ワーク結束具
【課題】コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねることができるワーク結束具を提供する。
【解決手段】ワーク結束具1は、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークWを束ねるものであり、ワークWの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす帯体2と、帯体2に設けられた第1面ファスナ3と、帯体2に設けられ第1面ファスナ3に対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナ4とを備えている。
【解決手段】ワーク結束具1は、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークWを束ねるものであり、ワークWの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす帯体2と、帯体2に設けられた第1面ファスナ3と、帯体2に設けられ第1面ファスナ3に対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナ4とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねるワーク結束具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、二次加工製品と呼ばれる磨棒鋼や線材をハンドリングする場合、0.1〜3トンの単位で取り扱われる。磨棒鋼や線材をハンドリングする場合には、これらを束ねる必要がある。そこで、従来より、被覆番線、フープもしくは樹脂フープが使用される。ハンドリング終了後には、番線、フープは切断されて鉄スクラップとして廃棄される。しかしながら、番線は、鋼で形成された芯線と、芯線に被覆された樹脂製の被覆部とで形成されているため、廃棄処理において厄介なものとなる。工場では、磨棒鋼や線材が製品として完成するまで、番線による結束および切断が多数回繰り返されるため、番線の廃棄量は相当量となり、品質、コスト、環境、作業性等からも改善が要請されている。また、結束具としては、特許文献1,2に係るものが提供されているが、必ずしも充分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−1823号公報
【特許文献2】特開2004−7892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねることができるワーク結束具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様相1に係るワーク結束具は、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねるワーク結束具であって、ワークの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす帯体と、帯体に設けられた第1面ファスナと、帯体に設けられ第1面ファスナに対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナとを具備することを特徴とする。ワークを結束させるとき、ワークの回りに帯体が巻回された状態で、帯体の第1面ファスナと帯体の第2面ファスナとが接合される。ワークの結束を解除させるとき、第1面ファスナおよび第2面ファスナが脱着される。
【0006】
様相2に係るワーク結束具によれば、様相1において、帯体の基端部に保持されバックルが設けられており、バックルは、帯体の先端部を挿入可能な挿入開口を有することを特徴とする。様相3に係るワーク結束具によれば、様相2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち同一の表面に設けられており、バックルの挿入開口は帯体の先端部を挿入させ且つ折り返し可能とさせ、帯体の先端部を折り返した状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とする。様相4に係るワーク結束具によれば、様相2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち互いに反対側の表面に設けられており、バックルの挿入開口に帯体の先端部を挿入させた状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねることができるワーク結束具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図2】実施形態1に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入している状態を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入していると共に、第1面ファスナおよび第2面ファスナを互いに接合している状態を示す斜視図である。
【図4】実施形態1に係り、コイル状に巻回された線材をワーク結束具で結束させている状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態1に係り、コイル状に巻回された帯材をワーク結束具で結束させている状態を示す斜視図である。
【図6】実施形態1に係り、並設させた多数の棒鋼をワーク結束具で結束させている状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態2に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図8】実施形態3に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図9】実施形態4に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図10】実施形態5に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図11】実施形態6に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入している状態を示す斜視図である。
