説明

一体型支持部材を備えたゲートバルブ

ゲートバルブは、支持部材を有する。これらの支持部材は、バルブゲート開口部に隣接するゲートバルブの本体構造に取り付けられる。これらの支持部材は、前記バルブゲート開口部の両側上においてゲートスリーブの周囲に放射状に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーシールの劣化を低減するために、バルブの本体構造内の通路の周囲に沿って一体型支持部材を有するゲートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートバルブは、管状の導管またはパイプの内側において搬送される多様な流体の流れを制御するために、用いられる。ゲートバルブは典型的には、通路を備えた本体構造を含む。この通路は、一対の軸方向に整列された導管間に配置され、これらの導管を連結する。これらの導管は、前記本体構造の対向する両側にボルト固定される。一対の対向する実質的に平面の面を備えた平坦な流体不浸透性ゲートは、前記通路を選択的に閉塞させるように、前記本体構造内のスロットを通じて前記通路内へとスライド可能であり、これにより、前記バルブを閉鎖する。
【0003】
流体の流れを制御するために用いられるゲートバルブは、バルブからの、またはバルブ閉鎖時にバルブを通過する流体漏洩を回避するためのゲートと本体構造との間の密閉部を含む。固形物の混合物を含む流体(スラリーと呼ばれる)の場合、ゲートと本体構造との間に適切な密閉を達成するのは困難である可能性がある。スラリーは、多くの過酷な産業環境(例えば、木材パルプ加工および製紙、多様な種類の鉱業(例えば、石炭およびリン酸塩)、および発電所の煙突用スクラバーのためのボトムアッシュ除去システム)において発生する。このようなスラリー中の固形物は、多くのゲートバルブ内を塞栓させ、被覆し、または密閉部を損傷させる可能性があり、これにより、当該流体が漏洩する可能性がある。
【0004】
Clarksonらの米国特許第4,846,442号中に記載されている1つの双方向ゲートバルブシールは、一対の対向する固体弾性スリーブユニットを含む。これらの固体弾性スリーブユニットは、バルブの開放時には相互に圧縮した様態で係合し、前記バルブの閉鎖時にはゲートの対向する側が係合する。各スリーブユニットに接合された補強輪は、剛体ロッキングリングと係合して、スリーブユニットを所定位置に保持する。
【0005】
このようなゲートバルブシールの場合、いくつかの不利点がある。すなわち、バルブ閉口時において、固体弾性スリーブユニットを変位させるのが困難である可能性がある。なぜならば、嵌合する導管のフランジ隆起面からのスリーブの過圧縮を除去する方法が設計に含まれていないため、バルブの操作が困難になる。その上、閉鎖位置にあるバルブにおいてゲートに対する圧力は、弾性スリーブユニットを下流側へ変位する可能性があり、そのため、ゲートと上流の弾性スリーブユニットとの間に漏洩が発生する可能性がある。
【0006】
これらの問題を解消するために用いられる1つの方法は、McCutcheonらの米国特許第5,338,006号中に見出される。この米国特許第5,338,006号は、シール部材を含む。このシール部材は、弾性の環状エラストマースリーブと、実質的に剛体の環状ハブとを有する。これらの弾性の環状エラストマースリーブと、実質的に剛体の環状ハブとは、共に圧入される。しかし、この設計の場合、特殊な工具およびハブの成形が必要となる。
【0007】
そのため、当該分野において、エラストマースリーブの劣化を低減するために、ゲートバルブの動作に対する支持部材を提供する必要がある。本発明は、上記および他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ゲートバルブを含む。前記ゲートバルブは、本体構造を貫通する通路を画定する第1の側部および第2の側部を備えた本体構造と、前記通路内に横断方向に配置されたゲートとを有する。前記ゲートは、その内部を通る流体流れを閉塞させるのに適している。