説明

一時収容箱

【課題】 廃棄物等収容物品の取り出し作業が容易で、労力およびコスト削減可能な一時収容箱を提供すること。
【解決手段】 一時収容箱1は、底部2と側部9に囲繞された内部に物品を収容することのできるものであって、底部2は底枠3と、底枠3内に設けられた一または複数の底板4と、底枠3上に設けられていて本体1を下方から支持する脚部5とからなり、底板4は底枠3に枢設され、底板4の下面側には車輪6が設けられている構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一時収容箱に係り、特に、廃棄物等を一時的に収容し、必要時にこれを取り出す際の作業を容易、効率的かつ安全なものとすることのできる、一時収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
各産業分野において発生する廃棄物等の要処理物の回収、運搬、取り出し作業に用いるための装置や方法に関する技術的提案は、従来も種々なされている。後掲特許文献に示す技術は、建設工事現場等における廃棄物等の要処理物を多数の人手を要さずに簡便に回収排出可能とすることを目的として、上部に対角線状となる位置に係止手段を設け、底板が開閉自在になっているゴミ収拾箱を係止手段に引っ掛ける吊り上げ補助具を介して持ち上げ、ゴミ収拾箱の底板を開放することによって、箱内のゴミを落下させる、というものである。
【0003】
【特許文献1】特開平5−278804号公報「物品の回収排出方法及び装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記従来技術の方法では、箱内に一時的に収容されたゴミ等は底板の開放によって落下させられることになり、相当重量を有するゴミ等が落下することによる作業上の危険性、落下衝撃による粉塵等の発生による作業環境の悪化、といった問題点がある。
【0005】
また、かかる危険性や作業環境悪化の問題に加えて次のような問題もある。すなわち、処理される収容物が廃棄物である場合、再利用がされずに最終処分されるような例や、再利用はされるが落下により以後の価値をさして損なわないような粉体物等のような例はとにかくとして、それ以外のものの場合は、落下により生じる破損・変形に伴う価値の減損や、事後の分別処理その他の処理工程における取扱いの不便・煩雑さ・不都合という問題も発生する。
【0006】
さらに、箱内の要処理物を底部を開放することで下方向へと放出する際に、要処理物の放出速度を調節、制御できれば、事後の分別等の作業に適した放出後状態を形成することも可能である上、上述の危険性や作業環境悪化の問題を大いに解消することができる。
【0007】
したがって本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を除き、廃棄物あるいはその他の要処理物を一時的に収容、あるいは保管し、必要時にこれを取り出す際の作業において、下方への要処理物の取り出し作業を速度等の制御可能な状態でなすことができ、これによって、取り出し作業を容易、効率的かつ安全・快適なものとし、事後の処理工程の効率化も可能とし、ひいては労力およびコスト削減も実現することのできる、一時収容箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は上記課題について検討した結果、箱の底部として設ける解放可能な底板の下面側に車輪を設けることにより上記課題が解決可能であることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下のとおりである。
【0009】
(1) 少なくとも底部と該底部外周上に設けられた側部とを備えることによりこれらに囲繞された内部に物品を収容することのできる一時収容箱であって、該底部は底枠と、該底枠内に設けられた一または複数の底板と、該底枠上に設けられていて本一時収容箱を下方から支持する脚部とからなり、該底板は該底枠に枢設されており、該底板の下面側には車輪が設けられていることを特徴とする、一時収容箱。
(2) 前記底板は二枚設けられ、各底板の対向する側端部が回動可能であることを特徴とする、(1)に記載の一時収容箱。
(3) 前記車輪は、前記底板の回動方向と同じ方向に回動可能なように設けられていることを特徴とする、(1)または(2)に記載の一時収容箱。
(4) 前記底板の回動防止およびその解除を行うためのロック部が設けられていることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の一時収容箱。
【0010】
(5) 昇降手段によって本一時収容箱を昇降させることを可能とするための昇降手段受け部が設けられていることを特徴とする、(1)ないし(4)のいずれかに記載の一時収容箱。