【図12】実施形態6に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入していると共に、ワーク結束具で多数の線材を結束させる途中の状態を示す斜視図である。
【図13】実施形態7に係り、ワーク結束具で多数の線材を結束させる途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
図1〜図6は実施形態1の概念を示す。ワーク結束具1は、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークW(ワークWは図4〜図6参照)を束ねるものである。ワーク結束具1は、ワークWの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす可撓性を有する長尺状をなす帯体2と、帯体2のうちの一方の片面(表面および裏面のうちのいずれか一方)に設けられた第1面ファスナ3と、帯体2のうちの一方の片面に設けられ第1面ファスナ3に対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナ4とを有する。第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は帯体2のうち同一の面に互いに隣設して配置されており、マジックテープと呼ばれるものである。従って、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4のうちの一方は、多数の係合部(例えば凸部)を有する。第1面ファスナ3および第2面ファスナ4のうちの他方は、係合部に契合する多数の被係合部(例えば凹部)を有する。図1に示すように、第1面ファスナ3は帯体2の先端部22に寄せて設けられている。第2面ファスナ4は帯体2のうち第1面ファスナ3よりも基端部20に寄せて設けられている。
【0010】
帯体2の基端部20にはバックル5が保持されている。バックル5は剛性を有するように、金属、硬質樹脂またはセラミックスで形成されており、ほぼ角形状をなす枠状をなしており、帯体2の先端部22を挿入可能な挿入開口51を有する。帯体2は、互いに平行な二つの長辺部2aと、帯体2の自由端状の先端部22に設けられた短辺部2cと、帯体2の基端部20側に位置しておりバックル5側に保持された短辺部2dとを有する。バックル5は、帯体2の長辺部2aとほぼ平行となるように互いに対向する辺部5a,5bと、辺部5a,5bに交差する辺部5c(バックル5のうち、帯体2の先端部22の側を折り返すための部分)と、帯体2の基端部20を保持する辺部5dとを有する。
【0011】
ここで、図1に示すワーク結束具1において、L1はほぼ全長を示し、帯体2が巻回されるワークWの外周寸法と帯体2の先端部22側の折り返し寸法との合計値を考慮して設定されている。L2は帯体2を巻回させるワークWの外周寸法を示す。L3は帯体2の先端部22を帯体2の基端部20の側に対して折り返す寸法を示し、ワークWを結束させるに必要な面ファスナ面積(面ファスナ量=ワークWを結束させたときに第1面ファスナ3と第2面ファスナ4の接合部分に作用する剪断力相当量×安全率)を考慮して設定されている。L4は第2面ファスナ4の接合長さ寸法を示し、ワークWを結束させるに必要な面ファスナ面積(面ファスナ面積=ワークWを結束させたときに第1面ファスナ3と第2面ファスナ4の接合部分に作用する剪断力相当量×安全率)を考慮して設定されている。W1は帯体2の帯幅を示し、ワークWを結束させるに必要な面ファスナ面積(面ファスナ面積=ワークWを結束させたときに第1面ファスナ3と第2面ファスナ4の接合部分に作用する剪断力相当量×安全率)を考慮して設定されている。W2はバックル5の保護幅を示し、帯体2の帯幅W1に+αを考慮して設定されている。
【0012】
使用時には、バックル5を保持する帯体2をワークWの回りに巻回させる(図4〜図6参照)。そして、帯体2の先端部22をバックル5の挿入開口51に矢印M1方向に挿入させる(図2の紙面の奥から手前に向けて挿入)。その状態で、帯体2の先端部22の側を帯体2の基端部20に対して折り返す(図2,図3参照)。従って帯体2の先端部22は帯体2の折り返し部分23となる。帯体2の基端部20は、帯体2の非折り返し部分25となる。この状態で、帯体2の折り返し部分23に設けられている第1面ファスナ3と、帯体2の非折り返し部分25に設けられている第2面ファスナ4とを互いに対面させた状態で接合させる。ここで、第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とは面接触状態で強力に互いに接合されるため、ワークは結束される。
【0013】
このように帯体2の先端部22である折り返し部分23をバックル5の挿入開口51に挿入させた状態で(図2,図3参照)、帯体2の基端部20に対して折り返すため、帯体2の先端部22の側である折り返し部分23が、帯体2の基端部20の側(非折り返し部分25v)に対して帯体2の幅方向(矢印D1方向)に大きくずれることが抑制される。故に、折り返し部分23の第1面ファスナ3と非折り返し部分25の第2面ファスナ4との接合力が良好に確保される。
【0014】
更に、帯体2の先端部22がバックル5の辺部5cで折り返されて折り返し部分23が形成されるとき、図3に示すように、バックル5の辺部5cの内側および外側の双方には、帯体2が位置する。つまりバックル5の辺部5cは、帯体2で挟まれる。この結果、バックル5の辺部5cとワークとが直接して接触したり、直接擦れたりすることが抑制される。このためバックル5およびワークの保護性を高め得る。
