説明

一対の管要素の対向端における固定方法

【課題】一対の管要素の対向端における固定方法を提供する。
【解決手段】変形可能なメカニカル管継手を使用した管要素の固定方法が開示される。継手136は、連結される管要素の端部を跨ぐ相互連結可能な複数の継手セグメント138、140を有する。継手セグメント138、140は管要素の外面に適合する弓形面148、150を有する。継手は、継手セグメント138、140を互いに連結する調整締結可能な連結部材を有する。連結部材が締結された時に、弓形面は変形すると共にその湾曲が管要素外面に適合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手がユニットとして先組みされ且つ装着され得るメカニカル管継手を使用して、管要素の外面に継手を適合させて一対の管要素を固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管要素を端同士で合わせて結合するメカニカル継手は、同軸となるように整列させられた管要素の端部を円周方向に包囲するように位置決め可能な相互連結部を含む。「管要素」という用語はここでは、管状物或いは管様形状を有する構成部品を説明するために使用される。管要素には素管、エルボー、キャップ及びティー等の管継手、並びに弁、径違い継手、濾過器、絞り弁、圧力制御器等の流体制御部品が含まれる。
【0003】
各メカニカル継手セグメントはハウジングを含み、ハウジングはそこから半径方向内方に突出すると共に、連結される各管要素の周りに延在する端部平面状要素或いは円周方向溝と係合する弓形面を有する。弓形面及び管要素間の係合は、機械的拘束力をジョイントに与えると共に、管要素が高い内圧及び外力の下であっても連結されているのを確実にする。ハウジングはガスケット又はシール、一般的には各管要素の端部と係合すると共に流体液密をもたらすためにセグメントと協働する弾性リングを受け入れる環状溝を画定する。セグメントは一般的にはハウジングから外方に突出する突起部形状をなす連結部材を有する。突起部はナット及びボルト等の締結具を受け入れるように構成されており、締結具はセグメントを互いに近づくように引き寄せるために、調整締結可能である。
【0004】
継手及び管要素間の良好な嵌合を確実にするために、従来の継手の弓形面は、係合する予定の管要素の外面の曲率半径と略適合する曲率半径を有する。溝付き管要素と共に使用される継手では、弓形面が溝と適切に嵌合及び係合するように、弓形面の曲率半径は溝の管要素外側の外面の曲率半径よりも小さい。
【0005】
従来の継手における継手の弓形面及び管要素外面間のこの形状寸法関係は、メカニカル継手が使用される時に、装着が面倒且つ時間のかかる方法となる。一般的には、継手は技術者によって、セグメントが共にボルト締めされ且つリングシールがセグメントの溝内に捕らえられた状態で受け取られる。技術者は先ず、継手からボルトを外すことによって継手を分解し、リングシールを取り外し、(予め潤滑剤が差されていなければ)継手に潤滑剤を差し、そして継手を連結される管要素の端部周りに置く。リングシールの装着は、管要素を収容するためにリングシールに潤滑剤が用いられ且つ伸長されることを必要とし、リングシールは通常硬く、また潤滑剤はシールの手での操作を困難にするので、これは困難且つ厄介な作業である。両方の管要素の所定位置にリングシールがある状態で、次に管要素の端部を跨ぐと共にリングシールがセグメントに捕らえられるように、セグメントが一度に置かれる。載置の間に、セグメントがシールと係合し、弓形面が溝と整列させられ、ボルトが突起部を挿通させられ、ナットがボルトにねじ入れられると共に締結されて、継手セグメントが相互に接近するように引き寄せられ、シールが圧縮させられると共に弓形面が溝内で係合させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の説明から明らかなように、従来技術に係るメカニカル管継手の装着では、技術者が一般的に少なくとも7個(継手が2個以上のセグメントを有する時にはそれ以上)の個片部品を取り扱い、継手全体を分解し且つ再度組み立てなければならない。技術者が先ず継手全体を分解してから、継手を一個ずつ再度組み立てることなくメカニカル管継手を装着できるならば、多くの時間、労力及び費用が節約される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は相互連結可能な管継手セグメントに関する。各セグメントは、一対の管要素を端同士で一緒に固定するために、管要素の対向端部を跨いで位置決め可能である、管要素の端部は円柱状断面の外面を有する。各セグメントは管要素外面と係合するように構成される一対の弓形面を含む。弓形面は互いに離れた状態にある。弓形面は180度未満の角度をなすと共に、管要素外面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。各セグメントは更に、一方の継手セグメントを他方と調整連結する連結部材を含む。連結部材はセグメントの弓形面を一緒に引き寄せるために調整締結可能である。セグメントは、弓形面の湾曲を管要素外面と適合させるために、連結部材の調整締結に際して変形可能である。