(6) 前記昇降手段受け部は、昇降手段たるフォークリフトのフォークを通すことのできる上端部に設けられた挿通孔構造であることを特徴とする、(5)に記載の一時収容箱。
(7) 上端は開放されていることを特徴とする、(1)ないし(6)のいずれかに記載の一時収容箱。
(8) 前記側部は内部に水が入った場合に排水できる構造であることを特徴とする、(1)ないし(7)のいずれかに記載の一時収容箱。
(9) 廃棄物の一時的収容に用いるものであることを特徴とする、(1)ないし(8)のいずれかに記載の一時収容箱。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一時収容箱は上述のように構成されるため、これによれば、廃棄物あるいはその他の要処理物を一時的に収容し、必要時にこれを取り出す際の作業において、下方への要処理物の取り出し作業を速度等の制御可能な状態でなすことができ、これによって、取り出し作業を容易、効率的かつ安全・快適なものとすることができる上、事後の処理工程の効率化も可能とし、ひいては労力およびコスト削減も実現することができる。なお本発明によれば、要処理物の取り出しは、落下あるいは放出といった態様ではなく、接地面に対して静かに載置させるようにする取り出しが可能である。
【0012】
たとえば本発明一時収容箱は、複数の種類の廃棄物が同時に発生する場合の廃棄物投入あるいは収集・回収運搬・分別処理においても、投入・回収運搬・取り出し・分別といった各作業段階において、良好な簡便性、効率性、作業性を提供することができ、また安全性、作業環境の快適性、労力・コストの低減も実現することができる。
【0013】
特に、底板の下面側に車輪を設ける構成によって、フォークリフト等の昇降手段を用いての一時収容箱からの要処理物の下方への取り出し作業は、一旦接地させた箱を制御しつつ上昇動作させることによって、円滑かつ調節・制御容易なものとなる。さらに、要処理物の取り出し(載置)終了後の底板の閉まりも、設置状態の本一時収容箱を上方に揚げた状態から徐々に下降させていくことによって容易に行うことができる。
【0014】
また、底板に車輪はついていても、本一時収容箱の設置は脚部によって上方支持されるため、該脚部を転動しない構造とすることによって、要処理物の投入のための設置時も、また運搬しての処理時も、不用意に箱全体が転動することがなく、安全が確保される。なおまた、脚部の構造としてはこれに限定されず、設置後の移動の便宜のために転動その他移動可能な構造としてもよい。その場合は危険防止のためにロック機構を必ず設けることが望ましい。
【0015】
また、ロック部を備える本発明は、底板の回動、開放、閉まりを適宜確実に行うことができる。また本一時収容箱は、昇降手段受け部を備えることにより、フォークリフト等との昇降手段を用いて作業性よく容易に回収・運搬することができ、かつ箱からの要処理物の取り出しにも便利である。
【0016】
また、上端を開放した構造とすることによって本発明一時収容箱は、要処理物が周囲に散逸しないようにこれを箱内に上方から投入して一時的に収容・貯蔵することができる。また、側部をたとえば網パネルのような排水可能な構造とすることにより、本箱を屋外に設置する場合の雨水の溜まりを防止することができる。
【0017】
本発明の一時収容箱は、一時的に保管・貯蔵した廃棄物の、分別等の事後処理が必要な場合においても大いに上述の各効果を発揮できるが、もちろんかかる用途に限定されるものではない。要するに本発明は、一時的に保管し、その後必要な処理のためにこれを取り出す必要がある要処理物に対しては、あらゆる用途に用いることができる。もちろん、対象となる要処理物の内容、サイズ等によって、本発明一時収容箱の材料、より具体的な形状や構造の設計、サイズ等は適宜の仕様とすることができる。
【0018】
また、上述のように本発明の一時収容箱は、収容する要処理物あるいは物品を取り出す作業が容易であるため、つい収容期間を長引かせてしまったりする怠慢、およびそれによって引き起こされる要処理物の放置状態化などを防止することができ、収容・保管、回収、取り出しのサイクルを円滑に進めることができる。たとえば廃棄物の場合であれば、収容・保管、回収、取り出しの処理サイクルを促進できる上、箱自体の清潔化、作業環境や設置環境の美化上も有利であり、整理整頓が容易である。
【0019】
さらに本発明の一時収容箱は、収容する要処理物が多種類である場合に、これらを特に分別して収容する必要がない。取り出しが容易であるとともにその破損が防止された状態で取り出すことができ、取り出された後での分別作業が充分に、かつ容易に可能だからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面により詳細に説明する。
図1−1A、図1−1Bはそれぞれ、本発明の一時収容箱の基本的構成を示す、底面図および側面図である。また、