前記ゲートは、前記画定された通路内に配置されたとき、それぞれ周辺マージンを有する対向する側部と、前記通路を選択的に閉塞させるように前記ゲートを所与の軸に沿って移動させるために前記ゲートに連結された移動手段と、前記ゲートの第1の側上の前記通路の周囲において前記本体構造に固定された第1の組の剛体支持部材であって、前記第1の組の剛体支持部材は、前記本体構造から前記ゲートの横断経路に向かって延び、前記ゲートに最も近い前記第1の組の剛体支持部材の表面は、前記本体構造の表面を越えて延びる、第1の組の剛体支持部材と、前記ゲートの第2の側上の前記通路の周囲において前記本体構造に固定された第2の組の剛体支持部材であって、前記第2の組の剛体支持部材は、前記本体構造から前記ゲートの前記横断経路に向かって延び、前記ゲートに最も近い前記第2の組の剛体支持部材の表面は、前記本体構造の表面を越えて延びる、第2の組の剛体支持部材と、第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブであって、各エラストマースリーブは連続リップ部を有し、前記第1のスリーブおよび第2のスリーブの前記リップ部は、前記ゲートが前記通路を閉塞させた場合、前記ゲートの前記周辺マージンと係合し、そうではない場合、相互に係合する第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブとを有し、これにより、前記剛体支持部材は、前記エラストマースリーブが前記ゲートと係合した時の前記エラストマースリーブの変位を容易にし、かつ前記エラストマースリーブの過圧縮を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の支持部材を用いた回転ゲートバルブの断面図である。
【図2】図1の軸A−Aに沿った断面図である。
【図3】図1の軸B−Bに沿った断面図である。
【図4】図1の軸B−Bに沿った断面図の詳細Kの詳細図である。
【図5】図4に示すような図の第2の図示であり、バルブゲートは開放位置にある。
【図6】図1の軸B−Bに沿った主ハウジングの断面図である。
【図7】本発明の支持部材の側断面図である。
【図8】本発明の支持部材を用いた線形ゲートバルブの断面図である。
【図9】図8の軸D−Dに沿った断面図である。
【図10】図8の軸C−Cに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、図1、図2および図3は回転ゲートバルブ10を示し、図8、図9および図10は線形ゲートバルブ10を示す。これらのバルブはそれぞれ、本体構造12を有する。本体構造12は、図1、図3、図8および図10に示す軸15に沿って流体またはスラリーを搬送するように、軸方向に整列された一対の導管(図示せず)の間に配置される。図1および図8に示すように、平坦な流体不浸透性ゲート16が、本体構造12内を通過するスロット18内に配置される。
【0011】
上記の回転ゲートバルブ10および線形ゲートバルブ10双方において、ゲート16は、ゲートバルブ10の内部領域または通路20を選択的に閉塞するように、スロット18内をスライドすることができる。通路または連絡通路20は、その中を貫通して流体が流れるように、本体構造12内で延在する。ゲート16による通路20の閉塞は、バルブ10を閉鎖するように機能する。通路20からゲート16を除去することにより、ゲートバルブ10を開放するように機能する。ゲート16は、双方向バルブ20内においてスロット18を通して回転(図2に示す)し、方向30においてスライド可能である。これらの方向30は、図8に示す線形ナイフゲートバルブ内の軸15に対して横断方向(好適には垂直)である。例えば、線形ナイフゲートバルブ内のスロット18を通したゲート16の動きは、従来の螺刻された軸によって制御されてもよい。この従来の螺刻された軸は、任意選択の不浸透性の弾性ブーツおよびキャップ内に配置され、ハンドホイールユニットに連結される。これらのブーツおよびキャップならびにハンドホイールユニットは、本体構造12の上部に固定される。スロット18を通じたゲート16の動きは、他の従来の機構(例えば、空気式機構、油圧式機構または電気機械式機構)によって制御されてもよいことが理解される。
【0012】