【0008】
好適には、セグメントは弾性変形可能であると共に、弓形面はセグメントから半径方向内方に突出する。連結部材は各セグメントの端部から外方に延出する一対の突起を含む。突起はセグメントを互いに調整連結するために締結具を受け入れるように構成される。締結具はセグメントの弓形面を一緒に引き寄せて管要素外面と係合させるために調整締結可能である。好適には、突起は、締結具を受け入れるように構成された貫通孔を有する突起部を含む。
【0009】
本発明はまた、一対の管要素を端同士で一緒に固定するために、管要素の対向端部を跨いで位置決め可能な管継手に関する。再び、管要素の端部は円柱状断面の外面を有する。管継手は第1及び第2継手セグメントを有する。各継手セグメントは、管要素外面と係合するように構成される一対の弓形面を有する。弓形面は互いに離れた状態にある。弓形面は180度未満の角度をなすと共に、管要素外面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。各継手セグメントは一方の継手セグメントを他方と調整連結する連結部材を有する。連結部材は、セグメントの弓形面を一緒に引き寄せるために調整締結可能である。セグメントは、弓形面の湾曲を管要素外面と適合させるために、連結部材の調整締結に際して変形可能である。
【0010】
管継手はまた、可撓弾性シールを含む。シールは好適には、管要素を受け入れるように寸法が決められた内径を有する円形状リングである。シールは第1及び第2継手セグメントの弓形面間に位置決めされる。シールは、第1及び第2継手セグメントを互いに離れた状態で位置決めするように寸法が決められた外径を有することにより、管要素は第1及び第2継手セグメント間に端同士が挿入され得る。弓形面を一緒に引き寄せると共にセグメントの湾曲を管要素外面と適合させるために、連結部材が調整締結された時に、シールは変形可能である。
【0011】
好適には、第1及び第2セグメントは各々、各連結部材の近くに位置決めされる一対の角度付き面を更に含む。各セグメントの角度付き面は向かい合う傾斜を有する。一方のセグメントの角度付き面は他方のセグメントの角度付き面と対向する。セグメントが一緒に引き寄せられた時に、角度付き面は互いに係合すると共に、セグメントを管要素と直交する軸周りに互いに相対回転させる。セグメントが一緒に引き寄せられると共に回転することにより、ジョイントの全ての軸周りにおいて剛性を得るために、弓形面及び溝間は強制的に係合させられる。
【0012】
別の実施形態において、管継手は対向する第1及び第2端部を有する弓形帯体を含む。端部は互いに離間させられている。帯体は中心空間を包囲すると共に中心空間を画定する。第1及び第2弓形面は帯体の側方に沿って長手方向に据え付けられる。弓形面は互いに並んで離間させられていると共に、中心空間へ半径方向内方に突出する。弓形面は管要素外面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。管要素の端部は中心空間へ挿入可能である。連結部材はセグメントの第1及び第2端部に据え付けられる。連結部材は第1及び第2端部を互いに近づくように引き寄せるために調整締結可能である。帯体は変形可能であり、連結部材の調整締結に際して、第1及び第2端部を互いに接近移動させる。従って、弓形面は管要素外面と係合させられて、その湾曲は管要素外面の湾曲と適合する。
【0013】
帯体の変形は弾性又は塑性であり、或いは第1及び第2端部間に位置決めされる蝶番によって容易にされる。蝶番は管を中心空間内に受け入れるために、帯体の第1部分を帯体の第2部分と相対的に軸回転させる。
【0014】
本発明はまた、管要素の対向端部を端同士一緒に固定する方法を含む。本方法は、
(A)中央空間を包囲するように端部同士が互いに取り付けられた複数の継手セグメントを備えた管継手を用意する工程と、
(B)管要素端部を中央空間に挿入する工程と、
