fの底部を形成しており、中心線Pに沿って昇降可能に配置されている。図1は昇降部材3が下死点MAに位置するときを示す。図1に示すように、下死点に位置する昇降部材3は、回転リング2の下方に位置するように第1ホッパー室14fの底壁10に接近されている。第1ホッパー室14fの昇降部材3が矢印Y1方向に沿って上昇するに伴い、昇降部材3の上面である昇降面30に載せられているワーク集団Wは、第2ホッパー室14sに持ち上げられる。具体的には、昇降部材3に載せられているワーク集団Wは、回転リング2のワーク受け面20よりもやや上方に持ち上げられる。このとき、下側の第1ホッパー室14fの内径 D1よりも、上側の第2ホッパー室14sの内径D2は大きくされている。この結果、昇降部材3の昇降面30の上昇によって第2ホッパー室14sに持ち上げられるワーク集団Wのうちこれの外周側に存在するワークW1を、径外方向(図2に示す矢印DP方向)に溢れさせることができる。このように径外方向に溢れたワークW1を、第2ホッパー室14sの第2壁部12側に移動させ、回転リング2の受け面20の第1傾斜面21に載せることができる。第1傾斜面21は下降傾斜しているため、第1傾斜面21上のワークを第2壁部12の第2内周壁面12iと第1傾斜面21とで正姿勢に維持できる。図3において、W4は正姿勢のワークW1を示す。この場合ワークの重心Gは、頂部23よりもホッパー室14の径方向において外側に存在する。図3から理解できるように、重心Gが頂部23よりもホッパー室14の径方向において内側に存在するときには、そのワークW1は第2傾斜面22に沿って落下する。
【0026】
図1に示すように、昇降部材3を矢印Y1,Y2方向に昇降させる昇降駆動源として機能する昇降アクチュエータである昇降シリンダ4が基体1の下部に固定されている。すなわち、昇降シリンダ4は第1壁部11および第2壁部12の下方に配置されている。昇降シリンダ4は、油圧または空気圧等の流体圧で駆動するシリンダ本体40と、シリンダ本体40から伸縮可能に設けられ昇降部材3に連結されたロッド41とを有する。昇降シリンダ4が一方向に駆動すると、ロッド41が上方(矢印Y1方向)に伸張して昇降部材3を上昇させる。昇降シリンダ4が他方向に駆動すると、ロッド41が収縮し昇降部材3を矢印Y2方向に下降させる。なお、図2に示すように、昇降部材3の外径D5は回転リング2の内径D3よりも小さくされているため、昇降部材3が上昇するときであっても、昇降部材3と回転リング2との干渉が抑えられている。
【0027】
図5および図6に示すように、正姿勢のワークW1を選別するためのゲート部6は、第2ホッパー室14sに対面するように、基体1の第2壁部12の第2内周壁面12i側に設けられている。ゲート部6は、ワーク受け面20の第1傾斜面21上の正姿勢のワークW1のみを選別して通過させるゲート開口60と、正姿勢のワークW1以外のワークを選別してはじくための障害部61,62とをもつ。ゲート開口60は、回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に対面する。障害部61は、高さ方向に正姿勢でないワークをはじいて除去する。障害部62は、第2傾斜面22に対向しており、第2傾斜面22上のワークW1をはじいて落下させる。ゲート開口60は整列通路63に繋がる。従って、ゲート部6は、回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に載せられたワークW1のうち、正姿勢のワークW1のみを選別して矢印M1方向に通過させて管状の整列通路63に案内させる。次々と正姿勢のワークW1が整列通路63に供給されてくるため、正姿勢のワークW1は整列通路63をこれの下流に向けて矢印M1方向に順次移動する。整列通路63は、正姿勢のワークW1を通過させ得るようなパイプ63sで形成されている。整列通路63の入口63iには、入口63iに存在するワークW1検知するセンサ65が設けられている。整列通路63が詰まっていると、センサ65がこれを検知し、制御装置200に出力する。そして、正姿勢でないワークW1は、整列通路63に案内されることなく、ゲート部6の障害部61,62の排除機能によってはじかれ、回転リング2のワーク受け面20の第2傾斜面62から第1ホッパー室14fに落下されて排除される。なお、整列通路63としてはパイプ63sで形成されているが、断面で上面が開放された溝形状の通路としても良い。ゲート部6には、逆方向から入口63iへのワークW1の進入を抑えるストッパ64が形成されている。
