説明

一体型PEM燃料電池

一体型PEM燃料電池はガス不浸透性プレート(24)の表面から延伸し、かつMEA組立体のアノードおよびカソードを形成すべく互いに隣接する端に対向するコーティングされていない端(212)で終端するファイバの群(211)を用いるバイポーラプレート組立体を有する。端部にはビーズまたは薄膜の形態で触媒サポートと触媒を与えることができ、膜に結合される。組立体は一体化されたシールを用いることができ、スタックの終端において同様のファイバ構成物を用いたコレクタプレートを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池バイポーラプレートの設計、材料、および処理、燃料電池ガス拡散層設計の微細構造、触媒および触媒支持体、プロトン交換膜、ならびに単一セルおよび複数セルスタックへの構成要素の一体化に関する。
【背景技術】
【0002】
PEM燃料電池の現状では、バイポーラプレート−MEAの電気接触は、ガス拡散層によって起こる。通常、GDLは、多孔質カーボン粉末−ポリマー混合物(MDL)でコーティングされた織物または不織布材料からなる2層複合材料である。燃料電池に組立てられると、カーボンファイバ材料はバイポーラプレート表面に向き、一方、MDL面はMEAの電解触媒層に向く。GDLの主要な機能は、MEA表面全体にわたって反応物および電子を均一に分配し、触媒層内の液体水を管理することである。設計が最適化されていないため、その役割は、非常に制限されかつ予測不能である。GDL故障運転の結果として、PEM燃料電池は、高い性能低下および短い寿命を持つ。不均一運転についての主要な理由の1つは、燃料電池の構成要素内の界面電気接触、および、GDL伝導性自体を増加させるために燃料電池上に誘発されるGDLに課される圧縮力である。GDLのx−y平面内で整列するカーボンファイバ層は、電気抵抗を最小にするために一定の力の下になければならない。この圧縮は、アノードおよびカソードのバイポーラプレートのランド(land)が重なるエリアで最も高く、両方のプレートの流路が交差するエリアで最も低い。そのため、GDLの電気伝導率は、ランドに接触しているエリアで最も高く、流路の上で最も低い。圧縮は、次に、反応物流れ分布および水管理多孔質媒体(water management porous media)に対して逆効果になる。圧縮が最も高いエリアでは、GDL内の孔が、力の
下で減じるため、流れが最も低く、しかし、圧縮が全くないかまたは低いスポットでは、孔が不変のままになり、反応物がMEAまで自由に通過することを可能にする。その結果、ランドのエッジであるMEAの最も活性のあるエリアにおいて、最も高い電流密度が生成される。その理由は、そのエリアが、最も高い濃度の反応物および最も高い電気伝導率を共に有するからである。さらに、触媒層で液体水を管理するGDLの毛管作用もまた、孔サイズの変化によって影響を受ける。圧縮下で減少し不規則な幾何形状を得る圧縮下の孔は、水を蓄積し始め、水管理能力を喪失することになる。したがって、不均一な電気化学的応力および機械的応力の結合作用は、ポリマー電解質膜内に過負荷エリアを生成し、その早期故障をもたらすことになる。本発明は、新規な手法によってこれらの欠点に対処し、欠点をなくす。
【0003】
低温(LT)または高温(HT)PEM燃料電池で使用される3層MEAは、アノード触媒層およびカソード触媒層が対向する面上にコーティングされたイオン交換膜からなる。MEAの活性触媒エリアは、通常、燃料電池をシールするために使用される未コーティング膜で囲まれる。LTまたはHT技術の現状では、触媒被膜の主成分は、カーボン粉末(Pt/C)およびイオン交換ポリマー上に支持されたプラチナ触媒(Pt)である。通常、ポリマーは、膜を作るために使用されるポリマーと同じである。被膜は、通常、成分をインクに混合することによって作られ、インクは、その後、薄膜技術において良く知られている標準的な技法を使用して膜表面上に塗布される。任意のタイプのPEM水素/空気燃料電池の場合、アノード電極とカソード電極の結合体についての典型的なPt装填は、最低0.6mg/cmである。被膜として塗布されるときのこの触媒量は、Pt/C触媒粉末と比較して30%だけの電気化学的にアクセス可能な表面積を有する。しかし、運転中、初期触媒表面積は、溶解、再結晶化、および凝集によるPt粒子の成長により、約10%までさらに減少する。したがって、MEAに堆積される触媒量は、触媒堆積方法が最適化される場合、90%だけ減少しうる。こうした進歩の主要な利益は、MEAのコ
スト低減である。Ptコストは、たとえその大量消費市場生産様式においても、MEAコストにおいて支配的であると、いくつかの分析が予測している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のPEM燃料電池技術で使用されるプロトン伝導性膜は、酸ベースポリマーで作られる。たとえば、商標名Nafion(登録商標)の下で知られているスルホン化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマーは、通常、LT燃料電池の場合に使用され、一方、Celtec(登録商標)MEAで採用されたリン酸をドープしたポリベンジルイミダゾール(PBI)は、HT燃料電池の場合に使用される。競合するLTおよびHT膜におけるプロトン伝導性は、液体媒体依存性がある。Nafion(登録商標)のビヒクルタイプのプロトン伝導性メカニズムは、膜内の液体水の存在によって可能にされる。高い水含有量および低い水含有量は、Nafion(登録商標)を膨張させまた収縮させ、早期膜故障をもたらす機械的応力を誘起する。さらに、吸収された水は、ポリマー可塑剤として働き、特に高温での膜クリープを増加させる。その結果、膜故障は、クリープが加速される結果として、ずっと速い頻度で起こる。HT膜内のプロトン伝導性は、たとえ異なるメカニズム(グロッタス(Grotthuss))によって起こっても、依然として液体依存
性がある。この膜において、プロトンコンダクタンスは、リン酸分子の会合(association)および解離(disocciation)によって形成される動的水素結合ネットワーク内での分
