説明

一時貯留型ワーク搬送システム

【課題】仕掛品などのワークを一時貯留する貯留スペースとして搬送ラインの上方域を活用できるとともに、仕掛品などのワークの一時貯留状況を正確に把握して高い生産稼働率を達成できる一時貯留型ワーク搬送システムを提供すること。
【解決手段】搬送ライン中のワークWを一対の自立するワーク昇降用チェーンによって搬送面上で昇降させて搬送面の上方域で一時貯留するワーク昇降式貯留装置100が搬送ラインに沿って複数配備されているとともに、前記ワーク昇降式貯留装置100によるワークWの昇降動作を全体統括して制御するワーク搬送制御機構400が設けられている一時貯留型ワーク搬送システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ライン中の仕掛品などのワークを一対の自立するワーク昇降用チェーンによって搬送面上で昇降させて搬送面の上方域で一時貯留することができる一時貯留型ワーク搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送中のワークを搬送面の上方域で昇降保持する昇降式ワーク保持システムとしては、モータ駆動式の駆動コンベアユニットA4と、ベルト駆動式の昇降装置A5とからなる成形機用ストックシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−112439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の成形機用ストックシステムは、コンベアユニットA4の設置スペース以外に、昇降装置A5の上流側に配置した段バラシ装置に空バケットを段積みしてストックするためのスペースと、昇降装置A5の下流側に成形品で満杯になったバケットを段積みしてストックするためのスペースとを処理ラインの両脇に設けなければならず、システム設置のための広範な面積スペースを必要とするという問題があった。
【0004】
また、保管している仕掛品などのワークを次工程まで搬送する場合には、手作業などにより、仕掛品などのワークを次工程に供給しなけれなならないという厄介な問題や、仕掛品などのワークのストック具合を人為的に確認しなければ仕掛品の余剰状況などを把握できず、高い生産稼働率が達成できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述したような課題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、仕掛品などのワークを一時貯留する貯留スペースとして搬送ラインの上方域を活用できるとともに、仕掛品などのワークの一時貯留状況を正確に把握して高い生産稼働率を達成できる一時貯留型ワーク搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明の一時貯留型ワーク搬送システムは、搬送ライン中のワークを一対の自立するワーク昇降用チェーンによって搬送面上で昇降させて搬送面の上方域で一時貯留する昇降式ワーク貯留装置が搬送ラインに沿って複数配備されているとともに、前記昇降式ワーク貯留装置によるワークの昇降動作を全体統括して制御するワーク搬送制御機構が設けられていることによって、上記目的を達成するものである。
【0007】
また、本請求項2に係る発明の一時貯留型ワーク搬送システムは、本請求項1記載の構成に加えて、前記ワーク搬送制御機構がマルチドロップ方式による通信手段で接続されていることによって、上記目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本請求項1に係る発明の一時貯留型ワーク搬送システムによれば、搬送ライン中のワークを一対の自立するワーク昇降用チェーンによって搬送面上で昇降させて搬送面の上方域で一時貯留する昇降式ワーク貯留装置が搬送ラインに沿って複数配備されているため、仕掛品などのワークを一時貯留する貯留スペースとして搬送ラインの上方域を活用でき、搬送ラインにおける両サイドスペースの簡素化や省スペース化を達成でき、さらに、昇降式ワーク貯留装置が搬送ローラや搬送ベルトなどの搬送手段と一体化されている場合にはシステム全体の小型化をより一段と達成できる。