【0028】
図1に示すように、基体1の第2壁部12の上部には、第2ホッパー室14sからのワークW1の脱落を抑えるためのワークセンサ7が設けられている。ワークセンサ7は、光等の電磁波7cを貫通孔12xを介して発信させる発信部71と、発信部71から発信された電磁波7cを貫通孔12yを介して受信する受信部72とを有する。昇降部材3の上昇に持ち上げられたワークW1により光や電波等の電磁波7cが遮断されると、その信号は制御装置200に入力され、制御装置200は昇降シリンダ4の駆動量を制限する。このため昇降部材3の過剰上昇が防止され、昇降部材3の過剰上昇に起因して、ワークW1が第2壁部12の上端12uから過剰に持ち上げられることが抑制され、ひいてはホッパー室14の外方に脱落することが抑制される。
【0029】
すなわち、第1ホッパー室14fに収容されているワークW1の数が増加しているとき、第1ホッパー室14f内のワーク集団Wの高さが高くなる。昇降シリンダ4が上昇作動してワーク集団Wが電磁波7cに触れると、制御装置200は、昇降シリンダ4の上昇を停止させるため、昇降シリンダ4の高さ方向の駆動量が制限される。このように昇降部材3の矢印Y1方向への上昇量が減少するため、ワークW1が第2壁部12の上端12uから第2ホッパー室14sの外方に脱落することが抑制される。これに対して、第1ホッパー室14fに収容されているワークW1の数が減少してワーク集団Wの高さが低くなったとしても、ワークW1が電磁波7cに当たるまで制御装置200は昇降シリンダ4を上昇作動させるため、昇降シリンダ4の駆動量が増加し、昇降部材3の上昇量が増加するため、ワークW1の数が減少した場合であっても、ワークW1を回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に載せることができる。このように昇降部材3に載せられているワークW1の数に応じて、昇降部材3の上死点の高さは変更され、昇降部材3に載せられているワークW1の数が減少すると、昇降部材3の上死点の高さは高くなる。
【0030】
次に本装置の使用方法の代表例について説明する。まず、昇降シリンダ4のロッド41を収縮させることにより昇降部材3を下始点に配置して初期位置とし、第1ホッパー室14fの高さおよび収容容積を増加させる。このように第1ホッパー室14fの高さおよび収容容積を増加させた状態で、手作業または自動機器で、多数のワークW1からなるワーク集団Wを第1ホッパー室14fに装入して収容させる。この状態では、所定の形状(例えば円筒形状)をなす多数のワークW1からなるワーク集団Wは、第1ホッパー室14fのみに位置し、第1ホッパー室14f内の昇降部材3の昇降面30に載せられる。初期位置では、第2ホッパー室14sにワークW1が収容されていない方が好ましい。その理由としては、昇降シリンダ4が上昇すると、ワークW1が基体1の外方に溢れるためである。ここで、第1ホッパー室14fにおいては、ワーク集団Wを構成する多数のワークW1は、アトランダムに多方向に指向している。
【0031】
次に、整列通路63にワークが存在しないことをセンサ65が検知することを条件として、制御装置200は、昇降シリンダ4を駆動させて昇降部材3を第1ホッパー室14f内において矢印Y1方向に上昇させ、ワーク集団Wを第1ホッパー室14f内において昇降部材3の昇降面30で第2ホッパー室14s側に持ち上げる。持ち上げられたワーク集団Wのうち上端のワークW1が電磁波7cに触れると、制御装置200は昇降シリンダ4の上昇を停止させ、速やかに下死点に向けて下降させる。
【0032】
ここで、ワーク集団Wは第1ホッパー室14f内において昇降部材3の昇降面30で第2ホッパー室14s側に持ち上げられるとき、昇降面30に載せられている外周側のワークW1は、径外方(図2に示すDP方向)に溢れて移動し、外周側に配置されている回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に載せられる。ここで、第2壁部12の内径D2は第1壁部11の内径D1よりも大きくされており、第2壁部12の第2内周壁面12i側に回転リング2が配置されている。このため、第1壁部11の第1内周壁面11iに沿って矢印Y1方向に持ち上げられたワークW1は、回転リング2のワーク受け面20に載せられ易い。