(C)管要素の外面に継手セグメントを適合させるように継手セグメントを変形させる工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る変形可能なメカニカル管継手を示す縦断面図。
【図1A】図1に示す管継手に両間要素が挿入された状態を示す縦断面図。
【図1B】図1Aに示す管継手が締め付けられた状態を示す縦断面図。
【図2】図1に示す管継手の部分断面図。
【図3】図1に示す管継手の部分断面図。
【図4】本発明に係る管継手と共に使用されるシールの一部破断斜視図。
【図5】本発明に係る管継手と共に使用されるシールの一部破断斜視図。
【図6】本発明に係る様々な管継手の実施形態を示す軸方向図。
【図7】本発明に係る様々な管継手の実施形態を示す軸方向図。
【図7A】本発明に係る管継手実施形態の縦断面図。
【図8】本発明に係る様々な管継手の実施形態を示す軸方向図。
【図9】本発明に係る管継手実施形態の縦断面図。
【図10】本発明に係る管継手実施形態の縦断面図。
【図11】本発明に係る管継手実施形態の縦断面図。
【図12】本発明に係る管継手実施形態の縦断面図。
【図13】本発明に係る管継手実施形態の縦断面図。
【図14】本発明に係る管継手を示す斜視図。
【図15】図14に示す管継手の側面図。
【図16】図14の16−16線における断面図。
【図17】本発明に係る管継手実施形態の一部破断軸方向図。
【図18】本発明に係る管継手実施形態の軸方向図。
【図19】本発明に係る管継手実施形態の軸方向図。
【図20】本発明に係る管継手実施形態の一部破断軸方向図。
【図21】図20に示す管継手の部分断面図。
【図22】本発明に係る管継手実施形態の一部破断軸方向図。
【図23】本発明に係る管継手実施形態の軸方向図。
【図24】本発明に係る管継手実施形態の軸方向図。
【図25】本発明に係る管継手実施形態の軸方向図。
【図26】本発明に係る管継手実施形態の軸方向図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2は本発明に係る管継手10を示す。継手10は管要素を端同士で一緒に固定するべく管要素16及び18の端部16a及び18aを跨ぐために、相互連結可能な継手セグメント12及び14から形成される。管要素の端部は、円柱状断面の外面20及び22夫々を有する。
【0017】
継手セグメント12及び14の相互連結は、好適には図2に最良に示す突起部24及び26の形状をなす連結部材によってもたらされる。突起部は好適には、各セグメントの各端部に位置決めされると共に、セグメントから外方に突出する。突起部24及び26は相互に対向するように位置決めされると共に、以下に更に詳細に説明するように、継手セグメントを相互に調整連結するために、調整締結し且つ突起部24及び26と協働するボルト28及びナット30の形態をなす締結具を受け入れるように構成される。
【0018】
図1に最良に示すように、各セグメント12及び14は一対の弓形面32及び34を含む。弓形面は互いに離間させられていると共に、好適には、管要素16及び18へ向けて半径方向内方に突出する。これらの面は後壁40と結合される側壁38を有するハウジング36から延出しており、側壁及び後壁はシール44を受け入れる溝42を形成する。
【0019】
シール44の例は図4及び図5に示されている。シール44は好適には、エラストマー材料から形成される可撓弾性リングである。シールは、シール及び管要素16及び18の外面20及び22間における密封力を増加させるために、管内における内圧を使用する縁46を有する。図5に示すように、シール44はまた縁46の間に位置決めされる舌部48を有し、舌部はシールの周りに円周方向に延在すると共に、半径方向内方に突出する。舌部48は、以下に詳細に説明するように、管要素との相対的なシール44の適切な位置決めを確実にするために、管要素16及び18の端部と係合する停止面を与える。管要素の舌部48との係合はまた、弓形面の溝(存在するのであれば)との整列、或いは管要素外面の整列マークとの整列をもたらす。
【0020】