子間プロトン移動によって発生する。親水性が高いため、リン酸は空気から絶えず水を吸収する。希釈された酸は、膜から出て移動し、ガス孔およびチャネルを塞ぎ、金属触媒と化学的に反応する。これらの全ての変化は、最終的に、HT MEA寿命を制限し、HT燃料電池を、液体水の存在に対して極端に敏感にさせる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、一体型PEM燃料電池は、少なくとも2つのバイポーラプレート組立体を含み、それぞれが、ガス不浸透性プレート、および、それぞれのファイバが第1のアノード端および第2のカソード端を有する、複数の一方向電気伝導性ファイバを含む。ファイバは、プレートに垂直に延在する縦方向バンドルにグループ化され、アノード端はプレートの一方の面上にあり、カソード端はプレートの他の面上にある。バンドルはそれぞれ、ガス不浸透性被膜でコーティングされる。被膜はプレートからファイバ端のそれぞれに向かって延在し、端部に隣接するファイバの一部分は未コーティングのままである。ファイバ端部分はファイバ先端を呈する未コーティングファイバブラシに移行する。バイポーラプレート組立体の1つの組立体のアノード面は、別のバイポーラプレート組立体のカソード面に向く。
【0006】
燃料電池は、アノードファイバ端のファイバ先端上に位置するアノード触媒支持体およびアノード触媒支持体上に位置するアノード触媒を有する膜電極接合体をさらに含む。カソード触媒支持体は、カソードファイバ端のファイバ先端上に位置し、カソード触媒は、カソード触媒支持体上に位置する。プロトン交換膜は、カソード触媒支持体およびアノード触媒支持体を相互接続する。
【0007】
アノード触媒支持体およびカソード触媒支持体は、それぞれ、触媒カチオンがプロトンと交換されるイオン交換ポリマーでありうる。アノード触媒支持体およびカソード触媒支持体は、それぞれ、ファイバ端上の液滴または薄い被膜として形成されうる。
【0008】
プロトン交換膜は、ファイバ端上の触媒支持体上に設置されたイオン交換ポリマーとして形成されることができ、また、電解触媒は、触媒支持体における表面カチオンの還元によって、触媒支持体の液滴または薄い被膜の表面上に設置されることができる。
【0009】
ファイババンドルは、マトリスクで配列されて、プレートの一方の面上に燃料流場を、また、プレートの他の面上に酸化剤流場を規定することができる。
燃料電池は、バイポーラプレート組立体の1つの組立体のアノード端に電気接続するための伝導性プレート、および、バイポーラプレート組立体の別の組立体のカソード端に電気接続するための第2の伝導性プレートを含むコレクタプレート組立体をさらに含みうる。プレートは伝導性樹脂で構成されうる。
【0010】
各バイポーラプレート組立体のファイババンドルは、バイポーラプレート内に配置された電気伝導性基材によって交差され電気伝導性基材に接続されうる。あるいは、各バイポーラプレートを通して延在するファイバは、基材によってアノードファイバとカソードファイバに分離されうる。アノードファイバの少なくとも一部は、カソードファイバに対して軸方向にオフセットする。基材は、バイポーラプレートの周縁を超えて延在することができ、それにより、エッジ冷却を提供する。
【0011】
本発明の他の態様によれば、バイポーラプレート組立体は、アノード面上でプレートから延在するアノードファイバ群および対向するカソード面上でプレートから延在するカソードファイバ群を含む、ファイバ群で配列された複数の電気伝導性ファイバを含みうる。ファイバ群は、ファイバブロックであって、ブロックを不浸透性にする接着性マトリクス内に連続ファイバを含む、ファイバブロックとして形成されることができる。これらのファイバブロックは、燃料および酸化剤の少なくとも一方のための流れ経路を形成するように配列されうる。ファイバブロック内のファイバはまた、織物で配列されうる。あるいは、ファイバ群は、各ガス不浸透性プレート内の基材に搭載されたベルベットセグメントとして形成されうる。
【0012】
本発明の態様による燃料電池は、各バイポーラプレート組立体から延在するフックとして形作られたファイバ、および、各膜電極接合体に組込まれたループとして配列されたファイバを含みうる。
【0013】
本発明は、また、燃料電池内で膜電極接合体をバイポーラプレートと一体化するためのプロセスを提供する。プロセスは、
それぞれが、互いに向き合うファイバ端を呈するバイポーラプレート組立体を設けるステップと、
バイポーラプレートファイバの先端にポリマー液滴を堆積させるステップと、
ポリマービーズを得るために、液滴を乾燥させるステップと、
ポリマービーズを覆って、連続する薄いポリマー層を堆積させるステップと、
触媒支持体を得るために、ポリマービーズおよび連続する層内のプロトンを、触媒カチオンと交換するステップと、
前記触媒支持体上に金属触媒をもたらすように表面カチオンを還元するステップと、
プロトン伝導性膜層を構築するために、ポリマーを堆積させるステップと、
向き合うファイバ端の群上に形成された膜層を互いに結合するステップとを含みうる。
【0014】
本発明の他の利点は、本明細書の添付図面と共に考えられると、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるため、容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一体型単一燃料電池の側面図。
【図2】一体型バイポーラプレートの側立面図の詳細を示す図。
【図3】ファイバ配置構成、すなわち、a)ブロック、b)両面ブラシ、c)ベルベットの側立面図。
【図4】ファイバが両面ブラシ構成であるバイポーラプレートの平面図。
【図5】MEAと接触しているファイバ表面の詳細を示すバイポーラプレートの拡大図。
【図6】バイポーラプレートとMEAの一体化の詳細を示す、バイポーラプレート内のファイバの先端の拡大図。
【図7A】フックおよびループを使用する一体型燃料電池の側断面図。