この場合、ワークW1は、基本的には、回転リング2のワーク受け面20にアトランダムに載せられる。ここで、図1および図2に示すように、回転リング2のワーク受け面20は、基体1の第2壁部12の第2内周壁面12iの上端12uよりも下方に位置する。すなわち、回転リング2のワーク受け面20よりも、基体1の第2壁部12の第2内周壁面12iの上端12uは上方に位置している。このため、昇降部材3の昇降面30によりワーク集団Wが矢印Y1方向に持ち上げられたとしても、ワークW1は、第2壁部12の第2内周壁面12iによりホッパー室14の外方へ排出されない。昇降シリンダ4が前述したように下死点に向けて下降作動すると、昇降部材3がワーク集団Wと共にホッパー室14内で矢印Y2方向に下降する。このとき、回転リング2のワーク受け面20に載らなかったワークW1は、昇降部材3の昇降面30に載せられた状態で、下降して第1ホッパー室14fに戻る。
【0033】
昇降シリンダ4が矢印Y1方向への下降を開始すると、制御装置200は、ワーク受け面20にアトランダムにワークW1を載せた回転リング2を回転モータ25により第2ホッパー室14sの中心線Pの回りで逆方向に所定角度θ10(例えば20〜100°)ぶん逆回転させる。これによりゲート部6のゲート開口60および障害部61,62に絡んでいるワークW1を落下させる。その後、制御装置200は、回転リング2を回転モータ25により第2ホッパー室14sの中心線Pの回りで正方向に所定角度θ20(例えば200〜360°,θ20>θ10)ぶん所定速度で回転する。このように回転リング2が回転するとき、回転リング2のワーク受け面20に載らなかったワークW1は、昇降面30と共に、既に第1ホッパー室14fに位置しており、回転リング2の内周側には存在していない。このため、ワーク受け面20に載らなかったワークW1が回転リング2の回転に過剰に干渉したり接触したりすることが回避され、回転リング2の円滑な回転が確保される。回転リング2のワーク受け面20に載せられたワークW1は、ゲート部6にまで移送される。そして、回転リング2のワーク受け面20に載せられた正姿勢のワークW1は、ゲート部6のゲート開口60を通過し整列通路63に移送される。これに対して、回転リング2のワーク受け面20に載せられたワークW1のうち、正姿勢でないワークW1は、ゲート部6の障害部61,62で弾かれ、ゲート部6のゲート開口60を通過できず、つまり、整列通路63に供給されず、ゲート部6で排除されて回転リング2のワーク受け面20から第1ホッパー室14fに落下する。このようにして正姿勢のワークW1のみが整列されて整列通路63に供給される。
【0034】
また、センサ65がオンからオフになると、整列通路63にワークが存在しないことになるため、その信号が入力された制御装置200は、昇降シリンダ4を再び駆動させて昇降部材3を第1ホッパー室14f内において矢印Y1方向に上昇させ、ワーク集団Wを第1ホッパー室14f内において昇降部材3の昇降面30で第2ホッパー室14s側に持ち上げる。持ち上げられたワーク集団Wのうち上端のワークW1が電磁波7cに触れると、制御装置200は昇降シリンダ4の上昇を停止させ、再び速やかに下死点に向けて下降させる。
【0035】
上記したように回転リング2を正方向に回転させているとき、回転モータ25のトルクが過剰になるおそれがある。この場合、ワークW1がゲート部6に絡んでいるおそれがある。このため、回転モータ25を逆回転させて回転リング2を所定角度θ3(例えば20〜100°)逆回転させる。これによりゲート部6のゲート開口60および障害部61,62に絡んでいるワークW1を第1ホッパー室14fに落下させ易くなる。その後、制御装置200は、回転リング2を回転モータ25により第2ホッパー室14sの中心線Pの回りで正方向に残りの角度、所定速度で回転する。なお、回転モータ25のトルクが過剰になると、再び、回転モータ25の逆回転、その後の正回転を実施する。
【0036】
上記したように本実施形態によれば、昇降部材3の上昇、回転リング2のワーク受け面20へのワークW1の載せ、昇降部材3の下降、回転リング2の回転によるワークW1のゲート部6への移送、ゲート部6によりワークW1の姿勢の選別による整列が繰り返される。これによりホッパー室14に収容されているワークW1は、回転リング2のワーク受け面20に載せられ、更にゲート部6により選別されて順に整列される。