一実施形態において、本体構造12は、一対の対向する実質的に同一の本体半分部を含む。これらの本体半分部は、相互に溶接またはボルト固定され、その側部間には、一対の平坦なスペーサが配置される。第2の実施形態において、本体構造12は、単一のまたは単独の構造を含む。スペーサは、バルブの本体と一体化され得る。本体半分部は、組立金属、あるいは、鋳造金属、好適には鋼鉄または他の任意の適切な材料(例えば、複合材料)であってもよい。スペーサは、当該スラリーの温度および化学的特性に応じて選択された剛体材料(例えば、ステンレス鋼または軟鋼)で形成される。スペーサは、本体半分部を離隔させることでスロット18を形成する。スロット18を通じて、ゲートバルブ10を選択的に開放または閉鎖できるように、ゲート16を移動させることができる。
【0013】
実質的に同様のシール部材を有するシールユニットが、ゲート16の対向する側部上の本体部材12内に配置される。これらの対向する側部は、ゲート16が開放状態または閉鎖状態にあるかに関係なく、協働してゲートバルブ10を密閉する。シール部材は、バルブ10が全開状態である際に、バルブ10に全開流量ボアを提供するような位置およびサイズにされる。これら2つのシール部材は、実質的に同様の構成要素を有する。シール部材は、弾性の環状エラストマースリーブ52aおよび52bを含む。図1〜図5および図8〜図10に示すエラストマースリーブ52aおよび52bは好適には、潤滑性向上のために加えられる添加剤(例えば、ワックスまたはTeflon(商標))と共に、成形された軟性の弾性材料(例えば、天然ゴム、クロロブチル、またはネオプレンによって形成される。エラストマースリーブ52aおよび52bの硬度は、バルブ性能に影響を与え得るパラメータである。スリーブの硬度は不十分であると、当該スリーブは作動圧力において不整合状態となるかもしれず、バルブ本体12から押し出されるかもしれない。スリーブの硬度が過度である場合、ゲート16を密閉することができない場合があり、そのため、圧縮永久歪みが発生して、密閉不具合をもたらすかもしれないことが経験的に分かっている。バルブ10が好適な直径である直径8インチ(20cm)の通路20を有する場合、硬度がおよそ48〜70デュロメータであるエラストマースリーブが設計圧力において正しく動作する。エラストマースリーブの適切な硬度は、異なる通路直径を有するバルブに応じて異なる場合がある。図4を参照すると、スリーブ52aおよび52bそれぞれの主要リップ96aおよび96bは、ゲート16が通路20を閉塞させている時は常に、ゲート16の対向する側部上の周辺マージンに対して押圧されている。図5を参照すると、ゲート16の不在時において、主要リップ96aおよび96bは、相互に係合して、通路20を雰囲気から密閉する。好適には、バルブ10は、グリースポイントも含む。このグリースポイントは、スリーブ寿命の長寿化および操作容易性の促進のために、チャンバ内にグリースを導入してエラストマースリーブ52aおよび52bを潤滑するためのものである。一実施形態において、硬質ワイパーが従来のパッキング材料と共に本体構造12の上部内に配置される。この硬質ワイパーは、チャンバ内のグリースを密閉する機能を果たす。また、ワイパーは、ゲート16がワイパーを通じてスライドする際に、ゲート16から処理媒体材料をこそげ落とす。このワイパーは、当該スラリーの温度および化学的特性に応じて多様な材料(例えば、UHMW(商標)としてHoeshst Celanese of Chatham(N.J.)から市販されているポリエチレン、Dupontから市販されているTeflon(商標)(すなわち、フッ化エチレンプロピレン)、または304または316の種類のステンレス鋼)から形成されてもよい。清掃領域が、滴受けに接続される。この滴受けは、ゲート16とシールユニット50aおよび50bとの間で偶然漏洩する場合があるあらゆる流体を収集する。別の実施形態において、図8に示す固体部材42をゲート16の上部に固定して、この固体部材42を、通路20内の構成物に対する障壁として機能させてもよい。
【0014】