【0015】
図4は、コイル状に多重に巻回された金属製の線材をワークWとしてワーク結束具1で結束させている状態を模式的に示す。図5は、コイル状に多重に巻回された金属製の帯材をワークWとしてワーク結束具1で結束させている状態を模式的に示す。図6(A)(B)は、長手方向に延びる磨き棒鋼(直棒等の棒材)等をワークWとして水平に位置させ且つ多数本並設させた状態で、ワーク結束具1で結束させている状態を模式的に示す。
【0016】
ここで、ワークWの重量負荷に基づいて第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とを引き剥がそうとする剥離力は、帯体2の長手方向に作用すると考えられる。仮に帯体2がバックル5で折り返されていない場合には。剥離力が第1面ファスナ3と第2面ファスナ4との接合部分に直接作用するおそれがある。しかしながら本実施形態によれば、帯体2の折り返し部分23がバックル5の辺部5cで折り返されているため、バックル5の辺部5cが剥離力に対して抵抗となる。このため帯体2の第1面ファスナ3と第2面ファスナ4との接合部分に直接作用することが抑制される。
【0017】
(実施形態2)
図7は実施形態2の概念を示す。第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は帯体2のうち同一の面に設けられているものの、間隔LA離間している。帯体2の先端部22の折り返し長さが長い場合に対処し易い。
【0018】
(実施形態3)
ワーク結束具1を保管するとき、図8に示すように、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4に塵が付着しないように、第1相手ファスナ3Xを第1面ファスナ3に脱着可能に接合させると共に、第2相手ファスナ4Xを第2面ファスナ4に脱着可能に接合させておく。
【0019】
(実施形態4)
図9に示すように、バックル5および帯体2が複数組、並設状態で組み付けられている。バックル5同士は矢印K1,K2方向に互いに揺動可能に支持する枢軸部58で枢支されている。ワークWのサイズが大型のとき対処し易い。
【0020】
(実施形態5)
図10に示すように、帯体2は、これの長手方向に沿ってスリット状の隙間59を有しており、第1帯体部2fと第2帯体部2sとを有する。第1帯体部2fは、互いに接合する第1面ファスナ3fと第2面ファスナ4fとをもつ。第2帯体部2sは、互いに接合する第1面ファスナ3sと第2面ファスナ4sとをもつ。第1帯体部2fおよび第2帯体部2sは、互いに独立して接合される。万一、第1帯体部2fを構成する第1面ファスナ3fと第2面ファスナ4fとが互いに接合している場合、何らかの事情で脱着するおそれがあるときであっても、その脱着力が第2帯体部2sに影響を与えることが抑制される。
【0021】
(実施形態6)
図11および図12に示すように、帯体2の先端部22を折り返す方式ではない。従って、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は、帯体2のうち互いに反対側の面に設けられている。使用時には、帯体2をワークWの回りに巻回させる(図11,図12参照)。帯体2の先端部22をバックル5の挿入開口51に挿入させた状態で、帯体2の先端部22を折り返すことなく、帯体2の基端部20に沿って挿入方向(矢印M1方向)に沿ってそのまま巻回させる。この状態で第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とを互いに対面させた状態で接合させ、ワークWを結束させる。尚、図12ではワークWは一部のみ図示されている。
【0022】
(実施形態7)
図13に示すように、帯体2の先端部22を折り返す方式ではない。更にバックルも設けられていない。従って、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は、帯体2のうち互いに反対側の面に設けられている。使用時には、帯体2をワークWの回りに巻回させる(図13参照)。帯体2の先端部22をバックル5の挿入開口51に挿入させた状態で、帯体2の先端部22を折り返すことなく、帯体2の基端部20に沿って巻回方向(矢印M2方向)に沿ってそのまま巻回させる。この状態で第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とを互いに対面させた状態で接合させ、ワークWを結束させる。尚、図12ではワークWは一部のみ図示されている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は鉄鋼等の金属を基材とするワークを取り扱う工場等に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1はワーク結束具、2は帯体、3は第1面ファスナ、4は第2面ファスナ、5はバッフル、51は挿入開口を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねるワーク結束具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、二次加工製品と呼ばれる磨棒鋼や線材をハンドリングする場合、0.1〜3トンの単位で取り扱われる。磨棒鋼や線材をハンドリングする場合には、これらを束ねる必要がある。そこで、従来より、被覆番線、フープもしくは樹脂フープが使用される。ハンドリング終了後には、番線、フープは切断されて鉄スクラップとして廃棄される。しかしながら、番線は、鋼で形成された芯線と、芯線に被覆された樹脂製の被覆部とで形成されているため、廃棄処理において厄介なものとなる。工場では、磨棒鋼や線材が製品として完成するまで、番線による結束および切断が多数回繰り返されるため、番線の廃棄量は相当量となり、品質、コスト、環境、作業性等からも改善が要請されている。また、結束具としては、特許文献1,2に係るものが提供されているが、必ずしも充分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−1823号公報