【0037】
以上説明したように本実施形態によれば、多数のワークW1からなるワーク集団Wをホッパー室14の第1ホッパー室14fに装入して収容すれば、ホッパー室14の第1ホッパー室14fに収容されているワークW1は、昇降部材3の上昇により、第2ホッパー室14sに至ると、径外方向(DP方向)に移動し、ひいては回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に載せられ、更に、ゲート部6により選別されて自動的に整列状態のまま整列通路63に供給される。本実施形態によれば、昇降部材3を下方(矢印Y2方向)に配置してホッパー室14の高さおよび収容容積を増加させた状態で、多数のワークW1からなるワーク集団Wをホッパー室14に装入して収容する。このためホッパー室14に一度に収容できるワークW1の数を増加でき、ワークW1をホッパー室14に装入する装入回数を低減できる。加えて本実施形態によれば、多量のワークW1をホッパー室14の第1ホッパー室14fに一度に装入した場合であっても、第1ホッパー14f内の全部のワークW1を回転リング2で回転させる必要が無く、すなわち、回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に載せられているワークW1のみを回転させれば良い。このため、全部のワークを回転させる方式を採用している従来技術に比較して、回転リング2に負荷される重量がかなり軽減され、回転リング2を回転させるための回転駆動源である回転モータ25の小型化および駆動コストの低減を図り得る。
【0038】
本実施形態によれば、ホッパー室14の中心線Pに沿った断面(図1)において、回転リング2のワーク受け面20は、頂部23を有する山形形状をなしており、第2壁部12の第2内周壁面12iに対して頂部23から近づくにつれて下降傾斜する第1傾斜面21と、第2壁部12の第2内周壁面iに対して頂部23から遠ざかるにつれて下降傾斜する第2傾斜面22とを有する。この場合、回転リング2に載せられたワークW1は、第1傾斜面21の傾斜に起因する重力により、第1傾斜面21の径外方向(DP方向)に自動的に滑り、第2壁部12の第2内周壁面12i側に自動的に寄せられる。回転リング2が回転するため、第2壁部12の第2内周壁面12iからワークW1に摩擦力が作用し、摩擦力がワークW1の姿勢を正姿勢に変化させる作用を果たすことも期待できる。
【0039】
このため第2壁部12の第2内周壁面12iと回転リング2の第1傾斜面21とでワークW1の姿勢を正姿勢に規制させ易い利点が得られる。このため、回転リング2が回転するときにおいて、回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に載せられている正姿勢のワークW1を回転リング2からホッパー室14の下部に落下させずに、ゲート部6まで移送し易い。更に、第2傾斜面22は第1傾斜面21と逆方向に傾斜しているため、回転リング2のワーク受け面20に載せられている正姿勢でないワークW1がワーク受け面20からホッパー室14の下部に落下するとき、正姿勢でないワークW1の落下を緩やかにでき、落下による衝撃を緩和できる。落下を緩やかにできれば、正姿勢の状態で回転リング2のワーク受け面20に載せられているワークW1を回転リング2のワーク受け面20から誤って落下させてしまう不具合が改善され易い。
【0040】
本実施形態によれば、回転リング2の外周面に当接可能な複数の回転体28が回転リング2の周方向において分散して設けられている。且つ、ホッパー室14の中心線Pに沿って切断する断面において、回転体28は、基体1の第2壁部12と回転リング2との間において設けられている。従って回転リング2が回転するとき、回転リング2の回転同軸性が確保され、回転リング2の円滑回転性が確保され易い。この場合、正姿勢の状態で回転リング2のワーク受け面20に載せられているワークW1が回転リング2のワーク受け面20から誤って落下してしまうことが抑制される。更に本実施形態においては、円筒形状の第1内周壁面11iをもつ第1壁部11と円筒形状の第2内周壁面12iをもつ第2壁部12とが設けられている。回転リング2は、第1壁部11の第1内周壁面11iの外周側に位置しつつ、第2壁部12の第2内周壁面12iの内周側に位置するように配置されている。この場合、昇降部材3がワーク集団Wを持ち上げれば、ワーク集団Wの外周側に存在するワークW1を外周側(DP方向)に寄せ、回転リング2のワーク受け面20の第1傾斜面21に載せ易い利点が得られる。