図2に示すように、弓形面32及び34は管要素16及び18の外面20及び22の曲率半径52よりも大きい曲率半径50を有する。また、弓形面32は180度未満の角度54をなす。約40度から約179度の間の角度54が実際的である。この弓形面の外形寸法により、先ず継手を分解することなく、図1に示すように、管要素16及び18が継手10に直接挿入されるように、セグメント12及び14は相互に別々に先組みされる。この構成は、一片ずつ管端部に組み入れられなければならない従来の継手よりも著しい効果を有する。本発明に係る継手10による管端部の連結は、従来の継手よりもずっと滑らかに且つ迅速に行われる。なぜならば、技術者は僅かな小片を扱うのであって、ナットをボルトにねじ入れる必要がないからである。図1に示す実施形態において、シール44は、管端部が上述したように挿入され得る程度に継手セグメント12及び14を離れた状態で保持するように寸法が決められた外径56を有する。シール内径58は、単に継手を管要素上に押し込むことにより、或いは管要素を継手に挿入することにより、管要素の端部16a及び18aを受け入れるように寸法が決められている。セグメントを離れた状態で支持するための異なる構成を有する他の実施形態について、以下に説明する。
【0021】
両方の管要素16及び18が図1Aに示すように継手10に挿入された後、ナット30が締結される(図2も参照)。セグメント12の弓形面32及び34をセグメント12の弓形面へ向けて引き寄せるように、ナット30は夫々のボルト28と協働する。ナットの締結は突起部24及び26へ力を作用させて、セグメントを管要素と係合させると共に、弓形面32及び34の曲率半径50が管要素16及び18の曲率半径52と適合するように、セグメント12及び14を変形させる。この作用は図2及び図3並びに図1A及び図1Bを比較することにより例証されており、弓形面及び管外面間の間隙60は、弓形面が管端部外面と係合させられるにつれて減少する。セグメント12及び14の変形は好適には、弾性的であり、ナット30が緩められた時にセグメントが元の形状に跳ね戻ることを可能にすることにより、継手10がここに説明したように本発明に従って再利用されるのが許容される。セグメントはまた、著しい塑性変形をも有するように構成されており、変形はセグメントに恒久的なゆがみを与える。実際の継手では、締結具の締結によって、セグメントには塑性及び弾性変形両方が一般的に生じる。また、セグメント12及び14が変形していない状態にある時には(図2)、突起部24及び26は相互に角度をなして配向される。約10度までの相対角度62が実際的である。図3に示すように、突起部24及び26の相対角度配向は、セグメントが変形させられるにつれて減少すると共に、弓形面32及び34が外面20及び22と適合した時に、突起部が平行になるように外径寸法は構成される。これは、完全に締結された時に、ボルト頭部及びナットが突起部と均一に接触することにより、ボルトの恒久的な変形を生じさせる誘発されているボルトの曲げモーメントの発生を防止することから好ましい。シール44はまた、図1Bに示すように、本過程によっても変形させられ、縁46は管要素外面20及び22と完全係合させられる。シール44は圧縮不能であるので、セグメントによって圧縮させられた時に膨張する空間が備えられなければならない。この空間は側壁38間の後壁40に位置決めされる凹部64によって与えられる。凹部64はいかなる実際的な形状をなしてもよく、また加熱され或いは流体にさらされた時にシールの容積変化を可能にすることにより、シールの円周全体へより均一に変形を割り当てると共に、シールが突起部の間のセグメントから外方に押し出る傾向を軽減する。凹部はまた、舌部48が存在するのであれば、舌部48が管要素の端部間に押し付けられるのを阻止すると共に、舌部48を通る流れを妨げる。
【0022】
図2及び図3に示すように、先組みされた継手10では、セグメント及びシール44間の接触によって定められる所望間隔となるようにセグメント12及び14を維持するボルト28上の位置にナット30を保持するので有利である。これはボルト28のねじ29を好適にはかしめによって変形させることにより適切に達成される。ボルトのかしめはナットの回転を妨げると共に、例えば輸送する間に振動の影響でボルトからナットが外れるのを阻止し、且つ継手を装着に先立ち全ての部品と共に先組みされた状態で維持する。ナットがレンチで締結された時には、かしめは容易に克服される。
【0023】
セグメントの曲げ剛性は、要求される組み付けトルクを減少させると共に、ナット及び突起部間の摩損を緩和するために、セグメントを変形させるのに必要な力の量を制御するように調整される。図6に示すように、屈曲柔軟性増加部66が、セグメントの慣性面積モーメントを減少させることにより、セグメント12及び14のハウジング36に形成される。この減少は好適には、後壁40及び弓形面32及び34の一方又は両方に1個以上の切欠68を付加することにより達成される。
【0024】