図1−2(a)は、図1−1A等に示す本発明一時収容箱の中央部側断面図、同じく、
図1−3(b)、図1−3(c)は、図1−1A等に示す本発明一時収容箱における底部開放の過程を示す側面視の説明図である。図1−2(a)〜図1−3(c)における(a)、(b)、(c)はそれぞれ、本一時収容箱の底部が開放していく過程を示しており、(a)では閉まった状態、(b)は開放初期の状態、そして(c)は開放が完了した状態、または要処理物の円滑な接地面載置が可能なように開放された状態を示す。
【0021】
これらに図示するように本一時収容箱1は、少なくとも底部2と底部2外周上に設けられた側部9とを備えることによりこれらに囲繞された内部に物品(要処理物。以下、いずれの用語をも用いる。)を収容することのできるものであって、底部2は、底枠3と、底枠3内に設けられた一または複数の底板4と、および底枠3上に設けられていて本一時収容箱1を下方から支持する脚部5とからなっており、さらに底板4は底枠3に枢設されていて、底板4の下面側には車輪6が設けられていることを、主たる構成とする。
【0022】
かかる構成により本一時収容箱1は、脚部5の接地によって上方支持されて設置され、該箱1の底部2と側部9とにより囲繞された内部に、上方から降下させる、あるいは投入するなどして物品が一時的に収容される。もちろんこの状態では、底板4は閉じられていて、物品を上方支持しており、一時収容箱1の下方への物品の落下が生じることはない。物品が収容された一時収容箱1は、後述するフォークリフトのような適宜の昇降手段によって上昇移動せしめられて、さらに必要に応じて移動運搬され、収容された物品の取り出し作業の段階に供される。
【0023】
取り出し作業の段階においては、一時収容箱1は、フォークリフト等の昇降手段によって上方に揚げられた状態から下降せしめられ、脚部5により床あるいは地面に接地され、置かれる。その後、底板4を開放するための処理がなされる。それによって底板4は、底枠3に枢設されたその側辺部を軸として回動可能な状態となる。もっとも底板4上には物品が収容、載置され、またそうでなくても底板4の自重のために、上方へ回動するのではなく、下方への回動が可能な状態となる。すなわち、底部2開放の準備がなされることになる。
【0024】
ここで、底板4の下面側に設けられた車輪6は、接地面に接触した状態となることができる。しかし一時収容箱1は依然として床あるいは地面に置かれた状態であるため、底板4の開放によって直ちに内部に収容していた物品が一気に落下せしめられたり、放出されるわけではない。しかしかかる動作により、物品が、床あるいは地面上に、落下ではなく静かに載置される準備がなされる。
【0025】
この状態から本一時収容箱1は、昇降手段によって、任意の速度や移動パターンによって上昇動作せしめられる。それに伴い底板4は、底部2における開口部が拡大するように回動し、同時に底板4下面側の車輪6は、床あるいは地面といった接地面上を、接地面もまた本一時収容箱1をも損傷することなく円滑に転動し、底部2における開口部を拡大せしめていく。
【0026】
底板4の回動範囲は、特に限定されない。鉛直方向にまで回動することとしてもよいし、あるいはそれよりも小さい角度でも、また逆に大きい角度であってもよい。しかし、一時収容箱箱1内部の物品を円滑に取り出すためには、略鉛直方向程度までの範囲で、より大きい角度で回動可能であることが望ましい。あるいはまた、鉛直方向を超えて、すなわち90°を超えて回動可能に設けることとしてもよい。
【0027】
かかる底部2における開口部の拡大に伴い、内部に収容されていた物品の接地面への取り出し、載置量は増えていき、そのようにして物品の取り出し過程が進行する。しかも、本一時収容箱1においては従来技術のように上方から落下させるのではなく、箱1全体が接地している状態で、物品は、現在ある高さ方向位置からさほど離れていない接地面上へと静かに置かれていくこと、または、上方にある物品の転落やそれによる衝撃が防止もしくは抑制された状態で置かれていくことが可能である。
【0028】
本一時収容箱1を上昇させて底部2に開放部を形成しこれを拡大していく場合、その速度や、速度のパターンを自在に制御可能とすることが便利である。かかる制御は結局、フォークリフト等の昇降手段において、その昇降動作を制御することによって、容易に行うことができる。たとえば、既に載置された物品の姿勢や、これから載置される物品の姿勢、あるいは各物品間の位置関係やその変化等を監視しつつ、より適切な取り出し後の状態、載置状態とするために、速度を調節したり、場合によっては必要な水平移動等を加えたりしての制御も、行うことは可能である。
【0029】