そして、前記昇降式ワーク貯留装置によるワークの昇降動作を全体統括して制御するワーク搬送制御機構が設けられているため、仕掛品などのワークの一時貯留状況を正確に把握して搬送ライン上におけるタイムリーなワーク管理を実現して高い生産稼働率を達成できる。
【0009】
また、本請求項2に係る発明の一時貯留型ワーク搬送システムは、本請求項1の発明が奏する効果に加えて、前記ワーク搬送制御機構がマルチドロップ方式による通信手段で接続されているため、搬送ラインに配置された昇降式ワーク貯留装置とワーク搬送制御機構との間に配置される通信線に繁雑化を回避した簡素な配線形態で達成することができ、システム構築コストを著しく低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る一時貯留型ワーク搬送システムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
まず、図1に示すような本発明の第1実施例である一時貯留型ワーク搬送システムは、自動車製造ラインなどで被加工品や被組立品等の仕掛品を含むワークWに対して加工や組立などを行う、所謂、生産システムに適用されるものである。
【0011】
本実施例の一時貯留型ワーク搬送システムは、図1に示すように、搬送ライン中のワークを一時貯留する複数の昇降式ワーク貯留装置100と所定の組立や加工を施す複数の処理装置200とを搬送ラインに敷設されたコンベヤ装置300に沿って配備するとともに、これらの昇降式ワーク貯留装置100を用いたワークWの昇降動作や処理装置200を用いたワーク処理を全体統括して制御するワーク搬送制御機構400を備えた単一の搬送ラインで構成されている。
【0012】
なお、図1における符号401は、後述する昇降式ワーク貯留装置100に備わる通信手段と通信を行う通信部であり、符号402は、前記通信部401を介して送受信する制御情報に基づいてそれぞれの昇降式ワーク貯留装置100におけるワークWの昇降動作を全体統括して制御する制御部(PLC)であり、この制御部402では、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programable Logic Controller)というシーケンス制御方式を採用している。
【0013】
そこで、前述した昇降式ワーク貯留装置100について、図2乃至図8を用いて詳しく説明する。
すなわち、前記昇降式ワーク貯留装置100は、コンベヤ装置300上を搬送される仕掛品などのワークWを処理装置200の上流側或いは下流側で一時的に搬送面の上方域で貯留するとともに、前述した処理装置200の処理要求に対応したワーク搬送制御機構400の制御指示信号に基づいて一時貯留したワークWを搬送面上に供給するものである。
【0014】
ここで、図2は、本実施例の一時貯留型ワーク搬送システムで用いた昇降式ワーク貯留装置100の斜視図であり、図3は、図2に示す昇降式ワーク貯留装置でワークを上昇させた場合の斜視図であり、図4は、図3に示すAの拡大図であり、図5は、ワーク昇降用チェーンと屈曲抑止部材との組付け図であり、図6は、駆動ユニットの斜視図であり、図7は、昇降式ワーク貯留装置を複数組み合わせた図であり、図8は、昇降式ワーク貯留装置にベルト式コンベヤを組み込んだ変形例を示す図である。
【0015】
まず、本実施例で用いた昇降式ワーク貯留装置100は、図2乃至図6に示すように、装置架台110の左右両側から正逆回転可能な一対の駆動スプロケット120、120と、これらの駆動スプロケット120、120に形成されたスプロケット歯121より挟持状態でそれぞれ進退可能に繰り出される一対のワーク昇降用チェーン130、130を備えている。
【0016】
前記一対のワーク昇降用チェーン130、130は、相互に背中合わせとなる屈曲抑止部材140、140をそれぞれ備え、この屈曲抑止部材140、140を相互に係合させて繰り出した一対のワーク昇降用チェーン130、130の直立状態でワークWを昇降させるようになっている。
なお、前記一対のワーク昇降用チェーン130、130は、その引き込み側の末端が装置架台110に取り付け金具(図示していない)によってそれぞれ吊り下げられている。また、本実施例で用いたワーク昇降用チェーン130は、汎用しているローラチェーンにアタッチメントを介してブロックを組付けたブロックチェーンと称するものである。