或いは図7に示すように、セグメントは内方に突出する歯69を含む弓形面32及び34(図示なし)を有する。歯69は機械的拘束力を得るために管要素の外面と係合すると共に、平面状端部管要素と共に使用される時に特に有利である。歯69はセグメント14に示すように連続的であり、或いはセグメント12に示すように断続的である。小型の継手に好ましい単一の歯も可能である。図7Aに示すように、歯69はまた、継手によって得られる機械的拘束力を増加させるために、セグメントの両側に対をなして配置される。
【0025】
本発明に係る継手は二個のセグメントから成るように上述されているが、これは一例に過ぎない。二個以上のセグメントを備えた継手も可能であり、またセグメントの寸法を減少させることは経済的に有益であるので、製造コストの理由で直径がより大きい管に好ましい。更なる利点としては、突起部の間の空間が減少させられて、より少ないナットの回転及びより短いボルトが必要となる。従って、装着の際には、標準的な深さの素材が使用される。図8は上述したものと類似した四個のセグメント74を有する継手実施形態72の例を示す。
【0026】
これまでは、全ての弓形面が同一の曲率半径を有する継手が示されてきた。このような構成は相互に同一の直径を有する管を互いに連結するのに適当であるが、図9は直径が異なる管要素を連結する継手実施形態76を示す。継手76は二個のセグメント78及び80から形成される(が二個以上のセグメントを有してもよい)。各セグメントは第1曲率半径84を有する第1弓形面82と、第1曲率半径84よりも小さい第2曲率半径88を有する第2弓形面86を有する。これにより継手76は、より大きな直径を有する管要素90をより小さな直径を有する管要素92と連結させる。上述した継手に類似して、曲率半径84は管要素90の外面の曲率半径よりも大きく、また曲率半径88は管要素92の曲率半径よりも大きい。この形状寸法関係によれば、管要素90及び92は先組みされた継手76に挿入され得ると共に、本発明の効果を達成する。継手セグメント78及び80は、曲率半径を管要素外面と適合させるために、調整可能な連結部材によって力を作用させることにより変形する。
【0027】
図10に示す好適な実施形態において、継手10の内方に突出する弓形面32及び34は、管要素端部16a及び18aの外面20及び22に形成された溝94と係合する。弓形面32及び34の夫々の溝94との相互作用により、継手には内圧又は外荷重によって生じた力に耐えるために、相対的に高い端部拘束力が与えられる。より高い端部拘束力を得るために、管要素の第2組の溝と相互作用する第2組の弓形面を加えると有用であることが判っている。本実施形態は図11に図示されており、継手96はセグメント98及び100から成り、各セグメントはセグメントから内方に突出する二対の弓形面102及び104を有する。弓形面対は相互に平行に離間であると共に、一緒に連結する管要素108及び110の面に形成された溝対106と係合する。
【0028】
図12に示す別の実施形態において、10のような本発明に係る継手は、セグメント12及び14の弓形面32及び34によって係合される隆起円周肩部116を有する管要素112及び114と共に使用される。或いは図13に示すように、夫々弓形面124及び126を備えたセグメント120及び122を有する本発明に係る継手118が、フレアー付き端部132及び134を有する管要素128及び130と共に使用される。注目すべきであるが、図9から図13に示す実施形態例では、シール44は管端部を挿入に際して継手内に位置決めするために効果的に使用される舌部48を有し、舌部は管端部を継手内の適切な深さに配置するのを助ける管ストッパとして作用する。
【0029】
別の継手実施形態136が図14に示されている。継手136は突起部142及び144が延出する二個のセグメント138及び140から成り、突起部は一方の継手セグメントを他方の継手セグメントと調整連結する連結部材として作用するように、締結具146と協働する。上述したように、各セグメントは一対の弓形面148,150を有し、各弓形面は好適には、セグメントから半径方向内方に突出する。弓形面は180度未満の角度152をなすと共に、継手が共に連結する管要素の曲率半径よりも大きい曲率半径154を有する。非回転歯70は弓形面の近くに位置決めされると共に、管要素と係合し且つねじり剛性をもたらすために半径方向内方に突出する。
【0030】