ゲート16は、金属材料、プラスチック材料または複合材料であってもよく、7°〜12°(好適には8°〜10°)のテーパー46を有し、前縁48の両側に沿って接地(すなわち、金属プレートに対して)している。ゲート16の前縁48上のテーパー部46の角度は、前縁48がエラストマースリーブ52aおよび52bを切断しないように、十分に大きい角度が選択される。この角度は、スリーブ52aとスリーブ52bとの間のゲート16の動きを容易にしかつゲート16が動いているときの漏洩を最小限にするように、十分に小さくされる。
【0015】
図2〜図5および図8〜図10に示すように、1組の第1および第2の剛体支持部材または断片201aおよび201bは、ゲート16の第1の側および第2の側上の通路20の周囲において、本体構造12に固定される。一般的に、複数の組の第1の支持部材201aおよび第2の支持部材201bが、通路20の周囲に配置される。例えば図2に示すように、典型的な数の支持部材断片201aおよび201bの組が、以下に説明するように本体構造12内の通路または開口部の周囲に配置されてもよい。用いられる支持部材の数およびそのそれぞれの通路開口部周囲での配置は、特定の用途に応じて異なる。好適には、支持部材断片の数は、例えば約2組〜約14組、より好適には約4組〜約12組、最も好適には約6組〜約10組であってもよい。これらの剛体支持部材201aおよび201bは、本体構造12からゲート16の横断経路に向かって延び、ここで、ゲート16に最も近い第1の剛体支持部材および第2の剛体支持部材の表面は、本体構造12の表面を越えて延びる。剛体支持部材201aおよび201bは、本体構造12の開口部の内径に沿って離間され、かつ、片側に圧力が付加された場合に、下流エラストマースリーブ52aまたは52bが過圧されるのを防ぐ。その結果、シールユニット50aおよび50bのうち対応する上流の1つの周囲における漏洩が低減し、エラストマースリーブ52aおよび52bの耐久性が向上する。加えて、支持部材201aおよび201bにより、ゲート16が本体構造12内に配置されているときのゲート16の十分な方向支持が得られる。例えば、図8〜図10に示す線形ゲートバルブ10において、ゲート16は、開放位置と閉鎖位置との間で横断する際に、本体12と接触してもよい。その結果、ゲート10が金属である場合、金属間接触が発生し、望ましくない摩耗に繋がり得る。支持部材201aおよび201bの1組により、ゲート16の整合状態が保持され、これにより、バルブ本体12に対する望ましくない圧縮が回避される。
【0016】
図4は、閉鎖位置におけるゲート16を示す。閉鎖位置において、ゲート16は、エラストマースリーブ52aとエラストマースリーブ52bとの間に延びる。ゲート16がエラストマースリーブ52aとエラストマースリーブ52bとの間で横断すると、支持部材201aおよび201bのうち1つにより下流エラストマースリーブ(52aまたは52b)が支持され、これによりその過圧縮が回避される。また、支持部材201aおよび201bにより、前記ゲートが前記スリーブを通過する際に前記エラストマースリーブが前記通路内に曲がるのも回避される。図5は、バルブ10が開放位置にある様子を示す。開放位置において、ゲート16は、エラストマースリーブ52aおよび52bから離れて上昇または回転している。ゲート16が開放すると、エラストマースリーブ52aおよび52bは、処理媒体が本体構造12内に入るのを回避するための密閉部を形成する。
【0017】
支持部材201aおよび201bは、圧力および温度に応じて多様な材料で形成されてもよく、例えば、プラスチック組成物(例えば、Hoeshst Celanese of Chatham(米国ニュージャージー州)からUHMW(商標)として市販されているポリエチレン、DuPont Company of Wilmington(米国デラウェア州)から市販されているガラス充填Teflon(商標)(すなわち、フッ化エチレンプロピレン)、Chevron Phillips Company LLC of Woodlands(米国テキサス州)から市販されているRyton(商標)、およびDuPont Company of Wilmington(米国デラウェア州)から市販されているDelrin(登録商標)などの、エラストマー系スリーブよりも温度許容度が高い構成物を一般的に含む。好適には、これらの支持部材は、DuPont Company of Wilmington(米国デラウェア州)から市販されているDelrin(登録商標)製のプラスチック組成物を含む。