【0017】
そして、前記屈曲抑止部材140は、図5に示すように、ワーク昇降用チェーン130の引き込み側にチェーンピッチPの2倍となる取り付け間隔で配置した多数のブロック141と、ワーク昇降用チェーン130の引き込み側に連続する繰り出し側に配置したチェーン直立状態に見合った長さの昇降用支柱バー142とで構成されている。
【0018】
前記屈曲抑止部材140を構成するブロック141と昇降用支柱バー142は、いずれも、ほぼ矩形状断面を備えた直方体状の外観を呈しており、ワーク昇降用チェーン130の装着側にチェーン装着溝140aが形成されているとともに、前述した駆動スプロケット120の両面に同軸状に一体成形されたガイドローラ122、122が摺接してワーク昇降用チェーン130を誘導する一対のチェーン誘導用当接面140b、140bが形成されている。
【0019】
なお、図5における符号140cは、チェーン装着ピン孔であり、符号140dは、チェーン直立状態で相互に背中合わせとなる係合面であり、符号140eは、一対の昇降用支柱バー142、142を背中合わせに保持するための合体用締結金具である。
ここで、前記ブロック141と昇降用支柱バー142とは、基本的には、前述したようなチェーン装着溝140a、チェーン誘導用当接面140b、係合面140dなどが形成された同一の断面形態を備えるとともに、ワーク昇降用チェーン130の引き込み側と繰り出し側とに連続して取り付けられて、一対の駆動スプロケット120、120により繰り出されるようになっている。
【0020】
したがって、前記ブロック141は、前記昇降用支柱バー142と別途に造作しても良いが、引き抜き加工や押し出し加工によって得られる長尺の昇降用支柱バー142をチェーンピッチPの2倍となる取り付け間隔で裁断した後、ワーク昇降用チェーン130が取り付ける側を一部面取りしてワーク昇降用チェーン130の引き込み側で相互に屈曲できるように造作する場合には、屈曲抑止部材140の部品造作負担を著しく削減できる。
【0021】
そして、前記屈曲抑止部材140の少なくとも昇降用支柱バー142には、ワーク昇降用チェーン130の直立状態に見合った長さの領域に複数のワークWを順次支持するための複数のアーム状ワーク支持部材150が付設され、装置架台110の両側からワークWを両持ち状態で安定して支持するようになっている。
なお、これらのアーム状ワーク支持部材150の設置数や設置間隔については、搬送面上に貯留、保管するワークWとの関係において適宜設定できる。
【0022】
さらに、図6は、前述したように、装置架台110の内部に配置されてワーク昇降用チェーン130と噛み合う駆動スプロケット120に動力伝達する駆動ユニット160を示している。
すなわち、前記駆動ユニット160は、駆動源となる正逆転可能な駆動用モータ161と、この駆動用モータ161からの出力を駆動スプロケット120に動力伝達するための減速機構162を備え、さらに、この減速機構162からの出力を駆動ユニット160の左右にそれぞれ突出させた一対の駆動スプロケット120、120を互いに反対向きに同期回転させる同期回転歯車機構163などを備えている。
【0023】
そして、本実施例に用いた昇降式ワーク貯留装置100の場合には、一対の駆動スプロケット120、120が一対のワーク昇降用チェーン130、130との噛み合い位置をチェーンピッチPの範囲内で昇降方向にずらして対向配置されており、ワーク昇降時に一対の駆動スプロケット120、120に対してワーク昇降用チェーン130、130を噛み合わせる際に、いずれか一方のワーク昇降用チェーン130が駆動スプロケット120と噛み合っており、両方の駆動スプロケット120、120が同時に噛み外れて生じるようなピッチ単位Pの間欠送り出し状態を回避して滑らかな連続送り出し状態を確保し、しかも、小径の駆動スプロケットであっても一対の駆動スプロケット120、120間で噛み合い位置をずらした分Xだけ噛み合い率を増加させて、噛み外れ、歯飛びなどがなく円滑で安定した昇降動作を行うようになっている。
【0024】
前記昇降式ワーク貯留装置100は、前述した一対の駆動スプロケット120、120の上部近傍に一対のワーク昇降用チェーン130、130を構成するローラチェーンに当接して昇降動作を誘導する一対のチェーン誘導プレート170、170が設置されており、円滑な昇降動作を達成するようになっている。