【図7B】フックおよびループを使用する一体型燃料電池の代替の実施形態の側断面図。
【図8】a)ファイバ先端上への触媒粒子堆積、b)触媒層による、バイポーラプレートのファイバ−触媒−膜一体化構成の拡大図。
【図9】2つの異なるタイプのポリマー電解質膜を通した、考えられるプロトン移動メカニズムの線図。
【図10】2つの一体型燃料電池を含む燃料電池スタックの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、運転可能ポリマー電解質膜(PEM)燃料電池に一体化された膜電極接合体(MEA)およびバイポーラプレートを包含する。
本発明の一体型単一燃料電池(FC)1は、全体が図1に提示される。セル1は、膜電極接合体(MEA)3に対してミラー対称に配列された2つのバイポーラプレート2、シール4、ならびにガス入口および出口ポート5を含む。触媒支持体213は、バイポーラプレート2の一体部分であり、単一バイポーラプレート2の両方の面に設置されうる。触媒支持体213は、さらに、バイポーラプレートを、膜31の対向面に取り付けられたアノード触媒層32およびカソード触媒層33に接続する。反応物、通常、水素および酸化剤は、バイポーラプレート2上に位置する入口および出口ポート5を介して燃料電池1に供給されまた燃料電池1から排出される。ポート5は、内部にまたは外部にマニホールド化されることができる。一体型単一燃料電池は、電流コレクタプレート6が端バイポーラプレート10(図10)の外部表面に取付けられる場合、電気化学変換デバイスとして機能しうる。複数燃料電池スタックは、単一セル1の一体化によって作られ、図10に提示される2セルスタックの例に示すように、端セルに電流コレクタプレート6を付加することによって完成されうる。
【0017】
バイポーラプレート2は、通常、2つの隣接する燃料電池間で共有される。バイポーラプレート2は、実際には、2つのセルのアノードとカソードを電気接続する。そのため、バイポーラプレート2の一方の面は正に帯電し、一方、対向面は負に帯電する。バイポーラプレート2は、隣接するMEAのアノード触媒サイトおよびカソード触媒サイトに反応物を供給し分配する。しかし、バイポーラプレート2は、ガス混合に対して物理的障壁を生成する。バイポーラプレート2の正に帯電した表面は、一方のMEAのアノード表面からの水蒸気があるかまたはない状態で、燃料を導入し、分配し、排出し、一方、負に帯電した面は、第2の隣接するMEA3(図示せず)のカソード表面からの水蒸気がある状態で、酸化剤を導入し、分配し、排出する。さらに、バイポーラプレート2は、他の燃料電池構成要素(GDL、MEA)をその対向面に搭載するための構造的支持を提供することができる。
【0018】
図2に示す一体型バイポーラプレート2の詳細は、考えられる実施形態の1つを示す。一体型バイポーラプレート2は、フラットプレート24からなり、一方向電気伝導性ファイバ21がプレート24の表面に垂直に整列する。ファイバ21は、1つの面から他の面まで連続して延びる。プレート24のベース材料241に埋め込まれたファイバ21は、不浸透性ファイバ層211を生成する。ファイバ21の上側部分は、従順な(compliant
)ファイバブラシ212を作る緩いファイバからなる。MEA3との電気化学的接触は、実際には、ブラシ212とMEA表面3(図1)の一体化によって起こる。
【0019】
別の実施形態では、ファイバ21はまた、図2に示すように基材25に固定されることができる。基材は、電気伝導性であり、開口構造を有する1つまたは複数の不浸透性材料で作られることができる。固体不浸透性材料を含む実施形態では、カソードおよびアノードファイバは、基材25を介して電気接触状態にある。しかし、ファイバは、開口構造材料から作られると、基材を通して連続的に延びることができる。バイポーラプレート2を不浸透性にするために、ファイバ21および基材25は共に、ベース材料241によってカプセル化される。バイポーラプレート2内の流場チャネル22は、反応物を供給し、排出物を燃料電池から取り除くために形成される。ファイバ21を種々の構成で配列することによって、異なる形状を有するバイポーラプレート2が生産されることができる。
【0020】
図3を参照して、考えられるファイバ21の配置構成のいくつかが示される。たとえば、ファイバ21は、3−Dブロック(図3a)に、ブラシ(3b)に、またはベルベットに似た構成(図3c)にパックされうる。ファイバ21構成のいくつかは、ファイバ21が両面ブラシ内に配列される図3bにおいて現れるように、流場フィーチャが既に組込まれている、すぐに使用できるバイポーラプレート2をもたらす。しかし、ファイバブロックまたはベルベットから流場を作るために、さらなる作製ステップが必要とされる。所望の流場特性で反応物を分配するために、種々の流場タイプがファイバから形成されることができることを当業者は認識するであろう。これらの流場は、異なる構成のチャネル、波形の、多孔質の、または穿孔したプレート、梁構造、ならびに同様なものを含み、また、それに限定されない。図2に示すように、バイポーラプレート2は、ファイバ21が、フラットプレート24の一方の面から他の面へ基材を通して連続して延びる両面ブラシタイプ実施形態を有する。ファイバは、ある距離に離して配置されて、バイポーラプレート2の両面に指定された流れ特性を有するガスチャネル22を形成する。同じバイポーラプレート2の平面図が、図4に示される。この流場221は、梁構成を有する。流場221は、フラットプレート24の内部領域に位置し、フラットな周囲222で囲まれる。反応物は、入口/出口ポート5を通して流場221に供給される、または、流場221から排出される。ポート5は、この特定の実施形態に示す外部反応物マニホールド化のために、フラットプレート24の対向する角に位置するとすることができる。バイポーラプレート2の各面上の2つのポート5は、内部チャネル51を、外側燃料供給部/排出配管設備(図示せず)に相互接続する。基材25の削除は、両面ブラシ構成で配列されたファイバ21から生成される、同じバイポーラプレート2実施形態をもたらすであろう。図4に示すバイポーラプレート2の同様な設計もまた、片面ブラシ設計(図示せず)から作られうる。この場合、ファイバ21は、プレート24(図2)の中央に設置された電気伝導性基材25の対向面に接触するフラットプレート24のベース材料241に対称に埋め込まれる。ファイバ21本体と基材25の組立体は、カプセル化され、不浸透性バイポーラプレートをもたらす。反応物は、ポート5を通してチャネル51に入ると、交差運搬式(crossed channeled)流場221を通してバイポーラプレート2の面にわたって均一に分配される