【0018】
図6は、本体構造12内の支持部材201aおよび201bを受け入れる凹部を示す。これらの支持部材201aおよび201bは、本体構造12内の開口部の周囲において凹部に挿入され、これにより、バルブ10の主貫通ポート、すなわち通路を規定する。これは、本体を適切に機械加工することにより、行われてもよい。そのため、金属本体半分部は、各ゲート支持部材201aおよび201bのポケット203および雌スロット204によって画定された凹部と共に、機械加工される。このポケット203およびスロット204は、ラジアル方向に本体構造12の各半分のゲート支持面内に機械加工される。先述したように、ゲート16が高差圧下にあり、かつスリーブ52aおよび52bが過圧状態にある場合、ゲート支持面内の支持部材201aおよび201bはゲート16を軸方向において支持する。機械加工により、本体構造12の各半分内にキーまたはリップが形成される。このポケットおよびスロットの組み合わせは、平坦な「L」字型形状とみなすことができ、支持部材201aおよび201bの軸方向ロッキング機構である。支持部材201(201aまたは201b)の例示的構成を図7に示す。理解されるように、支持部材201は概して矩形形状であり、「L」字型部207を含む。この構成は、ポケット203およびスロット204内において少なくとも部分的に配置され、これにより、各支持部材を本体構造12内に保持する。具体的には、下部207がスロット204内に配置され、前部207aが通路内に部分的に延びる。支持部材201の質量のうち大部分は、ポケット203およびスロット204の構成によって画定された凹部内に配置されてもよく、これにより、前記支持部材は、ゲート16からスリーブ52aおよび52b上にかかる圧縮力に耐えることができる。もちろん、代替的な凹部および支持部材の構成を用いてもよく、その場合、ゲート作動時の関連する力に耐えつつ、前記支持部材は前記凹部内において少なくとも部分的に保持される。
【0019】
支持部材201aおよび201bは、機械加工され、整合する雄キーまたはリップにより、支持部を軸方向において当該本体半分内にロックする。例えば、これら支持部材201aおよび201bも、平坦な「L」字型形状を有するものとしてみなすことができる。このキーの寸法は、金属本体半分内の雌スロットの寸法と整合する。その後、支持部材201aおよび201bを機械加工された金属本体内に据え付けることができる。この時点において、支持部材201aおよび201bは、雌ハウジングスロット内に挿入および圧入される。一般的にこの時点では、支持部材201aおよび201bをバルブ本体内に保持するために接着剤または締結具は用いられない。代替的な1つの実施形態において、接着剤または締結具が用いられ得る。据付後、金属ハウジング内においてキー固定されたスロットにより、支持部材201aおよび201bが本体構造12内において軸方向に移動することが回避される。その後、支持部材201aおよび201bは放射状に保持される。これら2つのバルブスリーブ52aおよび52bが本体構造12内に据え付けられた後、ゲート支持部材201aおよび201bは放射状に保持される。例えば、図1に示すように、スリーブ52aおよび52bの外径の物理的接触部208により、各支持部材201aおよび201bの内側半径が本体構造12内において所定位置にロックされる。
【0020】
これらのゲート支持部材201aおよび201bを断片化された設計にすることにより、2つの大きな特徴が得られる。第1に、断片化された設計により、これらの支持部材201aおよび201bを本体構造12内に放射状に据え付けることが可能になる。第2に、断片化された設計により、表面が断片化されていない場合にスラリーが蓄積して隆起形状を形成することが無くなる。その結果、バルブ10の作動時におけるゲート面上および本体空洞内へのスラリーの蓄積が最小化される。
【0021】