【0025】
なお、図4に示す符号180は、ワーク昇降用チェーン130の昇降動作を検知する検知センサーであって、所定の運行プログラムと連係して昇降動作のオンオフを制御しているが、前述した駆動ユニット160にロータリーエンコーダなどのような回転式位置検出器を取り付け、駆動用モータ161の回転回数を検出することによって、チェーンの送り出し、巻き戻しを制御し、ワークWを保管する段の位置決めを行っても良く、これにより高価なサーボモータを用いることなく、また、光電センサーや近接スイッチなどの複数個のセンサーを必要とすることなく、プログラムでリフター機構の停止位置、停止数を設定することも可能である。
【0026】
そして、本実施例に用いたコンベヤ装置300には、搬送ライン中のワークWを簡便に搬入搬出して昇降式ワーク貯留装置100と連動して迅速な一時貯留機能を達成するために、図3または図7に示すようなワークWを水平方向に搬送する複数の搬送ローラ310を備えたローラコンベヤ方式を採用している。なお、本実施例に用いたコンベヤ装置300として、図8に示すような無端状の搬送ベルト320をベルトコンベヤ方式を採用しても良い。
【0027】
したがって、上述したような昇降式ワーク貯留装置100は、図3に示すように、一対の駆動スプロケット120、120を正回転させて一対のワーク昇降用チェーン130、130を繰り出すと、一対の駆動スプロケット120、120に挟持状態でそれぞれ背中合わせながら順次繰り出される昇降用支柱バー142とこの昇降用支柱バー142に連続するブロック141とからなる屈曲抑止部材140によって安定したチェーン直立状態でワークWを上昇させ、一対の駆動スプロケット120、120を逆回転させて一対のワーク昇降用チェーン130、130を引き込むと、一対の駆動スプロケット120、120に挟持状態でそれぞれ背中合わせながら順次引き込まれるブロック141とこのブロック141に連続する昇降用支柱バー142とからなる屈曲抑止部材140によって安定したワーク昇降用チェーン130の直立状態でワークWを降下させる。
【0028】
この時、駆動スプロケット120の両面に一体成形されたガイドローラ122、122が屈曲抑止部材140に形成された一対のチェーン誘導用当接面140b、140bに当接するとともに、一対のチェーン誘導プレート170、170が一対のワーク昇降用チェーン130、130を構成するローラチェーンに当接して円滑に昇降動作を呈する。
【0029】
なお、ワーク昇降用チェーン130は、駆動スプロケット120と係合して昇降できるものであれば、ローラチェーンにアタッチメントを介してブロックを組付けたブロックチェーン、チャック型チェーンにアタッチメントを介してブロックを組付けた噛み合いチェーンなどであっても何ら差し支えない。また、このワーク昇降用チェーン130は、装置架台の片側に配置してワークWを片持ち状態で支持するようにしても良く、装置架台の両側に配置してワークWを両持ち状態で支持するようにしても良い。
【0030】
さらに、図9は、本実施例に用いた複数の昇降式ワーク貯留装置100などとワーク搬送制御機構400との間の通信接続形態を示す概略図である。
前述したように、本実施例の一時貯留型ワーク搬送システムでは、昇降式ワーク貯留装置100などとワーク搬送制御機構400との間をRS485などのマルチドロップ方式の通信手段にて通信接続することによって、これらの昇降式ワーク貯留装置100を用いたワークWの昇降動作や処理装置200を用いたワーク処理を全体統括して制御するとともに通信線の繁雑化を回避した簡素な配線形態を達成している。
【0031】
次に、前述した本実施例の一時貯留型ワーク搬送システムにおける仕掛品などのワークの流れについて図1に基づいて説明する。
図1に示すような単一系列の搬送ラインにおいて、前工程から搬送されてくる先頭のワークWがコンベヤ装置300a上を通過して処理装置200aに渡されると、処理装置200aが、受け取ったワークWに対して加工や組立等の所定の処理を施し、この処理した後のワークWをコンベヤ装置300b側へ排出する。
【0032】
ついで、コンベヤ装置300b上に排出されたワークWが、昇降式ワーク貯留装置100aの搬送面上に到着すると、昇降式ワーク貯留装置100aが、ワーク搬送制御機構400の制御に基づきワーク昇降用チェーン130を上昇させてワークWを搬送面の上方域で貯留する。