【特許文献2】特開2004−7892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねることができるワーク結束具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様相1に係るワーク結束具は、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねるワーク結束具であって、ワークの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす帯体と、帯体に設けられた第1面ファスナと、帯体に設けられ第1面ファスナに対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナとを具備することを特徴とする。ワークを結束させるとき、ワークの回りに帯体が巻回された状態で、帯体の第1面ファスナと帯体の第2面ファスナとが接合される。ワークの結束を解除させるとき、第1面ファスナおよび第2面ファスナが脱着される。
【0006】
様相2に係るワーク結束具によれば、様相1において、帯体の基端部に保持されバックルが設けられており、バックルは、帯体の先端部を挿入可能な挿入開口を有することを特徴とする。様相3に係るワーク結束具によれば、様相2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち同一の表面に設けられており、バックルの挿入開口は帯体の先端部を挿入させ且つ折り返し可能とさせ、帯体の先端部を折り返した状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とする。様相4に係るワーク結束具によれば、様相2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち互いに反対側の表面に設けられており、バックルの挿入開口に帯体の先端部を挿入させた状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねることができるワーク結束具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図2】実施形態1に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入している状態を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入していると共に、第1面ファスナおよび第2面ファスナを互いに接合している状態を示す斜視図である。
【図4】実施形態1に係り、コイル状に巻回された線材をワーク結束具で結束させている状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態1に係り、コイル状に巻回された帯材をワーク結束具で結束させている状態を示す斜視図である。
【図6】実施形態1に係り、並設させた多数の棒鋼をワーク結束具で結束させている状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態2に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図8】実施形態3に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図9】実施形態4に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図10】実施形態5に係り、ワーク結束具の正面図である。
【図11】実施形態6に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入している状態を示す斜視図である。
【図12】実施形態6に係り、ワーク結束具の帯体をバックルの挿入開口に挿入していると共に、ワーク結束具で多数の線材を結束させる途中の状態を示す斜視図である。
【図13】実施形態7に係り、ワーク結束具で多数の線材を結束させる途中の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
図1〜図6は実施形態1の概念を示す。ワーク結束具1は、コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークW(ワークWは図4〜図6参照)を束ねるものである。ワーク結束具1は、ワークWの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす可撓性を有する長尺状をなす帯体2と、帯体2のうちの一方の片面(表面および裏面のうちのいずれか一方)に設けられた第1面ファスナ3と、帯体2のうちの一方の片面に設けられ第1面ファスナ3に対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナ4とを有する。第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は帯体2のうち同一の面に互いに隣設して配置されており、マジックテープと呼ばれるものである。従って、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4のうちの一方は、多数の係合部(例えば凸部)を有する。第1面ファスナ3および第2面ファスナ4のうちの他方は、係合部に契合する多数の被係合部(例えば凹部)を有する。図1に示すように、第1面ファスナ3は帯体2の先端部22に寄せて設けられている。第2面ファスナ4は帯体2のうち第1面ファスナ3よりも基端部20に寄せて設けられている。
【0010】