【0041】
更に本実施形態においては、ホッパー室14の中心線Pに沿って切断する断面において、昇降部材3の上面である昇降面30は、これの径外方向に向かうにつれて連続的に下降している。この場合、ホッパー室14のワークW1の数が少なくなったときであっても、昇降部材3の昇降面30に載せられているワークW1を昇降面30の径外方向(矢印D1方向)に移動させて回転リング2のワーク受け面20に載せることが容易となる。この場合、ホッパー室14を空にさせるのに有利である。
【0042】
なお、多数のワークW1からなるワーク集団Wを載せている昇降部材3を、第1ホッパー室14f内の全部のワークW1と共にホッパー室14の中心線Pの回りで回転させる方式も考えられる。しかしこの場合には、ワーク集団Wの全体を載せている昇降部材3を回転させるため、回転モータ25の駆動力を大型化する必要がある。この点本実施形態によれば、回転リング2は、第1ホッパー室14fに収容されている多数のワークW1からなるワーク集団Wの全体を載せているのではなく、ワーク集団Wのうちの一部のみを載せている。このため回転リング2を中心線Pの回りで回転させる回転モータ25の駆動力を小さくでき、小型化およびコスト低減に貢献できる。
【0043】
本実施形態では、昇降シリンダ4の上昇で持ち上げられたワーク集団Wのうちこれの上端のワークW1が電磁波7cに触れると、制御装置200は昇降シリンダ4の上昇を停止させ、速やかに下死点に向けて下降させる。このため第1ホッパー室14fに残留しているワークW1の数が多いときには昇降シリンダ4および昇降部材3の上昇量は抑えられている。これに対して、第1ホッパー室14fに残留しているワークW1の数が少なくなるときには昇降シリンダ4および昇降部材3の上昇量は増加する。このため、ワークW1の数が少なくなったときにも、昇降シリンダ4および昇降部材3は対処できる。このように第1ホッパー室14fに残留しているワークW1の数に応じて、昇降シリンダ4および昇降部材3の上昇量は調整される。なお上記した角度θ1は角度θ2とほぼ対応する大きさとされているが、これに限らず、θ1<θ2としても良いし、θ1>θ2としても良い。本実施形態によれば、昇降シリンダ4の上昇作動に伴い、昇降部材3の昇降面30に載せられているワークW1が電磁波に触れると、制御装置200は、昇降シリンダ4の昇降部材3をその都度下死点に下降させることができる。但しこれに限定されない。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図6を準用する。昇降シリンダ4の上昇作動に伴い、昇降部材3の昇降面30に載せられているワークW1が電磁波に触れるとき、制御装置200は、昇降シリンダ4の昇降部材3をその都度下死点に下降させない。すなわち、昇降部材3の昇降面30に載せられているワークW1の数が減少するときには、昇降部材3の昇降面30に載せられているワークW1が電磁波に触れると、制御装置200は、昇降シリンダ4の上死点と下死点との中間位置にまで矢印Y1方向に下降させることとし、昇降部材3をこれの上死点と下死点との中間位置にまで下降させる。この場合、昇降部材3が下降して戻る時間が短縮され、生産性の向上を図り得る。更に、回転リング2上のワークW1が回転リング2から落下するとき、昇降部材3がこれの上死点と下死点との中間位置に配置されているので、ワークW1の落下距離が短縮され、ワークW1の損傷が抑制される利点が得られる。この場合、昇降部材3の昇降面30に載せられているワークW1の数が減少するにつれて、昇降部材3を矢印Y2方向に下降させる下降量を次第に減少させることも好ましい。
【0045】
(実施形態3)
図7および図8は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図7に示すように、第2壁部12の第2内周壁面12iには、落下促進部材19が回転リング2の上方に位置するように設けられている。回転リング2に形成されているワーク受け面20は、第2壁部12の第2内周壁面12iに頂部23から近づくにつれて直状に仮想水平線HAに対して角度θ1で下降傾斜する第1傾斜面21と、第2壁部12の第2内周壁面12iに対して頂部23から遠ざかるにつれて直状に仮想水平線HAに対して角度θ2で下降傾斜する第2傾斜面22とを有する。