。この流場構成では、埋め込まれたファイバ21は、連続層の代わりに、不浸透性ファイバポスト211を生成する。ポスト211の上部のブラシは、MEA3を支持し、MEA3と電気接続を行う。
【0021】
運転中、燃料電池は、固有エネルギー損失によって生成される過剰の熱を除去するために、電力を生成している間に、冷却される必要がある。開口カソード設計では、空気流は、通常、2重の役割を提供する。すなわち、空気流は、酸化剤を供給し、熱をなくす。しかし、空気冷却/加熱が適用可能でない燃料電池では、いくつかの他のタイプの熱調節が、バイポーラプレート2に一体化されなければならない。たとえば、電気伝導性基材25は、フラットプレート24の本体241より大きくされることによって周囲空気にさらされる場合、エッジ冷却のために使用されうる。液体冷却式システムの場合、カソード面に向くバイポーラプレートの本体241は、プレート24内でカプセル化される図10に提示される液体冷却材チャネル9を有することができる。各バイポーラプレート2内の冷却
材流場(図示せず)は、スタックを通して連続する冷却材流れを提供するために、内部にまたは外部にマニホールド化されることができる。
【0022】
両面ブラシタイプのバイポーラプレート2は、プラスチックブラシを製造するために知られている種々のプロセスを利用することによって生産されうる。種々のプロセスは、押出し、射出成形、熱成形、鋳造、圧縮成形、およびトランスファー成形を含むことができるが、それに限定されない。たとえば、図3に示すバイポーラプレート2は、ポリマーベース材料241内にカプセル化された、プリカットされかつ整列したファイババンドル21から、成形プロセスによって指定された全てのフィーチャを持って最終寸法に生産されうる。
【0023】
図3aに示すブロックは、通常、ファイバを不浸透性成分に強固に結合した状態に保つ接着剤/シーラントで処理されたファイバで作られる。好ましい実施形態では、連続した電気伝導性フィラメントは、連続するファイババンドルに圧縮されて、所望のサイズおよび形状になる前に、ポリマー溶液、溶融物、または樹脂を有する含浸浴を通過することができる。ある厚さを有するブロックが、その後、バンドルから切断され、流場221を作るために使用される。完全なバイポーラプレート2は、その後、図4に示す入口/出口フィーチャを有するフラットフレーム222を組込むことによって生産される。ブロックからバイポーラプレート2を作るために使用される製造プロセスは、成形、押出し、熱成形、および鋳造などの、ポリマー/ファイバの作製のために使用される方法を含む。
【0024】
述べた方法以外に、ファイバブロックはまた、電気伝導性ファイバが、横糸(weft)で結びつけられる縦糸を作る平織物から生産されることができる。織物は、接着剤/シーラントによって処理され、縦糸が同じ方向に向いた状態で圧縮されたバンドルに層状化される。連続ファイバから作られるブロックと同様に、ブロックは、さらなる処理のために、所望の厚さを有する布から切断される。
【0025】
図3bを参照して、片面ベルベットは、バイポーラプレート2の前駆体として使用されることができる。2つの材料片は、基材25が、外に向くファイバと密接状態になるように使用され組立てられる。基材25およびファイバは、その後、フラットプレート24の本体241を作るために使用されるポリマーによって処理される。バイポーラプレート2の流場221のフィーチャは、その後、成形、鋳造、押出し、熱成形などを含みうる種々の製造技法によって組込まれることができる。必要である場合、フラットな周囲222は、同様にこれらの技法を使用して流場222に付加されることができる。ベルベットに似た材料は、ウィービング、ニッティング、またはタフティング−ベルベット、ベロア、およびカーペットをそれぞれ生産するための、織物産業で通常使用される製造技法によって生産されることができる。コーデュロイタイプの織物のウィービング中に、流場チャネルは、同時に作られうる。
【0026】
図3に示す前駆体から図2に示すバイポーラプレート2を作るための材料は、熱硬化性または熱可塑性ポリマーなどのプラスチック、ポリマー複合物、ならびに、任意の種類の電気伝導性ファイバ、ファイババンドル、およびヤーンを含むことができる。ファイバ径は、ナノメートルから数十マイクロメートルの範囲にあるとすることができる。ファイバおよびポリマーの選択は、運転中の燃料電池内に存在する機械的応力、熱的応力、および化学的応力に対する耐性に基づく。さらに、適切な材料を選択するための重要な因子は、結合による膜材料との適合性である。好ましくは、バイポーラプレートのために使用されるポリマーは、膜または接着材料と同様のポリマーで作られる。選択されるファイバは、好ましくは、著しく良好な電気伝導性および熱伝導性の両方を有する。
【0027】
図5は、MEAと接触状態のファイバ表面の詳細を示すバイポーラプレートの拡大図で