図14に最良に示すように、各セグメント138及び140は各突起部142及び144の近くに位置する一対の角度付き面部156及び158を有する。図示するように、各セグメントにおいて、面部156の傾斜は面部158の傾斜と逆になる(両方の面はまた同じ方向に傾斜させられてもよい。)セグメントでの面間におけるこの逆傾斜関係によれば、図15に示すように、先組みされた継手において、対向するように位置決めされる適合性のある傾斜を有する面が得られる。締結具146が締結されて、弓形面を管要素の外面と適合させる時には、各セグメントの角度付き面部156及び158が係合し、相互に相対的に摺動して、セグメントが一緒に引き寄せられると共に、連結される管要素の軸と直角に配向される軸160の周りを互いに反対方向に相対回転させられる。セグメント138及び140のこれらの移動は、上述したように、弓形面148及び150を管要素の溝と係合させると共に、ジョイントの全ての軸に剛性を加える。同じ傾斜を備えた面部を有する継手セグメントでは、継手は同じ効果を得るように、管に沿って反対方向に互いに相対移動する。
【0031】
図16の断面図に示すように、継手136を形成するセグメント138及び140は、ハウジング164によって画定される溝162を有する。ハウジングは後壁166及び側壁168から形成されると共に、管要素を図14に示す先組みされた継手に挿入させるべく、セグメント138及び140を離間させた状態で位置決めするように寸法が決められたシール170を受け入れる。シールが加熱され、或いは流体にさらされた時のシールの容積変化のための空間を設けると共に、舌部48が管要素の端部に押しつけるのを阻止し、且つシールの圧縮に起因する流体の流通を妨げるように、凹部172が後壁に設けられる。
【0032】
図17に示す別の継手実施形態において、継手174は再び、少なくとも2個の継手セグメント176及び178から成り、各セグメントは上述したように内方に突出する弓形面180を有する。しかしながら、弓形面180は対向端に位置決めされるノッチ182及び184を有する。ノッチ182及び184は、管要素が先組みされた継手174に挿入されるのを許容する必要が最もある、継手の3時及び9時の部分に間隙を与える。これらの位置において増加した間隙の利用可能性は、面端部において間隙が利用可能でない場合よりも、継手セグメント176及び178が先組み状態において互いにより近くなるように間隔があけられることを可能にする。一緒により近くに先組みされた継手のセグメントを有することにより、弓形面を管要素外面と適合させるために必要な変形量が減少させられて、締結具を締結するために必要なエネルギも減少する。
【0033】
本発明に係る別の継手実施形態192が図18に示されている。継手192は中心空間196を包囲する弓形帯体194を含む。帯体194は互いに対向するように位置決めされる対向端198及び200を有する。端部198及び200は先組みされた継手では間隔があけられていると共に、好適にはボルト206及びナット208等の締結具を受け入れるように構成された突出突起部202及び204の形態をなす連結部材が据え付けられる。ボルト及びナットは突起部と協働して、管要素が中心空間196に挿入された後に、端同士を連結させるために、帯体194を変形させると共に、端部198及び200を相互に接近させる。帯体194は一対の弓形面210を有し、その一方のみが図面では見られる。弓形面は図10に示され且つ別の実施形態について上述するように、相互に縦方向に離間させられている。弓形面210は継手が一緒に連結する管端部外面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。この形状寸法構成及び端部198及び200の離間によって、管要素は中心空間196に挿入され得る。ナット208の締結に際して、弓形面210の曲率半径が係合する管要素の外面の曲率半径に強制的に適合させられるように、帯体194は変形させられる。注目すべきであるが、先組み状態において、突出突起部202及び204は好適には、約20度までの相対角度212を有して相互に角度をなして配向される。締結具の締結は突起部を相互に接近させるように引き寄せて、好適には突起部が互いに平行となる位置まで相対角度212が減少する。ボルトと一緒に変形を生じさせるように反応点を形成するために管要素に依存しない可撓性継手では、反応点で被る摩擦は可撓性を抑制することから、これは特に効果的である。
【0034】
継手192は、弓形面210の間において帯体194内に位置決めされるシール214を含む。シール214は図4及び図5に示すものと類似すると共に、帯体が変形させられた時に、液密シールを形成するべく管要素を受け入れるように寸法が決められる。
【0035】