支持部材201aおよび201bの摩擦係数が低いほど、抗力と、バルブの対応するスラスト要求およびトルク要求とが低減する。バルブ10が加圧された場合、バルブゲート16は、本体構造12に対してよりも支持部材201aおよび201bに対してより容易にスライドする。その結果、抗力量が低下し、これにより、バルブアクチュエータへの要求が低下し、そのため、バルブアクチュエータを小型化することが可能となる。ゲート16と金属本体半分との間の接触が低下するため、本体およびゲート16上の摩耗も低下する。
【0022】
図8は、線形ゲートバルブ10の断面図であり、本体構造12の各半分内にエラストマースリーブ52aおよび52bが設けられている。支持部材201aおよび201bは、ゲート16を両方向において支持するようにゲート16の両側上に据え付けられ、かつ、ナイフゲートバルブ10を双方向にする。支持部材201aおよび201bはまた、スリーブ52aおよび52b上での圧縮を低減することで、スリーブ52aおよび52bの摩耗特性および密閉能力を向上させる。その結果、スリーブ52aおよび52b上への圧縮が制御されるため、スリーブ52aおよび52bによる密閉が向上する。図9は、図8に示すゲートバルブ10を線D−Dに沿って切り取った断面図であり、支持部材断片201aの配置を示す。理解されるように、支持断片201aは、エラストマースリーブ52aに隣接するバルブ10の流れ通路の周囲に放射状に配置される。支持部材201aの数および配置は、具体的な用途と、エラストマースリーブ52aの支持に関する要求によって異なる。図10は、図8に示すゲートバルブ10を線C−Cに沿って切り取った断面図であり、支持部材201aおよび201bの本体構造12の各凹部内における配置を示す。支持部材201aおよび201bは、ゲート16の縁部と係合する。これらの縁部は、エラストマースリーブ52aおよび52bを越えて延びる。スリーブ52aおよび52bはそれぞれ、支持部53aおよび53bを含んでもよく、これにより、前記スリーブを構造的にさらに支持する。
【0023】
例1
【0024】
8インチの(8in)開口部を有する回転ゲートバルブ。前記ゲートの片側上の8個の支持部材は、片側の表面積が0.62平方インチであるUHMW(商標)製であった。その結果、前記ゲートに隣接する表面積合計はおよそ5平方インチとなった。
【0025】
例2
【0026】
8インチの(8in)開口部を有する回転ゲートバルブを構成した。前記ゲートの片側上の8個の支持部材は、片側の表面積が0.62平方インチであるPTFE製であった。その結果、前記ゲートに隣接する表面積合計はおよそ5平方インチとなった。
【0027】
例3
【0028】
14インチのClarkson線形作動型ナイフゲートバルブを本発明によって構成した。これらの支持部材はUHMW(商標)製であった。このバルブは、前記ゲートの各側上の4個のゲート支持部により構成された。各支持部材の(前記ゲートに隣接する)表面積はおよそ10平方インチであり、前記ゲートに隣接する側部毎におよそ36平方インチとなった。
【0029】
分析によれば、前記UHMW(商標)の組成物の降伏強さは、前記PTFEよりも少ない変形をもたらしたことが分かった。変形が最も少なかったのは、Ryton(商標)であった。従って、PTFEの場合、その他2つの組成物よりもより大きな表面積が必要となり、前記Ryton(商標)に対するよりも大きなPTFE表面領域が必要となる。
【0030】
上記の本発明の好適な実施形態の詳細においては、その基礎となる原理から逸脱すること無く多くの変更を行ってもよいことが当業者にとって明らかである。従って、本発明の範囲は、ひとえに以下の特許請求の範囲のみによって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートバルブであって、
その中を貫通する通路を画定する第1の側部および第2の側部を備えた本体構造と、
前記通路内に横断方向に配置されたゲートであって、その中を貫通して流れる媒体流れを閉塞させるのに適し、前記通路内に配置された場合、対向する側部を画定し、前記側部はそれぞれ、周辺マージンを有する、ゲートと、