物品の床あるいは地面上への載置、取り出しが完了した後、本一時収容箱1は、上方に揚げられて底板4が開放し切った状態のまま、障害となるような物品が載置されていない床あるいは地面まで水平移動され、そこで再び下降せしめられる。そうすると、まず車輪6が接地し、さらに継続して下降していくにしたがい、車輪6は転動する。本発明一時収容箱1では、その転動方向と底板4の回動方向が同じ方向となるように形成されていることによって、底板4は車輪6の転動に伴い徐々に閉じていく。
【0030】
そして、底板4が完全に閉まる位置まで本一時収容箱1を下降させたら、適宜のロック手段7、7P等によって底板4が自由回動しないように処置をする。これにより一時収容箱1は、脚部5による上方支持によって床あるいは地面といった接地面に載置可能となり、新たに物品収容が可能な状態となるため、必要に応じてこれを移動、設置する。ここで、ロック手段として示した7は孔部、また7Pは該孔部7に挿通させることによってロック作用させるためのピンであるが、本発明がかかる構成に限定されるわけではない。要するに、対象の要処理物を収容しても確実に底板4を閉めた状態を維持できるようなロック手段であれば、適宜のものを用いることができる。
【0031】
なお、上述の物品取り出しの過程の説明では明示しなかったが、車輪6の回動方向と底板4の回動方向とが同じ方向になるように形成することで、底部2が開放していく場合、逆に閉じていく場合、いずれの場合においても本発明の効果が充分に発揮される。
【0032】
図2(a)〜図2(c)、図3(d)、図3(e)、および図4(f)〜図4(j)は、本発明一時収容箱における底部構成の例を示す底面視の説明図である。各図中、FLで示されるものは、フォークリフト等の昇降手段であり、一時収容箱に対してとる姿勢を示し、併せて各例における底板の回動方向すなわち底部の開放のなされる態様を示すために記載したものである。また図中、両方向矢印は、ロックの方向を示す。
【0033】
これらに図示するように本一時収容箱は、その底部構成として様々なパターンが可能である。このうち(a)は、底板4aを二枚設け、各底板4a、4aの対向する側端部が回動可能な構成である。かかる構成によれば、一時収容箱の中央部に向かって一の開放部が形成され拡大していき、収容した物品を箱の直下部を主としてある程度まとまった状態で載置させ取り出すことができるとともに、昇降手段FL側へは底板4aが防御壁となって載置されないため、作業上好都合である。また全体構成としても簡素であり、製造工程上も有利である。
【0034】
(b)は、二の開放部が形成されるパターン、(c)は開放部は単一だが底板4cが昇降手段FL側への防御壁としては機能しないパターンである。また、(d)および(e)はいずれも、底板4d、4e一枚のみで底部を構成するパターンであり、収容されている物品の取り出しは、(a)等と比較すると、取り出し時の制御によって、より広範な水平範囲に拡げられる可能性が大きい。したがって、物品同士が累積する状態をできるだけ避けた状態での分別等の処理が望まれる場合には、有利な効果が得られるものである。
【0035】
また、(f)〜(j)は、使用する底板の数が多いパターンや、特徴的形状の底板を用いるパターンである。かかる構成によっても、本発明の基本的な効果を得ることはできる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例として、廃棄物を収容、回収運搬して、分別等の事後の処理に供する使用例を説明するが、本発明がかかる用途、構成に限定されるものではない。
図5は、本実施例一時収容箱の概観を示す斜視写真図である。また、
図6は、フォークリフトによって本例を昇降させる準備状態、
図7、図8は、底板のロック部を解除する過程、
図9は、ロックが解除されて底板が回動し車輪が接地した状態、
図10は、本例一時収容箱の上昇動作によって底板が開き開放部が形成されていく状態、
図11は、本例一時収容箱が上方に揚げられて底部が開放し切った状態、
をそれぞれ示す写真図である。
【0037】
また図12は、本実施例において、収容された物品を取り出している状態、
図13は取り出しが完了した状態を示す写真図である。
これらに図示するように本実施例は、上述図2、3および4で示した底部構成例パターンのうち、(a)を用いたものである。図6等にて示されるように、フォークリフト等の昇降手段によって箱全体を昇降させることを可能とするための昇降手段受け部を設けることが作業上便利である。具体的には、フォークリフトのフォークを通すことのできる挿通孔構造を適宜位置に適宜数設ける構成とすればよい。
【0038】
また、本例のように廃棄物処理目的で用いる場合は、図5その他に示すように、上端が開放された構成とすれば便利である。もっともかかる構成に限定されないことはいうまでもなく、たとえば天板を設けて側部を必要に応じて開閉可能な扉構造とするような構成等も、本発明から除外されるものではない。
【0039】