【0046】
図7に示すように、正姿勢のワークW1が回転リング2の第1傾斜面21に載せられて回転リング2と共に回転するとき、正姿勢のワークW1は第1傾斜面21を矢印E1方向に滑り、第2壁部12の第2内周壁面12iに接触する等して正しく位置決めされる。このような正姿勢のワークW1は落下促進部材19に当たらず、落下促進部材19の下方の空間19sを通過でき、ひいてはゲート部6のゲート開口60を通過できる。しかし、図8に示すように、正姿勢ではないワークW1が回転リング2の第1傾斜面21に載せられて回転するとき、正姿勢でないワークW1は第1傾斜面21を矢印E1方向に充分に滑らないため、落下促進部材19に当たる。このように正姿勢でないワークW1はゲート部6によってはねられて選別され、第1ホッパー室14fに落下する。ワークW1の形状およびサイズに寄っては、ワークW1の重心Gが矢印E1方向と反対方向に変位することがある。このような場合には、ワークW1の重心Gが径方向D1において頂部23よりも内方向に変位することがあり、この場合には、ワークW1はゲート部6によってはねられずとも、重力により自然に第1ホッパー室41f側に落下する。
【0047】
(実施形態4)
図9は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図9に示すように、回転リング2のワーク受け面20は、頂部23を有する上向きの山形形状をなしている。ワーク受け面20は、第2壁部12の第2内周壁面12iに対して頂部23から近づくにつれて直状に仮想水平線HAに対して角度θ1で下降傾斜する第1傾斜面21と、ほぼ鉛直線状に下降する立面22sとを有する。この場合、第1傾斜面21の径方向の幅ΔE(図9参照)を増加できるため、第1傾斜面21に載せられるワークW1のサイズを増加できる利点が得られる。
【0048】
(実施形態5)
図10は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。図10に示すように、ワークW1を載せる回転リング2のワーク受け面20は、頂部を有しておらず、仮想水平線HAに沿った水平面状とされている。第1壁部11の上端面11uはワーク受け面20と同じ高さである。
【0049】
(実施形態6)
図11は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。本実施形態によれば、図11に示すように、ホッパー室14の中心線Pに沿って切断する断面において、昇降部材3の上面である昇降面30は、中心線Pから径外方向に向かうにつれて複数段の階段状として下降している。すなわち、昇降面30は、中心線Pの回りのリング状をなす複数の段面300〜307を有する。段面300〜307の一つの段面の面幅ΔLは、ワークW1の径(幅)DWの1/2以下とされている。この場合、段面304の面幅ΔLの全部にワークW1が載っているとき、段面304の立面304cを鉛直方向に通過する仮想線PWよりも、ワークW1の重心Gが外方に位置して径外方向(矢印DX)に転倒しやすくなるため、昇降部材3が昇降するときの動作により、ワークW1を昇降面30の外縁30p側に移動させ易い利点が得られる。従って、第1ホッパー室14fに残留しているワークW1の数が少なくなったときであっても、昇降部材3の昇降面30に載せられているワークW1を昇降面30の径外方向(矢印DX方向)に移動させて回転リング2のワーク受け面20に載せることが容易となる。この場合、第1ホッパー室14fを空にさせるのに有利である。
【0050】
(その他)回転リング2を正方向に回転させるにあたり、まず、逆回転させるが、場合によっては逆回転させずとも良い。更に、ワークセンサ7を廃止し、昇降シリンダ4の昇降量を一定量にしても良い。場合によっては、センサ65を廃止しても良い。回転リング2の回転円滑性が確保されるときには、回転体28を廃止しても良い。回転リング2の外周部にエンドレス状のタイミングベルト34を嵌着させているが、回転リング2の外周部に歯部を直接形成しても良い。昇降部材3の昇降面30は、ワークW1を持ち上げ得る限り平坦状としても良い。ワークW1の形状としては、特に限定されず、短円柱状、ボルト状、ナット状、ワッシャ状、リング状、円盤状等にできる。昇降駆動源としては昇降シリンダに限定されず、モータ機構を利用しても良い。回転駆動源としてはモータに限定されず、要するに回転リング2を回転させ得るものであれば良い。回転リング2は360°1周するような形状が好ましいが、場合によっては、300〜355°程度のCリングでも良い。ワークセンサ7は発信部71と受信部72とを有するが、これに限らず、ワークが満杯に近いことを検知するメカニカルなスイッチでも良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0051】