前記第1の側部および前記第2の側部によって画定された前記通路内に配置された第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブであって、各エラストマースリーブは連続リップ部を有し、前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブの前記リップ部は、前記ゲートが前記通路を閉塞させているとき、前記ゲートの前記周辺マージンと係合し、前記ゲートが前記通路を閉塞させていないとき、相互に係合する、第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブと、
前記ゲートの前記第1の側部上の前記通路の周囲において、前記本体構造に固定された第1の複数の剛体支持断片であって、前記第1の複数の剛体支持断片は、前記通路から離隔方向に放射状に前記第1のエラストマースリーブの周囲に配置され、前記本体構造から前記ゲートの前記横断経路に向かって延びる、第1の複数の剛体支持断片と、
前記ゲートの前記第2の側部上の前記通路の前記周囲において、前記本体構造に固定された第2の複数の支持断片であって、前記第2の複数の剛体支持断片は、前記通路から離隔方向に放射状に前記第2のエラストマースリーブの周囲に配置され、前記本体構造から前記ゲートの前記横断経路に向かって延び、前記ゲートに最も近い前記第2の剛体支持部材の前記表面は、前記本体構造の前記表面を越えて延びる、第2の複数の支持断片と、
を備える、ゲートバルブ。
【請求項2】
前記ゲートに最も近い前記第1の複数の剛体支持断片それぞれの表面は、前記本体構造の前記表面を越えて延びる、請求項1に記載のゲートバルブ。
【請求項3】
前記ゲートに最も近い各前記第2の複数の剛体支持断片それぞれの表面は、前記本体構造の前記表面を越えて延びる、請求項1に記載のゲートバルブ。
【請求項4】
前記第2の複数の剛体の断片は、前記第1の複数の剛体支持断片と鏡面対称である、請求項1に記載のゲートバルブ。
【請求項5】
前記第1の複数の剛体の断片は、前記ゲートを支持するのに十分な前記第1のエラストマースリーブの周囲において、非連続的に配置される、請求項1に記載のゲートバルブ。
【請求項6】
前記第2の複数の剛体の断片は、前記ゲートを支持するのに十分な前記第2のエラストマースリーブの周囲において、非連続的に配置される、請求項1に記載のゲートバルブ。
【請求項7】
ゲートバルブであって、
その中を貫通する通路を画定する第1の側部および第2の側部を備えた本体構造と、
前記通路内に横断方向に配置されたゲートであって、その中を貫通して流れる媒体流れを閉塞させるのに適し、前記通路内に配置された場合、第1および第2の周辺マージンを画定する、ゲートと、
前記第1の側部および前記第2の側部によって画定された前記通路内に配置された第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブであって、各エラストマースリーブは連続リップ部を有し、前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブの前記リップ部は、前記ゲートが前記通路を閉塞させているとき、前記ゲートの前記第1および前記第2の周辺マージンと係合し、前記ゲートが前記通路を閉塞させていないとき、相互に係合する、第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブと、
前記本体構造の前記第1の側部内に配置された第1の凹部であって、前記第1の凹部は、放射状に前記第1のエラストマースリーブの周囲に延びる、第1の凹部と、
前記本体構造の前記第2の側部内に配置された第2の凹部であって、前記第2の凹部は、放射状に前記第2のエラストマースリーブの周囲に延びる、第2の凹部と、
前記第1の凹部内に少なくとも部分的に配置された第1の剛体支持部と、
前記第2の凹部内に少なくとも部分的に配置された第2の剛体支持部であって、前記第1の支持部および前記第2の支持部は、前記ゲートが前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブと係合した際に、前記第1のエラストマースリーブおよび前記第2のエラストマースリーブの圧縮を低減するように構成される、第2の剛体支持部と、
を備える、ゲートバルブ。
【請求項8】
前記第1の凹部は、前記第1の剛体支持部を受け入れるように構成されたスロットおよびポケットによって画定される、請求項7に記載のゲートバルブ。