継手192の屈曲柔軟性は、帯体194の慣性面積モーメントを減少させることにより調整される。この調整は、帯体に切欠216を配置することにより行なわれる。或いは図19に示すように、蝶番218が端部198及び200の間に設けられる。蝶番218は好適には帯体端部から等距離に位置決めされると共に、無限の屈曲柔軟性を与えて、端部198及び200を互いに近づくように引き寄せるために締結具に必要とされるトルクを減少させる。面半径を管要素外面の半径と適合させるために、弓形面210が管要素外面と係合する時にも、帯体194は変形する。蝶番が存在する時には、管要素が挿入されるように、突起部202及び204を離れた状態で維持するようにシール214は寸法が決められる。上述した蝶番が存在するもの及び蝶番が存在しないものの両方において、図9に示すように、継手192が異なる直径を有する管を連結するために使用されるのを可能にするために、弓形面は好適には帯体から半径方向内方に突出すると共に、相互に異なる曲率半径を有する。
【0036】
図20は、セグメント224及び226を離れた状態に維持すると共に、容易に228などの管要素を受け入れるためにシール222に依存しない先組み継手220を示す。継手220はセグメント224及び226の間に延在すると共に、セグメントを離れた状態に保持するスペーサ230を有する。本実施形態例において、スペーサ230はセグメントから延出する対向突起部234及び236間に位置決めされる折り畳み管232を含む。管232は好適には薄壁で囲われると共に、断面円形であり、且つ同軸となるように締結具238を包囲して配置される。管は軽量金属或いはポリプロピレンなどの高分子材料から形成されると共に、締結具238によって付与される圧縮荷重の下で、管の折り畳みを容易にする弱化領域を形成するために、その表面に刻み線240を有する。厚紙及びゴム等の他の材料も可能である。管は、輸送、管理及び装着の間に、セグメントを離れた状態に支持する程度に強いが、好適には締結具をレンチにより手で締結することによって技術者が付与する所定の圧縮荷重で折り畳むように構成される。
【0037】
使用に際して、端同士が連結される管要素は、セグメント224及び226の間に挿入される。次にセグメントを互いに近づくように引き寄せて管要素と係合させるために、締結具238が締結される。締結具の締結は管232を圧縮荷重の下におくと共に、セグメントを互いに近づくように移動させ且つジョイントを果たすべく管要素と係合するために所定の荷重が付与された時に、管は図21に示すように折り曲げられて畳まれる。
【0038】
セグメント間に位置決めされるスペーサは、いかなる種類のメカニカル継手と共に使用される。図20及び図21において注目すべきであるが、セグメント224及び226は、係合するように構成された管要素228の外面の曲率半径と同じ曲率半径を備えた弓形面242を有する。管要素228及びセグメント間に間隙を設けて、管要素が継手に挿入されるのを可能にする一方で、適切な締結具長さをも維持するために、図20に最良に示されるように、ノッチ244及び246が弓形面242の対向端に位置決めされる。管要素が先組みされた継手220に挿入されるのを許容するために、ノッチは継手の三時及び九時の位置に間隙を与える。
【0039】
図22は、継手を構成するセグメント256及び258の間にスペーサ230を有する別の継手実施形態254を示す。本例において、スペーサ230は再び、締結具262と同軸に且つセグメントから突出する突起部264及び266間に位置決めされる管260を含む。管260は、締結具を締結することによって圧縮荷重が付与された時に、その折り畳みを容易にする段268を有する。注目すべきであるが、セグメント256及び258は、図1及び図2に関して上述したものと類似しており、セグメントの弓形面は管要素よりも大きい曲率半径を有する。
【0040】
継手セグメントを離れた状態で維持するためのスペーサの別例が、図23に示されている。継手270は先組みされた時に、対向するように位置決めされる外方突出突起部266及び268を有するセグメント272及び274から成る。セグメントは突起部間に延出する締結具280によって一緒に保持される。好適にはブロック形状体284の形状をなすスペーサ282は、突起部266及び268の間に位置決めされる。ブロック形状体284は、締結具が締結されるのを可能にすると共に、セグメントを引き寄せて連結される管要素と係合させるために、突起部の間を移動可能である。
【0041】