【0033】
その後、後続して搬送されてくるワークWが、昇降式ワーク貯留装置100aの搬送面上に到着すると、先行して搬送されてきたワークWと同様に、昇降式ワーク貯留装置100aが、ワーク搬送制御機構400の制御に基づきワーク昇降用チェーン130を上昇させて後続して搬送されてきたワークWを搬送面の上方域で貯留する。すなわち、先行して貯留したワークWの下方に後続のワークWを貯留する。
【0034】
このようにして、次々と搬送されてくるワークWを昇降式ワーク貯留装置100aで上昇させて貯留し、昇降式ワーク貯留装置100aでワークWを貯留できなくなったら、次の昇降式ワーク貯留装置100bでワークWを保管する。すなわち、昇降式ワーク貯留装置100b乃至昇降式ワーク貯留装置100nにおいても、昇降式ワーク貯留装置100aと同様に、ワークWを保管できるだけ貯留する。
【0035】
次に、処理装置200bで前述したように昇降式ワーク貯留装置100a乃至昇降式ワーク貯留装置100nで保管しているワークWに対して所定の処理を行う場合、処理装置200bがワーク搬送制御機構400から昇降式ワーク貯留装置100aが保管している所定のワークWに対する処理要求を受けると、ワーク搬送制御機構400が昇降式ワーク貯留装置100aに対して保管している所定のワークWを下降させる供給指示を行う。
【0036】
そうすると、昇降式ワーク貯留装置100aが、一対の昇降用チェーン130を降下させて搬送面の上方域で一時貯留していたワークWを搬送面上に排出させ、このようにして搬出されたワークWが昇降式ワーク貯留装置100b乃至昇降式ワーク貯留装置100nの搬送面上を図10の矢印で示す如く通過してコンベヤ300cで処理装置200bに搬送される。
【0037】
なお、前述したような昇降式ワーク貯留装置100aで保管されているワークWを処理装置200bで処理する場合を考慮して、それぞれの昇降式ワーク貯留装置100では、図10で示すように、ワークWを搬送面の上方域で貯留している際に、他のワークWが搬送面上を通過できるように最下段が空く高さhまでワークWを上昇させた状態で貯留することにより、前述したようなワークWを貯留している昇降式ワーク貯留装置の搬送面上に他のワークWを通過させるようにしている。
【0038】
また、前述したワークWの流れでは、搬送されてくるワークWを配置順通りに昇降式ワーク貯留装置で順次貯留する形態を示したが、これに限らず、ワークWを保管する順番は、順不同であっても良い。
【0039】
そして、昇降式ワーク貯留装置100a乃至昇降式ワーク貯留装置100nに一時貯留するワークWは、全て同じものでなくても良い。例えば、処理装置200bの処理の段取り替えを行い、異なるワークWを扱う場合は、昇降式ワーク貯留装置ごとに異なるワークを保管するようにしても良い。
【0040】
以上のようにして得られた本発明の第1実施例である一時貯留型ワーク搬送システムは、仕掛品などのワークWを一時貯留する貯留スペースとして搬送ラインの上方域を活用でき、搬送ラインにおける両サイドスペースの簡素化や省スペース化を達成できるとともに、仕掛品などのワークWの一時貯留状況を正確に把握して搬送ライン上におけるタイムリーなワーク管理を実現して高い生産稼働率を達成でき、しかも、搬送ラインに配置された昇降式ワーク貯留装置100とワーク搬送制御機構400との間に配置される通信線に繁雑化を回避した簡素な配線形態で達成できるなど、その効果は甚大である。
【0041】
さらに、図11は、本発明の第2実施例である一時貯留型ワーク搬送システムを示している。
本発明の第2実施例である一時貯留型ワーク搬送システムは、図11に示すような複数系列の搬送ライン上に昇降式ワーク貯留装置などを配置したものであって、前工程から搬送されてきたワークWを配送ラインDLを介して所定の搬送ラインに配送した後、この配送されたワークWを、前述した第1実施例と同様に、それぞれの搬送ラインに配置された複数の昇降式ワーク貯留装置100で貯留するとともに、処理装置200のそれぞれの処理要求に基づいてワーク搬送制御機構400で全体統括している制御信号により所定の昇降式ワーク貯留装置100に貯留されているワークを所定の処理装置200に供給するように構成されたものである。