帯体2の基端部20にはバックル5が保持されている。バックル5は剛性を有するように、金属、硬質樹脂またはセラミックスで形成されており、ほぼ角形状をなす枠状をなしており、帯体2の先端部22を挿入可能な挿入開口51を有する。帯体2は、互いに平行な二つの長辺部2aと、帯体2の自由端状の先端部22に設けられた短辺部2cと、帯体2の基端部20側に位置しておりバックル5側に保持された短辺部2dとを有する。バックル5は、帯体2の長辺部2aとほぼ平行となるように互いに対向する辺部5a,5bと、辺部5a,5bに交差する辺部5c(バックル5のうち、帯体2の先端部22の側を折り返すための部分)と、帯体2の基端部20を保持する辺部5dとを有する。
【0011】
ここで、図1に示すワーク結束具1において、L1はほぼ全長を示し、帯体2が巻回されるワークWの外周寸法と帯体2の先端部22側の折り返し寸法との合計値を考慮して設定されている。L2は帯体2を巻回させるワークWの外周寸法を示す。L3は帯体2の先端部22を帯体2の基端部20の側に対して折り返す寸法を示し、ワークWを結束させるに必要な面ファスナ面積(面ファスナ量=ワークWを結束させたときに第1面ファスナ3と第2面ファスナ4の接合部分に作用する剪断力相当量×安全率)を考慮して設定されている。L4は第2面ファスナ4の接合長さ寸法を示し、ワークWを結束させるに必要な面ファスナ面積(面ファスナ面積=ワークWを結束させたときに第1面ファスナ3と第2面ファスナ4の接合部分に作用する剪断力相当量×安全率)を考慮して設定されている。W1は帯体2の帯幅を示し、ワークWを結束させるに必要な面ファスナ面積(面ファスナ面積=ワークWを結束させたときに第1面ファスナ3と第2面ファスナ4の接合部分に作用する剪断力相当量×安全率)を考慮して設定されている。W2はバックル5の保護幅を示し、帯体2の帯幅W1に+αを考慮して設定されている。
【0012】
使用時には、バックル5を保持する帯体2をワークWの回りに巻回させる(図4〜図6参照)。そして、帯体2の先端部22をバックル5の挿入開口51に矢印M1方向に挿入させる(図2の紙面の奥から手前に向けて挿入)。その状態で、帯体2の先端部22の側を帯体2の基端部20に対して折り返す(図2,図3参照)。従って帯体2の先端部22は帯体2の折り返し部分23となる。帯体2の基端部20は、帯体2の非折り返し部分25となる。この状態で、帯体2の折り返し部分23に設けられている第1面ファスナ3と、帯体2の非折り返し部分25に設けられている第2面ファスナ4とを互いに対面させた状態で接合させる。ここで、第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とは面接触状態で強力に互いに接合されるため、ワークは結束される。
【0013】
このように帯体2の先端部22である折り返し部分23をバックル5の挿入開口51に挿入させた状態で(図2,図3参照)、帯体2の基端部20に対して折り返すため、帯体2の先端部22の側である折り返し部分23が、帯体2の基端部20の側(非折り返し部分25v)に対して帯体2の幅方向(矢印D1方向)に大きくずれることが抑制される。故に、折り返し部分23の第1面ファスナ3と非折り返し部分25の第2面ファスナ4との接合力が良好に確保される。
【0014】
更に、帯体2の先端部22がバックル5の辺部5cで折り返されて折り返し部分23が形成されるとき、図3に示すように、バックル5の辺部5cの内側および外側の双方には、帯体2が位置する。つまりバックル5の辺部5cは、帯体2で挟まれる。この結果、バックル5の辺部5cとワークとが直接して接触したり、直接擦れたりすることが抑制される。このためバックル5およびワークの保護性を高め得る。
【0015】
図4は、コイル状に多重に巻回された金属製の線材をワークWとしてワーク結束具1で結束させている状態を模式的に示す。図5は、コイル状に多重に巻回された金属製の帯材をワークWとしてワーク結束具1で結束させている状態を模式的に示す。図6(A)(B)は、長手方向に延びる磨き棒鋼(直棒等の棒材)等をワークWとして水平に位置させ且つ多数本並設させた状態で、ワーク結束具1で結束させている状態を模式的に示す。
【0016】
ここで、ワークWの重量負荷に基づいて第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とを引き剥がそうとする剥離力は、帯体2の長手方向に作用すると考えられる。仮に帯体2がバックル5で折り返されていない場合には。剥離力が第1面ファスナ3と第2面ファスナ4との接合部分に直接作用するおそれがある。しかしながら本実施形態によれば、帯体2の折り返し部分23がバックル5の辺部5cで折り返されているため、バックル5の辺部5cが剥離力に対して抵抗となる。このため帯体2の第1面ファスナ3と第2面ファスナ4との接合部分に直接作用することが抑制される。
【0017】
(実施形態2)
図7は実施形態2の概念を示す。第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は帯体2のうち同一の面に設けられているものの、間隔LA離間している。帯体2の先端部22の折り返し長さが長い場合に対処し易い。
【0018】
(実施形態3)
ワーク結束具1を保管するとき、図8に示すように、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4に塵が付着しないように、第1相手ファスナ3Xを第1面ファスナ3に脱着可能に接合させると共に、第2相手ファスナ4Xを第2面ファスナ4に脱着可能に接合させておく。
【0019】
(実施形態4)
図9に示すように、バックル5および帯体2が複数組、並設状態で組み付けられている。バックル5同士は矢印K1,K2方向に互いに揺動可能に支持する枢軸部58で枢支されている。ワークWのサイズが大型のとき対処し易い。
【0020】
(実施形態5)