ブロック形状体284はセグメントに解放可能に取り付けられ、例えば突起部266及び268間の摩擦によって保持される。ブロック形状体を形成するために可撓弾性材料が特に有利である。なぜならば、このような材料から形成されるブロック形状体は、荒っぽい扱いの間には継手を離れた状態で維持するが、必要に応じて容易な取り外しのために直ちに変形するように、適当な強度及び硬さをもたらすからである。ブロック形状体を形成するために高分子材料が使用されるならば、高分子材料は熱融合によって、或いはブロック形状体及びセグメント間に剥離可能な結合を与える接着剤によって、突起部に接着される。
【0042】
図24は、図示する先組み状態で管要素が継手セグメント290及び292の間に挿入されるように、セグメントを離れた状態で維持するためにスペーサ288を使用する非変形継手実施形態286を示す。継手286は、管要素の端同士をセグメントの間に挿入するのを容易にする間隙を与えるノッチ又は他の構成を有していないが、適当な間隙のための十分な分離をもたらすようにスペーサに依存する。スペーサ288は上述したものと類似する。
【0043】
本発明に係るスペーサはまた、様々な他の種類の継手と共に使用される。図19に示すように、スペーサ288は、管要素が挿入されるように突起部202及び204を離れた状態で維持するために、蝶番が設けられる継手実施形態192と共に使用される。管状スペーサが図示されているが。当然のことながらここに説明されるスペーサのいかなるものも、この継手と共に使用可能である。
【0044】
図25はフランジ付き管をフランジ無し管、例えば溝付き或いは平面状端部と連結するアダプタ継手294を示す。継手294はセグメント296及び298を含み、各セグメントは一方側に半径方向に延出するフランジ300を有すると共に、他方側に弓形面302を有する。セグメント296及び298はスペーサ304によって離れた状態で保持されており、スペーサ304は折り畳み可能な管状スペーサ306又は取り外し可能なスペーサ308、或いはここに説明される他の種類のスペーサを含む。
【0045】
図26は、継手セグメント312及び314を離れた状態で維持できる別の種類のスペーサ実施形態310を示す。スペーサ310は、締結具316によって圧縮力にさらされた時に、好適には弾性的に変形するばね要素を含む。ばね要素はいかなる形状、たとえばゴムシリンダ318又はコイルばね形状をなしてもよい。ばね要素のスペーサへの使用により、セグメントを互いに近づくように引き寄せるために必要な力の精密な制御が可能になると共に、ばね要素の変形が弾性的である時には、継手の再利用を容易にする。
【0046】
変形可能な継手はまた、米国特許第6,170,884号及び第6,302,450号に開示される舌部及び凹部、米国特許第3,362,730号に開示されるようなセグメント内に組み入れられる出口、米国特許第2,439,979号、第3,024,046号、第5,911,446号及び第6,302,450号に開示されるような溝を使用しない平面状端部継手等の構成を含むことが予想される。これらの特許全ては、ここに参照することによって組み入れられる。
【0047】
本発明に係る変形可能なメカニカル管継手は、迅速且つ確実な装着をもたらして、管ジョイントを形成する一方で、継手を部分的或いは全体的に分解した後に再度組み立て、また個片部品を管理する必要性をなくす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部が実質的に円筒状の外面を有する管要素の対向する前記端部を、端部同士で互いに固定する方法であって、
中央空間を取り囲んで互いに端部同士で取り付けられた複数の継手セグメントであって、前記管要素の外面に係合するのに適した弓形面を有する前記継手セグメント、を備える管継手を用意するステップと、
前記管要素の前記端部を前記中央空間に挿入するステップと、
前記継手セグメントを変形させて、前記継手セグメントの前記弓形面の湾曲を前記管要素の前記外面に適合させるステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−137191(P2012−137191A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95979(P2012−95979)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2010−194575(P2010−194575)の分割
【原出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(503217015)ヴィクトリック カンパニー (19)
【Fターム(参考)】