本例のように上部を開放する構成では、これを屋外に設置した場合、雨水等が内部に入ることになる。これが溜まらないようにするために、各図に示すように、側部は網パネル仕様によって構成するなど、内部に水が入った場合に排水できる構造とすることが望ましい。なお、側部に加えて底部も、あるいは底部のみを単独に、排水可能な構造とすることも可能である。しかし底部には、収容する物品の重量に耐えて上方支持するのに充分な強度が必要である。また、側部を網パネル仕様のようにして排水可能な構造とすることは、箱内部の状況を監視・確認するためにも便宜である。これらを考慮すると、敢えて底部を排水可能な構造とするよりも、側部において排水可能な構造とすることが勧められる。
【0040】
図示するように本実施例は、自動車整備業において、処理対象の自動車等から発生する種々の廃棄物を事前分別を不要として一括して収容し、回収し、取り出して、分別等の事後処理作業に供することのできるものであり、回収・運搬、および取り出し作業は、フォークリフトの運転者唯一名のみによっても可能である。そのため、労力およびコストの低減効果は著しく高い。
【0041】
図12および13に示すようにして廃棄物を取り出した後は、フォークリフトによって底部が開放されたままの一時収容箱を物品の載置されていない床上等に移動し、フォークリフトのアーム(フォーク)を下降させることによって車輪の接地、転動、それに伴う底板の閉まりがなされる(図示せず)。最後に再度ロックを掛けて、再び、新たな廃棄物収容の用に供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の一時収容箱によれば、廃棄物その他の要処理物を一時的に収容し、必要時にこれを取り出す際の作業において、下方への要処理物の取り出し作業を速度等の制御可能な状態でなすことができ、これによって、取り出し作業を容易、効率的かつ安全・快適なものとすることができる上、事後の処理工程の効率化も可能とし、ひいては労力およびコスト削減も実現することができる。
【0043】
実施例を始め上述の説明では、廃棄物処理用途を主として取り上げた。しかし、上述の通り、本発明はかかる用途に限定されるものではなく、廃棄物ではない通常の有用途物の保管〜運搬〜取り出しの用途にも用いることができる。したがって、物品の保管・収集・運搬・取り出しが伴うあらゆる産業分野において、利用価値が極めて高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1−1A】本発明の一時収容箱の基本的構成を示す、底面図である。
【図1−1B】本発明の一時収容箱の基本的構成を示す、側面図である。
【図1−2(a)】図1−1A等に示す本発明一時収容箱の中央部側断面図である。
【図1−3(b)】図1−1A等に示す本発明一時収容箱における底部開放の過程を示す側面視の説明図である。
【図1−3(c)】図1−1A等に示す本発明一時収容箱における底部開放の過程を示す側面視の説明図である。
【図2(a)】本発明一時収容箱における底部構成の例(a)を示す底面視の説明図である。
【図2(b)】本発明一時収容箱における底部構成の例(b)を示す底面視の説明図である。
【図2(c)】本発明一時収容箱における底部構成の例(c)を示す底面視の説明図である。
【図3(d)】本発明一時収容箱における底部構成の例(d)を示す底面視の説明図である。
【図3(e)】本発明一時収容箱における底部構成の例(e)を示す底面視の説明図である。
【図4(f)】本発明一時収容箱における底部構成の例(f)を示す底面視の説明図である。
【図4(g)】本発明一時収容箱における底部構成の例(g)を示す底面視の説明図である。
【図4(h)】本発明一時収容箱における底部構成の例(h)を示す底面視の説明図である。
【図4(i)】本発明一時収容箱における底部構成の例(i)を示す底面視の説明図である。
【図4(j)】本発明一時収容箱における底部構成の例(j)を示す底面視の説明図である。
【0045】
【図5】本実施例一時収容箱の概観を示す斜視写真図である。
【図6】フォークリフトによって本例を昇降させる準備状態を示す写真図である。
【図7】底板のロック部を解除する過程を示す写真図である。
【図8】底板のロック部を解除する過程を示す写真図である。
【図9】ロックが解除されて底板が回動し車輪が接地した状態を示す写真図である。
【図10】本例一時収容箱の上昇動作によって底板が開き開放部が形成されていく状態を示す写真図である。
【図11】本例一時収容箱が上方に揚げられて底部が開放し切った状態を示す写真図である。
【図12】本実施例において、収容された物品を取り出している状態を示す写真図である。
【図13】本実施例において、収容された物品の取り出しが完了した状態を示す写真図である。
【符号の説明】
【0046】
1…一時収容箱
2…底部
3…底枠
4…底板
5…脚部