ある。より具体的には、カプセル化されたファイバポスト211は、上方に延在してファイバブラシ212に入り、ファイバブラシ212は、バイポーラプレート2をMEAに相互接続させる。ファイバポスト211およびブラシ212は、図5に提示されるように種々の実施形態を有することができる。それらは、同じ径を有するファイバ(図5B1)またはマイクロおよびナノサイズ径を有する混合ファイバ(図5B2)を含むことができるが、それに限定されない。バイポーラプレート2はまた、ブラシ212に取付けられたさらなるナノファイバ層213を有することができる(図5B3)。ナノ層213は、限定はしないが、化学的、電気化学的、機械的、または静電的プロシージャを含む種々のプロシージャによって付加されることができる。ファイバポスト211、ブラシ212、存在すればナノ層213は、現在の燃料電池技術のチャネルおよびGDLと類似のマクロおよびマイクロ流体通路を生成する。図2に最もよく示されるように、カプセル化され、きつく圧縮され、不浸透性のファイバポスト211間の空間は、開口が広いファイバブラシ212間で徐々に減少する流れチャネル22を形成する。複数のマイクロ流体通路が、MEA3表面全体を均一に覆うファイバ内に画定され、容易に分配され、したがって、GDLに似た機能を有する。しかし、ブラシ212内のこれらのマイクロチャネルのサイズは、ファイバポスト211からMEA3表面に向かって徐々に増加する。このタイプの孔の幾何形状は、液体水を、MEA表面からファイバポスト211に向かってウィッキングするための増大した毛管作用を有することができる。さらに、ファイバブラシ212は、圧縮に対して容易に調整され、したがって、MEA3において均一な流体分布と伝導性を依然として提供しながら、圧縮または寸法変動に対処できる従順層を生成しうる。
【0028】
ブラシ212およびナノ層213のファイバの先端は、MEA3にさらに一体化される。方法のうちの1つは、触媒支持体としてのものである。図6を参照して、ブラシ212(B1)またはナノ層213(B3)の主構成要素でありうるファイバ214の上側端は、少なくとも1つのアノード触媒ビーズ32またはカソード触媒ビーズ33が取付けられている。好ましくは、触媒ビーズ32/33は、その後、膜処理中に膜31に結合される。溶液流延、吹き付け、ディップコーティング、スピンコーティング、押出し、メルト鋳造などの種々の技法、任意の技法の組合せ、または、不浸透性プロトン伝導性膜をもたらすことになる何らかの他のプロセスが使用される。結合されると、ファイバ214、触媒ビーズ32/33、および膜31は、ガス状反応物が電気化学的に変換できる多相境界ゾーンを形成する。
【0029】
図7Aおよび図7Bを参照して、バイポーラプレート2とMEA21を一体化するための別の方法は、商標名Velcro(登録商標)の下でよく知られている織物と同様のフックおよびループ締結具に基づくことができる。この適用形態の場合、フック215およびループ216は、対応する表面に埋め込まれた電気伝導性または非伝導性ファイバで作られうる。たとえば、フック215はバイポーラプレート2に一体化され、ループ216はMEA3の膜31に一体化される。フックのフラット部分は、プレート2の本体に固定されることができ、フック自体が、ブラシ212内のファイバと混ざり合わされている。一方、ループ(図示せず)は、膜31または触媒層21の一部として形成される。運転中、バイポーラプレート2内のフック215は、膜31または触媒層21内のループを把持し、ファイバブラシ212をMEA3と電気接触状態にする。通常、フックおよびループは、その製造中に、対応する燃料電池構成要素に組込まれうる。
【0030】
本発明の態様は、燃料電池の性能および耐久性を低下させることなく、少量の触媒がMEAにおいて使用されることを可能にする進歩した電解堆積方法を含む。この新規な手法では、高表面積金属触媒は、ファイバの上部に位置し、したがって、バイポーラプレートファイバおよび膜表面によって決定される、ガス、電子、およびプロトン反応界面との直接接触を有する。さらに、金属触媒は、膜基材内に徐々に浸透し、膜内に拡散障壁層を生成し、拡散障壁層は、膜内での溶解および再結晶化による触媒劣化を阻止する。さらに、
膜内に触媒を一体化するこの手法は、アノードおよびカソード触媒のための少量の貴金属の使用または貴金属の不要を可能にする。本発明の態様で使用される別の新規性は、金属触媒がその支持体に化学的に結合することであり、溶解による劣化または癒着を受けない非常に高い面積の触媒を生成することを可能にする手法である。そのため、原子サイズの触媒321層またはナノサイズの個々の粒子は、この実施形態では安定であることが予想される。
【0031】
図8に最もよく示されるように、アノード触媒層32またはカソード触媒層33は、バイポーラプレート2のファイバ214と膜31表面の両方に動作可能に接続される。たとえば、アノード触媒層32は、プロトン伝導体322および電子伝導体214と直接接触状態にある。触媒層は、金属触媒321および触媒支持体323を含む。金属触媒321は、触媒支持体323の表面を覆って堆積される。
【0032】
触媒堆積の種々の方法は、ファイバ214、触媒321、および膜31を一体化するために使用されることができる。たとえば、プロトン形態のイオン交換ポリマー322の溶液は、ファイバ214の先端に堆積されうる。表面張力により、ポリマーは、液滴を、また、乾燥後にファイバ214先端上に球状粒子を形成することになる。次のステップで、ポリマー322ビーズ内のプロトンは、溶解可能な塩触媒の水溶液内で触媒321カチオンと交換されることになる。イオン交換プロセスは、塩形態のイオン交換ポリマー322である触媒支持体323を形成する。このステップに続いて、球状ビーズの表面に位置する触媒321カチオンの還元が行われ、塩形態のポリマー322である支持体323の表面上への触媒金属堆積をもたらす。
【0033】
同様のプロシージャを使用して、膜表面下層もまた触媒作用を受けることができる。プロトン交換ポリマー322下層は、塩形態323に変換される。たとえば、一旦ポリマー液滴がファイバ214先端で乾燥すると、ポリマー322の薄い連続層が、ポリマービーズを覆って堆積される。イオン交換および還元は、その後、ポリマービーズおよびビーズに接触状態のフィルム表面上で同時に行われる。触媒321の厚さおよび形状は、濃度、温度、および時間などの反応条件によって操作されることができる。要約すると、図7aを参照して、バイポーラプレートおよびMEAの一体化のためのプロシージャは、
1)バイポーラプレートファイバ214の先端にポリマー322液滴を堆積させるステップと、
2)ポリマー球(ビーズ)を得るために、液滴を乾燥させるステップと、