【請求項9】
前記第2の凹部は、前記第2の剛体支持部を受け入れるように構成されたスロットおよびポケットによって画定される、請求項7に記載のゲートバルブ。
【請求項10】
前記第1の凹部内において前記通路の周囲において非連続的に配置された複数の第1の剛体支持部をさらに備える、請求項7に記載のゲートバルブ。
【請求項11】
前記第2の凹部内において前記通路の周囲において非連続的に配置された複数の第2の剛体支持部をさらに備える、請求項7に記載のゲートバルブ。
【請求項12】
前記第1の凹部は、前記第1の剛体支持部を受け入れるように構成された内部周囲を画定する、請求項7に記載のゲートバルブ。
【請求項13】
前記第2の凹部は、前記第2の剛体支持部を受け入れるように構成された内部周囲を画定する、請求項7に記載のゲートバルブ。
【請求項14】
ゲートバルブであって、
その中を貫通する通路を画定する第1の側部および第2の側部を備えた本体構造と、
前記通路内に横断方向に配置されたゲートであって、前記ゲートは、その中を貫通して流れる流体流れを閉塞させるのに適し、前記ゲートは、前記通路内に配置された場合、第1の周辺マージンおよび第2の周辺マージンを画定する、ゲートと、
前記第1の側部および前記第2の側部によって画定された前記通路内に配置された第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブであって、各エラストマースリーブは連続リップ部を有し、前記第1のスリーブおよび前記第2のスリーブの前記リップ部は、前記ゲートが前記通路を閉塞させているとき、前記ゲートの前記第1の周辺マージンおよび前記第2の周辺マージンと係合し、前記ゲートが前記通路を閉塞させていないとき、相互に係合する、第1のエラストマースリーブおよび第2のエラストマースリーブと、
前記本体構造の前記第1の側部内に配置された第1の凹部であって、前記第1の凹部は、放射状に前記第1のエラストマースリーブの周囲に延びる、第1の凹部と、
前記本体構造の前記第2の側部内に配置された第2の凹部であって、前記第2の凹部は、放射状に前記第2のエラストマースリーブの周囲に延びる、第2の凹部と、
複数の第1の剛体支持部であって、それぞれ、前記第1の凹部内において少なくとも部分的に配置される、複数の第1の剛体支持部と、
複数の第2の剛体支持部であって、前記複数の第2の剛体支持部は、前記第2の凹部内において少なくとも部分的に配置され、前記第1の支持部および前記第2の支持部は、前記ゲートの前記本体構造との接触を回避するように構成される、複数の第2の剛体支持部と、
を含む、ゲートバルブ。
【請求項15】
前記第1の凹部は、前記第1の剛体支持部を受け入れるように構成されたスロットおよびポケットによって画定される、請求項14に記載のゲートバルブ。
【請求項16】
前記第2の凹部は、前記第2の剛体支持部を受け入れるように構成されたスロットおよびポケットによって画定される、請求項15に記載のゲートバルブ。
【請求項17】
前記複数の第1の剛体支持部は、前記第1の凹部内において前記通路の周囲において非連続的に配置される、請求項15に記載のゲートバルブ。
【請求項18】
前記複数の第2の剛体支持部は、前記第2の凹部内において前記通路の周囲において非連続的に配置される、請求項15に記載のゲートバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−517570(P2012−517570A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549320(P2011−549320)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/023547
【国際公開番号】WO2010/093594
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(311016499)タイコ、バルブズ、アンド、コントロールズ、リミテッド、パートナーシップ (3)
【氏名又は名称原語表記】TYCO VALVES & CONTROLS LP
【Fターム(参考)】