6…車輪
7…孔部
7P…ロック用のピン
9…側部
2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i、2j…底板
4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h1、4h2、4i、4j1、4j2…底板
6a、6b、6c、6d、6e、6f、6g、6h、6i、6j…底板
Xa、Xb、Xc、Xd、Xe、Xf、Xg、Xh1、Xh2、Xi、Xj1、Xj2…底板の軸
FL…昇降手段(フォークリフト)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底部と該底部外周上に設けられた側部とを備えることによりこれらに囲繞された内部に物品を収容することのできる一時収容箱であって、該底部は底枠と、該底枠内に設けられた一または複数の底板と、該底枠上に設けられていて本一時収容箱を下方から支持する脚部とからなり、該底板は該底枠に枢設されており、該底板の下面側には車輪が設けられていることを特徴とする、一時収容箱。
【請求項2】
前記底板は二枚設けられ、各底板の対向する側端部が回動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の一時収容箱。
【請求項3】
前記車輪は、前記底板の回動方向と同じ方向に回動可能なように設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の一時収容箱。
【請求項4】
前記底板の回動防止およびその解除を行うためのロック部が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の一時収容箱。
【請求項5】
昇降手段によって本一時収容箱を昇降させることを可能とするための昇降手段受け部が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の一時収容箱。
【請求項6】
前記昇降手段受け部は、昇降手段たるフォークリフトのフォークを通すことのできる上端部に設けられた挿通孔構造であることを特徴とする、請求項5に記載の一時収容箱。
【請求項7】
上端は開放されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の一時収容箱。
【請求項8】
前記側部は内部に水が入った場合に排水できる構造であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の一時収容箱。
【請求項9】
廃棄物の一時的収容に用いるものであることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の一時収容箱。


【図1−1A】
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【図1−1B】
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【図1−2(a)】
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【図1−3(b)】
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【図1−3(c)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図3(d)】
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【図3(e)】
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【図4(f)】
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【図4(g)】
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【図4(h)】
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【図4(i)】
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【図4(j)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−67575(P2009−67575A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240293(P2007−240293)
【出願日】平成19年9月15日(2007.9.15)
【出願人】(507312334)株式会社エコブリッジ (1)
【Fターム(参考)】