3)ポリマー球を覆って、連続する薄いポリマー322層を堆積させるステップと、
4)触媒支持体323を得るために、ポリマー322球および連続する層内のプロトンを、触媒321カチオンと交換するステップと、
5)触媒支持体323上に金属触媒をもたらすように表面カチオンを還元するステップと、
6)プロトン伝導性膜層を構築するために、ポリマー322を堆積させるステップとを含むことができる。
【0034】
同じプロシージャは、カソード触媒層33を堆積させるために使用されうる。2つの半分のセル(アノードおよびカソード)は、その後、膜堆積プロセス中に膜層を互いに結合することによって単一セルに一体化されることができる。ステップ1)は、いくつかの実施形態では、省略される可能性があり、バイポーラプレート、触媒、および膜の一体化は、図7bに示す他の手段によって達成されうる。たとえば、ファイバループが膜表面上に堆積され、フックがブラシ212内に一体化されるとき、一体化は、フックおよびループ機構によって達成される。この場合、ファイバループは、最初に膜表面に堆積され、次に触媒321層が、ステップ2〜6に従って堆積される。別の実施形態では、ナノファイバなどの場合に、単位面積当たりのファイバ先端の数が非常に高いとき、触媒層に対するフ
ァイバの接着は、バイポーラプレートとMEAを一体化するのに十分に強いとすることができる。この実施形態では、触媒層は、ステップ2〜6を使用して膜上に直接堆積される。使用される触媒は、薄層(1原子サイズからナノサイズまで)としてまたは粒子(ナノサイズからマイクロサイズまで)として堆積される、純金属、金属合金、または金属錯体を含むことができるが、それに限定されない。触媒は、ポリマーまたは他の燃料電池構成要素に影響を及ぼさない種々の溶液からプロトン伝導性ポリマー上に沈降されうる。膜表面上に存在する触媒層はまた、PVDまたはCVDなどの非溶媒薄膜技法によって付加されることができる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、新しい材料化学が、低い運転温度および高い運転温度における非液体ベースプロトン伝導のための塩基として使用される。図9に示すように、膜31は、酸化ポリマーなどの内因性プロトン供与体、および、有機または無機ポリオルあるいは酸素および窒素含有高分子などの不動態化されたプロトン溶媒の混合物として調製されることができる。化学構造は、プロトン供与体分子とプロトン受容体分子との間で形成される水素結合ネットワーク内での分子間プロトン移動を可能にする。たとえば、スルホン化ポリマーのスルホン酸基からのプロトンおよび添加剤1からの水酸基は、液体水の存在下でNafion(登録商標)内に存在するものと同様に水素結合ネットワークを生成する。しかし、この材料内のプロトン伝導性は水依存性がある。スルホン化ポリマーと両性電解質添加剤2を含む材料混合について図9に提示される別の例では、無水プロトン伝導が、あるpHを有する酸に似た溶液の場合と同様に水素結合によって膜を通して起こる。膜31の作製のために使用されるバルクポリマー混合物を作るために、ポリマー固体、液体、または液状前駆体の均質化は、種々の混合方法によって実施されうる。生産されたバルクポリマーは、その後、成形、鋳造、および押出しを含むことができるがそれに限定されない、当技術分野で知られている任意のポリマー処理方法によって膜31に形作られる。しかし、この膜31フィルムは、ディップコーティング、スピンコーティング、または吹き付け技法を使用してポリマー溶液から生産されることができる。さらに、組織化ナノ構造を有する薄膜31フィルムは、交互(layer by layer)(LBL)方法を使用して生産されることができる。この方法は、使用されるプロトン供与体およびプロトン受容体成分から多層膜31を生産することを可能にする。最終的な膜構造は、各化合物の個々のナノ層の連続する堆積を通して得られる。堆積条件を選択して、膜31のナノ構造は、所望の膜特性を得るために変更されうる。任意のスルホン化ポリマー、カルボキシル化ポリマー、またはホスホナート化ポリマーは、プロトン供与体材料として使用されることができる。一方、使用される共役プロトン受容体塩基は、ポリヒドロキシルアルコール、ポリマー金属水酸化物、第4級アンモニウムカチオン高分子、または窒素含有ポリマーを含むことができるが、それに限定されない。
【0036】
ガスクロスオーバおよび一体型単一燃料電池2からの外部漏洩を防止するために、セルの周囲は、図1に示すようにシールされる。膜31およびバイポーラプレート2周辺は、共に融着され、セル一体化中またはセル一体化が終了した後に、燃料電池シール4を生成する。シール4は、フラットプレート24の本体241と同じ材料で作られる。しかし、フラットプレート24と膜31の両方に適合する他の材料が使用されてもよい。シール4は、燃料電池内で射出成形されるかまたは鋳造され、バイポーラプレート2との突合せ継手および膜31とのT継手が生成される。膜31周囲が活性エリアを超える場合、シール4および膜31は、同様に突合せ継手によって融着されることができる。一旦所定場所に置かれると、シール4は、単一セル1に対する電流コレクタプレート6(図10)の追加だけを含みうるスタック組立または電流コレクタプレート6を用いた複数セル1の組立を続行することを可能にする。
【0037】
一体型単一セル1は、より高い電力出力を有する複数燃料電池スタックを得るために、種々の方法で積重ねられることができる。内部マニホールド化機構5および冷却機構9を