1は基体、11は第1壁部、12は第2壁部、11iは第1内周壁面、12iは第2内周壁面、14はホッパー室、14fは第1ホッパー室、14sは第2ホッパー室、2は回転リング、20はワーク受け面、21は第1傾斜面、22は第2傾斜面、23は頂部、24はタイミングベルト、25は回転モータ(回転駆動源)、28は回転体、3は昇降部材、30は昇降面、4は昇降シリンダ(昇降駆動源)、6はゲート部、60は開口、61は障害部、63は整列通路、7はワークセンサ、Pは中心線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のワークからなるワーク集団を収容すると共に縦方向に延びる中心線をもつホッパー室を形成する円筒形状の内周壁面をもつ壁部を有する基体と、
前記基体の前記壁部の前記内周壁面の上端よりも下方に位置しつつ前記壁部の前記内周壁面の内周側に位置するように前記ホッパー室の前記中心線の回りで回転可能に配置され且つ上方に露出するワーク受け面を有する回転リングと、
前記回転リングを前記中心線の回りで回転させる回転駆動源と、
前記基体の前記ホッパー室の底部を形成すると共に前記中心線に沿って昇降可能に配置され、下死点で前記回転リングの下方に配置され、上昇に伴い前記ワーク集団を持ち上げて前記ワーク集団の外周側のワークを前記回転リングのワーク受け面に載せる昇降部材と、
前記昇降部材を昇降させる昇降駆動源と、
前記回転リングの前記ワーク受け面に載せられたワークのうち、正姿勢のワークを通過させ、正姿勢でないワークを前記回転リングの前記ワーク受け面から落下させて排除するゲート部とを具備するワーク整列装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ホッパー室の前記中心線に沿って切断する断面において、前記回転リングの前記ワーク受け面は、前記壁部の内周壁面に近づくにつれて下降傾斜する第1傾斜面を有するワーク整列装置。
【請求項3】
請求項1において、前記回転リングの前記ワーク受け面は、前記ホッパー室の前記中心線に沿った断面において頂部を有する山形形状をなしており、前記壁部の前記内周壁面に対して前記頂部から前記ホッパー室の径方向において近づくにつれて下降傾斜する第1傾斜面と、前記壁部の前記内周壁面に対して前記頂部から前記ホッパー室の径方向において遠ざかるにつれて下降傾斜する第2傾斜面とを有するワーク整列装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記回転リングの外周部に当接可能な複数の回転体が前記回転リングの周方向において分散して設けられ、且つ、前記回転体は、前記ホッパー室の前記中心線に沿って切断する断面において、前記ホッパー室の径方向において前記基体の壁部と前記回転リングとの間において設けられているワーク整列装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記基体の前記壁部は、円筒形状の第1内周壁面をもつ第1壁部と、前記第1壁部よりも上側に第1壁部よりも拡径するように同軸的に形成された円筒形状の第2内周壁面をもつ第2壁部とを有しており、前記回転リングは、前記第1壁部の前記第1内周壁面の外周側に位置しつつ、前記第2壁部の前記第2内周壁面の内周側に位置するように配置されているワーク整列装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−241056(P2011−241056A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115204(P2010−115204)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】