図10に示すように、帯体2は、これの長手方向に沿ってスリット状の隙間59を有しており、第1帯体部2fと第2帯体部2sとを有する。第1帯体部2fは、互いに接合する第1面ファスナ3fと第2面ファスナ4fとをもつ。第2帯体部2sは、互いに接合する第1面ファスナ3sと第2面ファスナ4sとをもつ。第1帯体部2fおよび第2帯体部2sは、互いに独立して接合される。万一、第1帯体部2fを構成する第1面ファスナ3fと第2面ファスナ4fとが互いに接合している場合、何らかの事情で脱着するおそれがあるときであっても、その脱着力が第2帯体部2sに影響を与えることが抑制される。
【0021】
(実施形態6)
図11および図12に示すように、帯体2の先端部22を折り返す方式ではない。従って、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は、帯体2のうち互いに反対側の面に設けられている。使用時には、帯体2をワークWの回りに巻回させる(図11,図12参照)。帯体2の先端部22をバックル5の挿入開口51に挿入させた状態で、帯体2の先端部22を折り返すことなく、帯体2の基端部20に沿って挿入方向(矢印M1方向)に沿ってそのまま巻回させる。この状態で第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とを互いに対面させた状態で接合させ、ワークWを結束させる。尚、図12ではワークWは一部のみ図示されている。
【0022】
(実施形態7)
図13に示すように、帯体2の先端部22を折り返す方式ではない。更にバックルも設けられていない。従って、第1面ファスナ3および第2面ファスナ4は、帯体2のうち互いに反対側の面に設けられている。使用時には、帯体2をワークWの回りに巻回させる(図13参照)。帯体2の先端部22をバックル5の挿入開口51に挿入させた状態で、帯体2の先端部22を折り返すことなく、帯体2の基端部20に沿って巻回方向(矢印M2方向)に沿ってそのまま巻回させる。この状態で第1面ファスナ3と第2面ファスナ4とを互いに対面させた状態で接合させ、ワークWを結束させる。尚、図12ではワークWは一部のみ図示されている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は鉄鋼等の金属を基材とするワークを取り扱う工場等に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1はワーク結束具、2は帯体、3は第1面ファスナ、4は第2面ファスナ、5はバッフル、51は挿入開口を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねるワーク結束具であって、ワークの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす帯体と、帯体に設けられた第1面ファスナと、帯体に設けられ第1面ファスナに対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナとを具備することを特徴とするワーク結束具。
【請求項2】
請求項1において、帯体の基端部に保持されたバックルが設けられており、バックルは、帯体の先端部を挿入可能な挿入開口を有することを特徴とするワーク結束具。
【請求項3】
請求項2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち同一の表面に設けられており、バックルの挿入開口は帯体の先端部を挿入させ且つ折り返し可能とさせ、帯体の先端部を折り返した状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とするワーク結束具。
【請求項4】
請求項2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち互いに反対側の表面に設けられており、バックルの挿入開口に帯体の先端部を挿入させた状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とするワーク結束具。
【請求項1】
コイル状に多重に巻回されたまたは多数本並設されたワークを束ねるワーク結束具であって、ワークの回りに巻回される帯状またはベルト状をなす帯体と、帯体に設けられた第1面ファスナと、帯体に設けられ第1面ファスナに対して脱着可能および接合可能な第2面ファスナとを具備することを特徴とするワーク結束具。
【請求項2】
請求項1において、帯体の基端部に保持されたバックルが設けられており、バックルは、帯体の先端部を挿入可能な挿入開口を有することを特徴とするワーク結束具。
【請求項3】
請求項2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち同一の表面に設けられており、バックルの挿入開口は帯体の先端部を挿入させ且つ折り返し可能とさせ、帯体の先端部を折り返した状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とするワーク結束具。
【請求項4】
請求項2において、第1面ファスナおよび第2面ファスナは帯体のうち互いに反対側の表面に設けられており、バックルの挿入開口に帯体の先端部を挿入させた状態で、第1面ファスナおよび第2面ファスナは互いに接合してワークを結束させることを特徴とするワーク結束具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−184712(P2010−184712A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28292(P2009−28292)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(591043499)宮崎精鋼株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(591043499)宮崎精鋼株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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