有する2セル燃料電池スタック7が図10に提示される。図1に示す2つの一体型セルは、電圧電力スタック出力を得るのに必要とされる程度の回数だけ繰り返されうるバイポーラ燃料電池配置を示す例である。図10を参照して、2つの隣接するセル1間で共有される共通バイポーラプレート2は、個々のセル1を複数スタックに一体化するために使用される。一体化は、単一セル1の一体化のためのプロシージャで提示されるのと同じ反復を通して行われる。流場がMEAのいずれの面に向くかに応じて、アノードまたはカソード触媒層が、MEAに向く流場241のファイバ214の上部に堆積される。触媒321堆積後、半分のセルを作るために、膜ポリマー322が触媒層上に部分的に堆積される。同様に、第2の半分のセルが、すぐ隣の単一セルの外部流場上に堆積され、膜31融着を通して複数スタック内にセルを一体化するために使用される。複数スタック内への最後のセルの一体化は、同じ方法で行われる。しかし、触媒は、端プレート10のファイバ流場24上に堆積される。スタック一体化中に組立てられる燃料電池のシールは、単一セル1の場合と同様に行われる。スタック組立を完了するために、アノード(+)およびカソード(−)電流コレクタプレート6が、図10に示すように端プレート10に取付けられる。プレート10は、電流を伝導し、スタックに供給されるまたスタックから排出される流体の入口および出口を支持するように設計される。電流コレクタプレート6は、2つの構成要素、すなわち、電気伝導性プレート61と絶縁体プレート62からなるとすることができる。プレート61は、アノードおよびカソード端プレート10のファイバと電気接続状態にある。プレート61は、配線を設置するための、絶縁体62から出る伸張部を有することができる。通常、プレート61は、電気伝導性金属または金属合金で作られる。好ましくは、プレート6は、スタックの重量および堆積を減少させるために、薄い金属箔で作られる。絶縁体プレート62は、電流コレクタ61ならびに反応ガスポート5および冷却材ポート8を支持する。好ましくは、この層62は、ファイバカプセル化のために使用される同じベース材料241で作られる。層62は、ポリマーまたはポリマーベース複合材の作製のために使用される製造プロセスによってスタックに取付けられうる。電池が運転中であるとき、水素ガスがアノード触媒に近づき、一方、酸素がMEA3のカソード触媒に近づく。アノード触媒32上に形成されたプロトンは、プロトン交換膜31を通してカソード触媒33に伝導され、そこで、還元された酸素と結合し、水、電流、および熱を発生する。燃料電池1に入る水素は、流場241を通してMEA3のアノード表面32にわたって分配される。水素の流れは、トラフ流であるか、または、水素排出物が主に水蒸気をふくむため、定期的なパージによってデッドエンド(dead ended)とすることができる。酸化剤の移動は、開口カソード構造を通した対流によって起こることができる。セル1は、セルを作るために使用される材料の適合性のために、広い範囲の温度、圧力、相対湿度、および流量で運転することができる。
【0038】
本発明の態様による例示的でかつ好ましい実施形態の詳細が開示されるが、本発明がこうした詳細によって制限されないことが理解されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、添付特許請求の範囲によって決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型PEM燃料電池であって、
少なくとも2つのバイポーラプレート組立体であって、それぞれが、
ガス不浸透性プレート、および、
それぞれが第1のアノード端および第2のカソード端を有する、複数の一方向電気伝導性ファイバを含み、
前記ファイバは、前記プレートに垂直に延在する縦方向バンドルにグループ化され、
前記アノード端は前記プレートの一方の面上にあり、前記カソード端は前記プレートの他の面上にあり、
前記バンドルはそれぞれ、ガス不浸透性被膜でコーティングされ、前記被膜は前記プレートから前記ファイバ端のそれぞれに向かって延在し、前記端部に隣接する前記ファイバの一部分は未コーティングのままであり、
前記ファイバ端部分はファイバ先端を呈する未コーティングファイバブラシに移行する、少なくとも2つのバイポーラプレート組立体を備え、
前記バイポーラプレート組立体の1つの組立体の前記アノード面は、別のバイポーラプレート組立体の前記カソード面に向き、
膜電極接合体であって、
前記アノードファイバ端のファイバ先端上に位置するアノード触媒支持体および前記アノード触媒支持体上に位置するアノード触媒、
前記カソードファイバ端のファイバ先端上に位置するカソード触媒支持体および前記カソード触媒支持体上に位置するカソード触媒、および、
前記カソード触媒支持体および前記アノード触媒支持体を相互接続するプロトン交換膜を含む、膜電極接合体を備える燃料電池。
【請求項2】
前記アノード触媒支持体および前記カソード触媒支持体は、それぞれ、触媒カチオンがプロトンと交換されるイオン交換ポリマーである請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記アノード触媒支持体および前記カソード触媒支持体は、それぞれ、前記ファイバ端上の液滴または薄い被膜の一方として形成される請求項2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記プロトン交換膜は、前記ファイバ端上の前記触媒支持体上に設置されたイオン交換ポリマーとして形成される請求項3に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記電解触媒は、前記触媒支持体における前記表面カチオンの還元によって、前記触媒支持体の液滴または薄い被膜の表面上に設置される請求項3に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記バンドルは、マトリスクで配列されて、前記プレートの一方の面上に燃料流場を、また、前記プレートの他の面上に酸化剤流場を規定する請求項1に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記バイポーラプレート組立体の1つの組立体のアノード端に電気接続するための伝導性プレート、および、前記バイポーラプレート組立体の別の組立体のカソード端に電気接続するための第2の伝導性プレートを含むコレクタプレート組立体をさらに備える請求項1に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記プレートは伝導性樹脂で構成される請求項1に記載の燃料電池。
【請求項9】