【0042】
したがって、本発明の第2実施例である一時貯留型ワーク搬送システムは、前述した第1実施例と同様に、仕掛品などのワークWを一時貯留する貯留スペースとして複数系列の搬送ラインの上方域を活用して搬送ラインにおける両サイドスペースの簡素化や省スペース化を達成でき、仕掛品などのワークWの搬送ライン上におけるタイムリーなワーク管理を実現して高い生産稼働率を達成できるとともに、複数系列の搬送ラインとワーク搬送制御機構400との間に配置される通信線に繁雑化を回避した簡素な配線形態で達成でき、しかも、ワークを保管していない昇降式ワーク貯留装置においては、ワークを搬送面の上方域に保管する一対の昇降用チェーンが搬送面の下方域で収容され搬送面上には何も無い状態となっており、他方、ワークを保管している昇降式ワーク貯留装置においては、一対の昇降用チェーンが搬送面の上方側に突出している状態であるので、作業者にとっては、処理ライン上でワークの余剰の具合を一目でチェックすることができるなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例である一時貯留型ワーク搬送システムの全体構成図。
【図2】第1実施例で用いた昇降式ワーク貯留装置の斜視図。
【図3】図2に示す昇降式ワーク貯留装置でワークを上昇させた場合の斜視図。
【図4】図3に示すAの拡大図。
【図5】ワーク昇降用チェーンと屈曲抑止部材との組付け図。
【図6】駆動ユニットの斜視図。
【図7】昇降式ワーク貯留装置を複数組み合わせた図。
【図8】昇降式ワーク貯留装置にベルト式コンベヤを組み込んだ変形例を示す図。
【図9】第1実施例で用いた通信接続形態を示す概略図。
【図10】最下段を空けてワークを保管する様子を示した斜視図。
【図11】本発明の第2実施例である一時貯留型ワーク搬送システムの全体構成図。
【符号の説明】
【0044】
100,100a,100b,100n ・・・ 昇降式ワーク貯留装置
101 ・・・ 機械部
102 ・・・ 制御部
103 ・・・ 通信部
110 ・・・ 装置架台
120 ・・・ 駆動スプロケット
121 ・・・ スプロケット歯
122 ・・・ ガイドローラ
130 ・・・ ワーク昇降用チェーン
140 ・・・ 屈曲抑止部材
140a・・・ チェーン装着溝
140b・・・ チェーン誘導用当接面
140c・・・ チェーン装着ピン孔
140d・・・ 係合面
140e・・・ 合体用締結金具
141 ・・・ ブロック
142 ・・・ 昇降用支柱バー
150 ・・・ アーム状ワーク支持部材
160 ・・・ 駆動ユニット
161 ・・・ 駆動用モータ
162 ・・・ 減速機構
163 ・・・ 同期回転歯車機構
164 ・・・ 回転式位置検出器
170 ・・・ チェーン誘導プレート
180 ・・・ 検知センサー
200,200a,200b ・・・ 処理装置
300,300a,300b,300c,300d ・・・ コンベヤ装置
310 ・・・ 搬送ローラ
320 ・・・ ベルト式コンベヤ
400 ・・・ ワーク搬送制御機構
401 ・・・ 通信部
402 ・・・ 制御部
W ・・・ ワーク
P ・・・ チェーンピッチ
X ・・・ 噛み合い位置をずらした分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ライン中のワークを一対の自立するワーク昇降用チェーンによって搬送面上で昇降させて搬送面の上方域で一時貯留する昇降式ワーク貯留装置が搬送ラインに沿って複数配備されているとともに、前記昇降式ワーク貯留装置によるワークの昇降動作を全体統括して制御するワーク搬送制御機構が設けられていることを特徴とする一時貯留型ワーク搬送システム。
【請求項2】
前記ワーク搬送制御機構が、マルチドロップ方式による通信手段で接続されていることを特徴とする請求項1記載の一時貯留型ワーク搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−290559(P2006−290559A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114481(P2005−114481)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】