各バイポーラプレート組立体の前記ファイババンドルは、前記バイポーラプレート内に配置された電気伝導性基材によって交差され前記電気伝導性基材に接続される請求項1に記載の燃料電池。
【請求項10】
各バイポーラプレートを通して延在する前記ファイバは、前記基材によってアノードファイバとカソードファイバに分離される請求項9に記載の燃料電池。
【請求項11】
前記アノードファイバの少なくとも一部は、カソードファイバに対して軸方向にオフセットする請求項10に記載の燃料電池。
【請求項12】
前記基材は、前記バイポーラプレートの周縁を超えて延在し、それにより、エッジ冷却を提供する請求項9に記載の燃料電池。
【請求項13】
一体型PEM燃料電池であって、
少なくとも2つのバイポーラプレート組立体であって、それぞれが、
ガス不浸透性プレートと、
アノード面上で前記プレートから延在するアノードファイバ群および対向するカソード面上で前記プレートから延在するカソードファイバ群を含む、ファイバ群で配列された複数の電気伝導性ファイバとを含み、
前記アノードファイバ群および前記カソードファイバ群はそれぞれ、ファイバ先端を呈する未コーティングファイバブラシに移行するファイバ端部分を呈する、少なくとも2つのバイポーラプレート組立体を備え、
前記バイポーラプレート組立体の1つの組立体の前記アノード面は、別のバイポーラプレート組立体の前記カソード面に面し、
膜電極接合体であって、
前記アノードファイバ端のファイバ先端上に位置するアノード触媒支持体および前記アノード触媒支持体上に位置するアノード触媒、
前記カソードファイバ端のファイバ先端上に位置するカソード触媒支持体および前記カソード触媒支持体上に位置するカソード触媒、および、
前記カソード触媒支持体および前記アノード触媒支持体を相互接続するプロトン交換膜含む、膜電極接合体を備える燃料電池。
【請求項14】
前記ファイバ群は、ファイバブロックであって、ブロックを不浸透性にする接着性マトリクス内に連続ファイバを含む、ファイバブロックとして形成される請求項13に記載の燃料電池。
【請求項15】
前記ファイバブロックは、燃料および酸化剤の少なくとも一方のための流れ経路を形成するように配列される請求項14に記載の燃料電池。
【請求項16】
前記ファイバブロック内のファイバは、織物で配列される請求項13に記載の燃料電池。
【請求項17】
前記ファイバ群は、各ガス不浸透性プレート内の基材に搭載されたベルベットセグメントとして形成される請求項13に記載の燃料電池。
【請求項18】
各バイポーラプレート組立体から延在するフックとして形作られたファイバ、および、各膜電極接合体に組込まれたループとして配列されたファイバをさらに備え、前記ファイバフックおよびファイバループは相互接続する請求項1に記載の燃料電池。
【請求項19】
燃料電池用のバイポーラプレート組立体であって、
ガス不浸透性プレートと、
それぞれが第1のアノード端および第2のカソード端を有する、複数の一方向電気伝導性ファイバとを備え、
前記ファイバは、前記プレートに垂直に延在する縦方向バンドルにグループ化され、
前記アノード端は前記プレートの一方の面上にあり、前記カソード端は前記プレートの他の面上にあり、
前記バンドルはそれぞれ、ガス不浸透性被膜でコーティングされ、前記被膜は前記プレートから前記ファイバ端のそれぞれに向かって延在し、前記端部に隣接する前記ファイバの一部分は未コーティングのままであり、
前記ファイバ端部分はファイバ先端を呈する未コーティングファイバブラシに移行する燃料電池。
【請求項20】
燃料電池用の膜電極接合体であって、
互いに向き合う複数のアノードファイバ端および複数のカソードファイバ端と、
前記アノードファイバ端のファイバ先端上に位置するアノード触媒支持体および前記アノード触媒支持体上に位置するアノード触媒と、
前記カソードファイバ端のファイバ先端上に位置するカソード触媒支持体および前記カソード触媒支持体上に位置するカソード触媒と、
前記カソード触媒支持体および前記アノード触媒支持体を相互接続するプロトン交換膜とを備える膜電極接合体。
【請求項21】
燃料電池内で膜電極接合体をバイポーラプレートと一体化するためのプロセスであって、
それぞれが、互いに向き合うファイバ端を呈するバイポーラプレート組立体を設けるステップと、
前記バイポーラプレートファイバの先端にポリマー液滴を堆積させるステップと、
ポリマービーズを得るために、前記液滴を乾燥させるステップと、
前記ポリマービーズを覆って、連続する薄いポリマー層を堆積させるステップと、
触媒支持体を得るために、前記ポリマービーズおよび連続する層内のプロトンを、触媒カチオンと交換するステップと、
前記触媒支持体上に金属触媒をもたらすように表面カチオンを還元するステップと、
プロトン伝導性膜層を構築するために、ポリマーを堆積させるステップと、
前記向き合うファイバ端の群上に形成された前記膜層を互いに結合するステップとを含むプロセス。
【請求項22】
前記膜表面上にファイバループを堆積させるステップと、
前記ファイバ先端に延在するかまたは前記ファイバ先端より短いファイバフックを前記プレートから設けるステップと、
前記ファイバ先端を前記膜に接触するように引張るために、前記ループおよび前記フックを相互結合させるステップとをさらに含む請求項21に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−508925(P2013−508925A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535429(P2012−535429)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/053835
【国際公開番号】WO2011/050314
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(509319018)エナフューエル インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ENERFUEL,INC.
【Fターム(参考)】